JP2017163862A - 細胞培養バッグのブロッキング解消方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞培養装置に配設された細胞培養バッグのブロッキングを解消する方法の提供。【解決手段】収容領域の一部の領域aに培養液が収容され、残りの領域bで2枚のフィルムの内面どうしが密着した細胞培養バッグU30上に、攪拌ロール62を所定の高さまで降下させ、次いで、攪拌ロール62を、所定の高さで、細胞培養バッグU30を押圧しながら載置台33の上面33aと平行に水平方向に往復移動させる。このとき、所定の高さは、載置台33の上面33aに細胞培養バッグU30が載置されていなければ攪拌ロール62が上面33aに接触する高さに設定される。【選択図】図5
Description
本発明は、細胞培養バッグのブロッキング解消方法に係り、より詳細には、細胞培養装置内で、2枚のフィルム間に培養液を収容する細胞培養バッグのブロッキングを解消する方法に関する。
近年、医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞や組織などを人工的な環境下で効率良く大量に培養することが求められている。
このような細胞培養において、細胞培養に用いるための、軟包材を材料として袋状(バッグ型)に形成された細胞培養バッグと、培地を細胞培養バッグに供給するための培地容器とをチューブにより接続して培養容器キットを構成し、この培養容器キットを用いて閉鎖系で細胞培養を行うことにより、コンタミネーションのリスクを回避して、細胞を増殖させることが行われている。
このような細胞培養において、細胞培養に用いるための、軟包材を材料として袋状(バッグ型)に形成された細胞培養バッグと、培地を細胞培養バッグに供給するための培地容器とをチューブにより接続して培養容器キットを構成し、この培養容器キットを用いて閉鎖系で細胞培養を行うことにより、コンタミネーションのリスクを回避して、細胞を増殖させることが行われている。
この培養容器キットでは、一般に培地は冷蔵保存の必要があるため、培地容器は保冷室に配置される。また、細胞培養では、温度や空気環境等の制御が必要なため、細胞培養バッグは恒温室に配置される。そして、培地容器から細胞培養バッグへチューブを経由して培地が移送される。
また、特許文献1には、この種の培養容器キットを多段に格納して細胞培養を行う培養装置が開示されている。
また、特許文献1には、この種の培養容器キットを多段に格納して細胞培養を行う培養装置が開示されている。
ところで、培養容器キットの細胞培養バッグは、2枚のフィルム間に培養液(細胞および培地)を収容する構造を有するため、使用前には、2枚のフィルムの内面どうしが密着した状態、即ち、ブロッキング状態となっている。
細胞培養にあたり、細胞培養バッグには、最初に、その容量に対して少量の培養液が注入され、細胞の増殖に合わせて、培地が順次に追加注入される。しかし、ブロッキング状態の細胞培養バッグに少量の培養液を注入しただけでは、培養液は注入ポートの近くの領域に溜まったままとなり、細胞培養バッグの残りの領域はブロッキングしたままとなってしまう。
細胞培養を効率的に行うためには、細胞培養バッグのブロッキング状態(以下、ブロッキングともいう)を解消して、培養液を細胞培養バッグ全体に広げる必要がある。そこで、従来は、細胞培養バッグの培養液が溜まった領域の上面を手で押して培養液を細胞培養バッグ全体に広げて、残りの領域のブロッキングを解消していた。その結果、本来、細胞培養装置内では、培養容器キットを装着した後は自動的に細胞培養が行われるべきにも拘わらず、細胞培養中に細胞培養バッグを押して培養液を細胞培養バッグ全体に広げる手作業が必要となっていた。
なお、細胞培養バッグのブロッキングを防止する方法として、フィルム表面にコーティングを施しておく方法が考えられるが、かかる方法は、コーティング材料が培養細胞に悪影響を与えるおそれがあるため好ましくない。また、細胞培養バッグのフィルム表面に、粗面化加工を施してブロッキングを防止することも考えられるが、かかる粗面化加工も、細胞培養バッグの透明度を低下させるため、特に、細胞培養中の細胞培養バッグの内容物をカメラ等で撮像する上で好ましくない。また、細胞培養バッグに予め空気を吹き込んでブロッキングを解消させておく方法も考えられるが、かかる方法も、コンタミネーションを招くおそれがあるため好ましくない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、細胞培養装置に配設された細胞培養バッグのブロッキングを解消する方法の提供を目的としている。
