JP7425128B2 - 複合化ガラス - Google Patents

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    • C03C4/00Compositions for glass with special properties
    • C03C4/02Compositions for glass with special properties for coloured glass

Description

本発明は、装飾品等に用いられる複合化ガラスに関する。
古くから、宝石のように強い光沢を有する材料は、装飾品として広く用いられている。強い光沢を有する材料は、表面で光を多く反射するため輝いて見える。すなわち、強い光沢を有する材料は、表面の反射率が大きい。ここで、表面の反射率が大きいほど、屈折率も大きくなる。したがって、屈折率の大きい材料は、宝石のような強い光沢を有し得る。
宝石の中では、ダイヤモンドをはじめとする透明性の高い宝石に強い光沢を有するものが多く存在する。一方で、着色して透明性の低い宝石に強い光沢を有するものは少ない。しかしながら、透明性の低い材料であっても、強い光沢を有するものは装飾性が高く有用である。さらに、宝石よりも加工性に優れ、安価に得られる材料であれば、有用性がより高くなる。
屈折率が大きく、宝石よりも加工性に優れ、安価に得られ、さらに着色できる材料としては、ガラスが挙げられる。ガラスを着色して透過率を低下させる方法は、特許文献1に開示されている。特許文献1では、P25-WO3系ガラス、P25-Nb25系ガラス、P25-TiO2系ガラスについて、高温下で非酸化性雰囲気に曝すことでガラスが着色すると開示されている。しかし、特許文献1において、厚さ2mmでもガラスの透過率は低くて60%程度である。したがって、より着色された、すなわち透過率のより低いガラスが求められている。
特開2002-201041号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、屈折率が大きい着色ガラスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)屈折率ndが1.75以上であり、
厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラス。
(2)屈折率ndが1.75以上であり、
Ti3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含む、ガラス。
(3)屈折率ndが1.75以上であり、
電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含むガラス。
(4)リン酸塩ガラスである、(1)~(3)のいずれかに記載のガラス。
(5)ガラス成分としてNbイオンを1カチオン%以上含有する、(1)~(4)のいずれかに記載のガラス。
(6)ガラス成分としてTiイオンを0.5カチオン%以上含有する、(1)~(5)のいずれかに記載のガラス。
(7)ガラス成分としてLi+およびNa+を合計で0.1カチオン%以上含有する、(1)~(6)のいずれかに記載のガラス。
(8)平均線膨張係数が50×10-7-1以上である、(1)~(7)のいずれかに記載のガラス。
(9)JOGISに基づく耐酸性が1等級である、(1)~(8)のいずれかに記載のガラス。
(10)結晶化した部分を含む、(1)~(9)のいずれかに記載のガラス。
(11)化学強化された部分を含む、(1)~(10)のいずれかに記載のガラス。
(12)金属材料およびセラミックスのいずれか一方または両方と、(1)~(11)のいずれかに記載のガラスとを含む、複合化ガラス。
(13)成形したガラスを還元性雰囲気で熱処理する工程を含む、
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラスの製造方法。
(14)還元性雰囲気で熔融ガラスを得る工程を含む、
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラスの製造方法。
(15)熔融雰囲気に水蒸気を付加する工程を含む、
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラスの製造方法。
本発明の実施形態に係るガラスについて、波長400~760nmでの透過率の一例を示したものである。 本発明の実施形態に係るガラスについて、波長400~760nmでの透過率の一例を示したものである。 本発明の実施形態に係るガラスについて、波長400~760nmでの透過率の一例を示したものである。 本発明の実施形態に係るガラスについて、波長400~760nmでの透過率の一例を示したものである。 本発明の実施形態に係るガラスについて、波長400~2500nmでの透過率の一例を示したものである。グラフは、上から順に、熔融工程において雰囲気制御無し(比較例4-1)、0.1wt%アルコール添加(実施例4-1)、0.3wt%アルコール添加(実施例4-2)、0.5wt%アルコール添加(実施例4-3)、5wt%アルコール添加(実施例4-4)の場合を示す。 本発明の実施形態において、ガラスに電圧を印加するための装置の一例を模式図で示したものである。 本発明の実施形態に係るガラスにおいて、部分的に脱色した場合の一例を示したものである。 本発明の実施形態に係るガラスにおいて、脱色部分および非脱色部分の透過率の一例を示したものである。実線のグラフは、上から順に、脱色後(脱色部分)、脱色前(非脱色部分)を示す。 本発明の実施形態に係るガラスにおいて、脱色部分と非脱色部分との境界の断面の一例を写真で示したものである。 本発明の実施形態に係るガラスの、可視光域における透過率曲線である。 本発明の実施形態に係るガラスの、可視光域における透過率曲線である。 本発明の実施形態に係るガラスの、可視光域における透過率曲線である。 本発明の実施形態に係るガラスの、可視光域における透過率曲線である。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態では、カチオン%表示での各成分の含有比率に基づいて本発明に係るガラスを説明する。したがって、以下、各含有量は特記しない限り、「%」は「カチオン%」を意味する。
カチオン%表示とは、全てのカチオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率をいう。また、合計含有量とは、複数種のカチオン成分の含有量(含有量が0%である場合も含む)の合計量をいう。また、カチオン比とは、カチオン%表示において、カチオン成分同士の含有量(複数種のカチオン成分の合計含有量も含む)の割合(比)をいう。
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)等の方法で定量できる。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
また、本明細書では、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
以下に、本発明を第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および第4実施形態として説明する。なお、第2、第3、第4実施形態におけるガラスの特性は、第1実施形態におけるガラスの特性と共通する。また、第2、第3、第4実施形態における各ガラス成分の作用、効果も、第1実施形態における各ガラス成分の作用、効果と同様である。したがって、第2、第3、第4実施形態において、第1実施形態に関する説明と重複する事項については適宜省略する。
第1実施形態
第1実施形態に係るガラスは、
屈折率ndが1.75以上であり、
厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含む。
(屈折率)
第1実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは1.75以上である。好ましくは1.76以上であり、さらには1.77以上、1.78以上、1.79以上、1.80以上の順により好ましい。屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.50であり、好ましくは2.30である。本実施形態において、屈折率ndはそのまま測定してもよく、ガラスの着色を低減させてから測定してもよい。着色を低減する方法として、例えば後述する電圧を印加する方法、および熱処理が挙げられる。熱処理によりガラスの着色を低減する方法としては、ガラスを大気雰囲気中においてTg近傍で数時間~数十時間加熱する方法が挙げられる。
(透過率)
第1実施形態に係るガラスは、着色している部分を含み、具体的には、厚さ1.0mmに換算したときの可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含む。本実施形態に
係るガラスは、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が、好ましくは40%以下である部分を含み、また透過率の最大値が30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または、1%以下である部分を含んでもよい。可視光の透過率の最大値は0%であってもよい。厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、可視光とは、波長400~760nmの範囲の光である。
また、第1実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算したときの波長1100nmにおける透過率が、好ましくは80%以下である部分を含み、また波長1100nmにおける透過率が70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下、0.5%以下、0.3%以下、0.1%以下、0.05%以下、または、0.03%以下である部分を含んでもよい。厚さ1.0mmに換算したときの波長1100nmにおける透過率が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、着色部分、すなわち厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分と、それ以外の部分とでは、ガラス成分組成は同じである。また、着色部分と、後述する方法で電圧を印加して脱色した部分とでも、ガラス成分組成は同じである。しかし、着色部分とそれ以外の部分とでは、ガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。着色部分と脱色した部分とでも、同様にガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。厚さ1.0mmに換算して波長1100nmにおける透過率が80%以下である部分と、それ以外の部分とについても同様である。
以下に、第1実施形態に係るガラスについて詳細に説明する。
(Ti3+の含有量)
第1実施形態に係るガラスは、好ましくはTi3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含み、またTi3+の含有量が0.3質量ppm以上、0.5質量ppm以上、1質量ppm以上、5質量ppm以上、15質量ppm以上、25質量ppm以上、50質量ppm以上、70質量ppm以上、または、90質量ppm以上である部分を含んでもよい。Ti3+の上限は、特に限定されないが、通常10000質量ppmであり、好ましくは5000質量ppmである。Ti3+の含有量が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。Ti3+の含有量は、ESR(電子スピン共鳴法)で測定できる。
第1実施形態に係るガラスにおいて、着色は、好ましくはガラス成分に起因する還元色であり、より好ましくは遷移金属に起因する還元色である。遷移金属としては、例えばTi、Nb、BiおよびWが挙げられる。
これら遷移金属の価数に応じてガラスは呈色する。例えば、ガラス成分として含まれるTiにおいて、4価のTi4+が還元されて3価のTi3+となると、ガラスは着色する。同様に、Nb、BiおよびWについても、還元されて価数が変化するとガラスは着色される。
したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、4価のTi4+の一部が還元されて3価のTi3+となっている部分は、着色しており、すなわち、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下となり得る。そして、Ti3+の含有量を上記範囲とすることで、その部分における着色の程度を高めることができる。
(電気伝導度)
