JP2024018634A - 培養システム、及び培養バッグの気泡制御方法 - Google Patents

培養システム、及び培養バッグの気泡制御方法 Download PDF

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郷史 田中
Goshi Tanaka
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Abstract

【課題】 培養バッグを用いた培養システムにおいて、培養バッグ内を気泡が存在していない状態に容易に設定することが可能な培養システムを提供する。【解決手段】 培養バッグ10(10-1, 10-2, 10-3)と培養関連容器41をチューブで連通して備えた培養システムであって、培養バッグの厚みを計測するバッグ厚計測部を備え、培養関連容器から培養バッグに注入した内容液の液量と、バッグ厚計測部により計測された培養バッグの厚みにもとづいて、培養バッグに存在する気泡の量を算出する。バッグ厚計測部が、培養バッグを押圧する押圧装置20(20-1, 20-2, 20-3)と、押圧装置により押圧された培養バッグの厚みを計測可能な測長センサS1,S2,S3と、測長センサにより測定された距離にもとづき気泡の量を算出する制御装置30とを有し、制御装置が、培養バッグの底面積と距離を乗算した体積と内容液の液量との差分を気泡の量として算出する。【選択図】 図1

Description

本発明は、細胞などの培養技術に関し、特に複数のバッグを連通して用いる培養システムに関する。
近年、医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞や組織などを人工的な環境下で効率良く大量に培養することが求められている。
このような状況において、軟包材からなる培養バッグを用いて、細胞などを閉鎖系で大量培養することが行われている。
ところで、培養バッグに培地容器からチューブを介して培地を供給する場合や、複数の培養バッグをチューブで連通し、バッグ間で培地と細胞を移送して継代培養を行う場合などにおいては、新しく用いる培養バッグとチューブ内に元々存在していた空気が、培地が供給又は移送された新しい培養バッグに残存するという問題があった。
このように培養バッグ内に空気が残存すると、その培養バッグによる細胞の増殖効率が低下するという問題があった。このため、培養バッグ内の空気を除去することは重要であるが、これを自動的に行うことは容易ではなかった。
特許第6492479号公報
ここで、培養バッグ内の空気を除去可能な技術として、特許文献1に記載の細胞培養装置を挙げることができる。
この細胞培養装置では、培地容器の重量変化を検知する重量検知手段を用いることによって、培養バッグに入り込んだ気泡を取り除く操作をする際に、その操作を終了するタイミングを適切に判断することが可能になっている。
しかしながら、このような重量検知手段を用いる方法では、細胞培養装置が大掛かりになるという問題があった。
また、重量検知手段は、ロードセルなどにより測定対象を一点で支えるものであるところ、使用するバッグのサイズが大きくなるにつれて、測定精度が低下してしまうという問題があった。このため、大量培養のためのバッグを使用する場合に適するものではなく、この方法は、細胞などの大量培養に最適なものとは言えなかった。
そこで、本発明者らは鋭意研究して、培養バッグを用いた培養システムにおいて、培養バッグ内の空気を除去する手法を開発することに成功して、本発明を完成させた。
具体的には、培養システムにバッグ厚検出部を備えて、検出されたバッグの厚みと培養バッグへの送液量にもとづいて、培養バッグとチューブ内に存在していた空気の量(気泡量)を計算し、その量の空気を培養バッグから他の培養関連容器に移送可能にした。
このような培養システムによれば、簡単な構造によって、培養バッグとチューブ内に存在していた気泡量を把握することができる。このため、培養の開始時などにあたって、培養バッグの内部に気泡が存在していない状態になるように、培養バッグを容易に設定することが可能となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、培養バッグを用いた培養システムにおいて、培養バッグ内を気泡が存在していない状態に容易に設定することが可能な培養システム、及び培養バッグの気泡制御方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の培養システムは、培養バッグと培養関連容器をチューブで連通して備えた培養システムであって、前記培養バッグの厚みを計測するバッグ厚計測部を備え、前記培養関連容器から前記培養バッグに注入された内容液の液量と、前記バッグ厚計測部により計測された前記培養バッグの厚みにもとづいて、前記培養バッグに存在する気泡の量を算出する構成としてある。
また、本発明の培養システムは、前記バッグ厚計測部が、前記培養バッグを押圧する押圧装置と、前記押圧装置により押圧された前記培養バッグの厚みを計測可能な測長センサと、前記測長センサにより測定される距離にもとづき前記気泡の量を算出する制御装置とを有し、前記制御装置が、前記培養バッグの底面積と前記距離から得られる培養バッグ内の厚みを乗算した体積と前記内容液の液量との差分を前記気泡の量として算出する構成とすることが好ましい。
また、本発明の培養システムは、前記培養バッグと前記培養関連容器とを連通する前記チューブに移送部が配設され、前記移送部が、前記制御装置から入力した前記気泡の量にもとづいて、前記気泡を前記培養バッグから前記培養関連容器又は他の培養関連容器に排出する構成とすることが好ましい。
また、本発明の培養システムは、前記培養関連容器が、培地容器又は細胞懸濁液容器である構成とすることが好ましく、前記他の培養関連容器が、洗浄液容器、剥離液容器、気体容器、又は廃液容器である構成とすることが好ましい。
また、本発明の培養システムは、前記培養バッグと第二の培養バッグをチューブで連通して備え、前記第二の培養バッグの厚みを計測する第二のバッグ厚計測部を備え、前記培養バッグの内容液を前記培養バッグから前記第二の培養バッグに移送した後、前記培養バッグから前記第二の培養バッグに注入された内容液の液量と、前記第二のバッグ厚計測部により計測された前記第二の培養バッグの厚みにもとづいて、前記第二の培養バッグに存在する気泡の量を算出し、前記第二の培養バッグ内の気泡を前記第二の培養バッグから前記培養バッグ、前記培養関連容器、又は前記他の培養関連容器に排出する構成とすることが好ましい。
