JP7259232B2 - 表示パネル、画像表示装置及び表示パネルの紫外線吸収層の選別方法 - Google Patents

表示パネル、画像表示装置及び表示パネルの紫外線吸収層の選別方法 Download PDF

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Description

本発明は、表示パネル、画像表示装置及び表示パネルの紫外線吸収層の選別方法に関する。
画像表示装置等に適用される光学フィルムとして、入射した光に所望の位相差を付与する位相差フィルムがある。例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置では、λ/4位相差フィルムと直線偏光板とを組み合わせてなる円偏光板を、外光反射防止のために用いている。また、IPSモード等の液晶表示装置では、斜め方向からの視野に対するコントラストを高めるために、ポジティブAプレートとポジティブCプレートとが組み合わされた位相差フィルムが光学補償フィルムの一部として用いられている。
しかし、汎用的な位相差フィルムは、長波長で測定した位相差が短波長で測定した位相差より小さくなるという位相差の波長依存性(位相差の正分散性)を有するため、純粋な黒表示ができず、青紫がかった色となり、画像表示装置の表示品質が低下するという問題がある。
上記の問題を解決する手法として、例えば、λ/4位相差フィルムとλ/2位相差フィルムとを積層する方法が提案されている。
当該手法では、広い波長領域に対して、正面方向の色味に対する補償をすることができるが、2枚の位相差フィルムを特定の角度で貼り合わせる工程が必要になるため生産性が悪く、また、部材が増えるためコストが上昇するという問題がある。
また、上記の問題を解決する別の手法として、特許文献1には、特定の芳香族ポリカーボネートからなる位相差フィルムが提案されている。
しかし、特許文献1の位相差フィルムは、面内複屈折が小さいため、λ/4位相差フィルムとして機能させるためにはフィルムの厚みを厚くする必要があり、画像表示装置の薄型化に支障をきたすという問題がある。
そこで、特許文献2~4のような逆分散特性を有する液晶化合物を用いた位相差フィルムが提案されている。逆分散特性とは、長波長で測定した位相差が短波長で測定した位相差より大きくなるという位相差の波長依存性である。
特開2005-156685号公報 特開2011-6360号公報 特開2016-56106号公報 特開2017-206460号公報
特許文献2~4の位相差フィルムは、上述したディスプレイの表示品質の問題を、1枚の位相差フィルムで抑制し得るものである。
しかし、特許文献2~4の位相差フィルムは、光劣化対策のための紫外線吸収を用いた場合であっても、経時的に位相差値が大きく低下し、画像表示装置の表示品質が低下することが散見された。
本発明者らは鋭意研究した結果、通常の光(非偏光)ではなく、直線偏光を用いて液晶化合物の紫外線領域の透過率を測定した際に、直線偏光が水平偏光の場合と垂直偏光との場合とで、透過率が異なる場合があることを見出した。
そして、本発明者らはさらに研究を重ねた結果、液晶化合物の紫外線領域における直線偏光の透過率を考慮した上で、紫外線吸収剤の吸収波長を最適化することにより、位相差層の位相差が経時的に大きく低下することを抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[3]を提供する。
[1]表示素子(A)と、表示素子の光出射面側に配置してなる位相差層(B)と、位相差層の光出射面側に配置してなる紫外線吸収層(C)とを有する表示パネルであって、
前記位相差層(B)が液晶化合物を含み、前記位相差層(B)の面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の厚み方向の屈折率をnとした際に、下記条件1~3を満たす、表示パネル。
<条件1>
>n≒n または n≒n>n
<条件2>
前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光は水平偏光又は垂直偏光とする。
また、前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光が水平偏光の場合、直線偏光は垂直偏光として、直線偏光が垂直偏光の場合、直線偏光は水平偏光とする。
及びtは波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有し、tの透過開始波長をa(nm)、tの透過開始波長をa(nm)とした際に、a≠aの関係を満たす。
<条件3>
前記紫外線吸収層(C)の面に対して垂直な方向から、偏光していない光を入射し、前記紫外線吸収層(C)を透過した光の分光透過スペクトルtに基づく透過開始波長をa(nm)とした際に、下記式(1)~(3)を満たす。
<a (1)
<a (2)
≦420nm (3)
[2]上記[1]に記載の表示パネルを備えた画像表示装置。
[3]表示素子(A)と、表示素子の光出射面側に配置してなる位相差層(B)と、位相差層の光出射面側に配置してなる紫外線吸収層(C)とを有する表示パネルにおいて、
前記位相差層(B)が液晶化合物を含み、前記位相差層(B)の面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の厚み方向の屈折率をnとした際に、
下記条件1’~2’を満たすように、紫外線吸収層(C)を選別する、表示パネルの紫外線吸収層の選別方法。
<条件1’>
>n≒n または n≒n>n
<条件2’>
前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光は水平偏光又は垂直偏光とする。
また、前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光が水平偏光の場合、直線偏光は垂直偏光として、直線偏光が垂直偏光の場合、直線偏光は水平偏光とする。
及びtは波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有し、tの透過開始波長をa(nm)、tの透過開始波長をa(nm)とする。また、前記紫外線吸収層(C)の面に対して垂直な方向から、偏光していない光を入射し、前記紫外線吸収層(C)を透過した光の分光透過スペクトルtに基づく透過開始波長をa(nm)とする。
上記前提条件において、下記式(1’)及び(2’)を満たす。
≠a<a (1’)
≦420nm (2’)
本発明の表示パネル及び画像表示装置は、位相差層の経時的な光劣化を大幅に抑制することができ、表示品質の経時的な低下を抑制することができる。また、本発明の表示パネルの紫外線吸収層の選別方法によれば、位相差層の経時的な光劣化を抑制し得る紫外線吸収層を効率よく選択することができ、表示パネルの生産効率及び歩留まりを向上することができる。
本発明の表示パネルの一実施形態を示す断面図である。 直線偏光の分光透過スペクトルtの測定方法を説明する該略図である。 直線偏光の分光透過スペクトルtの測定方法を説明する該略図である。 実施例1の位相差層(B)の分光透過スペクトルである。 比較例1の位相差層(B)の分光透過スペクトルである。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[表示パネル]
本発明の表示パネルは、表示素子(A)と、表示素子の光出射面側に配置してなる位相差層(B)と、位相差層の光出射面側に配置してなる紫外線吸収層(C)とを有してなり、
前記位相差層(B)が液晶化合物を含み、前記位相差層(B)の面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の厚み方向の屈折率をnとした際に、下記条件1~3を満たすものである。
<条件1>
>n≒n または n≒n>n
