JP2008122885A - 位相差フィルム、および、偏光板 - Google Patents

位相差フィルム、および、偏光板 Download PDF

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瑠奈 中村
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Abstract

【課題】偏光板保護フィルムとして用いることにより、視野角補償機能を備える偏光板であって、耐久性が高く、光学特性の発現性に優れた位相差フィルムを提供すること。
【解決手段】セルロース誘導体透明基板、および、上記透明基板上に形成され、上記透明基板を構成するセルロース誘導体、および、レターデーションの波長依存性が正分散型を示す第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層を有し、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyとの間に、nx>nyの関係が成立する光学異方性フィルムと、上記光学異方性フィルム上に形成され、波長依存性が正分散型を示す第2の光学異方性材料を含有し、さらに面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、IPS方式の液晶表示装置に好適に用いられる位相差フィルム、および、偏光板に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図8に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。上記偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、上記液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、MVA、IPS、および、OCB等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置は、その特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性が増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、図9に示すように所定の光学特性(屈折率異方性)を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aとの間、或いは液晶セル101と偏光板102Bとの間の少なくとも何れかの位置に配置することにより、液晶セルの屈折率異方性と位相差フィルムの屈折率異方性とを相殺させて、視野角依存性の問題を改善する方法である。なお、図9に於いては、液晶セル101の両側に位相差フィルム103を挟持した形態を代表的に図示している。このような方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
ここで、上記位相差フィルムとしては、例えば、透明基板上に、規則的に配列した液晶材料を含有する位相差層が形成された構成を有するものや、延伸フィルムからなるものが一般的に知られている。
また近年では、図9に例示したような、位相差フィルムと偏光板とを別個に配置する方式ではなく、位相差フィルムを上記偏光板を構成する偏光板保護フィルムとして兼用する方式が主流になってきている。すなわち、図10に例示するように、一般的な液晶表示装置は、液晶セル101の両側に偏光板102A、102Bが配置された構成を有するものであり、上記偏光板102A、102Bは、通常、2枚の偏光板保護フィルム112a、112bによって偏光子111が挟持された構成を有するものである(図10(a))(ここで、説明の便宜上、液晶セル101側に配置されている偏光板保護フィルム112aを「内側の偏光板保護フィルム」と称し、他方の偏光板保護フィルム112bを「外側の偏光板保護フィルム」と称する。)。そして、位相差フィルム103を用いて液晶表示装置の視野角特性を改善する場合、図10(b)に例示するように、上記2枚の偏光板保護フィルム112a、112bのうち、内側の偏光板保護フィルム112aとして位相差フィルム103が用いられた偏光板102A’、102B’を用いることが近年の主流となっている。
ここで、上記偏光板に用いられる偏光板保護フィルムとしては、セルローストリアセテートに代表されるセルロース誘導体からなるものと、ノルボルネン系樹脂に代表されるシクロオレフィン系樹脂からなるものが知られている。上記セルロース誘導体は、透水性に優れるため、偏光板の製造工程において偏光子に含有された水分を、フィルムを通じて揮散させることができるという利点を有している。しかしながら、その一方で、高温高湿雰囲気下において吸湿による寸度変化や、光学特性の変動が比較的大きいという欠点を有する。さらに、セルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムは、ガスバリア性に乏しいという面もある。このため、両側にセルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを使用すると、偏光板の光学特性の耐久性が低下してしまうという問題点がある。また、セルロース誘導体から成る偏光板保護フィルムは、耐水性、耐汚染性、耐擦傷性等の表面耐久性が低いという問題もある。
一方、上記シクロオレフィン系樹脂は、疎水性の樹脂であるため、高温高湿雰囲気下において吸湿による寸度変化や、光学特性の変動が比較的小さいという利点を有し、かつ、表面耐久性も優れる。しかしながら、その一方で、偏光板の製造工程において偏光子に含有された水分を、フィルムを通じて揮散させることができないという欠点を有する。このため、両側にシクロオレフィン系樹脂からなる偏光板保護フィルムを使用すると、経時で偏光特性が低下してしまうという問題点がある。
このようなことから、上記偏光板としては、表面耐久性が不要の内側の偏光板保護フィルムとして透水性に優れるセルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを用い、外側の偏光板保護フィルムとして表面耐久性に優れるシクロオレフィン系樹脂からなる偏光板保護フィルムを用いることが、両者の利点を併有させ、両者の欠点を相殺して耐久性に優れた偏光板を得ることができるという点において望ましいものである(例えば、特許文献1)。このため、上記位相差フィルムとしてはセルロース誘導体からなる基板が用いられたものが望ましいとされている。
ところで、上記位相差フィルムが備える位相差性は、視野角特性を改善する対象となる液晶表示装置の駆動方式等に依存するものであるが、なかでも、IPS(In−Plane Switching)方式の液晶表示装置には、正のCプレートとしての性質と、Aプレートとしての性質とを有し、所定の位相差性を備える位相差フィルムを用いることが望ましいとされている。この点、特許文献2〜4には、このようなIPS方式の液晶表示装置に用いられる位相差フィルムとして、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に正のCプレートとしての性質を有する位相差層が形成された構成を有するものが開示されている。上記特許文献1〜3に開示されたような構成を有する位相差フィルムは、吸湿性が低いシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられていることから、高温高湿雰囲気下においても吸湿膨張することが少なく、また、光学特性の耐久性も良好であるという利点を有するものである。しかしながら、一般に位相差フィルムは外界から保護する為に内側の偏光板保護フィルムとして用いる必要が有る。その結果、このようなシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられた位相差フィルムを上記内側の偏光板保護フィルムとして用いると、外側の偏光板保護フィルムとして表面耐久性に劣るセルロース誘導体からなる偏光板保護フィルムを用いなければならなくなり、上述した偏光板の望ましい使用態様を実現することが不可能であるという問題点があった。
また、特許文献5〜8には、正のCプレートとしての性質を有するフィルムと、Aプレートとしての性質を有するフィルムと、偏光膜とが積層された偏光板一体型光学補償フィルムであって、上記正のCプレートとしての性質を有するフィルムまたは上記Aプレートとしての性質を有するフィルムのいずれか一方がセルロースプロピオネートからなることを特徴とする偏光板一体型光学補償フィルムが開示されている。このような偏光板一体型光学補償フィルムは、セルロース誘導体からなるフィルムが用いられているため、内側の偏光板保護フィルムの方に充当できる。したがって、上述したような問題は解消される点においては望ましいものといえる。しかしながら、上記正のCプレートとしての性質を有するフィルムおよび上記Aプレートとしての性質を有するフィルムの光学特性は、いずれもフィルム中に光学特性発現剤を含有させることによって調整されているため、光学特性の発現性に乏しいという問題点があった。また、フィルムの強度低下、製膜性低下、光学特性発現剤のブリードアウトの問題が有る為、フィルム中に含有させることが可能な光学特性発現剤の量にも限界があることから、上記のような構成を有する偏光板一体型光学補償フィルムでは、実現可能な光学特性の範囲が狭くなるという問題点があった。
特許第3132122号公報 特開2002−174725号公報 特開2003−121853号公報 特開2005−70098号公報 特開2006−71963号公報 特開2006−71964号公報 特開2006−71965号公報 特開2006−71966号公報
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、偏光板保護フィルムとして用いることにより、視野角補償機能を備える偏光板であって、耐久性の高い偏光板を得ることが可能であり、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差フィルムを提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、セルロース誘導体からなる透明基板、および、上記透明基板上に形成され、上記透明基板を構成するセルロース誘導体、および、レターデーションの波長依存性が正分散型を示す第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層を有し、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyとの間に、nx>nyの関係が成立する光学異方性フィルムと、上記光学異方性フィルム上に形成され、波長依存性が正分散型を示す第2の光学異方性材料を含有し、さらに面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層と、を有する位相差フィルムであって、上記第1の光学異方性材料に、重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることを特徴とする、位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、上記第1の光学異方性材料に重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることにより、上記第1の光学異方性層を光学異方性(nx>ny)の発現性に優れたものにできる。このため、本発明によれば、例えば、厚みが薄い光学異方性層で高い光学異方性を発現させることができるため、光学特性の発現性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
また、本発明によれば、上記光学異方性フィルムにセルロース誘導体からなる透明基板が用いられていることにより、位相差フィルムを外界から保護すべく本発明の位相差フィルムを内側の偏光板保護フィルムとして用いた場合に、該偏光板保護フィルムは透水性を有し、偏光板製造時の偏光子の水分を抜くことができる。その結果、外側の偏光板保護フィルムとして、透水性は無くとも表面耐久性に優れるシクロオレフィン系樹脂からなる偏光板保護フィルムを用いることができる。このため、耐久性に優れた偏光板を得ることができる。
さらに、本発明によれば上記位相差層がnx≦ny<nzの関係が成立する光学特性を備えるものであり、かつ、上記光学異方性フィルムがnx>nyの関係が成立する光学特性を備えるものであるため、本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いることにより、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償機能を備える偏光板を得ることができる。
このようなことから、本発明によれば偏光板保護フィルムとして用いることにより、視野角補償機能を備える偏光板であって、耐久性の高い偏光板を得ることが可能であり、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
