本発明はこうした従来技術上の問題点を解決することを企図したものであり、サイズや重量が異なる物品をコンベヤ・仮置棚などから仮置棚・かご車(台車)などに、効率よく、確実に、かつ安全に移載することができる物品移載装置を提供することを課題とする。
また、そのような物品移載装置を用いて、コンベヤから仮置棚に一旦仮置きし、その後、積み付けロジックに従って、仮置棚からかご車に隙間なく積みつけられる物品移載システムを提供することも課題である。
かかる課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る物品移載装置は、
コンベヤから移送された物品を上面に載置しうる、略水平方向に延伸する、中央部の固定フォークと両側の可動フォークとからなるフォーク群と、
前記フォーク群を保持するロボットハンドと、
前記フォーク群と前記ロボットハンドとの間に設けられる連続的に前記両側の可動フォーク間の間隔を調整できるフォーク間隔調整部と、
前記コンベヤから略水平状態のまま前記物品を前記フォーク群の上面に押し出す第1のプッシャと、
前記ロボットハンドを3次元の移動回転可能に保持するマニピュレータと、
前記第1のプッシャ及び前記マニピュレータを制御する制御部と
を有することを特徴とする。
このようにすると、物品を載置するフォーク群のうち、中央部の固定フォークが、物品の略中央部の底面をしっかり保持することができる。なお、ここでは、フォーク状の機構を構成する各々の部材(歯部)をフォークと呼び、複数のフォークからなる機構をフォーク群と呼ぶが、全体をフォークと称することもある。
すなわち、物品がダンボール詰めの場合など、両端のみの保持であると、物品の中央の底部が内容物の重量により下がってしまい、最悪の場合は、底部が破損して内容物が落下するなどの恐れがある場合があるが、中央部にフォークを設けることによってそれらを防止することができ、安定した移載作業が可能となる。中央部の固定フォークは、いわば物品底部破損防止機構と言ってもよい。
さらに両端のフォークは、物品の両端の位置にせず、やや内側の位置、すなわち固定フォークと合わせて物品の底面に掛かる力が分散される位置にすることで、物品の底部の変形や破損を防止している。
また、物品の寸法に応じて、両側の、少なくとも2本の可動フォークの相互の間隔を調整可能としたから、コンベヤからプッシャによって押し出された物品は、押し出される物品の直下に略面一に予め位置していて、大きな物品の場合は間隔を広げた可動フォークの上に、また、小さな物品の場合は間隔を狭められた可動フォークの上に載置されることにより、物品の確実な移載が可能となる。
更に、このような構造であると、フォーク群をコンベヤ側に差し込む必要がなく、第1のプッシャによって押し出すだけであるので、コンベヤ側も単純な構造のままで追加の機構を必要とせず、経済的にシステムを構成することができる。
なお、それらの制御は、物品を搬送してくるコンベヤへの搭載時の情報や、物品のフォーク群への移載の直前に、物品のサイズ、位置、向き、重量などを検知する検知手段からの情報に基づき、制御部によって、予め定めたプログラムを用いて、実行される。
また、フォーク群を構成するフォークの本数は3本が好適であるが、取り扱う物品などの条件によっては、それよりも多くてもよく、中央部の固定フォークが、中央部近傍の2本以上のフォークであってもよい。
ここで、中央部の固定フォークは、フォーク間隔調整部による間隔調整を行わず、固定位置であることが好適であるが、状況によっては少々の間隔調整に応じることもあり得る。
また、本発明の第2の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、
前記フォーク群の各フォークの延伸方向の断面形状が、先端部を除き上面及び下面が略平行であることを特徴とする。
このようにすると、後述するかご車などへの物品の移載の際に、物品の傾きを少なくすることができ、効率的な積み付けが可能となる。
あるいは、本発明の第3の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、前記フォーク群の各フォークの延伸方向の断面形状が、先端部が薄く、後端部が厚いことを特徴とする。
このようにすると、物品の重量が重い場合に、フォークの重量の増加を抑えてフォークの強度を確保することができる。
なお、上方から見たフォークの平面形状は、略細長の長方形が好適であるが、先端が尖った細長の三角形であってもよい。対象とする物品の形状によっては移載動作が良好に行える、あるいはフォークの材料費が低廉になるなどの効果がある場合もあり得る。
また、本発明の第4の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、
前記フォーク群のうち、少なくとも可動フォークの上面に溝部を有することを特徴とする。
この溝部は、フォーク群の上に物品を移載する、あるいは積み下ろす際に、摩擦抵抗を減ずることに有効であり、更に、後述する第2のプッシャの下部に設けたローラのガイド用に用いることができる。
また、本発明の第5の態様に係る物品移載装置は、第1の態様において、更に、
前記フォーク群の全てまたは一部のフォークの物品載置面に設けた摩擦力調整機構と
を有することを特徴とする。
このようにすると、物品をフォーク群に新たに載置する場合、あるいは載置された物品を放出する場合には、低い摩擦力で物品を容易に移動でき、物品を載置した状態で移送する場合には、高い摩擦力で物品を保持することにより、移送中のずれ、滑りなどを防止することができる。
次に、本発明の第6の態様に係る物品移載装置は、第5の態様における摩擦力調整機構が、前記フォーク群の全てまたは一部のフォークの物品載置面に設けた高摩擦部と、前記フォーク群の全てまたは一部のフォークに設けた、前記高摩擦部から突出しうる滑動部材とからなることを特徴としてもよい。
ここで、高摩擦部材とは、摩擦係数の高いウレタンシート、フリクションパッド(シム)などをフォーク上面に貼付する、フォーク上面に表面加工を施して摩擦係数を高めるなどによって、当初のフォーク上面よりも摩擦係数の高い部位を形成したものであり、その形成手段はどのようなものであってもよい。
また、滑動部材とは、ホイールコンベヤ、あるいはコロ式コンベヤ好適であるが、それ以外にも、ローラコンベヤや、摩擦係数の低いテフロン(登録商標)コーティングした、あるいはテフロンシートを貼付した板材であってもよい。
更に、滑動部材が高摩擦部から突出するとは、高摩擦部が固定であり滑動部材が上下動することによって摩擦力を調整する場合と、逆に、滑動部材が固定で、高摩擦部が上下動することによって相対的に滑動部材が突出する場合とを含むものである。
このようにすると、物品をフォーク群に新たに載置する場合、あるいは載置された物品を放出する場合には、突出した滑動部材による低い摩擦力で物品を容易に移動でき、物品を載置した状態で移送する場合には、滑動部材を相対的に加工させ、高摩擦部が突出した状態で高い摩擦力で物品を保持することにより、移送中のずれ、滑りなどを防止することができる。
次に、本発明の第7の態様に係る物品移載装置は、第5の態様における摩擦力調整機構が、前記フォーク群の全てまたは一部のフォークの物品載置面に設けた気流吸排口であることを特徴としてもよい。
ここで、気流吸排口とは、ポンプなどの動力源によって、空気などの気体流を吸入したり排出したりすることができる部分である。
このようにすると、物品をフォーク群に新たに載置する場合、あるいは載置された物品を放出する場合には、気流吸排部から気流を排出し、フォーク群の物品移載面にかかる物品の荷重を減じることにより摩擦力を低下させて、低い摩擦力で物品を容易に移動でき、物品を載置した状態で移送する場合には、必要に応じて気流吸排口から吸気を行うことで、摩擦力を増加させ、高い摩擦力で物品を保持することにより、移送中のずれ、滑りなどを防止することができる。
なお、気流吸排口の周囲には、吸着あるいは高摩擦力に寄与するゴム製のパッドのような部材を設けて、更に吸着力あるいは摩擦力を増大するようにしてもよい。
また、本発明の第8の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、
前記ロボットハンドから前記コンベヤ方向に略水平方向に延伸できる第2のプッシャと、
前記第2のプッシャの先端部に設けられた吸着パッドと
を有することを特徴とする。
ここで、第2のプッシャ及び吸着パッドは、先に述べたように、可動フォークの上部の溝部によってガイドされ、可動フォーク上を前後に移動するようになっており、更に、可動フォークのフォーク間隔調整に伴って、可動フォークと一体となって幅方向に移動するようになっていることが好適である。
また、本発明の第9の態様に係る物品移載装置は、第8の態様の物品移載装置において、前記第1のプッシャによって物品がフォークの上に移載される際に、前記第2のプッシャが、前記第1のプッシャと連動して物品を両側から把持した状態で移載することを特徴とする。
このようにすると、物品をしっかり保持できるため、より確実で、安定した姿勢での移載が可能となる。
なお、この際に、更に、第2のプッシャに設けられた吸着パッドが物品を吸着するようにしてもよく、更に確実、安定した移載が可能となる。
また、制御部が予め物品の寸法を把握している場合には、吸着パッドを含む第2のプッシャを、物品がコンベヤから移載される際に、物品の移載時の後端がフォークの先端の位置に一致するような位置に待機させておいてもよい。このようにすれば、第2のプッシャの動作が簡略化できる。
ここで、吸着パッドは、空気排気による略真空状態を生成し、それによって強い吸着力を有するようにすることが好適であり、そのようにすることで、物品の移載時に、物品を固定することで、落下や位置ずれを防止し、物品の移載位置の精度を高めることが可能となる。
なお、このような動作についても先の態様と同様に、制御部がその制御を行う
