JP5378744B2 - 塗布組成物、光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び、ocb、tn、va、ipsモードの液晶表示装置 - Google Patents
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Description
該特許文献1によると、それぞれの溶媒成分が有する特性に応じて、フィルムの塗布ムラ・乾燥ムラを一定程度防止させることができる。
<1> 熱及び活性エネルギー線照射のいずれかにより重合可能な化合物と溶媒とを有する塗布組成物であって、前記溶媒が2種以上の溶媒成分を含み、かつ、前記溶媒成分における2種類の溶媒成分AとBとが、該溶媒成分Aの沸点温度をX(℃)とし、該溶媒成分Bの沸点温度をY(℃)としたとき、下記(1)及び(2)式の関係を満たすことを特徴とする塗布組成物である。
X ≦ Y ・・・(1)
30 < Y−X < 80 ・・・(2)
<2> 塗布組成物における溶媒成分Aの質量をL(kg)とし、塗布組成物の溶媒成分Bの質量をM(kg)としたとき、前記LとMとが下記式(3)の関係を満たす前記<1>に記載の塗布組成物である。
10 ≦ M/(L+M)×100 ≦ 90 ・・・(3)
<3> 重合可能な化合物が、重合性基を有する液晶化合物である前記<1>から<2>に記載の塗布組成物である。
<4> 重合可能な化合物が、重合性基を有するディスコティック液晶化合物である前記<3>に記載の塗布組成物である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の塗布組成物を支持体に塗布する塗布工程と、前記塗布組成物中の溶媒を揮発させ、前記溶媒の固形分濃度を90%まで乾燥させる乾燥工程とを含み、さらに、前記乾燥工程は、前記塗布組成物の固形分濃度が50%となるように乾燥を行う前半乾燥工程と、前記塗布組成物の固形分濃度が50%以上となるように乾燥を行う後半乾燥工程とを含み、前記前半乾燥工程の前半乾燥温度(℃)と、前記後半乾燥温度(℃)とが異なり、かつ、前記前半乾燥温度(℃)と前記後半乾燥温度(℃)と溶媒成分Aの沸点温度X(℃)と該溶媒成分Bの沸点温度Y(℃)とが、下記式(4)及び(5)の関係を満たすことを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
(X−60)< 前半乾燥温度 <(X−10) ・・・(4)
(Y−60)< 後半乾燥温度 <(Y−10) ・・・(5)
<6> 前記<5>に記載の製造方法で作製されることを特徴とする光学フィルムである。
<7> 前記<6>に記載の光学フィルムを用いることを特徴とする偏光板である。
<8> 前記<7>に記載の偏光板を用いることを特徴とするOCB、TN、VA、IPSモードの液晶表示装置である。
本発明の塗布組成物は、熱または活性エネルギー線照射により重合可能な化合物と溶媒とを有する塗布組成物であって、前記溶媒が2種以上の溶媒成分を含み、かつ、前記溶媒成分における2種類の溶媒成分AとBとが、該溶媒成分Aの沸点温度をX(℃)とし、該溶媒成分Bの沸点温度をY(℃)としたとき、下記(1)及び(2)式の関係を満たすことを特徴とする。
X ≦ Y ・・・(1)
30 < Y−X < 80 ・・・(2)
前記塗布組成物において使用する2種以上の溶媒成分をそれぞれ溶媒成分A,B,C,・・・として説明する。
前記溶媒Aとしては、重合可能な化合物を可溶化させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、沸点が100℃以下の溶媒成分(以下のカッコ内の数値は、沸点(℃)、表面張力(dyn/cm)、粘度(mPa・s)をこの順で示す)としては、ヘキサン(68.7、18.4、0.313)、ヘプタン(98.4、20.3、0.418)、シクロヘキサン(80.7、25.3、0.980)、ベンゼン(80.1、28.9、0.649)などの炭化水素類、ジクロロメタン(40.4、28.1、0.425)、クロロホルム(61.2、27.1、0.563)、四塩化炭素(76.7、26.8、0.965)、1,2−ジクロロエタン(83.5、32.2、0.840)、トリクロロエチレン(87.2、29、0.58)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6、17.06、0.233)、ジイソプロピルエーテル(68.5、17.34、0.329)、テトラヒドロフラン(66、16.5、0.52)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2、24.37、0.419)、酢酸メチル(57.8、24.76、0.362)、酢酸エチル(77.1、23.9、0.45)、酢酸イソプロピル(89、24.5、0.569)などのエステル類、アセトン(56.1、23.7、0.337)、メチルエチルケトン(MEK)(79.6、24.6、0.423)などのケトン類、メタノール(64.5、22.55、0.59)、エタノール(78.3、22.1、1.22)、2−プロパノール(82.4、20.8、2.41)、1−プロパノール(97.2、23.8,2.26)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6、29.1、0.375)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2、32.25、0.363)などが挙げられる。
X ≦ Y ・・・(1)
30 < Y−X < 80 ・・・(2)
前記(1)及び(2)式の関係を満たすと、相分離を起こすことなく、膜厚ムラを大幅に抑制することができる。
例えば、前記溶媒成分Aとして、メチルエチルケトン(MEK、79.6、24.6、0.423)を選択した場合、前記溶媒成分Bとしては、1−ブタノール(117.7、23.8、2.95)、1−ペンタノール(137.8,25.6,3.31)、ジアセトンアルコール(DAA、167.9、29.8、3.2)、オクタン(125.6、21.76、0.542)、トルエン(110.6、28.53、0.587)、キシレン(138、28.31、0.644)、テトラクロロエチレン(121.2、32.32、0.88)、クロロベンゼン(131.5、33.28、0.803)、ジブチルエーテル(142.0、23.40、0.741)、酢酸イソブチル(118.3、23.7、0.697)、シクロヘキサノン(155.7、35.1、2.45)、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、115.9、25.4、0.590)、1−ペンタノール(117.7、25.60、3.31)、N,N−メチルホルムアミド(149.6、36.76、0.924)などが挙げられる。
