JP7398187B2 - 光学積層体、並びに、それを用いた円偏光板及び表示パネル - Google Patents

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本発明は、光学積層体、並びに、それを用いた円偏光板及び表示パネルに関する。
電界発光表示素子(以下、EL素子と略す場合がある。)は、自己発光のため視域が広く、またプラズマ発光素子等に比べて低消費電力であることから、近年、画像表示装置への適用が実用化されつつある。特に、発光材料として有機化合物を用いる有機EL素子は、無機化合物を用いる無機EL素子よりも印加電圧を大幅に低減できることから、表示装置としての利用が種々検討されている。
有機EL素子は、一般的に、透明基板上に第一電極、発光層、および第二電極を順次積層した構造が知られており、第一電極として透明電極を使用し、第二電極として金属電極を使用し、発光層からの発光を透明基板側から取り出すボトムエミッション型のものと、第一電極として金属電極を使用し、第二電極として透明電極を使用し、発光層からの発光を第二電極側から取り出すトップエミッション型のものがある(例えば特許文献1、2等)。
有機EL素子は、いずれの型においても発光層の光を効率よく利用するため、金属電極は反射性に優れたものが用いられることが多い。一方、このような金属電極を用いた有機EL素子は、外光反射が大きく、コントラストが低下する場合があった。また、有機EL素子を含む表示装置以外の表示装置(例えば、表示素子上に、空気界面の多い抵抗膜式タッチパネルを配置した表示装置)においても、外光反射によるコントラストの低下は問題となっている。
表示装置における外光反射を抑制する手法は、種々検討されている。このような手法の一つとして、位相差板と偏光板とを積層してなるいわゆる円偏光板を用いることが知られている(例えば特許文献3、4等)。
特開2007-294421号公報 特開2007-80604号公報 特開2014-206684号公報 特開2015-57666号公報
しかし、特許文献3及び4のような円偏光板は、反射防止性能が経時的に低下することが散見された。
本発明者らは鋭意研究した結果、高温環境下に長時間放置された場合に反射防止性能が低下しやすいことを見出し、さらに、その原因が位相差層の位相差の変化にあることを見出した。
そして、本発明者らはさらに鋭意研究した結果、位相差層の光軸の角度のバラツキ3σを所定の範囲とすることにより、初期の反射防止性能を良好にしつつ、経時的な反射防止性能の低下を抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[3]を提供する。
[1]液晶化合物を含む位相差層を有する光学積層体であって、前記位相差層の光軸の角度のバラツキ3σが0.100~0.750である、光学積層体。
[2]上記[1]に記載の光学積層体と、偏光子とを有する、円偏光板。
[3]表示素子上に、上記[2]に記載の円偏光板を有する表示パネル。
本発明の光学積層体、並びに、それを用いた円偏光板及び表示パネルは、初期の反射防止性能を良好にしつつ、経時的な反射防止性能の低下を抑制することができる。
本発明の光学積層体の一実施形態を示す断面図である。 本発明の光学積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の光学積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の円偏光板タッチパネルの一実施形態を示す断面図である。 本発明の円偏光板の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の表示パネルの一実施形態を示す断面図である。 サンプルから3σを測定する際の測定箇所の一例を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、液晶化合物を含む位相差層を有してなり、前記位相差層の光軸の角度のバラツキ3σが0.100~0.750であるものである。
図1~図3は、本発明の光学積層体100の実施の形態を示す断面図である。図1~図3に示すように、本発明の光学積層体100は、液晶化合物を含む位相差層30を有している。
図1の光学積層体100は、透明基材10上に配向膜20及び位相差層30を有している。
図2の光学積層体100は、透明基材10、配向膜20、位相差層30、粘着剤層40a及び透明基材10aをこの順に有している。図2の光学積層体100は、例えば、図1の光学積層体の位相差層側の面を、粘着剤層40aを介して他の透明基材10aに貼り合わせて得ることができる。
図3の光学積層体100は、透明基材10b、粘着剤層40b、位相差層30、粘着剤層40a及び透明基材10aをこの順に有している。図3の光学積層体100は、例えば、(1)図1の光学積層体の位相差層側の面を、粘着剤層40aを介して他の透明基材10aに貼り合わせる工程、(2)前記(1)の工程後に透明基材10及び配向膜を剥離除去する工程、(3)前記(2)の工程後に、位相差層上に、粘着剤層40bを備えた透明基材10bの粘着剤層40b側の面を貼り合わせることで得ることができる。