また、本発明の第10の態様に係る物品移載装置は、第8の態様の物品移載装置において、 前記物品が前記第1のプッシャによって前記フォーク群に押し出される際に、該押し出し完了時の前記第2のプッシャの停止位置と前記フォーク群の先端との距離が、前記物品の奥行寸法と略等しいことを特徴とする。
このような動作についても先の態様と同様に、制御部がその制御を行う。このようにすると、その後の移載あるいは積み下ろし動作などにおいて、先端が揃えられている方が、動作時間の短縮などの効果が得られる。但し、システム設計の事情によっては、前記フォーク群の後端側の予め定めた位置に物品の端部を揃えるようにした方が効率がよくなる場合もあり得る。
また、本発明の第11の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、
更に、前記フォーク群の上に載置された物品を保管する仮置棚と
を有することを特徴とする。
ここで、仮置棚は、次工程(トラック積み込みなど)に物品を搬送するかご車(台車)などに積み込むために、物品を一時保管するためのものである。
このようにすると、仮置棚に保管した物品を、後述の積載ロジックを用いて無駄な空間を少なくして、かつ、後処理に便利なように順序立てて(順立)、搬送用のかご車(台車)に積み込むことができ、全体としての処理効率を高めることができる。
すなわち、積載ロジックで、カゴ車へ効率の良い積み付け方を計算した結果、積み付ける順番が決まるので、一旦積み付ける物品を仮置棚に一時保管し、計算した結果で取り出し、積み付けることで、効率よく積み付けが可能になる。
なお、上流に設けられた順立制御が行えるケース自動倉庫など、例えばマルチシャトル(登録商標)システムを併用することで、仮置棚をなくすことも可能である。
すなわち、仮置棚は一時保管用としたが、それに限定せず、そのものを搬送用の台車として用いるようにしてもよい。
なお、先に述べた仮置棚の下に背の低い台車式のロボットを潜り込ませてこの仮置棚を棚ごと担いで所望する場所に移動可能としてもよい。こうすれば、ロボットや仮置棚などシステムの配置を自在にすることができ、狭い場所でも有効に設置が可能である。また、仮置棚から次のカゴ車に移載する場合に積み付けの順位をロボットハンドの移動距離及び時間を浪費することなく最小の範囲で移動可能となり、よりスループットの改善に有効である。
また、本発明の第12の態様に係る物品移載装置は、第11の態様の物品移載装置において、
更に、前記仮置棚に上方に立ち上がる仕切板と、
前記仕切板の間に形成されるフォーク挿入溝と、
前記仕切板の上端部で形成される物品載置面と
を有することを特徴とする。
このようにすると、物品を仮置棚の物品載置面に移載する際に、物品をフォーク群に載置した状態で、物品の底面が物品載置面よりも上になるようにして仮置棚に進入させることができ、その後、フォーク群を僅かに下方に移動することで、物品の仮置棚への移載が完了し、その後、物品が載置されていない状態のフォーク群を抜去すればよく、確実で、かつ、物品を損傷することがない優しい移載が実現できる。
なお、フォーク挿入溝は、くし歯状の溝であって、仮置棚に複数の段があればそのうちの必要な段に設ければよく、また、フォーク群の間隔に合わせて適宜設ければよく、その断面形状(深さ、幅など)も、取り扱う物品なども考慮の上、適宜定めればよい。
また、本発明の第13の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、
更に、前記フォーク群に載置された物品を受け取り、その向き(姿勢)を変更する物品姿勢変更部と
を有することを特徴とする。
ここで、物品姿勢変更部は、後述の積載ロジックなどによる積み付けの計算結果が、元の方向のまま積むよりも向きを変えて積み付けた方が効率がよくなる場合は、向きを変えることを1つの目的とする。
なお、物品姿勢変更部は、物品を保管する仮置棚とかご車との間に設けられ、仮置棚からかご車に移載する際に、仮置棚からフォーク群に移載された物品を載置し、姿勢(向き)を変更した後、再度、物品姿勢変更部からフォーク群に載置して、かご車へと移送するように構成することが好適であるが、これに限定せず、物品が搬送されてきたコンベヤと仮置棚との間に設けるなどしてもよい。
また、物品姿勢変更部は、物品を上面に載置し、モータなどの駆動機構により略水平方向に回転し、物品の向き(姿勢)を変更するようにした回転台(ターンテーブル)が好適であるが、このような機構に限定せず、物品を載置または把持して姿勢(向き)を変更できるものであれば、例えばロボットハンドなど、どのようなものであってもよい。
なお、回転台の場合、物品を載置する上面は、回転台から屹立する複数の格子状小柱の先端部をもって構成されることが好適である。これは、ターンテーブルへの、またはターンテーブルからの物品の移載の際のフォーク群の差し込み位置を確保するためである。
このようにすると、物品をかご車(台車)に移載する際に、1つの目的である効率のよい積み付けが可能になる、あるいは、物品をかご車に搭載した際に、その他の目的である物品に貼付あるいは記入された情報を、同一側に揃えることも可能となり、後処理の際に極めて有効である。
なお、これらの制御も、コンベヤ搭載時の情報や、検知された情報に基づき、先に述べた制御部によって実行される。
また、本発明の第14の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、
更に、前記コンベヤと前記フォーク群との間に設けられた物品一時置台を有することを特徴とする。
物品一時置台はコンベヤの物品載置面と略同一の高さの物品載置面を有し、コンベヤから第1のプッシャによって押し出された物品を一時的に保管するものである。
この物品載置面は、物品一時置台のベース部から上方に立ち上がり、コンベヤからフォーク群の方向に延伸する複数の仕切板をもって構成されることが好適である。
ここで、仕切板の間にフォーク挿入溝が形成され、物品一時置台に載置された物品をフォーク群が移送することを可能としている。
このようにすると、予めコンベヤから物品一時置台に移載された物品を、フォーク群を挿入し、上昇させるのみでフォーク群への移載が完了することから、フォーク群への移載にかかる時間が短縮でき、装置全体の効率向上、作業時間の短縮が可能となる。
ここで、コンベヤから物品一時置台への移載は、フォーク群が物品を仮置台などに移送中に行うことができるため、作業時間増にはならない。
なお、物品一時置台の構造は、これまでに述べたものに限定されず、コンベヤからの物品を一時的に載置して、フォーク群に受け渡すことができるものであればどのようなものであってもよい。
また、物品一時置台に、載置した物品を回転などにより方向変換する機能を付加してもよく、そのようにすれば、最終的にかご車などに積み付ける姿勢で、以降の物品の移送を行わせることもできる。
また、本発明の第15の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、
更に、物品ずれ防止機構と
を有することを特徴とする。
物品ずれ防止機構は、例えば、フォーク群に載置された物品を移送する際に、マニピュレータによってフォーク群の上で物品の載置される平面を傾斜させるようなプログラムである。
具体的には、本発明の第16の態様として、第15の態様に係る物品移載装置であって、フォーク群の上で物品の載置される平面を物品載置面とすると、物品載置面が回転運動あるいは直線運動する際に、加速度(慣性力)によって載置された物品がずれることを防止する方向に傾斜させるように制御すること、及び/または、遠心力による物品のずれや落下を防止するために前記物品載置面を前記フォーク群の先端側が高く前記フォーク群の根元側が低くなるように傾斜させるように制御することを特徴とする。
あるいは、物品ずれ防止機構は、例えば、フォーク群の移動時に、その加加速度(躍度)を略一定にするようなプログラムであり、このようにすると、移送中の物品の姿勢が安定する。
あるいは、これまでに述べた物品載置面の傾斜と定加加速度とを、適宜、組合せて用いてもよい。
このようにすると、コンベヤから仮置棚、あるいは仮置棚からかご車などの移載の際に、より高速でしかもより安定して物品を移送することができるため、作業の効率化が実現できる。
また、本発明の第17の態様に係る物品移載システムは、
第1の態様の物品移載装置と、
前記物品移載装置からの物品の移載を受けるかご車と
を有することを特徴とする。
このようにすると、第1の態様の物品移載装置の利点を享受した上で、かご車への移載を効率的に行わせることができる。
本発明の第18の態様に係る物品移載システムは、第11もしくは第12の態様の物品移載装置と、前記物品移載装置からの物品の移載を受けるかご車とを有する物品移載システムであって、前記仮置棚から前記かご車への前記物品の積み付けは積載ロジックによって行われることを特徴とする。
ここで積載ロジックとは、例えば、本出願と同一の出願人による国際公開公報 WO2017/061632号に記載されたような物品個別識別情報と「空きスペースマップ」とを利用するロジックの応用が好適であるが、このロジックに限定されず、公知の効率よく物品を積みつける方法であればよい。
更には、これまでに収集された物品の寸法、重量などのデータに基づき、AI(人工知能)技術を活用して最適な積載ロジックを求めてもよく、引き続きデータ収集を行うことによって、その制度の向上も期待できる。
なお、AIに用いる技術としては、ベイズ統計学ではナイブベイズ法、ベイズ推定法、ベイジアンネットワーク法、カルマンフィルター法、階層ベイズ法などがあり、機械学習としては、テキストマイニング法、アソシエーション分析法、協調フィルタリング法、評価関数法、K平均法、サポートベクターマシン法、決定木法、異常検知法などを用いて学習させるものであり、深層学習(ディープラーニング)としては、文字認識、画像認識などを用いて学習させるものとする。
このようにすると、ロボットハンドに結合された間隔調整可能な可動フォークと、保管段と、必要に応じて物品姿勢変更部とを有する物品移載装置と、積載ロジックとにより、極めて効率的なかご車への積み付けが行われる。
