JP2002080245A - 反射型光学素子及びその製造方法 - Google Patents

反射型光学素子及びその製造方法

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JP2002080245A JP2001169039A JP2001169039A JP2002080245A JP 2002080245 A JP2002080245 A JP 2002080245A JP 2001169039 A JP2001169039 A JP 2001169039A JP 2001169039 A JP2001169039 A JP 2001169039A JP 2002080245 A JP2002080245 A JP 2002080245A
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optical element
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Masanobu Okane
政信 大金
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Canon Inc
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    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
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    • G02B17/08Catadioptric systems
    • G02B17/0856Catadioptric systems comprising a refractive element with a reflective surface, the reflection taking place inside the element, e.g. Mangin mirrors
    • G02B17/086Catadioptric systems comprising a refractive element with a reflective surface, the reflection taking place inside the element, e.g. Mangin mirrors wherein the system is made of a single block of optical material, e.g. solid catadioptric systems
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
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    • G02B5/08Mirrors
    • G02B5/0816Multilayer mirrors, i.e. having two or more reflecting layers
    • G02B5/085Multilayer mirrors, i.e. having two or more reflecting layers at least one of the reflecting layers comprising metal
    • G02B5/0858Multilayer mirrors, i.e. having two or more reflecting layers at least one of the reflecting layers comprising metal the reflecting layers comprising a single metallic layer with one or more dielectric layers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光の入出射面と、光が内面反射する少なくと
も1つの反射面とを有する透明基体から成る反射型光学
素子の耐環境・耐久特性を向上させる。 【解決手段】 透明基体の光の入出射面にそれぞれ誘電
体層を形成し、この透明基体の前記入出射面を除く残り
の全ての表面上に金属層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性、特に耐湿
性、耐水性に優れた反射型光学素子に関する。本発明
は、特にモールドプレスにより成形された透明ガラス基
材を用いる反射型光学素子に用いるのに適したものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、表面、もしくは裏面に高反射
膜をコーティングし、この面の反射を利用して所望の像
を得る反射型光学素子が知られている。このような高反
射膜として、アルミニウム、銀等の高い反射率を有する
金属膜が用いられる。特に銀膜は、波長350nm〜7
00nmの可視域において、極めて高い反射率を示すこ
とから、鏡や、反射型光学素子等に広く利用されてい
る。
【0003】アルミニウムや銀等の金属膜を形成する方
法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法等を用いることが一般的である。また、
特に銀の成膜法としては、銀鏡反応に代表される湿式成
膜法が用いられることもある。高反射膜として用いられ
る金属膜は、金属の単層で用いられたり、金属膜の酸化
を防止する酸化防止層や、金属膜の反射特性を向上させ
るための増反射膜等と積層されて使用される場合もあ
る。
【0004】一方、撮影用機器の小型化・高性能化が著
しく進行している現在、このような撮影用機器に用いら
れる反射型光学素子に対して、軽量化・小型化・高性能
化が求められている。この要求に応える方法として、例
えば特開平9−90229号公報に記載されているよう
に、非球面形状の光学面を有する透明基体上に反射膜を
成膜することによって内部反射型の光学素子を形成する
方法が提案されている。この方法を用いれば、レンズ枚
数の削減を図ることができる。
【0005】しかしながら、その反面、透明基体には、
微細化、異形化、多面化等のより複雑な形状が要求され