また、本発明の培養システムは、前記培養バッグと1つ以上の他の培養バッグをチューブで連通して備え、前記他の培養バッグの厚みを計測する他のバッグ厚計測部を備え、前記培地関連容器の内容液を前記培地関連容器から前記培養バッグと前記他の培養バッグに移送した後、前記培地関連容器から前記培養バッグと前記他の培養バッグに注入された内容液の液量と、前記バッグ厚計測部と前記他のバッグ厚計測部により計測された前記培養バッグと前記他の培養バッグの厚みにもとづいて前記培養バッグと前記他の培養バッグに存在する気泡の量をそれぞれ算出し、前記培養バッグと前記他の培養バッグ内の気泡を前記培養バッグと前記他の培養バッグから前記培養関連容器又は前記他の培養関連容器に排出する構成とすることが好ましい。
また、本発明の培養システムは、前記培養バッグの上面を傾斜させる傾斜機構を備え、前記培養バッグにおける前記気泡が排出される側のポートが上側になるように、前記傾斜機構により前記培養バッグの上面が傾斜された状態で、前記気泡を前記培養バッグから排出する構成とすることが好ましい。
また、本発明の培養システムは、前記培養バッグを傾斜させる他の傾斜機構を備え、前記培養バッグにおける前記気泡が排出される側のポートが上側になるように、前記他の傾斜機構により前記培養バッグが傾斜された状態で、前記気泡を前記培養バッグから排出する構成とすることが好ましい。
さらに、本発明の培養システムは、上記の培養システムにおける各構成を様々に組み合わせたものとすることも好ましい。
また、本発明の培養バッグの気泡制御方法は、培養バッグと培養関連容器をチューブで連通して備えた培養システムにおける培養バッグの気泡制御方法であって、前記培養システムが、前記培養バッグの厚みを計測するバッグ厚計測部を備え、前記培養関連容器から前記培養バッグに注入した内容液の液量と、前記バッグ厚計測部により計測された前記培養バッグの厚みにもとづいて、前記培養バッグに存在する気泡の量を算出する方法としてある。
また、本発明の培養バッグの気泡制御方法は、前記バッグ厚計測部が、前記培養バッグを押圧する押圧装置と、前記押圧装置により押圧された前記培養バッグの厚みを計測可能な測長センサと、前記測長センサにより測定された距離にもとづき前記気泡の量を算出する制御装置とを有し、前記制御装置が、前記培養バッグの底面積と前記距離を乗算した体積と前記内容液の液量との差分を前記気泡の量として算出する方法とすることが好ましい。
また、本発明の培養バッグの気泡制御方法は、前記培養バッグと前記培養関連容器とを連通する前記チューブに移送部が配設され、前記移送部が、前記制御装置から入力した前記気泡の量にもとづいて、前記気泡を前記培養バッグから前記培養関連容器又は他の培養関連容器に排出する方法とすることも好ましい。
本発明によれば、培養バッグを用いた培養システムにおいて、培養バッグ内を気泡が存在していない状態に容易に設定することが可能な培養システム、及び培養バッグの気泡制御方法の提供が可能となる。
本発明の実施形態に係る培養システムにより継代培養を行う場合の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る培養システムにおいて用いられる培養バッグの平面図と正面図を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る培養システムにおける押圧装置を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る培養システムを用いて培養バッグを押圧して培養バッグに気体を注入し細胞と培地を移送する様子を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る培養システムにおける傾斜機構を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る培養システムにおける傾斜機構により培養バッグの上面を傾斜させた状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る培養システムにおける制御装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る培養システムにより培養バッグに培地を分注する場合の構成を示す模式図である。
以下、本発明の培養システム、及び培養バッグの気泡制御方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態の具体的な内容に限定されるものではない。
[培養システム]
本実施形態の培養システムは、培養バッグと培養関連容器をチューブで連通して備えた培養システムであって、培養バッグの厚みを計測するバッグ厚計測部を備え、培養関連容器から培養バッグに注入された内容液の液量と、バッグ厚計測部により計測された培養バッグの厚みにもとづいて、培養バッグに存在する気泡の量を算出することを特徴とする。
培養関連容器としては、例えば、培地容器又は細胞懸濁液容器を好適に用いることができる。また、培養関連容器は、洗浄液容器又は剥離液容器であってもよい。
培養バッグの厚みは、培養バッグの底面から上面までの距離であり、培養バッグの底面フィルムの厚みと上面フィルムの厚みと培養バッグ内の厚みを合計した厚みである。
具体的には、図1に示すように、本実施形態の培養システムは、バッグ厚計測部が、培養バッグ10(10-1, 10-2, 10-3)を押圧する押圧装置20(20-1, 20-2, 20-3)と、押圧装置20により押圧された培養バッグ10の厚みを計測可能な測長センサS(S1, S2, S3)と、測長センサSにより測定される距離にもとづき気泡の量を算出する制御装置30とを有し、制御装置30が、培養バッグ10の底面積と上記の距離から得られる培養バッグ10内の厚みを乗算した体積と内容液の液量との差分を気泡の量として算出することが好ましい。
測長センサSにより測定される距離は、培養バッグ10の厚みではなく、培養バッグ10内の厚み(培養バッグ10の厚み-培養バッグ10の上面フィルムと下面フィルムの厚み)であってもよい。また、測長センサSにより測定される距離は、その他の距離であって、その距離にもとづき培養バッグ10の厚みや培養バッグ10内の厚みを測定できるものであってもよい。
また、図1では、培養バッグ10と押圧装置20と測長センサSは、それぞれ3つずつ備えられているが、本実施形態の培養システムにおいて、これらの個数は特に限定されず、1つ又は2つずつ備えられていてもよく、4つ以上備えられていてもよい。
また、本実施形態の培養システムは、培養バッグ10と培養関連容器とを連通するチューブに移送部が配設され、この移送部が、制御装置30から入力した気泡の量にもとづいて、気泡を培養バッグ10から培養関連容器又は他の培養関連容器に排出する構成であることが好ましい。