<位相差層>
位相差層は、液晶化合物を含み、光軸の角度のバラツキ3σが0.100~0.750である。
位相差層の光軸を決定する主たる要因は、位相差層に含まれる液晶化合物の配向角である。以下、位相差層の光軸の角度のバラツキ3σを0.100~0.750の範囲とする技術思想について説明する。
位相差層は、通常は、配向膜上に位相差層形成用組成物を塗布、乾燥、硬化することにより形成する。基本的に、配向膜上に位相差層形成用組成物を塗布した時点では、位相差層中の液晶化合物はきれいに配向しており、光軸の角度のバラツキは殆どないと考えられる。しかし、配向膜上に位相差層形成用組成物を塗布した後に、液晶化合物の配向が乱れ、光軸の角度にバラツキが生じる場合がある。
例えば、位相差層形成用組成物を塗布した後の乾燥条件及び/又は硬化条件を強くした場合、液晶化合物の配向が乱れ、光軸の角度のバラツキが大きくなりやすくなる。この場合、位相差層の物理的性質が経時的に変化することは抑制できるが、期待した初期性能(例えば反射防止性)を得ることができない。
一方、位相差層形成用組成物を塗布した後の乾燥条件及び/又は硬化条件を弱くした場合、位相差層形成時点では、光軸の角度のバラツキは殆どなく、期待した初期性能を得ることができるが、位相差層は残留溶剤及び/又は未硬化の液晶化合物を含むことになる。そして、常温の使用環境では、残留溶剤及び未硬化の液晶化合物を起因として、光軸の角度のバラツキが大きく増加することはないが、高温環境においては、残留溶剤の揮発及び未硬化の液晶化合物の硬化によって、光軸の角度のバラツキが大きく増加しやすくなる。つまり、位相差層形成用組成物を塗布した後の乾燥条件及び/又は硬化条件を弱くした場合、期待した初期性能を得ることはできるが、位相差層の物理的性質(例えば反射防止性)が経時的に損なわれてしまう。
以上のことから、初期段階の位相差層形成用組成物の乾燥及び液晶化合物の硬化の程度を適性に制御することにより、初期の反射防止性能を良好にしつつ、経時的な反射防止性能の低下を抑制できると考えられる。そして、本発明は、位相差層形成用組成物の乾燥及び液晶化合物の硬化の程度の指標として、位相差層の光軸の角度のバラツキ3σを採用し、3σを適正な範囲とすることにより、前述した効果を得ることを可能としたものである。
なお、σや2σを指標とした場合、効果を有するものと効果を有さないものとの差が出ないため、3σを指標とすることが重要である。
光軸の角度のバラツキ3σが0.100未満の場合、初期段階での位相差層形成用組成物の乾燥及び液晶化合物の硬化が足りず、熱(熱による溶剤の揮発、熱による未硬化の液晶化合物の硬化)によって、未硬化の液晶化合物の配向が乱れるため、経時的に位相差が変化して、反射防止性能が低下してしまう。また、光軸の角度のバラツキ3σが0.750を超える場合、初期段階での反射防止性能を良好にすることができない。
光軸の角度のバラツキ3σは、0.130~0.700であることが好ましく、0.150~0.600であることがより好ましく、0.170~0.500であることがさらに好ましい。
本明細書において、光軸の角度のバラツキ3σは、位相差層の16箇所でそれぞれバラツキ3σを測定し、各箇所のバラツキ3σを平均化したものをいう。
16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。例えば、測定サンプルが四角形の場合、図7に示すように、四角形の外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に5等分した点線の交点の16箇所を中心として測定を行い、その平均値でパラメータを算出することが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、該四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。
各測定箇所において、光軸の角度のバラツキ3σは、各測定箇所を微小領域に分割し、分割した微小領域ごとに測定される光軸の角度に基づき、3σの統計処理をすることにより算出できる。微小領域の面積は100~500[μm]とすることが好ましい。また、バラツキ3σの信頼度を高めるため、各測定箇所の分割数(各測定箇所の微小領域の数)は1,000以上とすることが好ましく、10,000以上とすることがより好ましい。光軸の角度のバラツキ3σは、例えば、Axomecrics社製の商品名「AxoStep」により測定できる。
光学積層体を構成する位相差層以外の層が光学的等方性を有する場合には、光学積層体の状態で光軸の角度のバラツキ3σを測定できる。なお、本明細書において、光学的等方性を有する層とは、該層の位相差が5nm以下であることをいう。
<<液晶化合物>>
位相差層は液晶化合物を含む。
液晶化合物としては、ネマティック液晶化合物及びスメクティック液晶化合物等の棒状液晶化合物、コレステリック液晶化合物、ディスコティック液晶化合物が挙げられる。これらの中でも、棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物が好ましい。