第1実施形態に係るガラスは、導電性を有する部分を含み、好ましくは電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含み、また電気伝導度が10-7S/cm以上、10-6S/cm以上、10-5S/cm以上、5×10-5S/cm以上、10-4S/cm以上、5×10-4S/cm以上、10-3S/cm以上、5×10-3S/cm以上、または、10-2S/cm以上である部分を含んでもよい。電気伝導度の上限は、特に限定されないが、通常102S/cmであり、好ましくは1S/cmである。電気伝導度が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。電気伝導度は、例えば、交流インピーダンス法で測定できる。また、電気伝導度の測定温度は、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg-200℃)以上、ガラス転移温度Tgより低い温度とする。
第1実施形態に係るガラスにおいて、導電性を有する部分は、着色しており、すなわち、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下となり得る。ガラスの着色を低減すると電気伝導度は減少し、着色を増大させると電気伝導度は増加する。したがって、ガラスの着色または電気伝導度のいずれかを調整すると、他方も調整することができる。例えば、ガラスの着色を調整し、電気伝導度を上記範囲とすることができる。
また、第1実施形態に係るガラスにおいて、一定条件下でガラスに電圧を印加してイオン伝導によりガラス成分を酸化することで着色を低減できる。すなわち、一定条件下でガラスの着色部分に電圧を印加することで、その部分における可視光の透過率を増大できる。
具体的には、第1実施形態に係るガラスを、ガラス屈伏点Ts以下に加熱した状態で、電圧を印加することにより、着色部分の透過率を増加させることができる。
特に、第1実施形態に係るガラスは、着色部分について、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg-200℃)以上、軟化点以下での温度範囲で、大気雰囲気において、厚さ1.0mmに研磨したガラスの厚さ方向に電極を接触させ、電圧20kv以下、処理時間5時間以内の条件で電圧を印加したときの、波長400~760nmにおける透過率の最大値の、電圧印加前後での変化量を10%以上とすることができる。
上記の処理において、電圧を部分的に印加することでパターン状に脱色することも可能である。
なお、本実施形態に係るガラスにおいて、ガラス転移温度Tgの範囲は、好ましくは350~850℃であり、さらには370~830℃、380~800℃、400~770℃、420~740℃、440~710℃、440~680℃の順により好ましい。
(平均線膨張係数)
第1実施形態に係るガラスにおいて、平均線膨張係数は、好ましくは50×10-7-1以上であり、さらには、60×10-7-1以上、70×10-7-1以上、75×10-7-1以上、80×10-7-1以上、85×10-7-1以上、90×10-7-1以上の順により好ましい。平均線膨張係数の上限は、特に限定されないが、通常200×10-7-1であり、好ましくは150×10-7-1である。平均線膨張係数を上記範囲とすることで、後述する化学強化を施した場合にガラスの強度を高めることができる。
平均線膨張係数の測定方法は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003「光学ガラスの熱膨張の測定法」に従う。ただし、丸棒状の試料の直径は5mmとする。
(耐酸性重量減少率Da)
第1実施形態に係るガラスにおいて、耐酸性重量減少率Daの等級は、好ましくは1~2等級であり、より好ましくは1等級である。
耐酸性重量減少率Daは、日本光学硝子工業会規格JOGIS06-2009の規定に従って測定する。具体的には、比重に相当する重量の粉末ガラス(粒度425~600μm)を白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その処理前後での重量減少率(%)を測定する。耐酸性重量減少率Daによる等級を表Aに示す。
Figure 0007425128000001
(βOH)
第1実施形態に係るガラスにおいて、下記式(1)で表されるβOHの値の下限は、好ましくは0.3mm-1であり、さらには、0.4mm-1、0.5mm-1、0.6mm-1、0.7mm-1、0.8mm-1、0.9mm-1、1.0mm-1、1.05mm-1、1.1mm-1、1.15mm-1の順により好ましい。また、βOHの値の上限は、好ましくは4.5mm-1であり、さらには、4.0mm-1、3.8mm-1、3.5mm-1、3.0mm-1、2.5mm-1、2.3mm-1、2.2mm-1、2.1mm-1、2.0mm-1の順により好ましい。
βOH=-[ln(B/A)]/t・・・(1)
ここで、上記式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる上記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。βOHの単位はmm-1である。
なお、「外部透過率」とは、ガラスに入射する入射光の強度Iinに対するガラスを透過した透過光の強度Ioutの比(Iout/Iin)、すなわち、ガラスの表面における表面反射も考慮した透過率である。透過率は、分光光度計を用いて、透過スペクトルを測定することにより得られる。分光装置としては、「UV-3100(島津)」を用いる
ことができる。外部透過率は、そのまま測定してもよく、ガラスの着色を低減させてから測定してもよい。着色を低減する方法として、例えば後述する電圧を印加する方法、および熱処理が挙げられる。熱処理によりガラスの着色を低減する方法としては、ガラスを大気雰囲気中においてTg近傍で数時間~数十時間加熱する方法が挙げられる。
上記式(1)で表されるβOHは、水酸基に起因する光の吸収により透過率が変化することに基づいて規定されている。そのため、βOHを評価することにより、ガラス中に含まれる水(および/または水酸化物イオン)の濃度を評価できる。すなわち、βOHが高いガラスは、ガラス中に含まれる水(および/または水酸化物イオン)の濃度が高いことを意味している。
ガラスの着色を低減させるために、ガラスに電圧を印加する、またはガラスを熱処理する場合に、βOHの値を上記範囲とすることで、その印加時間または熱処理時間を短縮できる。一方、βOHの値が大きすぎると、ガラス中に含まれている遷移金属イオン成分が金属として析出しやすくなる。また、ガラスの熔解時に、熔融ガラスからの揮発物量が増加するおそれがある。
(色味)
第1実施形態に係るガラスは、可視光域(波長400~760nm)における外部透過率を調整することにより、ガラスの色味を変化させることができる。具体的には、ガラスの透過率曲線(横軸を可視光域の波長(波長400~760nm)、縦軸を外部透過率とする)が、所定の特徴を有する形状となるよう調整することで、ガラスの色味を変化させることができる。
例えば、青みを有するガラス、または青みを帯びた黒色のガラスを得るには、可視光域(波長400~760nm)における透過率曲線が次の特徴を有すればよい。すなわち、1)波長400~450nmの範囲に極大値を有し、かつ、波長400nmにおける透過率が波長760nmにおける透過率よりも大きい、または、2)極大値および極小値を有さず、透過率の最大値を波長400~450nmの範囲に有す。
また、赤みを有するガラス、または赤みを帯びた黒色のガラスを得るには、可視光域(波長400~760nm)における透過率曲線が、極大値および極小値を有さず、透過率の最大値を波長700~760nmの範囲に有すればよい。
さらに、赤紫みを有するガラス、または赤紫みを帯びた黒色のガラスを得るには、可視光域(波長400~760nm)における透過率曲線が、波長450~550nmの範囲に極小値を有し、かつ、波長400nmにおける透過率を波長760nmにおける透過率よりも小さくすればよい。
ここで、極大値とは、透過率曲線において外部透過率が増加から減少に転じる点であり、極小値とは、透過率曲線において外部透過率が減少から増加に転じる点である。透過率の最大値とは、可視光域(波長400~760nm)における外部透過率の最大値である。
(ガラス組成)
第1実施形態に係るガラスのガラス組成について、非制限的な例を以下に示す。
第1実施形態に係るガラスは、リン酸塩ガラスであることが好ましい。リン酸塩ガラスとは、ガラスのネットワーク形成成分として主にP5+を含有するガラスをいう。ガラスのネットワーク形成成分として、P5+、B3+、Si4+、Al3+等が知られている
。ここで、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含むとは、P5+の含有量が、B3+、Si4+、Al3+のいずれの含有量よりも多いことを意味する。リン酸塩ガラスであることで、ガラスの着色の程度を高めることができる。
第1実施形態に係るガラスにおいて、P5+の含有量の下限は、好ましくは10%であり、さらには13%、15%、17%、20%の順により好ましい。また、P5+の含有量の上限は、好ましくは50%であり、さらには45%、43%、40%、38%、35%の順により好ましい。
5+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性を維持する働きがある。一方、P5+を過剰に含むと熔融性が悪化する。そのため、P5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、B3+の含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、25%、20%、15%、13%、10%の順により好ましい。また、B3+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.1%、0.3%、0.5%、1%、3%、5%の順により好ましい。B3+の含有量は0%であってもよい。
3+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熔融性を改善する働きを有する。一方、B3+の含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下する傾向がある。そのため、B3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、P5+の含有量に対するB3+の含有量のカチオン比[B3+/P5+]の上限は、好ましくは0.95であり、さらには0.93、0.9、0.8、0.7、0.6、0.55、0.5の順により好ましい。カチオン比[B3+/P5+]は0であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Si4+の含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには7%、5%、3%、2%、1%の順により好ましい。Si4+の含有量は0%であってもよい。
Si4+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する。一方、Si4+の含有量が多すぎると、ガラスの熔融性が低下し、ガラス原料が熔け残る傾向がある。そのため、Si4+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Al3+の含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには7%、5%、3%、1%の順により好ましい。Al3+の含有量は0%であってもよい。
Al3+は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する。一方、Al3+の含有量が多すぎると、屈折率の低下、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラス転移温度Tgが上昇して、熔融性が低下しやすい。そのため、Al3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、P5+、B3+、Si4+およびAl3+の合計含有量[P5++B3++Si4++Al3+]の下限は、好ましくは10%であり、さらには15%、18%、20%、23%、25%の順により好ましい。また、合計含有量[P5++B3++Si4++Al3+]の上限は、好ましくは60%であり、さらには55%、53%、50%、45%、40%、37%の順により好ましい。
第1実施形態に係るガラスは、ガラス成分として、好ましくは遷移金属を有し、より好ましくはカチオン表示でTi4+、Nb5+、Bi3+およびW6+からなる群から選択される少なくとも1つのガラス成分を有し、さらに好ましくは、Ti4+を含有する。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオンの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、1.5%、2%、3%の順により好ましい。また、Tiイオンの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、38%、35%、33%、30%の順により好ましい。ここで、Tiイオンは、Ti4+、Ti3+の他、価数の異なる全てのTiイオンを含むものとする。
