JP2007171595A - 長尺円偏光フィルム、および、これを用いた液晶表示装置 - Google Patents

長尺円偏光フィルム、および、これを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、遅相軸が任意の方向に制御された長尺円偏光フィルムを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成され、液晶材料を含む位相差層とを有し、長尺に形成された位相差フィルム、および、長尺に形成された光学フィルムが積層された構成を有する長尺円偏光フィルムであって、上記配向層が、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料からなる光配向膜であることを特徴とする長尺円偏光フィルムを提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置を製造するために用いられる長尺円偏光フィルムに関するものであり、より詳しくは光配向膜を有する長尺円偏光フィルムに関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図7に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
液晶表示装置には特有の欠点として視野角特性の問題がある。視野角特性の問題とは、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とでコントラストや色味等が変化する問題である。これは液晶表示装置に用いられる液晶セルが複屈折性を示すことや、クロスニコルに配置された2枚の偏光板を有することに起因するものである。
上記視野角特性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されており、その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、液晶表示装置において、液晶セルと、偏光板との間に所定の複屈折率を示す位相差フィルムを配置することによって、視野角特性を改善する方法である。
このような位相差フィルムを用いて視野角依存性の問題を改善する方法は、液晶セルの種類に応じて位相差フィルムの複屈折率を変更することにより、様々の光学特性を有する液晶セルを用いた液晶表示装置の視野角依存性の問題を改善できる点において有用である。具体的な位相差フィルムの例としては、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
上記特許文献1または特許文献2等に開示されているように、上記位相差フィルムとしては液晶材料を配列させてなる液晶層を有するものが一般的である。液晶層において液晶材料を配列させるには、液晶材料に対して配向規制力を有する配向膜上に液晶層を形成する必要があるため、液晶層を有する位相差フィルムにおいては、配向膜が必須の構成要素とされている。このような配向膜としては、ラビング処理により配向規制力を発現させるラビング膜が広く用いられている。
ところで、近年、上記位相差フィルムを他の光学フィルムと積層することによって特有の光学特性を有する円偏光フィルムを得る方法が知られている。例えば、特許文献3,4には、λ/4板としての性質を有する位相差フィルムと、λ/2板としての性質を有する光学フィルムを所定の角度で貼り合せることにより、波長分散がフラットである領域が広いという特徴を有する広帯域の円偏光フィルムが得られる旨が開示されている。
このように位相差フィルムは、他の光学フィルムと積層することにより特異な光学特性を発現できるが、多くの場合、このような特徴は位相差フィルムと他の光学フィルムとを、位相差フィルムの遅相軸が他の光学フィルムに対して所定の角度を成すように積層することによって得られるものである。
しかしながら、上記位相差フィルムは通常長尺の形態で形成されるため、従来のラビング膜を用いた位相差フィルムとしては、フィルムの長手方向を遅相軸とするもの以外は製造することが困難であった。このため、長尺の状態のままラビング膜を用いた位相差フィルムを、遅相軸が所定の向きになるように他の光学フィルムと積層することが困難であった。
特開平3−67219号公報 特開平4−322223号公報 特開2000−284126号公報 特開平10−68816号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、遅相軸が任意の方向に制御された長尺円偏光フィルムを提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は透明基材と、上記透明基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成され、液晶材料を含む位相差層とを有し、長尺に形成された位相差フィルム、および、長尺に形成された光学フィルムが積層された構成を有する長尺円偏光フィルムであって、上記配向層が、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料からなる光配向膜であることを特徴とする長尺円偏光フィルムを提供する。
