JP2019000045A - 細胞培養方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、培地の排出又は注入を行う間、培地の厚さが均一であるので、培地の厚さむらによる流速むらの発生が抑制される。その結果、局所的に大きい培地流速の発生が抑制されるので、細胞の流動防止が図られる。
また、例えば、下面フィルムに複数の凹部を設けた細胞培養バッグでスフェロイド培養している場合においても、培地交換の際に、局所的な流速の増大による、凹部内のスフェロイド細胞の流動、特に、他の凹部4への移動が防止される。
まず、実施形態に係る細胞培養装置の説明に先立ち、図1を参照して、第1〜第3実施形態で使用する細胞培養バッグを説明する。図1(a)〜図1(c)に示す細胞培養バッグ1は、重ね合わせて周辺部20をヒートシールした上面フィルム21及び下面フィルム22から構成されたバッグ本体2と、このバッグ本体2に取り付けられたポート3とを備えている。バッグ本体2の大きさは特に限定されないが、例えば、縦50〜500mm、横50〜500mmとするのが好ましい。
なお、図1を含む各図において、ポート3に接続されたチューブ等の流路、及び、流路を閉塞するピンチ又はバルブ等の閉塞手段の図示を省略する。
また、凹部4の配列は、図1(c)に示すように千鳥状として、下面フィルム22に占める凹部4の占有面積ができるだけ大きくなるようにするのが好ましいが、必要に応じて格子状に配列してもよい。
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る細胞培養方法及び装置を説明する。図2は、第1実施形態に係る細胞培養装置100の断面模式図あり、図2(a)は押圧部材が上がった状態を示し、図2(b)は押圧部材が下がった状態を示す。
本実施形態の細胞培養装置100は、細胞培養バッグ1が載置される架台5と、上面フィルム21のうち天面部分21a分を押圧する底面6aを有する押圧部材6と、押圧部材6を支持する支持機構7とを備えている。さらに、本実施形態の細胞培養装置100は、ポート3に接続したポンプ等の注入排出手段(図示せず)を備えている。
なお、複数の凹部4の各々を受け入れる形状は、開口部に限定されず、例えば、凹部であってもよいし、金網状であってもよい。
押圧部材6は、例えば、ポリカーボネートのような合成樹脂で形成してもよいし、ガラスで形成してもよい。また、押圧部材6は、細胞培養の進行状況や細胞の状態などを確認できるように、一部又は全部が透明性を有しているのが好ましい。
これにより培地を注入する際には、押圧部材6が上面フィルム21を押圧したまま、ポート3に接続した注入排出手段によりポート3から培地Sが注入される。また、培地を排出する際にも、押圧部材6が上面フィルム21を押圧したまま、注入排出手段によりポート3から培地Sが排出される。
なお、付勢手段73は、永久磁石に限定されない。また、付勢手段73を省略し、押圧部材6の自重により、押圧部材6を上面フィルム21の高さに従って上下に移動させてもよい。
また、培地排出時には、上面フィルム21の天面部分21aが、実質的に全域で一斉に下面フィルム22の凹部4の周囲と接触することになるため、細胞培養バッグ1の内部が分断されない。このため、細胞培養バッグ1内に取り残される残留培地が低減するので、培地の交換効率が向上する。
このように、培地交換時に、細胞Cの凹部4からの流出を防止して均一な細胞濃度を維持しつつ、残留培地を低減して培地Sの交換効率が向上するため、細胞の培養・分化誘導効率を向上させることができる。
また、各凹部4内に細胞Cが閉じ込められているので、ポート3を不図示のバルブなどで閉鎖して細胞培養装置100または培養バッグ1をCO2インキュベータから取り出し、傾けたり、振動、衝撃が加わるような操作、例えば、異なる細胞処理区画への移送などを行ったりしたとしても、細胞Cが凹部4から流出しない。これにより、各凹部4に一つずつ形成された細胞スフェロイドCを、他の凹部4の細胞スフェロイドCから分離したまま、各凹部4の細胞スフェロイドCを一度に輸送することができる。
また、下降した押圧部材6が立ち上がり部分21bを踏みつけることを回避するためには、押圧部材6は、底面部6aが立ち上がり部分21bよりも内側の範囲でのみ天面部分21aと接触する寸法形状であればよく、押圧部材6の上部が立ち上がり部分21bよりも外側に張り出していてもよい。