Tiイオンは、Nbイオン、WイオンおよびBiイオンと同様に、高屈折率化に大きく寄与し、また、ガラスの着色を増大する働きを有する。一方、Tiイオンの含有量が多すぎると、ガラスの熔融性が低下し、ガラス原料が熔け残る傾向がある。そのため、Tiイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Nbイオンの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、5%、10%、13%、15%、17%の順により好ましい。また、Nbイオンの含有量の上限は、好ましくは50%であり、さらには45%、43%、40%、38%の順により好ましい。Nbイオンは、Nb5+の他、価数の異なる全てのNbイオンを含むものとする。
Nbイオンは、高屈折率化に寄与し、ガラスの着色を増大する成分である。また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善する働きを有する。一方、Nbイオンの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下する傾向がある。そのため、Nbイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Wイオンの含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、15%、13%の順により好ましい。Wイオンの含有量は0%であってもよい。Wイオンは、W6+の他、価数の異なる全てのWイオンを含むものとする。
Wイオンは、高屈折率化に寄与し、また、ガラスの着色を増大する働きを有する。一方、Wイオンの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下する傾向がある。そのため、Wイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Biイオンの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、28%、25%の順により好ましい。Biイオンの含有量は0%であってもよい。Biイオンは、Bi3+の他、価数の異なる全てのBiイオンを含むものとする。
Biイオンは、高屈折率化に寄与し、また、ガラスの着色を増大する働きを有する。また、Biイオンはガラスの膨張を高める効果を有する。一方、Biイオンの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下する傾向がある。そのため、Biイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオン、Nbイオン、Wイオンの合計含有量[Ti+Nb+W]の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、3%、5%、10%、15%、20%、22%の順により好ましい。また、合計含有量[Ti+Nb+W]の上限は、好ましくは75%であり、さらには70%、65%、63%、
60%、58%の順により好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオン、Nbイオン、WイオンおよびBiイオンの合計含有量[Ti+Nb+W+Bi]の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、3%、5%、10%、15%、20%、22%、25%の順により好ましい。また、合計含有量[Ti+Nb+W+Bi]の上限は、好ましくは80%であり、さらには75%、73%、70%、67%の順により好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ta5+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、2%、1%の順により好ましい。Ta5+の含有量は0%であってもよい。
Ta5+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Ta5+の含有量が多すぎると、ガラスが低屈折率化し、また熔融性が低下する傾向がある。そのため、Ta5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、P5+、B3+およびSi4+の合計含有量に対するTiイオン、Nbイオン、WイオンおよびBiイオンの合計含有量のカチオン比[(Ti+Nb+W+Bi)/(P5++B3++Si4+)]の下限は、好ましくは0.1であり、さらには0.3、0.4、0.5、0.55、0.6、0.7の順により好ましい。また、カチオン比[(Ti+Nb+W+Bi)/(P5++B3++Si4+)]の上限は、好ましくは8であり、さらには5、4、3、2.7、2.5の順により好ましい。
第1実施形態に係るガラスは、ガラス成分として、好ましくはLi+およびNa+のいずれか一方または両方を含有し、より好ましくは、Li+およびNa+を合計で0.1%以上含有する。ガラスがLi+またはNa+を含有することで、後述する化学強化を施すことができる。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Li+の含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、27%、25%、22%、20%の順により好ましい。また、Li+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、3%、5%、10%、15%の順により好ましい。Li+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Na+の含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、38%、35%、33%の順により好ましい。また、Na+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、3%、5%、10%、13%、15%、17%の順により好ましい。Na+の含有量は0%であってもよい。
ガラスがLi+またはNa+を含有することで、ガラスに後述する化学強化を施すことができる。一方、Li+またはNa+の含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。そのため、Li+およびNa+の各含有量はそれぞれ上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、K+の含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、23%、20%、17%、15%の順により好ましい。また、K+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.3%、0.5%、1%の順により好ましい。K+の含有量は0%であってもよい。
+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、K+の含有量が多すぎる
と、熱的安定性が低下する傾向がある。したがって、K+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Li+およびNa+の合計含有量[Li++Na+]の上限は、好ましくは50%であり、さらには45%、43%、40%、38%の順により好ましい。また、合計含有量[Li++Na+]の下限は、好ましくは0.1%、0.5%であり、さらには1%、5%、10%、13%、15%の順により好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Rb+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、1%、0.5%の順により好ましい。Rb+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Cs+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、1%、0.5%の順により好ましい。Cs+の含有量は0%であってもよい。
Rb+およびCs+は、ガラスの熔融性を改善する働きを有する。一方、これらの含有量が多すぎると、屈折率ndが低下し、また熔解中にガラス成分の揮発が増加するおそれがある。そのため、Rb+およびCs+の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、5%、3%、1%の順により好ましい。Mg2+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ca2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、5%、3%、1%の順により好ましい。Ca2+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Sr2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、5%、3%、1%の順により好ましい。Sr2+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ba2+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、5%の順により好ましい。Ba2+の含有量は0%であってもよい。
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+は、いずれもガラスの熱的安定性、熔融性を改善させる働きを有する。また、Ba2+はガラスの膨張を高める効果を有する。一方、これらの含有量が多すぎると、高屈折率性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、18%、15%、10%、5%、3%、1%の順により好ましい。合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Zn2+の含有量の上限は、好ましくは15%で
あり、さらには10%、8%、5%、3%、1.5%の順により好ましい。Zn2+の含有量は0%であってもよい。
Zn2+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Zn2+の含有量が多すぎると、熔融性が悪化するおそれがある。そのため、Zn2+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Zr4+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、2%、1%の順により好ましい。Zr4+の含有量は0%であってもよい。
Zr4+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Zr4+の含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性および熔融性が低下する傾向がある。そのため、Zr4+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ga3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Ga3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Ga3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、In3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、In3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。In3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Sc3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Sc3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Sc3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Hf4+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Hf4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Hf4+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Lu3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Lu3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Lu3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ge4+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Ge4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Ge4+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、La3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、La3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。