JP7116095B2 - 着色ガラスおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)屈折率ndが1.75以上であり、
厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラス。
Ti3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含む、ガラス。
電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含むガラス。
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラスの製造方法。
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラスの製造方法。
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むガラスの製造方法。
第1実施形態に係るガラスは、
屈折率ndが1.75以上であり、
厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含む。
第1実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは1.75以上である。好ましくは1.76以上であり、さらには1.77以上、1.78以上、1.79以上、1.80以上の順により好ましい。屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.50であり、好ましくは2.30である。本実施形態において、屈折率ndはそのまま測定してもよく、ガラスの着色を低減させてから測定してもよい。着色を低減する方法として、例えば後述する電圧を印加する方法、および熱処理が挙げられる。熱処理によりガラスの着色を低減する方法としては、ガラスを大気雰囲気中においてTg近傍で数時間~数十時間加熱する方法が挙げられる。
第1実施形態に係るガラスは、着色している部分を含み、具体的には、厚さ1.0mmに換算したときの可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含む。本実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が、好ましくは40%以下である部分を含み、また透過率の最大値が30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または、1%以下である部分を含んでもよい。可視光の透過率の最大値は0%であってもよい。厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、可視光とは、波長400~760nmの範囲の光である。
第1実施形態に係るガラスは、好ましくはTi3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含み、またTi3+の含有量が0.3質量ppm以上、0.5質量ppm以上、1質量ppm以上、5質量ppm以上、15質量ppm以上、25質量ppm以上、50質量ppm以上、70質量ppm以上、または、90質量ppm以上である部分を含んでもよい。Ti3+の上限は、特に限定されないが、通常10000質量ppmであり、好ましくは5000質量ppmである。Ti3+の含有量が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。Ti3+の含有量は、ESR(電子スピン共鳴法)で測定できる。
第1実施形態に係るガラスは、導電性を有する部分を含み、好ましくは電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含み、また電気伝導度が10-7S/cm以上、10-6S/cm以上、10-5S/cm以上、5×10-5S/cm以上、10-4S/cm以上、5×10-4S/cm以上、10-3S/cm以上、5×10-3S/cm以上、または、10-2S/cm以上である部分を含んでもよい。電気伝導度の上限は、特に限定されないが、通常102S/cmであり、好ましくは1S/cmである。電気伝導度が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。電気伝導度は、例えば、交流インピーダンス法で測定できる。また、電気伝導度の測定温度は、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg-200℃)以上、ガラス転移温度Tgより低い温度とする。
第1実施形態に係るガラスにおいて、平均線膨張係数は、好ましくは50×10-7K-1以上であり、さらには、60×10-7K-1以上、70×10-7K-1以上、75×10-7K-1以上、80×10-7K-1以上、85×10-7K-1以上、90×10-7K-1以上の順により好ましい。平均線膨張係数の上限は、特に限定されないが、通常200×10-7K-1であり、好ましくは150×10-7K-1である。平均線膨張係数を上記範囲とすることで、後述する化学強化を施した場合にガラスの強度を高めることができる。
第1実施形態に係るガラスにおいて、耐酸性重量減少率Daの等級は、好ましくは1~2等級であり、より好ましくは1等級である。