る。そのため複雑な形状に対応すべく、素子に用いられ
る基体の成形材料として透明樹脂が用いられたり、モー
ルドプレス用のガラスが用いられる。特に、前記内部反
射型の光学素子内部を通過する光の光路長の長い場合な
どにおいては、その透明性からガラスを用いられること
が多い。そのため基材としてのガラスも、光学特性の向
上とともに、その複雑な形状に対応すべく低軟化点のモ
ールド用ガラスが開発されている。
【0006】上記のような低軟化点のガラスの成分とし
ては、SiO2、B23、Al23、P25、Y23
La23、Gd23、TiO2、Nb25、ZnO、M
gO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、K
2O、Sb23、F2、SnO 2、ZrO2、As23及び
GeO2のいずれか一成分または二成分以上の酸化物ま
たは、フッ素、窒素等の置換物が含まれたものが開発さ
れている。
【0007】また、前記透明基体は、例えばゴブあるい
はガラスブロックを切断・研磨したプリフォーム材を加
熱軟化させ、これを高精度な面を持つ金型で加圧成形す
ることによって形成される。この方法の特徴は、成形後
に研削・研磨工程を省略できるために、低コスト・大量
生産が実現できることにある。
【0008】ところで、上記のような反射型光学素子に
おいて、低コスト・大量生産という大きな目的を達成す
るためには、以下の諸条件について十分検討する必要が
ある。まずモールドプレスに用いられる金型が繰り返し
使用できなければ、低コスト・大量生産という目的には
合致し得ない。そのためには金型の表面酸化を極力抑え
るべく、モールドプレス時の温度をできるだけ低く設定
する必要がある。現在モールドプレスの上限温度は65
0〜700℃、またこれに伴いガラスの転移温度の上限
は550〜600℃程度となっているが、これらの温度
は低ければ低い程金型の表面酸化の進行が抑えられ、寿
命の観点から好ましい。
【0009】しかしながら、上記従来の技術において、
透明基体の耐環境、耐久特性が十分ではない、といった
未解決の課題があった。例えば、低いガラス転移温度を
持つモールド用ガラスは、一般的に化学的耐久性が良好
でない。特にリン酸系、ランタン系、バリウム系のモー
ルド用ガラスは、高温高湿下での長期間の保存におい
て、水分等との反応により基材表面に曇りが発生し、透
過率等を低下させる等の問題点があった。
【0010】一方、上記の問題点に対しては、透明基体
の表面にコーティング膜を設ける等の改善策が提案され
ている。例えば、特開平10−139474号公報に
は、透明基体上に、多層構成(MgF2 /ZrO2
MgF2 /ZrO2 /MgF 2 )の誘電体層を設け
て、反射防止特性と耐久特性の双方を改善する構成が提
案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の誘電
体層を用いて反射型光学素子の耐環境・耐久特性を向上
させるためには、複数の反射面にそれぞれ金属膜を成膜
する工程に加えて、ガラス基体全面に耐湿性の誘電体膜
を成膜して保護する必要があり、工程数が著しく増加す
る。さらに、近年の光学素子は、形状の異形化、多面化
等によって成膜面数が増加しており、極めて多くの工程
数を必要とする。このような工程数の増加によって、成
膜コストの上昇を余儀なくされるといった問題点があっ
た。
【0012】本発明の第1の目的は、上記従来技術の問
題点を解決し、耐環境・耐久特性に優れ、しかも安価に
製造することのできる反射型光学素子を提供することに
ある。
【0013】本発明の第2の目的は、耐環境・耐久特性
に優れた反射型光学素子を安価に製造する方法を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記第1の目的
は、光が入射する入射面、前記入射した光が内面反射す
る少なくとも1つの反射面及び前記光が出射する出射面
を備えた透明基体と、前記透明基体の入射面及び出射面
にそれぞれ形成された第1の誘電体層と、前記透明基体
の前記入射面及び出射面を除く残りの全ての表面上に形
成された金属層とから成る反射型光学素子によって達成
される。
【0015】前記金属層は、銀層であると良い。また、
前記金属層は100〜1000nmの膜厚を有し、波長
領域350〜900nmの光に対して80〜99.5%
の反射率を示すことが望ましい。
【0016】前記透明基体の表面と金属層との間に、更
に第2の誘電体層を形成しても良い。この第2の誘電体
層は、低屈折率層と高屈折率層とを有する増反射膜から
形成されると良い。また、更に前記金属層上に防錆のた
めの保護層を形成しても良い。
【0017】前記第1の誘電体層は、例えば透明基体側
から順にAl層、Ta層、Al層、
Ta層、Al層、Ta層及びMgF
層の構成を有する誘電体多層膜から構成される。ま
た、前記透明基体は、例えばガラス基材から構成され
る。このガラス基材は、P、La及びBa
Oの群から選択される少なくとも1つを含有することが
望ましい。
【0018】上記本発明の第2の目的を達成する反射型
光学素子の製造方法は、光が入射する入射面、前記入射
した光が内面反射する少なくとも1つの反射面及び前記
光が出射する出射面を備えた透明基体を用意する工程
と、前記透明基体の入射面及び出射面にそれぞれ第1の
誘電体層を形成する工程と、前記透明基体の前記入射面
及び出射面を除く残りの全ての表面上に金属層を形成す
る工程とから成る。
【0019】前記金属層は、銀層から形成されるのが良
い。この金属層は、100〜1000nmの膜厚を有
し、波長領域350〜900nmの光に対して80〜9
9.5%の反射率を示すように形成されることが望まし
い。
【0020】前記第1の誘電体層は、例えば湿式成膜法
によって形成される。また、前記第1の誘電体層は、無
電解めっき法によって形成されても良い。
【0021】前記透明基体の表面と金属層との間に更に
第2の誘電体層を形成しても良い。この第2の誘電体層
は、例えば前記透明基体上に低屈折率層と高屈折率層と
を積層することによって形成される。また、前記金属層
上に更に防錆のための保護層を形成しても良い。
【0022】前記第1の誘電体層は、例えば透明基体側
から順にAl層、Ta層、Al層、
Ta層、Al層、Ta層及びMgF
層を積層することによって形成される。また、前記透