本発明においては、上記第1の光学異方性材料中の重合性棒状分子から成る化合物が、分子内に単一の重合性官能基を有する単官能重合性液晶化合物であることが好ましい。上記重合性液晶化合物がこのような単官能重合性液晶化合物であることにより、上記光学異方性層の光学異方性の発現性をさらに向上させることができる結果、本発明によって光学特性の発現性により優れた位相差フィルムを得ることが可能になるからである。
また、本発明においては、上記光学異方性フィルムの面内レターデーション(Re)の波長依存性が正分散型であることが好ましい。これにより、本発明の位相差フィルムを、液晶表示装置の視野角補償機能にさらに優れたものにできるからである。
さらに本発明においては、上記セルロース誘導体がトリアセチルセルロースであることが好ましい。トリアセチルセルロースは光学的等方性に優れるため、上記セルロース誘導体としてトリアセチルセルロースが用いられていることにより、本発明の位相差フィルムの光学特性の設計が容易になる等の利点があるからである。
また上記課題を解決するために本発明は、上記本発明に係る位相差フィルムと、上記位相差フィルムが備える上記光学異方性フィルム上であって、上記位相差層が形成された側とは反対側の面上に形成された偏光子と、上記偏光子上に形成された偏光板保護フィルムと、を有することを特徴とする偏光板を提供する。
本発明によれば、片方の偏光板保護フィルムとして上記本発明に係る位相差フィルムが用いられていることにより、耐久性に優れ、かつ、IPS方式の液晶表示装置に対する視野角補償機能を備える偏光板を得ることができる。
本発明においては、上記偏光板保護フィルムが、シクロオレフィン系樹脂またはアクリル系樹脂からなることが好ましい。これにより、上記本発明の偏光板を、光学特性の耐久性に優れたものにできるからである。
本発明は、偏光板保護フィルムとして用いることにより、視野角補償機能を備える偏光板であって、耐久性の高い偏光板を得ることが可能であり、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差フィルムを提供できるという効果を奏する。
本発明は、位相差フィルム、および、これを用いた偏光板に関するものである。
以下、本発明の位相差フィルムおよび偏光板について順に説明する。
A.位相差フィルム
まず、本発明の位相差フィルムについて説明する。本発明の位相差フィルムは、セルロース誘導体からなる透明基板、および、上記透明基板上に形成され、上記透明基板を構成するセルロース誘導体、および、レターデーションの波長依存性が正分散型を示す第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層を有し、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyとの間に、nx>nyの関係が成立する光学異方性フィルムと、上記光学異方性フィルム上に形成され、波長依存性が正分散型を示す第2の光学異方性材料を含有し、さらに面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層と、を有するものであって、上記第1の光学異方性材料に、重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図1は本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。図1に例示するように、本発明の位相差フィルム10は、セルロース誘導体からなる透明基板1aと、上記透明基板1a上に形成された光学異方性層1bとを有する光学異方性フィルム1と、上記光学異方性フィルム1の光学異方性層1b上に形成された位相差層2とを有するものである。
ここで、上記光学異方性フィルム1は、上記光学異方性層1bに上記透明基板1aを構成するセルロース誘導体、および、レターデーションの波長依存性が正分散型を示す第1の光学異方性材料が含まれており、上記光学異方性フィルム1全体として、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyとの間に、nx>nyの関係が成立する光学特性を備えるものである。
また、上記位相差層2には、波長依存性が正分散型を示す第2の光学異方性材料が含まれており、位相差層2全体として、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する光学特性を備えるものである。
このような例において、本発明の位相差フィルム10は、上記光学異方性層1bに含まれる上記第1の光学異方性材料に、重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記第1の光学異方性材料に重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることにより、上記光学異方性層をnx>nyなる光学異方性の発現性に優れたものにできる。このため、本発明によれば、例えば、厚みが薄い光学異方性層で高い光学異方性を発現させることができるため、光学特性の発現性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
ここで、上記第1の光学異方性材料に重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることにより、上記光学異方性層を光学異方性の発現性に優れたものにできる理由については明らかではないが、次のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、上記光学異方性層は、上記第1の光学異方性材料によって光学異方性が発現されるものである。ここで、上記第1の光学異方性材料は複屈折率を備えるものであるため、光軸が一方向に一致するように規則正しく配列することによって上記光学異方性層に光学異方性を付与することができるものである。そして、上記第1の光学異方性材料は、分子が該分子軸と特定の方向を向いた電気双極子能率ベクトルを有している(通常、電気双極子能率ベクトルの方向は分子軸方向と一致するが多いが、分子軸と直交する場合等も有る)。このため、光軸を一方向に配列することは即ち棒状分子の軸方向を一方向に配列させることに相当する。したがって、上記第1の光学異方性材料を上記光学異方性の発現性に優れたものにするためには、該棒状分子の構造を、光学異方性の発現性に寄与する構造単位が一方向に配列しやすい構造にすることが有効になると考えられる。
この点、上記重合性棒状分子からなる化合物は、光学異方性の発現性に寄与するメソゲン基が、アルキル基を介して重合性官能基と結合された構造を有し、かつ、上記アルキル基の炭素数が4以上であることにより、上記メソゲン基を、配列性が阻害されない程度の自由度を備えるものにすることができる。
このため、上記メソゲン基は上記光学異方性層において優れた配列性を実現することが可能になるため、本発明によれば上記光学異方性層を光学異方性の発現性に優れたものにできると考えられる。
また、本発明によれば、上記光学異方性フィルムにセルロース誘導体からなる透明基板が用いられていることにより、本発明の位相差フィルムを内側の偏光板保護フィルムとして用いた場合に、外側の偏光板保護フィルムとしてシクロオレフィン系樹脂からなる偏光板保護フィルムを用いることができるため、耐久性に優れた偏光板を得ることができる。
さらに、本発明によれば上記位相差層がnx≦ny<nzの関係が成立する光学特性を備えるものであり、かつ、上記光学異方性フィルムがnx>nyの関係が成立する光学特性を備えるものであることから、本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いることにより、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償機能を備える偏光板を得ることができる。
このようなことから、本発明によれば偏光板保護フィルムとして用いることにより、視野角補償機能を備える偏光板であって、耐久性の高い偏光板を得ることが可能であり、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
なお、本発明においては上記光学異方性層にレターデーション値の波長依存性が正分散型である第1の光学異方性材料が含まれるが、本発明において上記「正分散型」とは、レターデーション値が波長の減少関数になる場合を意味し、具体的には、波長450nmにおける面内レターデーション(Re450)と、波長550nmにおける面内レターデーション(Re550)との比(Re450/Re550)(以下、単に「Re比」と称する場合がある。)が1より大きい波長依存性の類型を意味するものとする。
また、本発明においては、レターデーション値が波長の増加関数になる場合、即ち上記Re比が1よりも小さい波長依存性の類型を「逆分散型」と称し、レターデーション値が波長の定数関数になる場合、即ち上記Re比が1である波長依存性の類型を「フラット型」と称する。尚、Reの定義は後述の「3.位相差フィルム」の通りである。
また、本発明における面内レターデーションおよび厚み方向のレターデーションについては、特に波長を指定しない限りは、波長550nmに対する値を意味するものとする。
本発明の位相差フィルムは、少なくとも上記光学異方性フィルムと、位相差層とを有するものである。
以下、本発明の位相差フィルムに用いられる各構成について詳細に説明する。
1.光学異方性フィルム
まず、本発明に用いられる光学異方性フィルムについて説明する。本発明に用いられる光学異方性フィルムは、セルロース誘導体からなる透明基板、および、上記透明基板上に形成され、上記透明基板を構成するセルロース誘導体、および、レターデーションの波長依存性が正分散型を示す第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層を有し、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyとの間に、nx>nyの関係が成立するものである。そして、本発明に用いられる光学異方性フィルムは、上記第1の光学異方性材料に、重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることを特徴とするものである。
以下、このような光学異方性フィルムについて詳細に説明する。
(1)光学異方性層
最初に、本発明に用いられる光学異方性層について説明する。本発明に用いられる光学異方性層は、後述する透明基板上に形成され、上記透明基板を構成するセルロース誘導体、および、レターデーションの波長依存性が正分散型を示し、かつ、重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物を含む第1の光学異方性材料を含有するものである。
a.第1の光学異方性材料
まず、上記第1の光学異方性材料について説明する。本発明に用いられる第1の光学異方性材料は、レターデーションの波長依存性が正分散型であり、かつ、上記重合性棒状分子からなる化合物を含有するものである。
本発明に用いられる第1の光学異方性材料としては、レターデーションの波長依存性が正分散型であり、かつ、上記重合性棒状分子からなる化合物を含有するものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性を付与できるものを適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に用いられる第1の光学異方性材料は、上記Re比が1〜2の範囲内であるものが好ましい。
ここで、第1の光学異方性材料の上記Re比は、ポリイミドなどの配向膜を形成し、配向処理を施したガラス基板などの等方性基材上に、上記第1の光学異方性材料からなる層を成膜し、波長450nmにおけるRe(Re450)と、波長550nmにおけるRe(Re550)とを測定することにより算出することができる。
本発明に用いられる第1の光学異方性材料に含有される重合性棒状分子からなる化合物としては、重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有するものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、上記光学異方性層に所望の光学異方性を付与できるものを適宜選択して用いることができる。このような構造を有する化合物として代表的な例としては重合性液晶化合物を挙げることができる。
本発明に用いられる重合性液晶化合物としては、複数の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物と、単一の重合性官能基を有する単官能重合性液晶化合物とを挙げることができるが、本発明においては、上記多官能重合性液晶化合物、および、上記単官能重合性液晶化合物のいずれであっても好適に用いることができる。なかでも本発明においては、上記単官能重合性液晶化合物を用いることが好ましい。上記単官能重合性液晶化合物は、上記多官能重合性液晶化合物よりも上記メソゲン基の自由度が高くなる、また、重合後に延伸処理を行う場合には、分子の再配向を拘束阻害する架橋点の密度が低く、分子(の電気双極子能率ベクトル)の配向が容易となるため、このような単官能重合性液晶化合物を用いることにより、上記光学異方性層をより光学異方性の発現性に優れたものにできるからである。
