JP2008019240A - 化合物、それを含有する液晶組成物、異方性材料、偏光板保護フィルム、光学補償フィルムならびに液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(I):
Q1−SP1−X1−A−B−C−D−X2−SP2−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ重合性基を表し;SP1及びSP2はそれぞれスペーサー基を表し;X1及びX2はそれぞれ連結基を表し;A、B、C及びDはそれぞれ、下記式IIa、IIb又はIIc:
式中、Ra、Rb及びRcはそれぞれ置換基を表し、na、nb及びncはそれぞれ0〜4の整数を表し、na、nb及びncがそれぞれ2以上の整数である場合、複数存在するRa、Rb及びRcはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい;
から選ばれる二価基を表すが、但し、A、B、C及びDのうち少なくとも2つは、式IIaで表される二価基であるか、及び/又は、少なくとも2つは式IIbで表される二価基である;で表される化合物である。
【選択図】なし
Description
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、スメクチック相に転移可能であり、且つ異方性材料の作製に有用な新規な化合物及び液晶組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、液晶相の熱的揺らぎなどに影響されずに、安定的に製造可能な、良好な性能を有する異方性材料を提供することを課題とする。
[1] 下記一般式(I):
Q1−SP1−X1−A−B−C−D−X2−SP2−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ重合性基を表し;SP1及びSP2はそれぞれスペーサー基を表し;X1及びX2はそれぞれ連結基を表し;A、B、C及びDはそれぞれ、下記式IIa、IIb又はIIc:
[4] 前記式中、Q1及びQ2がそれぞれ、下記式(Q−101)〜(Q−106)のいずれかで表される[3]の化合物。
[6] 前記式中、X1及びX2がそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−NR2−(R2は、炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子である)及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である[1]〜[5]のいずれかの化合物。
[7] 前記式中、X1及びX2がそれぞれ、単結合、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−O−CO−O−である[1]〜[6]のいずれかの化合物。
[8] 前記式中、−A−B−C−D−が下記式:
[9] スメクチック相に転移可能な液晶化合物である[1]〜[8]のいずれかの化合物。
[10] [1]〜[9]のいずれかの化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
[11] [10]の液晶組成物を硬化して形成された異方性材料。
[12] 液晶相に転移した前記液晶組成物を硬化して形成された[11]の異方性材料。
[13] スメクチック相に転移した前記液晶組成物を硬化して形成された[12]の異方性材料。
[14] [11]〜[13]のいずれかの異方性材料からなる偏光板保護フィルム。
[15] [11]〜[13]のいずれかの異方性材料からなる光学補償フィルム。
[16] [14]の偏光板保護フィルム及び/又は[15]の光学補償フィルムを有する液晶表示装置。
下記一般式(I):
Q1−SP1−X1−A−B−C−D−X2−SP2−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ重合性基を表し;SP1及びSP2はそれぞれスペーサー基を表し;X1及びX2はそれぞれ連結基を表す。
尚、式中、DがIIaであり、且つX2が単結合である構造と、DがIIcであり、且つX2が−C(=O)O−である構造とは等しくなるが、この場合は、DがIIaであり、且つX2が単結合である構造とみなすものとする。DがIIbであり、且つX2が単結合である構造と、DがIIcであり、且つX2が−OC(=O)−である構造についても、前者の構造であるとみなす。
本発明の液晶組成物は、前記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含有する。該液晶組成物は、スメクチック相に転移可能であるのが好ましく、より好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは70〜150℃の温度範囲においてスメクチック相に転移可能な液晶組成物である。該液晶組成物は、液晶の配向によって発現される、光学異方性材料、異方的な導電材料等の異方性材料を作製するのに有用である。特に、スメクチック相に転移させた本発明の液晶組成物を硬化させて作製した異方性材料は、秩序度の高いスメクチック相によって発現された異方性を示すので、液晶相の熱的揺らぎに起因する性能の低下が軽減され、良好な性能を示すことが期待できる。
前記一般式(1)の化合物とともに棒状液晶性化合物を使用する場合は、該棒状液晶性化合物の含有量は、前記組成物中の全質量中、2〜80質量%であるのが好ましい。