明基体は、例えばモールドプレスによってガラス基材を
成形することによって形成される。このガラス基材は、
、La及びBaOの群から選択される少
なくとも1つを含むことが望ましい。
【0023】(作用)透明基体の入出射面に設けられた
耐湿性を有する誘電体層と、光学反射有効部を含む残り
の表面全体に形成された金属膜の耐湿性によって、反射
型光学素子の耐環境耐久特性を強化する。
【0024】金属膜の成膜を、無電解めっき法等の湿式
成膜法によって行なえば、めっき液等に浸漬する一工程
のみで成膜できるため、蒸着法のように成膜面を変える
必要がなく、微細化、異形化あるいは多面化等によって
形状が複雑化した反射型光学素子の場合でも、金属膜の
成膜が容易で、少ない工程数で均一に成膜できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0026】図1は、本発明の第1実施形態の反射型光
学素子に用いられると透明基体を示す概略図である。図
1において(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は
底面図をそれぞれ示す。透明基体10は、斜上向きの入
射面10aを構成する端面11と、斜下向きの出射面1
0bを構成する端面12と、2つの裏面反射による光学
反射有効部10c、10dを有する上面13と、2つの
裏面反射による光学反射有効部10e、10fを有する
下面14とを備えた長尺の基体から成る。
【0027】透明基体10の上面13は、光学反射有効
部10c、10dの間と両端に非有効部10g、下面1
4は、光学反射有効部10e、10fの間と両端に非有
効部10hを有し、また、透明基体10の両側面15、
16も非有効部10i、10jとなっている。
【0028】図2は、上記の透明基体10を用いた本発
明の第1実施形態の反射型光学素子を示す概略図であ
る。図2において、(a)は垂直方向の断面図、(b)
は水平方向の断面図をそれぞれ示す。透明基体10は、
モールドプレス用ガラスから形成されており、高温高湿
下で曇りを発生させ、反射率や透過率が低下するという
耐久特性上の問題がある。このため、本実施例では、図
2に示すように、入射面10a、出射面10bを構成す
る端面11、12に耐湿性の誘電体層21、22を設け
ている。また、透明基体10の端面11、12を除く残
りのすべての表面、すなわち、上面13、下面14、両
側面15、16にそれぞれ、銀膜から成る金属膜23、
24、25、26を設けている。この金属膜23〜26
は、光学反射有効部10c〜10fにおいては裏面反射
膜であり、光学反射有効部10c〜10fと非有効部1
0g〜10jからなる透明基体10の外表面13〜16
の透湿を防ぐための防湿膜を構成する。さらに、本実施
形態においては、金属膜21〜26の防錆のために、保
護膜であるアクリル樹脂層30を設けている。
【0029】このように、透明基体10の全面11〜1
6を耐湿性の誘電体層21、22および金属膜23〜2
6によって覆うことで、透明基体が耐環境性が低い点を
補償し、環境耐久特性にすぐれた高性能な反射型光学素
子を実現できる。
【0030】また、金属膜、誘電体層は、水蒸気の透明
基体への拡散を抑制することができる。その結果、ガラ
スの焼けの発生がない優れた反射型光学素子を実現でき
る。
【0031】金属膜は第1実施形態のように銀膜である
のが望ましく、かつ、この銀の金属膜が湿式成膜法によ
り形成されることが望ましい。
【0032】銀膜の湿式成膜法としては、無電解めっき
法、すなわち、透明基材表面の触媒性金属により、めっ
き浴中の銀イオンを還元し、析出させて銀膜を成膜する
方法であることが望ましい。
【0033】また、無電解銀めっき法により形成された
銀膜の1面反射率および膜厚が、以下の範囲にあること
が望ましい。
【0034】反射率:80〜99.5%(波長350〜
900nm) 膜厚:100〜1000nm 透明基体と銀膜との間に、銀膜側から、低屈折率膜、高
屈折率膜の順に積層された誘電体層からなる増反射膜を
設けるとよい。例えば、TiO2 、ZnO2、Al2
3 等の高屈折率膜と、SiO2 等の低屈折率膜とを
交互に積層した構成であるとよい。
【0035】また、光学素子の入射面と出射面の耐湿性
誘電体層が、反射防止膜を構成する多層膜であることが
望ましい。この多層膜は、ガラス基材側からAl23
Ta 25/Al23/Ta25/Al23/Ta25
MgF2の層構成であることが望ましい。この層構成の
誘電体層は透湿性が低く、かつ反射率も0.3%と低く
て、光学的に安定している。
【0036】銀膜の湿式成膜法としては、銀鏡反応、電
気めっき法、無電解めっき法を挙げることができる。特
に無電解めっき法が好ましい理由は以下の通りである。
【0037】(1)透明基体上にあらかじめ接点となる
導電層を形成する必要がなく銀膜を形成した後の基体側
からの光の反射率が高い。
【0038】(2)透明基体上で選択的に銀析出反応を
起こすことが可能で、形成した銀膜の膜厚むらのない極
めて均一な膜を得ることができ、光学素子全体の反射率
の分布が少ない。
【0039】(3)銀析出反応の速度をめっき浴組成に
より調節する事が可能であり、めっき浴の無駄を防ぐこ
とができる。
【0040】(4)反応に伴なう雷銀の発生を抑えるめ
っき浴組成が可能である。
【0041】一般的に無電解めっき法は、まず、基体上
にめっき浴の金属析出反応を進行させるための触媒性金
属または触媒性金属イオンを付与する。この後、上記触
媒の付与された基体をめっき浴に浸漬することにより、
基体上で金属析出反応が起こり、めっきが施される。
【0042】基体上でめっき浴の金属析出反応を進行さ
せるための触媒金属または触媒性金属イオンとしては、
銀無電解めっき浴の銀析出反応を進行させることができ
るものであれば特に制約はないが、金、銀、銅、パラジ
ウム、コバルト、スズ、ニッケル等の金属または、それ
らの金属イオンまたはそれらの金属および金属イオンを
含むコロイド等を用いることができる。
【0043】また、前記触媒性金属または触媒性金属イ
オンを均一に付与するために、透明基体表面に前処理を
施してもよい。透明基体表面の前処理方法としては、酸
・アルカリエッチング、UV−O3 処理(紫外線オゾ
ン処理)、コロナ放電処理、エキシマ照射処理等の基体
の表面エネルギーを低下させるための各種処理、また界