また、本発明に用いられる重合性液晶化合物は、上記メソゲン基と、上記重合性官能基とを結合するアルキル鎖を構成する炭素数が4以上であるものであるが、本発明に用いられる上記アルキル鎖は、炭素数が4以上であるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる重合性液晶化合物は、上記アルキル鎖を構成する炭素数が、5〜12の範囲内であることが好ましく、特に6〜10の範囲内であることが好ましい。上記炭素数が上記範囲内であることにより、上記重合性液晶化合物が備えるメソゲン基をより分子配向の自由度の高いものにできるため、上記光学異方性層の光学異方性の発現性をさらに向上することができるからである。
なお、本発明における上記「アルキル鎖を構成する炭素数」とは、上記重合性官能基と上記メソゲン基とを結合するアルキル基の主鎖部分を構成する炭素原子の数を意味するものとする。したがって、例えば、上記アルキル基が側鎖を有する分岐鎖状である場合、側鎖を構成する炭素原子の数は、上記「アルキル鎖を構成する炭素数」に含まれないものとする。
本発明に用いられるアルキル鎖は、炭素数が上記範囲内のものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられるアルキル鎖としては、側鎖を有さない直鎖状のものであってもよく、または、側鎖を有する分岐鎖状のものであってもよい。また、飽和結合のみからなる飽和アルキル鎖であってもよく、または、不飽和結合を有する不飽和アルキル鎖であってもよい。さらには、炭化水素鎖に任意の官能基が結合された構造を有するものであってもよい。
また、本発明において上記多官能重合性液晶化合物を用いる場合、各重合性官能基に結合されたアルキル鎖を構成する炭素数は、すべて同一であってもよく、または、異なっていてもよい。
上記重合性液晶化合物に用いられるメソゲン基としては、規則的に配列することにより上記光学異方性層に所定の光学異方性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、通常、上記メソゲン基として棒状構造を有するものが用いられる。棒状構造を有するメソゲン基は、規則的に配列させることによって光学異方性を発現させることが容易だからである。
ここで、上記「棒状構造」とは、メソゲン基の構造の主骨格が棒状となっている化合物を意味するものとする。
また、本発明に用いられるメソゲン基は、上記棒状構造を有するメソゲン基のなかでも液晶性を示すものが好ましい。液晶性を示すメソゲン基を用いることにより、本発明に用いられる光学異方性フィルムに所望の光学異方性を付与することが容易になるからである。
上記メソゲン基として液晶性を有するものを用いる場合、上記メソゲン基が示す液晶相の種類は特に限定されるものではない。このような液晶相としては、例えば、ネマチック相、コレステリック相、および、スメクチック相等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの液晶相を示すメソゲン基であっても好適に用いることができるが、なかでも、ネマチック相を示すメソゲン基を用いることが好ましい。ネマチック相を示すメソゲン基は、他の液晶相を示すメソゲン基と比較して規則的に配列させることが容易であるからである。
このようなメソゲン基の具体例としては、例えば、下記式(1)〜(11)で表される環構造が直接あるいは結合基で2つ以上連結したものを挙げることができる。
Figure 2008122885
ここで、上記式(1)〜(11)の環構造における任意の水素は、ハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または、1〜7個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよい。この1〜7個の炭素原子を有するアルキルにおいて任意の−CH−は−O−に、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、さらに任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
また、上記結合基としては、上記環構造を所定の距離で結合できるものであれば特に限定されるものではない。このような連結基としては、例えば、下記式(12)〜(23)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2008122885
上記重合性液晶化合物に用いられる重合性官能基としては、所望の重合処理を行うことにより重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの製造方法等に応じて適宜選択して用いることができる。このような重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等を挙げることができる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等を挙げることができる。その他、本発明に用いられる重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和三重結合等が挙げられる。本発明においては、これらの重合性官能基の中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
なお、本発明に用いられる重合性液晶化合物として、上記多官能重合性液晶化合物を用いる場合、上記多官能重合性液晶化合物に用いられる重合性官能基はすべて同一であってもよく、または、異なっていてもよい。
また、本発明に用いられる重合性液晶化合物は、分子量が比較的小さい化合物であることが好ましい。より具体的には、分子量が200〜1200の範囲内である化合物が好ましく、特に400〜1000の範囲内である化合物が好ましい。その理由は次の通りである。
すなわち、本発明に用いられる光学異方性層は、上記第1の光学異方性材料と、後述する透明基板を構成するセルロース誘導体とを含有するものであるが、上記重合性液晶化合物として分子量が比較的小さい化合物を用いることにより、上記光学異方性層において上記重合性液晶化合物が上記セルロース誘導体と混合しやすくなる。このため、分子量が上記範囲内である重合性液晶化合物を用いることにより、上記光学異方性層のヘイズをより小さくすることができるからである。
なお、重合性液晶化合物の分子量とは、重合前のモノマーの状態における分子量を意味するものとする。
本発明に用いられる重合性液晶化合物の具体例としては、下記式で表される化合物を例示することができる。
Figure 2008122885
ここで、上記式(I)、(IV)および(V)で表される重合性液晶化合物は、例えば、D.J.Broerら、Makromol Chem.190,3201-3215(1989)またはD.J.Broerら、Makromol Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似した方法によって調製することができる。また、化学式(II)および(III)で示される重合性液晶化合物は、例えば、DE195,04,224に開示された方法により調整することができる。
また、本発明に用いられる重合性液晶化合物の例としては、例えば、下記式で表される化合物を例示することができる。
Figure 2008122885
Figure 2008122885
本発明に用いられる第1の光学異方性材料は上記重合性液晶化合物を含むことが好ましいものであるが、上記第1の光学異方性材料に含有される重合性液晶化合物は、1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。
また、上記第1の光学異方性材料に2種類以上の重合性液晶化合物が含まれる場合、上記重合性液晶化合物は、上記単官能重合性液晶化合物のみから選択されてもよく、上記多官能重合性液晶化合物のみから選択されてもよく、または、上記単官能重合性液晶化合物および上記多官能重合性液晶化合物の両方から選択されてもよい。なかでも本発明においては、少なくとも上記単官能重合性液晶化合物が選択されることが好ましい。上記単官能重合性液晶化合物は、上述したように光学異方性の発現性に優れるからである。
また、本発明に用いられる第1の光学異方性材料が上記重合性液晶化合物を含む態様としては、上記第1の光学異方性材料が上記重合性液晶化合物のみからなる態様であってもよく、または、上記第1の光学異方性材料が上記重合性液晶化合物と他の化合物との混合物からなる態様であってもよい。
本発明に用いられる第1の光学異方性材料が、上記重合性液晶化合物と他の化合物との混合物からなる場合、上記第1の光学異方性材料中に含有される上記重合性液晶化合物の含有量としては、上記光学異方性層に所望の光学異方性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上記他の光学異方性化合物の種類や、上記重合性液晶化合物の種類等に応じて任意の範囲内とすることができる。なかでも本発明においては上記重合性液晶化合物の含有量が30質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、特に50質量%〜98質量%の範囲内であることが好ましく、さらに60質量%〜99.9質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明に用いられる第1の光学異方性材料が、上記重合性液晶化合物と他の化合物との混合物からなる場合に用いられる上記他の化合物としては、本発明に用いられる光学異方性層に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような他の化合物としては、例えば、上記光学異方性層の光学異方性の発現に寄与できる任意の構造を有する重合性液晶化合物、任意の構造を有する非重合性液晶化合物、多官能アクリレートなどの非液晶性重合性化合物、および、任意の無機化合物を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記他の化合物として、上記非重合性液晶化合物、あるいは、上記非液晶性重合性化合物を用いることが好ましい。ここで、上記他の化合物として、非重合性液晶性化合物を用いることにより、光学異方性フィルムの信頼性向上および位相差層の積層におけるヘイズの上昇および所望の面内位相差値を容易に制御することが可能になるという利点がある。
なお、上記他の化合物として用いられる無機化合物としては、例えば、酸化金属、窒化金属、炭化金属、ハロゲン化金属、フェライト、金属水酸化物、金属塩類(金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属ケイ酸塩等)等の粉末を挙げることができるが、なかでも無色透明であり、光学異方性を有する無機化合物であって、かつ形状が、長径に対する短径の比が少なくとも3/4以下である針状である無機化合物を用いることが好ましい。このような無機化合物としては、例えば、SiO、SiO、Bi、ZnO、TiO、Nb、ZrO、Y、MnO、Al、Sb、Ta、WO、および、SrCO等を挙げることができる。
上記第1の光学異方性材料として、上記重合性液晶化合物と、上記他の化合物との混合物を用いる場合、上記重合性液晶化合物は1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。
b.セルロース誘導体
次に、本発明に用いられる光学異方性層に含有されるセルロース誘導体について説明する。本発明に用いられるセルロース誘導体は、後述する透明基板を構成するセルロース誘導体である。本発明においては、光学異方性層にこのようなセルロース誘導体が含有されることにより、透明基板と光学異方性層との密着性に優れた光学異方性フィルムを得ることができる。
本発明における光学異方性層中に含有されるセルロース誘導体の量としては、本発明に用いられる光学異方性フィルムにおいて、透明基板と光学異方性層との密着性を所望の範囲にすることができる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記セルロース誘導体の含有量が、1質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、特に5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、上記光学異方性層に含有されるセルロース誘導体については、後述する「(2)透明基板」の項において、透明基板を構成するセルロース誘導体として説明するものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