本発明の液晶組成物は、前記一般式(1)で表される化合物の分子の配向を促進する添加剤を含有していてもよい。配向を促進する添加剤の組成物中における含有量は、前記化合物に対し0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜4質量%であるのが更に好ましい。配向を促進する添加剤は、空気界面あるいは配向膜界面においてその排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物の分子を配向させるのに寄与する。特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を用いることができる。また、特開2004−53981号明細書中の段落番号[0072]〜[0075]、特開2004−4688号明細書中の段落番号[0071]〜[0078]、特開2004−139015号明細書中の段落番号[0052]〜[0054]、[0065]〜[0066]、[0092]〜[0094]に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。
さらに棒状液晶性化合物の垂直配向を促進する添加剤としては、特開2006−106662号明細書中の段落番号[0078]〜[0107]、[0113]〜[0118]、[0162]〜[0166]、[0189]〜[0193]に記載される添加剤を用いることができる。
また棒状液晶性化合物の水平配向を促進する添加剤としては、特開2005−99248号明細書中の段落番号[0058]〜[0096]に記載の一般式(I)〜(III)で表される水平配向剤、特開2006−126768号明細書中の段落番号[0063]〜[0069]に記載される添加剤を用いることができる。
これらの配向を促進する添加剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
液晶性化合物との相溶性も必要であり、相溶性の観点から液晶性を示すチオール化合物がより好ましい。液晶性を示すチオール化合物としては、米国特許第6096241号明細書に記載の化合物などが挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液の場合は固形分)の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
液晶性化合物の分子の配向を促進する目的で用いられる場合、空気界面あるいは配向膜界面においてその排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物の分子を配向させることが可能な構成単位を含むポリマーが好ましい。空気界面側で作用させる場合は、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位と、配向を促進させる構成単位とを含むポリマーが好ましく用いられる。
組成物の粘度を調整する目的で用いられる場合、ポリマーは塗布液を増粘できることが好ましく、ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。
組成物の表面張力を調整する目的で用いられる場合、ポリマーは塗布液の表面張力を低下させることが好ましく、ポリマーの例としては、フッ素を含有するポリマーが挙げられ、公知の含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤ポリマー等を好適に用いる事ができる。これらのうち、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位を含むポリマーが特に好ましい。
本発明の異方性材料は、本発明の液晶組成物を硬化して形成された異方性材料である。液晶相に転移した前記液晶組成物を硬化して形成するのが好ましく、スメクチック相に転移した前記液晶組成物を硬化して形成するのがより好ましい。但し、本発明の異方性材料は、前記液晶性組成物をスメクチック相以外の液晶相、例えば、ネマチック相等に転移させ、硬化させて作製されたものであっても勿論よい。前記組成物が含有する式(1)の化合物の重合、又は該化合物と、所望により添加される他の重合性棒状液晶性化合物及び/又は重合性モノマー等との重合を進行させることにより、前記組成物を硬化させることができる。本発明の異方性材料の一態様として、光学異方性膜が挙げられる。該光学異方性膜は、前記式(1)の化合物の少なくとも一種を含有する組成物を、配向膜の表面に適用して、化合物の分子を配向させた後に、かかる配向状態に重合により固定することで形成することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
前記光学異方性膜は、支持体上に形成してもよい。支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。
支持体はポリマーフィルムであってもよい。支持体として使用可能なフィルムポリマーフィルムの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのフィルムが含まれる。セルロースエステルフィルムが好ましく、アセチルセルロースフィルムがさらに好ましく、トリアセチルセルロースフィルムが最も好ましい。フィルムポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜200μmであることがさらに好ましい。支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理、ケン化処理)を実施してもよい。支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、支持体や長尺の支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