La3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Gd3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Gd3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Gd3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Y3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Y3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Y3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Yb3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Yb3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Yb3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係るガラスのカチオン成分は、主として上述の成分、すなわち、P5+、B3+、Si4+、Al3+、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオン、Ta5+、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Zr4+、Ga3+、In3+、Sc3+、Hf4+、Lu3+、Ge4+、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+で構成されていることが好ましく、上述の成分の合計含有量は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
第1実施形態に係るガラスは、アニオン成分として、F-およびO2-以外の成分を含んでいてもよい。F-およびO2-以外のアニオン成分として、Cl-、Br-、I-を例示できる。しかし、Cl-、Br-、I-は、いずれもガラスの熔融中に揮発しやすい。これらの成分の揮発によって、ガラスの特性が変動する、ガラスの均質性が低下する、熔融設備の消耗が著しくなる等の問題が生じる。したがって、Cl-の含有量は、5アニオン%未満であることが好ましく、より好ましくは3アニオン%未満、さらに好ましくは1アニオン%未満、特に好ましくは0.5アニオン%未満、一層好ましくは0.25アニオン%未満である。また、Br-およびI-の合計含有量は、5アニオン%未満であることが好ましく、より好ましくは3アニオン%未満、さらに好ましくは1アニオン%未満、特に好ましくは0.5アニオン%未満、一層好ましくは0.1アニオン%未満、より一層好ましくは0アニオン%である。
なお、アニオン%とは、全てのアニオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。
第1実施形態に係るガラスは、基本的に上記成分により構成されることが好ましいが、本発明の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有させることも可能である。
例えば、第1実施形態に係るガラスは、さらに、ガラスに近赤外光吸収特性を付与するために、ガラス成分として適量の銅(Cu)を含有してもよい。その他にも、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ce等を含有してもよい。これらは、ガラスの着色を増大させ、蛍光の発生源となり得る。
また、本発明において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
<その他の成分組成>
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、いずれも毒性を有する。そのため、第1実施形態のガラスはこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、第1実施形態のガラスはこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
Sb23、SnO2、およびCeO2は清澄剤として機能する、任意に添加可能なガラス成分である。このうち、Sb3+は、清澄効果の大きな清澄剤である。
Sb23の含有量は、外割り表示とする。すなわち、酸化物基準での表示においてSb23、SnO2およびCeO2以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのSb23の含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.3質量%未満、特に好ましくは0.2質量%未満である。Sb23の含有量は0質量%であってもよい。Sb23の含有量を上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
SnO2およびCeO2の各含有量も、外割り表示とする。すなわち、酸化物基準での表示においてSb23、SnO2およびCeO2以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのSnO2およびCeO2の各含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満である。SnO2およびCeO2の各含有量は0質量%であってもよい。SnO2およびCeO2の各含有量をそれぞれ上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
(ガラスの製造)
第1実施形態に係るガラスは、ガラス原料を調合し、公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を熔融容器中に入れて熔融、清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得る。あるいは、バッチ原料を熔融容器中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを熔融容器中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得ることもできる。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
第1実施形態に係るガラスの製造工程には、成形したガラスを還元性雰囲気で熱処理する工程が含まれてもよい。ガラスを還元性雰囲気で熱処理することで、ガラスの着色の程度を高めることができる。還元性雰囲気として用いる還元性ガスとしては、例えば水素ガスが挙げられる。以下に、還元性雰囲気でのガラスの熱処理工程について詳述する。
まず、成形ガラスを真空・ガス置換炉内に配置し、減圧する。次に、大気圧になるまで炉内に還元性ガスを導入する。そして、炉内がガラス転移温度Tgより400℃低い温度(Tg-400℃)以上、軟化点以下になるまで昇温し、その温度で数分~数時間程度保持して、ガラスを熱処理する。
上記還元性雰囲気での熱処理工程において、還元性ガスとして水素ガスを用いる場合には、炉内の雰囲気を水素ガスで置換する前に、雰囲気を窒素ガスで置換してもよい。一度炉内の雰囲気を窒素ガスで置換することで、炉内の酸素を排除して、その後水素ガスを導入する際の発火等を未然に防ぎ、炉内を安全に加熱できる。
また、第1実施形態に係るガラスの製造工程には、還元性雰囲気においてガラスを熔解し、熔融ガラスを得る工程が含まれてもよい。還元性雰囲気は、好ましくは強還元性雰囲気である。また、本実施形態に係るガラスの製造工程には、熔融時に含炭素化合物を付加する工程が含まれてもよい。このような工程を含むことで、ガラスの着色の程度を高めることができる。
さらに、第1実施形態に係るガラスの製造工程には、熔融ガラス中の水分量を高める工程が含まれてもよい。熔融ガラス中の水分量を高める工程としては、熔融雰囲気に水蒸気を付加する工程、熔融物内に水蒸気を含むガスをバブリングする工程が挙げられる。その
中でも、熔融雰囲気に水蒸気を付加する工程を含むことが好ましい。熔融ガラス中の水分量を高める工程を含むことで、ガラスのβOH値を高めることができる。
(結晶化)
第1実施形態に係るガラスは、熱処理により結晶化させることができる。すなわち、第1実施形態に係るガラスは結晶化した部分を含んでもよい。結晶化している領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、結晶化には結晶核の形成も含む。また、第1実施形態に係るガラスは、結晶化のための熱処理をした場合でも、軟化せず、加熱前の形状を維持できることが好ましい。熱処理によりガラスを結晶化する方法としては、公知の方法を採用できる。
第1実施形態に係るガラスにおいて、結晶化した部分の結晶化度は、50%以上とすることができ、さらには、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上とすることもできる。
結晶化度は、X線回折測定により得られるX線回折プロファイルから、X線散乱強度を、結晶による散乱強度(結晶散乱強度)と、非晶質による散乱強度(非結晶散乱強度)と、に分離し、下記の式(2)に示すように、全散乱強度(結晶散乱強度および非結晶散乱強度)に対する結晶散乱強度の比として算出することができる。
結晶化度(%)=100×(結晶散乱強度)/(結晶散乱強度+非結晶散乱強度)・・・(2)
(化学強化)
第1実施形態に係るガラスは、ガラスを溶融塩に接触させて、化学強化してもよい。ガラスを化学強化する場合、ガラスは、ガラス成分として、好ましくはLi+およびNa+のいずれか一方または両方を含む。
化学強化の方法は、特に限定されないが、ガラス転移点を超えない温度領域で、イオン交換を行う低温型イオン交換法が好ましい。化学強化とは、溶融させた化学強化塩とガラスとを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径を有するアルカリ金属元素と、ガラス中の相対的に小さな原子半径を有するアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラスの表層に原子半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラスの表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。
例えば、ガラス成分としてナトリウム(Na)を含むガラスを、加熱した硝酸カリウム(KNO3)の溶融塩中に浸漬すると、ガラスに含まれるナトリウムイオン(Na+)と、カリウムイオン(K+)とのイオン交換が起きる。
カリウムイオン(K+)の大きさは、ナトリウムイオン(Na+)の大きさよりも大きい。そのため、イオン交換によってガラスの表面近傍には、圧縮応力が掛かった圧縮応力層が形成される。これに対して、ガラスの内部は、ナトリウムイオン(Na+)が化学強化前とほぼ変わらずに含まれるため、引張り応力が掛かった引張応力層となる。このように、表面近傍に圧縮応力層が形成されるとともに、内部に引張応力層が形成される結果、ガラスの強度が増す。
また例えば、ガラス成分としてリチウム(Li)を含むガラスの場合には、ガラスを硝酸ナトリウム(NaNO3)と硝酸カリウム(KNO3)との混合塩からなる溶融塩に浸漬することができる。また、ガラスを、硝酸ナトリウム(NaNO3)の溶融塩に浸漬してイオン交換を行った後、硝酸カリウム(KNO3)の溶融塩に浸漬してイオン交換を行ってもよい。ガラスを、硝酸ナトリウム(NaNO3)単塩の溶融塩、または硝酸カリウ
ム(KNO3)単塩の溶融塩に浸漬してもよい。ガラスの表面近傍のリチウムイオン(Li+)は、大きさがリチウムイオン(Li+)よりも大きいナトリウムイオン(Na+)およびカリウムイオン(K+)のいずれでイオン交換されてもよい。