第1実施形態に係るガラスにおいて、下記式(1)で表されるβOHの値の下限は、好ましくは0.3mm-1であり、さらには、0.4mm-1、0.5mm-1、0.6mm-1、0.7mm-1、0.8mm-1、0.9mm-1、1.0mm-1、1.05mm-1、1.1mm-1、1.15mm-1の順により好ましい。また、βOHの値の上限は、好ましくは4.5mm-1であり、さらには、4.0mm-1、3.8mm-1、3.5mm-1、3.0mm-1、2.5mm-1、2.3mm-1、2.2mm-1、2.1mm-1、2.0mm-1の順により好ましい。
ここで、上記式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる上記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。βOHの単位はmm-1である。
第1実施形態に係るガラスは、可視光域(波長400~760nm)における外部透過率を調整することにより、ガラスの色味を変化させることができる。具体的には、ガラスの透過率曲線(横軸を可視光域の波長(波長400~760nm)、縦軸を外部透過率とする)が、所定の特徴を有する形状となるよう調整することで、ガラスの色味を変化させることができる。
第1実施形態に係るガラスのガラス組成について、非制限的な例を以下に示す。
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、いずれも毒性を有する。そのため、第1実施形態のガラスはこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
第1実施形態に係るガラスは、ガラス原料を調合し、公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を熔融容器中に入れて熔融、清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得る。あるいは、バッチ原料を熔融容器中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを熔融容器中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得ることもできる。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
第1実施形態に係るガラスは、熱処理により結晶化させることができる。すなわち、第1実施形態に係るガラスは結晶化した部分を含んでもよい。結晶化している領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、結晶化には結晶核の形成も含む。また、第1実施形態に係るガラスは、結晶化のための熱処理をした場合でも、軟化せず、加熱前の形状を維持できることが好ましい。熱処理によりガラスを結晶化する方法としては、公知の方法を採用できる。
結晶化度(%)=100×(結晶散乱強度)/(結晶散乱強度+非結晶散乱強度) ・・・(2)
第1実施形態に係るガラスは、ガラスを溶融塩に接触させて、化学強化してもよい。ガラスを化学強化する場合、ガラスは、ガラス成分として、好ましくはLi+およびNa+のいずれか一方または両方を含む。
第1実施形態に係るガラスは、その他の材料と組み合わせて、複合化ガラスとすることができる。その他の材料としては、金属材料、およびセラミックスなどが挙げられる。すなわち、本実施形態に係る複合化ガラスは、金属材料およびセラミックスのいずれか一方または両方と、第1実施形態に係るガラスとを含むものであってよい。
第2実施形態に係るガラスは、
屈折率ndが1.750以上であり、
Ti3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含む。
第2実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは1.75以上であり、さらには1.76以上、1.77以上、1.78以上、1.79以上、1.80以上の順により好ましい。屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.50であり、好ましくは2.30である。本実施形態において、屈折率ndはそのまま測定してもよく、ガラスの着色を低減させてから測定してもよい。着色を低減する方法として、例えば後述する電圧を印加する方法、および熱処理が挙げられる。熱処理によりガラスの着色を低減する方法としては、ガラスを大気雰囲気中においてTg近傍で数時間~数十時間加熱する方法が挙げられる。
第2実施形態に係るガラスは、Ti3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含む。本実施形態に係るガラスは、Ti3+の含有量が好ましくは0.3質量ppm以上である部分を含み、またTi3+の含有量が0.5質量ppm以上、1質量ppm以上、5質量ppm以上、10質量ppm以上、20質量ppm以上、30質量ppm以上、40質量ppm以上、45質量ppm以上、50質量ppm以上、60質量ppm以上、70質量ppm以上、80質量ppm以上、85質量ppm以上、または、90質量ppm以上である部分を含んでもよい。Ti3+の上限は、特に限定されないが、通常10000質量ppmであり、好ましくは5000質量ppmである。Ti3+の含有量が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。Ti3+の含有量は、ESR(電子スピン共鳴法)で測定できる。