面活性剤に代表される極性基を有する物質による基体表
面の親水化処理などを採用することができる。また、こ
れらの各種処理を併用しても良い。このような処理によ
り透明基体に触媒性金属および触媒性金属イオンを均一
に付与することができる。
【0044】また、前記触媒性金属イオンは透明基体上
への吸着力が低く、めっき浴中に落下し、めっき浴の分
解を促進してしまう場合がある。そのような現象がおき
る場合は、前記触媒性金属イオンを還元して、触媒性金
属として基体上に固定化することが好ましい。その際用
いる還元剤には特に制約はない。
【0045】また、無電解めっき浴は、銀の可溶性イオ
ン、および銀イオンを還元し透明基体上に析出するため
の還元剤、および銀イオンとキレートを形成しめっき浴
の安定化を図るためのキレート剤、および還元剤の酸化
反応による水素イオンの増大に伴なうめっき反応の駆動
力の低下を防ぐためのpH調整剤によって構成される。
【0046】ここで、還元剤としてはめっき浴中に溶解
する銀イオンを還元することのできる物質であれば特に
制約はないが、ホルムアルデヒド、ロッシェル塩、ヒド
ラジン、ヒドラジンボラン等が用いられるのが一般的で
ある。また、資料:サーフェイス・アンド・コーティン
グ・テクノロジー(Surface and Coatings Technolog
y)vol.82(1996)pp.165−168に記載されているように、
硫酸コバルトを用いることができる。
【0047】また、キレート剤としてはめっき浴中に溶
解する銀イオンとキレートを生成し、めっき浴中での銀
の析出反応を抑制し、かつ基体上に付与された触媒によ
り容易に銀を基体上に析出できれば特に制約はないが、
シアン等を用いることができる。しかしながらシアンは
大変危険な物質であり、工業用としては取り扱いに注意
を要する。そこで、先の資料に記載されているように、
アンモニアをキレート剤として用いたり、またはアンモ
ニア誘導体をキレート剤として用いることもできる。
【0048】また、無電解めっき法により形成された銀
膜の反射率が80%(λ=400nm)であることが好
ましく、上記反射率を保つうえで、銀膜の膜厚は50n
m以上であることが好ましい。しかし50nm程度では
高温高湿環境下で透湿してしまうため、100nm以上
の膜厚があることが好ましい。
【0049】また銀膜形成時の銀析出応力によるクラッ
ク発生(特に光学素子基材の曲率の大きいところ)を抑
えるうえで1000nm以下の膜厚であることが好まし
い。
【0050】また、透明基体に用いられる材質として
は、モールドプレス用のガラスであることが望ましく、
さらにはリン酸系ガラスであることが好ましい。これら
材質が望ましい理由は、その成形性の良さにより、近年
の光学素子の微細化、異形化、多面化等の複雑な形状の
高性能な反射型光学素子を実現することが可能であるた
めである。なかでもリン酸系ガラスはそのガラス転移温
度の低さにより複雑な形状への成形を可能にすることが
できる。
【0051】(実施例1)本実施例は、図2に示す膜構
成を有する。すなわち、切削研磨により形成されたガラ
スから成る透明基体10(材質LPHL−1:(株)オハラ
製)の入射面10a、出射面10b上に、イオンビーム
アシスト蒸着法により誘電体層21、22を形成した。
誘電体層21、22は、透明基体側からAl23
31.2nm/Ta25 :8.8nm/Al23 :37.8nm
/Ta25 :64.2nm/Al2 3:10.5nm /Ta
25 :39.4nm/MgF2 :93.6nmの層構成になる
ように成膜を行なった。次に、透明基体10の光学反射
有効部10c、10d、10e、10fと、非有効部1
0g、10h、10i、10jを含む外表面13〜16
にそれぞれ、真空蒸着法により銀膜(金属膜)23〜2
6を形成した。その際、銀膜の厚みが200nmになる
ように調整しながら真空蒸着を行なった。
【0052】その結果、本実施例の反射型光学素子は、
耐湿性の誘電体層を形成した面を除く透明基体の全面に
銀膜が形成されていることになる。
【0053】さらに、前記透明基体10の入射面10
a、出射面10bにマスキングを行ない、銀膜の防錆の
ために、厚さ200nmのアクリル樹脂層30(登録商
標:アルマテックス:希釈溶液:三井化学株式会社製)
をディッピングコート法により塗布し、100℃で30
分間乾燥、焼成を行なったのち、前記マスキングを除去
した。
【0054】本実施例の反射型光学素子の初期透過率は
波長500nmにおいて82%であった。また、銀膜の
膜むらは観察されなかった。
【0055】次に、60℃、90%環境下に1000時
間放置した後、光学素子の透過率を測定したところ、初
期82%であった透過率の低下は見られなかった。ま
た、ガラス基体上には白いやけは観察されなかった。
【0056】(比較例1)図3は、比較例の反射型光学
素子を示す概略図である。図3において、(a)は垂直
方向の断面図、(b)は水平方向の断面図をそれぞれ示
す。図3に示すように、ガラスから成る透明基体40
(材質LPHL−1:(株)オハラ製)の入射面40a、出
射面40b上に、イオンビームアシスト蒸着法により誘
電体層51、52を形成した。この誘電体層は、透明基
体側からAl23 /Ta25/Al23 /T
25 /Al23 /Ta25 /MgF2
の層構成で成膜を行なった。次に、透明基体40の光学
反射有効部40c、40d、40e、40f上に真空蒸
着法により銀膜(金属膜)53、54を形成した。その
際、銀膜の厚みが200nmになるように調整しながら
真空蒸着を行なった。さらに、透明基体40の入射面4
0a、出射面40bにマスキングを行ない、銀膜の防錆
のために、厚さ200nmのアクリル樹脂層60(登録
商標:アルマテックス:希釈溶液:三井化学株式会社
製)をディッピングコート法により塗布し、100℃で
30分間乾燥、焼成を行なった後、前記マスキングを除
去した。
【0057】このようにして得られた反射型光学素子の
初期透過率は波長500nmにおいて82%であった。
また、銀膜の膜むらは観察されなかった。
【0058】ところが、60℃、90%環境下に100
0時間放置した後、光学素子の透過率を測定したとこ
ろ、初期82%であった透過率が、73%まで低下し
た。また、透明基体上には白いやけが観察された。上記
透過率の低下は、銀膜を成膜していない端部等より水分