また、前記溶媒成分Aとして、シクロヘキサノン(155.7、35.1,2.45)を選択した場合、前記溶媒成分Bとしては、ジメチルスルホキシド(189、43、2.14)、プロピレングリコール(188.2,36.5,56)などが挙げられる。
溶媒成分Cとしては、前記溶媒成分Bと同様に、前記(1)及び(2)式の関係を満たす(溶媒成分Bの沸点温度Y(℃)を溶媒成分Cの沸点温度Z(℃)とし、溶媒成分Aの沸点温度X(℃)と溶媒成分Cの沸点温度Z(℃)とが前記(1)及び(2)式の関係を満たす)ことが好ましい。
よって、前記溶媒成分Aとして、メチルエチルケトン(79.6、24.6、0.423)を選択した場合、前記溶媒成分Cとしては、前記溶媒成分Bと同様に、1−ブタノール(117.7、23.8、2.95)、1−ペンタノール(137.8,25.6,3.31)、ジアセトンアルコール(DAA、167.9、29.8、3.2)、オクタン(125.6、21.76、0.542)、トルエン(110.6、28.53、0.587)、キシレン(138、28.31、0.644)、テトラクロロエチレン(121.2、32.32、0.88)、クロロベンゼン(131.5、33.28、0.803)、ジブチルエーテル(142.0、23.40、0.741)、酢酸イソブチル(118.3、23.7、0.697)、シクロヘキサノン(155.7、35.1、2.45)、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、115.9、25.4、0.590)、1−ペンタノール(117.7、25.60、3.31)、N,N−メチルホルムアミド(149.6、36.76、0.924)などが挙げられる。
また、前記溶媒成分Aとして、シクロヘキサノン(155.7、35.1,2.45)を選択した場合、前記溶媒成分Cとしては、前記溶媒成分Bと同様に、ジメチルスルホキシド(189、43、2.14)、プロピレングリコール(188.2,36.5,56)などが挙げられる。
10 ≦ M/(L+M)×100 ≦ 90 ・・・(3)
前記LとMとが下記式(3)の関係を満たさない場合は、前記溶媒成分A、Bによるレベリング効果を十分に発揮することができない。
また、前記LとMの関係、M/(L+M)×100の数値範囲(%)としては、20〜80がより好ましい。
前記固形分濃度が1質量%〜20質量%であると、塗布時のwet膜厚を良好な範囲に確保できるとともに、良好な塗布性を得ることができ、乾燥ムラも発生しにくい。
前記重合可能な化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択数ことができるが、重合性基を有する液晶化合物が好ましい。
前記重合性基を有する液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、棒状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物などを挙げることができるが、中でもディスコティック液晶化合物が好ましい。
前記棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも用いることができる。言い換えると、棒状液晶化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶化合物については、季刊化学総説第22巻「液晶の化学(1994)日本化学会編」の第4章、第7章、及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
前記棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。
前記重合性基は、不飽和重合性基又はエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基が更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。
ディスコティック液晶化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052]、特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載されている。
更に下記一般式(DI)、(DII)で表される化合物の中でも、ディスコティック液晶性を示す化合物が好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示す化合物が好ましい。
H1、H2及びH3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−A)または下記一般式(DI−B)を表す。
L1、L2及びL3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。
Y11、Y12及びY13は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。
*−(−L21−Q2)n1−L22−L23−Q1
(一般式(DI−R)中、*は一般式(DI)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し、L21は単結合または二価の連結基を表し、Q2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基を表し、n1は0〜4の整数を表し、L22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−NH−、**−SO2−、**−CH2−、**−CH=CH−または**−C≡C−を表し、**はQ2側と結合する位置を表し、L23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、Q1は重合性基または水素原子を表し、前記重合性基が水素原子を含む場合該水素原子は置換基で置換されていてもよい。n1が2以上のとき、複数個の−L21−Q2は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。)
重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)は、不飽和重合性基又はエポキシ基であることが好ましく、不飽和重合性基であることが更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
前記塗布工程は、塗布組成物を支持体に塗布する工程である。
塗布の方法としては、例えばカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜を乾燥する際には、加熱してもよい。塗膜を乾燥して溶媒を除去すると同時に、塗膜中の液晶化合物の分子を配向させて、所望の配向状態を得る。
