JP7398536B2 - スポイラ構造 - Google Patents
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Description
この発明は、スポイラの表面積を増大させて、整流効果を向上させることができるスポイラ構造を提供することを目的とする。
図1に示すように本実施形態の車両1には、車体2上部にルーフ部3が設けられている。ルーフ部3の後縁3aには、車幅方向略全域にリアスポイラ5が装着されている。
リアスポイラ5は、車体2に装着されるベース部6と、可動整流部7とを有している。可動整流部7は、ベース部6に対して、図1に示す車両前側の前側位置(A)から図2に示す中間位置(B)を通って、図3に示す車両後側の後側位置(C)まで移動する。
ここで中間位置(B)は、前側位置(A)と後側位置(C)の真ん中(中央)位置に限定されるものではない。たとえば、可動整流部7の後述する後端7aが上方に移動する位置を前側位置(A)と後側位置(C)の真ん中より前側に設定したり、あるいは真ん中位置よりも後側に設定する等、中間位置(B)は、前側位置(A)と後側位置(C)との間に設けれるものであればどこに設けられていてもよい。
また、ベース部6および可動整流部7の間には、可動整流部7を移動させるリンク機構8(図4参照)が設けられている。本実施形態のリンク機構8は、車幅方向に所定寸法離間されて左,右一対設けられている。
本実施形態のベース部6は、車体2のルーフ部3の後縁3aに離間して設けられる前側回動ベース部6aと、後側回動ベース部6bとを有している。また、ベース部6は、前,後側回動ベース部6a,6bを覆う中空ボックス状のケース6cと、ケース6c上面に設けられて後方に傾斜する平面を有する固定スポイラ6dとを有している。
固定スポイラ6dは、移動および角度が可変することなくルーフ部3の後縁3aから一段低い位置に後方に向かうにつれて下降する所定の傾斜角度が与えられて配置されている。固定スポイラ6dの後端には、固定スポイラ6dの上面から一段低くなるように段差3bが凹設されている。
図4に示すように、可動整流部7は、前側位置(A)から中間位置(B)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが上方に移動する。また、可動整流部7は、中間位置(B)から後側位置(C)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが下方に移動する。
さらに、後側位置(C)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Chは、前側位置(A)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Ahよりも低くなるように設定されている。
なお、可動整流部7は、前側位置(A)及び後側位置(C)に配置された状態で、前端7bよりも後端7aが低くなっている。可動整流部7は、中間位置(B)に配置された状態で、前端7bよりも後端7aが高くなっている。
可動整流部7は、後側位置(C)に配置された状態で、前端7bが段差3bに配置されるとともに、上面7cが固定スポイラ6dの上面と面一になる。
リンク機構8は、直棒状の第一リンク11と、直棒状の第二リンク12と、第一リンク11および第二リンク12を動かす回動アクチュエータ13とを有している。また、リンク機構8は、回動アクチュエータ13の回転駆動力を第一リンク11に伝達する回動アーム14を有している。
本実施形態では、第一リンク11の長さ寸法L1は、第二リンク12の長さ寸法L2よりも大きい。
また、回動アーム14は、ほぼ同寸法の一対の連結ロッドを折畳可能に連結している。連結ロッドの基端の一方は、回動アクチュエータ13の回転出力軸に基端側を連結している。さらに、連結ロッドの先端の他方は、第一リンク11の長手方向中間位置に回動可能に接続されている。
さらに、第二リンク12の下端は、後側回動ベース部6bに回動自在に接続されている。これにより、第二リンク12は、後側回動ベース部6bに連結されている箇所を回動中心として、上端を車両前後方向に揺動可能としている。第二リンク12の上端は、可動整流部7の前後方向中間部において回動自在に接続されている。
第二リンク12は、第一リンク11よりも短いが、後側回動ベース部6bが前側回動ベース部6aよりも高い位置に配置されている。そのため、中間位置(B)において、第二リンク12の先端は、第一リンク11の先端よりも高い位置となる。これにより、可動整流部7は、中間位置(B)において後端7aに向かうほど高くなるように傾斜し、ダウンフォースを得られる。
このため、可動整流部7が前側位置(A)から中間位置(B)を通って後側位置(C)まで車両後方へ向けて移動するのに伴い、可動整流部7の後端7aが上方に移動(高さAhから高さBh)してから下方に移動(高さBhから高さCh)する。
第二リンク12は、第一リンク11よりも短いため、第一リンク11よりも回動する角度が大きい。そのため、後側位置(C)において、第二リンク12の先端は、第一リンク11の先端よりも低い位置まで回動する。これにより、可動整流部7は、後側位置(C)において後端7aが前端7bよりも低くなるように傾斜する。
可動整流部7は、後側位置(C)から中間位置(B)を通って前側位置(A)まで車両前方へ向けて移動する。可動整流部7は移動に伴い、後端7aが上方に移動(高さChから高さBh)してから下方に移動(高さBhから高さAh)する。
このため、円滑にルーフ部3の上面3cからつながる流線形状とすることができ、より空気抵抗を低減させることができる。
本実施形態では、図4に示すように、前側位置(A)でベース部6のケース6c上面に形成された固定スポイラ6dに沿うようにケース6c上面の凹部に可動整流部7が対向状態で係合する。
このため、上方へ凸設されている部分が減少してさらに空気抵抗が低減されるとともに、外観品質を向上させることができる。
また、ケース6c上面の凹部に可動整流部7が係合する。この際、可動整流部7は、少なくとも前端7bをルーフ部3の後縁3aに当接させる。これにより、前側位置(A)における可動整流部7の取付安定性をさらに向上させることができる。