が浸透し、透明基体に白いやけが発生し、透過率(反射
率)に影響を及ぼしたものである。
【0059】比較例1と実施例1の計測結果を表1にま
とめて示す。
【0060】
【表1】
【0061】環境耐久試験:60℃・90%・1000
時間 分光透過率:日本分光計器製で測定
【0062】(実施例2)図4は、本発明の第1実施形
態の変形例(実施例2)の反射型光学素子を示す概略図
である。図4において、(a)は垂直方向の断面図、
(b)は水平方向の断面図をそれぞれ示す。図4に示す
ように、ガラスから成る透明基体70(材質LPHL−1:
(株)オハラ製)の入射面70a、出射面70b上にイ
オンビームアシスト蒸着法により誘電体層81、82を
形成した。各誘電体層81、82は、基材側から実施例
1と同様にAl23 /Ta25 /Al23
/Ta 25 /Al23 /Ta25 /MgF
2 の層構成で成膜を行なった。次に、透明基体70の
入射面70a、出射面70bにマスキングを行ない、S
ol−Gel法を用いてTiO2 層91(120n
m)、SiO2 層92(120nm)の成膜を行なっ
た。
【0063】TiO2 層91、SiO2 層92の成膜
の詳細について以下に説明する。TiO2 層91の成
膜は、27gのチタンテトライソプロポキシドTi(O−is
o−C3H7)4 (岸田化学製)をエタノール(岸田化学
製)200gに溶かし、水を4g加え、さらに塩酸(3
5%)を2g添加した。これをTiO2 コーティング
溶液とした。このコーティング溶液をディッピングコー
ト法により透明基体全面に塗布し、250℃で15分間
乾燥、焼成を行なった。
【0064】SiO2 層92の成膜は、34gのエチ
ルシリケートSi(O−C2H5)4(岸田化学製)をエタノール
(岸田化学製)200gに溶かし、水を10g加え、さ
らに塩酸(35%)を1.2g添加した。これをSiO
2 コーティング溶液とした。このコーティング溶液を
ディッピングコート法により、ガラス基体全面に塗布
し、250℃で15分間乾燥、焼成を行なった。
【0065】次に、前記コーティングを行なった透明基
体70の表面70c、70d、70e、70f、70
g、70h、70i、70jすべてに真空蒸着法により
銀膜(金属膜)83、84、85、86を形成した。そ
の際、銀膜の厚みが200nmになるように調整しなが
ら真空蒸着を行なった。すなわち、入射面70a、出射
面70bを除く透明基体全面に銀膜が形成されているこ
とになる。さらに、銀膜の防錆のために、アクリル樹脂
層90(200nm)(登録商標:アルマテックス希釈
溶液:三井化学株式会社製)をディッピングコート法に
より塗布し、100℃で30分間乾燥、焼成を行なった
のち、前記マスキングを除去した。
【0066】上記の銀膜を形成するためには、透明基体
70の向きを変え、上面、下面、両側面に合計4回の真
空蒸着を行なうことが必要であった。
【0067】得られた反射型光学素子の初期透過率は5
00nmにおいて83%であった。また、銀膜の膜むら
は観察されなかった。
【0068】60℃、90%環境下に1000時間放置
した後、この反射型光学素子の透過率を測定したとこ
ろ、初期83%(500nm)であった透過率の低下は
見られなかった。また、透明基体70上には白いやけは
観察されなかった。
【0069】(実施例3)実施例2と同様の方法で透明
基体70に誘電体層81、82、TiO2 層91(1
20nm)、SiO2 層92(120nm)を形成
し、銀鏡反応により銀の銀膜(金属膜)83〜86を形
成した。その際、銀膜の厚みが200nmになるように
調整しながら銀鏡反応を行なった。
【0070】銀鏡反応による銀膜の成膜は以下のように
行なった。まず、純水1L中に硝酸銀60gを溶解し撹
拌した後28%アンモニア水溶液を滴下し、一度褐色に
色づいた溶液が透明になるまで滴下を続け銀液を得た。
その際のアンモニア水溶液の滴下量は約60gであっ
た。この銀液に上記の層が形成された透明基体を浸積
し、撹拌しながら10%ホルムアルデヒド水溶液を滴下
し、銀鏡反応を行ない、銀を析出させた。本実施例にお
いては、銀鏡反応により銀膜が形成されるために、透明
基体全面に銀が形成された。次に、銀膜の防錆のためア
クリル樹脂層90を塗布した。
【0071】得られた反射型光学素子の初期透過率は5
00nmにおいて83%であった。また、銀膜表面には
多少の膜むらおよび膜厚むらが観察された。銀膜は膜む
らにより膜かけなどが発生し、全面に均一な成膜がなさ
れなかった。また、60℃、90%環境下に1000時
間放置した後、透過率を測定したところ、初期83%
(500nm)であった透過率が、80%まで低下し
た。膜むら部の下の基体に微少ではあるが白いやけが観
察された。
【0072】上記透過率の低下は、膜むらにより膜厚の
薄い箇所や、膜かけ部から水分が浸透し、透明基体の白
いやけが発生し、透過率(反射率)に影響を及ぼしたも
のである。
【0073】(実施例4)実施例2と同様の方法で透明
基体70の入射面70a、出射面70b上に、誘電体層
81、82を形成した後、入射面70a、出射面70b
にマスキングを行ない、TiO2 層91(120n
m)、SiO2 層92(120nm)を形成し、無電
解めっき法により銀膜(金属膜)83〜86を形成し
た。その際、銀膜の厚みが200nmになるように調整
しながら無電解めっきを行なった。無電解めっきによる
成膜は以下のように行なった。
【0074】各層が形成された透明基体の表面をコロナ
放電処理した後、界面活性剤(登録商標:プリディップ
ネオガントB:アトテックジャパン株式会社製)の20
ml/L水溶液に1分間浸積し、パラジウム触媒付与を
行なうために活性化剤(登録商標:アクチベータネオガ
ント834conc:アトテックジャパン株式会社製)
の50ml/Lの水溶液35℃中に5分間浸漬した。処
理後2分間水洗を行ない、パラジウムイオンの還元を行
なうため、還元剤(登録商標:リデューサネオガントW
A:アトテックジャパン株式会社製)の5ml/L水溶
液に5分間浸漬した。再度2分間の水洗を行なった後、
表2の組成を持つ無電解めっき浴に10分間浸漬し、無
電解めっきを行ない、銀を析出させた。本実施例の反射
型光学素子は、無電解めっき法により銀膜が形成される
ために、透明基体70の向きを変えることなく1回のめ
っき処理で全面に均一な銀膜が形成された。