上記課題を解決するため、本発明の発明者は、種々の検討及び実験を重ねた結果、細胞培養装置の攪拌部材を、通常の攪拌時の動作条件とは大きく異なる、通常の攪拌では使用しない特定の動作条件で動作させることによって、細胞培養バッグのブロッキングが解消されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき成されたものである。
本発明の細胞培養バッグのブロッキング解消方法は、載置台と攪拌部材とを備えた細胞培養装置において、載置台に載置され、培養液を2枚のフィルム間の収容領域に収容する細胞培養バッグのブロッキング解消方法であって、収容領域の一部の領域に培養液が収容され、残りの領域で2枚のフィルムの内面どうしが密着した細胞培養バッグ上に、攪拌部材を所定の高さまで降下させる降下ステップと、攪拌部材を、所定の高さで、細胞培養バッグを押圧しながら往復移動させる往復ステップとを有し、所定の高さを、載置台の上面に細胞培養バッグが載置されていなければ攪拌部材が載置台の上面に接触する高さとしたことを特徴としている。
細胞培養装置においては、ある程度の量の培養液が収容されてブロッキングが生じていない細胞培養バッグに対して攪拌部材で攪拌を行っていた。
通常の攪拌時の動作においては、攪拌部材は、細胞培養バッグの上面を押圧しながら水平方向に何回も往復移動することによって、細胞培養バッグ内の培養液を攪拌していた。攪拌時には、攪拌部材は、細胞培養バッグを完全に押し潰して細胞培養バッグにダメージを与えないよう、細胞培養バッグの2枚のフィルム間に適当な隙間ができる高さまでしか降下していなかった。
通常の攪拌時の動作においては、攪拌部材は、細胞培養バッグの上面を押圧しながら水平方向に何回も往復移動することによって、細胞培養バッグ内の培養液を攪拌していた。攪拌時には、攪拌部材は、細胞培養バッグを完全に押し潰して細胞培養バッグにダメージを与えないよう、細胞培養バッグの2枚のフィルム間に適当な隙間ができる高さまでしか降下していなかった。
これに対し、本発明では、収納領域のうち培養液が収容された一部の領域以外の残りの領域で細胞培養バッグの2枚のフィルムの内面どうしが密着したブロッキングが生じている細胞培養バッグに対して、攪拌部材を、通常の攪拌時に降下させる高さよりも低い、載置台の上面に細胞培養バッグが載置されていなければ攪拌部材が載置台の上面に接触する高さまで降下させて往復移動させる。その結果、培養液が、2枚のフィルムが密着した残りの領域に押し広げられ、ブロッキングが解消する。このように、本発明によれば、攪拌部材を、敢えて、通常の攪拌時の動作条件とは大きく異なる、通常の攪拌では使用しない動作条件で動作させることにより、細胞培養バッグのブロッキングを手作業が必要なく自動的に解消することができる。
以下、本発明の培養容器キットのブロッキング解消方法の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここでは、本発明の実施形態に係る培養容器キットのブロッキング解消方法の説明に先立ち、培養容器キットについて簡単に説明する。
ここでは、本発明の実施形態に係る培養容器キットのブロッキング解消方法の説明に先立ち、培養容器キットについて簡単に説明する。
[培養容器キット]
図1に、培養容器キットの一例を示す。細胞培養装置1に格納される培養容器キットUは、例えば、図1に示すように、細胞培養に用いるための第1の細胞培養バッグU20及び第2の細胞培養バッグU30と、これらの細胞培養バッグU20、U30に培地を供給するための培地容器U10と、培地容器U10と細胞培養バッグU20を接続するメインチューブU40と、細胞培養バッグU30とメインチューブU40を接続する分岐チューブU42とを備えたものとすることができる。
図1に、培養容器キットの一例を示す。細胞培養装置1に格納される培養容器キットUは、例えば、図1に示すように、細胞培養に用いるための第1の細胞培養バッグU20及び第2の細胞培養バッグU30と、これらの細胞培養バッグU20、U30に培地を供給するための培地容器U10と、培地容器U10と細胞培養バッグU20を接続するメインチューブU40と、細胞培養バッグU30とメインチューブU40を接続する分岐チューブU42とを備えたものとすることができる。