また、液晶化合物は重合性液晶化合物であることが好ましい。言い換えると、液晶層は、重合性液晶化合物を含む位相差層形成用組成物の硬化物であることが好ましい。
重合性液晶化合物は、重合性基を有する液晶化合物であり、重合性基が1つの単官能性液晶化合物、重合性基が2以上の多官能性液晶化合物が挙げられる。これらの中でも多官能性液晶化合物が好ましく、重合性基の数が2~3の多官能液晶化合物がより好ましく、重合性基の数が2の多官能液晶化合物がさらに好ましい。重合性基は、紫外線等の活性エネルギー線の照射を受けて重合可能となるものであり、ビニル基、メタクロイル基、アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合等が挙げられる。
位相差層において、液晶化合物は、垂直配向、水平配向、ハイブリッド配向及び傾斜配向のいずれかの配向状態に固定化されていることが好ましい。例えば、棒状液晶化合物の長軸が位相差層の表面に対して実質的に水平であることが好ましい。また、ディスコティック液晶化合物の円盤面がフィルム面(光学異方性層面)に対して実質的に垂直であることが好ましい。
棒状液晶化合物が実質的に水平とは、位相差層の表面と棒状液晶化合物のダイレクターとのなす鋭角側の角度が0°~20°の範囲内であることを意味する。0°~10°がより好ましく、0°~5°がさらに好ましい。また、ディスコティック液晶化合物が実質的に垂直とは、位相差層の表面とディスコティック液晶化合物の円盤面とのなす鋭角側の角度の平均値が70°~90°の範囲内であることを意味する。80°~90°がより好ましく、85°~90°がさらに好ましい。
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。棒状液晶化合物としては、これらの低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。また、棒状液晶化合物は重合性基を有することが好ましい。棒状液晶化合物の一分子中の重合性基の数は2~3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
棒状液晶化合物の具体例としては、下記式(1)~(17)に示す化合物が挙げられる。

ディスコティック液晶化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8-27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶化合物は、重合性基を有するものが好ましい。例えば、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記式で表される化合物であることが好ましい。
D(-L-P)
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは1~12の整数である。前記式中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001-4837号公報に記載の(D1)~(D15)、(L1)~(L25)、(P1)~(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。なお、ディスコティック液晶化合物の相転移温度は、30~300℃が好ましく、30~170℃がさらに好ましい。
また、逆分散性を示す液晶性化合物としては、特表2010-537954号公報、特表2010-537955号公報、特表2010-522892号公報、特表2010-522893号公報、及び特表2013-509458号公報等の各公開公報、並びに、特許第5892158号、特許第5979136号、特許第5994777号、及び特許第6015655号等の各特許公報に記載されている化合物が例示される。
液晶化合物は、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。1種単独の場合、該1種の液晶化合物は重合性液晶化合物であることが好ましい。また、2種以上を組み合わせて用いる場合、少なくとも1種が重合性液晶化合物であることが好ましく、全てが重合性液晶化合物であることがより好ましい。
位相差層形成組成物中の重合性液晶化合物の含有割合は、位相差層形成組成物中の全固形に対して、60~99.9質量%であることが好ましく、65~98質量%であることがより好ましい。
<<光重合開始剤>>
位相差層形成組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル及びチオキサンソン類等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、位相差層形成組成物の全固形分の0.01~20質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
<<界面活性剤>>
位相差層形成組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。また、界面活性剤の中でも、重合性基を有するフッ素系界面活性剤及び重合性基を有するシリコン系界面活性剤より選択される1種以上を選択して用いることが好ましい。