本発明の第19の態様に係る物品移載システムは、第8から第10のいずれか1つの態様の物品移載装置と、前記物品移載装置からの物品の移載を受けるかご車とを有する物品移載システムであって、において、前記フォーク群の上に載置した物品を前記かご車を含む被移載部の床面または前記かご車を含む被移載部に既に搭載された物品の直近の上方に移送し、前記吸着パッドによって保持しながら前記フォーク群を後退させることによって、前記物品を前記かご車を含む被移載部内に移載することを特徴とする。
このようにすると、吸着パッドによって所定の移載位置まで物品を吸着して保持した状態でフォーク群を後退させるから、物品が略垂直の状態でかご車内に移載されることになるため、かご車壁面との隙間、あるいは物品同士の隙間を少なくすることができ、積み付けの効率が向上する。
また、移載時には吸着を解除して緩やかに物品の落下を行わせることができるので、物品に与える衝撃が少なく、安全な移載が可能となる。
なお、吸着パッドについて、垂直方向に移動可能な機構とすることもでき、そのようにすれば移載完了時まで吸着保持を続けられるので、更に安全な移載が可能となる。
また、移載時には、吸着パッドによって物品を保持したまま、フォーク群を後退させるから、相対的に吸着パッドは前進することになり、このようにすると、移載時の物品の前後左右の位置精度の向上が可能となる。
すなわち、吸着を行わない単なるパッドであると、特に高速で移載動作を行う際には、物品の位置が斜めになったり、あるいは所定の位置より奥まで押し出しすぎたりという不具合が発生する恐れがある。
そこで、本発明のように、移載完了の直前まで吸着動作を行っていることで、高速の移載動作でも、精度よく移載作業を行うことができ、安全正確に処理速度の向上が図れる。
なお、上記態様の中で、かご車を含む被移載部としたのは、かご車に限らず、それ以外の移載を受ける機器、例えば仮置棚、コンベヤ、コンテナなどの場合にも同様の技術思想が応用可能であることを示したものである。
本発明の第20の態様に係る物品移載システムは、第17の態様の物品移載システムにおいて、前記かご車を含む被移載部の床面または前記かご車を含む被移載部に既に搭載された物品の上面を上方から検知する載置スペース確認部を有することを特徴とする。
ここで、載置スペース確認部は、フォーク群からかご車へ物品を移載する場所に設けられた略直方体の枠部と、枠部の上部に設けられた水平2軸(X-Y)方向に移動可能な水平移動部と、水平移動部に取り付けられた測距儀とを有することが好適である。
このような測距儀をX-Y方向に走査して、内部スペースを確認をするもので、測距儀は、測距計、あるいは距離計ともいい、レーザー光を利用して距離を測定するものが好ましい。
測距儀を走査させた結果、これから物品を載置しようとしている空間が確保されている、すなわち、他の物品の倒れ、位置ずれなどがないことを確認して、物品の載置を継続することになる。
なお、載置スペース確認部は、このような構成に限定されず、上方から空間を検知しうる手段であれば、どのようなものであってもよい。
本発明の第21の態様に係る物品移載システムは、第17の態様の物品移載システムにおいて、前記かご車の開放面に設けた荷崩れ防止部と
をさらに有することを特徴とする。
ここで、荷崩れ防止部とは、かご車の壁部のうち、開放されている壁部(通常は物品の移載を行うために開放されている面)について、下部にまとめてある複数の水平の荷崩れ防止材が、物品積み付けの進捗に合わせて、下部から1本ずつ上昇することによって、開放面に物品が倒れ込むような荷崩れを防止するものであることが好適である。
なお、荷崩れ防止材は、丸棒であることが好適であるが、それに限定されず、板状であっても、網状であっても、荷崩れを防止できる部材であれば、どのようなものであってもよい。
その他にも、既に積み込みがなされた部分を遮蔽するスライド可能な扉を設けてもよく、それに限定されず、既に積み込まれた物品の荷崩れを防止あるいは押し戻しできる手段であればどのようなものであってもよい。
このようにすると、物品の荷崩れによる物品の落下、破損、散乱などのトラブルを未然に防止することができ、安定したシステムの稼働に資する。
なお、荷崩れ防止の制御に関しても、AI(人工知能)技術を活用して荷崩れの発生を事前に予測して、適切な制御を最適な積載ロジックを求めてもよく、引き続きデータ収集を行うことによって、その制度の向上も期待できる。
ここで、AIに用いる技術としては、ベイズ統計学ではナイブベイズ法、ベイズ推定法、ベイジアンネットワーク法、カルマンフィルター法、階層ベイズ法などがあり、機械学習としては、テキストマイニング法、アソシエーション分析法、協調フィルタリング法、評価関数法、K平均法、サポートベクターマシン法、決定木法、異常検知法などを用いて学習させるものであり、深層学習(ディープラーニング)としては、文字認識、画像認識などを用いて学習させるものとする。
次に、本発明の第22の態様に係る物品移載装置は、第1の態様の物品移載装置において、 前記ロボットハンドと前記マニピュレータとの間に設けられた振動緩衝器とを、さらに有することを特徴とする。
このように、フォークを保持するロボットハンドと、ロボットハンドを3次元で移動可能とするマニピュレータとの間に振動緩衝器を設けたから、高速でロボットハンドを移動させる際に、ロボットハンドに保持されるフォーク上に載置された物品は、振動が緩衝されるため、フォーク上でのずれなどの恐れが少なくなる。
なお、移送中の物品のずれや落下などの事象の防止の制御に関しては、、AI(人工知能)技術を活用して事象の発生を事前に予測して、適切な制御方法を求めてもよく、更に、引き続きデータ収集を行うことによって、その制度の向上も期待できる。ここで、AIに用いる技術については既に説明した技術を用いることができる。
次に、本発明の第23の態様に係る物品移載装置は、
物品を上面に載置しうる第1支持部と第2支持部を備えるフォークと、
前記フォークを保持するロボットハンドと、
前記第1支持部に対する前記第2支持部の相対位置を調整できるフォーク間隔調整部と、
前記ロボットハンドの向きを移動可能に保持するマニピュレータと、
前記第1支持部に対する前記第2支持部の相対位置及び前記マニピュレータの移動を制御する制御部と備え、
前記第1支持部と前記第2支持部は物品の側面を抑えないことを特徴とする。
この態様以降の説明では、フォークとは、複数のフォークの歯からなる機構を表すものとする。
ここで、物品のフォークへの移載は、コンベヤからプッシャなどを用いる方法が好適であるが、それに限定されず、他のマニピュレータのロボットハンドによる方法や、コンベヤ搬送方向で受け取る方法や、人手によって載置する方法など、どのような方法であってもよい。
ここで、第1支持部と第2保持部とは、ロボットハンドから突出するフォークの歯のうち、両端の可動のフォークの歯であることが好適であるが、それに限定されず、少なくとも2本の支持部を有するとしたものである。
また、第1支持部及び第2保持部は、断面形状がL字状(一つのフォークの歯で荷物を上面と横面を同時に抑えるもの)ではなく、物品を上面に載置するものであれば、形状は平板、波型板、丸棒、角棒、三角棒、楕円板など、どのような形状であってもよい。
このようにすると、一般に、少なくとも2本のフォークの歯に物品を載置して移送する場合に、フォークの歯の間隔を物品の寸法に合わせることができるため、物品の側面を抑えなくても安定した移送状態が得られる。
次に、本発明の第24の態様に係る物品移載装置は、
物品を上面に載置しうる第1支持部と第2支持部と第3支持部とを備えるフォークと、
前記フォークを保持するロボットハンドと、
前記第1支持部に対する前記第2支持部の相対位置を調整できるフォーク間隔調整部と、
前記ロボットハンドの向きを移動可能に保持するマニピュレータと、
前記第1支持部に対する前記第2支持部の相対位置及び前記マニピュレータの移動を制御する制御部と備え、
前記第3支持部は、前記第1支持部と前記第2支持部との間に位置し、かつ、前記第3支持部は前記ロボットハンドとの相対位置は不動であることを特徴とする。
ここで、第1支持部と第2保持部とは、ロボットハンドから突出するフォークの歯のうち、両端の可動のフォークの歯であり、第3保持部は中央部分の固定のフォークの歯であることが好適であるが、それに限定されず、少なくとも3本の支持部を有するとしたものである。
このようにすると、一般に、フォークに物品を載置して移送する場合に、第1支持部と第2支持部との間に位置する第3支持部が、物品、特に底面中央部に合せ目があって比較的強度が弱いダンボールなどの破損を防止することができる。
なお、第3支持部の位置は、中央に限定するものではなく、第1支持部と第2保持部との間であれば、どの位置であってもよく、移送する物品に合わせればよい。
また、第3支持部を有する場合は、両側の第1支持部及び第2支持部については、物品を両側から抑える断面L字状であってもよい。
次に、本発明の第25の態様に係る押出装置は、
物品を上面に載置しうるフォークと、
前記フォークを保持するロボットハンドと、
前記ロボットハンドの向きを移動可能に保持するマニピュレータと、前記マニピュレータの移動を制御する制御部と備える物品移載装置の前記フォークの上面に物品を載置させる押出装置であって、前記フォークに載置されていない物品を前記ロボットハンドと対向する面から前記ロボットハンドに向けて押し出すことにより、前記フォークの上面に物品を載置させることを特徴とする。
なお、フォークに載置されていない物品とは、コンベヤ上に載置されている物品が好適ではあるが、机上や棚上に載置されている物品などどのような状態であってもよい。
また、フォークの歯の形態に関しても、本数、断面形状(平面状かL字状か)、可動か固定か、などに、特に制限はなく、どのような形態であっても適用が可能である。
このようにすると、フォークを伸長させたりロボットハンドを押し込んだりして物品を受け取る必要がなく、第1のプッシャによって、物品がコンベヤなどからフォークへと移載されるため、全体の構造が簡便になったり、処理効率が向上したりする利点がある。