第2実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオンの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、1.5%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%の順により好ましい。また、Tiイオンの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、38%、35%、33%、30%の順により好ましい。ここで、Tiイオンは、Ti4+、Ti3+の他、価数の異なる全てのTiイオンを含むものとする。
第2実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算したときの可視光の透過率の最大値が、好ましくは50%以下である部分を含み、また透過率の最大値が40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または、1%以下である部分を含んでもよい。可視光の透過率の最大値は0%であってもよい。厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、可視光とは、波長400~760nmの範囲の光である。
第2実施形態に係るガラスは、導電性を有する部分を含み、好ましくは電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含み、また電気伝導度が10-7S/cm以上、10-6S/cm以上、10-5S/cm以上、5×10-5S/cm以上、10-4S/cm以上、5×10-4S/cm以上、10-3S/cm以上、5×10-3S/cm以上、または、10-2S/cm以上である部分を含んでもよい。電気伝導度の上限は、特に限定されないが、通常102S/cmであり、好ましくは1S/cmである。電気伝導度が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。電気伝導度は、例えば、交流インピーダンス法で測定できる。また、電気伝導度の測定温度は、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg-200℃)以上、ガラス転移温度Tgより低い温度とする。
第3実施形態に係るガラスは、
屈折率ndが1.75以上であり、
電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含む。
第3実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは1.75以上である。好ましくは1.76以上であり、さらには1.77以上、1.78以上、1.79以上、1.80以上の順により好ましい。屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.50であり、好ましくは2.30である。本実施形態において、屈折率ndはそのまま測定してもよく、ガラスの着色を低減させてから測定してもよい。着色を低減する方法として、例えば後述する電圧を印加する方法、および熱処理が挙げられる。熱処理によりガラスの着色を低減する方法としては、ガラスを大気雰囲気中においてTg近傍で数時間~数十時間加熱する方法が挙げられる。
第3実施形態に係るガラスは、導電性を有する部分を含み、具体的には、電気伝導度が10-8S/cm以上である部分を含む。本実施形態に係るガラスは、電気伝導度が好ましくは10-7S/cm以上である部分を含み、また電気伝導度が10-6S/cm以上、10-5S/cm以上、5×10-5S/cm以上、10-4S/cm以上、5×10-4S/cm以上、10-3S/cm以上、5×10-3S/cm以上、または、10-2S/cm以上である部分を含んでもよい。電気伝導度の上限は、特に限定されないが、通常102S/cmであり、好ましくは1S/cmである。電気伝導度が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。電気伝導度は、交流インピーダンス法で測定できる。また、電気伝導度の測定温度は、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg-200℃)以上、ガラス転移温度Tgより低い温度とする。
第3実施形態に係るガラスは、厚さ1.0mmに換算したときの可視光の透過率の最大値が、好ましくは50%以下である部分を含み、また透過率の最大値が40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または、1%以下である部分を含んでもよい。可視光の透過率の最大値は0%であってもよい。厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。なお、可視光とは、波長400~760nmの範囲の光である。
第3実施形態に係るガラスは、好ましくはTi3+の含有量が0.5質量ppm以上である部分を含み、またTi3+の含有量が1質量ppm以上、5質量ppm以上、15質量ppm以上、25質量ppm以上、50質量ppm以上、70質量ppm以上、または、90質量ppm以上である部分を含んでもよい。Ti3+の上限は、特に限定されないが、通常10000質量ppmであり、好ましくは5000質量ppmである。Ti3+の含有量が上記範囲である領域は、ガラスの一部でもよいし、全部でもよい。Ti3+の含有量は、ESR(電子スピン共鳴法)で測定できる。