ガラスが化学強化されているかどうかは、例えばエネルギー分散型X線分析法(EDX)により調べることができる。具体的には、ガラスの表面近傍およびガラス内部における、アルカリ金属、銀など一価の陽イオンの含有量をEDXにより測定する。ガラス内部の組成は、ガラスを割る等して、ガラスの断面を露出させて測定する。ガラスの表面近傍における、イオン半径が比較的大きい一価の陽イオンの含有量が、ガラスの内部よりも多い場合に、当該ガラスは化学強化されているとみなされる。また、ガラスの光弾性特性を用い測定する歪計によっても確認することも可能である。
本実施形態において、上記の化学強化の前、または化学強化の後に、上述した還元性雰囲気での熱処理工程を行ってもよい。また、上記の化学強化の前、または化学強化の後に、ガラスに電圧を印加してガラス成分を酸化することで、可視光の透過率を高めることもできる。
(複合化ガラス)
第1実施形態に係るガラスは、その他の材料と組み合わせて、複合化ガラスとすることができる。その他の材料としては、金属材料、およびセラミックスなどが挙げられる。すなわち、本実施形態に係る複合化ガラスは、金属材料およびセラミックスのいずれか一方または両方と、第1実施形態に係るガラスとを含むものであってよい。
金属材料としては、特に制限されないが、例えば、琺瑯用鋼板、鋳鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウムメッキ鋼板、アルミニウム-亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム、銅、電気銅、銅-亜鉛合金、銀、金などが挙げられる。
セラミックスとしては、特に制限されないが、例えば、陶磁器、耐火物、ガラス、セメント、ファインセラミックスなどが挙げられる。
複合化ガラスの製造方法は、特に制限されない。例えば、金属材料やセラミックスに、ガラス材料を塗布する、熔射するなどの方法が挙げられる。より具体的には、例えば、琺瑯の製造方法または七宝焼きの製造方法として公知の方法を適用できる。釉薬を製造するためのフリットは、第1実施形態に係るガラスを用いて製造できる。釉薬は、必要に応じ、着色剤、添加剤等を含有できる。
複合化ガラスに含まれるガラス部分は、上述した第1実施形態に係るガラスの特性を有し得る。すなわち、複合化ガラスにおけるガラス部分は、着色部分を含むことができ、また結晶化した部分を含んでもよく、化学強化された部分を含んでもよい。
第2実施形態
第2実施形態に係るガラスは、
屈折率ndが1.750以上であり、
Ti3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含む。
(屈折率)
第2実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは1.75以上であり、さらには1.76以上、1.77以上、1.78以上、1.79以上、1.80以上の順により好ましい。屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.50であり、好ましくは2.30である。本実施形態において、屈折率ndはそのまま測定してもよく、ガラスの着色を
低減させてから測定してもよい。着色を低減する方法として、例えば後述する電圧を印加する方法、および熱処理が挙げられる。熱処理によりガラスの着色を低減する方法としては、ガラスを大気雰囲気中においてTg近傍で数時間~数十時間加熱する方法が挙げられる。
(Ti3+の含有量)
第2実施形態に係るガラスは、Ti3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含む。本実施形態に係るガラスは、Ti3+の含有量が好ましくは0.3質量ppm以上である部分を含み、またTi3+の含有量が0.5質量ppm以上、1質量ppm以上、5質量ppm以上、10質量ppm以上、20質量ppm以上、30質量ppm以上、40質量ppm以上、45質量ppm以上、50質量ppm以上、60質量ppm以上、70質量ppm以上、80質量ppm以上、85質量ppm以上、または、90質量ppm以上である部分を含んでもよい。Ti3+の上限は、特に限定されないが、通常10000質量ppmであり、好ましくは5000質量ppmである。Ti3+の含有量が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。Ti3+の含有量は、ESR(電子スピン共鳴法)で測定できる。
第2実施形態に係るガラスにおいて、着色は、好ましくはガラス成分に起因する還元色であり、より好ましくは遷移金属に起因する還元色である。遷移金属としては、例えばTi、Nb、BiおよびWが挙げられる。
これら遷移金属の価数に応じてガラスは呈色する。例えば、ガラス成分として含まれるTiにおいて、4価のTi4+が還元されて3価のTi3+となると、ガラスは着色する。同様に、Nb、BiおよびWについても、還元されて価数が変化するとガラスは着色される。
したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、4価のTi4+の一部が還元されて3価のTi3+となっている部分は、着色しており、すなわち、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下となり得る。そして、Ti3+の含有量を上記範囲とすることで、その部分における着色の程度を高めることができる。
以下に、第2実施形態に係るガラスについて詳細に説明する。
(Tiイオンの含有量)
第2実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオンの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、1.5%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%の順により好ましい。また、Tiイオンの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、38%、35%、33%、30%の順により好ましい。ここで、Tiイオンは、Ti4+、Ti3+の他、価数の異なる全てのTiイオンを含むものとする。
(透過率)
第2実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算したときの可視光の透過率の最大値が、好ましくは50%以下である部分を含み、また透過率の最大値が40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または、1%以下である部分を含んでもよい。可視光の透過率の最大値は0%であってもよい。厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、可視光とは、波長400~760nmの範囲の光である。
また、第2実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算したときの波長1100n
mにおける透過率が、好ましくは80%以下である部分を含み、また波長1100nmにおける透過率が70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下、0.5%以下、0.3%以下、0.1%以下、0.05%以下、または、0.03%以下である部分を含んでもよい。厚さ1.0mmに換算したときの波長1100nmにおける透過率が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。
第2実施形態に係るガラスにおいて、着色部分、すなわち厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分と、それ以外の部分とでは、ガラス成分組成は同じである。また、着色部分と、後述する方法で電圧を印加して脱色した部分とでも、ガラス成分組成は同じである。しかし、着色部分とそれ以外の部分とでは、ガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。着色部分と脱色した部分とでも、同様にガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。厚さ1.0mmに換算して波長1100nmにおける透過率が80%以下である部分と、それ以外の部分とについても同様である。
(電気伝導度)
第2実施形態に係るガラスは、導電性を有する部分を含み、好ましくは電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含み、また電気伝導度が10-7S/cm以上、10-6S/cm以上、10-5S/cm以上、5×10-5S/cm以上、10-4S/cm以上、5×10-4S/cm以上、10-3S/cm以上、5×10-3S/cm以上、または、10-2S/cm以上である部分を含んでもよい。電気伝導度の上限は、特に限定されないが、通常102S/cmであり、好ましくは1S/cmである。電気伝導度が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。電気伝導度は、例えば、交流インピーダンス法で測定できる。また、電気伝導度の測定温度は、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg-200℃)以上、ガラス転移温度Tgより低い温度とする。
第2実施形態に係るガラスにおいて、導電性を有する部分は、着色しており、すなわち、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下となり得る。そして、ガラスの着色を調整することにより電気伝導度を上記範囲とすることができる。
また、第2実施形態に係るガラスにおいて、一定条件下でガラスに電圧を印加してイオン伝導によりガラス成分を酸化することで着色を低減できる。すなわち、一定条件下でガラスの着色部分に電圧を印加することで、その部分における可視光の透過率を増大できる。
具体的には、第2実施形態に係るガラスを、ガラス屈伏点Ts以下の温度に加熱した状態で、電圧を印加することにより、着色部分の透過率を増加させることができる。
特に、第2実施形態に係るガラスは、着色部分について、ガラス転移温度Tgより400℃低い温度(Tg-400℃)以上、軟化点以下での温度範囲で、大気雰囲気において、厚さ1.0mmに研磨したガラスの厚さ方向に電極を接触させ、電圧20kv以下、処理時間5時間以内の条件で電圧を印加したときの、波長400~760nmにおける透過率の最大値の、電圧印加前後での変化量を10%以上とすることができる。
上記の処理において、電圧を部分的に印加することでパターン状に脱色することも可能である。
なお、本実施形態に係るガラスにおいて、ガラス転移温度Tgの範囲は、好ましくは3
50~850℃であり、さらには370~830℃、380~800℃、400~770℃、420~740℃、440~710℃、440~680℃の順により好ましい。
第2実施形態に係るガラスにおいて、平均線膨張係数、耐酸性重量減少率Da、βOH、色味およびTiイオン含有量以外のガラス組成は、第1実施形態と同様とすることができる。また、第2実施形態に係るガラスは、第1実施形態と同様に、製造、結晶化および化学強化でき、また複合化ガラスとすることができる。
第3実施形態
第3実施形態に係るガラスは、
屈折率ndが1.75以上であり、
電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含む。
(屈折率)
第3実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは1.75以上である。好ましくは1.76以上であり、さらには1.77以上、1.78以上、1.79以上、1.80以上の順により好ましい。屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.50であり、好ましくは2.30である。本実施形態において、屈折率ndはそのまま測定してもよく、ガラスの着色を低減させてから測定してもよい。着色を低減する方法として、例えば後述する電圧を印加する方法、および熱処理が挙げられる。熱処理によりガラスの着色を低減する方法としては、ガラスを大気雰囲気中においてTg近傍で数時間~数十時間加熱する方法が挙げられる。
(電気伝導度)
第3実施形態に係るガラスは、導電性を有する部分を含み、具体的には、電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含む。本実施形態に係るガラスは、電気伝導度が好ましくは10-7S/cm以上である部分を含み、また電気伝導度が10-6S/cm以上、10-5S/cm以上、5×10-5S/cm以上、10-4S/cm以上、5×10-4S/cm以上、10-3S/cm以上、5×10-3S/cm以上、または、10-2S/cm以上である部分を含んでもよい。電気伝導度の上限は、特に限定されないが、通常102S/cmであり、好ましくは1S/cmである。電気伝導度が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。電気伝導度は、交流インピーダンス法で測定できる。また、電気伝導度の測定温度は、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg-200℃)以上、ガラス転移温度Tgより低い温度とする。
