以下、本発明の一例としての実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本実施形態の走行車両を示す図であり、図1は走行車両の正面図、図2は走行車両の側面図である。図3は、図1のA−A断面図である。
走行車両1は、車体2に搭載部の一例としての座席3を搭載し、図示しないジョイスティック等を操作することで、左右の第3リンク部材としてのホイールモータ9等の駆動手段を制御し、車体2及び座席3の姿勢(傾斜角)を倒立状態に保ちながら、車輪部5を駆動して走行する。車体2は、上部フレーム21に、乗員の座る座席3を搭載すると共に、下部フレーム22でリンク部材4と連結されている。リンク部材4は、車輪部5と連結されている。車輪部5は、タイヤ5aとホイール5bとからなる。
座席3は、乗員を搭載する座部3a、乗員の背もたれとなるシートバック3b及び座席3を支持するシート支持部材3cを有する。また、座席3は、ガイドレール6a及びスライダ6b等を有する案内手段としてのガイド部材6を介して車体2に対して前後方向に相対移動可能に支持される。左右の車輪部5は、共通な軸上でホイールモータ9等の駆動手段を介して車体2に対して回動可能に支持されており、前後駆動力を独立に制御することができる。なお、シート支持部材3cは、座部3a及びシートバッグ3bと別部材でもよい。
車体2は、上部フレーム21及び下部フレーム22を有する。
上部フレーム21は、第1上部フレーム21a、第2上部フレーム21b及び第3上部フレーム21cを有する。第1上部フレーム21aは、左右に延び前後に平行に配置され、左右の第1上部交点21abで第2上部フレーム21bと連結される。第2上部フレーム21bは、前後に延び左右に平行に配置され、左右の第1上部交点21abで第1上部フレーム21aと連結される。第3上部フレーム21cは、左右の第2上部フレーム21bを結ぶ線のやや下方で前後に延び第2上部フレーム21bと平行に配置され、第2上部交点21acで第1上部フレーム21aと連結される。なお、第1上部フレーム21aは、前後に平行でなくてもよい。
下部フレーム22は、第1下部フレーム22a、第2下部フレーム22b及び第3下部フレーム22cを有する。第1下部フレーム22aは、第1上部交点21abから下方に延び、下端で第2下部フレーム22b及び第3下部フレーム22cとの下部交点22abcで連結される。第2下部フレーム22bは、第2上部交点21acから下方に延び下端の下部交点22abcで連結される。第3下部フレーム22cは、図3に示すように、前後の下部交点22abcで連結される。
リンク部材4は、上下前後に2本ずつ平行に配設され、それぞれ両端の上下にある車輪部連結点41で第3リンク部材としてのホイールモータ9のホイールモータブラケット9aに回動可能に連結され、リンク部材4とホイールモータ9のホイールモータブラケット9aとでリンク機構Lを構成する。上方に配置される第1リンク部材4aは、略中央部を第2下部フレーム22bと第1連結点22b4で回動可能に連結され、両端部を車輪部連結点41でホイールモータ9のホイールモータブラケット9aに回動可能に連結される。下方に配置される第2リンク部材4bは、略中央部を下部交点22abcで第1下部フレーム22a、第2下部フレーム22b及び第3下部フレーム22cと回動可能に連結され、両端部を車輪部連結点41でホイールモータ9のホイールモータブラケット9aに回動可能に連結される。
上部フレーム21の左右の第2上部フレーム21bには、それぞれ平行に配置されたガイド部材6が取り付けられる。ガイド部材6は、座席3に固定されたガイドレール6a及び車体2に固定されガイドレール6aに沿って移動するスライダ6bを有する。座席3は、車体2に対して、ガイド部材6に沿って相対移動可能に支持されている。これにより、高い剛性を確保すると共に、小さな駆動力で滑らかに移動することができる。なお、ガイドレール6aは、座席3又は車体2のどちらか一方に設けられ、スライダ6bは、座席3又は車体2の他方に設けられればよい。
また、上部フレーム21の第3上部フレーム21cには、移動手段としてのスライドアクチュエータ7が取付けられている。スライドアクチュエータ7は、第1部材としての案内部7a、第2部材としての移動部7b及び駆動部7c等を有する。案内部7aは第3上部フレーム21cに取り付けられている。移動部7bは、弾性部材の一例としてのフレキシブルプレート10を介してガイド部材6のスライダ6bに取り付け固定され、駆動部7cにより駆動され、案内部7aに沿って相対移動する。
なお、本実施形態では、座席3及びフレキシブルプレート10を搭載部として構成しているが、第2部材としての移動部7bは、直接座席3に取り付け固定されてもよい。また、移動部7bは、複数設けてもよい。
さらに、案内部7aを第1部材として座席3側に固定し、移動部7bを第2部材として車体2の上部フレーム21側に固定する構成としてもよい。その際、移動部7bは、案内部7aより車体2の前後方向における長さが長く構成されるのが好ましい。
フレキシブルプレート10は、スライドアクチュエータ7の移動部7bと搭載部3に連結されたガイド部材6のスライダ6bとを連結する部材であり、座席3からの荷重、走行時の変形等による荷重又は寸法公差等による組み付け時に発生する荷重を支えることで、スライドアクチュエータ7への作用を低減する板状の弾性体である。これにより、この弾性部材を備えない車両に比べてアクチュエータの出力を抑えることができるため、スライドアクチュエータ7の小型化、省エネ化を達成することができる。