界面活性剤の含有量は、位相差層形成組成物の全固形分の0.01~2.0質量%であることが好ましく、0.1~1.0質量%であることがより好ましい。
<<溶剤>>
位相差層形成組成物は、通常は溶剤を含有する。
溶剤としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
位相差層形成組成物における溶剤の含有量は、位相差層形成組成物中の50~90質量%であることが好ましく、70~80質量%であることがより好ましい。
溶剤の乾燥が速すぎる場合、位相差層の光軸の角度のバラツキ3σが大きくなる傾向がある。一方、溶剤の乾燥が遅すぎる場合、位相差層中の残留溶剤が多くなり、熱により残留溶剤が揮発することにより、位相差層の光軸の角度のバラツキ3σが大きくなる傾向がある。このため、溶剤としては、沸点の異なる溶剤を混合して用いることが好ましい。具体的には、沸点が100℃未満の溶剤と、沸点が100℃以上の溶剤とを混合して用いることが好ましい。後述の実施例で用いている溶剤のうち、メチルエチルケトン(MEK)の沸点は80℃であり、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の沸点は204℃である。
位相差層は、例えば、位相差層形成組成物を塗布、乾燥、硬化することにより形成できる。また、位相差層形成組成物は、配向膜上に塗布することが好ましい。
具体的な乾燥条件は、位相差層形成組成物により異なるため一概にはいえないが、乾燥温度を70~150℃、乾燥時間を30~250秒とすることが好ましく、乾燥温度を90~130℃、乾燥時間を50~200秒とすることがより好ましい。
重合性液晶化合物を重合するための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。具体的な紫外線の照射エネルギーは、位相差層の厚み等により異なるため一概にはいえないが、50mJ/cm~1J/cmであることが好ましく、150mJ/cm~900mJ/cmであることがより好ましい。
位相差層は、λ/2位相差層又はλ/4位相差層であることが好ましい。
λ/2位相差層は、波長550nmにおける面内位相差が220~300nmであることが好ましく、230~280nmであることがより好ましく、240~275nmであることがさらに好ましい。
λ/4位相差層は、波長550nmにおける面内位相差が90~160nmであることが好ましく、100~150nmであることがより好ましく、110~150nmであることがさらに好ましい。
本明細書において、面内位相差(面内リタデーション、Re)及び厚さ方向の位相差(厚さ方向のリタデーション、Rth)は、面内における遅相軸方向の屈折率をnx、面内においてnxに直交する方向の屈折率をny、nx及びnyに直交する方向の屈折率をnz、膜厚をd(nm)とした際に、下記式で表すことができる。
面内位相差(Re)=(nx-ny)×d
厚さ方向の位相差(Rth)=((nx+ny)/2-nz)×d
位相差層は、正分散性を示すものであってもよいし、逆分散性を示すものであってもよい。
なお、逆分散性とは、透過光の波長が長くなるに従って透過光に与える位相差が増大する特性であり、具体的には、波長450nmにおけるリタデーション(Re450)と、波長550nmにおけるリタデーション(Re550)との関係が、Re450<Re550となる特性である。一方の正分散性は、Re450>Re550となる特性である。
位相差層の厚みは、付与する位相差を考慮して、0.1~10μmの範囲で適宜調整することができる。
<透明基材>
光学積層体は透明基材を有することが好ましい。
透明基材は、位相差層を形成する際の支持体としての役割や、位相差層を保護する役割を有する。
透明基材は光学的等方性であるものが好ましい。透明基材は、ポリマーから形成したものでもよいし、ガラスから形成したものであってもよい。
ポリマーとしては、セルロースアシレート、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等を利用することができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又はこれらポリマーの混合物等が挙げられる。
透明基材の厚みは、ポリマーから形成した透明基材の場合は、通常25~125μm程度であり、ガラスから形成した透明基材の場合は、通常100μm~5mm程度である。
<配向膜>
光学積層体は配向膜を有していてもよい。
配向膜は、位相差層形成組成物を塗布、乾燥、硬化して位相差層を形成する際に、位相差層内で液晶化合物を配向させやすくする役割を有する。
なお、位相差層の形成時点で配向膜を有していても、他の部材に位相差層を転写し、かつ、転写時に配向膜が転写されないようにすれば、配向膜を有さない光学積層体を得ることができる(図3参照)。
配向膜は、例えば、透明基材上に、配向層形成組成物を塗布し、配向規制力を付与することにより配向層とすることができる。配向膜形成用組成物は、光二量化型の材料等の従来公知のものから適宜選択して用いることができる。