第3実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオンの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、1.5%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%の順により好ましい。また、Tiイオンの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、38%、35%、33%、30%の順により好ましい。ここで、Tiイオンは、Ti4+、Ti3+の他、価数の異なる全てのTiイオンを含むものとする。
第4実施形態に係るガラスの要旨は以下のとおりである。
〔1〕厚さ1.0mmに換算して波長500~1000nmの範囲における透過率の最大値が0.102%以下である透過率特性を有する、
電気的に脱色可能な着色ガラス。
P2O5を含み、
Li2OまたはNa2Oのいずれか1つを含み、
TiO2、Nb2O5、WO3およびBi2O3からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の着色ガラス。
波長500~1000nmの範囲における透過率の最小値が69.59%以上である部分を有し、
これらの部分のガラス成分組成が同じである、ガラス成形体。
P2O5を含み、
TiO2、Nb2O5、WO3およびBi2O3からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む、〔8〕に記載の脱色方法。
本発明に適用できるガラス材のガラス組成としては、以下の実施例に示すガラス組成の他に、WO 2017/006998 A1、特開2014-185075、特開2015-067522、特開2012-091989、特開2006-111499、特開2005-206433、特開2005-075665、特開2002-173336、特開2018-002520、特開2018-002521に開示されたガラス組成が挙げられる。
表1~3に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。なお、表1、2、3は、No.1-1~1-4のガラスサンプルについて、それぞれカチオン%表示、モル%表示、質量%表示で示したものである。モル%表示および質量%表示において、ガラス組成は、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいい、各ガラス成分の表記は慣習にならい、SiO2、TiO2などと記載する。そして、モル%表示とは、全てのガラス成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。また、質量%表示とは、全てのガラス成分の含有量の合計を100%としたときの質量百分率である。
ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、メタリン酸塩、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスの組成が、表1~3に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1100~1450℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷した。長さ20mm、幅10mm、厚さ1.0mmの大きさに加工し、20mm×10mmとなる2つ面を精密研磨して、ガラスサンプルを得た。
上記ガラスサンプルを、真空・ガス置換炉を用いて熱処理した。まず、ガラスサンプルを炉内に配置した。炉内を-100kPa程度にまで減圧し、大気圧になるまで炉内に窒素ガスを導入した。再び、炉内を-100kPa程度にまで減圧し、大気圧になるまで炉内に水素ガスを導入した。昇温速度50~400℃/hで炉内を昇温した。No.1-1では650℃、No.1-2では470℃、No.1-3では560℃、No.1-4では630℃まで昇温し、その温度で5時間保持して、ガラスを水素雰囲気で熱処理した。着色されたガラスサンプルを得た。
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1~3に示す各組成のとおりであることを確認した。
上記ガラスサンプルについて、JIS規格 JIS B 7071-1の屈折率測定法により、屈折率ndを測定した。透過率が低いガラスサンプルは、Tg近傍で数時間から数十時間熱処理して透過率を高めてから測定した。結果を表4に示す。なお、表4には屈折率の値の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁まで表示する。
上記着色されたガラスサンプルについて、Ti3+含有量をESR(電子スピン共鳴法)にて測定した。
その結果、サンプルNo.1-1では、Ti3+の含有量は98質量ppmであった。
上記着色されたガラスサンプルおよび還元性雰囲気での熱処理前のガラスサンプルについて、波長400~760nmにおける外部透過率を測定した。外部透過率は、サンプルの厚み方向に光を入射したときの、入射光強度に対する透過光強度の百分率[透過光強度/入射光強度×100]で定義される。なお、外部透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。サンプルNo.1-1~1-4についての結果を、それぞれ図1~4に示す。
表5~7に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。なお、表5、6、7は、No.2-1~2-50のガラスサンプルについて、それぞれカチオン%表示、モル%表示、質量%表示で示したものである。モル%表示および質量%表示については、実施例1と同じである。