他の培養関連容器としては、例えば、洗浄液容器、剥離液容器、気体容器、又は廃液容器を好適に用いることができる。
図1は、本実施形態の培養システムにより継代培養を行い得る構成を示しているが、当該構成による継代培養の説明の前に、培養システムにおいて用いられる培養バッグとこれを押圧する押圧装置、培養システムにおける内容液の移送と気泡の排出、及び培養システムにおける制御装置等について詳細に説明する。
図2に示すように、本実施形態の培養システムにおいて用いられる培養バッグ10は、2枚のフィルムの周縁部をヒートシールなどによって貼り合わせ、内部に細胞培養に用いることの可能な培養面を有する培養室11が形成されている。
培養バッグ10には、内容液の注入を行うためポート12が備えられている。また、培養バッグ10には、内容液の排出を行うためポート13が備えられている。培養バッグ10において、ポート13をポート12に対向して備えることが好ましい。
なお、培養バッグ10に備えられるポートの個数は、3つ以上であってもよい。また、ポート12を内容液の排出を行うために使用してもよく、ポート13を内容液の注入を行うために使用してもよい。
ポート12にはチューブが接続され、チューブにはポンプなどの第一の移送部(51, 53, 55)が配設されている。また、ポート13にもチューブが接続され、チューブにはポンプなどの第二の移送部(52, 54, 56)が配設されている。
そして、第一の移送部を作動させることで、ポート12を介して培養バッグ10に内容液の供給を行うことが可能になっている。また、第二の移送部を作動させることで、ポート13を介して培養バッグ10から内容液の排出を行うことが可能になっている。
また、図2において、培養バッグ10の培養室の周縁領域に外側向きに張り出した膨出形状が形成されている。これにより、後述するように培養バッグ10の上面を傾斜させ易くなっている。しかし、培養バッグ10の形状は、これに限定されず、膨出形状を備えていないものであってもよい。
培養バッグ10の材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。その他用いることができる材料として、ポリメチルペンテン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、ポリアミド、アイオノマー、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂、塩化ポリエチレンなどが挙げられる。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも用いることができる。また、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの熱硬化性エラストマーや、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミドなどの熱硬化性樹脂も用いることができる。
また、ポートの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン系エラストマー、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
培養バッグ10に注入する内容液としては、特に限定されないが、細胞増殖用培地、分化誘導用培地、洗浄液、剥離液、又は細胞懸濁液などの液体を用いることができる。
次に、図3を参照して、本実施形態の培養システムにおける押圧装置20について説明する。
図3に示すように、本実施形態の培養システムにおける押圧装置20は、培養バッグ10を載置する架台21を備えている。また、架台21の端部には、天板部23を支持する天板支持部22が立設して備えられている。
天板部23の下面側の四隅にはマグネット231が備えられると共に、ガイドピン232が取り付けられている。
また、天板部23には、培養バッグ10の厚みを計測可能な測長センサ233が備えられている。
また、押圧装置20には、培養バッグ10を架台21に対して押圧する押圧部材24が備えられ、押圧部材24には、培養バッグ10に接する押圧板244が備えられている。
押圧部材24の上面側の四隅には天板部23のマグネット231に対面するようにマグネット241が備えられている。マグネット231とマグネット241が互いに反発し合うことで、押圧部材24が培養バッグ10を架台21に対して押圧できるようになっている。
なお、押圧部材24により培養バッグ10を押圧する手段は、これに限定されるものではなく、バネなどの付勢手段を用いたり、あるいは押圧部材24の自重により培養バッグ10を押圧する構成としてもよい。
また、押圧部材24の四隅には、天板部23のガイドピン232を移動可能に挿入するためのガイド孔242(貫通孔)が形成されており、ガイドピン232に沿って押圧部材24が上下に移動可能になっている。
さらに、このガイド孔242の直径をガイドピン232の直径に対して幅広に設定することにより、後述するように押圧部材24を架台21に対して傾斜可能にすることができるようになっている。
また、押圧部材24の上面側において、天板部23の測長センサ233に対面するように金属部材243が備えられている。測長センサ233がこの金属部材243までの距離を測定し、その測定結果にもとづいて、測長センサ233に接続される制御装置により培養バッグ10の厚みや培養バッグ10内の厚みを算出できるようになっている。
なお、測長センサ233と金属部材243の配置はこれに限定されず、培養バッグ10の厚み又は培養バッグ10内の厚みを直接測定可能な配置にすることもできる。
ここで、本実施形態の培養システムは、図1に示すように、培養バッグ10(10-1, 10-2, 10-3)と、押圧装置20(20-1, 20-2, 20-3)と、制御装置30を有する他、培地容器41、洗浄液容器42、剥離液容器43、及び気体容器44が、各培養バッグ10のポート12にチューブを介して連通して備えられている。また、廃液容器45と他の培養バッグ10が、各培養バッグ10のポート13にチューブを介して連通して備えられている。
気体容器44としては、例えば空気が充填された容器とすることができる。また、その他の気体を供給可能な装置であってもよい。
そして、ポート12に接続されたチューブに配設された第一の移送部(51, 53, 55)によって、培地容器41から各培養バッグ10に培地1を供給することができる。また、第一の移送部によって、気体容器44から各培養バッグ10に気体3を供給することもできるようになっている。