本発明によれば上記配向層として、配向規制力の発現方向を任意に制御できる光配向膜を有する位相差フィルムを用いることにより、遅相軸が任意の方向に向いた長尺円偏光フィルムを得ることができる。
本発明の長尺円偏光フィルムは、遅相軸の方向と、フィルムの長手方向の軸とが交差していることが好ましい。遅相軸の方向とフィルムの長手方向の軸とが交差していることにより、例えば、本発明の長尺円偏光フィルムを用いて液晶表示装置を製造する際に、本発明のパネル形状へ加工することが容易となる利点を有するからである。
本発明においては、上記位相差フィルム、および、上記光学フィルムの一方がλ/4板としての性質を有し、他方がλ/2板としての性質を有するものであり、かつ、上記位相差フィルムの遅相軸と、上記光学フィルムの遅相軸とが交差していることが好ましい。λ/2板としての性質を有するフィルム、および、λ/4板としての性質を有するフィルムが、遅相軸が交差するように積層された構成を有することにより、本発明の円偏光フィルムをフラット型の波長分散を示す波長領域が広いものにできるからである。
本発明においては、上記光学フィルムが、透明基材と、透明基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成され、液晶材料を含む位相差層とを有するものであり、上記配向層が、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料からなる光配向膜であっても良い。上記光学フィルムが、このような光配向膜を有することにより、上記光学フィルムの遅相軸も任意に制御することが可能になるため、本発明の長尺円偏光フィルムの用途等に応じて、遅相軸を任意に制御することが容易になるからである。
本発明においては、上記光学フィルムが延伸ポリマーフィルムからなるものであっても良い。上記光学フィルムが延伸ポリマーフィルムからなることにより、本発明の長尺円偏光フィルムを薄膜化できる等の利点があるからである。
また本発明においては、上記光学フィルムが直線偏光板であっても良い。上記光学フィルムが直線偏光板であることにより、本発明の長尺円偏光フィルムを液晶表示装置等に用いられる偏光素子として好適なものにできるからである。
本発明は、上記本発明の長尺円偏光フィルムを用いた液晶表示装置を提供する。本発明によれば、上記本発明の円偏光フィルムを用いことにより、生産性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
本発明の円偏光フィルムは、遅相軸が任意の方向に制御された長尺円偏光フィルムを提供することが可能であるといった効果を奏する。
以下、本発明の長尺円偏光フィルム、および、液晶表示装置について詳細に説明する。
A.長尺円偏光フィルム
まず、長尺本発明の円偏光フィルムについて説明する。本発明の長尺円偏光フィルムは、透明基材と、上記透明基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成され、液晶材料を含む位相差層とを有し、長尺に形成された位相差フィルム、および、長尺に形成された光学フィルムが積層された構成を有するものであって、上記配向層が、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料からなる光配向膜であることを特徴とするものである。
次に、本発明の長尺円偏光フィルムについて図を参照しながら説明する。図1は本発明の長尺円偏光フィルムの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように本発明の長尺円偏光フィルム10は、位相差フィルム20と、光学フィルム30とが積層した構成を有するものである。上記位相差フィルム20は、透明基材21上に配向層22と、位相差層23とがこの順で積層された構成を有するものであり、上記配向層22は、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料からなる光配向膜である。また、上記光学フィルム30は、延伸ポリマーフィルムからなるものである。さらに、図示していないが、本発明の円偏光フィルム10、位相差フィルム20、および、光学フィルム30は長尺に形成されたものである。
図2は、本発明の長尺円偏光フィルムの他の例を示す概略断面図である。図2に例示するように本発明の長尺円偏光フィルム11は、位相差フィルム20と、光学フィルム30’とが積層された構成を有するものであって、上記光学フィルム30’が、透明基材31上に、配向層32と、位相差層33とがこの順で積層された構成を有するものである。ここで、図示していないが、本発明の長尺円偏光フィルム11、位相差フィルム20、および、光学フィルム30’は長尺に形成されたものである。
図3は、本発明の長尺円偏光フィルムのさらに他の例を示す概略断面図である。図3に例示するように本発明の長尺円偏光フィルム12は、位相差フィルム20と、光学フィルム30’’とが、積層された構成を有するものであって、上記光学フィルム30’’が偏光子34の両面に偏光板保護フィルム35が積層された構成を有するものでる。ここで、図示していないが、本発明の長尺円偏光フィルム12、位相差フィルム20、および、光学フィルム30’’は長尺に形成されたものである。