ガラスの構成成分に対応するフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスのガラス組成が、表5~7に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1300~1450℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。白金坩堝に蓋をした状態で、熔融ガラスに、水または含炭素化合物の水溶液、すなわち0~1vol%のエタノール水溶液1.5~40ccを吹きかけ、付加した。その後、熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷した。長さ40mm、幅10mm、厚さ1mmの大きさに加工し、40mm×10mmとなる面を精密研磨して、ガラスサンプルを得た。
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表5~7に示す各組成のとおりであることを確認した。
上記ガラスサンプルを、KNO3の単塩、または、KNO3およびNaNO3の混合塩からなる溶融塩に浸漬し、化学強化サンプルを得た。このとき、溶融塩の温度は380℃とし、浸漬時間は4時間とした。
上記ガラスサンプルについて、JIS規格 JIS B 7071-1の屈折率測定法により、屈折率ndを測定した。透過率が低いガラスサンプルは、Tg近傍で数時間から数十時間熱処理して透過率を高めてから測定した。表8には屈折率ndの値の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁まで表す。
nd(C)+Δnd(y-x)
として算出できる。
上記ガラスサンプル(強化前のガラスサンプル)および化学強化サンプルについて、実施例1と同様に、波長400~760nmにおける外部透過率を測定した。
その結果、No.2-1~2-50の組成を有するガラスサンプル(強化前のガラスサンプル)および化学強化サンプルにおいて、波長400~760nmにおける透過率の最大値は全て5%以下であった。
上記ガラスサンプル(強化前のガラスサンプル)および化学強化サンプルについて、JIS R 1601:2008に規定される3点曲げ試験法により、抗折強度(曲げ強さ)を測定した。支点間距離は30mmとした。結果を表8に示す。
上記化学強化サンプルについて、比重をアルキメデス法により測定した。結果を表8に示す。
上記化学強化サンプルについて、Rigaku社製の示差走査熱量分析装置(DSC8270)を使用し、昇温速度10℃/分にてガラス転移温度Tg測定した。結果を表8に示す。
表9に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、メタリン酸塩、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスの組成が、表9に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1100~1450℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷した。長さ20mm、幅10mm、厚さ1.0mmの大きさに加工し、20mm×10mmとなる2つ面を精密研磨して、ガラスサンプルを得た。
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表9に示す各組成のとおりであることを確認した。
上記ガラスサンプルについて、JIS規格 JIS B 7071-1の屈折率測定法により、屈折率ndを測定した。透過率が低いガラスサンプルは、Tg近傍で数時間から数十時間熱処理して透過率を高めてから測定した。結果を表9に示す。なお、表9には屈折率ndの値の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁まで表示する。
比重は、アルキメデス法により測定した。結果を表9に示す。
ガラス転移温度Tgは、MACサイエンス社製の熱機械分析装置(TMA4000S)を使用し、昇温速度4℃/分にて測定した。結果を表9に示す。
平均線膨張係数の測定方法は、日本光学硝子工業会規格JOGIS 08―2003「光学ガラスの熱膨張の測定法」に従い測定した。丸棒状の試料の直径を5mmとした。結果を表9に示す。
日本光学硝子工業会規格JOGIS06-2009の規定に従い、得られたガラスサンプルを比重に相当する重量の粉末ガラス(粒度425~600μm)にし、白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その処理前後での重量減少率(%)を測定した。その重量減少率を等級で評価した。結果を表9に示す。
[還元性雰囲気での熱処理]
表9に示した試料No.3-4のガラスサンプルについて、450℃まで昇温し、その温度で0~116時間保持する以外は、実施例1と同様に還元性雰囲気で熱処理した。その後、実施例1と同様に、可視光域(波長400~760nm)における外部透過率を測定した。さらに、波長1100nmにおける外部透過率を測定した。
処理時間、可視光域における透過率の最大値、波長1100nmにおける透過率を表10に示す。