また、ポート13に接続されたチューブに配設された第二の移送部(52, 54, 56)によって、培養バッグ10から他の培養バッグ10に気体3や培地1を移送したり、これらを廃液容器45に排出したりすることが可能になっている。
さらに、図4に示すように、培養バッグ10を押圧部材24により押圧した状態で、第一の移送部によって気体容器44から培養バッグ10に気体3を注入して、培養バッグ10内の培地1と細胞2をポート13側に移動させることができるようになっている。
このとき、第一の移送部を作動させて気体容器44から培養バッグ10に気体3を注入した後、第一の移送部を停止し、次に第二の移送部を作動させて培養バッグ10から培地1を排出することによって、培養バッグ10内の培地1と細胞2をポート13側に移動させることができる。
また、第一の移送部を作動させて気体容器44から培養バッグ10に気体3を注入しながら、第二の移送部を作動させて培養バッグ10から培地1を排出することによって、培養バッグ10内の培地1と細胞2をポート13側に移動させることもできる。
そして、ポート13を介して培養バッグ10から培地1と細胞2を他の培養バッグ10に移送させることができる。
このとき、移送後の他の培養バッグ10内には、元々バッグ内に存在していた空気と、培養バッグ10と他の培養バッグ10を連通するチューブ内に存在していた空気等が含まれている。
そこで、本実施形態の培養システムでは、他の培養バッグ10内の気泡の量を算出して、この気泡を他の容器に排出することを可能にしている。
すなわち、本実施形態の培養システムにおける制御装置30が、他の培養バッグ10の底面積と、測長センサSにより測定される距離から得られる他の培養バッグ10内の厚みを乗算した体積と、他の培養バッグ10に注入された内容液の液量との差分を気泡の量として算出する。
そして、他の培養バッグ10と培養関連容器とを連通するチューブに配設された移送部が、制御装置30から入力した気泡の量にもとづいて、気泡を他の培養バッグ10から気体容器44や他の培養関連容器などに排出することができる。
これにより、本実施形態の培養システムによれば、他の培養バッグ10による培養の開始時にあたり、他の培養バッグ10をその内部に気泡が存在していない状態になるように、自動的に設定することが可能となっている。
また、本実施形態の培養システムにおいて、気泡を培養バッグ10から培養関連容器に排出するにあたっては、培養バッグ10の排出用のポートが上側になるように、培養バッグ10の上面を傾斜させるか、又は培養バッグ10を傾斜させることが好ましい。
このようにすれば、培養バッグ10の排出用のポートに気泡を集めて効率的に排出することができるためである。
次に、図5及び図6を参照して、このような培養バッグ10の上面を傾斜させる構成について説明する。
本実施形態の培養システムを、培養バッグ10の上面を傾斜させる傾斜機構25を備え、培養バッグ10における気泡が排出される側のポートが上側になるように、傾斜機構により培養バッグの上面が傾斜された状態で、気泡を培養バッグから排出する構成とすることが好ましい。
なお、培養バッグ10に対して空気が注入される側のポートが上側になるように、傾斜機構により培養バッグの上面が傾斜された状態で、空気を培養バッグに注入する構成とすることも好ましい。
すなわち、図5に示すように、本実施形態の培養システムにおける押圧装置20は、傾斜機構25をさらに備えている。
この傾斜機構25は、ソレノイドシリンダを用いて構成されており、ロッド251が備えられ、ブラケット252を介して天板部23に固定されている。
傾斜機構25は、ON(ロッドが出る)状態とOFF(ロッドが出ていない)状態にすることができ、押圧部材24を下げる側の傾斜機構25のみをON状態にすることにより、押圧部材24により押圧された培養バッグ10の上面を傾斜させることができる。
図5において、左側の傾斜機構25をのみをON状態にすることで、培養バッグ10のポート13側が上側になり、ポート12側が下側になるように、培養バッグ10の上面を傾斜させることが可能である。また、右側の傾斜機構25をのみをON状態にすることで、培養バッグ10のポート12側が上側になり、ポート13側が下側になるように、培養バッグ10の上面を傾斜させることも可能である。
図5では、傾斜機構25を2つ備えることにより、培養バッグ10の上面を左右のいずれの側にも傾斜可能にしているが、いずれか一方の傾斜機構25をのみを備える構成としてもよい。
また、本実施形態の培養システムにおいて、培養バッグ10を押圧部材24により下側から押圧する構成として、傾斜機構25により培養バッグ10の下面を傾斜させる構成とすることも可能である。
さらに、本実施形態の培養システムにおける傾斜機構は、ソレノイドシリンダを用いるものに限定されず、例えばカムやエアシリンダ、又は直動系アクチュエータなどその他の機構で構成することも可能である。
また、本実施形態の培養システムは、培養バッグ10を傾斜させる他の傾斜機構を備え、培養バッグ10における気泡が排出される側のポート13が上側になるように、他の傾斜機構により培養バッグ10が傾斜された状態で、気泡を培養バッグから排出する構成とすることも好ましい。
なお、培養バッグ10に対して空気が注入される側のポートが上側になるように、他の傾斜機構により培養バッグ10が傾斜された状態で、空気を培養バッグに注入する構成とすることも好ましい。
すなわち、上記の例では、本実施形態の培養システムにより、培養バッグ10の上面を傾斜させることについて説明したが、培養バッグ10を押圧装置20により押圧した状態で、押圧装置20ごと培養バッグ10を傾斜させることも可能である。
この場合は、例えば押圧部材24の架台21の裏面から傾斜機構25によって、培養バッグ10のポート13側が上側になり、ポート12側が下側になるように、あるいは培養バッグ10のポート12側が上側になり、ポート13側が下側になるように、培養バッグ10を傾斜させることが可能である。
さらに、本実施形態の培養システムにおいて、傾斜機構25を培養バッグ10に対する衝撃付与機構25として用いることもできる。
すなわち、衝撃付与機構25は、ロッド251により押圧部材24を打撃することで、押圧部材24を架台21に対して傾斜させることができる。
これにより、本実施形態の培養システムによって接着細胞を培養する場合、押圧部材24と架台21に挟持されて押圧された培養バッグ10に激しい衝撃を与えることができ、培養バッグ10の培養面から接着細胞を剥離してバラバラにし、シングルセルにすることが可能となる。
次に、図7を参照して、本実施形態の培養システムにおける制御装置について説明する。図7は、本実施形態に係る培養システムにおける傾斜機構(ソレノイドシリンダ型)の制御装置を示す模式図であるが、傾斜機構としてカムやエアシリンダなどの他の機構を用いる場合にも同様に適用することが可能である。