配向膜に配向規制力を付与する手段は、従来公知のものとすることができ、例えば、ラビング法、光配向法、賦形法などが挙げられる。
配向膜の厚みは、通常、1~1000nmであり、60~300nmが好ましい。
<粘着剤層>
光学積層体は、図2及び図3に示すように、粘着剤層を有していてもよい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニル系粘着剤等の汎用の粘着剤を用いることができる。これら汎用の粘着剤から形成される粘着剤層は、通常は光学的等方性を有する。
粘着剤層の厚みは、2~30μm程度である。
<機能層>
光学積層体は、ハードコート層、防眩層及び反射防止層等の機能層を有していてもよい。
機能層は、透明基材上等に形成することができる。図2の場合、例えば、透明基材10の配向膜20とは反対側の面上、及び/又は、透明基材10aの粘着剤層40aとは反対側の面上に、機能層を形成することができる。また、図3の場合、例えば、透明基材10bの粘着剤層40bとは反対側の面上、及び/又は、透明基材10aの粘着剤層40aとは反対側の面上に、機能層を形成することができる。
<光学積層体の具体的な層構成>
光学積層体の層構成は特に限定されないが、下記(1)~(15)の構成が挙げられる。なお、「/」は層の界面を示す。
(1)透明基材/配向膜/位相差層
(2)機能層/透明基材/配向膜/位相差層
(3)透明基材/粘着剤層/位相差層/配向膜/透明基材
(4)透明基材/粘着剤層/位相差層/配向膜/透明基材/機能層
(5)機能層/透明基材/粘着剤層/位相差層/配向膜/透明基材
(6)機能層/透明基材/粘着剤層/位相差層/配向膜/透明基材/機能層
(7)透明基材/粘着剤層/位相差層/粘着剤層/透明基材
(8)透明基材/粘着剤層/位相差層/粘着剤層/透明基材/機能層
(9)機能層/透明基材/粘着剤層/位相差層/粘着剤層/透明基材
(10)透明基材/粘着剤層/位相差層/配向膜/粘着剤層/透明基材
(11)透明基材/粘着剤層/位相差層/配向膜/粘着剤層/透明基材/機能層
(12)機能層/透明基材/粘着剤層/位相差層/配向膜/粘着剤層/透明基材
(13)透明基材/粘着剤層/配向膜/位相差層/粘着剤層/透明基材
(14)透明基材/粘着剤層/配向膜/位相差層/粘着剤層/透明基材/機能層
(15)機能層/透明基材/粘着剤層/配向膜/位相差層/粘着剤層/透明基材
光学積層体の層構成としては、上記(7)~(15)のように、位相差層の両側の面に粘着剤層及び透明基材を有する構成が好ましい。
光学積層体の全光線透過率(JIS K7361-1:1997)は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
[円偏光板]
本発明の円偏光板は、上述した本発明の少なくとも一つの光学積層体と、偏光子とを有するものである。
円偏光板は、有機EL素子等の表示素子や、抵抗膜式タッチパネル等のタッチパネル上に配置して、反射防止性能を発揮する役割を有する。円偏光板は、偏光子が視認者側となるようにして、表示素子やタッチパネル上に配置する。
図4及び図5は、本発明の円偏光板300の実施の形態を示す断面図である。
図4の円偏光板300は、λ/4位相差層を有する光学積層体100bと偏光子200とを有している。図5の円偏光板300は、λ/4位相差層を有する光学積層体100b、λ/2位相差層を有する光学積層体100a及び偏光子200をこの順に有している。
なお、図示しないが、下記(A)~(C)のようにポジティブCプレートを備えた円偏光板も挙げられる。ポジティブCプレートとは、面内方向の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnzとした際に、nx≒ny<nzの関係を有するものである。
(A)ポジティブCプレート、λ/4位相差層を有する光学積層体、λ/2位相差層を有する光学積層体及び偏光子をこの順に有する円偏光板
(B)λ/4位相差層を有する光学積層体、ポジティブCプレート、λ/2位相差層を有する光学積層体及び偏光子をこの順に有する円偏光板
(C)λ/4位相差層を有する光学積層体、λ/2位相差層を有する光学積層体、ポジティブCプレート及び偏光子をこの順に有する円偏光板
図4の円偏光板の場合、λ/4位相差層の遅相軸と、偏光子の吸収軸とがなす角度は45±5°とすることが好ましく、45±2°とすることがより好ましい。
図5の円偏光板のように、λ/4位相差層及びλ/2位相差層を用いる場合、各位相差層の配向軸と、偏光子の吸収軸とがなす角度は、下記(i)又は(ii)の範囲が好ましい。
(i)第1の例として、λ/2位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とがなす角度は15±8°であることが好ましく、15±6°であることがより好ましい。そして、このとき、λ/4位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とのなす角度は75±15°であることが好ましく、75±13°であることがより好ましい。