上記ガラスサンプルを、厚さ1mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有する板状ガラス試料に加工した。この板状ガラス試料の研磨面に垂直方向から光を入射して、波長2500nmにおける外部透過率Aおよび波長2900nmにおける外部透過率Bを、分光光度計を用いてそれぞれ測定し、下記式(1)により、βOHを算出した。結果を表10に示す。
βOH=-[ln(B/A)]/t ・・・(1)
表11に示す熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件でガラスを製造した。
表11のNo.3-2-Aおよび3-2-Bは、表9のNo.3-2と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
同様に、No.3-6-Aおよび3-6-Bは、表9のNo.3-6と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
No.3-7-A~3-7-Hは、表9のNo.3-7と同じガラス組成およびガラス特性を有する。 熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件について、以下に説明する。
表11に示すNo.3-1、3-2-A、3-3、3-5、3-7-B、3-8、3-7-Hでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加した。
No.3-7-Cでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加し、さらに熔融ガラスにエタノールを付加した。
No.3-7-Dでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に窒素ガスを付加した。
No.3-7-Fでは、熔融ガラスにマンニトールを付加した。
No.3-1、3-2-A、3-2-B、3-3、3-5、3-6-A、3-6-B、3-7-G、3-8、3-7-H、3-4では、表11に示す温度まで昇温し、その温度で表11に示す時間保持する以外は、実施例1と同様に還元性雰囲気で熱処理した。
表11に示すNo.3-2-A、3-6-A、3-7-A~3-7-C、3-7-H、3-4のガラスサンプルについて、Ti3+含有量をESR(電子スピン共鳴法)にて測定した。実施例3-1と同様の方法で、可視光域における透過率の最大値および波長1100nmにおける透過率を測定した。結果を表12に示す。
表11に示すNo.3-1、3-2-B、3-3、3-5、3-6-B、3-7-A~3-7-G、3-8のガラスサンプルについて、交流インピーダンス法で表13に示す測定温度における電気伝導度を測定した。また、実施例3-1と同様の方法で、可視光域における透過率の最大値および波長1100nmにおける透過率を測定した。結果を表13に示す。
[化学強化]
表10に示す、還元性雰囲気で8h熱処理したNo.3-4のガラスサンプルを、表14に示すとおりKNO3とNaNO3とのモル比が5:5の混合塩からなる溶融塩に浸漬し、化学強化サンプルを得た。このとき、溶融塩の温度は340℃とし、浸漬時間は2時間とした。
上記化学強化サンプルについて、JIS R 1601:2008に規定される3点曲げ試験法により、抗折強度(曲げ強さ)を測定した。測定サンプルの寸法は40mm×10mm×1mmとし、支点間距離は30mmとした。なお、検体数は5以上とした。得られた数値の平均値、最大値、最小値を表14に示す。
表15に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
ガラスの構成成分に対応するフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスのガラス組成が、表15に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1300℃で2~3時間加熱して熔融ガラスとした。白金坩堝に蓋をした状態で、熔融ガラスに、水および含炭素化合物、すなわち0.1wt%エタノール水溶液を吹きかけ、付加した。その後、熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表15に示す各組成のとおりであることを確認した。
得られたガラスサンプルについて、屈折率nd、アッベ数νd、比重およびガラス転移温度Tgを測定した。結果を表16に示す。
JIS規格 JIS B 7071-1の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、nCを測定し、下式に基づきアッベ数νdを算出した。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
なお、表16には屈折率ndの値の小数点以下6桁目を四捨五入して小数点以下5桁まで表示する。
比重は、アルキメデス法により測定した。
MACサイエンス社製の熱機械分析装置(TMA4000S)を使用し、昇温速度4℃/分にて測定した。
上記ガラスサンプルを、厚さ1mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長300~2500nmにおける外部透過率を測定した。外部透過率は、ガラスサンプルの厚み方向に光を入射したときの、入射光強度に対する透過光強度の百分率[透過光強度/入射光強度×100]で定義される。なお、外部透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。結果を図5に示す。