図7に示すように、制御装置30(制御ユニット)は、入出力部31、制御部32、操作部33、及び電源部34を有するものとすることができる。
入出力部31は、押圧装置20における測長センサ233と、傾斜機構25に接続されている。そして、測長センサ233からの入力情報を制御部32に出力する。また、制御部32からの入力情報を傾斜機構25に出力する。
制御部32は、PLC(progrmmble logic controller,プログラマブルロジックコントローラ)などにより構成され、所望の制御内容を予めプログラミングして記憶させ、これにもとづいて各部の動作を制御することができる。
すなわち、制御部32は、傾斜機構25を制御するための情報を所定のタイミングで入出力部31を介して傾斜機構25に送信して、その動作を制御することができる。
また、制御部32は、測長センサ233からの入力情報にもとづき培養バッグ10の厚みや培養バッグ10内の厚みを算出することができる。
操作部33は、タッチパネルなどの表示部を備え、ユーザによる入力情報を制御部32に送信してPLCの設定などを実行する。また、制御部32からの入力情報を表示する。
電源部34(安定化電源など)は、制御装置30内の各部に電気を供給する。
また、図示しないが、制御装置30において、さらに継電部(リレー)や配線遮断部(ブレーカー)を備えた構成とすることができる。また、制御装置30における制御部32や操作部33などの一部又は全部の構成をマイコンやコンピュータなどの情報処理装置により実現してもよい。
本実施形態の培養システムは、図1に示すように、押圧装置20(20-1, 20-2, 20-3)を複数備え、それぞれの押圧装置20に載置された培養バッグ10(10-1, 10-2, 10-3)がチューブを介して並列して連通された構成とすることが好ましい。
具体的には、第一の押圧装置20-1に第一の培養バッグ10-1を載置し、第二の押圧装置20-2に第二の培養バッグ10-2を載置し、第三の押圧装置20-3に第三の培養バッグ10-3を載置して、各培養バッグに備えられたポートをチューブを用いて並列に連通させた構成とすることが好ましい。また、各培養バッグのポートに接続されたチューブには、それぞれポンプなどの移送部51~56を配設することが好ましい。
本実施形態の培養システムには、培地容器41、洗浄液容器42、剥離液容器43、及び気体容器44が備えられ、それぞれがバルブなどの開閉部61~64を介して、各培養バッグ10に連通されている。また、廃液容器45もバルブなどの開閉部65を介して、各培養バッグ10に連通されている。
また、制御装置30の入出力部31を各ポンプとバルブに接続して、制御部32からの情報にもとづいて、これらのポンプとバルブの動作を制御することが好ましい。なお、図1において、入出力部31と各バルブとの接続の記載は省略している。
ポンプとしては、特に限定されないが、例えばチューブポンプなどを好適に用いることができる。また、バルブも特に限定されないが、例えばピンチバルブなどを好適に用いることができる。
これにより、測長センサSからの入力情報にもとづいて、ポンプとバルブの動作を制御することができ、内容液が充填された各培養バッグが架台21と押圧部材24の間に平行に挟持された状態において培養バッグのバッグ厚を一定に保った状態で、内容液を各培養バッグ間で送液することなどが可能となる。
次に、図1を参照して、本実施形態の培養システムによって自動で継代培養を行う場合について詳細に説明する。
本実施形態の培養システムは、培養バッグと第二の培養バッグ(及び第三の培養バッグ)をチューブで連通して備え、第二の培養バッグの厚みを計測する第二のバッグ厚計測部を備え、培養バッグの内容液を培養バッグから第二の培養バッグに移送した後、培養バッグから第二の培養バッグに注入された内容液の液量と、第二のバッグ厚計測部により計測された第二の培養バッグの厚みにもとづいて、第二の培養バッグに存在する気泡の量を算出し、第二の培養バッグ内の気泡を第二の培養バッグから培養バッグ、培養関連容器、又は他の培養関連容器に排出することが好ましい。
具体的には、以下の例において、培養バッグとして底面積(培養面積)が50cm2のものを3個使用して、iPS細胞を接着培養することを想定し、また培養バッグを押圧装置により押圧して、培養バッグの厚みを一定にして培養することを想定して説明する。
(1a)第一の培養バッグによる培養終了時の動作
まず、培養バッグ10-1を用いてiPS細胞の接着培養が終了したとき、バッグ内の培地量が20ml(バッグ内の厚み4mm)であったとする。なお、以降において、バッグ内の厚みを、バッグ厚と称する場合がある。
次に、培養バッグ10-1から廃液容器45に培地を17.5ml排出して、バッグ内の培地量を2.5ml(バッグ厚0.5mm)にする。
(2a)PBS洗浄
次に、培養バッグ10-1のバッグ厚を0.5mmに保った状態で、リン酸緩衝液(PBS)を培養バッグ10-1に送液速度30ml/分で20秒間置換送液を行う。
このとき、PBSを洗浄液容器42から培養バッグ10-1に送液しつつ、培養バッグ10-1から廃液容器45にPBSを排出する。以下のPBS洗浄についても同様である。
(3a)剥離液充填
次に、培養バッグ10-1のバッグ厚を0.5mmに保った状態で、剥離液を培養バッグ10-1に送液速度30ml/分で20秒間置換送液を行って、培養バッグ10-1に剥離液を充填する。
このとき、剥離液を剥離液容器43から培養バッグ10-1に送液しつつ、培養バッグ10-1から廃液容器45に剥離液を排出する。そして、37℃で10分間放置する。
(4a)剥離液排出、PBS洗浄
次に、培養バッグ10-1から廃液容器45に剥離液を1.5ml排出して、バッグ内のバッグ厚を0.2mm(剥離液1ml)にする。
そして、培養バッグ10-1のバッグ厚を0.2mmに保った状態で、PBSを培養バッグ10-1に送液速度30ml/分で20秒間置換送液を行う。
(5a)空気注入
次に、気体容器44から培養バッグ10-1に空気を注入する。これにより、気体容器44と培養バッグ10-1を連通する経路におけるチューブ内に溜まったPBSは、全て培養バッグ10-1に移送される。
また、PBSは、培養バッグ10-1内において空気に押されて、注入ポートと対向して培養バッグ10-1に備えられている排出ポート側に集まる状態となる。
次に、排出ポート側のチューブに配設されたポンプを作動させて、PBSと空気を廃液容器45に排出する。
これによって、培養バッグ10-1内は空気だけが存在する状態となり、バッグ厚が0.2mmになるまで空気を廃液容器45に排出する。