(ii)第2の例として、λ/2位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とがなす角度は75±15°であることが好ましく、75±13°であることがより好ましい。そして、このとき、λ/4位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とのなす角度は15±8°であることが好ましく、15±6°であることがより好ましい。
図5のように、λ/4位相差層を有する光学積層体と、λ/2位相差層を有する光学積層体とを併用する場合、λ/4位相差層の位相差(Re)と、λ/2位相差層の位相差(Re)とは、1.8≦Re/Re≦2.2を満たすことが好ましく、1.9≦Re/Re≦2.1を満たすことがより好ましい。
偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子のいずれを用いてもよい。ヨウ素系偏光子及び染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造できる。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向に相当する。従って、縦方向(搬送方向)に延伸された偏光子は長手方向に対して平行に吸収軸を有し、横方向(搬送方向と垂直方向)に延伸された偏光子は長手方向に対して垂直に吸収軸を有する。
偏光子の両側の面には保護層を有することが好ましい。
偏光子の一方の側の保護層は、光学積層体で代替することができる。言い換えると、光学積層体は、偏光子の保護層として用いることができる。偏光子のもう一方の側の保護層は、透明基材を用いることが好ましい。該透明基材は、本発明の光学積層体の透明基材として例示したものと同様のものを用いることができる。また、該透明基材は光学的等方性を有するものが好ましい。
円偏光板の各部材の界面(例えば、光学積層体と偏光子との界面、偏光子と透明基材との界面、光学積層体と光学積層体との界面)には、必要に応じて粘着剤層を形成することが好ましい。該粘着剤層は、本発明の光学積層体の粘着剤層として例示したものと同様のものを用いることができる。
[表示パネル]
本発明の表示パネルは、表示素子上に、上述した本発明の円偏光板を有するものである。
図6は、本発明の表示パネル500の実施の形態を示す断面図である。図6の表示パネル500は、表示素子400の光出射面上に、円偏光板300を有している。
なお、表示パネルの表示素子が液晶表示素子である場合、液晶表示素子の背面には図示しないバックライトが必要である。
表示素子としては、液晶素子、有機EL素子、無機EL素子、マイクロLED、プラズマ素子等が挙げられる。なお、液晶表示素子は、タッチパネル機能を素子内に備えたインセルタッチパネル液晶表示素子であってもよい。
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の表示パネルを備えるものであれば特に限定されないが、本発明の表示パネルと、該表示パネルに電気的に接続された駆動制御部と、これらを収容する筐体とを備えることが好ましい。
また、本発明の表示パネルは、表示素子と円偏光板との間に、タッチパネルを有していてもよい。タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。なお、これらタッチパネルは圧力検知機能を備えたものであってもよい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。
1.測定、評価
実施例及び比較例で得られた光学積層体について、下記の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
なお、光学積層体を構成する位相差層以外の層は光学的等方性を有する層であるため、「光学積層体の光軸の角度のバラツキ3σ」=「位相差層の光軸の角度のバラツキ3σ」とみなすことができる。
1-1.位相差層の光軸の角度のバラツキ3σの算出
<サンプルの作製>
光学的等方性を有するガラス(縦5cm×横5cm、厚み2mm)上に光学的等方性を有するアクリル系粘着剤層(厚み25μm)を形成し、さらに該粘着剤層上に、実施例及び比較例の光学積層体の中間材料である積層体iのλ/4位相差層側の面を貼り合わせ、積層体Aを得た。積層体AのPETフィルムを剥離し、該剥離面上に、光学的等方性を有するアクリル系粘着剤層(厚み25μm)及び光学的等方性を有するTACフィルム(鹸化処理品、厚み80μm)を積層し、サンプルAを作製した。
Axomecrics社製の商品名「AxoStep」を用いて、サンプルAの16箇所で、位相差層の光軸の角度のバラツキ3σをそれぞれ測定し、16箇所のバラツキ3σの平均を算出した。なお、測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%として、測定前にサンプルAを該雰囲気に30分以上ならした。結果を表1に示す。
16の測定箇所は、サンプルAの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所とした。
なお、以下に測定時の操作手順等を示す。
<操作手順>