第1の細胞培養バッグU20は、細胞を注入して、最初に細胞培養が行われる培養容器であり、例えば、細胞を活性化させるための細胞培養に用いる活性化培養容器などとして好適に用いることができる。第1の細胞培養バッグU20を活性化培養容器として用いてリンパ球などの浮遊系細胞を活性化させる場合、第1の細胞培養バッグU20内の底面には、抗CD3抗体などの細胞を活性化させる物質が固相化される。
第2の細胞培養バッグU30は、第1の細胞培養バッグU20での細胞培養の後に、第1の細胞培養バッグU20における培養液を移し換えて細胞培養を行うための容器であり、例えば、細胞を増殖させるための細胞培養に用いる増幅培養容器などとして好適に用いることができる。
このように、第1の細胞培養バッグU20を活性化培養容器として用いると共に、第2の細胞培養バッグU30を増幅培養容器として用いることで、リンパ球などの浮遊系細胞を好適に増殖させることが可能である。
第2の細胞培養バッグU30は、第1の細胞培養バッグU20での細胞培養の後に、第1の細胞培養バッグU20における培養液を移し換えて細胞培養を行うための容器であり、例えば、細胞を増殖させるための細胞培養に用いる増幅培養容器などとして好適に用いることができる。
このように、第1の細胞培養バッグU20を活性化培養容器として用いると共に、第2の細胞培養バッグU30を増幅培養容器として用いることで、リンパ球などの浮遊系細胞を好適に増殖させることが可能である。
図1に示すように、これらの容器は、培地容器U10、第2の細胞培養バッグU30、第1の細胞培養バッグU20の順に、メインチューブU40に接続されている。なお、裏側から見た場合には、第1の細胞培養バッグU20、第2の細胞培養バッグU30、培地容器U10の順に、メインチューブU40に接続されており、これらの順は同一である。
このように構成された培養容器キットUを用いて細胞培養を行うには、まず、第1の細胞培養バッグU20に細胞を注入する。
次に、ポンプU41を作動させ、このポンプU41によって、培地容器U10のポートU11から第1の細胞培養バッグU20のポートU21へ培地を移送する(図1中の矢印(1))。そして、第1の細胞培養バッグU20において、所定の期間、細胞培養が行われる。
第1の細胞培養バッグU20における細胞培養の後、ポンプU41によって、第1の細胞培養バッグU20から第2の細胞培養バッグU30のポートU32へ培養液を移送し(図1中の矢印(2))、次いで培地容器U10から第2の細胞培養バッグU30のポートU31へ培地を移送する(図1中の矢印(3))。
次に、ポンプU41を作動させ、このポンプU41によって、培地容器U10のポートU11から第1の細胞培養バッグU20のポートU21へ培地を移送する(図1中の矢印(1))。そして、第1の細胞培養バッグU20において、所定の期間、細胞培養が行われる。
第1の細胞培養バッグU20における細胞培養の後、ポンプU41によって、第1の細胞培養バッグU20から第2の細胞培養バッグU30のポートU32へ培養液を移送し(図1中の矢印(2))、次いで培地容器U10から第2の細胞培養バッグU30のポートU31へ培地を移送する(図1中の矢印(3))。
このとき、第1の細胞培養バッグU20から第2の細胞培養バッグU30への培養液の移送は、ポンプU41の培地容器U10側においてメインチューブU40に接続された分岐チューブU42を経由して行う。
また、培地容器U10から第2の細胞培養バッグU30への培地の移送は、ポンプU41の第1の細胞培養バッグU20側においてメインチューブU40に接続された分岐チューブU42を経由して行う。
また、培地容器U10から第2の細胞培養バッグU30への培地の移送は、ポンプU41の第1の細胞培養バッグU20側においてメインチューブU40に接続された分岐チューブU42を経由して行う。
培地容器U10は、一般に、格納している培地のpHが培養期間中に大きく変化しないように、酸素及び二酸化炭素に対するガスバリア性を有するものが用いられる。培地中に含まれている高濃度の炭酸ガスが空気中に抜け、培地中の炭酸ガス濃度が低下し、結果としてpHが上昇することを回避するため、培地容器U10の内部から二酸化炭素が外部に漏れ出るのをできるだけ少なくすることが望ましく、また培地の酸化を防ぐことが望ましいためである。