本発明によれば、相互の間隔を調整可能な、物品を載置し移送する略水平方向に延伸する複数のフォークを用いることにより、サイズや重量が異なる物品をコンベヤ・仮置棚などから仮置棚・かご車(台車)などに、効率よく、確実に、かつ安全に移載することができる物品移載装置を提供することができた。
更に、コンベヤから仮置棚に一旦仮置きし、その後、積み付けロジックにしたがって保管棚からかご車に、効率よく積みつけられる物品移載システムをも提供することができた。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
図1は本発明の一実施形態の物品移載装置及び物品移載システムの斜視図であり、本発明の範囲外のローラコンベヤ90によって搬送されてくる物品G(特に段ボールなどに梱包された物品が主であるがそれに限定されない。)を、マニュピレータ10のアームの先端のロボットハンド11に取り付けられた3本のフォークからなるフォーク群20に移載し、それを仮置棚60に仮置きする物品移載装置1を示しており、更に、この物品移載装置1と、仮置棚60からの物品Gを積載するかご車110とを含む物品移載システムも示している。
ここで、物品Gは、ローラコンベヤ90の上を、図中の矢印の方から搬送されてくる。その物品は、自動倉庫から自動的に供給されるもの、あるいは、人手やロボットなどにより、ローラコンベヤ90に載置されて供給されるものなどが含まれる。
ローラコンベヤ90の搬送途中には、ローラコンベヤ90の下方に物品Gの重量を測定する重量計91が設けられている。これは、ローラコンベヤ90の一部分を独立させ、そのコンベヤの下方にロードセルを設けて重量を測定するなど、公知の技術を用いればよい。
また、同様に、ローラコンベヤ90での搬送中に、物品Gの寸法を測定する才数計92が設けられている。これは、上方からレーザー光を照射して物品の縦・横・高さの寸法を測定するものが好適であるが、それに限定せず公知の技術を用いればよい。
更に、ローラコンベヤ90の進行方向には、ローラが斜めに取り付けられているスキュードローラコンベヤ93が設けられており、物品Gを搬送方向のどちらかに幅寄せすることができる。本実施例では、ローラコンベヤ90の進行方向に対して、後述する第1のプッシャ30側に寄せるようになっている。
なお、幅寄せは、全体システムの構成によっては、ローラコンベヤ90の進行方向に対して、後述する第1のプッシャ30側と反対の方向でもよく、幅寄せ機構もスキュードローラコンベヤ93に限定せず、バネ性のあるレバーによって行う方法などであってもよい。
ローラコンベヤ90の終端部分には、ステーションコンベヤ94が設けられており、この部分において、物品Gが移載のために適切な位置に停止される。なお、ステーションコンベヤ94は、物品の移載が容易なように、コンベヤ進行方向の両側のガイド壁は設けていない。
ステーションコンベヤ94の進行方向に対して一方の側に第1のプッシャ30が設けられる。
また、他方の側には、第1のプッシャ30によって押し出された物品Gを受け取るようにマニピュレータ10によって配置されることができる3本のフォークからなるフォーク群20を位置させることができるようになっている。なお、フォーク群20はステーションコンベヤ94内に延伸させる必要はなく、ステーションコンベヤ94の外側直近に位置させればよい。
第1のプッシャ30は、待機時にはステーションコンベヤ94外に位置しており、ステーションコンベヤ94の進行方向に平行に延伸する押し板31と、押し板31をステーションコンベヤ94を横断して直進させることができる、エアシリンダなどからなる押圧部32とを有している。なお、押圧部32はエアシリンダに限定せず、直進運動が可能なものであれば電動シリンダなど公知の技術を用いればよい。
また、ロボットハンド11には、第1のプッシャ30と対向する位置に、第2のプッシャ50が設けられている。第2のプッシャ50については後に詳述する。
更に、必要に応じて、マニピュレータ10とロボットハンド11との間に、衝撃緩衝器500を設けてもよい。衝撃緩衝器500については後に詳述する。
図2は本発明の一実施形態の物品移載装置のフォーク群20及び第2のプッシャ50を示す斜視図である。この部分は、ロボットハンド11の前面に設けられており、略同一水平面上を略同一方向(図中Y方向)に延伸する固定フォーク21、可動フォーク22(両側はほぼ同一構造であるので、以下、同一符号で説明する)と、可動フォーク22の上面に設けられた溝部23と、第2のプッシャ50とを有している。
更に、第2のプッシャ50を保持するリニアガイド51の可動部と、リニアガイド51の可動部に固定されY方向に延伸するラック511と、ラック511と噛み合うピニオン512と、2個のピニオン512を図中X方向にスライド可能に保持する水平軸513と、水平軸513を両端でロボットハンド11本体に支持するピロー514とを有している。
更にまた、リニアガイド51の固定部を支持する支持台515と、支持台515に固定されX方向に延伸する2本のラック516と、両方のラック516と噛み合うピニオン517と、ピニオン517を回転可能に保持する垂直軸518とを有している。
ここで、第2のプッシャ50には、そのY方向先端部に、上下2個の吸着パッド51U、51Dとその間にプッシャヘッド52が設けられており、吸着パッド51U、51Dは先端部がゴム製のカップ状になっており、物品に押し当てられることによって気密が維持され、かつ、図示しない配管が接続され、空気の吸引吐出が可能なようになっている。
更に、第2のプッシャ50には、そのX方向側面下部に車輪53が設けられている。図3は本発明の一実施形態の物品移載装置の車輪53と可動フォーク22とを示すフォーク延伸方向(Y方向)に垂直な断面図であり、車輪53は、その両側を可動フォーク22の上面に設けられたX方向の2本の溝部23にはまるようにガイドされて、X方向に回転移動可能なようになっており、これにより、第2のプッシャ50は、可動フォーク22の上をY方向に前進後退が可能となっている。なお、溝部23は2本としたが、1本の溝で車輪53も両側に分離していなくてもよい。
なお、可動フォーク22の材質は、上部溝を有する上部221を鉄材で、それ以外の本体部分222をアルミ材で形成することが、機能的に及びコスト的に好適であるが、それに限定するものではない。
固定フォーク21はロボットハンド11の本体に固定されており、その位置は変わらない。一方、2本の可動フォーク22は、図示しない駆動源によりピニオン517を回転させることによってラック516をX方向に平行移動させることで、その間隔を狭めたり、拡げたりすることができる。この部分を総称してフォーク間隔調整部25と呼ぶ。
更に、第2のプッシャ50も、可動フォーク22と一体となって、同様の平行移動が可能となる。
これらの平行移動のため、ラック511が水平軸513をスライドしながら移動できるよう、水平軸513はボールスプライン構造となっている。
なお、これらのX方向、Y方向の直線移動機構は、これまでの説明に限定されず、周知の直線移動機構を用いることができる。
また、フォーク群20の鉛直断面の形状は、先端のみがやや尖っているが、それ以外は上面と下面が略平行、すなわち等間隔であり、このことが、後述するかご車110などへの移載の際には好ましい。
なお、このフォーク群20の鉛直断面形状は、重量物を扱うシステムの場合には、上下面は平行ではなく、保持される根元の側が太く、先端に行くほど細くなるくさび型である方が強度的に好ましい場合もある。
フォーク群20の長さは、後述する仮置棚、かご車などの奥行に対して十分奥まで物品を移載できる寸法であることが望ましい。
フォーク群20及び第2のプッシャ50を保持しているロボットハンド11は、マニピュレータ10のアーム部に取り付けられ、多関節のマニピュレータ10によって3次元で6軸に移動回転自在に保持される。
図4は本発明の別の実施形態の物品移載装置のフォーク群20及び第2のプッシャ50を示す斜視図である。この部分は、ロボットハンド11の前面に設けられており、略同一水平面上を略同一方向(図中Y方向)に延伸する固定フォーク21、可動フォーク22(両側はほぼ同一構造であるので、以下、同一符号で説明する)と、それぞれの可動フォーク22の上面に設けられた高摩擦部223と、可動フォーク22の上面から掘り込んだ穴部224の中に設けられた上昇下降が可能な滑動部材225と、第2のプッシャ50とを有している。
すなわち、高摩擦部223と滑動部材225とで、摩擦力調整機構を構成している。ここで、摩擦力とは、物品とフォーク群上面との間の相対移動を阻止する摩擦係数による力である。
図5は本発明の別の実施形態の物品移載装置の可動フォーク22の部分斜視図であり、フォーク本体の上面の高摩擦部223と、フォーク本体222の上面の中央部の穴部224を示している。
なお、フォーク本体222は、アルミニウム、鉄などの金属製であることが好適であるが、必要な強度を満たせばその他の材質であってもよい。
ここで、高摩擦部223は、摩擦係数の高いウレタンゴムを貼付することが好適であるが、フリクションパッド(シム)などをフォーク上面に貼付する、フォーク上面に表面加工を施して摩擦係数を高めるなどによって、当初のフォーク本体222の上面よりも摩擦係数の高い部位を形成したものであり、その形成手段はどのようなものであってもよい。
図6は本発明の別の実施形態の物品移載装置の滑動部材225の斜視図であり、可動フォーク22の穴部224に上下滑動可能に嵌合される滑動部材225と、滑動部材225を上下させる上昇下降機構226とを示している。
滑動部材225は、高摩擦部223とは逆に、フォーク延伸方向の摩擦力を低減したものであり、ホイールコンベヤ(コロ式コンベヤ)が好適であるが、それ以外にも、ローラコンベヤや、摩擦係数の低いテフロンコーティングした、あるいはテフロンシートを貼付した板材であってもよい。
図8は本発明の別の実施形態に係る物品移送装置の摩擦力調整機構を示す斜視図であり、この実施形態においては、摩擦力調整機構が、可動フォーク22物品載置面に設けた気流吸排口227である。