ガラスの製造において、0.1wt%エタノール水溶液に代えて0.3wt%エタノール水溶液を熔融ガラスに吹きかけ、付加した他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
ガラスの製造において、0.1wt%エタノール水溶液に代えて0.5wt%エタノール水溶液を熔融ガラスに吹きかけ、付加した他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
ガラスの製造において、0.1wt%エタノール水溶液に代えて5wt%エタノール水溶液を熔融ガラスに吹きかけ、付加した他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
ガラスの製造において、熔融ガラスに水および含炭素化合物の付加を行わなかった他は、実施例4-1と同様にしてガラスサンプルを得た(雰囲気制御無し)。得られたガラスサンプルについて、実施例4-1と同様に透過率の測定を行った。結果を図5に示す。
実施例4-2で得られたガラスサンプルについて、以下の条件で電圧を印可し、電気的にパターン状の脱色を行った。電圧印加のために用いた装置の模式図を図6に示す。
また、ガラスサンプルの脱色部分および非脱色部分の透過率を図8に示す。
さらに、脱色部分と非脱色部分との境界の断面の写真を図9に示す。
表17に示すガラス組成を有するガラスサンプルを、実施例3-1のガラスの製造と同様の手順で作製した。
表18に示す熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件でガラスを製造した。
表18のNo.5-2-Aおよび5-2-Bは、表17のNo.5-2と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
同様に、No.5-3-A、5-3-B、および5-3-Cは、表17のNo.5-3と同じガラス組成およびガラス特性を有する。
熔融条件および還元性雰囲気での熱処理条件について、以下に説明する。
表18に示すNo.5-3-Bでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加した。
表18に示すNo.5-2-Bでは、ガラスの熔融工程において熔融雰囲気に水蒸気を付加し、さらに熔融ガラスにアルコールを付加した。
No.5-1、5-2-A、5-2-B、5-3-C、5-4、5-5では、表18に示す温度まで昇温し、その温度で表18に示す時間保持する以外は、実施例1と同様に還元性雰囲気で熱処理した。
得られたガラスサンプルについて、実施例3-2と同様の方法でβOHを測定した。結果を表18に示す。
表18に示すNo.5-1、5-2-A、5-2-B、5-3-A、5-3-B、5-3-C、5-4、5-5のガラスサンプルについて、実施例3-1と同様の方法で、可視光域における透過率の最大値および波長1100nmにおける透過率を測定した。
表18に示すガラスサンプルについて、色味を観察した。また、可視光域における透過率曲線を作成した。図10~13に示す。
特に、No.5-3-A、5-3-Bのガラスサンプルは青みを帯びた黒色であった。図11は、図10の縦軸を拡大したものであり、No.5-3-Bのガラスサンプルの透過率曲線を示す。
Claims (12)
- 屈折率ndが1.75以上であり、
厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含み、かつ結晶化した部分および化学強化された部分の少なくとも1つを含むリン酸塩ガラス。 - 屈折率ndが1.75以上であり、
Ti3+の含有量が0.1質量ppm以上である部分を含み、かつ結晶化した部分および化学強化された部分の少なくとも1つを含む、リン酸塩ガラス。 - 屈折率ndが1.75以上であり、
電気伝導度が10-8S/m以上である部分を含み、かつ結晶化した部分および化学強化された部分の少なくとも1つを含むリン酸塩ガラス。 - ガラス成分としてNbイオンを1カチオン%以上含有する、請求項1~3のいずれかに記載のリン酸塩ガラス。
- ガラス成分としてTiイオンを0.5カチオン%以上含有する、請求項1~4のいずれかに記載のリン酸塩ガラス。
- ガラス成分としてLi+およびNa+を合計で0.1カチオン%以上含有する、請求項1~5のいずれかに記載のリン酸塩ガラス。
- 平均線膨張係数が50×10-7K-1以上である請求項1~6のいずれかに記載のリン酸塩ガラス。
- JOGISに基づく耐酸性が1等級である、請求項1~7のいずれかに記載のリン酸塩ガラス。
- 金属材料およびセラミックスのいずれか一方または両方と、請求項1~8のいずれかに記載のリン酸塩ガラスとを含む、複合化ガラス。
- 成形したリン酸塩ガラスを還元性雰囲気で熱処理する工程を含む、
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含むリン酸塩ガラスの製造方法。 - 還元性雰囲気で熔融リン酸塩ガラスを得る工程を含む、
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含み、かつ結晶化した部分および化学強化された部分の少なくとも1つを含むリン酸塩ガラスの製造方法。 - 熔融雰囲気に水蒸気を付加する工程を含む、
屈折率ndが1.75以上であり、厚さ1.0mmに換算して可視光の透過率の最大値が50%以下である部分を含み、かつ結晶化した部分および化学強化された部分の少なくとも1つを含むリン酸塩ガラスの製造方法。
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