第1の細胞培養バッグU20及び第2の細胞培養バッグU30は、内容物を確認できるように、一部又は全部が透明性を有している。また、これらの細胞培養バッグは、細胞の培養に必要なガス透過性(酸素及び二酸化炭素透過性)を有していることが必要であり、例えば、37℃、5%二酸化炭素濃度の培養環境下で使用することが好ましい。さらに、高い細胞増殖効率を実現するために、低細胞毒性、低溶出性、及び放射線滅菌適性を有することが好ましい。
このような条件を満たす細胞培養バッグの材料としては、ポリエチレン系樹脂が好ましい。このポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸やメタクリル酸共重合体と金属イオンを用いたアイオノマー等が挙げられる。また、ポリオレフィン、スチレン系エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂等を用いることもできる。
培地容器U10、第1の細胞培養バッグU20及び第2の細胞培養バッグU30の形状及びこれらの収容部の形状は、培養液を2枚のフィルム間の収容領域に収容する構成であれば特に限定されず、図1の例では、長方形状としている。これらの容器は、四辺をヒートシールにより密封して製造でき、またブロー成形による一体成型バッグとして製造することもできる。
各ポートは、メインチューブU40側に配置することが好ましく、収容部を、チューブの取り付け部分に向かって次第に狭くなるようにすることも好ましい。
各ポートは、メインチューブU40側に配置することが好ましく、収容部を、チューブの取り付け部分に向かって次第に狭くなるようにすることも好ましい。
メインチューブU40及び分岐チューブU42の材料は、使用環境に合わせて適宜選択すればよいが、ガス透過性に優れるものが望ましい。例えば、シリコーンゴム、軟質塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー等を用いることができる。また、スチレン系エラストマーとしては、例えば、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)、SIS(スチレン・イソプレン・スチレン)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)等を用いることができる。
図1において、例えば、メインチューブU40におけるポンプU41を取り付ける部分にシリコーンチューブを用い、その他の部分に軟質塩化ビニル樹脂チューブを好適に用いることができる。
また、メインチューブU40におけるチューブ間の接続は、ルアーコネクターやその他の連結手段により行うことができる。さらに、メインチューブU40において、例えばピンチバルブや二方活栓、三方活栓等の流路開閉手段を設けてもよい。
また、メインチューブU40におけるチューブ間の接続は、ルアーコネクターやその他の連結手段により行うことができる。さらに、メインチューブU40において、例えばピンチバルブや二方活栓、三方活栓等の流路開閉手段を設けてもよい。
[細胞培養装置]
図2に、培養容器キットを格納した細胞培養装置1の横断面図を示す。細胞培養装置1は、筐体2の内部を断熱壁の中柱20で仕切った恒温室3と保冷室4とを備えている。恒温室3及び保冷室4には、それぞれ独立して開閉する前扉3a、4aが設けられている。恒温室3は、細胞培養に好適な温度(例えば、37℃)に維持されるように温度調整されるとともに、所定の二酸化炭素濃度(例えば、5%)を維持するようにガス濃度調整されている。また、保冷室4は、培地の保存に好適な温度(例えば、4℃)に維持されるように温度調節されている。
図2に、培養容器キットを格納した細胞培養装置1の横断面図を示す。細胞培養装置1は、筐体2の内部を断熱壁の中柱20で仕切った恒温室3と保冷室4とを備えている。恒温室3及び保冷室4には、それぞれ独立して開閉する前扉3a、4aが設けられている。恒温室3は、細胞培養に好適な温度(例えば、37℃)に維持されるように温度調整されるとともに、所定の二酸化炭素濃度(例えば、5%)を維持するようにガス濃度調整されている。また、保冷室4は、培地の保存に好適な温度(例えば、4℃)に維持されるように温度調節されている。