ここで、気流吸排口227とは、図示しないポンプなどの動力源と図示しない配管などによって、空気などの気体流を吸入したり排出したりすることができる部分である。
このようにすると、物品をフォーク群に新たに載置する場合、あるいは載置された物品を放出する場合には、気流吸排口227から気流を排出し、可動フォーク22の物品移載面にかかる物品の荷重を減じることにより摩擦力を低下させて、低い摩擦力で物品を容易に移動でき、物品を載置した状態で移送する場合には、必要に応じて気流吸排口から吸気を行うことで、保持力あるいは摩擦力を増加させ、高い摩擦力で物品を保持することにより、移送中のずれ、滑りなどを防止することができる。
なお、気流吸排口227の周囲には、吸着あるいは高摩擦力に寄与するゴム製のパッド228のような部材を設けて、更に吸着力あるいは摩擦力を増大するようにしてもよい。
また、これまでの説明で、気流吸排口227を可動フォーク22に設けるとしたが、それに併せて、あるいはそれの代わりに、固定フォーク21にそれらを設けてもよい。状況によっては、よりよい効果を奏することもあり得る。
図7は本発明の別の実施形態の物品移載装置の滑動部材225の上昇下降機構226の断面図であり、円筒状のケース2261の側面に、気流の吸排口として、空気流入路2262、空気流出路2263、および必要に応じて空気の流入放出を制御する弁2264、2265が設けられている。
これらの空気流路には、適宜、図示しない空気配管が、空気供給源または外部へと接続されているものとする。
また、円筒状のケース2261の上面に開口部2266を設け、開口部2266を塞ぐように変形可能な薄板2267が設けられており、この薄板2267の上下動により、滑動部材225の上下動が実現できる。
なお、これまでの説明では、滑動部材225は、可動フォーク22の上面に掘り込んだ穴部224に設置するとしたが、穴部224を設けずに、可動フォーク22の側面に滑動部材225を設けるようにしてもよい。構造が単純になる利点もある。
また、上昇下降機構226は、空気圧と薄板とを用いるものとして説明したが、それ以外の空気圧を用いるもの、あるいはソレノイドなど電磁的な手段によるものであってもよい。
なお、滑動部材225が高摩擦部223から突出するとは、高摩擦部223が固定であり滑動部材225が上下動することによって摩擦力を調整する場合と、逆に、滑動部材225が固定で、高摩擦部223が上下動することによって相対的に滑動部材225が突出する場合とを含むものである。
あるいは、摩擦力調整機構として、滑動部材225のみを用いて、摩擦力を高めたい場合には、滑動部材225の滑動部分(コロ、ホイール、ローラなど)にブレーキをかけるようにしてもよい。このようにしても摩擦力調整が実現できる。
また、これまでの説明で、高摩擦部223と滑動部材225とを、可動フォーク22に設けるとしたが、それに併せて、あるいはそれの代わりに、固定フォーク21にそれらを設けてもよい。状況によっては、よりよい効果を奏することもあり得る。
図8は本発明の別の実施形態に係る物品移送装置の摩擦力調整機構を示す斜視図であり、この実施形態においては、摩擦力調整機構が、可動フォーク22物品載置面に設けた気流吸排口227である。
ここで、気流吸排口227とは、図示しないポンプなどの動力源と図示しない配管などによって、空気などの気体流を吸入したり排出したりすることができる部分である。
このようにすると、物品をフォーク群に新たに載置する場合、あるいは載置された物品を放出する場合には、気流吸排口227から気流を排出し、可動フォーク22の物品移載面にかかる物品の荷重を減じることにより摩擦力を低下させて、低い摩擦力で物品を容易に移動でき、物品を載置した状態で移送する場合には、必要に応じて気流吸排口から吸気を行うことで、保持力あるいは摩擦力を増加させ、高い摩擦力で物品を保持することにより、移送中のずれ、滑りなどを防止することができる。
なお、気流吸排口227の周囲には、吸着あるいは高摩擦力に寄与するゴム製のパッド228のような部材を設けて、更に吸着力あるいは摩擦力を増大するようにしてもよい。
また、これまでの説明で、気流吸排口227を可動フォーク22に設けるとしたが、それに併せて、あるいはそれの代わりに、固定フォーク21にそれらを設けてもよい。状況によっては、よりよい効果を奏することもあり得る。
なお、簡便で、製造コストが低い装置を望む場合には、摩擦力調整機構を設けないことも可能である。その場合は、摩擦力の低減の効果は得られないが、構造が簡単になる利点はある。
制御部80は、マニピュレータ10及びマニピュレータ10に連結されているフォーク群20、第2のプッシャ50などの動作を制御する。更に、マニピュレータ11とは連結されない第1のプッシャ30の動作についても制御する。
更に、制御部80は、搬送されてくる物品の重量を測定する重量計、物品の寸法を測定する才数計などからの情報を取り込むこともでき、また、物品が自動倉庫から物品が供給される場合にはそれらの情報も、WMS(倉庫管理システム)などの物流全体の管理要素からの情報も取り込むことができる。
制御部80は、CPU、記憶部、入出力部、表示部などのハードウエア構成からなる、パソコン、サーバなどが好適であるが、これらの構成要素を他の制御装置と共用したり、あるいは、クラウドコンピューティングのように遠隔に分散して配置してもよい。
図9は本発明の一実施形態の物品移載装置の仮置棚60の正面図である。仮置棚60はステーションコンベヤ94からフォーク群20に移載された物品を一時的に保持し、その後の工程(例えば、かご車110への移載など)に供するためのものである。この図に示す仮置棚60は6段で、各段が中央部の仕切によって左右に2分割されている。但し、これらの数には限定されず、適宜、使用目的によって増減してもよい。
仮置棚60の枠体61は、L字状の山形鋼を組み合わせて形成したものであり、各段の鋼板よりなる棚板62が敷設されている。なお、このような構造に限定されるものではなく、物品を保持できるようになっていればどのような材質、形状であってもよい。
その各段の棚板62の上には、仮置棚60の奥行方向に延伸する、高さを有する仕切板63が多数設けられており、隣接する仕切板63の間隔は、フォーク群20の進入が可能なような間隔に設定されている。この間隔部分をフォーク挿入溝部64と呼ぶ。
また、フォーク挿入溝部64相互の間隔も、フォーク群20の相互の取りうる間隔に対応して定められている。
なお、仕切板63の上端部を連ねて仮想的に構成される平面は、物品Gが載置される面となるので、物品載置面65と呼ぶこととする。
仮置棚60の各段の最奥部には、物品Gを載置する際に、奥に落下するのを防止するために、フォーク群20の高さよりやや高い落下防止板66を設ける。
本実施形態においては、仮置棚60の各段には、左側11本、右側11本のフォーク挿入溝64が設けられており、それらのフォーク挿入溝64を用いて、左側に最大2個、右側に最大2個の物品Gが載置できるようになっている。
なお、フォーク挿入溝の数は、上記に限定されず、それより多くても少なくてもよく、仮置棚の寸法や運用方法によって定めればよい。同様に、仮置棚を左右に分割して各々2個ずつの物品を載置できるとしたが、仮置棚の分割や、各分割部に載置しうる物品の数にも限定はない。
図10は本発明の一実施形態の物品移載装置の物品姿勢変更部70の斜視図である。物品姿勢変更部70は、仮置棚60から次工程(かご車110など)に移送する際に、仮置棚60からフォーク群20に移載された物品を載置し、姿勢(向き)を変更した後、再度、物品姿勢変更部70からフォーク群20に載置して、かご車110へと移送するように構成することが好適であるが、これに限定せず、物品が搬送されてきたステーションコンベヤ94と、仮置棚60との間に設けるなどしてもよい。
物品姿勢変更部70は、平板状の略水平に置かれる固定台71と、固定台71の上方で、図示しない保持機構によって固定台71に水平方法(B方向)に回転自在に取り付けられる回転台(ターンテーブル)72と、回転台72の下部に取り付けられ回転を円滑に行わせるためのキャスター73と、回転台72の下方に設けられ回転台72を回転するための図示しないモータとを有する。
回転台72には、その周辺の4隅から屹立する4本の支柱74と、その中央部付近から屹立する縦4本、横4本、計16本の格子状小柱75とを有する。
支柱74と格子状小柱75の高さは等しく、フォーク群20の高さよりも大であるように構成される。それらの上端部を連ねて仮想的に構成される平面は、物品が載置される面となるので、物品載置面76と呼ぶこととする。
なお、格子状小柱75は、それらが整列する側(角度90度ごと)から、3本のフォーク群20を挿入できるように間隙を設けたものであり、格子状小柱75の数についてはこれに限定されるものではなく、フォーク群20を挿入できるように構成されればよい。
この物品姿勢変更部70は、次工程のかご車110に積載する際に、隙間を少なくして積載できるように、物品の姿勢を水平で90度回転させることができればよい。但し、物品の表面に貼付されたラベルなどを見やすい位置になるようにするなどの目的がある場合は、90度に限定せず、その倍数である180度、270度などの角度に回転してもよい。
また、回転台72の駆動機構はモータに限定されず、エアシリンダなどによって回転を可能とする機構であってもよい。
なお、物品姿勢変更部70については、回転機構を有さずに、フォーク群20を正面からだけでなく、側面から挿入できるように、マニピュレータ10を作動させてもよい。このようにすれば、回転機構なしでも90度の方向変換が可能となる。
更には、仮置棚60に、側面からフォーク群20を挿入できるように構成すれば、独立の回転台72による機構を用いずに、物品姿勢変更部70が実現できる。
また、回転台72を用いない回転機構であってもよい。例えば、別に設けたロボットハンドにより、仮置棚70に載置された状態、あるいは、フォーク群20に載置された状態の物品の方向を変換できるようにしてもよい。