<条件2>
前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光は水平偏光又は垂直偏光とする。
また、前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光が水平偏光の場合、直線偏光は垂直偏光として、直線偏光が垂直偏光の場合、直線偏光は水平偏光とする。
及びtは波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有し、tの透過開始波長をa(nm)、tの透過開始波長をa(nm)とした際に、a≠aの関係を満たす。
<条件3>
前記紫外線吸収層(C)の面に対して垂直な方向から、偏光していない光を入射し、前記紫外線吸収層(C)を透過した光の分光透過スペクトルtに基づく透過開始波長をa(nm)とした際に、下記式(1)~(3)を満たす。
<a (1)
<a (2)
≦420nm (3)
図1は、本発明の表示パネル100の実施の形態を示す断面図である。図1の表示パネル100は、表示素子(A)10と、表示素子の光出射面側に配置してなる位相差層(B)20と、位相差層の光出射面側に配置してなる紫外線吸収層(C)30とを有している。
本発明の表示パネルは、上記条件1~3を満たすことにより、位相差層の経時的な光劣化を大幅に抑制することができ、表示品質の経時的な低下を抑制することができる。
以下、条件1~3の技術的意義を説明する。
<<条件1>>
条件1は、n>n≒n又はn≒n>nを満たすことを規定している。言い換えると、条件1は、位相差層(B)がポジティブAプレートもしくはネガティブAプレートであることを規定している。
条件1を満たす位相差層(B)は、例えば、λ/2位相差層及びλ/4位相差層等として用いることができる。
条件1において、n>n≒nの場合は、nとnとの差の絶対値は0.03以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましい。
≒n>nである場合は、nとnの差の絶対値は0.03以下である事が好ましく、0.02以下である事がより好ましい
<<条件2>>
条件2は、a≠aの関係を規定している。
図2は、aを決定する元となる「直線偏光の分光透過スペクトルt」の測定方法を説明する該略図である。
図2に示すように、直線偏光の分光透過スペクトルtを測定する際は、まず、位相差層(B)20の面に対して垂直な方向から、振動方向が位相差層(B)20の遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射する。図2及び後述の図3の点線は、遅相軸の配列方向を示している。そして、位相差層(B)20を透過した直線偏光の透過率を波長ごとに算出することにより、分光透過スペクトルtを得ることができる。なお、直線偏光は水平偏光又は垂直偏光とする。
分光透過スペクトルt及び後述の分光透過スペクトルtは、例えば、日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計「商品名:V7100」を用いて、偏光フィルタをONとすることにより測定することができる。該分光光度計では、直線偏光及び直線偏光を、P偏光及びS偏光で切り替えることができる。なお、分光透過スペクトルは、光源としてタングステンハロゲン光源もしくは重水素光源を用い、測定波長ピッチを1nmとして測定することが好ましい。
またt及びtは、位相差層(B)を他の層と積層した積層体の状態で測定してもよい。他の層としては透明基材、配向膜が挙げられる。但し、他の層としては、該他の層の波長a及びaにおける分光透過率が90%以上であり、かつ、該他の層の直線偏光の波長300~450nmの分光透過スペクトルと、該他の層の直線偏光の波長300~450nmの分光透過スペクトルとが実質的に等しいものを用いる。実質的に等しいとは、直線偏光の波長300~450nmの分光透過スペクトルの平均と、直線偏光の波長300~450nmの分光透過スペクトルの平均との差が1%以下のものをいう。
図3は、aを決定する元となる「直線偏光の分光透過スペクトルt」の測定方法を説明する該略図である。
図3に示すように、直線偏光の分光透過スペクトルtを測定する際は、まず、位相差層(B)20の面に対して垂直な方向から、振動方向が位相差層(B)20の遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射する。そして、位相差層(B)20を透過した直線偏光の透過率を波長ごとに算出することにより、分光透過スペクトルtを得ることができる。
なお、直線偏光が水平偏光の場合、直線偏光は垂直偏光として、直線偏光が垂直偏光の場合、直線偏光は水平偏光とする。
図4は、実施例1の表示パネルに用いた位相差層(B)の分光透過スペクトルである。図4中、実線は偏光していない光の分光透過スペクトル、点線は直線偏光の分光透過スペクトルt、一点鎖線は直線偏光の分光透過スペクトルtを示している。
図4から、実施例1で用いている位相差層(B)は、波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有しており、直線偏光の透過開始波長a(374nm)と、直線偏光の透過開始波長a(389nm)とが異なっていることが確認できる。すなわち、実施例1で用いている位相差層(B)は、a≠aの関係が成立して条件2を満たしている。
一般的に、波長300~450nmの領域における吸収スペクトルは、液晶化合物等の化合物の劣化の原因となる。
そして、実施例1で用いている位相差層(B)のように、a≠aの関係が成立して条件2を満たすことは、水平偏光の場合と、垂直偏光の場合とで、液晶化合物を劣化する透過開始波長が異なっていることを意味している。
一方、図5は、比較例1の表示パネルに用いた位相差層(B)の分光透過スペクトルである。図5中、実線は偏光していない光の分光透過スペクトル、点線は直線偏光の分光透過スペクトルt、一点鎖線は直線偏光の分光透過スペクトルtを示している。
図5から、比較例1で用いている位相差層(B)は、波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有しているものの、直線偏光の透過開始波長a(308nm)と、直線偏光の透過開始波長a(308nm)とが略同一であることが確認できる。すなわち、比較例1で用いている位相差層(B)は、a≠aの関係が成立せず条件2を満たしていない。
本明細書において、透過開始波長及び吸収開始波長は下記(A1)~(A4)のように算出するものとする。
(A1)450~500nmの分光透過率の平均をT(%)とする。
(A2)分光透過率がT/2(%)以下となる波長のうち、最も長波長の波長をx(nm)とする。
(A3)x-15(nm)の時の分光透過率をy1(%)、x+15(nm)の分光透過率をy2(%)とする。
(A4)点1(x-15,y1)と点2(x+15,y2)とを結ぶ直線をy=f(x)とした時、該直線が透過率0%と交差した時の波長を透過開始波長として、該直線が透過率T%と交差した時の波長を吸収開始波長とする。
本明細書において、透過開始波長a、透過開始波長a、透過開始波長a及び透過開始波長a、吸収開始波長b、吸収開始波長b、吸収開始波長b及び吸収開始波長bは、位相差層(B)の16箇所で測定した分光透過率から算出した透過開始波長及び吸収開始波長を平均化したものをいう。同様に、透過開始波長a及び吸収開始波長aは、紫外線吸収層(C)の16箇所で測定した分光透過率から算出した透過開始波長及び吸収開始波長を平均化したものをいう。また、n、n、n、面内位相差及び厚み方向の位相差は、位相差層(B)の16箇所の測定値を平均化したものをいう。