本発明の組成物から形成されたフィルムの用途について説明する。
本発明の組成物から形成されたフィルムは、種々の用途に用いることができる。前記フィルムは、複屈折率の波長分散性が小さく、且つ温度に依存したレターデーションの変動も小さいので、かかる性質が要求される用途、例えば、液晶セルを光学補償するための光学補償フィルムや、偏光板保護フィルム等として有用である。
本発明の組成物から形成されたフィルム、特にセルロースフィルムは、偏光板保護膜用として有用である。偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたフィルム(好ましくはセルロースフィルム)をアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護膜処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光膜及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成してもよい。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、前記フィルムを適用した偏光板保護膜はどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護膜には透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護膜をこの部分に用いることが特に好ましい。
本発明の組成物から形成されたフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると、特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
前記フィルム(好ましくはセルロースフィルム)を光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光膜の透過軸と、前記フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光膜、及び該液晶セルと該偏光膜との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、好ましくは50μm〜2mmの厚さを有する。
本発明の組成物から形成されたフィルムは、様々な表示モードの液晶表示装置の光学部材として用いることができる。具体的には、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)等の表示モードが挙げられる。また、上記表示モードを配向分割した表示モードにおいても用いることができる。また、前記フィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)を、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)の記載に従って作製することができる。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)を、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報の記載に従って作製することができる。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)は、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのRe値を0〜150nmとし、Rth値を70〜400nmとすることが好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であってもよい。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)は、IPSモード及びECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、又は偏光板の保護膜としても有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において前記フィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に前記フィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーション値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)は、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション値の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)の記載に従って作製することができる。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)は、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開WO98/48320号パンフレット、特許登録第3022477号公報の記載に従って作製することができる。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開WO00/65384号パンフレットの記載に従って作製することができる。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)は、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089(1998))の記載に従って作製することができる。