恒温室3及び保冷室4には、図1に示した培養容器キットUの取付け及び取外し作業を容易にするために、それぞれ前扉3a、4aを開いてスライドレール31及び41により引き出すことができるように構成した基台32及び42が設けられている。恒温室3の基台32には、図1に示した培養容器キットUの第1の細胞培養バッグU20及び第2の細胞培養バッグU30が配置され、また、保冷室4の基台42には、培地容器U10が配置されている。
なお、図2では、第2の細胞培養バッグU30(以下、細胞培養バッグU30ともいう)上に配置されている攪拌ユニットのうち、本実施形態では攪拌部材62としての攪拌ロール62だけを示す。
なお、図2では、第2の細胞培養バッグU30(以下、細胞培養バッグU30ともいう)上に配置されている攪拌ユニットのうち、本実施形態では攪拌部材62としての攪拌ロール62だけを示す。
[攪拌ユニット]
図3に、細胞培養装置の攪拌ユニットの側面図を示す。図3(A)は、上昇させた攪拌ユニットを示し、図3(B)は、降下させた攪拌ユニットを示す。
図3に、細胞培養装置の攪拌ユニットの側面図を示す。図3(A)は、上昇させた攪拌ユニットを示し、図3(B)は、降下させた攪拌ユニットを示す。
攪拌ユニット6は、上部ベース60と、昇降ベース61と、攪拌部材62として図2に示した攪拌ロール62とを備えている。上部ベース60は、細胞培養装置1の恒温室3内のフレーム(図示せず)によって直接支持されてもよいし、支持部材(図示せず)によって基台32に固定連結されてもよい。昇降ベース61は、上部ベース60の下側に配置され、上部ベース60に、アーム7及び8によって取り付けられている。モータ(図示せず)でアーム7及び8が回動することによって昇降ベース61が昇降する。攪拌ロール62は、外周が可撓性材料であるゴムで形成され、昇降ベース61のプーリ9b及び9c間に懸設された無端状のベルト92に取り付けられた往復部材93によって支持されている。モータ(図示せず)でベルト92が駆動されることによって、攪拌ロール62が、細胞培養バッグU30を載置する、基台32上の載置台33の上面33aと平行な平面内で往復移動する。
なお、攪拌ユニットの構造は、攪拌ロール62が細胞培養バッグU30を押圧しながら往復移動できるものであれば、図3に示したものに限定されない。
なお、攪拌ユニットの構造は、攪拌ロール62が細胞培養バッグU30を押圧しながら往復移動できるものであれば、図3に示したものに限定されない。
[攪拌ユニットによる攪拌]
そして、細胞培養装置1においては、第2の細胞培養バッグU30内で細胞が増殖し、細胞培養バッグU30に培地が追加注入され、ある程度の量の培養液が収容されてブロッキングが生じていない細胞培養バッグU30に対して、攪拌ロール62で攪拌を行っていた。
そして、細胞培養装置1においては、第2の細胞培養バッグU30内で細胞が増殖し、細胞培養バッグU30に培地が追加注入され、ある程度の量の培養液が収容されてブロッキングが生じていない細胞培養バッグU30に対して、攪拌ロール62で攪拌を行っていた。
通常の攪拌動作においては、図3(B)に示すように、攪拌ロール62は、載置台33に載置された細胞培養バッグU30上に降下し、細胞培養バッグU30の上面を押圧しながら、載置台33の上面33aに平行な面内で往復移動して細胞培養バッグU30の内容物を攪拌する。攪拌ロール62が、載置台33の上面33aと平行な水平面内で往復移動することによって、細胞培養バッグU30の内容物が均一に攪拌される。
このとき、攪拌ロール62は、細胞培養バッグU30を完全に押し潰して細胞培養バッグにダメージを与えないように、細胞培養バッグU30の2枚のフィルム間に適当な隙間ができる高さまでしか降下しない。例えば、攪拌ロール62の降下時の高さは、載置台33の上面33aから攪拌ロール62の最下端までの高さが数mm〜10mmとなるように設定されていた。
[ブロッキング状態の説明]
次に、図4を参照して、細胞培養バッグU30のブロッキング状態を説明する。
図4(A)は、ブロッキング状態の細胞培養バッグの平面図であり、図4(B)は、図4(A)のB−B線に沿った断面図である。なお、図4(A)では、図4(B)に示した基台32及び載置台33の図示を省略している。
次に、図4を参照して、細胞培養バッグU30のブロッキング状態を説明する。
図4(A)は、ブロッキング状態の細胞培養バッグの平面図であり、図4(B)は、図4(A)のB−B線に沿った断面図である。なお、図4(A)では、図4(B)に示した基台32及び載置台33の図示を省略している。