【0075】
【表2】
【0076】次に、銀膜の防錆のためアクリル樹脂層9
0を塗布し、前記マスキングを除去した。
【0077】得られた反射型光学素子の初期透過率は5
00nmにおいて83%であった。また、銀膜の膜むら
は観察されなかった。
【0078】60℃、90%環境下に1000時間放置
した後、透過率を測定したところ、初期83%(500
nm)であった透過率の低下は見られなかった。また、
透明基体上には白いやけは観察されなかった。
【0079】実施例2〜4の計測結果を表3にまとめて
示す。
【0080】
【表3】
【0081】次に、実施例4において、無電解めっきに
よる銀膜の厚みを200nm、60nm、100nmに
変化させて図5の(a)、(b)及び(c)にそれぞれ
示すサンプルA、B及びCを得た。
【0082】無電解めっきは以下のように行なった。ま
ず、各層が形成された透明基体の表面をコロナ放電処理
した後、界面活性剤(登録商標:プリディップネオガン
トB:アトテックジャパン株式会社製)の20ml/L
水溶液に1分間浸漬し、パラジウム触媒付与を行なうた
めに活性化剤(登録商標:アクチベータネオガント83
4conc:アトテックジャパン株式会社製)の50m
l/Lの水溶液35℃中に5分間浸漬した。次に、処理
後2分間水洗を行ない、パラジウムイオンの還元を行な
うため、還元剤(登録商標:リデューサネオガントW
A:アトテックジャパン株式会社製)の5ml/L水溶
液に5分間浸漬した。続いて、再度2分間の水洗を行な
った後、表2の組成を持つ無電解めっき浴に10分間
(サンプルA)、3分間(サンプルB)、30分間(サ
ンプルC)それぞれ浸漬し、無電解めっきを行ない、銀
を析出させた。結果としてサンプルA、B、Cには基体
全面に銀膜が形成された。最後に、銀膜の防錆のため前
記実施例と同様にアクリル樹脂層を塗布し、前記マスキ
ングを除去した。
【0083】サンプルAにおいては、銀の膜厚が200
nmであり、その際の波長500nmにおける初期透過
率は83%であり、クラック等の発生は観測されなかっ
た。また、透明基体の白いやけは観測されなかった。
【0084】サンプルBにおいては、銀の膜厚が60n
mであり、その際の波長500nmにおける初期透過率
は24%であり、反射型光学素子としては光量不足によ
り不適であった。クラック等の発生は観測されなかっ
た。
【0085】また、60℃、90%環境下に1000時
間放置した後、透過率を測定したところ、透過率初期2
4%(500nm)であった透過率が、12%まで低下
した。銀膜は膜かけ等が発生し、全面に均一な成膜がさ
れなかった。また、透明基体には白いやけの発生が観測
された。
【0086】上記透過率の低下は、膜かけ等のために全
面に銀膜が成膜されていないため、膜端部等より水分か
浸透し、透明基体に白いやけが発生し、透過率(反射
率)に影響を及ぼしたものである。
【0087】サンプルCにおいては、銀の膜厚が100
0nmであり、その際波長500nmにおける初期透過
率は83%であったが、基体端部等において銀膜のクラ
ックが観測された。
【0088】また、60℃、90%環境下に1000時
間放置した後、透過率を測定したところ、透過率初期8
3%(500nm)であった透過率が、80%まで低下
した。銀膜のクラック発生により、全面に均一な成膜が
されなかった。また、クラック発生部の下の透明基体に
は微小の白いやけが観測された。
【0089】上記透過率の低下は、クラック部より水分
が浸透し、透明基体の白いやけが発生し、透過率(反射
率)に影響を及ぼしたものである。
【0090】サンプルA、B、Cの計測結果をまとめて
表4に示す。
【0091】
【表4】
【0092】環境耐久試験:60℃・90%・1000
時間 分光透過率:日本分光計器製で測定 図6は本発明の第2実施形態の反射型光学素子を示す概
略図である。本実施形態は、透明基体110に複数の曲
面状の反射面が一体に形成された光学素子であり、物体
側より順に、入射面である凹屈折面R2と、凹面鏡R
3、凸面鏡R4、凹面鏡R5、凸面鏡R6、凹面鏡R7
の合計5つの曲面状の反射面と、出射面である凸屈折面
R8より構成されている。この光学素子に入射する基準
軸の方向と光学素子から出射する基準軸の方向は平行で
かつ逆向きである。
【0093】絞り101を経て入射面R2に入射した光
Lは、光軸L に沿って反射型光学素子の透明基体1
10内を通りCCD等の撮像素子102の受光面103
に結像する。入射面と出射面を構成する2つの屈折面R
2、R8はいずれも回転対称の球面であり、また、光学
反射有効部である反射面R3〜R7はYZ平面に対して
対象なアナモフィック面である。
【0094】次に本実施形態における結像作用を説明す
る。基準軸L0 に沿って入射する光束Lは、絞り10
1により入射光量を規制された後、光学素子の凹屈折面
R2に入射する。凹屈折面R2に入射した光束Lは、凹
屈折面R2のパワーにより発散光束となり、凹面鏡R3
にて反射されるとともに、凹面鏡のパワーにより中間結
像面N1上に物体像を1次結像する。このように、早い
段階にて光学素子内に物体像を結像することにより、絞
り101より像側に配置された面の光線有効径の増大を
抑制している。
【0095】中間結像面N1に1次結像させた光束L
は、凸面鏡R4、凹面鏡R5、凸面鏡R6、凹面鏡R7
にて反射を繰り返しながら、それぞれの反射鏡の持つパ
ワーにて屈折されて受光面103上に結像し、物体像を
形成する。
【0096】このように光学素子は、入出射面による屈
折と曲率を有する複数の反射鏡による反射を繰り返して
受光面103に達し、所望の光学性能と全体としての正
のパワーを有するレンズユニットとして機能している。
【0097】本実施形態では、光学素子に入射する光の
光軸すなわち入射面の基準軸の方向と出射面の基準軸は
平行でかつ反対方向を向いている。また、すべての光学
反射有効部の基準軸は紙面(YZ平面)に載っている。
【0098】前記本実施形態は、モールドプレスにより
形成される。この時、モールドプレス用ガラス基材から
成る透明基体110は、高温高湿下で曇りを発生させ、
反射率や透過率が低下するという耐久特性上の問題があ
る。このため、本実施形態では、それぞれ入射面と出射
面を構成する屈折面R2、R8の表面に耐湿性の誘電体
層121、122を設けている。また、透明基体110