c.光学異方性層
本発明に用いられる光学異方性層には、上記第1の光学異方性材料および上記セルロース誘導体以外に他の化合物が含有されていてよい。このような他の化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、有機変性シロキサン等のシリコン形レベリング剤;ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルビニルエーテル等の直鎖状重合物;フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等の界面活性剤;テトラフルオロエチレン等のフッ素系レベリング剤;光重合開始剤等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記他の化合物として光重合開始剤を含むことが好ましい。このような光重合開始剤を含有することにより、本発明の位相差フィルムを製造する工程において上記第1の光学異方性材料に含有される重合性棒状分子からなる化合物の重合反応を促進することができるからである。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。
本発明においては、これらの光重合開始剤を1種類のみで用いてもよく、または、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することが好ましい。本発明に用いることができる光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
本発明に用いられる光学異方性層に上記光重合開始剤を含有させる場合、その含有量としては、上記棒状化合物を所望の時間で重合できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、上記棒状化合物100重量部に対して、1重量部〜10重量部の範囲内が好ましく、特に3重量部〜6重量部の範囲内が好ましい。
さらに本発明に用いられる光学異方性層には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。このような化合物を含有することにより本発明に用いられる上記光学異方性層の機械強度が向上し、安定性が改善される場合がある。
本発明に用いられる光学異方性層の厚みとしては、上記第1の光学異方性材料や、後述する透明基板の種類に応じて、本発明に用いられる光学異方性フィルムの光学特性を所望の値にできる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
(2)透明基板
次に、本発明における光学異方性フィルムに用いられる透明基板について説明する。本発明に用いられる透明基板はセルロース誘導体からなるものである。
本発明に用いられる透明基板を構成するセルロース誘導体としては、所望の透水性を備え、本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いた場合に、偏光板製造工程において、偏光子に含有される水分を透過し、経時での偏光特性の低下を所望の程度に抑制できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記セルロース誘導体として、セルロースエステル類を用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類の中では、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
また本発明においては、上記低級脂肪酸エステルの中でもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。トリアセチルセルロースは、比較的嵩高い側鎖を有する分子構造を有することから、このようなトリアセチルセルロースからなる透明基板を用いることにより、透明基板と上記光学異方性層との密着性をより向上することできるからである。
ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。なお、トリアセチルセルロースフィルムを構成するトリアセチルセルロースの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
本発明に用いられる透明基板の透明度は、本発明の位相差フィルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
ここで、上記透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本発明に用いられる透明基板の厚みは、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性が得られる範囲内であれば特に限定されるものではない。したがって、いわゆる板、シート、或いはフィルムと称呼される厚みの範疇のもののいずれであっても適宜用いられる。なかでも本発明に用いられる透明基板の厚みは10μm〜188μmの範囲内であることが好ましく、特に20μm〜125μmの範囲内であることが好ましく、さらには30μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
また、本発明に用いられる透明基板の面内レターデーションは、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途や、本発明に用いられる光学異方性フィルムの具体的態様に応じて、任意に調整することができる。なかでも本発明に用いられる透明基板は、波長550nmにおける面内レターデーションが0nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。面内レターデーションReの定義は後述の「3.位相差フィルム」の通りである。
ここで、本発明に用いられる透明基板の面内レターデーションの波長依存性は、逆分散型、正分散型、または、フラット分散型のいずれであってもよい。
また、本発明に用いられる透明基板は、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションが、0nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
本発明に用いられる透明基板は、貯蔵引張弾性率×断面積で表される値が上記光学異方性層のそれよりも大きく、かつ、寸法収縮率が上記光学異方性層の寸法収縮率よりも小さいことが好ましい。このような特徴を有する透明基板を用いることにより上記光学異方性層に経時で寸法変化が生じることをより効果的に防止できるため、本発明により光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができるからである。
本発明に用いられる透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値は、上記光学異方性層に含有される第1の光学異方性材料の種類や、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜好適な範囲に調整することができる。なかでも本発明に用いられる透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値は、上記光学異方性層の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値の10倍以上であることが好ましく、特に20倍以上であることが好ましく、さらには35倍以上であることが好ましい。これにより、本発明に用いられる光学異方性フィルムの寸法安定性を、より透明基板の力学特性に支配的なものにすることができることから、例えば、透明基板の力学特性を制御することで光学異方性フィルム全体の力学特性を制御することが可能になるため、本発明に用いられる光学異方性フィルムの光学特性の経時安定性を設計することが容易になる等の利点を有するからである。
本発明に用いられる透明基板の貯蔵引張弾性率×断面積で表される値の具体的な範囲は、10000N〜5000000Nの範囲内、より好ましくは10000N〜1000000Nの範囲内、さらに好ましくは50000N〜500000Nの範囲内程度とされる。
ここで、上記貯蔵引張弾性率×断面積で表される値は、例えば、株式会社ユービーエム社製「Rheogel−E4000」を用い、以下の条件により貯蔵引張弾性率を測定し、その測定値に透明基板の断面積を乗ずることにより求めることができる。
・チャック間距離 : 15mm
・サンプル幅 : 5mm
・歪み : 100μm
・昇温速度 : 3℃/min
・周波数 : 10Hz
なお、本発明に用いられる光学異方性フィルムにおいて上記光学異方性層が透明基板に浸透するなどして、上記の方法で透明基板単独の貯蔵引張弾性率を測定することが困難な場合においては、一般的に知られている圧縮方向の動的な弾性率とせん断方向の動的な弾性率の関係、すなわち(せん断方向の弾性率=圧縮方向の弾性率/3)という関係を利用することができる。つまり、透明基板単独の貯蔵引張弾性率を測定することが困難である場合は、上記貯蔵引張弾性率に替えて上記圧縮弾性率を用いることが可能である。
上記貯蔵引張弾性率に替えて上記圧縮弾性率を用いる場合、透明基板の圧縮弾性率×断面積で表される値としては、上記光学異方性層の圧縮弾性率×断面積で表される値よりも大きい範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明における透明基板の圧縮弾性率×断面積の値は、透明基板の幅が1m、光学異方性層の塗工幅が1mである場合に、30000N〜15000000Nの範囲内であることが好ましく、特に30000N〜3000000Nの範囲内であることが好ましく、さらには150000N〜1500000Nの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記圧縮弾性率は、株式会社エリオニクス ENT−1100a用い、以下の条件で測定した値を用いるものとする。
・測定深度 : 500nm
・測定 : 500pointで区切り、1pointあたりのステップインターバルを10msecとする。
なお、上記「断面積」は、透明基板の平面方向に対して垂直方向の断面の断面積(透明基板の厚み×透明基板の幅)を意味するものとする。
また、本発明に用いられる透明基板の寸法収縮率は、上記光学異方性層の寸法収縮率よりも小さい範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる透明基板の寸法収縮率は0.01%〜1%範囲内であることが好ましく、特に0.01%〜0.1%の範囲内であることが好ましく、さらには0.01%〜0.02%の範囲内であることが好ましい。
ここで、上記寸法収縮率で表される値は、例えば、透明基板を元の長さの1.4倍の長さまで延伸した長さをLa、延伸後1日経過後の長さをLbを測定することにより、以下の式に基いて求めることができる。
寸法収縮率=(La−Lb)/La
さらに、本発明に用いられる透明基板は高温高湿雰囲気下における寸法安定性に優れたものであることが好ましい。上記透明基板として高温高湿雰囲気下における寸法安定性に優れたものを用いることにより、位相差フィルム全体としての高温高湿雰囲気下における寸法安定性を向上することができる結果、高温高湿雰囲気下においても光学特性の安定性が良好な位相差フィルムを得ることができるからである。なかでも本発明に用いられる透明基板は、温度90℃、相対湿度90%RHの環境下において1hr経過させた際の寸法変化率が25%以下であることが好ましく、特に0.1%〜10%の範囲内であることが好ましく、さらには0.1%〜5%の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。
また、複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
(3)光学異方性フィルム
本発明に用いられる光学異方性フィルムは、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyとの間に、nx>nyの関係が成立するものである。したがって、本発明に用いられる光学異方性フィルムは、いわゆるAプレートまたはBプレートとしての性質を有するものになる。
ここで、上記nx>nyの関係が成立する態様としては、nx>ny>nz、nx>nz>ny、nx>ny=nz、および、nz>nx>nyの関係が成立する態様を挙げることができる。本発明に用いられる光学異方性フィルムとしては、これらのいずれの関係が成立するものであっても好適に用いることができる。