16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。例えば、測定サンプルが四角形の場合、四角形の外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に5等分した点線の交点の16箇所を中心として測定を行い、その平均値でパラメータを算出することが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、該四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。
<<条件3>>
条件3は、紫外線吸収層(C)の面に対して垂直な方向から、偏光していない光を入射し、紫外線吸収層(C)を透過した光の分光透過スペクトルtに基づく透過開始波長をa(nm)とした際に、下記式(1)~(3)を満たすことを規定している。
<a (1)
<a (2)
≦420nm (3)
分光透過スペクトルtは、汎用の分光光度計により測定することができる。なお、分光透過スペクトルは、光源を重水素光源又はキセノン光源、測定波長ピッチを1nmとして測定することが好ましい。
上述したように、位相差層(B)が条件2を満たすことは、直線偏光と直線偏光とで、位相差層(B)の液晶化合物を劣化する透過開始波長が異なることを意味している。言い換えると、位相差層(B)が条件2を満たすことは、水平偏光と垂直偏光とで、位相差層(B)の液晶化合物を劣化する透過開始波長が異なることを意味している。
したがって、位相差層(B)が条件2を満たす場合、水平偏光の透過開始波長及び垂直偏光の透過開始波長の両方を考慮して、紫外線吸収層(C)の分光透過スペクトルに基づく透過開始波長を決定することが重要となる。
従来の製品設計においても、紫外線劣化を抑制する対象物の分光透過スペクトルに基づく透過開始波長を算出し、該透過開始波長よりも透過開始波長が長波長側である紫外線吸収層を選定することによって、紫外線による劣化を抑制することが行われていた。
しかし、従来の製品設計では、対象物の分光透過スペクトルは専ら非偏光で測定していた。これは、従来では、水平偏光と垂直偏光とで、対象物の透過開始波長が異なる場合があることを想定していなかったためである。そして、図4に示すように、非偏光の分光透過スペクトルは、水平偏光の分光透過スペクトルと垂直偏光の分光透過スペクトルとの間に位置することになる。表示画像への悪影響を避けるため、紫外線吸収層の透過開始波長は極力短波長側とすることが求められる。したがって、図4を例に説明すると、従来の製品設計では、一点鎖線の分光透過スペクトルの透過開始波長(389nm)を考慮せず、実線の分光透過スペクトルの透過開始波長(381nm)のみを考慮して、透過開始波長が381nmを僅かに超える紫外線吸収剤を選定していたため、後者の透過開始波長による化合物の光劣化を抑制できなかった。
一方、本発明者らは、水平偏光と垂直偏光とで、対象物である液晶化合物の透過開始波長が異なる場合があることを見出し、水平偏光及び垂直偏光の透過開始波長よりも透過開始波長が長波長側である紫外線吸収層を選定することによって、液晶化合物の紫外線劣化を抑制することを可能として、本発明の完成に至った。
条件2は、位相差層(B)が側鎖を有する液晶化合物を含む場合に満たしやすい傾向にある。まず、条件1を満たすために、側鎖を有する液晶化合物は、液晶化合物の主鎖が面内で一定の方向に規則正しく配列されることになる。液晶化合物の主鎖が前述のように配列されることによって、位相差層(B)の面内で遅相軸の方向が一定となり、条件1を満たすことができる。そして、その際、側鎖はz軸方向を向くことになる。
上記のように、位相差層(B)の面内で遅相軸の方向を一定の方向に規則正しく配列した状態で、振動方向が遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射し、位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルtは、主鎖の分光透過スペクトルと擬制できる。そして、分光透過スペクトルtから算出した透過開始波長aは、主鎖の透過開始波長と擬制できる。一方、位相差層(B)の面内で遅相軸の方向を一定の方向に規則正しく配列した状態で、振動方向が遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射し、位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルtは、側鎖の分光透過スペクトルと擬制できる。そして、分光透過スペクトルtから算出した透過開始波長aは、側鎖の透過開始波長と擬制できる。
側鎖を有する液晶化合物においては、主鎖の透過開始波長aと、側鎖の透過開始波長aとを比較した場合、両者が異なる傾向が高い。特に、位相差層(B)が逆分散特性を有する場合、側鎖は主鎖とは光学的性質の異なる基を必然的に有するため、aとaとの差がより大きくなりやすい。
なお、一般的に、主鎖の透過開始波長aよりも、側鎖の透過開始波長aの方が長波長側に位置する傾向が高い。
主鎖の透過開始波長aと、側鎖の透過開始波長aとが異なる場合、上記式(1)及び(2)の両方を満たさなければ、液晶化合物の光劣化を抑制できない。例えば、上記式(1)を満たすものの上記式(2)を満たさない場合、側鎖の光劣化が引き金となり、主鎖を含めた液晶化合物の全体が劣化してしまう。
したがって、上記式(1)及び(2)の両方を満たすことが重要となる。上述したように、位相差層(B)が逆分散特性を有する場合には、主鎖の透過開始波長aと、側鎖の透過開始波長aとの差が大きくなりやすい。したがって、本発明は、位相差層(B)が逆分散特性を有する場合に、より効果を発揮しやすい点で有効である。
なお、条件3において、式(3)を満たさない場合、可視光領域のうちの短波長域の光が紫外線吸収層(B)で吸収されてしまい、表示される画像が黄色っぽくなり色味が損なわれてしまう。
は410nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、395nm以下であることがさらに好ましい。
本発明の表示パネルが条件1~3を満たす場合、さらに下記条件4を満たすことが好ましい。
<<条件4>>
とaのうちの波長が大きいものと、aとの差が2nm以上
条件4を満たすことにより、液晶化合物の光劣化をより抑制することができる。条件4の差は3nm以上であることがより好ましい。また、条件4の差は、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
本発明の表示パネルが条件1~3を満たす場合において、tの吸収開始波長をb(nm)、tの吸収開始波長をb(nm)、紫外線吸収層(C)の吸収開始波長をb(nm)とした際に、後述する関係を満たすことが好ましい。
は、表示画像の色味を損なうことを抑制する観点から、450nm以下であることが好ましく、430nm以下であることがより好ましい。
また、表示画像の色味を損なうことを抑制しつつ、液晶化合物の光劣化を抑制する観点から、b-aは、20~40nmであることが好ましく、25~38nmであることがより好ましく、30~36nmであることがさらに好ましい。
また、b-aをX(nm)、b-aをX(nm)、b-aをX(nm)とした際に、X-Xの絶対値は10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、3nm以下であることがさらに好ましい。また、X-Xの絶対値は10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、3nm以下であることがさらに好ましい。
-X、X-Xを上記範囲とすることにより、表示画像の色味を損なうことを抑制しつつ、液晶化合物の光劣化を抑制しやすくできる。
とaとの差は特に限定されないが、aとaとの差の絶対値(|a-a|)を3~25nmとすることが好ましく、5~22nmとすることがより好ましく、8~20nmとすることがさらに好ましく、11~18nmとすることがよりさらに好ましい。