本発明の組成物から形成されたフィルム(好ましくはセルロースアシラートフィルム)は、また、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムに好ましく用いることができる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、前記フィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、54頁〜57頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、前記フィルムを好ましく用いることができる。
下記に示す合成経路にしたがって、式(1)の例示化合物(I−1)を合成した。各合成段階は既知の合成方法を用いて行った。各種スペクトルデータを元に生成物の構造を同定した。
I−1−e 3.84g(10mmol)をテトラヒドロフラン20mLに溶解し、−5℃以下に冷却しながらメタンスルホニルクロリド 1.14g(10mmol)を滴下した。次いで、ジイソプロピルエチルアミン 1.68g(13mmol)を滴下した後、室温で30分攪拌した。再び−5℃以下に冷却しながら、I−1−fをテトラヒドロフラン20mLに溶解した溶液を滴下した。次いで4−ジメチルアミノピリジン122mg(1mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応溶液を水200mLに注ぎ、析出した固体をろ過により集めた。得られた固体をアセトニトリル40mLで再結晶して、化合物(I−1)を4.95g得た。
Cr → SmC → SmA
89℃ 129℃
SmA→N及びN→Isoの転移温度は、180℃で重合が進行してしまったため測定できなかった。
なお、Crは結晶相、SmCはスメクチックC相、SmAはスメクチックA相、Nはネマチック相、Isoは等方相を示す。
例えば、下記一般式をもつ化合物については、下記例示化合物(I−8)の合成法を用いることができる。
<配向膜の作製>
洗浄したガラス基板上に、下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
次に、式(1)の例示化合物(I−2)3.8g、光重合開始剤(イルガキュア 819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)152mg、下記構造の添加剤1 76mg、及び下記構造の添加剤2 15mgを、1,1,2−トリクロロエタン 16.4gに溶解して、塗布液を調製した。この塗布液をスピンコートで上記配向膜に塗布し、加熱しながら偏光顕微鏡で観察した。その結果スメクチックA相−ネマチック相 相転移温度は135℃、ネマチック相−等方相相転移温度は加熱によってI−2が重合してしまって測定できなかった。
この塗布液を、スピンコートで上記配向膜上に塗布した。150℃で1分加熱し、次いで125℃まで5℃/分の速度で冷却して配向させた。125℃のまま高圧水銀灯を用いて、照射エネルギー50mW/cm2で15秒間UV照射して硬化させて、分子を配向状態に固定し、その後室温まで放冷して光学異方性膜を形成した。得られた光学異方性膜の膜厚は1.1μmであった。
実施例2の方法に従ってガラス基板上に配向膜を形成したのち、ラビング処理を行なった。
次に、式(1)の例示化合物(I−2)3.8g、及び光重合開始剤(イルガキュア 819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)152mg、下記構造の添加剤3 15mgを、1,1,2−トリクロロエタン16.4gに溶解して塗布液を調製した。この塗布液をスライドガラスの表面に塗布し、加熱しながら偏光顕微鏡で観察した。その結果、スメクチックA相−ネマチック相相転移温度は135℃、ネマチック相−等方相 相転移温度は加熱によってI−2が重合してしまって測定できなかった。
この塗布液を、スピンコートで上記配向膜上に塗布した。150℃で1分加熱し、次いで125℃まで5℃/分の速度で冷却して配向させた。125℃のまま高圧水銀灯を用いて、照射エネルギー50mW/cm2で15秒間UV照射して硬化させて、分子を配向状態に固定し、その後室温まで放冷して光学異方性膜を形成した。得られた光学異方性膜の膜厚は1.1μmであった。
また、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、製作したフィルムのReの測定波長依存性を測定したところ、波長448.5nmでのReを波長749nmのReで割った値は、Re(448.5)/Re(749.1nm)=1.31であった。
実施例3で用いた液晶性化合物の代わりに、下記化合物(e)及び化合物(f)の当重量比の混合物を用いた以外は、実施例3と同様に光学異方性膜を作製した。
なお、実施例3の光学異方性膜は、上記した通り、50℃の加熱によって、レターデーションは全く変化しなかった。
実施例3で用いた液晶性化合物の代わりに、下記化合物(g)を用いた以外は実施例3と同様に光学異方性膜を作製した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、製作したフィルムのReの測定波長依存性を測定したところ、波長448.5nmでのReを波長749nmのReで割った値(Re(448.5)/Re(749.1nm))=1.72であった。上記した通り、実施例3の光学異方性膜のRe(448.5)/Re(749.1nm)の値は、1.31であり、Reの波長分散性は実施例3の光学異方性膜のほうが小さいことが理解できる。