前記乾燥工程は、前記塗布組成物中の溶媒を揮発させ、前記溶媒の固形分濃度を90%まで乾燥させる乾燥工程である。
固形分濃度(%)=固形分/(揮発分+固形分)×100
である。
前記固形分及び(揮発分+固形分)は、重量測定により、以下の式(6)及び式(7)により求めることができる。
固形分=[A:乾燥終了した膜の重量]−[B:塗布前の支持体の重量]・・・(6)
揮発分+固形分=[C:ある乾燥ゾーンでサンプルした膜の重量]−[B:塗布前の支持体の重量] ・・・(7)
(X−60) < 前半乾燥温度 <(X−10) ・・・(4)
(Y−60) < 後半乾燥温度 <(Y−10) ・・・(5)
上記(4)及び(5)式を満たすと、前記沸点の低い溶媒成分A(沸点温度X)が、前半乾燥で除去され、前記沸点の高い溶媒成分B(沸点温度Y)が後半乾燥で除去される。このとき、前記溶媒成分Aを含む前記塗布組成物の支持体上での保持時間を、乾燥開始から短くすることができ、前記溶媒成分Bを含む前記塗布組成物の支持体上での保持時間を、乾燥開始から長くとることができるので、レベリング効果を大きくし、膜厚ムラを大幅に抑制することが可能となる。
本発明の光学フィルムは、前記塗布組成物を用いた前記光学フィルムの製造方法により製造されることを特徴とし、さらに、必要に応じて、他の光学フィルムの構成を含むのが好ましい。
前記液晶化合物(特に棒状液晶化合物)の分子をハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加剤(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加剤として、フッ化アルキル基及びスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。使用可能な空気界面配向制御剤の具体例には、特開2006−267171号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。
前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
本発明の偏光板は、前記塗布組成物を用いた前記光学フィルムの製造方法により製造された前記光学フィルムを用いることを特徴とする。
前記偏光板としては、前記光学フィルムを含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、偏光子とを有し、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記偏光子は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光子、又はバインダーとヨウ素、もしくは二色性色素とからなる偏光子が好ましい。
前記ヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
また、市販の偏光子は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
したがって、上記のように、バインダーの厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象の観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、架橋可能なポリマー、又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行ってもよい。
ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いてもよい。
水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)3、N(CH3)3・Cl、C9H19COO、SO3Na、C12H25を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC12H25を導入することができる。
変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3,000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号公報、特開平9−152509号公報、及び特開平9−316127号公報に記載がある。
また、鹸化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール、及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
更に、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光子の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
バインダー中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光子を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリ−ン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。
二色性色素については、特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開平1−248105号公報、特開平1−265205号公報、特開平7−261024号公報に記載がある。
また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。
延伸工程は、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。
延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。
液晶表示装置の視角による色味変化抑制の観点から、反射防止層の内部ヘイズを50%以上にすることが好ましい。これら好ましい具体例としては、特開2001−33783号公報、特開2001−343646号公報、及び特開2002−328228号公報に記載がある。
本発明の偏光子の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることが更に好ましく、40〜50%の範囲にあることが特に好ましい。
偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることが更に好ましく、99〜100%の範囲にあることが特に好ましい。
上記光学フィルムに、公知の手法を用いて、偏光子を貼合せることによって、偏光板を製造できる。
本発明の液晶表示装置は、前記偏光板を用いることを特徴とし、OCB方式の液晶表示装置、TN方式の液晶表示装置、VA方式の液晶表示装置、ISP方式の液晶表示装置に用いられるものである。