1.Calibration実行
(1)Measurementタブにて、wavelengthの値を「550」、number to averageの値を「20」に設定し、「Set Axostep」を押す。
(2)Calibrationタブにて、「DarkImage」を押す。さらに「single calibrate」を押す。
(3)Calibration結果がCalibrationResultウインドウに表示される。ここで、Y値(RMS Error値)が3以下である事を確認する。
(4)Baselineを押す。
(5)Measurementタブにて「Measure Once」を押し測定し、結果を保存する。
(6)Parameter to Plotを押し、「TotalRetardance(nm)」を選択する。
(7)Statisticsウインドウを開き「FullGraph」を選択し、Statisticsウインドウ内のMean値が0.0±0.1nmである事を確認する。
2.標準板の測定
(1)標準板「CAL-VIS-1」をステージに置き測定を行う。
(2)Parameter to Plot から「Total Retardance(nm)」を選択し、Mean値が191.6±1.0nmである事を確認する。同時に「RetardanceOrientation(°)」を選択し、Mean値が0.0±0.05°であることを確認する。
3.実測
サンプルをステージに置き測定を行う。実測時は、Measurementタブにて、wavelengthの値を「550」、number to averageの値を「20」に設定する。
上記手順による測定では、1つの測定箇所ごとに、160×128=20,480ピクセル分の光軸の角度が測定される。そして、20,480の光軸の角度から、測定箇所ごとの光軸の角度のバラツキ3σが算出される。なお、1ピクセルの大きさは432[μm]である。
1-2.位相差の測定
<初期の位相差>
Axomecrics社製の商品名「AxoStep」を用いて、1-1で作製したサンプルAの位相差を測定した。位相差の測定箇所は1-1と同様の16箇所として、16箇所の位相差の平均値を算出した。なお、測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%として、測定前にサンプルAを該雰囲気に30分以上ならした。結果を表1に示す。
<熱処理後の位相差>
サンプルAを80℃で500時間熱処理した後の位相差を測定した。位相差の測定箇所はサンプルAの中心とした。なお、測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%として、測定前にサンプルAを該雰囲気に30分以上ならした。結果を表1に示す。
<位相差の差分>
熱処理後の位相差と初期の位相差との差分(熱処理後の位相差-初期の位相差)を表1に示す。
1-3.反射防止性の評価
<初期の反射防止性>
実施例及び比較例で得られた円偏光板を5cm×5cmの大きさに切断し、切断した円偏光板の偏光子を基準としてλ/4位相差層側の表面に、粘着剤層を介してアルミニウム板を貼り合わせたサンプルBを作製した。
サンプルBのアルミニウム板とは反対側の面から蛍光灯で照射し、比較例1のサンプルBをリファレンスとして、実施例1~4及び比較例2のサンプルB反射防止性を目視で評価した。その結果、リファレンスよりも極めて反射防止性が良好なものを「AA」、リファレンスよりも反射防止性が良好なものを「A」、リファレンスと反射防止性が同等なものを「B」、リファレンスよりも反射防止性が劣るものを「C」とした。結果を表1に示す。
なお、リファレンスである比較例1のサンプルBの反射防止性は、許容レベルの反射防止性ではあるが、反射防止性が良好であるとは言えないものである。評価A及びAAは、反射防止性が良好であり、合格レベルといえる。
<熱処理後の反射防止性>
1-2の熱処理後のサンプルAを用いて、実施例及び比較例と同様の手順で円偏光板を作製した。該円偏光板をサンプルCとした。
サンプルCのアルミニウム板とは反対側の面から蛍光灯で照射し、比較例1のサンプルB(初期の反射防止性でリファレンスとして用いたサンプル)をリファレンスとして、実施例1~4及び比較例1~2のサンプルCの反射防止性を目視で評価した。その結果、リファレンスよりも極めて反射防止性が良好なものを「AA」、リファレンスよりも反射防止性が良好なものを「A」、リファレンスと反射防止性が同等なものを「B」、リファレンスよりも反射防止性が劣るものを「C」とした。評価A及びAAは、反射防止性が良好であり、合格レベルといえる。結果を表1に示す。
2.偏光子の準備
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
3.光学積層体及び円偏光板の作製
[実施例1]
厚み80μmのPETフィルム上に、ポリシンナメート系化合物を含有する配向膜形成組成物(固形分4%、プロピレングリコールモノメチルエーテル希釈)を、塗布し、塗膜を形成した。得られた塗膜を120℃で1分間乾燥して、偏光露光20mJ/cm(310nm)照射を行い、膜厚が200nmの配向膜を形成した。