本発明に用いられる光学異方性フィルムのReとしては、本発明の位相差フィルムの位相差性を所望の範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜調整することができる。なかでも本発明おいては、上記光学異方性フィルムのReが50nm〜170nmの範囲内であることが好ましく、特に70nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。Reがこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをよりIPS方式の液層表示装置の視野角補償機能に優れたものにできるからである。
また、本発明に用いられる光学異方性フィルムのReの波長依存性は、逆分散型、正分散型、または、フラット分散型のいずれであってもよいが、なかでも正分散型であることが好ましい。その理由は次の通りである。
すなわち、本発明の位相差フィルムは光学異方性フィルムと、後述する位相差層とが積層された構成を有するものであるため、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償機能に優れたものにするためには、上記光学異方性フィルムのReの波長依存性と、上記位相差層のReの波長依存性とが同じ型であることが望ましいものである。この点、上記位相差層は、ホメオトロピック配向を形成した液晶材料に代表される第2の光学異方性材料を含有するものであるため、上記Reの波長依存性は正分散型になるのが一般的である。したがって、上記Reの波長依存性が正分散型であることにより、上記ReおよびReの波長依存性を正分散型で一致するため、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償機能に優れたものにすることができるからである。
本発明に用いられる光学異方性フィルムのReの波長依存性が正分散型である場合、上記Re比は、1より大きい範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記Re比が1.01〜1.3の範囲内であることが好ましく、特に1.01〜1.2の範囲内であることが好ましい。Re比がこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをより広範な波長領域において液晶表示装置の視野角等性を改善できるものにできるからである。
また、本発明に用いられる光学異方性フィルムのNzファクター(Nz)としては、本発明の位相差フィルムの位相差性を所望の範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、光学異方性フィルムのNzファクター(Nz)が1.0〜3.0の範囲内であることが好ましく、特に1.0〜2.0の範囲内であることが好ましい。上記Nzファクター(Nz)がこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをよりIPS方式の液層表示装置の視野角補償機能に優れたものにできるからである。
なお、上記光学異方性フィルムのNzファクター(Nz)は、以下の式で表されるものである。
Nz=(Rth/Re)+0.5
ここで、上記RthおよびReは、上述したnx、ny、および、nz、および、光学異方性フィルムの厚みdを用いて、それぞれ以下の式で表されるものである。
Re=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
また、上記Nzファクターは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法によって上記nx、ny、および、nzを測定した後、上記式にしたがって算出することにより求めることができる。
本発明に用いられる光学異方性フィルムは、上記光学異方性層が上記透明基板上に密着するように形成された構成を有するものとなる。このときの上記光学異方性層と上記透明基板との密着の程度としては、上記透明基板の力学特性により上記光学異方性層の力学特性を制御することが可能な範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては上記密着の程度が、クロスカット法での評価結果が20/100〜100/100の範囲内であることが好ましい。
なお、上記「クロスカット法」とは、日本工業規格JISK5600‐5‐6「塗料一般試験方法‐第5部:塗膜の機械的性質‐第6節:付着性(クロスカット法)に準ずる評価法であり、塗工面側に1mm角の切れ目を碁盤目状にいれ、接着テープ(ニチバン社製、セロテープ(登録商標))を貼り付け、その後テープを引き剥がし、1mm角100個中残った個数を数えることにより付着性を評価するものである。
また、上記クロスカット法による評価結果は、100箇所の碁盤目状評価部位のうち残った数を表すものであり、例えば、上記「20/100」は、100箇所の評価部位のうち剥れずに残った箇所が20箇所であること意味するものであり、また、上記「100/100」は、100箇所の評価部位のうち、100箇所すべてが剥れずに残ることを意味するものである。
また、本発明に用いられる光学異方性フィルムにおいて、上記透明基板と、上記光学異方性層とが積層された態様としては、上記透明基板と上記光学異方性層とが独立した層として積層された態様であってもよく、または、上記透明基板と光学異方性層との間に明確な界面がなく、両者の間において上記第1の光学異方性材料の含有量が連続的に変化するように積層された態様であってもよい。
本発明に用いられる光学異方性フィルムにおいて、上記透明基板と上記光学異方性層とが積層された態様について図を参照しながら説明する。図2は本発明に用いられる光学異方性フィルムにおいて、上記透明基板と上記光学異方性層とが積層された態様の一例を示す概略図である。図2に例示するように、本発明に用いられる光学異方性フィルム1、1’は、上記透明基板1aと上記光学異方性層1bとが独立した層として積層された態様であってもよく(図2(a))、または、上記透明基板1aと光学異方性層1b’との間に明確な界面がなく、両者の間において上記第1の光学異方性材料の含有量が連続的に変化するように積層された態様であってもよい(図2(b))。
また、本発明に用いられる光学異方性フィルムの厚みとしては、光学異方性を所望の範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる光学異方性フィルムの厚みは、20μm〜210μmの範囲内であることが好ましく、特に25μm〜140μmの範囲内であることが好ましく、さらに30μm〜90μmの範囲であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる光学異方性フィルムは、上記第1の光学異方性材料に上記重合性棒状分子からなる化合物が含まれることから、より薄い厚みで所望の光学異方性を達成することができる。
2.位相差層
次に、本発明に用いられる位相差層について説明する。本発明に用いられる位相差層は、波長依存性が正分散型を示す第2の光学異方性材料を含有し、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間に、nx≦ny<nzの関係が成立するものである。
以下、本発明に用いられる位相差層について説明する。
(1)第2の光学異方性材料
まず、本発明に用いられる第2の光学異方性材料について説明する。本発明に用いられる第2の光学異方性材料としては、波長依存性が正分散型を示し、かつ、上記nx、ny、および、nzに上記関係が成立する位相差性を付与できる材料であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる第2の光学異方性材料としては、ホメオトロピック液晶材料を用いることが好ましい。
本発明に用いられるホメオトロピック液晶材料は、重合性官能基を有するものであることが好ましい。このようなホメオトロピック液晶材料を用いることにより、重合性官能基を介して互いに重合させることができるため、本発明に用いられる位相差層の機械強度を向上することができるからである。また、位相差層中におけるホメオトロピック液晶材料の配向安定性も向上させることができ、位相差層にnx≦ny<nzなる位相差性を安定的に付与することができるからである。
上記重合性官能基としては、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基を用いることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げることができる。
上記ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。
また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。
本発明に用いることができるその他の重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。
なかでも発明においては、これらの重合性官能基のなかでもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明に用いられるホメオトロピック液晶材料は、上記重合性官能基を複数有するものであってもよく、または、1つのみを有するものであってもよい。
本発明に用いることができるホメオトロピック液晶材料としては、垂直配向膜を使用することなく、ホメオトロピック配向を形成できるホメオトロピック配向性を有するもの(第1のホメオトロピック液晶材料)と、単独ではホメオトロピック配向を形成することができないが、垂直配向膜を使用することによりホメオトロピック配向を形成できるもの(第2のホメオトロピック液晶材料)と、を挙げることができる。本発明においては、上記第1のホメオトロピック液晶材料はもちろんのこと、上記第2のホメオトロピック液晶材料であっても好適に用いることができる。
なお、本発明において上記第2のホメオトロピック液晶材料を用いる場合は、位相差層において上記ホメオトロピック液晶材料をホメオトロピック配向させるために、通常、上述した光学異方性フィルムと位相差層との間に液晶材料をホメオトロピック配向させる配向規制力を有する配向層を用いたり、または、位相差層中に上記液晶材料をホメオトロピック配向させる機能を有する配向制御化合物を用いる方法が用いられる。また、ガラス基板等の他の基板上に上記第2のホメオトロピック液晶材料がホメオトロピック配向した位相差層を別途形成した後、これを剥離して上記光学異方性フィルム上に積層する転写法も用いることができる。このような転写法において、上記ガラス基板上に位相差層を形成する方法については、例えば、特開2003−177242公報等に開示されている。
上記第1のホメオトロピック液晶材料としては、垂直配向膜を使用することなくホメオトロピック配向を形成することができ、本発明に用いられる位相差層に所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような上記第1のホメオトロピック液晶材料としては、例えば、正の屈折率異方性を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットと、非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットとを含有する側鎖型液晶ポリマーや、上記液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットと脂環族環状構造を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットとを含有する側鎖型液晶ポリマー等の液晶ポリマーを挙げることができる。このような液晶ポリマーとしては、例えば、特開2003−121853号公報、特開2002−174725号公報、および、特開2005−70098号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。
一方、上記第2のホメオトロピック液晶材料としては、垂直配向膜等を使用することによりホメオトロピック配向を形成することができ、本発明に用いられる位相差層に所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明においては、ネマチック相を示すネマチック液晶材料が好適に用いられる。
本発明に用いられる上記第2のホメオトロピック液晶材料の具体例としては、例えば、特表平10−508882号公報、特開2003−287623号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記第2のホメオトロピック液晶材料として、下記式(24)〜(40)で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2008122885
Figure 2008122885
また、本発明に用いられる上記第2のホメオトロピック液晶材料としては、例えば、特開平10−319408号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。なかでも本発明においては、以下の化学式で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2008122885