更に、物品の姿勢としては、水平方向だけでなく、垂直方向の姿勢の変更であってもよい。これも別に設けたロボットハンドによって、仮置棚70の上の、あるいはフォーク群20の上の物品の垂直方向の向きを変更してもよい。このようにすれば、極端に横長の物品を縦長状態として、かご車110に効率よく積載することも可能となる。
図11は本発明の一実施形態の物品移載システム100に用いられるかご車110の斜視図である。かご車110は、かご台車、ロールボックスパレット、カーゴテナーなどとも呼ばれる運搬用の台車であり、底面111と、底面111の周囲を3方向に立ち上がる3面の格子状の枠部(パネル)112と、底面の下側に設けられるキャスター(車輪)113などとを有しており、1面のみが物品の積み込み、積み下ろしのために開放されている。
本発明の物品搭載システム100においては、仮置棚60からの物品を積み込むためのかご車110の所定の位置があり、その位置は、床面に設けられた一対のレール120によって規定されている。
レール120は、それぞれ、キャスター113の位置を規制する凹状の溝を有して長手方向に延伸しており、その一端は凹状溝が拡がって、キャスター113を誘導しやすくなっている。
また、レール120の他の端部には、停止位置を規制するストッパ(図示せず)が設けられ、更に、ストッパ近傍には、かご車110の転倒を防止するロック機構(図示せず)が設けられている。これらの機構は、周知のものを用いればよい。
図12は本発明の一実施形態の物品移載システム100に用いられるかご車110の外側に設けられる載置スペース確認部130の斜視図である。
かご車110の物品を移載する所定位置において、載置スペース確認部130が設けられており、載置スペース確認部130は、かご車110の外側に設けられた略直方体の枠部131と、枠部131の上部に設けられた水平面内で直交する2軸(X-Y)方向に移動可能なX方向移動部132、Y方向移動部133と、Y方向移動部133にに取り付けられた鉛直下方(Z方向)への移動が可能なZ方向移動部134が設けられている。
更に、Z方向移動部134には、測距儀135が取付けられている。
ここで、測距儀135をX方向移動部132及びY方向移動部133によってX-Y方向に走査し、また、必要に応じて、Z方向移動部134にて上下方向へ移動させることにより、かご車110の内部スペースの確認をするもので、測距儀135は、測距計、あるいは距離計ともいい、レーザー光を利用して距離を測定し、これから物品を載置しようとしている空間を走査するものである。
ここで、かご車110への物品の移載の途中で、移載中または移載中の物品が荷崩れする恐れがないとは言えない。そのような事態に対応する方策があればより好ましい。
図12には、そのような方策の一つとして、荷崩れ防止部140が示されている。荷崩れ防止部140は、かご車110の開放されている面(通常は物品の移載を行うために開放されている面)の両側に略鉛直に屹立する2本の柱部141a、141bと、柱部141に両端を保持されて、図示しない駆動部によって水平状態で上下動が可能な複数の棒状の荷崩れ防止材142を有している。
ここで、下部にまとめてある複数の荷崩れ防止材142が、物品積み付けの進捗に合わせて、下部から1本ずつ上昇することによって、開放面に物品が倒れ込むような荷崩れを防止することができる。
なお、荷崩れ防止材142は、丸棒であることが好適であるが、それに限定されず、板状であっても、網状であっても、荷崩れを防止できる部材であれば、どのようなものであってもよい。
次に、別の荷崩れ防止部につき説明する。図13は本発明の一実施形態の物品移載システム100に用いられるかご車の荷崩れ防止用の扉の斜視図であり、先に述べた荷崩れ防止部140として、既に積み込みがなされた部分を遮蔽するスライド可能な荷崩れ防止扉143を設けてもよい。
図に示すように、かご車110の前面(開放面)の一部分、例えば、下方約2分の1の高さ部分に、図示しない駆動機構によってスライド式に両開きできる荷崩れ防止扉143を設ける。なお、必要に応じて、荷崩れ防止扉143に図示しないセンサーを設けて、荷崩れの発生を係員に知らせるようにしてもよい。
なお、荷崩れ防止扉143は、1段のみでなく、積載する高さに応じて2段、3段と荷崩れ防止扉を閉じるようにしてもよい。更に精緻な制御が可能となる。
それに限定されず、既に積み込まれた物品の荷崩れを防止あるいは押し戻しできる手段であればどのようなものであってもよい。
また、荷崩れ防止の機能を実現できるものであれば、棒状や扉状のものではなく、シャッター状のものを上昇させるなどの手段でもよく、これらを総称して荷崩れ防止部とする。
次に、これまでに説明した本発明の一実施形態の物品移載装置及び物品移載システムの作用について説明する。
図14及び図15は本発明の一実施形態の物品移載装置の動作の説明図であり、図14は大きめの物品G、図15は小さめの物品gの移載について説明する。配送などの目的で処理される物品が、ローラコンベヤ90の上を運搬されてくる。これらの物品は、自動倉庫、仕分装置、投入装置などから供給される。
物品の形状、寸法、重量などの情報が、供給時点で把握できており、物品の移送に伴って伝達される場合を除き、それらの情報が、ローラコンベヤ90の周辺に設けられた、重量計91、才数計92などによって測定される。これらより、制御部80は、移載されるべき物品についてのこれらの情報を記憶しておくことができる。
その後、物品G(g)は、進行方向に対して傾きを有するスキューコンベヤ93の部分を通過し、これによって、物品G(g)が第1のプッシャ30の側へと整位される。
その後、ステーションコンベヤ94に移送された物品G(g)は、図に示すように、物品の寸法によらずに定位置(物品の進行方向先端がステーションコンベヤ94の終端近傍に来た位置)まで搬送され、停止する。
一方、ステーションコンベヤ94の進行方向に対して第1のプッシャ30と対向する側には、フォーク群20(固定フォーク21、2本の可動フォーク22)の先端がステーションコンベヤ94の側部に近接するように、かつ、固定フォーク21の位置が物品G(g)中央になるように制御部80によって位置決めされる。
なお、上記の物品G(g)の停止位置は、物品の搬送方向寸法などの情報から第1のプッシャ30と物品とが均等に割り付けられる位置にステーションコンベヤ94を停止するように、制御部80が制御してもよい。第1のプッシャ30の動作が安定する場合もあり得る。なお、この停止位置は、状況によってはこれらの例によらず、前後させる方がより効果がある場合もあり得る。
なお、フォーク群20は、ステーションコンベヤ94の領域に乗り入れる必要はないため、その機構及び制御は、簡略にすることができる。
ここで、2本の可動フォーク22の間隔については、移載すべき物品G(g)の幅寸法に応じて適切となるように、制御部80によってフォーク間隔調整部25を作動させて、移載される物品の幅方向(ステーションコンベヤの進行方向長さ)よりやや小さめで、両側の可動フォーク22が物品の幅より外に出ないように設定される。更に、固定フォーク21が、破損の可能性がある物品の底部中央部をしっかり保持する。このようにすることで、物品を安全に保持することが可能となる。
なお、可動フォーク22の間隔は、物品の状況によっては、それよりも大、あるいは小の間隔が適切な場合もあり得る。
次に、フォーク群20の側の第2のプッシャ50に設けられた吸着パッド51が、制御部80によって、フォーク群20の先端から物品G(g)の略奥行寸法(図8ではD、図9ではd)を減じた位置まで進められる。これは移載後に物品がフォーク群20の先端基準で揃えられるために有効であり、これにより、以降の工程が効率的に進められる。
次に、ステーションコンベヤ94の進行方向に関して、フォーク群20と反対側に設けられた第1のプッシャ30が、ステーションコンベヤ94の上の物品G(g)をフォーク群20の側へ押し出す。
物品の押し出し進行方向先端側が吸着パッド51に到達すると、制御部80によって、第1のプッシャ30の押圧が解除され、かつ、第1のプッシャ30が当初位置に戻される。また、吸着パッド51は、内部の空気が排気され、真空状態となり、フォーク群20の上の物品の保持を支援する。
これで物品G(g)がフォーク群20の上に移載されたことになり、また、ステーションコンベヤ94は次の物品を受け入れることが可能となる。
なお、次工程の状況によってはこれとは異なる基準で物品を揃えることも有効な場合もあり得る。また、吸着パッド51は、可動フォーク22の上で待機するようにしたが、それとは違って、更に前方に進出して、第1のプッシャ30との間に物品を挟み込むようにして、物品をフォーク群20へと移載するようにしてもよい。これによれば、より確実な移載が実現できる可能性もあり得る。
フォーク群20は、物品を載置した状態で、マニピュレータ10の動作により、ロボットハンド11の先端で略水平状態に維持されたまま、仮置棚60の方向へ移動され、フォーク群20の延伸方向が仮置棚60の前面と垂直となる状態で停止する。
図16は本発明の一実施形態の物品移載装置のロボットハンドの動作の説明図である。この図は動作を模式的に表したものであって、(a)は物品を載置したフォーク群20が水平状態で、A方向に回転あるいは直線運動をしている状態を示し、(b)は、回転の初めの部分(S部分)ではフォーク群20の進行方向後端部が水平より高くなっており、回転の中間部分(M部分)では水平状態に戻り、回転の終わりの部分(E部分)ではフォーク群20の進行方向先端部が水平より高くなっているようにしたものである。(c)は、回転の全域にわたりフォーク群20の回転外周側が高くなっているようにしたものである。
図中(a)に示す水平状態を保ったままでは、ロボットハンド11に回転軸を有しなくてもよいことから、機構及び制御が簡便になる利点があるが、高速で物品を移送しようとすると、物品の位置ずれや、最悪の場合、落下などの恐れもある。
ここで、図中(b)のように、加速時及び減速時に加速度(慣性力)を生じる側を高くして、その影響を抑えるようにすれば、急加速、急減速を可能とした高速の物品移送が実現できる。
また、同様に、図中(c)のようにすると、円運動の遠心力による外周方向への物品の移動が抑えられ、安定した高速移送が可能となる。