該絶対値を3nm以上とすることにより、本発明の構成とすることによる効果をより有効なものとすることができる。また、該絶対値を25nm以下とすることにより、aを短波長側としても上記式(1)及び(2)を満たしやすくすることができるため、表示される画像が黄色っぽくなり色味が損なわれることを抑制しやすくできる。
また、a及びaの波長は特に限定されないが、a及びaのうちの波長が小さいものの波長が350~400nmであることが好ましく、360~390nmであることがより好ましい。
及びaのうちの波長が小さいものの波長が上記範囲である場合、非偏光の透過開始波長は上記範囲よりも長波長側にシフトした範囲となり、可視光領域の低波長側を含む場合がある。したがって、非偏光の透過開始波長を基準として紫外線吸収剤を選択する場合には、極力、非偏光の透過開始波長と同等の透過開始波長を有する紫外線吸収剤が選択される。しかし、これでは透過開始波長が長波長側に位置する偏光を原因とした液晶化合物の光劣化を抑制できない。
一方、本発明では、a及びaのうちの波長が小さいものの波長が、上記のように可視光領域の低波長側を含み得る場合において、液晶化合物の光劣化を抑制できる紫外線吸収剤を適切に選択できる点で有効である。
<表示素子>
表示素子としては、液晶表示素子、EL(無機EL、有機EL)表示素子、プラズマ表示素子、LED表示素子(マイクロLEDなど)、量子ドットを用いた表示素子等が挙げられる。なお、液晶表示素子は、タッチパネル機能を素子内に備えたインセルタッチパネル液晶表示素子であってもよい。
表示素子の中でも、有機EL素子及びマイクロLED素子は反射率が高いため、紫外線が位相差層(B)を2回通過し、位相差層(B)が光劣化しやすい傾向にある。このため、表示素子が有機EL素子及びマイクロLED素子の際に、本発明の効果がより有効に発揮できる点で有効である。
有機EL表示素子は、例えば、出光側から透明電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電極層の順に積層する構成等が挙げられる。有機EL表示パネルは、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
表示素子が液晶表示素子である場合、液晶表示素子の背面にはバックライトが必要である。
<位相差層(B)>
位相差層(B)は、液晶化合物を含む層であり、表示素子の光出射面側に配置される。
位相差層(B)は、条件1及び2を満たすものであれば特に限定されない。
位相差層中の液晶化合物の割合は、位相差層の全固形に対して、60~99.9質量%であることが好ましく、65~98質量%であることがより好ましい。
位相差層(B)は、位相差層(B)の波長450nmの面内位相差をRe(450)、位相差層(B)の波長550nmの面内位相差をRe(550)、位相差層(B)の波長650nmの面内位相差をRe(650)とした際に、下記式(i)を満たすことが好ましい。
Re(450)<Re(550)<Re(650) (i)
上記式(i)を満たすことは、位相差層(B)が逆分散特性を示すことを意味している。上記式(i)を満たすことにより、斜め方向の色味を改善しやすくできる。
本明細書において、面内位相差(Re)及び厚さ方向の位相差(Rth)は、n、n、n及び膜厚(d(nm))から、下記式で表されるものを意味する。
面内位相差(Re)=(nx-ny)×d
厚さ方向の位相差(Rth)=((nx+ny)/2-nz)×d
位相差層(B)は、さらに下記式(ii)を満たすことが好ましい。
0.75≦Re(450)/Re(550)≦0.98 (ii)
上記式(ii)を満たすことにより、斜め方向の色味をより改善しやすくできる。なお、上記式(ii)において、Re(450)/Re(550)は0.80以上0.95以下であることがより好ましく、0.82以上0.93以下であることがさらに好ましい。
位相差層(B)は下記式(iii)を満たすことが好ましい。
80nm≦Re(550)≦220nm (iii)
位相差層(B)がさらに上記式(iii)を満たすことは、位相差層(B)がλ/4位相差層として機能することを意味している。位相差層(B)が上記式(iii)を満たし、かつ、位相差層(B)よりも光出射面側に偏光子を配置することにより、位相差層(B)と偏光子とが円偏光板として機能し、外光反射を抑制することができる。
上記式(iii)において、Re(550)は、90nm以上200nm以下であることがより好ましく、100nm以上180nm以下であることがさらに好ましい。
上記式(iii)を満たす位相差層(B)と、偏光子とは、偏光子の吸収軸と、位相差層(B)の遅相軸との成す角度が45±5°となるように配置することが好ましく、45±2°となるように配置することがより好ましい。
また、位相差層(B)の波長550nmにおける厚さ方向の位相差(Rth(550))は、n>n≒nの場合は30nm以上120nm以下であることが好ましく、50nm以上100nm以下であることがより好ましく、n≒n>nの場合は-120nm以上-30nm以下であることが好ましく、-100nm以上-50nm以下であることがより好ましい。
<<液晶化合物>>
位相差層(B)に含まれる液晶化合物は、条件1及び2を満たし得るものであれば特に限定されない。
条件1及び2を満たす液晶化合物は、主鎖及び側鎖を有し、位相差層(B)の面内で主鎖が一定方向に配列可能であるものが好ましい。また、該液晶化合物は、逆分散特性を有することが好ましい。
主鎖及び側鎖を有し、位相差層(B)の面内で主鎖が一定方向に配列可能であり、かつ、逆分散特性を有する液晶化合物は、棒状重合液晶化合物に由来する構造単位と、逆分散特性を示す重合性化合物に由来する構造単位とを含むことが好ましい。このような液晶化合物は、例えば、特開2011-6360号公報、特開2016-56106号公報、特開2017-206460号公報、特表2010-522892号公報(特許第5670179号公報)、特開2007-2209号公報、特開2010-31223号公報、特許第6055569号公報等に記載のものが挙げられる。
棒状重合液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。棒状液晶化合物としては、これらの低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。また、棒状液晶化合物は重合性基を有することが好ましい。棒状液晶化合物の一分子中の重合性基の数は2~3であることが好ましい。
棒状液晶化合物の具体例としては、下記式(1)~(17)に示す化合物が挙げられる。
Figure 0007259232000001

Figure 0007259232000002
逆分散特性を示す重合性化合物としては、特開2010-31223号公報に記載された「式(A)で表される基を有する化合物」、特開2007-2209号公報に記載された「重合性化合物(1)」、特開2011-6360号公報に記載された「化合物(1)」等が挙げられる。
また、主鎖及び側鎖を有し、位相差層(B)の面内で主鎖が一定方向に配列可能であり、かつ、逆分散特性を有する液晶化合物として、円盤状コアに由来する構造単位(主鎖)と、逆分散特性を示す重合性化合物に由来する構造単位とを含むものも好ましく使用できる。かかる液晶化合物は、ディスコティック液晶性化合物と呼ばれ、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
D(-L-P)
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは1~12の整数である。前記式中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001-4837号公報に記載の(D1)~(D15)、(L1)~(L25)、(P1)~(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。なお、液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相-固相転移温度は、30~300℃が好ましく、30~170℃が更に好ましい。
ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994)等)に記載されている。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8-27284号公報に記載がある。
<位相差層(B)の形成方法>
位相差層(B)は、透明基材上、あるいは、配向膜を備えた透明基材の配向膜上に、液晶化合物を含む位相差層形成組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥及び硬化することにより形成することができる。また、前述のように形成した位相差層(B)を別の透明基材上に転写してもよい。
具体的な乾燥条件は、位相差層形成組成物により異なるため一概にはいえないが、乾燥温度を70~150℃、乾燥時間を30~250秒とすることが好ましく、乾燥温度を90~130℃、乾燥時間を50~200秒とすることがより好ましい。
重合性液晶化合物を重合するための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。具体的な紫外線の照射エネルギーは、位相差層の厚み等により異なるため一概にはいえないが、50mJ/cm~1J/cmであることが好ましく、150mJ/cm~900mJ/cmであることがより好ましい。
<位相差層形成用組成物>
位相差層形成組成物中には、液晶化合物を構成する以外の成分として、光重合開始剤、溶剤、界面活性剤等を含有していてもよい。
<<光重合開始剤>>
位相差層形成組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル及びチオキサンソン類等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、位相差層形成組成物の全固形分の0.01~20質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
<<界面活性剤>>
位相差層形成組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。また、界面活性剤の中でも、重合性基を有するフッ素系界面活性剤及び重合性基を有するシリコン系界面活性剤より選択される1種以上を選択して用いることが好ましい。
界面活性剤の含有量は、位相差層形成組成物の全固形分の0.01~2.0質量%であることが好ましく、0.1~1.0質量%であることがより好ましい。
<<溶剤>>
位相差層形成組成物は、通常は溶剤を含有する。
溶剤としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
位相差層形成組成物における溶剤の含有量は、位相差層形成組成物中の50~90質量%であることが好ましく、70~80質量%であることがより好ましい。
<透明基材>
本発明の表示パネルは、透明基材を有していてもよい。
透明基材は、位相差層を形成する際の支持体としての役割、位相差層を保護する役割、紫外線吸収層(C)を構成する一部材としての役割等を有する。
透明基材は光学的等方性であるものが好ましい。透明基材は、ポリマーから形成したものでもよいし、ガラスから形成したものであってもよい。
ポリマーとしては、セルロースアシレート、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等を利用することができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又はこれらポリマーの混合物等が挙げられる。
透明基材の厚みは、ポリマーから形成した透明基材の場合は、通常25~125μm程度であり、ガラスから形成した透明基材の場合は、通常100μm~5mm程度である。
<配向膜>
配向膜は、液晶化合物を面内の一定方向に配向しやすくする「水平配向膜」が好ましい。
なお、位相差層(B)の形成時点で配向膜を有していても、他の部材(例えば偏光子)に位相差層(B)を転写し、かつ、転写時に配向膜が転写されないようにすれば、配向膜を有さない表示パネルを得ることができる。
<<水平配向膜>>
水平配向膜は、水平方向の配向規制力を備えた配向膜であり、公知のA型の位相差フィルムの作製に供する各種水平配向膜を適用することができ、例えば、光二量化型の材料等を適用することができる。
水平配向膜に配向規制力を付与する手段は、従来公知のものとすることができ、例えば、ラビング法、光配向法、賦形法などが挙げられる。
水平配向膜の厚みは、通常、1~1000nmであり、60~300nmが好ましい。
<紫外線吸収層(C)>
紫外線吸収層(C)は、紫外線吸収剤を含む樹脂層の単層であってもよいし、透明基材と紫外線吸収剤を含む樹脂層との積層構造等の多層であってもよい。紫外線吸収剤を含む樹脂層は、例えば、紫外線吸収剤とバインダー樹脂とから形成することができる。
紫外線吸収層(C)を構成する透明基材は、上記に例示したものと同様のものを用いることができる。なお、紫外線吸収層(C)を構成する透明基材は、上記に例示した透明基材中に紫外線吸収剤を練りこんだものであってもよい。
<<紫外線吸収剤>>
紫外線吸収剤は、条件3の式(1)~(3)を満たすものであれば、特に限定なく用いることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
また、紫外線吸収剤は、ブリードアウト抑制の観点から、バインダー樹脂と架橋反応し得る反応性基を備えたものが好ましい。
<<バインダー樹脂>>
紫外線吸収剤を含む樹脂層のバインダー樹脂は、汎用の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂から選ばれる1種又はこれらから選ばれる2種以上の混合物が挙げられる。
なお、バインダー樹脂が接着性を有していると、接着剤層を介することなく他の層(位相差層(B)、偏光子等)と積層できる点で好適である。
紫外線吸収剤を含む樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量は、該層の全固形分の10~45質量%であることが好ましく、15~40質量%であることがより好ましい。
また、紫外線吸収剤を含む層の厚みは、0.5~10μmであることが好ましく、0.7~5μmであることがより好ましい。
<その他の層>
表示素子(A)の光出射面側には、位相差層(B)、紫外線吸収層(C)以外の層や部材を有していてもよい。
その他の層としては、上述した透明基材及び配向膜が挙げられ、さらには、位相差層(B)以外の位相差層、偏光子、偏光子保護フィルム、接着剤層、機能層等が挙げられる。その他の部材としてタッチパネルが挙げられる。
<表示パネルの具体的な積層構成>
表示パネルの具体的な積層構成は特に限定されないが、例えば、下記(1)~(3)の構成が挙げられる。なお、「/」は層の界面を示す。
(1)表示素子(A)/接着剤層/透明基材/接着剤層/位相差層(B)/接着剤層/透明基材と紫外線吸収剤を含む樹脂層とを積層してなる紫外線吸収層(C)/接着剤層/偏光子/接着剤層/偏光子保護フィルム
(2)表示素子(A)/接着剤層/位相差層(B)/接着剤層/透明基材と紫外線吸収剤を含む樹脂層とを積層してなる紫外線吸収層(C)/接着剤層/偏光子/接着剤層/偏光子保護フィルム
(3)表示素子(A)/接着剤層/位相差層(B)/紫外線吸収剤を含む紫外線吸収層(C)/接着剤層/偏光子/接着剤層/偏光子保護フィルム