(6a)培地充填
次に、培地容器41から培養バッグ10-1に培地を10ml送液する。このとき、培養バッグ10-1の注入ポート側のポンプの送液速度を10ml/分とし、1分間送液を行う。これにより、培養バッグ10-1内には、空気と培地が含まれており、バッグ厚が2.1mmとなっていたとする。
(7a)接着細胞の剥離
培養バッグ10-1のバッグ厚が2.1mmの状態で、押圧装置20-1の衝撃付与機構25により押圧部材に対して50回衝撃を付与して、細胞を培養バッグ10-1から剥離する。
(8a)空気再注入
次に、気体容器44から培養バッグ10-1に空気を注入する。これにより、気体容器44と培養バッグ10-1を連通する経路におけるチューブ内に溜まった培地は、全て培養バッグ10-1に移送される。
なお、この自動継代培養の説明では、培地容器41の近傍のチューブに溜まった培地の量は誤差として無視しているが、後述する自動分注の説明においては、チューブに溜まった培地等を考慮したより厳密な気泡量の算出とその排出の例を示している。
培地と剥離された細胞は、培養バッグ10-1内において空気に押されて、注入ポートと対向して培養バッグ10-1に備えられている排出ポート側に集まる状態となる。
このとき、培養バッグ10-1のバッグ厚は、培地と空気を合わせて3mmであったとする。また、制御装置30は、培養バッグ10-1に送液された培地量が10ml(バッグ厚2mm分)であることを記憶している。
(9a)第二の培養バッグへの細胞移送
次に、培養バッグ10-1の排出ポート側のチューブに配設されたポンプを動作させて、培養バッグ10-1内の培地と細胞、及び空気を培養バッグ10-2に移送する。このとき、培養バッグ10-1から培養バッグ10-2にバッグ厚で2.2ml分移送することにより、全ての培地と細胞、及び空気の一部が培養バッグ10-2に移送される。
すなわち、培養バッグ10-1内において細胞が浮遊している培地は、注入ポート側に溜まっている空気に押されて排出ポート側に集められた状態となる。そして、全ての培地と細胞が先に培養バッグ10-1から排出され、次いで培養バッグ10-1と培養バッグ10-2を連通するチューブ内に溜まっている細胞が浮遊している培地の全てを空気と共に培養バッグ10-2に移送させることができる。
このとき、培養バッグ10-2のバッグ厚は、培地とチューブ内に溜まっていた空気、及び培養バッグ10-2の使用前に内部に溜まっていた空気分を合わせて、バッグ厚が3.5mmであったとする。
(10a)第二の培養バッグからの空気排出
制御装置30は、培養バッグ10-2に送液された培地量は、培養バッグ10-1に送液された培地量と同じ10ml(バッグ厚2mm分)であることを記憶している。
したがって、制御装置30は、培養バッグ10-2のバッグ厚と、培養バッグ10-2に送液された培地量にもとづいて、培養バッグ10-2内の空気が1.5mm分(7.5ml分)であることを算出することができる。
そこで、制御装置30により、培養バッグ10-2と培養バッグ10-1を連通するチューブに配設されたポンプを制御して、培養バッグ10-2から培養が終了して使い終わった培養バッグ10-1に培養バッグ10-2のバッグ厚が2mmになるまで空気を排出する。
これによって、培養バッグ10-2に溜まっていた空気をすべて排出することができ、培養バッグ10-2は、全て培地で満たされて正常に培養が開始である状態が確保される。
(11a)その他の動作
同様に、第二の培養バッグ10-2を用いてiPS細胞の接着培養が終了した後、第三の培養バッグ10-3に培地と細胞を移送し、かつ培養バッグ10-3から空気を排出して、培養バッグ10-3を全て培地で満たされて正常に培養が開始である状態が確保することができる。
さらに、培養バッグ間で空気を移送する際には、空気を選択的に排出するために、排出ポート側が高くなるように押圧装置を傾斜させて行うことが望ましい。
なお、培養バッグに対して空気を注入する際には、注入ポート側が高くなるように押圧装置を傾斜させて行うことが望ましい。
このようにすれば、気泡が注入ポート側に集まり易く、排出ポートを介して培養バッグから培地を排出するにしたがって、注入ポート側から排出ポート側に向けて、気体と液体の界面が2つのポートを結ぶ直線に対して比較的垂直に近い形で進み易くなり、培養バッグから培地と細胞を効率的に排出することが可能となる。
次に、図8を参照して、本実施形態の培養システムによって自動で分注を行う場合の動作例について詳細に説明する。なお、図8では制御装置30を省略しているが、図1に示す培養システムと同様に、測長センサSからの入力情報にもとづいて、ポンプとバルブの動作を制御することが可能である。
本実施形態の培養システムは、培養バッグと1つ以上の他の培養バッグをチューブで連通して備え、他の培養バッグの厚みを計測する他のバッグ厚計測部を備え、培地関連容器の内容液を培地関連容器から培養バッグと他の培養バッグに移送した後、培地関連容器から培養バッグと他の培養バッグに注入された内容液の液量と、バッグ厚計測部と他のバッグ厚計測部により計測された培養バッグと他の培養バッグの厚みにもとづいて培養バッグと他の培養バッグに存在する気泡の量をそれぞれ算出し、培養バッグと他の培養バッグ内の気泡を培養バッグと他の培養バッグから培養関連容器又は他の培養関連容器に排出することが好ましい。
具体的には、以下の例において、培養バッグとして底面積(培養面積)が50cm2のものを3個使用して、それぞれに細胞懸濁液と培地を均等に分注することを想定し、また培養バッグを押圧装置により押圧して、培養バッグの厚みを一定にして移送を行うことを想定して説明する。
また、図8において、細胞懸濁液容器46には培地9mlに30万個の細胞が懸濁されており、培地容器41には新培地21mlが充填されており、気体容器44には空気が充填されているとする。
また、細胞懸濁液容器46と培地容器41と気体容器44のチューブの交差点をCとし、細胞懸濁液容器46と交差点Cを連通するチューブの部分をt1、培地容器41と交差点Cを連通するチューブの部分をt2、気体容器44と交差点Cを連通するチューブの部分をt3とする。
さらに、培養バッグ10-1と交差点Cを連通するチューブの部分をt11、培養バッグ10-2と交差点Cを連通するチューブの部分をt12、培養バッグ10-3と交差点Cを連通するチューブの部分をt13とする。
(1b)第一の培養バッグ10-1への細胞懸濁液の充填
まず、培養バッグ10-1に細胞懸濁液容器46から細胞懸濁液を3ml送液する。このとき、例えば9ml/分の送液速度で20秒間送液を行う。
(2b)第一の培養バッグ10-1への培地の充填