次に、図5を参照して、第2実施形態の細胞培養方法及び帯装置を説明する。本実施形態の細胞培養装置の構造は、押圧部材60の形状を除き、図1に示した第1実施形態のものと同じである。なお、図5では、図1に示した支持機構7の図示を省略している。
図5(a)に示すように、押圧部材60の底面60aは、複数の凹部4の周縁に対応する位置に、平面部61を有し、かつ、複数の凹部4に対応する位置に、平面部61から突出した突起部62を有する。
なお、凹部4内の細胞Cがダメージを受けることを回避するため、突起部62の平面部61に対する高さは、下面フィルム22の凹部4の深さよりも小さいことが好ましい。また、突起部62は、全ての凹部4に対応して設けられることが望ましいが、必ずしもすべての凹部4に対応して設けられなくてもよい。
次に、図6及び図7を参照して、第3実施形態の細胞培養方法及び装置を説明する。なお、図6では、図1に示した支持機構7の図示を省略する。
本実施形態の細胞培養装置の構造は、ポート3から培地Sの注入及び排出を行うときに、ポート3を通る培地Sの流量を制御する流量制御手段(図示せず)を除いて、第1実施形態のものと同じである。流量制御手段としては、例えば、ポート3にチューブを介して接続したペリスタポンプやシリンジポンプのようなポンプが低速で高精度な送液が可能なため好ましい。
なお、流量制御にあたっては、流量を段階的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。また、液厚に対する流量の具体的な数値は、バッグ本体2の形状、細胞Cの種類、及び凹部4の形状等に異なるため、実験的に求めるとよい。
例えば、ポート3に接続された流路の断面積を変化させることによって、流量を制御することもできる。具体的には、流路に可変バルブや絞り機構を設けるとよい。この場合、ポンプで吸引又は送出しながら、流路断面積を変化させることが好ましい。
また、ポート3に接続された流路に、メッシュやフィルタのような障害物を挿入することによって、流量を制御することもできる。
また、細胞培養装置を収納したインキュベータ等のチャンバ内の気圧と大気圧との圧力差を調整して、流量制御を行うこともできる。具体的には、培地Sを排出する際に、液厚が薄くなるに従ってチャンバ内の圧力を低下させて、ポート3から排出する培地Sの流量を小さくするとよい。一方、培地Sを注入する際には、液厚が厚くなるに従ってチャンバ内の圧力を上昇させて、ポート3から注入する培地Sの流量を大きくするとよい。この場合、ポート3には、ポンプ等の注入排出手段を接続してもよいし、接続しなくてよい。
図8を参照して、第4実施形態の細胞培養方法及び装置を説明する。
本実施形態で使用する平面培養用の細胞培養バッグ10は、下面フィルム22に凹部が形成されていない点を除いて、図1に示した細胞培養バッグ1と同一寸法、同一材料で形成されている。
図8(a)に示すように、架台5’の載置面5aは平坦面であり、凹部を受け入れる開口部が形成されていない。
このため、押圧部材6‘が下降すると、図8(b)中に円Bで示すように、押圧部材6’の底面6aが上面フィルム21の立ち上がり部分21bを踏みつける。その結果、押圧部材6’の底面6aと架台5’の載置面5aとの間に上面フィルム21の立ち上がり部分21bが挟まり、上面フィルム21が下面フィルム22と接触することが回避される。これにより、培地交換時に、上面フィルム21が下面フィルム22に接着している細胞と接触することが防止され、細胞の剥離が防止される。
2 バッグ本体
20 周辺部
21 上面フィルム
21a 天面部分
21b 立ち上がり部分
22 下面フィルム
3 ポート
4 凹部
5,5’ 架台
5a 載置面
5b 開口部
6,6’ 押圧部材
6a 底面
60 押圧部材
60a 底面
61 平面部
62 突起部
7 支持機構
71 フレーム
72 ガイドピン
73 永久磁石
100 細胞培養装置
C 細胞、スフェロイド
S 培地
S1 残留培地
Sa 培地の薄い領域
Sb 培地の厚い領域
Claims (13)
- 周辺部をシールした上面及び下面フィルムから構成されたバッグ本体と、前記バッグ本体に取り付けられたポートとを備え、細胞培養バッグを使用する細胞培養方法であって、