なお、本実施形態では、フレキシブルプレート10を、移動部7bと車体2側との間に、弾性的に連結するように設けたが、案内部7aと座席3側との間に、弾性的に連結するように設けてもよい。また、弾性部材として、フレキシブルプレート10を用いたが、バネやゴム等の他の弾性部材等を採用し、連結してもよい。さらに、フレキシブルプレート10等の弾性部材は必ずしも設ける必要はない。
図3に示すように、車体2には、第3上部フレーム21cに支持されたフランジ8aを介して、前後の第1連結点22b4を結ぶ位置に中空モータ8が配設される。中空モータ8は、回動中心に中空モータ8を貫通するシャフト11を有し、前後両方向に出力することができる。シャフト11は、両端でシャフトホルダ12及びボルト13を介して、リンク部材4の第1リンク部材4aに連結される。
図4は図1のB−B断面図、図5は図4のC−C断面図である。中空モータ8の出力は、中空モータ8を貫通するシャフト11に伝達され、前方と後方に出力される。
シャフト11に伝達された動力はキー14を介してシャフトホルダ12に伝達される。シャフトホルダ12は、第1リンク部材4aにボルト13で固定されているので、動力は第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動する。シャフト11は、第2下部フレーム22cに対しては、ベアリング15を介して回動可能にボルト16及びワッシャ17等で連結される。なお、シャフトホルダ12とキー14でリンク動力伝達機構Tを構成する。
前方と後方の動力は同様に伝達され、第1シャフトホルダ12aと第1キー14aで前方のリンク動力伝達機構Tを構成し、第2シャフトホルダ12bと第2キー14bで後方のリンク動力伝達機構Tを構成する。
図6は第1実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図7は第1実施形態の第1リンク部材4aと車輪部5との連結点41付近の拡大図、図8は第1実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第1実施形態の走行車両1は、リンク部材4と車輪部5とを回動可能に連結する連結点41をタイヤ5aの中心線を通るタイヤセンタTC上に設ける構造としたものである。具体的には、図7に示すように、第1リンク部材4aとホイールモータ9のモータブラケット9aとの連結点41をタイヤ5aの中心線を通るタイヤセンタTC上に設ける。また、図示しないが、第2リンク部材4bとホイールモータ9のモータブラケット9aとの連結点41もタイヤ5aの中心線を通るタイヤセンタTC上に設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図8に示すように、車体2及び車輪部5が傾斜する。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車輪部5の傾きβとモータの傾きであるリンク部材4に対する車体2の傾きαが等しくなり、車体2及び車輪部5とリンク部材4との干渉を招くおそれがない。
また、車輪部5の傾斜に伴って、車体2及び座席3が旋回内側に傾くことになる。したがって、座席3に搭乗する運転者の重さを使用して、旋回時には遠心力に対抗する方向に重心を移動する事が可能となるため、旋回性能が大幅に向上する。これは、トレッド幅が小さい小型車両等に適用すると、より効果的である。
図9は第2実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図10は第2実施形態の第1リンク部材4aと車輪部5との連結点41付近の拡大図、図11は第2実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第2実施形態の走行車両1は、リンク部材4と車輪部5とを回動可能に連結する連結点41をタイヤ5aの中心線を通るタイヤセンタTCより車体幅方向の外側に設ける構造としたものである。具体的には、図10に示すように、第1リンク部材4aとホイールモータ9のモータブラケット9aとの連結点41をタイヤ5aの中心線を通るタイヤセンタTCより車体幅方向の外側に設ける。また、図示しないが、第2リンク部材4bとホイールモータ9のモータブラケット9aとの連結点41もタイヤ5aの中心線を通るタイヤセンタTCより車体幅方向の外側に設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図11に示すように、車体2及び車輪部5が傾斜する。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車輪部5の傾きβがモータの傾きであるリンク部材4に対する車体2の傾きαより大きくなり、車体2及び車輪部5とリンク部材4との干渉を招くおそれがない。
また、車輪部5の傾斜に伴って、車体2及び座席3が旋回内側に傾くことになる。したがって、座席3に搭乗する運転者の重さを使用して、旋回時には遠心力に対抗する方向に重心を移動する事が可能となるため、旋回性能が大幅に向上する。これは、トレッド幅が小さい小型車両等に適用すると、より効果的である。