次に、培養バッグ10-1に培地容器41から新培地を7ml送液し、追加充填を行う。このとき、チューブt11内に溜まった細胞懸濁液が、新培地よりも先に培養バッグ10-1に移送される。チューブt1内には、細胞懸濁液が溜まっている。
(3b)第一の培養バッグ10-1への空気の充填
次に、培養バッグ10-1に気体容器44から空気を3ml注入する。このとき、チューブt11内に溜まった新培地が、空気よりも先に培養バッグ10-1に移送される。チューブt2内には、新培地が溜まっている。
このとき、チューブt11内とチューブt3内は全て空気となっており、培養バッグ10-1のバッグ厚は、移送した細胞懸濁液、新培地、及び空気と、元々チューブ内に溜まっていた空気、使用前の培養バッグ10-1に入っていた空気分を合わせて、3mm(15ml分)を示していたとする。
(4b)第二の培養バッグ10-2への細胞懸濁液の充填
次に、培養バッグ10-2に細胞懸濁液容器46から細胞懸濁液を3ml送液する。このとき、例えば9ml/分の送液速度で20秒間送液を行う。
(5b)第二の培養バッグ10-2への培地の充填
次に、培養バッグ10-2に培地容器41から新培地を7ml送液し、追加充填を行う。このとき、チューブt12内に溜まった細胞懸濁液が、新培地よりも先に培養バッグ10-2に移送される。チューブt1内には、細胞懸濁液が溜まっている。
(6b)第二の培養バッグ10-2への空気の充填
次に、培養バッグ10-2に気体容器44から空気を3ml注入する。このとき、チューブt12内に溜まった新培地が、空気よりも先に培養バッグ10-2に移送される。チューブt2内には、新培地が溜まっている。
このとき、チューブt12内とチューブt3内は全て空気となっており、培養バッグ10-2のバッグ厚は、移送した細胞懸濁液、新培地、及び空気と、元々チューブ内に溜まっていた空気、使用前の培養バッグ10-2に入っていた空気分を合わせて、2.8mm(14ml分)を示していたとする。
(7b)第三の培養バッグ10-3への細胞懸濁液の充填
次に、培養バッグ10-3に細胞懸濁液容器46から細胞懸濁液を3ml送液する。このとき、例えば9ml/分の送液速度で20秒間送液を行う。
(8b)第三の培養バッグ10-3への培地の充填
次に、培養バッグ10-3に培地容器41から新培地を7ml送液し、追加充填を行う。このとき、チューブt13内に溜まった細胞懸濁液が、新培地よりも先に培養バッグ10-3に移送される。チューブt1内には、細胞懸濁液が溜まっている。
(9b)第三の培養バッグ10-3への空気の充填
次に、培養バッグ10-3に気体容器44から空気を3ml注入する。このとき、チューブt13内に溜まった新培地が、空気よりも先に培養バッグ10-3に移送される。チューブt2内には、新培地が溜まっている。
このとき、チューブt13内とチューブt3内は全て空気となっており、培養バッグ10-3のバッグ厚は、移送した細胞懸濁液、新培地、及び空気と、元々チューブ内に溜まっていた空気、使用前の培養バッグ10-3に入っていた空気分を合わせて、3.2mm(16ml分)を示していたとする。
(10b)培養バッグにおける空気量の算出
培養バッグ10-1,10-2,10-3に移送された細胞懸濁液と新培地の量は、10ml(3ml+7ml)からチューブt1に溜まっている細胞懸濁液の量(t1ml)とチューブt2に溜まっている新培地の量(t2ml)を引いた量であり、これをT(=10-t1-t2)mlとする。
培養バッグ10-1,10-2,10-3への空気充填後のバッグ厚は、それぞれ3mm(15ml分)、2.8mm(14ml分)、3.2mm(16ml分)を示していた。
そこで、培養バッグ10-1,10-2,10-3内の空気量は、それぞれ15-T、14-T、16-T(ml)と算出される。
このように、培養バッグに注入された内容液の液量については、チューブ内に溜まった内容液の量を考慮し補正して使用することが可能である。
(11b)培養バッグからの空気の排出
次に、培養バッグ10-1から気体容器44に空気を15-T(ml)排出する。また、培養バッグ10-2から気体容器44に空気を14-T(ml)排出する。さらに、培養バッグ10-3から気体容器44に空気を16-T(ml)排出する。
これにより、各培養バッグに細胞懸濁液と新培地を自動分注し、かつ気泡が存在しない状態にセットすることが可能になる。
(12b)その他の動作
また、バッグ間で空気を移送する際に、空気を選択的に排出するために、空気を排出するポート側が高くなるように押圧装置を傾斜させてポンプを作動させることが望ましいことは、自動継代の場合と同様である。
上記の例では、培養バッグごとに細胞懸濁液と新培地と空気を順に注入したが、各培養バッグに細胞懸濁液を注入した後、各培養バッグに新培地を注入し、その後各培養バッグに空気を注入する場合も同様に適用することができる。
さらに、各培養バッグ10-3から気体容器44以外の容器(細胞懸濁液容器46や培地容器41)等に空気を排出してもよい。
以上説明したように、本実施形態の培養システムによれば、制御装置が、培養バッグのバッグ厚と、培養バッグに送液された培地量にもとづいて、培養バッグ内の空気量を算出することができる。そして、算出された量の空気を培養バッグから排出することで、培養バッグ内を気泡が存在していない状態に自動的に設定することが可能である。
[培養バッグの気泡制御方法]
本実施形態の培養バッグの気泡制御方法は、培養バッグと培養関連容器をチューブで連通して備えた培養システムにおける培養バッグの気泡制御方法であって、培養システムが、培養バッグの厚みを計測するバッグ厚計測部を備え、培養関連容器から培養バッグに注入した内容液の液量と、バッグ厚計測部により計測された培養バッグの厚みにもとづいて、培養バッグに存在する気泡の量を算出することを特徴とする。
具体的には、図1に示すように、バッグ厚計測部が、培養バッグ10(10-1, 10-2, 10-3)を押圧する押圧装置20(20-1, 20-2, 20-3)と、押圧装置20により押圧された培養バッグ10の厚みを計測可能な測長センサS(S1, S2, S3)と、測長センサSにより測定される距離にもとづき気泡の量を算出する制御装置30とを有し、制御装置30が、培養バッグ10の底面積と上記の距離から得られる培養バッグ10内の厚みを乗算した体積と内容液の液量との差分を気泡の量として算出する。
そして、培養バッグ10と培養関連容器とを連通する前記チューブに移送部が配設され、この移送部が、制御装置30から入力した前記気泡の量にもとづいて、気泡を培養バッグ10から培養関連容器又は他の培養関連容器に排出する。
このような本実施形態の培養バッグの気泡制御方法によれば、培養バッグに注入した内容液の液量と、バッグ厚計測部により計測された培養バッグの厚みにもとづいて、培養バッグに存在する気泡の量を算出することができる。