上記式において、xは1〜12であり、Zは1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基であり、Rはハロゲンまたはシアノであるか、あるいは炭素原子1〜12個を有するアルキル基またはアルコキシ基であり、そしてLは、H、ハロゲンまたはCNであるか、あるいは炭素原子1〜7個を有するアルキル基、アルコキシ基またはアシル基である。
なお、上記ホメオトロピック液晶材料として重合性官能基を有する化合物を用いた場合、本発明に用いられる位相差層に含有されるホメオトロピック液晶材料は、上記重合性官能基を介して重合された重合物となる。
本発明に用いられるホメオトロピック液晶材料は1種類でもよく、または、2種類以上であってもよい。また、2種類以上の液晶材料を用いる場合、上記第1のホメオトロピック液晶材料と、上記第2のホメオトロピック液晶材料とを混合して用いてもよい。
(2)その他の化合物
本発明に用いられる位相差層には、上記第2の光学異方性材料以外の他の化合物が含まれていてもよい。このような他の化合物としては、位相差層における上記液晶材料の配列状態や、位相差層の光学特性発現性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも、本発明に好適に用いられる上記他の化合物としては、上記液晶材料のホメオトロピック配向形成を補助する配向制御化合物を挙げることができる。このような配向制御化合物を用いることにより、上記第2態様のホメオトロピック液晶材料を用いることが可能になるという利点がある。また、上記第1態様のホメオトロピック液晶材料を用いる場合であっても、このような配向制御化合物を用いることによりホメオトロピック配向の規則性を向上できるという利点がある。
上記配向制御化合物としては、本発明に用いられる位相差層に所望のホメオトロピック配向規制力を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる配向制御化合物としては、界面活性剤を好適に用いることができる。界面活性剤は位相差層において、空気界面に偏在し、分子の特定の方向を位相差層側に向けて配列することができるため、位相差層に上記ホメオトロピック配向規制力を容易に付与することができるからである。
本発明に用いられる上記界面活性剤としては、例えば、スルホネート界面活性剤を挙げることができ、特に、フッ素化スルホネート界面活性剤が好適に用いられる。
上記フッ化スルホネート界面活性剤の具体例としては、例えば、商品名 FC−4430、FC−4432(いずれも3M Company製)を挙げることができる。
また、本発明に用いられる上記他の化合物としては、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる位相差層には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。
(3)位相差層
本発明に用いられる位相差層は、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立するものである。このため、本発明に用いられる位相差層は、いわゆる正のCプレートとしての性質を有するものになる。
本発明に用いられる位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth定義は後述の「3.位相差フィルム」参照)としては、本発明の位相差フィルムの位相差性を所望の範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記Rthが−270nm〜−50nmの範囲内であることが好ましい。上記Rthが上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをIPS方式の液層表示装置の視野角補償機能により優れたものにできるからである。
ここで、上記Rthは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法によって測定することができる。
本発明における位相差層の厚みは、上記液晶材料の種類等に応じて、位相差層に所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。
また、本発明に用いられる位相差層は、上述した光学異方性フィルム上に積層されるものであるが、上記位相差層が上記光学異方性フィルム上に積層される態様としては、上記光学異方性フィルムの光学異方性層上に積層される態様であってもよく、または、上記光学異方性フィルムの透明基板上に積層される態様であってもよい。
このような位相差層の形成態様について図を参照しながら具体的に説明する。図3は、本発明において位相差層が上記光学異方性フィルム上に形成される態様の一例を示す概略図である。図3に例示するように、本発明の位相差フィルム10’,10’’が、透明基板1a上に光学異方性層1bが形成された光学異方性フィルム1が用いられ、上記光学異方性フィルム1上に位相差層2が形成された構成を有するものである場合、上記位相差層2が上記光学異方性フィルム1上に形成される態様としては、上記光学異方性層1b上に形成される態様であってもよく(図3(a))、あるいは、上記光学異方性層1bが形成された面とは反対側の面上に形成される態様であってもよい(図3(b))。
本発明においては、上記のいずれの態様であっても好適に用いることができる。ここで、上記位相差層が上記光学異方性層側の面上に形成される態様は、光学異方性層と位相差層が同じ側になるため連続的な塗工がしやすく、製造しやすいこと、および、光学異方性層の表面散乱を打ち消すことができ、かつ、透明基板の反対側の面を露出させることができるため、当該露出面側は偏光子と積層することも、あるいは、反射防止層等の各種機能層を積層することも可能となり、利用法や設計仕様の自由度が広がるという利点がある。
一方、上記位相差層が上記光学異方性層が形成された面とは反対側の面上に形成される態様は、上記位相差層と上記光学機能層の相互作用が無いため、上記のような位相差の設計値からの偏移やバラツキを生じ難く、上記位相差層への所望の光学特性付与が容易になるという利点がある。
したがって、本発明の位相差フィルムの具体的用途や要求性能あるいは設計方針等に応じて、上記の2態様からより適合的な態様を適宜選択して用いればよい。
3.位相差フィルム
本発明の位相差フィルムが示す位相差性は、本発明の位相差フィルムの用途に応じて任意に調整することができるものであるが、なかでも本発明の位相差フィルムはNzファクター(Nz)が−0.5〜0.3の範囲内であることが好ましく、さらに−0.3〜0.2の範囲内であることが好ましい。Nzファクターが上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをよりIPS方式の液層表示装置の視野角補償機能に優れたものにできるからである。
ここで、上記Nzファクター(Nz)は、本発明の位相差フィルムが備える屈折率楕円体の形状を示すパラメーターであり、以下の式によって表されるものである。
Nz = {(Rth+Rth)/(Re+Re)}+0.5
上記RthおよびRthはそれぞれ、本発明に用いられる光学異方性フィルムおよび位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)を表すものである。
また、上記ReおよびReはそれぞれ、本発明に用いられる光学異方性フィルムおよび位相差層の面内レターデーション(Re)を表すものである。
上記式においてRthおよびReは、本発明に用いられる光学異方性フィルムの面内方向における遅相軸方向の屈折率をnx、面内方向における進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、および、厚みをdとした際に、それぞれ以下の式で表されるものである。
Rth = {((nx+ny)/2)−nz}×d
Re = (nx−ny)×d
また、上記式においてRthおよびReは、本発明に用いられる位相差層の面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率をそれぞれnx、ny、厚み方向の屈折率をnz、さらに厚みをdとした場合に、それぞれ以下の式で表されるものである。
Rth = {((nx+ny)/2)−nz}×d
Re = (nx−ny)×d
また、本発明の位相差フィルムの厚みとしては、位相差性を所望の範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明の位相差フィルムの厚みは20.5μm〜220μmの範囲内であることが好ましく、特に25.5μm〜145μmの範囲内であることが好ましく、さらに31μm〜93μmの範囲であることが好ましい。
なお、本発明の位相差フィルムは、上記光学異方性フィルムの光学異方性層に用いられる第1の光学異方性材料に上記重合性棒状分子からなる化合物が含まれることから、より薄い厚みで所望の位相差性を達成することができる。
本発明の位相差フィルムの形態は特に限定されるものではなく、例えば、本発明の位相差フィルムを用いる液晶表示装置の画面サイズに合致したシート状であってもよく、または、長尺状であってもよい。
4.位相差フィルムの用途
本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置に用いられる視野角補償フィルム、楕円偏光板、輝度向上フィルム等として用いることができる。なかでも特にIPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして用いる場合においては、本発明の位相差フィルムを単体で用いることも可能であり、また、本発明の位相差フィルムと他の光学機能フィルムと積層して用いることも可能である。さらに、本発明の位相差フィルムに用いられる透明基板の上記密着性位相差層が形成された側とは反対側の面上に、他の密着性位相差層を直接積層して用いることも可能である。
本発明の位相差フィルムと、他の光学機能フィルムとを積層して用いる例としては、例えば、本発明の位相差フィルム上に、コレステリック配列した液晶分子を含有する液晶層を積層することにより、液晶表示装置用の輝度向上フィルムとして用いる例を挙げることができる。
また、本発明の位相差フィルムは、偏光子と貼り合わせることにより、偏光板としての用途にも用いることができる。すなわち、偏光板は、通常、偏光子とその両表面に形成された偏光板保護フィルムとからなるものであるが、本発明においては、例えば、その一方の偏光板保護フィルムとして本発明の位相差フィルムを用いることにより、液晶表示装置の視野角補償機能を備える偏光板として用いることができる。
5.位相差フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法としては、上記構成を有する位相差フィルムを製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、次の3つの方法を例示することができる。
第1の方法は、セルロース誘導体からなる透明基板を用い、第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより光学異方性フィルムを作製する光学異方性フィルム作製工程と、上記光学異方性フィルム作製工程によって作製された光学異方性フィルムを延伸する延伸工程と、上記延伸工程によって延伸された光学異方性フィルムの光学異方性層上に、上記第2の光学異方性材料を含有する位相差層形成用塗工液を塗工することにより、上記光学異方性層上に位相差層を形成する位相差層形成工程とを有する方法である。なお、上記位相差層形成工程は、上記光学異方性フィルムの上記光学異方性層が形成された面とは反対側の面上に位相差層を形成するものであってもよい。
第2の方法は、セルロース誘導体からなる透明基板を用い、上記第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより光学異方性フィルムを作製する光学異方性フィルム作製工程と、上記光学異方性フィルム作製工程によって作製された光学異方性フィルムの光学異方性層上に、上記第2の光学異方性材料を含有する位相差層形成用塗工液を塗工することにより、上記光学異方性層上に位相差層を形成する位相差層形成工程と、上記光学異方性フィルムおよび上記位相差層の積層体を延伸する延伸工程とを有する方法である。なお、上記位相差層形成工程は、上記光学異方性フィルムの上記光学異方性層が形成された面とは反対側の面上に位相差層を形成するものであってもよい。
第3の方法は、セルロース誘導体からなる透明基板を用い、上記第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより光学異方性フィルムを作製する光学異方性フィルム作製工程と、上記光学異方性フィルム作製工程によって作製された光学異方性フィルムを延伸する延伸工程と、垂直配向膜を備える基板上に、上記第2の光学異方性材料を含有する位相差層を形成した後、上記位相差層のみを上記光学異方性フィルムの光学異方性層上に粘着剤を介して接着させる位相差層形成工程とを有する方法である。なお、上記位相差層形成工程は、上記光学異方性フィルムの上記光学異方性層が形成された面とは反対側の面上に位相差層を形成するものであってもよい。