図12から図17に示す第3〜第5実施形態は、主に高速走行車両に適した例であり、旋回時に車輪部5に対して車体2を大きく傾斜させ、走行性能を重視したものである。例えば、第1リンク部材4aと車体2の第2下部フレーム22bとの第1連結点22b4及び/又は第2リンク部材4bと車体2の第2下部フレーム22bとの下部交点22abcを、リンク機構Lを構成する四辺形の内側に配置する構造とする。
図12は第3実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図13は第3実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第3実施形態の走行車両1は、図12に示すように、第2下部フレーム22bと第1リンク部材4aとの交点である第1連結点22b4を、リンク機構Lを構成する4つの連結点41を結ぶ線に対して内側にオフセットして配置すると共に、第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを上下に移動可能な構成とする。
具体的には、本実施形態では、中空モータ8の回転中心及び第1連結点22b4を第1リンク部材4aとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して内側にオフセットして配置する。また、第2下部フレーム22bに長孔20、第2リンク部材4bに下部交点22abcを構成するピン22abc等を設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図13に示すように、第1連結点22b4を有する車体2及び車輪部5が傾斜する。この時、ピン22abcが長孔20内を移動することで、リンク機構Lを動作させることができる。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車体2の傾きαが車輪部5の傾きβより大きくなる。すなわち、中空モータ8の回転角度より車体2の傾斜角度を大きくすることができ、中空モータ8の動力を小さくすることができる。また、中空モータ8の回転角度が少ないので、迅速に動作させることができる。
また、車輪部5の傾斜に伴って、車体2及び座席3が旋回内側に傾くことになる。したがって、座席3に搭乗する運転者の重さを使用して、旋回時には遠心力に対抗する方向に重心を移動する事が可能となるため、旋回性能が大幅に向上する。これは、トレッド幅が小さい小型車両等に適用すると、より効果的である。
図14は第4実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図15は第4実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第4実施形態の走行車両1は、図14に示すように、第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを、リンク機構Lを構成する4つの連結点41を結ぶ線に対して内側にオフセットして配置すると共に、上下に移動可能な構成とする。
具体的には、下部交点22abcを第2リンク部材4bとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して内側にオフセットして配置する。また、第2下部フレーム22bに長孔20、第2リンク部材4bに下部交点22abcを構成するピン22abc等を設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図15に示すように、第1連結点22b4を有する車体2及び車輪部5が傾斜する。この時、ピン22abcが長孔20内を移動することで、リンク機構Lを動作させることができる。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車体2の傾きαが車輪部5の傾きβより大きくなる。すなわち、中空モータ8の回転角度より車体2の傾斜角度を大きくすることができ、中空モータ8の動力を小さくすることができる。また、中空モータ8の回転角度が少ないので、迅速に動作させることができる。
また、車輪部5の傾斜に伴って、車体2及び座席3が旋回内側に傾くことになる。したがって、座席3に搭乗する運転者の重さを使用して、旋回時には遠心力に対抗する方向に重心を移動する事が可能となるため、旋回性能が大幅に向上する。これは、トレッド幅が小さい小型車両等に適用すると、より効果的である。
図16は第5実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図17は第5実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第5実施形態の走行車両1は、図16に示すように、第2下部フレーム22bと第1リンク部材4aとの交点である第1連結点22b4及び第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを、リンク機構Lを構成する4つの連結点41を結ぶ線に対して内側にオフセットして配置すると共に、第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを上下に移動可能な構成とする。