<配向膜の作製>
洗浄したガラス基板上に、日産化学工業(株)製のSE−150の稀釈液を連続塗布した後、80℃の温風で5分、さらに250℃の温風で60分乾燥、焼成し、配向膜を得たのち、ラビング処理をおこなった。
〈光学異方性膜の作製〉
式(1)の例示化合物(I−32)3g、及び光重合開始剤(イルガキュア 819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)60mg、上記添加剤3 6mgを、クロロホルム18.8mlに溶解して塗布液を調製した。この塗布液をスライドガラスの表面に塗布し、加熱しながら偏光顕微鏡で観察した。その結果、スメクチックA相−ネマチック相相転移温度は148℃であった。
この塗布液を、スピンコートで上記配向膜上に塗布した。155℃で1分加熱し、次いで120℃まで5℃/分の速度で冷却して配向させた。120℃のまま窒素置換し、酸素濃度0.5%にて高圧水銀灯を用いて、照射エネルギー100mW/cm2で10秒間UV照射して硬化させて、分子を配向状態に固定し、その後室温まで放冷して光学異方性膜を形成した。得られた光学異方性膜の膜厚は1.31μmであった。
特開2006−106662号公報、段落番号[0284]〜[0308]に記載の実施例9を参考にして、IPSモードの液晶表示装置を作製した。但し、該公報段落番号[0292]〜[0297]に記載の第2位相差膜1−2の作製方法に代えて、下記方法によって第2位相差膜を形成し、位相差フィルム1−2Aを作製した。
具体的には、特開2006−106662号公報に記載のとおりに作製した第1位相差膜1−2の表面のケン化処理を行い、このフィルム上に、上記実施例2で用いた配向膜用塗布液を塗布、乾燥し、膜を形成した。形成した膜に、フィルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して配向膜を得た。
この位相差フィルム1−2Aを、位相差フィルム1−2に代えて用いた以外は、該公報に記載の方法とまったく同様にして液晶表示装置を作製した。
漏れ光の測定方法は、特開2006−106662号公報の[0308]に記載のとおりである。
特開2006−106662号公報の段落番号[0284]〜[0308]に記載の実施例9のとおり、液晶表示装置を作製し、同様にして左斜め方向60°から観察した漏れ光を測定した。
特開2006−126768号公報、段落番号[0199]〜[0222]記載の実施例2を参考にして、VAモードの液晶表示装置を作製した。但し、該公報段落番号[0201]〜[0214]に記載の方法に代えて、下記方法によって一体型上側偏光板を作製した。
具体的には、特開2006−126768号公報に記載の方法により、透明支持体Aを作製し、この作製した透明支持体Aの一方の表面に、上記実施例2で用いた配向膜用塗布液を、同様にして塗布、乾燥し、膜を形成した。形成した膜に透明支持体Aの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して配向膜を得た。
透明支持体Aは特開2006−126768号公報に記載のとおりに作製した。作製した透明支持体Aの反対側の表面に本発明の実施例2に記載の配向膜塗布液を実施例2に記載したとおりの方法で塗布、乾燥し、膜を形成した。形成した膜に透明支持体Aの遅相軸106方向と平行の方向にラビング処理を施して配向膜を得た。
上記の通り作製した配向膜上に第1の光学異方性層を形成した。具体的には、本発明の例示化合物(I−4)3.8g、及び光重合開始剤(イルガキュア 819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)152mg、添加剤3 15mgを、1,1,2−トリクロロエタンに溶解して塗布液を調製した。この塗布液を上記配向膜を形成したフィルムの配向膜側に塗布し、135℃で1分加熱し、次いで110℃まで5℃/分の速度で冷却して配向させた。酸素濃度1%以下としたのちに、110℃のまま高圧水銀灯を用いて、照射エネルギー100mW/cm2で10秒間UV照射して硬化させて、分子を配向状態に固定し、その後室温まで放冷して光学異方性層を形成した。形成した第1の光学異方性層は透明支持体Aの長手方向(ラビング方向)と平行に遅相軸を有し、550nmにおけるRe(0)は87nmであった。
特開2006−126768号公報、段落番号[0199]〜[0222]記載の実施例2のとおり、VAモードの液晶表示装置を作製し、該公報の[0221]〜[0222]の方法と同一の方法で、漏れ光を測定した。
Claims (8)
- 下記一般式(I):
Q1−SP1−X1−A−B−C−D−X2−SP2−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ重合性基を表し;SP1及びSP2はそれぞれスペーサー基を表し;X1及びX2はそれぞれ連結基を表し;A、B、C及びDはそれぞれ、下記式IIa、IIb又はIIc:
- 請求項1に記載の化合物を少なくとも1種含有する液晶組成物。
- 請求項4に記載の液晶組成物を硬化して形成された異方性材料。
- 請求項5に記載の異方性材料からなる偏光板保護フィルム。
- 請求項5に記載の異方性材料からなる光学補償フィルム。
- 請求項6に記載の偏光板保護フィルム及び/又は請求項7記載の光学補償フィルムを有する液晶表示装置。
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