前記液晶表示装置の構成としては、少なくとも、前記偏光板と、液晶セルとを備える。
透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
光学フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
また、OCB方式は、高速応答駆動が可能なため、フィールドシーケンシャル駆動方式と組み合わせることが好ましい。
(1)光学フィルムの作製方法
<<セルロースアセテート溶液の調製>>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
メチレンクロリド 300質量部
メタノール 45質量部
鹸化処理をした前記支持体S−1上に、下記表1に示す組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。乾燥後の配向膜の厚みは、1.1μmであった。
前記配向膜を塗設した支持体S−1に対し、その延伸方向に対して90°にラビング処理されるようにラビングロールを設定し、450rpmで回転させて、配向膜設置表面にラビング処理を施した。
暗室内に置かれた高輝度バックライトを有するシャーカステンに直行させた偏光板を2枚配置し、上記作製したサンプルをシャーカステン上に設置した偏光板の間に挟みこみ、偏光板の透過軸とサンプルのラビング軸が45°になるようにセットし目視での官能評価を行った。
◎ ⇒ムラが認識出来ない
○ ⇒わずかに見えるが気にならない
△ ⇒見える
× ⇒はっきりと見える
(実施例1)
<塗布組成物の調製>
前記光学フィルムの塗設に準じ、SUSポット中に、溶媒成分A(122.4質量部)としてメチルエチルケトン(MEK、沸点80℃)と、溶媒成分B(81.6質量部)として4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、沸点116℃)とを加え、溶媒における溶媒成分Bの比が40%となるように溶媒を調製した。
この溶媒204.0質量部に、下記のディスコティック化合物A90質量部、下記のディスコティック化合物B10質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布組成物を調製した。
図1に示すように、送出し部1から供給され、ラビング処理部2において前記配向処理(ラビング処理)された前記支持体S−1上に、塗布機3を用い、バーコーター法により、#3.2のワイヤーバーで5.52mL/m2の塗布量で前記塗布組成物を塗布し、固形分濃度が低い状態の塗布膜を形成した。
これを、前半乾燥ゾーン4において、50℃の前半乾燥温度で前半乾燥を行い、前記溶媒AであるMEKが十分に乾燥する時間をかけた後(固形分濃度が50%以上となった状態)、後半乾燥ゾーン5において、引き続き50℃の後半乾燥温度で後半乾燥を行い、溶媒を除去した。前半・後半の乾燥ゾーンを通過する時間はそれぞれ20秒とした。
なお、塗布膜の固形分濃度は、非接触の赤外線膜厚計(クラボウ社製;KG−300CM)を用い塗布膜の膜厚を測定することにより50%以上であることを確認した。
前記溶媒が除去された塗布膜を130℃の加熱ゾーン6に2分滞在させることで液晶化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯(UV照射装置7)を用いて紫外線照射し、ディスコティック液晶化合物を重合させ、その後、室温まで放冷した。このようにして実施例1の塗布組成物を用いた光学フィルムを作製した。
この実施例1に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Bに、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、沸点116℃)に代えて、シクロヘキサノン(沸点156℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の塗布組成物を調製した。
また、実施例1と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、実施例2に係る光学フィルムを作製した。
この実施例2に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Aに、メチルエチルケトン(MEK、沸点80℃)に代えて、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、沸点116℃)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3の塗布組成物を調製した。
また、実施例1と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、実施例3に係る光学フィルムを作製した。
この実施例3に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Bに、シクロヘキサノン(沸点116℃)に代えて、ジアセトンアルコール(DAA、沸点168℃)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4の塗布組成物を調製した。
また、実施例1と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、実施例4に係る光学フィルムを作製した。
この実施例4に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
実施例2と同様にして、実施例5の塗布組成物を調製した。
後半乾燥温度を、50℃から130℃に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、実施例5に係る光学フィルムを作製した。
この実施例5に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
実施例4と同様にして、実施例6の塗布組成物を調製した。
前半乾燥温度を、50℃から80℃に変え、後半乾燥温度を50℃から140℃に変えたこと以外は、実施例4と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、実施例6に係る光学フィルムを作製した。
この実施例6に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
実施例2と同様にして、実施例7の塗布組成物を調製した。
前半乾燥温度を、50℃から10℃に変え、後半乾燥温度を50℃から130℃に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、実施例7に係る光学フィルムを作製した。
この実施例7に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