前記細胞培養バッグを架台の載置面に載置し、前記ポートから培地の注入又は排出を行う間、前記載置面と実質的に平行な底面を有する押圧部材で、前記上面フィルムを上方から押圧する
ことを特徴とする、細胞培養方法。 - 前記細胞培養バッグの前記下面フィルムに、複数の凹部が形成され、
前記培地の排出時に、前記上面フィルムが前記複数の凹部を閉塞するまで、前記押圧部材を下降させる
ことを特徴とする、請求項1記載の細胞培養方法。 - 前記上面フィルムは、前記天面部分と、前記天面部分の周囲に形成された立ち上がり部分とから構成された膨出形状を有し、
前記押圧部材の前記底面は、前記立ち上がり部分よりも内側の範囲で前記天面部分と接触して前記上面フィルムを押圧する
ことを特徴とする、請求項2記載の細胞培養方法。 - 前記押圧部材の前記底面は、前記複数の凹部の周縁に対応する位置に、平面部を有し、かつ、前記複数の凹部に対応する位置に、前記平面部から突出した突起部を有する
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の細胞培養方法。 - 前記押圧部材で前記上面フィルムを押圧しながら、前記ポートに接続した注入排出手段で前記ポートから培地を注入する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞培養方法。 - 前記ポートから前記培地を注入又は排出する際に、前記架台の前記載置面から前記押圧部材の前記底面までの高さが低いほど、前記ポートを通る前記培地の流量を小さくする
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞培養方法。 - 周辺部をシールした上面及び下面フィルムから構成されたバッグ本体と、前記バッグ本体に取り付けられたポートとを備えた細胞培養バッグを使用する細胞培養装置であって、
前記細胞培養バッグが載置される載置面を有する架台と、
前記載置面と実質的に平行な底面を有する押圧部材と
を備え、
前記ポートから培地の注入又は排出を行う間、前記押圧部材の前記底面が前記上面フィルムを上方から押圧する
ることを特徴とする、細胞培養装置。 - 前記細胞培養バッグの前記下面フィルムには、複数の凹部が形成され、
前記押圧部材が、前記上面フィルムの高さに従って上下に移動し、前記培地の排出時に、前記上面フィルムが前記複数の凹部を閉塞するまで下降するように、前記押圧部材を支持する支持機構を備える
ことを特徴とする、請求項7記載の細胞培養装置。 - 前記上面フィルムは、前記天面部分と、前記天面部分の周囲に形成された立ち上がり部分とから構成された膨出形状を有し、
前記押圧部材の前記底面は、前記立ち上がり部分よりも内側の範囲で前記天面部分と接触して前記上面フィルムを押圧する
ことを特徴とする、請求項8記載の細胞培養装置。 - 前記架台の前記載置面には、前記下面フィルムの前記複数の凹部に対応する位置に、前記複数の凹部を受け入れる複数の開口又は凹部が形成されている
ことを特徴とする、請求項8又は9のいずれか一項に記載の細胞培養装置。 - 前記押圧部材の前記底面は、前記複数の凹部の周縁に対応する位置に、平面部を有し、かつ、前記複数の凹部に対応する位置に、前記平面部から突出した突起部を有する
ことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の細胞培養装置。 - 前記ポートに接続した注入排出手段を備え、
前記押圧部材が前記上面フィルムを押圧したまま、前記注入排出手段は、前記ポートから前記培地を注入する
ことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載の細胞培養装置。 - 前記ポートから前記培地の注入及び排出を行うときに、前記ポートを通る前記培地の流量を制御する流量制御手段を備え、
前記流量制御手段は、前記架台の前記載置面から前記押圧部材の前記底面までの高さが低いほど、前記ポートを通る前記培地の流量が小さくなるように、流量制御を行う
ことを特徴とする、請求項7〜12のいずれか一項に記載の細胞培養装置。
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