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の表示パネルを備えるものである。
画像表示装置は、上述した本発明の表示パネルと、該表示パネルに電気的に接続された駆動制御部と、これらを収容する筐体とを備えることが好ましい。
[表示パネルの紫外線吸収層の選別方法]
本発明の表示パネルの紫外線吸収層の選別方法は、
表示素子(A)と、表示素子の光出射面側に配置してなる位相差層(B)と、位相差層の光出射面側に配置してなる紫外線吸収層(C)とを有する表示パネルにおいて、
前記位相差層(B)が液晶化合物を含み、前記位相差層(B)の面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の厚み方向の屈折率をnとした際に、
下記条件1’~2’を満たすように、紫外線吸収層(C)を選別するものである。
<条件1’>
>n≒n または n≒n>n
<条件2’>
前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光は水平偏光又は垂直偏光とする。
また、前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光が水平偏光の場合、直線偏光は垂直偏光として、直線偏光が垂直偏光の場合、直線偏光は水平偏光とする。
及びtは波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有し、tの透過開始波長をa(nm)、tの透過開始波長をa(nm)とする。また、前記紫外線吸収層(C)の面に対して垂直な方向から、偏光していない光を入射し、前記紫外線吸収層(C)を透過した光の分光透過スペクトルtに基づく透過開始波長をa(nm)とする。
上記前提条件において、下記式(1’)及び(2’)を満たす。
≠a<a (1’)
≦420nm (2’)
条件1’は、上述した本発明の表示パネルの条件1に対応する。また、条件2’は、上述した本発明の表示パネルの条件2と条件3とを合わせたものである。
本発明の表示パネルの紫外線吸収層の選別方法によれば、位相差層の経時的な光劣化を抑制し得る紫外線吸収層を効率よく選択することができ、表示パネルの生産効率及び歩留まりを向上することができる。
本発明の表示パネルの紫外線吸収層の選別方法は、位相差層(B)の構成が上述した本発明の表示パネルの位相差層(B)の好適な実施態様である場合に、上記効果をより有効なものとすることができる点で好ましい。
また、本発明の表示パネルの紫外線吸収層の選別方法は、紫外線吸収層(C)の構成が上述した本発明の表示パネルの紫外線吸収層(C)の好適な実施態様である場合に、上記効果をより有効なものとすることができる点で好ましい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。
1.測定、評価
実施例及び比較例で得られた位相差層及び紫外線吸収層について、下記の測定、評価を行った。
1-1.屈折率及び位相差の測定
王子計測機器製の商品名「KOBRA-WR(測定スポット:直径5mm)」を用いて、位相差フィルム1~8の位相差層の屈折率(n、n及びn)、面内位相差及び厚み方向の位相差を測定した。結果を表1に示す。
1-2.透過開始波長a及びa、並びに、吸収開始波長b及びbの算出
明細書本文の測定方法に従って、位相差フィルム1~8の位相差層の直線偏光の分光透過スペクトルt及び直線偏光の分光透過スペクトルtを測定し、透過開始波長a及びa、並びに、吸収開始波長b及びbを算出した。結果を表1に示す。
なお、分光透過スペクトルt及び分光透過スペクトルtは、日本分光社製の商品名「V-7100」を用いて、偏光フィルタをONとすることにより測定した。なお、光源は、重水素ランプ及びタングステンハロゲンランプを用い(350nm以下の波長は重水素ランプ、それ以外の波長はタングステンハロゲンランプ。装置内で自動切り替え)、測定波長ピッチは1nmとした。
1-3.透過開始波長a及び吸収開始波長bの算出
明細書本文の測定方法に従って、紫外線吸収層(C)1~4の非偏光の分光透過スペクトルtを測定し、透過開始波長a及び吸収開始波長bを算出した。結果を表2に示す。
なお、分光透過スペクトルtは、日本分光社製の商品名「V-7100」を用いて、偏光フィルタをOFFとして測定した。なお、光源は、重水素ランプ及びタングステンハロゲンランプを用い(350nm以下の波長は重水素ランプ、それ以外の波長はタングステンハロゲンランプ。装置内で自動切り替え)、測定波長ピッチは1nmとした。
1-4.耐光性
岩崎電気社製のサンシャインカーボンアーク式耐候性試験機を用い、位相差フィルムと紫外線吸収フィルムとを表3及び表4の組み合わせで重ね合わせた積層体(後述の「4」で作製した積層体)の紫外線吸収フィルム側から140時間光照射する耐光性試験を行った。耐光性試験の終了後に位相差フィルムを取り出し、1-1と同様にして面内位相差を測定した。
耐光性試験前の波長550nmの面内位相差をRe(550)、耐光性試験後の波長550nmの面内位相差をRe(550)として、Re(550)/Re(550)を算出した。
その結果、Re(550)/Re(550)が0.92以上1.0未満のものを「A」、Re(550)/Re(550)が0.86以上0.92未満のものを「B」、Re(550)/Re(550)が0以上0.86未満のものを「C」とした。結果を表3及び表4に示す。
1-5.位相差層の厚み
位相差層の厚みが5μm以下のものを「A」、位相差層の厚みが5μmを超えるものを「C」とした。結果を表3及び表4に示す。
1-6.画像の色味
実施例及び比較例の表示パネルを有機EL表示装置に組み込んで画像を表示させ、正面及び斜め方向から画像の色味を目視で評価した。黄色味が気にならないものを「A」、どちらともいえないが許容レベルであるものを「B」、黄色味が気になり許容できないものを「C」とした。結果を表3及び表4に示す。
2.位相差フィルムの作製
2-1.位相差フィルム1
厚み80μmのPETフィルム上に、ポリシンナメート系化合物を含有する配向膜形成組成物(固形分4%、プロピレングリコールモノメチルエーテル希釈)を、塗布し、塗膜を形成した。得られた塗膜を120℃で1分間乾燥して、偏光露光20mJ/cm(310nm)照射を行い、膜厚が200nmの配向膜を形成した。
次いで、配向膜上に、下記組成の位相差層(B)形成組成物をバーコーターで乾燥後の膜厚が2.0μmになるように塗布、乾燥、硬化し、PETフィルム、配向膜及び位相差層(B)を備えた積層体iを得た。乾燥条件は、温度120℃、時間60秒とした。硬化条件(紫外線照射量)は200mJ/cmとした。
次いで、光学的等方性を有するTACフィルム(鹸化処理品、厚み80μm)上に光学的等方性を有するアクリル系粘着剤層(厚み25μm)を有する粘着シートの粘着剤層側の面と、積層体iの位相差層(B)側の面とを対向させて貼り合わせ、積層体iiを得た。
次いで、積層体iiのPETフィルム及び配向膜を剥離し、TAC、粘着剤層及び位相差層(B)をこの順に有する位相差フィルム1を得た。
<位相差層(B)形成組成物>
特許第6055569号公報の段落0351に記載されている化合物X(棒状重合液晶化合物に由来する構造単位と、逆分散特性を示す重合性化合物に由来する構造単位とを含む化合物)を15質量%、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュア369)を5質量%、フッ素系界面活性剤(DIC社製、商品名:メガファックF477)を0.4質量%含む重合性液晶組成物。
2-2.位相差フィルム2~7
液晶化合物1を下記の液晶化合物2~7に変更した以外は、位相差フィルム1と同様にして、位相差フィルム2~7を得た。液晶化合物2~7は、何れも、棒状重合液晶化合物に由来する構造単位と、逆分散特性を示す重合性化合物に由来する構造単位とを含む化合物である。