の屈折面R2、R8を除く残りのすべての外表面に、銀
膜から成る金属膜123を設けている。
【0099】この金属膜123は、光学反射有効部R3
〜R7においては裏面反射膜であり、しかも、屈折面R
2、R8を除く透明基体110の外表面すべてを覆う防
湿膜を構成する。さらに、本実施形態においては、銀膜
(金属膜)123の防錆のためにアクリル樹脂層130
を設けている。
【0100】このように、モールドプレス用ガラス基材
から成る透明基体110の全面を耐湿性の誘電体層12
1、122および銀膜(金属膜)123によって覆うこ
とで、モールドプレス用ガラス基材の耐環境性が低い点
を補償し、耐久特性にすぐれた高性能な反射型光学素子
を実現できる。
【0101】その他の点は第1の実施形態と同様である
ので、説明は省略する。次に第2実施形態の実施例を説
明する。
【0102】(実施例5)リン酸系モールドプレス用ガラ
ス(LPHL−1:株式会社オハラ製)、ランタン系モール
ドプレス用ガラス(VC78:株式会社住田光学ガラス
製)、バリウム系モールドプレス用ガラス(LBAL35:株
式会社オハラ製)をモールドプレスにより成形し、図6
に示すような透明基体110を形成した。形成された透
明基体110に真空蒸着法により入出射面R2、R8に
誘電体層121、122を形成した後、入出射面R2、
R8にマスキングを行なった。次に透明基体全面に実施
例2と同様の方法でTiO 層、SiO2 層を形成
した。次に無電解めっき法により銀膜(金属膜)123
を形成した。銀膜123の形成は実施例4と同様の方法
で行ない、その際、銀膜の厚みは200nmになるよう
に調整した。本実施例の反射型光学素子は、無電解めっ
き法により銀膜が形成されるために、基体全面に均一な
銀膜が形成される。次に、銀膜の防錆のために、アクリ
ル樹脂層130(200nm)(登録商標:アルマテッ
クス希釈溶液:三井化学株式会社製)をディッピングコ
ート法により塗布し、100℃で30分間乾燥、焼成を
行なった。最後に前記マスキングを除去し、本実施例5
の各硝材による反射型光学素子を得た。
【0103】(比較例2)本比較例では、前記実施例5
と同様にリン酸系モールドプレス用ガラス(LPHL−1:
株式会社オハラ製)、ランタン系モールドプレス用ガラ
ス(VC78:株式会社住田光学ガラス製)、バリウム系モ
ールドプレス用ガラス(LBAL35:株式会社オハラ製)を
モールドプレスにより成形し、透明基体110を形成し
た。形成された透明基体110に真空蒸着法により入出
射面R2、R8に誘電体層121、122を形成した
後、入出射面R2、R8にマスキングを行なった。次に
透明基体全面に実施例2と同様の方法でTiO2 層、
SiO2 層を形成した。次に、光学反射有効部R3、
R4、R5、R6、R7のみに真空蒸着法により銀膜を
形成した。その際、銀膜の厚みが200nmになるよう
に調整しながら真空蒸着を行なった。次に、銀膜の防錆
のために、アクリル樹脂層(200nm)(登録商標:
アルマテックス希釈溶液:三井化学株式会社製)をディ
ッピングコート法により塗布し、100℃で30分間乾
燥、焼成を行なった。最後にマスキングを除去し、本比
較例2の各硝材による反射型光学素子を得た。
【0104】実施例5と比較例2の反射型光学素子に対
し高温高湿・耐久試験を行なった結果を表5に示す。
【0105】
【表5】
【0106】環境耐久試験:60℃・90%・1000
時間 分光透過率:日本分光計器製で測定 比較例2で各硝材により形成された光学素子において
は、初期透過率は500nmにおいて81%であった。
また、銀膜の膜むらは観察されなかった。
【0107】60℃、90%環境下に1000時間放置
した後、光学素子の透過率を測定したところ、初期81
%(500nm)であった透過率の低下が観られた。透
明基体上には白いやけが観察された。
【0108】上記透過率の低下は、膜端部より水分が浸
透し、透明基体の白いやけが発生し、透過率(反射率)
に影響を及ぼしたものである。
【0109】実施例5で各硝材により形成された光学素
子においては、初期透過率は500nmにおいて81%
であった。また、銀膜の膜むらは観察されなかった。
【0110】60℃、90%環境下に1000時間放置
した後、光学素子の透過率を測定したところ、初期81
%(500nm)であった透過率の低下は見られなかっ
た。また、透明基体上には白いやけは観察されなかっ
た。
【0111】上記第1および第2の実施形態によれば、
透明基材を用いた反射型光学素子において、光の入出射
面上に、少なくとも1層以上の耐湿性の誘電体層を設け
るとともに、前記入出射面を除くガラス基体の外表面す
べてに金属膜あるいは、金属膜と誘電体層の両方を積層
することによって透湿を防ぎ、長期間の高温高湿の状態
においても透過率、反射率の低下のない耐久特性にすぐ
れた反射型光学素子を実現できる。
【0112】また、従来の蒸着法を用いて光学反射有効
部のみに金属膜を成膜する場合に比べて成膜工程が簡単
であり、特に、金属膜を形成する方法として、無電解め
っき法等の湿式成膜法を用いることで、反射型光学素子
の微細化、異形化、多面化等にも容易に対応できる。こ
れによって成膜コストを抑えた高品質な反射型光学素子
を得ることができる。
【0113】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の反射型光
学素子においては、透明基体の全面を、耐湿性のある誘
電体層と金属膜によって覆うことで、耐環境・耐久特性
を向上させることができる。更に、透明基体全面への金
属膜の成膜に無電解めっき法を用いた場合、複数の光学
反射有効部に選択的に金属膜を成膜する場合に比べて簡
単かつ容易であり、一工程ですむため、反射型光学素子
の製造コストを大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の反射型光学素子に用い
られると透明基体を示す概略図である。
【図2】図1に示した透明基体を用いた本発明の第1実
施形態の反射型光学素子を示す概略図である。
【図3】比較例の反射型光学素子を示す概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例の反射型光学素
子を示す概略図である。
【図5】銀膜の膜厚を変化させた本発明のサンプルを示
す概略図である。