第3実施形態に係るガラスにおいて、導電性を有する部分は、着色しており、すなわち、厚さ1.0mmでの可視光の透過率の最大値が50%以下となり得る。そして、ガラスの着色を調整することにより電気伝導度を上記範囲とすることができる。
また、第3実施形態に係るガラスにおいて、一定条件下でガラスに電圧を印加してイオン伝導によりガラス成分を酸化することで着色を低減できる。すなわち、一定条件下でガラスの着色部分に電圧を印加することで、その部分における可視光の透過率を増大できる。
具体的には、第3実施形態に係るガラスを、ガラス屈伏点Ts以下の温度に加熱した状態で、電圧を印加することにより、着色部分の透過率を増加させることができる。
特に、第3実施形態に係るガラスは、着色部分について、ガラス転移温度Tgより400℃低い温度(Tg-400℃)以上、軟化点以下での温度範囲で、大気雰囲気において、厚さ1.0mmに研磨したガラスの厚さ方向に電極を接触させ、電圧20kv以下、処
理時間5時間以内の条件で電圧を印加したときの、波長400~760nmにおける透過率の最大値の、電圧印加前後での変化量を10%以上とすることができる。
上記の処理において、電圧を部分的に印加することでパターン状に脱色することも可能である。
なお、本実施形態に係るガラスにおいて、ガラス転移温度Tgの範囲は、好ましくは350~850℃であり、さらには370~830℃、380~800℃、400~770℃、420~740℃、440~710℃、440~680℃の順により好ましい。
以下に、第3実施形態に係るガラスについて詳細に説明する。
(透過率)
第3実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算したときの可視光の透過率の最大値が、好ましくは50%以下である部分を含み、また透過率の最大値が40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または、1%以下である部分を含んでもよい。可視光の透過率の最大値は0%であってもよい。厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、可視光とは、波長400~760nmの範囲の光である。
また、第3実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算したときの波長1100nmにおける透過率が、好ましくは80%以下である部分を含み、また波長1100nmにおける透過率が70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下、0.5%以下、0.3%以下、0.1%以下、0.05%以下、または、0.03%以下である部分を含んでもよい。厚さ1.0mmに換算したときの波長1100nmにおける透過率が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。
第3実施形態に係るガラスにおいて、着色部分、すなわち厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分と、それ以外の部分とでは、ガラス成分組成は同じである。また、着色部分と、上述した方法で電圧を印加して脱色した部分とでも、ガラス成分組成は同じである。しかし、着色部分とそれ以外の部分とでは、ガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。着色部分と脱色した部分とでも、同様にガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。厚さ1.0mmに換算して波長1100nmにおける透過率が80%以下である部分と、それ以外の部分とについても同様である。
(Ti3+の含有量)
第3実施形態に係るガラスは、好ましくはTi3+の含有量が0.5質量ppm以上である部分を含み、またTi3+の含有量が1質量ppm以上、5質量ppm以上、15質量ppm以上、25質量ppm以上、50質量ppm以上、70質量ppm以上、または、90質量ppm以上である部分を含んでもよい。Ti3+の上限は、特に限定されないが、通常10000質量ppmであり、好ましくは5000質量ppmである。Ti3+の含有量が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。Ti3+の含有量は、ESR(電子スピン共鳴法)で測定できる。
第3実施形態に係るガラスにおいて、着色は、好ましくはガラス成分に起因する還元色であり、より好ましくは遷移金属に起因する還元色である。遷移金属としては、例えばTi、Nb、BiおよびWが挙げられる。
これら遷移金属の価数に応じてガラスは呈色する。例えば、ガラス成分として含まれるTiにおいて、4価のTi4+が還元されて3価のTi3+となると、ガラスは着色する。同様に、Nb、BiおよびWについても、還元されて価数が変化するとガラスは着色される。
したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、4価のTi4+の一部が還元されて3価のTi3+となっている部分は、着色しており、すなわち、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下となり得る。そして、Ti3+の含有量を上記範囲とすることで、その部分における着色の程度を高めることができる。
(Tiイオンの含有量)
第3実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオンの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、1.5%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%の順により好ましい。また、Tiイオンの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、38%、35%、33%、30%の順により好ましい。ここで、Tiイオンは、Ti4+、Ti3+の他、価数の異なる全てのTiイオンを含むものとする。
第3実施形態に係るガラスにおいて、平均線膨張係数、耐酸性重量減少率Da、βOH、色味およびTiイオンの含有量以外のガラス組成は、第1実施形態と同様とすることができる。また、第3実施形態に係るガラスは、第1実施形態と同様に、製造、結晶化および化学強化でき、また複合化ガラスとすることができる。
第4実施形態
第4実施形態に係るガラスの要旨は以下のとおりである。
〔1〕厚さ1.0mmに換算して波長500~1000nmの範囲における透過率の最大値が0.102%以下である透過率特性を有する、
電気的に脱色可能な着色ガラス。
〔2〕ガラス転移温度Tgより20℃低い温度以下で電圧を印可することにより透過率が増加する、〔1〕に記載の着色ガラス。
〔3〕ガラス転移温度Tgより400℃低い温度以上、ガラス転移温度Tgより20℃低い温度以下での温度範囲で、大気雰囲気において、厚さ1.0mmに研磨したガラスの厚さ方向に電極を接触させ、電圧1~20kv、処理時間5時間の条件で電圧を印可したときの、波長500~1000nmにおける透過率の最小値が65%以上である、〔1〕または〔2〕に記載の着色ガラス。
〔4〕ガラス成分として、
25を含み、
Li2OまたはNa2Oのいずれか1つを含み、
TiO2、Nb25、WO3およびBi23からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の着色ガラス。
〔5〕波長500~1000nmの範囲における透過率の最大値が0.232%以下である部分、および
波長500~1000nmの範囲における透過率の最小値が69.59%以上である部分を有し、
これらの部分のガラス成分組成が同じである、ガラス成形体。
〔6〕熔融時に水および含炭素化合物を付加する工程を含む、ガラス成分としてLi2OまたはNa2Oのいずれか1つを含む着色ガラスの製造方法。
〔7〕電圧を部分的に印加する工程を含む、パターン状に脱色した部分を有する着色ガラスの製造方法。
〔8〕ガラス成分としてLi2OまたはNa2Oのいずれか1つを含む着色ガラスに対して、電圧を印可する工程を含む、着色ガラスの脱色方法。
〔9〕前記着色ガラスが、ガラス成分として、
25を含み、
TiO2、Nb25、WO3およびBi23からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む、〔8〕に記載の脱色方法。
以下に、第4実施形態に係るガラスについて詳細に説明する。
第4実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算して波長500~1000nmの範囲における透過率の最大値が0.102%以下である透過率特性を有する、着色ガラスである。透過率の最大値は0%であってもよい。また、第4実施形態に係るガラスは、例えば下記の方法により、電気的に脱色できる。
すなわち、第4実施形態に係るガラスは、ガラスに電圧を印加してイオン伝導によりガラス成分を酸化することで脱色できる。具体的には、ガラス転移温度Tgより20℃低い温度以下で電圧を印可することにより、透過率を増加させて、電気的に脱色できる。ガラスに電圧を印加する方法としては、例えばガラスに電極を接触させて、電流を流す方法が挙げられる。
特に、第4実施形態に係るガラスでは、ガラス転移温度Tgより400℃低い温度以上、ガラス転移温度Tgより20℃低い温度以下での温度範囲で、大気雰囲気において、厚さ1.0mmに研磨したガラスの厚さ方向に電極を接触させ、電圧1~20kv、処理時間5時間の条件で電圧を印可したときの、波長500~1000nmにおける透過率の最小値を65%以上とすることができる。
第4実施形態に係るガラスは、ガラス成分として、P25を含むことが好ましい。また、ガラス成分として、Li2OまたはNa2Oのいずれか1つを含んでもよく、TiO2、Nb25、WO3およびBi23からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含んでもよい。すなわち、ガラス成分として、P25を含み、Li2OまたはNa2Oのいずれか1つを含み、TiO2、Nb25、WO3およびBi23からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含んでもよい。また、より好ましくは、Li2OおよびNa2Oの両方を含有する。第4実施形態に係るガラスは、WO 2017/006998 A1に開示されたガラス組成を有することもでき、第1~3実施形態に係るガラスと同様の組成を有することもできる。ガラス材には、近赤外光吸収特性を付与するために、ガラス成分として適量の銅を添加してもよい。
第4実施形態に係るガラスからなるガラス成形体は、パターン状に脱色していてもよく、着色の程度が高い部分と低い部分とを有することができる。すなわち、第4実施形態に係るガラス成形体は、波長500~1000nmの範囲における透過率の最大値が0.232%以下である部分、および波長500~1000nmの範囲における透過率の最小値が69.59%以上である部分を有し、これらの部分のガラス成分組成が同じとすることができる。
ガラスをパターン状に脱色するには、例えば、ガラスに対し電圧を部分的に印加すればよい。
第4実施形態に係るガラスは、ガラス原料を調合し、公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。第4実施形態に係るガラスの製造は、第1実施形態と同様とすることもできる。また、第4実施形態に係るガラスの製造には、熔融時に含炭素化合物を付加する工程が含まれてもよい。このような工程を含むことで、濃く着色したガラスを得ることができる。さらに、第4実施形態に係るガラスの製造には、熔融時に水を付加する工程が含まれてもよい。このような工程を含むことで、高いβOH値を有するガラスを得ることができる。
第4実施形態に係るガラスにおいて、平均線膨張係数、耐酸性重量減少率Da、βOHは、第1実施形態と同様とすることができる。また、第4実施形態に係るガラスは、第1実施形態と同様に、結晶化および化学強化でき、また複合化ガラスとすることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明に適用できるガラス材のガラス組成としては、以下の実施例に示すガラス組成の他に、WO 2017/006998 A1、特開2014-185075、特開2015-067522、特開2012-091989、特開2006-111499、特開2005-206433、特開2005-075665、特開2002-173336、特開2018-002520、特開2018-002521に開示されたガラス組成が挙げられる。
(実施例1)