液晶化合物2:特開2011-162678号の段落0250に記載されている化合物7-1の構造を含む液晶化合物
液晶化合物3:特許第6055569号に記載されている実施例11の液晶化合物
液晶化合物4:特許第5670179号の段落0171に記載されている混合物5の液晶化合物
液晶化合物5:特許第6055569号に記載されている実施例16の液晶化合物
液晶化合物6:特許第6055569号に記載されている実施例18の液晶化合物
液晶化合物7:特開2016-56106の実施例4に記載されている(1-47-1)に記載の構造を含む液晶化合物
2-3.位相差フィルム8
位相差フィルム8として、市販の芳香族ポリカーボネートからなる位相差フィルムを準備した。
3.紫外線吸収層(C)の準備及び作製
3-1.紫外線吸収層1
厚み60μmの光学等方性を有するTACフィルムを紫外線吸収層1として用いた。
3-2.紫外線吸収層2~4
(樹脂層用組成物1の調整)
200mLの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、6-[5-(2-ヒドロキシエチル)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール4.0g(0.013モル)、トルエン40mL、メタクリル酸1.8g(0.021モル)、メタンスルホン酸0.4g(0.004モル)を入れて、110~115℃で4時間還流脱水した。次いで、水30mL、炭酸ナトリウム0.6g(0.006モル)を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、活性炭0.2gを加え、還流撹拌して脱色させた。そして、ろ過した後に、ろ液からトルエン40mLを減圧で回収し、イソプロピルアルコール100mLを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール40mLで洗浄した後、減圧下40℃で乾燥し、黄色結晶を4.2g得た。この黄色結晶4.2gをイソプロピルアルコールでリパルプ洗浄して、減圧下40℃で乾燥し、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物として、3.4gの2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]エチルメタクリレートを得た。
次いで、四つ口フラスコにジムロート冷却器、水銀温時計、窒素ガス吹き込み管、攪拌装置を取り付け、合成した2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]エチルメタクリレートを8質量部、他の単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)を32質量部、溶媒としてのトルエン20質量部、メチルエチルケトン20質量部、および、重合開始剤としての1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)0.6質量部を入れて、攪拌しながら窒素ガス流量10mL/minで1時間フラスコ内を窒素置換後に、反応液温度90~96℃で10時間還流状態にて重合反応を行った。
重合反応終了後、トルエン10質量部、メチルエチルケトン(MEK)10質量部を追加し、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物がMMAに反応結合されたアクリルポリマー1(光吸収剤1)を含む溶液100.6質量部を得た。
多官能モノマー(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬株式会社製)および上記アクリルポリマー1を固形分質量比20:80で混ぜ合わせ、固形分25%まで溶剤(メチルエチルケトンおよびトルエンの質量比80:20)にて希釈して樹脂組成物を調製した。
次いで、得られた樹脂組成物160質量部に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184およびOmnirad819の質量比50:50)4質量部と、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部とを混ぜ合わせ、よく攪拌することで、樹脂層用組成物1を調製した。
(樹脂層用組成物2の調整)
多官能モノマー(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬株式会社製)を、固形分50%まで溶剤(メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン、質量比50:50)にて希釈して樹脂組成物を調整した。
次いで、得られた樹脂組成物200質量部に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184)4質量部と、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部とを混ぜ合わせ、よく攪拌することで、樹脂層用組成物2を調製した。
得られた樹脂層用組成物1を、ミヤバーにて厚みが25μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TJ25UL」、富士フイルム株式会社製)の表面に塗布して、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.5m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚が2μmの第1の樹脂層を形成した。
第1の樹脂層を形成した後、メイヤーバーにて第1の樹脂層の表面に樹脂層用組成物2を塗布して、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.5m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚が4μmの第2の樹脂層を形成した。これにより、TACフィルムと、紫外線吸収剤を含む樹脂層(第1の樹脂層)と、第2の樹脂層との積層構造からなる紫外線吸収層(C)[紫外線吸収層2]を得た。
また、第1の樹脂層の膜厚を3μmに変更した以外は、上記と同様にして、TACフィルムと、紫外線吸収剤を含む樹脂層(第1の樹脂層)と、第2の樹脂層との積層構造からなる紫外線吸収層(C)[紫外線吸収層3]を得た。
また、第1の樹脂層の膜厚を4μmに変更した以外は、上記と同様にして、TACフィルムと、紫外線吸収剤を含む樹脂層(第1の樹脂層)と、第2の樹脂層との積層構造からなる紫外線吸収層(C)[紫外線吸収層4]を得た。
4.位相差フィルムと紫外線吸収層(C)とのラミネート
上記「2」の位相差フィルム1~8の位相差層(B)側の面と、上記「3」の紫外線吸収層1~4のTACフィルム側とを、光学的等方性を有するアクリル系粘着剤層(厚み25μm)を介してラミネートし、積層体を得た。位相差フィルム1~8と紫外線吸収層1~4とは、表3及び4のようにして組み合わせた。
5.表示パネルの作製
市販の有機EL表示装置の有機EL素子上に配置されていた光学部材を取り出した。該有機EL素子上に、位相差フィルム及び紫外線吸収フィルムを表3及び4の組み合わせでラミネートした積層体を配置し、さらに、該積層体の紫外線吸収層上に偏光板を配置して、実施例及び比較例の表示パネル及び表示装置を得た。なお、偏光板の偏光子の吸収軸と、位相差フィルムの位相差層の遅相軸との成す角度が45度となるように配置した。
Figure 0007259232000003
Figure 0007259232000004
Figure 0007259232000005
Figure 0007259232000006
表1~4から明らかなように、条件1~3を満たす表示パネルは、位相差層の経時的な光劣化を大幅に抑制することができ、表示品質の経時的な低下を抑制し得るものであることが確認できる。