次いで、配向膜上に、下記組成のλ/4位相差層形成組成物をバーコーターで乾燥後の膜厚が2.0μmになるように塗布、乾燥、硬化し、PETフィルム、配向膜及びλ/4位相差層を備えた積層体iを得た。乾燥条件は、温度120℃、時間60秒とした。硬化条件(紫外線照射量)は200mJ/cmとした。
次いで、光学的等方性を有するTACフィルム(鹸化処理品、厚み80μm)上に光学的等方性を有するアクリル系粘着剤層(厚み25μm)を有する粘着シートの粘着剤層側の面と、積層体iのλ/4位相差層側の面とを対向させて貼り合わせ、積層体iiを得た。
次いで、積層体iiのPETフィルム及び配向膜を剥離し、該剥離面上に、光学的等方性を有するアクリル系粘着剤層(厚み25μm)及び光学的等方性を有するTACフィルム(鹸化処理品、厚み80μm)を積層し、実施例1の光学積層体を得た。
<λ/4位相差層形成組成物>
上記式(11)で表される液晶化合物を20質量%、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュア184)を5質量%、フッ素系界面活性剤(DIC社製、商品名:メガファックF477)を0.4質量%含み、残部が溶剤(MEK:NMP=1:1の混合溶剤)である、組成物。
次いで、光学積層体と、偏光子と、光学的等方性を有するTACフィルム(鹸化処理品、厚み80μm)とを、ポリビニルアルコール系粘着剤を介して貼り合わせ、実施例1の円偏光板を得た。なお、偏光子の偏光軸と、λ/4位相差層の光軸とのなす角度は45°とした。
[実施例2]
λ/4位相差層形成組成物の乾燥条件を120℃、120秒に変更し、硬化条件(紫外線照射量)を400mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光学積層体及び円偏光板を得た。
[実施例3]
λ/4位相差層形成組成物の乾燥条件を120℃、120秒に変更し、硬化条件(紫外線照射量)を600mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光学積層体及び円偏光板を得た。
[実施例4]
λ/4位相差層形成組成物の乾燥条件を120℃、180秒に変更し、硬化条件(紫外線照射量)を800mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の光学積層体及び円偏光板を得た。
[比較例1]
λ/4位相差層形成組成物の溶剤をMEKの単独溶剤に変更し、λ/4位相差層形成組成物の乾燥条件を120℃、300秒に変更し、硬化条件(紫外線照射量)を1J/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光学積層体及び円偏光板を得た。
[比較例2]
λ/4位相差層形成組成物の溶剤をNMPの単独溶剤に変更し、λ/4位相差層形成組成物の乾燥条件を70℃、60秒に変更し、硬化条件(紫外線照射量)を70mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光学積層体及び円偏光板を得た。
表1に示すように、位相差層の光軸の角度のバラツキ3σを0.100~0.750の範囲である実施例1~4の光学積層体は、初期の反射防止性能を良好にしつつ、熱を原因とする経時的な反射防止性能の低下を抑制できることが確認できる。
10、10a、10b:透明基材
20:配向膜
30:位相差層、
40a、40b:粘着剤層
100:光学積層体
100a:1/2位相差層を有する光学積層体
100b:1/4位相差層を有する光学積層体
200:偏光子
300:円偏光板
400:表示素子
500:表示パネル

Claims (11)

  1. 液晶化合物を含む位相差層を有する光学積層体であって、前記位相差層の光軸の角度のバラツキ3σが0.130~0.700である、光学積層体。
  2. 前記液晶化合物が重合性液晶化合物である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 透明基材上に前記位相差層を有する、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. 前記透明基材が光学的等方性を有する基材である、請求項3に記載の光学積層体。
  5. 前記位相差層が、λ/2位相差層又はλ/4位相差層である、請求項1~4の何れか1項に記載の光学積層体。
  6. 位相差層の両側の面に粘着剤層及び透明基材を有する、請求項1~5の何れか1項に記載の光学積層体。
  7. 請求項1~6の何れか1項に記載の少なくとも一つの光学積層体と、偏光子とを有する、円偏光板。
  8. λ/4位相差層を有する光学積層体と、偏光子とを有する、請求項7に記載の円偏光板。
  9. λ/2位相差層を有する光学積層体と、λ/4位相差層を有する光学積層体と、偏光子とを有する、請求項7に記載の円偏光板。
  10. 表示素子上に、請求項7~9の何れか1項に記載の円偏光板を有する表示パネル。
  11. 前記表示素子が有機EL素子である請求項10に記載の表示パネル。
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