本発明の位相差フィルムは、上記のいずれの方法であっても製造することができるが、なかでも、上記第1の方法によれば、より簡便に上記第1態様の光学異方性フィルムが用いられた位相差フィルムを得ることができる。
ここで、上記第1の方法および第2の方法において、上記第1の光学異方性材料として重合性官能基を有する棒状化合物を用いる場合、上記第1の光学異方性材料が重合処理されることにより安定した光学異方性層を形成することが可能になるが、上記第1の光学異方性材料に重合処理を施すタイミングとしては、上記延伸工程の前であってもよく、あるいは、後であってもよい。
なお、延伸工程に用いる装置、および、加工方法等にとしては、通常の合成樹脂フィルムの延伸加工に用いられるものと基本的には同様の装置を用い、光学異方性フィルムの構成材料、所望のレターデーション値を勘案して、適宜条件にて延伸すればよい。
延伸は、一軸延伸処理、二軸延伸処理のいずれを行ってもよい。また、二軸延伸処理は、アンバランス二軸延伸処理を実施してもよい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフィルムをある方向に一定倍率延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率に延伸する。二方向の延伸処理は、同時に実施してもよい。なかでも本発明においては一軸延伸を行うことが好ましい。
また、本工程に用いられる延伸方法としては、上記光学異方性フィルムを所望の延伸倍率に延伸できる方法であれば特に限定されるものではない。本工程に用いられる延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等を挙げることができる。上記延伸工程をRoll to Rollプロセスで実施する場合、上記延伸処理の態様としては、フィルムの搬送方向に対して平行方向に延伸する態様(縦延伸)であってもよく、または、フィルムの搬送方向に対して略垂直方向に延伸する態様(横延伸)であってもよい。なお、偏光子とのRoll to Rollの貼り合せを行うためには、テンター延伸法が望ましい。
本工程において、上記光学異方性フィルムを延伸する延伸倍率としては、上記光学異方性フィルムに所望の光学異方性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、1.01倍〜1.4倍の範囲内であることが好ましく、特に1.1倍〜1.4倍の範囲内であることが好ましく、さらに1.15倍〜1.35倍の範囲内であることが好ましい。
その他、上記各方法における各工程の具体的な実施方法については、一般的に液晶表示装置用の位相差フィルムを作製する際に用いられる方法を用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。
B.偏光板
次に、本発明の偏光板について説明する。本発明の偏光板は、上記本発明に係る位相差フィルムが偏光板保護フィルムとして用いられたものである。
すなわち、本発明の偏光板は、上記本発明に係る位相差フィルムと、上記位相差フィルムが備える上記光学異方性フィルム上であって、上記位相差層が形成された側とは反対側の面上に形成された偏光子と、上記偏光子上に形成された偏光板保護フィルムと、を有することを特徴とするものである。
このような本発明の偏光板について図を参照しながら説明する。図4は本発明の偏光板の一例を示す概略図である。図4に例示するように本発明の偏光板20は、位相差フィルム10と、上記位相差フィルム10が備える光学異方性フィルム1上に形成された、偏光子11と、上記偏光子11上に形成された偏光板保護フィルム12とを有するものである。
このような例において、本発明の偏光板20は、上記位相差フィルム10として本発明の位相差フィルム10が用いられていることを特徴とするものである。
本発明によれば、片方の偏光板保護フィルムとして上記本発明に係る位相差フィルムが用いられていることにより、耐久性に優れ、かつ、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償機能を備える偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板は、少なくとも上記位相差フィルム、偏光子、および、偏光板保護フィルムを有するものである。
以下、本発明の偏光板に用いられる各構成について説明する。
なお、本発明に用いられる位相差フィルムについては、上記「A.位相差フィルム」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.偏光板保護フィルム
まず、本発明に用いられる偏光板保護フィルムについて説明する。本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、本発明の偏光板において偏光子が空気中の水分等に曝されることを防止する機能と、偏光子の寸法変化を防止する機能とを有するものである。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、本発明の偏光板において上記偏光子を保護することができ、かつ、所望の透明性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる偏光板保護フィルムは、可視光領域における透過率が80%以上であるものが好ましく、90%以上であるものがより好ましい。
ここで、上記偏光板保護フィルムの透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムを構成する材料としては、例えば、セルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を挙げることができる。
なかでも本発明においては、上記樹脂材料としてセルロース誘導体またはシクロオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
上記セルロース誘導体としては、例えば、上記「A.位相差フィルム」の項において光学異方性フィルムに用いられる透明基板を構成するセルロース誘導体として説明したものと同様のものを用いることができる。
一方、上記シクロオレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。このような上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであっても好適に用いることができる
本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であってもよく、または、共重合体であってもよい。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が1質量%以下であるものが好ましく、なかでも0.1質量%〜0.7質量%の範囲内であるものが好ましい。このようなシクロオレフィン系樹脂を用いることにより、本発明の偏光板を吸水による光学特性の変化や寸法の変化がより生じにくいものとすることができるからである。
ここで、上記飽和吸水率は、上記吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる。
さらに、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、ガラス転移点が100℃〜200℃の範囲内であるものが好ましく、特に100℃〜180℃の範囲内であるものが好ましく、なかでも100℃〜150℃の範囲内であるものが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内であることにより、本発明の偏光板を耐熱性および加工適性により優れたものにできるからである。
本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂からなる偏光板保護フィルムの具体例としては、例えば、Ticona社製 Topas、ジェイエスアール社製 アートン、日本ゼオン社製 ZEONOR、日本ゼオン社製 ZEONEX、三井化学社製 アペル等を挙げることができる。
本発明に用いられる偏光板保護フィルムとしては、上記セルロース誘導体からなるもの、および、上記シクロオレフィン系樹脂からなるもののいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも本発明においてはシクロオレフィン系樹脂からなるものを用いることが好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、本発明の偏光板は、一方の偏光板保護フィルムとして上記本発明に係る位相差フィルムが用いられたものであるが、上記本発明に係る位相差フィルムは、セルロース誘導体からなる透明基板が用いられた光学異方性フィルムが用いられているものである。したがって、上記偏光板保護フィルムとして、上記セルロース誘導体からなるものを用いると、本発明の偏光板における両面の偏光板保護フィルムがセルロース誘導体からなるものになり、その結果として、光学特性の耐久性等が損なわれてしまう恐れがある。
この点、上記シクロオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂からなる偏光板保護フィルムを用いることにより、本発明の偏光板を、片面にシクロオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂からなる偏光板保護フィルムが用いられ、他の面にセルロース誘導体が用いられた本発明の位相フィルムが用いられることになるため、上述したような懸念が少ないからである。
本発明における偏光板保護フィルムの構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。
また、複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
2.偏光子
次に、本発明に用いられる偏光子について説明する。本発明に用いられる偏光子は、本発明の偏光板に偏光特性を付与する機能を有するものである。
本発明に用いられる偏光子は、本発明の偏光板に所望の偏光特性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置の偏光板に用いられるものを特に制限なく用いることができる。本発明においては、このような偏光子として、通常、ポリビニルアルコールフィルムが延伸されてなり、ヨウ素を含有する偏光子が用いられる。
3.偏光板の製造方法
本発明の偏光板の製造方法としては、上記構成を有する偏光板を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、上記偏光子に接着剤を介して、上記偏光板保護フィルムと、上記位相差フィルムとを貼り合わせる方法が用いられる。
また、上記位相差フィルムと、上記偏光子とは、通常、上記位相差フィルムの遅相軸の方向と、上記偏光子の吸収軸の方向とが互いに直行するように貼り合わされる。
なお、上記偏光板保護フィルム、上記位相差フィルム、および、上記偏光子を貼り合わせる方法については、一般的に液晶表示装置に用いられる偏光板を製造する際に用いられる方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、特許第3132122号公報に記載された方法等を用いることができる。
また、本発明のような偏光板を工業的に作製する場合、通常、長尺に形成された偏光子、偏光板保護フィルム、および、位相差フィルムを用い、長尺の状態でこれらを貼り合わせることにより、ロール状に巻き取られた形態の偏光板を製造する方法が用いられる。このような方法により本発明の偏光板を製造する場合、上記偏光子として、吸収軸の方向が長手方向に対して平行であるものを用い、上記位相差フィルムとしては遅相軸の方向が長手方向に対して垂直であるものを用いることにより、Roll to Rollプロセスで効率よく本発明の偏光板を製造することができる。
本発明の偏光板の好ましい使用形態としては、上記位相差フィルムを液晶セル側に、また上記偏光板保護フィルムを液晶セルとは反対側に向く様に配置するものである。このような態様で使用することにより、偏光板の耐久性と偏光板製造時に於ける水分の排出とを両立することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
1.実施例1
(1)光学異方性フィルムの作製
下記式(A)(アルキル鎖炭素数:6)に示される重合性液晶化合物をシクロヘキサノンに20質量%になるように溶解させ、さらに光重合開始剤を固形分に対して4質量%加えることにより、光学異方性層形成用塗工液を調整した。
Figure 2008122885