10:表示素子(A)
20:位相差層(B)
30:紫外線吸収層(C)
100:表示パネル

Claims (13)

  1. 表示素子(A)と、表示素子の光出射面側に配置してなる位相差層(B)と、位相差層の光出射面側に配置してなる紫外線吸収層(C)とを有する表示パネルであって、
    前記位相差層(B)が液晶化合物を含み、前記位相差層(B)の面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の厚み方向の屈折率をnとした際に、下記条件1~3を満たす、表示パネル。
    <条件1>
    >n≒n または n≒n>n
    <条件2>
    前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光の進行方向をZ軸とした際に、直線偏光は、振動方向がX軸に平行である水平偏光、又は、振動方向がY軸に平行である垂直偏光とする。
    また、前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光が前記水平偏光の場合、直線偏光は前記垂直偏光として、直線偏光が前記垂直偏光の場合、直線偏光は前記水平偏光とする。
    及びtは波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有し、tの透過開始波長をa(nm)、tの透過開始波長をa(nm)とした際に、a≠aの関係を満たす。透過開始波長a及びaは下記(A1)~(A4)の手法で算出したものとする。
    <条件3>
    前記紫外線吸収層(C)の面に対して垂直な方向から、偏光していない光を入射し、前記紫外線吸収層(C)を透過した光の分光透過スペクトルtに基づく透過開始波長をa(nm)とした際に、下記式(1)~(3)を満たす。透過開始波長aは下記(A1)~(A4)の手法で算出したものとする。
    <a (1)
    <a (2)
    371nm≦a410nm (3)
    <透過開始波長及び吸収開始波長の算出方法>
    (A1)450~500nmの分光透過率の平均をT(%)とする。
    (A2)分光透過率がT/2(%)以下となる波長のうち、最も長波長の波長をx(nm)とする。
    (A3)x-15(nm)の時の分光透過率をy1(%)、x+15(nm)の分光透過率をy2(%)とする。
    (A4)点1(x-15,y1)と点2(x+15,y2)とを結ぶ直線をy=f(x)とした時、該直線が透過率0%と交差した時の波長を透過開始波長として、該直線が透過率T%と交差した時の波長を吸収開始波長とする。
  2. さらに、下記条件4を満たす、請求項1に記載の表示パネル。
    <条件4>
    とaのうちの波長が大きいものと、aとの差が2nm以上
  3. 前記位相差層(B)の波長450nmの面内位相差をRe(450)、前記位相差層(B)の波長550nmの面内位相差をRe(550)、前記位相差層(B)の波長650nmの面内位相差をRe(650)とした際に、下記式(i)を満たす、請求項1又は2に記載の表示パネル。
    Re(450)<Re(550)<Re(650) (i)
  4. さらに、下記式(ii)を満たす、請求項3に記載の表示パネル。
    0.75≦Re(450)/Re(550)≦0.98 (ii)
  5. 前記位相差層(B)が下記式(iii)を満たす、請求項1~4の何れか1項に記載の表示パネル。
    80nm≦Re(550)≦220nm (iii)
  6. 前記紫外線吸収層(C)が、透明基材と、紫外線吸収剤を含む樹脂層との積層構造である、請求項1~5の何れか1項に記載の表示パネル。
  7. 前記表示素子が有機EL素子又はマイクロLED素子である請求項1~6のいずれか1項に記載の表示パネル。
  8. 及びaのうちの波長が小さいものの波長が360~390nmの範囲である請求項1~7のいずれか1項に記載の表示パネル。
  9. 前記分光透過スペクトルtに基づく吸収開始波長をb(nm)とした際に、bが404nm以上450nm以下の範囲である請求項1~8のいずれか1項に記載の表示パネル(但し、吸収開始波長bは前記(A1)~(A4)の手法で算出したものとする。)。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の表示パネルを備えた画像表示装置。
  11. 表示素子(A)と、表示素子の光出射面側に配置してなる位相差層(B)と、位相差層の光出射面側に配置してなる紫外線吸収層(C)とを有する表示パネルにおいて、
    前記位相差層(B)が液晶化合物を含み、前記位相差層(B)の面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をn、前記位相差層(B)の厚み方向の屈折率をnとした際に、
    下記条件1’~2’を満たすように、紫外線吸収層(C)を選別する、表示パネルの紫外線吸収層の選別方法。
    <条件1’>
    >n≒n または n≒n>n
    <条件2’>
    前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と平行な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光の進行方向をZ軸とした際に、直線偏光は、振動方向がX軸に平行である水平偏光、又は、振動方向がY軸に平行である垂直偏光とする。
    また、前記位相差層(B)の面に対して垂直な方向から、振動方向が前記位相差層(B)の遅相軸の方向と垂直な直線偏光を入射し、前記位相差層(B)を透過した直線偏光の分光透過スペクトルをtとする。直線偏光が前記水平偏光の場合、直線偏光は前記垂直偏光として、直線偏光が前記垂直偏光の場合、直線偏光は前記水平偏光とする。
    及びtは波長300~450nmの領域に、波長が短くなる側に向けて透過率が減少する吸収スペクトルを有し、tの透過開始波長をa(nm)、tの透過開始波長をa(nm)とする。また、前記紫外線吸収層(C)の面に対して垂直な方向から、偏光していない光を入射し、前記紫外線吸収層(C)を透過した光の分光透過スペクトルtに基づく透過開始波長をa(nm)とする。透過開始波長a、a及びaは下記(A1)~(A4)の手法で算出したものとする。
    上記前提条件において、下記式(1’)及び(2’)を満たす。
    ≠a、かつ、a<a、かつ、a<a (1’)
    371nm≦a410nm (2’)
    <透過開始波長及び吸収開始波長の算出方法>
    (A1)450~500nmの分光透過率の平均をT(%)とする。
    (A2)分光透過率がT/2(%)以下となる波長のうち、最も長波長の波長をx(nm)とする。
    (A3)x-15(nm)の時の分光透過率をy1(%)、x+15(nm)の分光透過率をy2(%)とする。
    (A4)点1(x-15,y1)と点2(x+15,y2)とを結ぶ直線をy=f(x)とした時、該直線が透過率0%と交差した時の波長を透過開始波長として、該直線が透過率T%と交差した時の波長を吸収開始波長とする。
  12. 前記条件2’として、さらに、a及びaのうちの波長が小さいものの波長が360~390nmの範囲である条件を含む、請求項11に記載の表示パネルの紫外線吸収層の選別方法。
  13. 前記条件2’として、さらに、前記分光透過スペクトルtに基づく吸収開始波長をb(nm)とした際に、bが404nm以上450nm以下の範囲である条件を含む、請求項11又は12に記載の表示パネルの紫外線吸収層の選別方法(但し、吸収開始波長bは前記(A1)~(A4)の手法で算出したものとする。)。
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