このため、培養バッグを用いた培養システムにおいて、培養バッグ内を気泡が存在していない状態に容易に設定することが可能になっている。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、傾斜機構として他の手段を用いたり、使用する培養バッグの個数や培養関連容器の種類を異なるものにしたりするなど適宜変更することが可能である。
本発明は、培養バッグを用いて細胞を自動的に大量培養する場合などに好適に利用することが可能である。
1 培地
2 細胞
3 空気
10,10-1~10-3 培養バッグ
11 培養面
12 ポート
20,20-1~20-3 押圧装置
21 架台
22 天板支持部
23 天板部
231 マグネット
232 ガイドピン
233,S,S1~S3 測長センサ
24 押圧部材
241 マグネット
242 ガイド孔
243 金属部材
244 押圧板
25 傾斜機構(衝撃付与機構)
251 ロッド
252 ブラケット
30 制御装置
31 入出力部
32 制御部
33 操作部
34 電源部
41 培地容器(培地供給容器)
42 洗浄液容器(洗浄液供給容器)
43 剥離液容器(剥離液供給容器)
44 気体容器(気体供給容器)
45 廃液容器
46 細胞懸濁液容器(細胞懸濁液供給容器)
51~56 ポンプ(移送部)
61~65 バルブ(開閉部)

Claims (12)

  1. 培養バッグと培養関連容器をチューブで連通して備えた培養システムであって、
    前記培養バッグの厚みを計測するバッグ厚計測部を備え、
    前記培養関連容器から前記培養バッグに注入された内容液の液量と、前記バッグ厚計測部により計測された前記培養バッグの厚みにもとづいて、前記培養バッグに存在する気泡の量を算出する
    ことを特徴とする培養システム。
  2. 前記バッグ厚計測部が、前記培養バッグを押圧する押圧装置と、前記押圧装置により押圧された前記培養バッグの厚みを計測可能な測長センサと、前記測長センサにより測定される距離にもとづき前記気泡の量を算出する制御装置とを有し、
    前記制御装置が、前記培養バッグの底面積と前記距離から得られる培養バッグ内の厚みを乗算した体積と前記内容液の液量との差分を前記気泡の量として算出する
    ことを特徴とする請求項1記載の培養システム。
  3. 前記培養バッグと前記培養関連容器とを連通する前記チューブに移送部が配設され、
    前記移送部が、前記制御装置から入力した前記気泡の量にもとづいて、前記気泡を前記培養バッグから前記培養関連容器又は他の培養関連容器に排出する
    ことを特徴とする請求項2記載の培養システム。
  4. 前記培養関連容器が、培地容器又は細胞懸濁液容器であることを特徴とする請求項3記載の培養システム。
  5. 前記他の培養関連容器が、洗浄液容器、剥離液容器、気体容器、又は廃液容器であることを特徴とする請求項3記載の培養システム。
  6. 前記培養バッグと第二の培養バッグをチューブで連通して備え、
    前記第二の培養バッグの厚みを計測する第二のバッグ厚計測部を備え、
    前記培養バッグの内容液を前記培養バッグから前記第二の培養バッグに移送した後、
    前記培養バッグから前記第二の培養バッグに注入された内容液の液量と、前記第二のバッグ厚計測部により計測された前記第二の培養バッグの厚みにもとづいて、前記第二の培養バッグに存在する気泡の量を算出し、
    前記第二の培養バッグ内の気泡を前記第二の培養バッグから前記培養バッグ、前記培養関連容器、又は前記他の培養関連容器に排出する
    ことを特徴とする請求項3記載の培養システム。
  7. 前記培養バッグと1つ以上の他の培養バッグをチューブで連通して備え、
    前記他の培養バッグの厚みを計測する他のバッグ厚計測部を備え、
    前記培地関連容器の内容液を前記培地関連容器から前記培養バッグと前記他の培養バッグに移送した後、
    前記培地関連容器から前記培養バッグと前記他の培養バッグに注入された内容液の液量と、前記バッグ厚計測部と前記他のバッグ厚計測部により計測された前記培養バッグと前記他の培養バッグの厚みにもとづいて前記培養バッグと前記他の培養バッグに存在する気泡の量をそれぞれ算出し、
    前記培養バッグと前記他の培養バッグ内の気泡を前記培養バッグと前記他の培養バッグから前記培養関連容器又は前記他の培養関連容器に排出する
    ことを特徴とする請求項3記載の培養システム。
  8. 前記培養バッグの上面を傾斜させる傾斜機構を備え、
    前記培養バッグにおける前記気泡が排出される側のポートが上側になるように、前記傾斜機構により前記培養バッグの上面が傾斜された状態で、前記気泡を前記培養バッグから排出する
    ことを特徴とする請求項3記載の培養システム。
  9. 前記培養バッグを傾斜させる他の傾斜機構を備え、
    前記培養バッグにおける前記気泡が排出される側のポートが上側になるように、前記他の傾斜機構により前記培養バッグが傾斜された状態で、前記気泡を前記培養バッグから排出する
    ことを特徴とする請求項3記載の培養システム。
  10. 培養バッグと培養関連容器をチューブで連通して備えた培養システムにおける培養バッグの気泡制御方法であって、
    前記培養システムが、前記培養バッグの厚みを計測するバッグ厚計測部を備え、
    前記培養関連容器から前記培養バッグに注入した内容液の液量と、前記バッグ厚計測部により計測された前記培養バッグの厚みにもとづいて、前記培養バッグに存在する気泡の量を算出する
    ことを特徴とする培養バッグの気泡制御方法。
  11. 前記バッグ厚計測部が、前記培養バッグを押圧する押圧装置と、前記押圧装置により押圧された前記培養バッグの厚みを計測可能な測長センサと、前記測長センサにより測定された距離にもとづき前記気泡の量を算出する制御装置とを有し、
    前記制御装置が、前記培養バッグの底面積と前記距離を乗算した体積と前記内容液の液量との差分を前記気泡の量として算出する
    ことを特徴とする請求項10記載の培養バッグの気泡制御方法。
  12. 前記培養バッグと前記培養関連容器とを連通する前記チューブに移送部が配設され、
    前記移送部が、前記制御装置から入力した前記気泡の量にもとづいて、前記気泡を前記培養バッグから前記培養関連容器又は他の培養関連容器に排出する
    ことを特徴とする請求項11記載の培養バッグの気泡制御方法。
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