表1~3に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。なお、表1、2、3は、No.1-1~1-4のガラスサンプルについて、それぞれカチオン%表示、モル%表示、質量%表示で示したものである。モル%表示および質量%表示において、ガラス組成は、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいい、各ガラス成分の表記は慣習にならい、SiO2、TiO2などと記載する。そして、モル%表示とは、全てのガラス成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。また、質量%表示とは、全てのガラス成分の含有量の合計を100%としたときの質量百分率である。
Figure 0007425128000002
Figure 0007425128000003
Figure 0007425128000004
[ガラスの製造]
ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、メタリン酸塩、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスの組成が、表1~3に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1100~1450℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷した。長さ20mm、幅10mm、厚さ1.0mmの大きさに加工し、20mm×10mmとなる2つ面を精密研磨して、ガラスサンプルを得た。
[還元性雰囲気での熱処理]
上記ガラスサンプルを、真空・ガス置換炉を用いて熱処理した。まず、ガラスサンプルを炉内に配置した。炉内を-100kPa程度にまで減圧し、大気圧になるまで炉内に窒素ガスを導入した。再び、炉内を-100kPa程度にまで減圧し、大気圧になるまで炉内に水素ガスを導入した。昇温速度50~400℃/hで炉内を昇温した。No.1-1では650℃、No.1-2では470℃、No.1-3では560℃、No.1-4では630℃まで昇温し、その温度で5時間保持して、ガラスを水素雰囲気で熱処理した。着色されたガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1~3に示す各組成のとおりであることを確認した。
[屈折率nd]
上記ガラスサンプルについて、JIS規格JISB7071-1の屈折率測定法
により、屈折率ndを測定した。透過率が低いガラスサンプルは、Tg近傍で数時間から数十時間熱処理して透過率を高めてから測定した。結果を表4に示す。なお、表4には屈折率の値の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁まで表示する。
Figure 0007425128000005
[Ti3+含有量の測定]
上記着色されたガラスサンプルについて、Ti3+含有量をESR(電子スピン共鳴法)にて測定した。
その結果、サンプルNo.1-1では、Ti3+の含有量は98質量ppmであった。
[透過率]
上記着色されたガラスサンプルおよび還元性雰囲気での熱処理前のガラスサンプルについて、波長400~760nmにおける外部透過率を測定した。外部透過率は、サンプルの厚み方向に光を入射したときの、入射光強度に対する透過光強度の百分率[透過光強度/入射光強度×100]で定義される。なお、外部透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。サンプルNo.1-1~1-4についての結果を、それぞれ図1~4に示す。
No.1-1の組成を有する、還元性雰囲気での熱処理後の着色ガラスサンプルでは、図1に示すとおり、波長400~760nmにおける透過率の最大値は0.00%であった。
No.1-2の組成を有する、還元性雰囲気での熱処理後の着色ガラスサンプルでは、図2に示すとおり、波長400~760nmにおける透過率の最大値は0.01%であった。
No.1-3の組成を有する、還元性雰囲気での熱処理後の着色ガラスサンプルでは、図3に示すとおり、波長400~760nmにおける透過率の最大値は0.02%であった。
No.1-4の組成を有する、還元性雰囲気での熱処理後の着色ガラスサンプルでは、図4に示すとおり、波長400~760nmにおける透過率の最大値は1.95%であった。
(実施例2)
表5~7に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。なお、表5、6、7は、No.2-1~2-50のガラスサンプルについて、それぞれカチオン%表示、モル%表示、質量%表示で示したものである。モル%表示および質量%表示については、実施例1と同じである。
Figure 0007425128000006
Figure 0007425128000007
Figure 0007425128000008
[ガラスの製造]
ガラスの構成成分に対応するフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスのガラス組成が、表5~7に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1300~1450℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。白金坩堝に蓋をした状態で、熔融ガラスに、水または含炭素化合物の水溶液、すなわち0~1vol%のエタノール水溶液1.5~40ccを吹きかけ、付加した。その後、熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金
型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷した。長さ40mm、幅10mm、厚さ1mmの大きさに加工し、40mm×10mmとなる面を精密研磨して、ガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表5~7に示す各組成のとおりであることを確認した。
[化学強化]
上記ガラスサンプルを、KNO3の単塩、または、KNO3およびNaNO3の混合塩からなる溶融塩に浸漬し、化学強化サンプルを得た。このとき、溶融塩の温度は380℃とし、浸漬時間は4時間とした。
[屈折率nd]
上記ガラスサンプルについて、JIS規格JISB7071-1の屈折率測定法により、屈折率ndを測定した。透過率が低いガラスサンプルは、Tg近傍で数時間から数十時間熱処理して透過率を高めてから測定した。表8には屈折率ndの値の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁まで表す。
表8に記載した屈折率ndの値の中には測定して得た値のほか、計算によって求めた値も含まれる。計算によって得た値は次のようにして求めた。組成が類似したガラスの屈折率について、加成性が成り立つことが広く知られている。したがって、屈折率を予測しようとするガラス(ガラスAと記す)の組成と類似する組成を有し、屈折率が既知のガラスBの組成および屈折率からガラスAの屈折率を予測することができる。
以下、屈折率の予測方法の一例を示す。ガラスBに含まれる特定成分C(1)の一部または全部を他の成分B(2)、B(3)・・・・B(n)へそれぞれ置換した時の屈折率の変化量のデータを収集する。収集した屈折率変化量を各成分の置換量で除して、各成分の単位置換量当たり屈折率の変化量を計算し、一軸状にプロットする。組成が類似する範囲では各成分の屈折率変化量の位置関係は大きく変わらないので、屈折率が既知のガラスC(ガラスA、Bに類似する組成を持つ)から、プロットされた成分であるB(x)とB(y)を置換したときのガラスC'の屈折率は、ガラスCの屈折率nd(C)とB(x)とB(y)のプロットされた屈折率変化量の差分Δnd(y-x)を用いて、
nd(C)+Δnd(y-x)
として算出できる。
[透過率]
上記ガラスサンプル(強化前のガラスサンプル)および化学強化サンプルについて、実施例1と同様に、波長400~760nmにおける外部透過率を測定した。
その結果、No.2-1~2-50の組成を有するガラスサンプル(強化前のガラスサンプル)および化学強化サンプルにおいて、波長400~760nmにおける透過率の最大値は全て5%以下であった。
[抗折強度(曲げ強さ)]
上記ガラスサンプル(強化前のガラスサンプル)および化学強化サンプルについて、JISR1601:2008に規定される3点曲げ試験法により、抗折強度(曲げ強さ)を測定した。支点間距離は30mmとした。結果を表8に示す。
検体数は5以上とした。すなわち、1つの組成について、ガラスサンプルおよび化学強
化サンプルをそれぞれ5以上準備した。得られた数値の最大値を抗折強度とした。
[比重]
上記化学強化サンプルについて、比重をアルキメデス法により測定した。結果を表8に示す。
[ガラス転移温度Tg]
上記化学強化サンプルについて、Rigaku社製の示差走査熱量分析装置(DSC8270)を使用し、昇温速度10℃/分にてガラス転移温度Tg測定した。結果を表8に示す。
Figure 0007425128000009
(実施例3-1)
表9に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
Figure 0007425128000010
[ガラスの製造]
ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、メタリン酸塩、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスの組成が、表9に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1100~1450℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷した。長さ20mm、幅10mm、厚さ1.0mmの大きさに加工し、20mm×10mmとなる2つ面を精密研磨して、ガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES
)で各ガラス成分の含有量を測定し、表9に示す各組成のとおりであることを確認した。
[屈折率nd]
上記ガラスサンプルについて、JIS規格JISB7071-1の屈折率測定法により、屈折率ndを測定した。透過率が低いガラスサンプルは、Tg近傍で数時間から数十時間熱処理して透過率を高めてから測定した。結果を表9に示す。なお、表9には屈折率ndの値の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁まで表示する。
[比重]
比重は、アルキメデス法により測定した。結果を表9に示す。
[ガラス転移温度Tg]
ガラス転移温度Tgは、MACサイエンス社製の熱機械分析装置(TMA4000S)を使用し、昇温速度4℃/分にて測定した。結果を表9に示す。
[平均線膨張係数]
平均線膨張係数の測定方法は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003「光学ガラスの熱膨張の測定法」に従い測定した。丸棒状の試料の直径を5mmとした。結果を表9に示す。
[耐酸性重量減少率Da]
日本光学硝子工業会規格JOGIS06-2009の規定に従い、得られたガラスサンプルを比重に相当する重量の粉末ガラス(粒度425~600μm)にし、白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その処理前後での重量減少率(%)を測定した。その重量減少率を等級で評価した。結果を表9に示す。
(実施例3-2)
[還元性雰囲気での熱処理]
表9に示した試料No.3-4のガラスサンプルについて、450℃まで昇温し、その温度で0~116時間保持する以外は、実施例1と同様に還元性雰囲気で熱処理した。その後、実施例1と同様に、可視光域(波長400~760nm)における外部透過率を測定した。さらに、波長1100nmにおける外部透過率を測定した。
処理時間、可視光域における透過率の最大値、波長1100nmにおける透過率を表10に示す。
[βOH]
上記ガラスサンプルを、厚さ1mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有する板状ガラス試料に加工した。この板状ガラス試料の研磨面に垂直方向から光を入射して、波長2500nmにおける外部透過率Aおよび波長2900nmにおける外部透過率Bを、分光光度計を用いてそれぞれ測定し、下記式(1)により、βOHを算出した。結果を表10に示す。
βOH=-[ln(B/A)]/t・・・(1)
上記式(1)中、lnは自然対数であり、厚さtは上記2つの平面の間隔に相当する。また、外部透過率は、ガラス試料表面における反射損失も含み、ガラス試料に入射する入射光の強度に対する透過光の強度の比(透過光強度/入射光強度)である。
Figure 0007425128000011
(実施例3-3)
表11に示す熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件でガラスを製造した。
なお、表11のNo.3-1、3-3、3-4、3-5は、それぞれ表9のNo.3-
1、3-3、3-4、3-5と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