本実施形態では、細胞培養装置1内の恒温室3に載置した第1の細胞培養バッグU20で所定期間の細胞培養を行った後、第1の細胞培養バッグU20から、容量が2リットルの第2の細胞培養バッグU30へ培養液200ミリリットルを移送し、次いで保冷室4内の培地容器U10から第2の細胞培養バッグU30へ培地300ミリリットルを移送する。
この段階では、細胞培養バッグU30の容量が2リットルに対して、200ミリリットルの培養液と300ミリリットルの培地(以下、収容された培養液と培地を併せて培養液と称する)を合わせた500ミリリットルという少量の培養液しか注入されていない。このため、図4に示すように、ブロッキング状態の細胞培養バッグU30に少量の培養液を注入しただけでは、培養液はポートU31及びU32の近くの領域aに溜まったままとなり、細胞培養バッグU30の残りの領域bはブロッキングしたままとなっている。
[ブロッキング解消方法]
次に、図5及び図6を参照して、図4に示した細胞培養バッグU30のブロッキングを解消する方法を説明する。
ブロッキング解消にあたっては、まず、図4に示した収容領域の一部の領域aに培養液が収容され、残りの領域bで2枚のフィルムの内面どうしが密着した細胞培養バッグU30上に、攪拌ロール62を所定の高さまで降下させる。このとき、所定の高さは、載置台33の上面33aに細胞培養バッグU30が載置されていなければ攪拌ロール62が上面33aに接触する高さに設定される。例えば、細胞培養装置1において、攪拌ロール62の降下時の高さを、載置台33の上面33aから攪拌ロール62の最下端までの高さが0mmとなるように設定するとよい。また、所定の高さは、好ましくは、降下した攪拌ロール62に押圧された部分で2枚のフィルムの内面どうしが接触する高さである。
次に、図5及び図6を参照して、図4に示した細胞培養バッグU30のブロッキングを解消する方法を説明する。
ブロッキング解消にあたっては、まず、図4に示した収容領域の一部の領域aに培養液が収容され、残りの領域bで2枚のフィルムの内面どうしが密着した細胞培養バッグU30上に、攪拌ロール62を所定の高さまで降下させる。このとき、所定の高さは、載置台33の上面33aに細胞培養バッグU30が載置されていなければ攪拌ロール62が上面33aに接触する高さに設定される。例えば、細胞培養装置1において、攪拌ロール62の降下時の高さを、載置台33の上面33aから攪拌ロール62の最下端までの高さが0mmとなるように設定するとよい。また、所定の高さは、好ましくは、降下した攪拌ロール62に押圧された部分で2枚のフィルムの内面どうしが接触する高さである。
次いで、攪拌ロール62を、所定の高さで、細胞培養バッグU30を押圧しながら載置台33の上面33aと平行に水平方向に往復移動させる。
図5(A)に、攪拌ロール62を、ポートU31及びU32の反対側(奥側)からポートU31及びU32の側(手前側)へ移動させる様子を示す。攪拌ロール62の移動にともなって、攪拌ロール62の手前側で、ポートU31及びU32付近に溜まっていた培養液が、図面左側の領域へ押し広げられる。
図5(A)に、攪拌ロール62を、ポートU31及びU32の反対側(奥側)からポートU31及びU32の側(手前側)へ移動させる様子を示す。攪拌ロール62の移動にともなって、攪拌ロール62の手前側で、ポートU31及びU32付近に溜まっていた培養液が、図面左側の領域へ押し広げられる。
なお、攪拌ロール62の外周のゴム層が可撓性を有するため、攪拌ロール62の外周は部分的に変形する。このため、攪拌ロール62に押圧された部分では、2枚のフィルム間が完全に密封されているわけではない。その結果、攪拌ロール62が手前側の端まで移動したときには、培養液は、攪拌ロール62よりも奥側に移動している。
図6に、攪拌ロール62を、手前側から奥側へ移動させる様子を示す。攪拌ロール62の移動に伴い、攪拌ロール62の奥側で、攪拌ロール62に押された培養液がブロッキングした領域bへ押し広げられる。このようにして、図4に示した一部の領域aに収容されていた培養液が、2枚のフィルムが密着した残りの領域bに押し広げられ、ブロッキングが解消される。また、ブロッキングが一旦解消した領域cは、攪拌ロール62通過後もブロッキング解消状態が維持される。
なお、ブロッキングが解消されていない領域が残らないように、攪拌ロール62の往復移動は複数回行うことが望ましい。
なお、ブロッキングが解消されていない領域が残らないように、攪拌ロール62の往復移動は複数回行うことが望ましい。