【図6】本発明の第2実施形態の反射型光学素子を示す
概略図である。
【符号の説明】
10、70、110 ガラス基体 21、22、81、82 誘電体層 23〜26、83〜86 金属膜 30、90 アクリル誘電体層 91 TiO2 層 92 SiO2 層 10a、70a、R2 入射面 10b、70b、R8 出射面 10c〜10f、70c〜70f、R3〜R7 光学反
射有効部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 DA04 DA08 DA12 DA15 DA17 DC02 DC04 DC09 DC10 2K009 AA02 BB02 CC03 CC06 EE00 4G059 AA11 AB05 AB11 AC05 AC18 AC25 DA01 DB02 DB04 EA01 EA04 EA05 EB03 EB04 EB07 GA02 GA05 GA07 GA14 GA17

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光が入射する入射面、前記入射した光が
    内面反射する少なくとも1つの反射面及び前記光が出射
    する出射面を備えた透明基体と、前記透明基体の入射面
    及び出射面にそれぞれ形成された第1の誘電体層と、前
    記透明基体の前記入射面及び出射面を除く残りの全ての
    表面上に形成された金属層とから成る反射型光学素子。
  2. 【請求項2】 前記金属層は、銀層から成る請求項1記
    載の反射型光学素子。
  3. 【請求項3】 前記金属層は100〜1000nmの膜
    厚を有し、波長領域350〜900nmの光に対して8
    0〜99.5%の反射率を示す請求項1又は2に記載の
    反射型光学素子。
  4. 【請求項4】 更に、前記透明基体の表面と金属層との
    間に形成された第2の誘電体層から成る請求項1乃至3
    のいずれか一項に記載の反射型光学素子。
  5. 【請求項5】 前記第2の誘電体層は、低屈折率層と高
    屈折率層とを有する増反射膜から成る請求項4記載の反
    射型光学素子。
  6. 【請求項6】 更に、前記金属層上に形成された防錆の
    ための保護層から成る請求項1乃至5のいずれか一項に
    記載の反射型光学素子。
  7. 【請求項7】 前記第1の誘電体層は、透明基体側から
    順にAl層、Ta層、Al層、Ta
    層、Al層、Ta層及びMgF
    の構成を有する誘電体多層膜から成る請求項1乃至6の
    いずれか一項に記載の反射型光学素子。
  8. 【請求項8】 前記透明基体は、ガラス基材から成る請
    求項1乃至7のいずれか一項に記載の反射型光学素子。
  9. 【請求項9】 前記ガラス基材は、P、La
    及びBaOの群から選択される少なくとも1つを含む
    請求項8記載の反射型光学素子。
  10. 【請求項10】 光が入射する入射面、前記入射した光
    が内面反射する少なくとも1つの反射面及び前記光が出
    射する出射面を備えた透明基体を用意する工程と、前記
    透明基体の入射面及び出射面にそれぞれ第1の誘電体層
    を形成する工程と、前記透明基体の前記入射面及び出射
    面を除く残りの全ての表面上に金属層を形成する工程と
    から成る反射型光学素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記金属層は、銀層から形成される請
    求項10記載の反射型光学素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第1の誘電体層は、湿式成膜法に
    よって形成される請求項10又は11に記載の反射型光
    学素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1の誘電体層は、無電解めっき
    法によって形成される請求項10又は11に記載の反射
    型光学素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記金属層は、100〜1000nm
    の膜厚を有するように形成され、前記金属層は、波長領
    域350〜900nmの光に対して80〜99.5%の
    反射率を示す請求項10乃至13のいずれか一項に記載
    の反射型光学素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 更に、前記透明基体の表面と金属層と
    の間に第2の誘電体層を形成する工程から成る請求項項
    10乃至14のいずれか一項に記載の反射型光学素子の
    製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第2の誘電体層は、前記透明基体
    上に低屈折率層と高屈折率層とを積層することによって
    形成される請求項15記載の反射型光学素子の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 更に、前記金属層上に防錆のための保
    護層を形成する工程から成る請求項10乃至16のいず
    れか一項に記載の反射型光学素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記第1の誘電体層は、透明基体側か
    ら順にAl層、Ta層、Al層、T
    層、Al層、Ta層及びMgF
    層を積層することによって形成される請求項10乃至1
    7のいずれか一項に記載の反射型光学素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記透明基体は、モールドプレスによ
    ってガラス基材を成形することによって形成される請求
    項10乃至18のいずれか一項に記載の反射型光学素子
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記ガラス基材は、P、La
    及びBaOの群から選択される少なくとも1つを含
    む請求項19記載の反射型光学素子の製造方法。
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