具体的には、図中(b)及び(c)の傾斜を単独で、あるいは組み合わせて適用することでより効果的に移送を行うことができる。
なお、このような技術は既に開示されているものであり、例えば、特開2004-21693には、物品が載置されるテーブルを自走式の台車に対して前後及び/又は左右に傾動可能に配備した搬送ロボットのテーブル角度制御方法において、テーブルに作用する加速度と重力との合力ベクトルがテーブルに対して垂直に作用するようにテーブルを傾動させることにより、テーブルに載置された物品の落下等を効果的に防止できるテーブル角度制御方法を提供することを課題とし、台車の移動に伴いテーブル又は台車に作用する加速度と重力の合力ベクトルがテーブルに対して垂直に作用するように、テーブルを傾動させる技術思想が開示されている。
また、台車を移動させるために台車の駆動手段へ入力される速度指令値から、テーブルに作用する加速度を推定するステップと、推定された加速度と重力との合力ベクトルを算出するステップと、得られた合力ベクトルがテーブルに対して垂直に作用するように、テーブルを傾動させるステップと、を有する技術思想も開示されている。
次に、フォーク群20に載置されて仮置棚60の近傍に到着した物品は仮置棚60に移載される。ここでは、フォーク群20の位置は、仮置棚60の予め定められた物品を載置すべき段及び間口の、フォーク挿入溝部64にフォーク群20が挿入できる位置が制御される。
フォーク群20の高さは、物品の底面がフォーク挿入溝部64を構成する仕切板63の上面で構成される物品載置面65よりごく僅かに高い位置となるように制御される。
なお、物品を載置すべき段及び間口は、この工程及び次工程、更に前後に移送されてくる物品などを勘案して空きスペースの中から選択される。
次に、フォーク群20がフォーク挿入溝部64に挿入され、物品のフォーク群20の後端部側が、仮置棚60の前面と略同一位置あるいはそれより内側まで到達すると、一旦フォーク群20を垂直下方に移動させ、物品を仕切板63で保持させるようにしてから、フォーク20群を抜去する。
物品は、フォーク群20の下方移動時には、物品載置面65とのごく僅かな空隙をフォーク群20とともに下方に移動して、物品載置面65に載置されるが、衝撃はなく、安全に仮置棚60への移載が完了する。
なお、次工程を考慮すると、物品が仮置棚60の前面側に揃えられていることが好ましいが、奥行の短いものを同一間口の奥と手前に載置するなど、前面側に揃えない載置位置であってもよい場合もあり得る。
次に、一群の、同一かご車110に移載されるべき物品が仮置棚60に載置され終わると、引き続き、仮置棚60からかご車110への移載を行う。なお、この移送の際にも、先に示したロボットハンド11によるフォーク群20の傾きの制御を適用してもよい。
ここでは、制御部80が、内蔵する、あるいは外部にある積載ロジックのプログラムを利用して、物品の積み付け順を決定し、それに従って、移載動作を行わせる。
図17は本発明の一実施形態の物品移載システムの積載ロジックの説明図であり、(a)がかご車110の積載面側から見た立面図、(b)がかご車110の上方から見た平面図である。ここで、物品Aから物品Fが、積載ロジックに従って、隙間を小さくするように積載される。
図18は本発明の一実施形態の物品移載システムの移載方法の説明図であり、かご車110を側面から見た断面図である。ここでは、物品Gを載置したフォーク群20を所定の場所(前後・左右・手前側奥側など)に近づける。図においては、最初に移載される物品であり、かご車110の底面111に移載されるが、既に物品が置かれており、その上あるいはその手前に載置する場合にも同様な制御が可能である。
まず、移載すべき物品Gを、吸着パッド51に吸着された状態のまま、かご車110の奥行方向に関しては奥の枠部112(あるいは既にある物品の側面)との隙間を極小とする位置、高さ方向では底面111(あるいは既にある物品の上面)とフォーク群20の下面の間隙が極小となる位置に移送する。(図中(1))
その後、フォーク群20のみを抜去する。(図中(2))吸着パッド51は物品Gを保持したまま、前方に物品を押し出すか、あるいは、その場所にとどまる。
フォーク群20の抜去が完了したら、吸着パッド51の真空状態を解除する。すると、物品の保持状態が解除され、物品の自重により、下方に移動し、かご車110の底面111(あるいは既にある物品の上面)に移載される。
ここで、フォーク群20の高さ方向は、上下面が平行であるため、先端部が細く後端部が太い場合に比べて、物品底面とかご車110の底面111(あるいは既にある物品の上面)との間隔を小さくすることができるため、物品の下方への移動の衝撃も小さく、物品を安全に移載することができる。
なお、更に衝撃を少なくするために、吸着パッド51の下方への移動を可能とする構成としてもよい。そのようにすると、物品を吸着したまま、下方への移動が完了するため、衝撃をより少なくすることができる。
そして、順次、平面方向から垂直方向へと、なるべく隙間を少なく、物品が積載される。
次に、物品の姿勢変更動作について説明する。かご車110での積載効率を上げるため、あるいは、物品に付与されたラベルや識別符号を正面に向けるためなどの目的で、姿勢の変更を必要とすると制御部80によって判断された物品は、図10に示す物品姿勢変更部70に移送され、図中のA方向からフォーク群20が格子状小柱75の隙間へ挿入され、その後、フォーク群20が抜去されることで、仮置棚70と同様に、物品載置面76に載置される。
引き続き、制御部80によって、必要な回転角度(例えば右に90度)が指示されて、回転台72が所定角度回転して停止する。
次に、フォーク群20が同じくA方向から格子状小柱75の隙間に挿入され、かご車110へと移送される。
なお、回転角度は90度に限定せず、例えば、裏側にある物品の表示ラベルを表側に向ける場合などのように、180度、270度(マイナス90度)など、任意の角度で設定してもよい。
ここで、かご車110は、移載を受ける位置に設けられたレール120にキャスター113をガイドされるように人手あるいは自動運転にて運搬されてきており、移載位置では、人手あるいは自動でのロック機構を働かせて位置を固定することが好ましい。
なお、かご車110の物品を移載する所定位置に、載置スペース確認部130が設けられており、測距儀135をX方向移動部132及びY方向移動部133によってX-Y方向に走査し、また、必要に応じて、Z方向移動部134にて上下方向へ移動させることにより、かご車110の内部スペースを確認する。
具体的には、レーザー光を利用して距離を測定し、これから物品を載置しようとしている空間が確保されている、すなわち、他の物品の倒れ、位置ずれなどがないことを確認して、物品の載置を継続することになる。
物品のかご車110への移載が完了したら、ロックを解除して、レール120上を逆方向に移動させ、その後、人手によりあるいは自動で、所望の次工程へと運搬すればよい。
次に、かご車110における積載中の荷崩れ防止の動作につき説明する。
図12には、そのような方策の一つとして、荷崩れ防止部140が示されている。荷崩れ防止部140は、かご車110の開放されている面の両側に略鉛直に屹立する2本の柱部141a、141bと、柱部141に両端を保持されて、図示しない駆動部によって水平状態で上下動が可能な複数の棒状の荷崩れ防止材142を有している。
ここで、下部にまとめてある複数の荷崩れ防止材142が、物品積み付けの進捗に合わせて、下部から1本ずつ上昇することによって、開放面に物品が倒れ込むような荷崩れを防止することができる。
また、別の荷崩れ防止の動作としては、図13に示すように、かご車110の前面(開放面)の一部分、例えば、下方約2分の1の高さ部分に設けた荷崩れ防止扉143を、その部分より上まで物品が積載されたら、図示しない駆動機構によってスライド式に荷崩れ防止扉143を閉じる方法もある。
これにより、その下方部の物品の積載状態が崩れたとしても物品の落下、散乱、損傷などが防止できる。なお、必要に応じて、荷崩れ防止扉143に設けた物品検知センサーによって、荷崩れの発生を速やかに係員に知らせるようにしてもよい。
次に、図19は本発明の別の実施形態の物品移載装置及び物品移載システムの斜視図であり、図1と共通する部分の説明は省略する。
ここで、ローラコンベヤ90の終端部分のステーションコンベヤ94とフォーク群20との間に、物品一時置台150が設けられている。
物品一時置台150はステーションコンベヤ94の物品載置面と略同一の高さの物品載置面151を有し、ステーションコンベヤ94から第1のプッシャ30によって押し出された物品Gを一時的に保管するものである。
図20は本発明の別の実施形態の物品移載装置の物品一時置台150の斜視図であり、物品一時置台150は、物品移送方向(ステーションコンベヤ94からフォーク群20の方向)に延伸する複数(図では8本)の、基台152から同じ高さで屹立する、幅の狭い仕切板153が設けられている。
仕切板153の上端部を連ねて仮想的に構成される平面は、物品が載置される面(物品載置面151)を構成する。
ここで、それぞれの仕切板153の間に複数(図では7本)の略等間隔のフォーク挿入溝154が形成され、物品一時置台150の物品載置面に載置された物品をフォーク群20に移載することを可能としている。
このような構成の実施形態の動作を説明する。移送される物品は、ステーションコンベヤ94から物品一時置台150へと移送され、引き続き、フォーク群20をフォーク挿入溝154に挿入し、フォーク群20を上昇させることで、物品のフォーク群20への移載が完了し、フォーク群20はロボットハンド11の動作により、仮置棚60へと移送される。
フォーク群20が、先行する物品を移送している間に、空になった物品一時置台150にステーションコンベヤ94から次の物品が物品一時置台150へと移送される。