本実施形態の可動整流部7は、左,右一対のリンク機構8,8によりそれぞれ二本づつの第一リンク11および第二リンク12にて支持されている。
したがって、図4中一点鎖線に示す中間位置(B)に示すように、固定スポイラ6dの上面から上方へ離間して後端7aが上を向くように移動しても可動整流部7は、安定して所望の姿勢を維持することができる。
本実施形態の可動整流部7の後端7aは、後側位置(C)に位置している状態であっても、灯体部10よりも上方に配置されている。
可動整流部7は、前側位置(A)から中間位置(B)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが上方に移動する。
また、可動整流部7は、中間位置(B)から後側位置(C)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが下方に移動する。
そして、後側位置(C)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Chは、前側位置(A)における可動整流部7の後端7aの高さ位置Ahよりも低くなる。
詳しくは、図1に示すように可動整流部7は、前側位置(A)で外観品質を良好なものとすることが出来る。
また、可動整流部7は、前側位置(A)から車両後方へ移動することにより、中間位置(B)で可動整流部7の後端7aが上方向に移動してスポイラ表面積を増大させることができる。これにより、整流効果を得てダウンフォースによって操縦安定性を向上させることができる。
さらに、後側位置(C)では、可動整流部7の後端7aが下方向に移動して、前側位置(A)における可動整流部7の後端7aの位置よりも下方に後端7aを位置させることができる。これにより、スポイラ表面積を増大させつつスポイラの空気抵抗を減少させることができる。
このように、デザイン性を保ちつつ、操縦安定性を向上させて空気抵抗を低減させることができる。
リンク機構8は、単純な構造で可動可能である。このため、故障などの不具合を低減できるとともに製造コストを抑えることができる。さらに、可動整流部7の可動に用いるモータ等の回動アクチュエータ13も一つでよい。このため、この点においても故障などの不具合を低減できるとともに製造コストを抑えることができる。
このように、可動整流部7は、車両前後方向に可動させる一つのリンク機構8によって可動整流部7の後端7aを上下方向に回動(円運動)させる。これにより、リンク機構8を一方向に回動させることで可動整流部7全体の前後移動と、可動整流部7の後端7aの上下移動とを行なうことができる。
このため、可動整流部7の後端7aが上方を向いている場合、ルーフ部3の上部を流れる空気をさらに効率的に当てることができ、操縦安定性を向上させることができる。
また、可動整流部7の後端7aが下を向いている場合、スポイラをルーフ部3の段差3bからつながる流線形状とすることにより、さらに空気抵抗を低減させることができる。
たとえば、後側位置(C)では、図4に示すように、固定スポイラ6dの後端に形成された段差3bに可動整流部7が係合して、固定スポイラ6dの上面から可動整流部7の後端7aまでつながる流線形状となる。これにより、スポイラの表面積を増大させてさらに空気抵抗を低減させることができる。
このため、灯体部10がベース部と一体化している場合でも、灯体部10が可動整流部7の移動によって干渉しない。このため、操縦安定性を向上させつつ、空気抵抗を低減させる形状となるように可動整流部7の可動範囲を増大させることが可能である。
このため、後側位置(C)では、可動整流部7の後端7aが下方に移動していても、車両後方からの灯体部10の視認性が損なわれない。
本実施形態の変型例の車両1では、後端灯体部20が可動整流部7と一体化している。このため、可動整流部7の後端17aが上下方向に移動しても車両後方から後端灯体部20を視認することができる。
上述してきたように、本実施形態のスポイラ構造では、スポイラの表面積を増大させて、整流効果を向上させることができる。これにより、車両1の走行状況や環境に最適な空力制御を実現することができるといった実用上有益な作用効果を発揮する。
また、すべてのリンク機構8に回動アクチュエータ13が設けられていなくてもよい。たとえば、一個のリンク機構8にのみ回動アクチュエータ13を設けるように構成してもよく、回動アクチュエータ13が設けられていなくてもよい。
すなわち、可動整流部7は、前側位置(A)から中間位置(B)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが上方に移動する。また、可動整流部7は、中間位置(B)から後側位置(C)に移動するのに伴って、可動整流部7の後端7aが下方に移動する。このようなものであれば、ルーフ部3、リアスポイラ5、ベース部6の固定スポイラ6d、可動整流部7を含めてスポイラ構造の形状、数量および材質が特に本実施形態のスポイラ構造に限定されるものではない。
3 ルーフ部
3a 後縁
6 ベース部
7 可動整流部
7a 後端
(A) 前側位置
(B) 中間位置
(C) 後側位置
Claims (2)
- 車体に装着されるベース部と、
前記ベース部に対して、車両前側の前側位置から車両後側の後側位置まで移動する可動整流部と、を備え、
前記車体の上面から低い位置に前記ベース部の上面が設けられ、
前記前側位置に移動した前記可動整流部の前端が、前記ベース部の上面に配置されるとともに前記車体の上面に連続し、
前記後側位置における前記可動整流部の後端の高さ位置は、前記前側位置における前記可動整流部の後端の高さ位置よりも低くなるとともに、
前記ベース部の後縁には、該ベース部の上面から低くなるように段差が凹設され、前記後側位置に移動した前記可動整流部の前端が前記段差に配置されるとともに前記ベース部の上面に連続することを特徴とするスポイラ構造。 - 前記後側位置における前記可動整流部は、後端が前端より低くなるように傾斜することを特徴とする請求項1記載のスポイラ構造。
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