このように、本発明によれば、攪拌ロール62を、敢えて、攪拌を行う必要が無いタイミングで、攪拌時に降下させる高さよりも低い高さまで降下させて往復移動させることにより、細胞培養バッグU30のブロッキングを、手作業なしで解消することができる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。例えば、攪拌ロール62の往復移動は、最初に、手前側に向かって移動を開始してもよいし、奥側へ向かって移動を開始してもよい。また、上述した実施形態では、攪拌部材62としてゴム製の攪拌ロール62を使用した例を説明したが、本発明では、攪拌部材はこれに限定されない。
本発明は、閉鎖系で細胞を大量に培養する再生医療、免疫療法、抗体医薬生産などにおいて好適に利用することが可能である。
1 細胞培養装置
2 筐体
3 恒温室
3a,4a 前扉
4 保冷室
6 攪拌ユニット
7,8 アーム
9b,9c プーリ
31 スライドレール
32 基台
33 載置台
60 上部ベース
61 昇降ベース
62 撹拌部材、攪拌ロール
92 ベルト
93 往復部材
U20 第1の細胞培養バッグ
U30 第2の細胞培養バッグ
2 筐体
3 恒温室
3a,4a 前扉
4 保冷室
6 攪拌ユニット
7,8 アーム
9b,9c プーリ
31 スライドレール
32 基台
33 載置台
60 上部ベース
61 昇降ベース
62 撹拌部材、攪拌ロール
92 ベルト
93 往復部材
U20 第1の細胞培養バッグ
U30 第2の細胞培養バッグ
本発明の細胞培養バッグのブロッキング解消方法は、載置台と攪拌部材とを備えた細胞培養装置において、載置台に載置され、培養液を2枚のフィルム間の収容領域に収容する細胞培養バッグのブロッキング解消方法であって、収容領域の一部の領域に培養液が収容され、残りの領域で2枚のフィルムの内面どうしが密着した細胞培養バッグ上に、攪拌部材を所定の高さまで降下させる降下ステップと、攪拌部材を、所定の高さで、細胞培養バッグを押圧しながら往復移動させる往復ステップとを有し、前記所定の高さを、降下した前記攪拌部材に押圧された部分で前記2枚のフィルムの内面どうしが接触する高さとしたことを特徴としている。
Claims (2)
- 載置台と攪拌部材とを備えた細胞培養装置において、
前記載置台に載置され、培養液を2枚のフィルム間の収容領域に収容する細胞培養バッグのブロッキング解消方法であって、
前記収容領域の一部の領域に前記培養液が収容され、残りの領域で前記2枚のフィルムの内面どうしが密着した前記細胞培養バッグ上に、前記攪拌部材を所定の高さまで降下させる降下ステップと、
前記攪拌部材を、前記所定の高さで、前記細胞培養バッグを押圧しながら往復移動させる往復ステップとを有し、
前記所定の高さを、前記載置台の上面に前記細胞培養バッグが載置されていなければ前記攪拌部材が前記載置台の上面に接触する高さとした
ことを特徴とする、細胞培養バッグのブロッキング解消方法。 - 前記攪拌部材は、可撓性材料で形成した外周層を有するロールである
ことを特徴とする、請求項1記載の細胞培養バッグのブロッキング解消方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016050012A JP2017163862A (ja) | 2016-03-14 | 2016-03-14 | 細胞培養バッグのブロッキング解消方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016050012A JP2017163862A (ja) | 2016-03-14 | 2016-03-14 | 細胞培養バッグのブロッキング解消方法 |
Publications (1)
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ID=59908877
Family Applications (1)
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-
2016
- 2016-03-14 JP JP2016050012A patent/JP2017163862A/ja active Pending
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