このようにすると、物品一時置台150を有さない先の実施形態と比べて、複数の物品を移送する場合には、ステーションコンベヤ94から物品一時置台150への移送時間は、物品一時置台150から仮置棚60への移送時間に隠れることと、物品一時置台150からフォーク群20への移載も短時間で済みことから、サイクルタイムが短くなることが期待でき、装置全体の効率向上、作業時間の短縮が可能となる。
なお、物品一時置台150の構造は、これまでに述べたものに限定されず、ステーションコンベヤ94からの物品を一時的に載置して、フォーク群20に受け渡すことができるものであればどのようなものであってもよい。
また、物品一時置台150に、載置した物品を回転などにより方向変換する機能を付加してもよく、そのようにすれば、最終的にかご車などに積み付ける姿勢で、以降の物品の移送を行わせることもできる。
次に、必要に応じて設けることができる衝撃緩衝器500について説明する。図1または図19に示すように、マニピュレータ10とロボットハンド11との間に、衝撃緩衝器500を設けてもよい。
衝撃緩衝器500としては、特公昭38-23664に出前品運搬機として技術思想が示されるものを本発明に応用する。具体的には以下に引用するような実施形態である。
図21は本発明の更に別の実施形態の物品移載装置の衝撃緩衝器部分の正面図、図22は同じく側面図である。ここで、衝撃緩衝器500は、大別して支持枠、上下動緩衝部、横振動緩衝部によって構成される。
支持枠は、正面から見て前後に2カ所配置されるコの字状の部材501と、それを上部で連結する上部連結部材502と、下部で連結する下部連結部材503とを有する。
上部連結部材502とマニピュレータ10の先端部分とはネジなどで固定されている。
上下動緩衝部は仲縮性の上下動緩衝器508、伸縮連動板506、支板507、2本の上下動伝導支粁509、2本の案内管10、突起14の各部材によって構成される。
まず上下動緩衝器508の上部に一体となった伸縮連動板506の両脇にそれぞれ上端を固設した2本の上下動伝導支粁509は上下動緩衝器508を中央にして並行に垂下し、中途において上下動緩衝器508の下底に一体となった支板507の両脇に植立された案内管510をそれぞれ摺動自在に貫通してロボットハンド11に達する。
突起514は、上端は支板507の下面中央部即ち上下動緩衝器508の下底の中央下方位置に固設され、下端は半球体を形成する。
ここで、上下動伝導支粁509の下端を、ロボットハンド11の上方中央部分において、ほぼ水平状に平衡が保てる支点を支持する位置に固定する。
なお、ロボットハンド11と上下動伝導支杵509とは垂直状になるよう位置せしめる。
次に前記のように下端にロボットハンド11を固設した上下動緩衝部の突起514の下端を、支持枠下端の支持梁505(503)の中央部に設けた下面に向い円錐形に広げられた穴515の上に載置することによりロボットハンド11を支承懸吊せしめる。
なお、鋲516は、その上端は穴515をゆるく貫通して突起514の下端に固設される。
次に横振動緩衝部は、支持粋上部に一体となった2個所の支持金具518と、支板507と一体をなす2個所の支持金具517との間に2カ所の横振動緩衝器519を介持せしめて構成される。
横振動緩衝器519は、ビニールまたはゴムのような耐水かつ耐気圧性の被幕を蛇腹型に形成せしめてなる仲縮屈椀性幕筒520の両端内縁と皿521、皿522の周側とをそれぞれ密着して気密室を形成せしめ、その気密室の一部に内気と外気とが連通する小気孔523を穿つことにより構成された一種の空気摩擦抵抗器である。
なお支持金具517は支持枠との間に横振動緩衝器519を介持するために適宜屈曲させる。
この実施例は以上によって明らかなように、上下動緩衝器508の上部に一体となった伸縮連動板506に上端を固設して上下動緩衝器508の伸縮作用に連動する上下動伝導支粁509が、互に上下動緩衝器508を中央に位置せしめつつ並行に垂下し、中途において上下動緩衝器508の下底を摺動自在に貫通して上下動緩衝部を構成し、更にその上下動伝導支杵509の下端は直接間接にロボットハンド11の上方中央部分を固定し、なおかつその固定部は、ロボットハンド11が水平状に平衡を保つ支点を互に支持する位置にあって、しかも上下動伝導支秤509とロボットハンド11とは垂直であり、更に上下動緩衝器508の中央下方部に上端を固設した突起514の下方半球体下端を支持粋上に支承枢着せしめることによりロボットハンド11を懸吊しているので、上下動緩衝部とロボットハンド11とは一連体を形成し、その一連体は突起514の下端を枢着点として支持枠に対して揺動廻動自在であり、その一連体がロボットハンド11を水平状にして平衡を保つべき重心線は突起514の下端を通過するから、この一連体は支持枠のどのような傾斜でも突起514下端を支点としてロボットハンド11が水平になる状態で平衡を保ち、同時に上下動伝導支粁509も常に水平面に対する垂直線の位置を保つ。
また上下動伝導支粁509は突起514との間に上下動緩衝器508を介持しその伸縮動をロボットハンド11に伝導するから、上下緩衝によるロボットハンド11の上下動は支持枠の傾斜如何にかかわらず常に水平面に対する垂直線に沿って動作する。
次に上下動緩衝器508の下底と一体をなす支板507及び該支板と一体をなす支持金具517は突起514下端を支点として平衡を保つから、支持枠に各様な傾斜があればその傾斜に応じて支持金具517と支持枠に一体となった支持金具518との間隔に移動が生じてそれぞれ介持された横振動緩衝器519を伸縮せしめ、小気孔523を通して外気を該横振動緩衝器519内部へ流入または内気を排出する際に生ずる摩擦抵抗によって横振動に伴うシヨツクが緩衝される。
また急カーブなどの際に生ずる、ねじれるような廻動的な衝撃には、突起514下端を支点として上下動緩衝部が支持枠に対して廻動状に動き、次に横振動緩衝器519の持つ復元性によって上下動緩衝部が旧位置にもどる作用によって緩衝される。
なお支持梁505には2個所の切開域524が設けられていて上下動伝導支秤509がそれぞれきわめてゆるく貫通しており、該上下動伝導支粁509と支持梁505とは支持枠が傾斜しても接触しない。
また突起514は鋲516によって支持梁505をはさんでいるから、支持枠と上下動緩衝部とは離脱しない。
なお、衝撃緩衝器としては、これまで述べた実施形態に限定するものではなく、種々、出前機や振子列車などとして技術思想が開示されているものを応用してよいが、そのような衝撃緩衝器を、フォークによって物品を移送し、仮置棚などに載置し、更に仮置棚などからかご車などに再度移送して載置するという一連の作業の自動化を実現する装置に適用することは、従来にはない新規な発想であり、フォーク上の物品を、複雑なプログラム制御や追加のメカニズムを用いずに、安定して搬送できるという多大な効果を奏する。
このように、フォークを保持するロボットハンドと、ロボットハンドを3次元で移動可能とするマニピュレータとの間に振動緩衝器を設けたから、高速でロボットハンドを移動させる際に、ロボットハンドに保持されるフォーク上に載置された物品は、振動が緩衝されるため、フォーク上でのずれなどの恐れが少なくなる。
ここで、移送中の物品のずれや落下などの事象の防止の制御に関しては、AI(人工知能)技術を活用して事象の発生を事前に予測して、適切な制御方法を求めてもよく、更に、引き続きデータ収集を行うことによって、その精度の向上も期待できる。ここで、AIに用いる技術については既に説明した技術を用いることができる。
なお、物品の移送に際して、衝撃を生ずる恐れが少ない場合には、衝撃緩衝器を設けなくてもよい。その分、構造が簡素化され、製造コストが低減できる。
なお、これまでのいくつかの実施形態の説明で、移載を受けるものを、かご車110として説明したが、底面と底面から2方向のみに立ち上がる枠部を有する、いわゆるカートラックあるいは6輪台車と呼ばれるような台車、あるいは、枠を持たない底板と押し手のみの台車であってもよい。その場合でも、本発明の物品移載システム100により、使用目的に応じた効果が期待できる。
また、本発明では、フォーク群20によってステーションコンベヤ94から仮置棚60へと移載するようにしたが、仮置棚60に代えて、仮置き用のコンベヤを用いることも可能である。その際は、仮置コンベヤからの再移載の際に、コンベヤを正転または逆転させることで、かご車への積載順を実現することもできる。
また、本発明の一実施形態の物品移載装置では、第2のプッシャ50は、可動フォーク22と一体(同一位置)で、可動フォーク22の上の溝部23を第2のプッシャ50の車輪53が走行して前進後退を行えるようになっているが、これに限定されず。第2のプッシャ50が可動フォーク22と別体で異なる位置、例えば、フォークの間隔よりも広い間隔、または狭い間隔で設けるようにしてもよい。対象とする物品の状況によっては、より効率的な場合もあり得る。
また、本発明の一実施形態の物品移載装置では、固定フォーク21はロボットハンド11に固定されているとしたが、ロボットハンド11に対して、相対的に移動可能としてもよい。その場合、可動フォーク22もそれに応じて移動するようにしてもよい。このようにすると、仮置棚60やかご車110の設置場所によっては好都合な場合もあり得る。
また、本発明の一実施形態の物品移載装置では、マニピュレータ10を1台として説明したが、マニピュレータ10を2台設けてステーションコンベヤ90から仮置棚60への移送と、仮置棚60からかご車110への移送とを分担してもよい。例えば仮置棚60の前面と背面に配置することで、効率が飛躍的に向上することもあり得る。
また、これまでの全般の説明で、コンベヤを、ローラコンベヤを例に説明したが、ローラコンベヤ以外のベルトコンベヤやその他のコンベヤを適宜使用してもよい。
なお、マニピュレータ10を自動走行用の台車に載置するようにしてもよい。このようにすると、マニピュレータ10を広範囲に移動させることができ、離れた位置にある仮置棚やかご車に物品を移送することができる。
このような応用は、広大な倉庫の場合や、空港における、特に乗り継ぎ客用の荷物の一時保管などに有効に利用できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。これらはすべて、本技術思想の一部である。