具体的には、本実施形態では、中空モータ8の回転中心及び第1連結点22b4を第1リンク部材4aとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して内側にオフセットし、下部交点22abcを第2リンク部材4bとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して内側にオフセットして配置する。また、第2下部フレーム22bに長孔20、第2リンク部材4bに下部交点22abcを構成するピン22abc等を設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図17に示すように、第1連結点22b4を有する車体2及び車輪部5が傾斜する。この時、ピン22abcが長孔20内を移動することで、リンク機構Lを動作させることができる。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車体2の傾きαが車輪部5の傾きβより大きくなる。すなわち、中空モータ8の回転角度より車体2の傾斜角度を大きくすることができ、第3、第4実施形態よりも中空モータ8の動力を小さくすることができる。また、中空モータ8の回転角度が少ないので、第3、第4実施形態よりも迅速に動作させることができる。
また、車輪部5の傾斜に伴って、車体2及び座席3が旋回内側に傾くことになる。したがって、座席3に搭乗する運転者の重さを使用して、旋回時には遠心力に対抗する方向に重心を移動する事が可能となるため、旋回性能が大幅に向上する。これは、トレッド幅が小さい小型車両等に適用すると、より効果的である。
図18から図23に示す第6〜第8実施形態は、主に低速走行車両に適した例であり、旋回時に車輪部5に対して車体2を小さく傾斜させ、傾斜した場合でも車体2及び車輪部5とリンク部材4との干渉を招くおそれがないと共に、乗り心地を重視したものである。例えば、第1リンク部材4aと車体2の第2下部フレーム22bとの第1連結点22b4及び/又は第2リンク部材4bと車体2の第2下部フレーム22bとの下部交点22abcを、リンク機構Lを構成する四辺形の外側に配置する構造とする。
図18は第6実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図19は第6実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第6実施形態の走行車両1は、図18に示すように、第2下部フレーム22bと第1リンク部材4aとの交点である第1連結点22b4を、リンク機構Lを構成する4つの連結点41を結ぶ線に対して外側にオフセットして配置すると共に、第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを上下に移動可能な構成とする。
具体的には、本実施形態では、中空モータ8の回転中心及び第1連結点22b4を第1リンク部材4aとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して外側にオフセットして配置する。また、第2下部フレーム22bに長孔20、第2リンク部材4bに下部交点22abcを構成するピン22abc等を設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図13に示すように、第1連結点22b4を有する車体2及び車輪部5が傾斜する。この時、ピン22abcが長孔20内を移動することで、リンク機構Lを動作させることができる。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車体2の傾きαが車輪部5の傾きβより小さくなる。すなわち、中空モータ8の回転角度より車体2の傾斜角度を小さくすることができ、搭乗者の乗り心地を向上させることができる。
図20は第7実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図21は第7実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第7実施形態の走行車両1は、図20に示すように、第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを、リンク機構Lを構成する4つの連結点41を結ぶ線に対して外側にオフセットして配置すると共に、上下に移動可能な構成とする。
具体的には、下部交点22abcを第2リンク部材4bとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して外側にオフセットして配置する。また、第2下部フレーム22bに長孔20、第2リンク部材4bに下部交点22abcを構成するピン22abc等を設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図21に示すように、第1連結点22b4を有する車体2及び車輪部5が傾斜する。この時、ピン22abcが長孔20内を移動することで、リンク機構Lを動作させることができる。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車体2の傾きαが車輪部5の傾きβより小さくなる。すなわち、中空モータ8の回転角度より車体2の傾斜角度を小さくすることができ、搭乗者の乗り心地を向上させることができる。