表11のNo.3-2-Aおよび3-2-Bは、表9のNo.3-2と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
同様に、No.3-6-Aおよび3-6-Bは、表9のNo.3-6と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
No.3-7-A~3-7-Hは、表9のNo.3-7と同じガラス組成およびガラス特性を有する。熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件について、以下に説明する。
[熔融条件]
表11に示すNo.3-1、3-2-A、3-3、3-5、3-7-B、3-8、3-7-Hでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加した。
No.3-7-Cでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加し、さらに熔融ガラスにエタノールを付加した。
No.3-7-Dでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に窒素ガスを付加した。
No.3-7-Fでは、熔融ガラスにマンニトールを付加した。
[還元性雰囲気での熱処理条件]
No.3-1、3-2-A、3-2-B、3-3、3-5、3-6-A、3-6-B、3-7-G、3-8、3-7-H、3-4では、表11に示す温度まで昇温し、その温度で表11に示す時間保持する以外は、実施例1と同様に還元性雰囲気で熱処理した。
Figure 0007425128000012
[Ti3+含有量]
表11に示すNo.3-2-A、3-6-A、3-7-A~3-7-C、3-7-H、3-4のガラスサンプルについて、Ti3+含有量をESR(電子スピン共鳴法)にて測
定した。実施例3-1と同様の方法で、可視光域における透過率の最大値および波長1100nmにおける透過率を測定した。結果を表12に示す。
Figure 0007425128000013
[電気伝導度]
表11に示すNo.3-1、3-2-B、3-3、3-5、3-6-B、3-7-A~3-7-G、3-8のガラスサンプルについて、交流インピーダンス法で表13に示す測定温度における電気伝導度を測定した。また、実施例3-1と同様の方法で、可視光域における透過率の最大値および波長1100nmにおける透過率を測定した。結果を表13に示す。
Figure 0007425128000014
(実施例3-4)
[化学強化]
表10に示す、還元性雰囲気で8h熱処理したNo.3-4のガラスサンプルを、表14に示すとおりKNO3とNaNO3とのモル比が5:5の混合塩からなる溶融塩に浸漬し、化学強化サンプルを得た。このとき、溶融塩の温度は340℃とし、浸漬時間は2時
間とした。
表11に示すNo.3-5のガラスサンプルを、KNO3の単塩の溶融塩に浸漬し、化学強化サンプルを得た。このとき、溶融塩の温度は420℃とし、浸漬時間は4時間とした。
表11に示すNo.3-8のガラスサンプルを、KNO3の単塩の溶融塩に浸漬し、化学強化サンプルを得た。このとき、溶融塩の温度は420℃とし、浸漬時間は4時間とした。
表11に示すNo.3-2のガラスサンプルを、NaNO3の単塩の溶融塩に浸漬し、その後KNO3の単塩の溶融塩に浸漬して、化学強化サンプルを得た。このとき、溶融塩の温度はいずれも420℃とし、浸漬時間の合計は4時間とした。
[抗折強度(曲げ強さ)]
上記化学強化サンプルについて、JISR1601:2008に規定される3点曲げ試験法により、抗折強度(曲げ強さ)を測定した。測定サンプルの寸法は40mm×10mm×1mmとし、支点間距離は30mmとした。なお、検体数は5以上とした。得られた数値の平均値、最大値、最小値を表14に示す。
Figure 0007425128000015
(実施例4-1)
表15に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
Figure 0007425128000016
[ガラスの製造]
ガラスの構成成分に対応するフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスのガラス組成が、表15に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1300℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。白金坩堝に
蓋をした状態で、熔融ガラスに、水および含炭素化合物、すなわち0.1wt%エタノール水溶液を吹きかけ、付加した。その後、熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表15に示す各組成のとおりであることを確認した。
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルについて、屈折率nd、アッベ数νd、比重およびガラス転移温度Tgを測定した。結果を表16に示す。
(i)屈折率ndおよびアッベ数νd
JIS規格JISB7071-1の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、nCを測定し、下式に基づきアッベ数νdを算出した。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
なお、表16には屈折率ndの値の小数点以下6桁目を四捨五入して小数点以下5桁まで表示する。
(ii)比重
比重は、アルキメデス法により測定した。
(iii)ガラス転移温度Tg
MACサイエンス社製の熱機械分析装置(TMA4000S)を使用し、昇温速度4℃/分にて測定した。
Figure 0007425128000017
[透過率の測定]
上記ガラスサンプルを、厚さ1mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長300~2500nmにおける外部透過率を測定した。外部透過率は、ガラスサンプルの厚み方向に光を入射したときの、入射光強度に対する透過光強度の百分率[透過光強度/入射光強度×100]で定義される。なお、外部透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。結果を図5に示す。
(実施例4-2)
ガラスの製造において、0.1wt%エタノール水溶液に代えて0.3wt%エタノール水溶液を熔融ガラスに吹きかけ、付加した他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
(実施例4-3)
ガラスの製造において、0.1wt%エタノール水溶液に代えて0.5wt%エタノール水溶液を熔融ガラスに吹きかけ、付加した他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
(実施例4-4)
ガラスの製造において、0.1wt%エタノール水溶液に代えて5wt%エタノール水溶液を熔融ガラスに吹きかけ、付加した他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
(比較例4-1)
ガラスの製造において、熔融ガラスに水および含炭素化合物の付加を行わなかった他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た(雰囲気制御無し)。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
(実施例4-5)
実施例4-2で得られたガラスサンプルについて、以下の条件で電圧を印可し、電気的にパターン状の脱色を行った。電圧印加のために用いた装置の模式図を図6に示す。
ガラスサンプルに図6のとおり導線を配置し、熱処理炉(KDF-75、デンケン・ハイデンタル株式会社製)内で、印加装置(GC-90、株式会社グリーンテクノ製)を用いて電圧を印可し、脱色を行った。大気雰囲気において、処理時間は3時間、熱処理炉の温度は400℃、電圧は9kv、電流は55μAとした。
電極として、白金製、カーボン製、SUS304製の電極を用いた。導線として、炉外では銅線、炉内では白金線(線径0.8mm)を用いた。白金線は、ガラスの接触部分では、白金線が直接ガラスに接触するように配置し、その他の部分では中空の石英管で被覆した。熱処理炉の開放部は断熱材(セラミックファイバー、耐火煉瓦)で密閉した。
脱色後のガラスサンプルの写真を図7に示す。
また、ガラスサンプルの脱色部分および非脱色部分の透過率を図8に示す。
さらに、脱色部分と非脱色部分との境界の断面の写真を図9に示す。
(実施例5-1)
表17に示すガラス組成を有するガラスサンプルを、実施例3-1のガラスの製造と同様の手順で作製した。
Figure 0007425128000018
実施例3-1と同様に、ガラス成分組成を確認した。また、実施例3-1と同様に、屈折率nd、比重、ガラス転移温度Tg、平均膨張係数、および耐酸性重量減少率Daを測定した。結果を表17に示す。なお、表17には屈折率ndの値の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁目まで表示する。
(実施例5-2)
表18に示す熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件でガラスを製造した。
なお、表18のNo.5-1、5-4、5-5は、それぞれ表17のNo.5-1、5-4、5-5と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
表18のNo.5-2-Aおよび5-2-Bは、表17のNo.5-2と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
同様に、No.5-3-A、5-3-B、および5-3-Cは、表17のNo.5-3と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件について、以下に説明する。
[熔融条件]
表18に示すNo.5-3-Bでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加した。
表18に示すNo.5-2-Bでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加し、さらに熔融ガラスにアルコールを付加した。
[還元性雰囲気での熱処理条件]
No.5-1、5-2-A、5-2-B、5-3-C、5-4、5-5では、表18に示す温度まで昇温し、その温度で表18に示す時間保持する以外は、実施例1と同様に還元性雰囲気で熱処理した。
Figure 0007425128000019
[βOH]
得られたガラスサンプルについて、実施例3-2と同様の方法でβOHを測定した。結果を表18に示す。
[透過率]
表18に示すNo.5-1、5-2-A、5-2-B、5-3-A、5-3-B、5-3-C、5-4、5-5のガラスサンプルについて、実施例3-1と同様の方法で、可視光域における透過率の最大値および波長1100nmにおける透過率を測定した。
[色味と透過率曲線]
表18に示すガラスサンプルについて、色味を観察した。また、可視光域における透過率曲線を作成した。図10~13に示す。
No.5-3-A、5-3-B、5-4のガラスサンプルは青みを有した。これらの透過率曲線を図10に示す。
特に、No.5-3-A、5-3-Bのガラスサンプルは青みを帯びた黒色であった。図11は、図10の縦軸を拡大したものであり、No.5-3-Bのガラスサンプルの透過率曲線を示す。
No.5-1のガラスサンプルは赤みを帯びた黒色であった。透過率曲線を図12に示す。
No.5-2-A、5-2-Bは赤紫みを帯びた黒色であった。透過率曲線を図13に示す。

Claims (7)

  1. 屈折率ndが1.75以上であり、
    厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が20%以下である部分を含むリン酸塩ガラスと、金属材料およびセラミックスのいずれか一方または両方とを含む、複合化ガラス(ただし、有機発光層を含まない)。
  2. 装飾品である請求項1に記載の複合化ガラス。
  3. 前記リン酸塩ガラスが、ガラス成分としてNbイオンを1カチオン%以上含有する、請求項1または2に記載の複合化ガラス。
  4. 前記リン酸塩ガラスが、ガラス成分としてTiイオンを0.5カチオン%以上含有する、請求項1~3のいずれかに記載の複合化ガラスス。
  5. 前記リン酸塩ガラスが、ガラス成分としてLi+およびNa+を合計で0.1カチオン%以上含有する、請求項1~4のいずれかに記載の複合化ガラス。
  6. 前記リン酸塩ガラスの平均線膨張係数が50×10-7-1以上である請求項1~5のいずれかに記載の複合化ガラス。
  7. 前記リン酸塩ガラスのJOGISに基づく耐酸性が1等級である、請求項1~6のいずれかに記載の複合化ガラス。

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