実施例2と同様にして、実施例8の塗布組成物を調製した。
前半乾燥温度を、50℃から80℃に変え、後半乾燥温度を50℃から130℃に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、実施例8に係る光学フィルムを作製した。
この実施例8に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
実施例2と同様にして、実施例8の塗布組成物を調製した。
後半乾燥温度を50℃から80℃に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、実施例9に係る光学フィルムを作製した。
この実施例9に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
実施例2と同様にして、実施例10の塗布組成物を調製した。
後半乾燥温度を50℃から160℃に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、実施例10に係る光学フィルムを作製した。
この実施例10に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Aの添加量を173.4質量部、溶媒成分Bの添加量を30.6質量部とし、溶媒における溶媒成分Bの比を15%としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例11の塗布組成物を調製した。
また、実施例5と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、実施例11に係る光学フィルムを作製した。
この実施例11に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Aの添加量を30.6質量部、溶媒成分Bの添加量を173.4質量部とし、溶媒における溶媒成分Bの比を85%としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例12の塗布組成物を調製した。
また、実施例5と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、実施例12に係る光学フィルムを作製した。
この実施例12に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Bを加えないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の塗布組成物を調製した。
また、実施例1と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、比較例1に係る光学フィルムを作製した。
この比較例1に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Bを加えないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の塗布組成物を調製した。
前半乾燥温度を50℃から25℃に変え、後半乾燥温度を50℃から25℃に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、比較例2に係る光学フィルムを作製した。
この比較例2に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Bを加えないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の塗布組成物を調製した。
前半乾燥温度を50℃から80℃に変え、後半乾燥温度を50℃から80℃に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、乾燥工程を行った。
また、実施例1と同様の塗布工程、光学フィルムの作製を行って、比較例3に係る光学フィルムを作製した。
この比較例3に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Bに、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、沸点116℃)に代えて、1−プロパノール(沸点97℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の塗布組成物を調製した。
また、実施例1と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、比較例4に係る光学フィルムを作製した。
この比較例4に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
溶媒成分Bに、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、沸点116℃)に代えて、ジアセトンアルコール(DAA、沸点168℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の塗布組成物を調製した。
また、実施例1と同様の塗布工程、乾燥工程、光学フィルムの作製を行って、比較例5に係る光学フィルムを作製した。
この比較例5に係る光学フィルムについて、前記(2)の評価方法により、膜厚ムラの評価を行った。結果を下記表2に示す。
2 ラビング処理部
3 塗布機
4 前半乾燥ゾーン
5 後半乾燥ゾーン
6 加熱ゾーン
7 UV照射装置
8 巻取り部
10 乾燥装置
Claims (4)
- 熱及び活性エネルギー線照射のいずれかにより重合可能な化合物と溶媒とを有する塗布組成物であって、前記溶媒が2種以上の溶媒成分を含み、かつ、前記溶媒成分における2種類の溶媒成分AとBとが、該溶媒成分Aの沸点温度をX(℃)とし、該溶媒成分Bの沸点温度をY(℃)としたとき、下記(1)及び(2)式の関係を満たし、
前記重合可能な化合物が重合性基を有するディスコティック液晶化合物であることを特徴とする塗布組成物。
X ≦ Y ・・・(1)
30 < Y−X < 80 ・・・(2) - 溶媒成分Aがメチルエチルケトンであり、溶媒成分Bがシクロヘキサン及び4‐メチル‐2‐ペンタノンのいずれかである請求項1に記載の塗布組成物。
- 溶媒成分Aが4‐メチル‐2‐ペンタノンであり、溶媒成分Bがシクロヘキサノン及びジアセトンアルコールのいずれかである請求項1に記載の塗布組成物。
- 塗布組成物における溶媒成分Aの質量をL(kg)とし、塗布組成物の溶媒成分Bの質量をM(kg)としたとき、前記LとMとが下記式(3)の関係を満たす請求項1から3のいずれかに記載の塗布組成物。
10 ≦ M/(L+M)×100 ≦ 90 ・・・(3)
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