次いで、透明基板としてトリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルム)(富士フィルム社製、商品名:TF80UL)を用い、上記光学異方性層形成用塗工液を、当該透明基板の表面にバーコーティングによって乾燥後の塗工量が2.5g/mとなるように塗工した。
次いで、60℃で4分間加熱して溶剤を乾燥除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を固定化して光学積層体を形成した。
上記光学積層体を延伸実験機により、延伸倍率が1.2倍になるように165℃で加熱しながら面内方向に上記光学積層体の二辺を固定端としてこれに直交する方向に一軸延伸を行うことにより、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムは、
Re=105nm、Nz=1.50であった。
(2)位相差フィルムの作製
次に、下記式(B)、(C)、および、(D)で表される液晶材料を含有する液晶混合物、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア907、液晶混合物に対して5質量%)を、トルエンに固形分20質量%になるように溶解させ、更にレベリング剤を添加することにより位相差層形成用塗工液を得た。次いで、当該位相差層形成用塗工液を、垂直配向膜が形成されたガラス基板上に塗布し、その後60℃で2分間乾燥してホメオトロピック配向させた。さらに100mJ/cmのUVを照射することにより硬化させ位相差層を形成した。このとき形成された位相差層はRth=−155nmとなるように膜厚を調整した。
次いで、上記位相差層をガラス基板から剥離し、粘着剤を介して上記光学異方性フィルムの光学異方性層上に貼り合せることにより位相差フィルムを作製した。
Figure 2008122885
2.実施例2
(1)光学異方性フィルムの作製
下記式(E)(アルキル鎖炭素数:6)に示される光重合性液晶をシクロヘキサノンに20質量%になるように溶解させ、さらに光重合開始剤を固形分に対して4質量%加えることにより、光学異方性層形成用塗工液を調整した以外は、実施例1と同様にして、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムはRe=110nm、Nz=1.48であった。
Figure 2008122885
(2)位相差フィルムの作製
次に、下記式(F)で表される側鎖型ポリマー50質量%と、上記式(E)で示される光重合性液晶50質量%の液晶混合物、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア907、光重合性化合物に対して5質量%)を、トルエンに固形分20%になるように溶解させ、更にレベリング剤を添加することにより位相差層形成用塗工液を得た。当該位相差層形成用塗工液を上記光学異方性層上に塗工した後、100℃で1分間乾燥し、そのまま室温まで冷却することにより、上記液晶混合物をホメオトロピック配向させ位相差層を得た。さらに100mJ/cmのUVにて硬化させ、位相差フィルムを作製した。この時、位相差層はRth=−155nmとなるように膜厚を調整した。
Figure 2008122885
3.実施例3
上記式(A)に示される光重合性液晶を66.7質量%、および下記式(G)(アルキル鎖炭素数:4)に示される光重合性液晶を33.3質量%となるようにシクロヘキサノンに10質量%になるように溶解させ、さらに光重合開始剤を固形分に対して4質量%加えることにより、光学異方性層形成用塗工液を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、光学異方性フィルム作製した。得られた光学異方性フィルムはRe=90nm、Nz=1.68であった。また位相差層の膜厚をRth=−200nmとなるように調整した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
Figure 2008122885
4.実施例4
実施例1と同様にして光学積層体を得た後、実施例2で作製した位相差層形成用塗工液を用いて光学積層体塗工膜面上に位相差層をRth=−200nmとなるように膜厚を調整して作製した。
次いで実施例1と同様にして、上記位相差層形成済みの光学積層体を延伸実験機により、延伸倍率が1.2倍になるように165℃で加熱しながら面内方向に上記光学積層体の二辺を固定端としてこれに直交する方向に一軸延伸を行うことにより、位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムはRe(=Re+Re)=110nm、Nz=0.13であった。
5.実施例5
実施例2に記載の光学異方性フィルムを得た後、光学異方性層が形成された面とは反対側の面上に、実施例2に記載の位相差層形成用塗工液を塗布し、100℃で1分間乾燥し、そのまま室温まで冷却することによりホメオトロピック配向させ位相差層を得た。さらに100mJ/cmのUVにて硬化させ、位相差フィルムを作製した。この時、位相差層はRth=−200nmとなるように膜厚を調整した。
6.比較例1
重合性液晶化合物として、下記式(H)および(I)で表される光重合性液晶化合物(アルキル鎖炭素数:0)が1:1で混合された液晶混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学異方性フィルムを作製した。得られた光学異方性フィルムはRe=18nm、Nz=3.92であった。
また位相差層の膜厚をRth=−200nmとなるように調整した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
Figure 2008122885
7.比較例2
下記式(J)(アルキル鎖炭素数:2)に示される光重合性液晶化合物を用いて実施例1と同様にして光学異方性層形成用塗工液を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、光学異方性フィルムを作製した。
得られた光学異方性フィルムはRe=28nm、Nz=3.27であった。
また位相差層の膜厚をRth=−150nmとなるように調整した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
Figure 2008122885
8.評価
上記実施例および比較例において作製した光学異方性フィルムの面内位相差ReおよびNz、位相差層の厚み方向位相差Rth、位相差フィルムについてはNzファクターを評価した。上記の各面内位相差、厚み方向位相差およびNzファクターは、自動複屈折測定装置KOBRAを用いて測定した。
さらに、漏れ光評価については以下の手順で液晶表示装置を作製し、EZコントラスト(エルディム社製)を用いて測定を行った。評価結果を表1に示す。
(1)偏光板の作製
図5に示すように、ポリビニルアルコールから成る偏光膜23の一方の面に、ケン化処理したTACフィルム22(富士写真フィルム株式会社製、商品名:TF80UL)を、もう一方の面にケン化処理した位相差フィルム21の位相差層21bとは反対側の面を、偏光膜23の吸収軸に対して、光学異方性フィルム21aの遅相軸が直交するように、TACフィルム22および位相差フィルム21をポリビニルアルコール系粘着剤を用いて貼り合せた。
(2)IPSセルの作製
次に、図6に示すように、一枚のガラス基板上に電極間距離が20μmとなるように電極を設置し、その上にポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。別のガラス基板の一方の表面にポリイミド配向膜を設け、同様にラビング処理を行った。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、セルギャップdを3.5μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合せ、次いで、屈折率異方性(Δn)0.0885及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のΔn・dの値は310nmであった。
なお、図6において、31は、液晶素子画素領域、32は画素電極、33は表示電極、34はラビング方向、35a、35bは黒表示時の液晶ダイレクター、36a、36bは白表示時の液晶ダイレクターを表す。
(3)液晶表示装置の作製
図7に示すような層構成にて、液晶表示装置を作製した。ここで、図7において、37aはTACフィルム、38は偏光膜の吸収軸、39は偏光膜、40はIPSセル中液晶の黒表示時遅相軸方向、41はIPSセル、42は光学異方性フィルムの遅相軸、43は位相差フィルム、44は偏光膜の吸収軸、45は偏光膜、37bは等方性フィルム(Re≒0nm,Rth<10nm)、46はTACフィルムを表す。
Figure 2008122885
本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムを構成する光学異方性フィルムの他の例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの他の例を示す概略図である。 本発明の偏光板の一例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムを用いた偏光板の一例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムを用いて作製するIPSセルの一例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムを用いて作製する液晶表示装置の一例を示す概略図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムの使用態様の一例を示す概略図である。
符号の説明
1,1’,21 … 光学異方性フィルム
1a,21a … 透明基板
1b,21b … 光学異方性層
2 … 位相差層
10,10’,10’’ … 位相差フィルム
11 … 偏光子
12 … 偏光板保護フィルム
20 … 偏光板
31 … 液晶素子画素領域
32 … 画素電極
33 … 表示電極
34 … ラビング方向
35a,35b … 黒表示時の液晶ダイレクター
36a,36b … 白表示時の液晶ダイレクター
37a,46 … TACフィルム
38,44 … 偏光膜の吸収軸
39,45 … 偏光膜
37b … 等方性フィルム
40 … IPSセル中液晶の黒表示時遅相軸方向
41 … IPSセル
42 … 光学異方性フィルムの遅相軸
43 … 位相差フィルム
101 … 液晶セル
102A,102B,102A’,102B’ … 偏光板
103 … 位相差フィルム
111 … 偏光子
112,112a,112b … 偏光板保護フィルム

Claims (6)

  1. セルロース誘導体からなる透明基板、および、前記透明基板上に形成され、前記透明基板を構成するセルロース誘導体、および、レターデーションの波長依存性が正分散型を示す第1の光学異方性材料を含有する光学異方性層を有し、面内方向における遅相軸方向の屈折率nxと、面内方向における進相軸方向の屈折率nyとの間に、nx>nyの関係が成立する光学異方性フィルムと、
    前記光学異方性フィルム上に形成され、波長依存性が正分散型を示す第2の光学異方性材料を含有し、さらに面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層と、を有する位相差フィルムであって、
    前記第1の光学異方性材料に、重合性官能基とメソゲン基とが炭素数4以上のアルキル鎖を介して結合された構造を有する重合性棒状分子からなる化合物が含まれることを特徴とする、位相差フィルム。
  2. 前記第1の光学異方性材料中の重合性棒状分子からなる化合物が、分子内に単一の重合性官能基を有する単官能重合性液晶化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記光学異方性フィルムの面内レターデーション(Re)の波長依存性が正分散型であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記セルロース誘導体が、トリアセチルセルロースであることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の位相差フィルム。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の位相差フィルムと、前記位相差フィルムが備える前記光学異方性フィルム上であって、前記位相差層が形成された側とは反対側の面上に形成された偏光子と、前記偏光子上に形成された偏光板保護フィルムと、を有することを特徴とする、偏光板。
  6. 前記偏光板保護フィルムが、シクロオレフィン系樹脂またはアクリル系樹脂からなることを特徴とする、請求項5に記載の偏光板。
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