図22は第8実施形態の走行車両1のリンク機構L付近の拡大図、図23は第8実施形態の車体2が傾斜した状態を示す図である。
第8実施形態の走行車両1は、図22に示すように、第2下部フレーム22bと第1リンク部材4aとの交点である第1連結点22b4及び第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを、リンク機構Lを構成する4つの連結点41を結ぶ線に対して外側にオフセットして配置すると共に、第2下部フレーム22bと第2リンク部材4bとの下部交点22abcを上下に移動可能な構成とする。
具体的には、本実施形態では、中空モータ8の回転中心及び第1連結点22b4を第1リンク部材4aとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して外側にオフセットし、下部交点22abcを第2リンク部材4bとホイールモータ9との2つの連結点41を結ぶ線に対して外側にオフセットして配置する。また、第2下部フレーム22bに長孔20、第2リンク部材4bに下部交点22abcを構成するピン22abc等を設ける。
このように構成することにより、中空モータ8を作動させ、図4に示したシャフト11が回転すると、キー14に動力が伝達され、シャフトホルダ12が回転する。シャフトホルダ12の回転は、第1リンク部材4aに伝達され、リンク機構Lが作動し、図23に示すように、第1連結点22b4を有する車体2及び車輪部5が傾斜する。この時、ピン22abcが長孔20内を移動することで、リンク機構Lを動作させることができる。
走行車両1の車体2が傾斜した状態では、車体2の傾きαが車輪部5の傾きβより小さくなる。すなわち、中空モータ8の回転角度より車体2の傾斜角度を小さくすることができ、第6、第7実施形態よりも搭乗者の乗り心地を向上させることができる。
このように第1実施形態及び第2実施形態によれば、車体2と、車体2に支持される搭載部3と、車体2及び搭載部3を倒立可能に支持した回動可能なタイヤ5aを有する車輪部5と、を備えた走行車両1において、車体2と車輪部5とを連結するリンク機構4と、駆動力を発生する中空モータ8と、中空モータ8を貫通し動力を出力するシャフト11と、シャフト11からリンク機構4に動力を伝達するリンク動力伝達機構Tと、を備え、リンク機構4は、車体2と連結される第1連結部材4a及び第2連結部材4bと、車輪部5と連結される第3連結部材9とを有し、第1連結部材4a及び第2連結部材4bと、第3連結部材9との連結点41を車輪部5のタイヤセンタTC上又は車体幅方向でタイヤセンタTCより外側に設けたので、傾斜した場合でも車体2及び車輪部5とリンク部材4との干渉を招くおそれがない。
また、第3実施形態から第5実施形態によれば、車体2と、車体2に支持される搭載部3と、車体2及び搭載部3を倒立可能に支持した回動可能なタイヤ5aを有する車輪部5と、を備えた走行車両1において、車体2と車輪部5とを連結するリンク機構4と、駆動力を発生する中空モータ8と、中空モータ8を貫通し動力を出力するシャフト11と、シャフト11からリンク機構4に動力を伝達するリンク動力伝達機構Tと、を備え、リンク機構4は、車体2と連結される第1連結部材4a及び第2連結部材4bと、車輪部5と連結される第3連結部材9とを有し、第1連結部材4aと車体2との第1連結点22b4及び/又は第2連結部材4bと車体2との下部連結点22abcを、リンク機構Lを構成する四辺形に対して内側に配置するので、車体2を傾斜させるモータ8の動力を小さくすることができる。
また、第6実施形態から第8実施形態によれば、第1連結部材4aと車体2との第1連結点22b4及び/又は第2連結部材4bと車体2との下部連結点22abcを、リンク機構Lを構成する四辺形に対して外側に配置するので、搭乗者の乗り心地を向上させることができる。
また、第3連結部材9は、ホイールモータ9からなるので、部品点数を削減することができる。
また、リンク動力伝達機構Tは、リンク機構4に固定されたシャフトホルダ12と、シャフト11又はシャフトホルダ12の一方に設け、シャフト11又はシャフトホルダ12の他方に嵌入されたキー14と、を備え、キー14は、中空モータ8を挟んで、第1キー14aと第2キー14bを有し、シャフトホルダ12は、中空モータ8を挟んで、第1シャフトホルダ12aと第2シャフトホルダ12bを有するので、動力の伝達を良好にすることができる。
1…走行車両、2…車体、3…座席(搭載部)、4…リンク部材、5…車輪部、6…ガイド部材(案内手段)、7…スライドアクチュエータ(移動手段)、8…中空モータ、9…ホイールモータ、10…フレキシブルプレート(弾性手段)、11…シャフト、12…シャフトホルダ、12a…前方シャフトホルダ(第1シャフトホルダ)、12b…後方シャフトホルダ(第2シャフトホルダ)、13…ボルト、14…キー、14a…前方キー(第1キー)、14b…後方キー(第2キー)、15…ベアリング、16…ボルト、17…ワッシャ、20…長孔、L…リンク機構、T…リンク動力伝達機構