本発明の長尺円偏光フィルムは、位相差フィルムと、光学フィルムとが積層した構成を有し、上記位相差フィルムとして、配向規制力の発現方向を任意に制御できる光配向膜を有するものが用いられていることから、遅相軸が任意の方向に向いた長尺円偏光フィルムを得ることができる。本発明の長尺円偏光フィルムは、遅相軸を任意の方向に制御することが可能であることにより種々の利点を有する。このような利点としては、例えば、円偏光フィルムを用いた液晶表示装置を製造する際のフィルムの加工工程を簡略化できることが挙げられる。
すなわち、上述したように、位相差フィルムは遅相軸が所定の角度になるように他の光学フィルムと積層すると、広帯域性を発現する等の特有の性質を発揮できるが、従来の位相差フィルムは、配向膜としてラビング膜が用いられていたことから、遅相軸が長手方向の軸と平行になっている位相差フィルムしか製造することができなかった。したがって、遅相軸が所定の角度になるように位相差フィルムと、他の光学フィルムを積層するには、位相差フィルムと、他の光学フィルムをそれぞれ長尺で製造した後、それぞれを個別に所定の角度で裁断加工したものを貼り合せるという方法と取らざるを得なかった。
図4は上記の利点を図示する概略図である。図4(a)に示すように、従来の位相差フィルムは、遅相軸Lが長手方向の軸Dと平行になっている位相差フィルムしか製造することができなかった。したがって、遅相軸が所定の角度となるように他の光学フィルムと積層するには、図4(a)に示すように、位相差フィルムと他の光学フィルムを長尺の状態で製造した後、それぞれを所定の角度で裁断加工したもの個々に貼り合わせるという方法を用いるしかなった。
しかしながら、本発明によれば遅相軸の方向を任意に制御できる光配向膜を用いることにより、図4(b)に示すように、長尺の状態で位相差フィルムの遅相軸Lが所定の角度となるように他の光学フィルムと積層されたものを製造することができるため、個々の貼り合わせ工程が不要となり、加工工程を簡略化することができるという利点がある。
また、本発明は長尺に形成された長尺円偏光フィルムに関するものであるが、本発明における「長尺」とは、フイルムの長手方向の長さと、当該長手方向に対して垂直な方向(以下、幅方向と称する。)の長さとの比が、幅方向の長さを1とした場合に、フイルムの長手方向の長さが100以上である形状を意味するものとする。
本発明の長尺円偏光フィルムは、位相差フィルムと、光学フィルムとが積層した構成を有するものである。以下、本発明の長尺円偏光フィルムの各構成について詳細に説明する。
1.位相差フィルム
まず、本発明に用いられる位相差フィルムについて説明する。本発明に用いられる位相差フィルムは、本発明の長尺円偏光フィルムに遅相軸が任意の方向に制御された位相差性を付与する機能を有するものである。また、本発明に用いられる位相差フィルムは、透明基材と、上記透明基材上に形成された配向層と、上記配向層上に形成された位相差層とを有するものであり、長尺に形成されたものである。
(1)透明基材
本発明に用いられる透明基材について説明する。本発明に用いられる透明基材は、透明性を有するものである。また、本発明に用いられる透明基材は長尺に形成されたものである。
本発明に用いられる透明基材の透明度は、本発明の長尺円偏光フィルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が低いと、本発明に用いられる位相差フィルムのヘイズが所望の値よりも大きくなってしまう場合があるからである。
ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる透明基材は、上記透明性を具備するものであれば、可撓性を有するフレキシブル材でも、可撓性のないリジッド材でも用いることもできる。なかでも本発明においてはフレキシブル材を用いることが好ましい。フレキシブル材を用いることにより、本発明の長尺円偏光フィルムの製造工程をロールトゥロールプロセスとすることができ、生産性に優れた長尺円偏光フィルムを得ることができるからである。
上記フレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。なかでも本発明においてはセルロース誘導体またはシクロオレフィン系ポリマーを用いることが好ましい。セルロース誘導体は特に光学的等方性に優れるからである。また、シクロオレフィン系ポリマーは耐久性に優れるからである。
上記セルロース誘導体としては、セルロースエステルを用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類のなかでも、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。このような低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであっても良い。
本発明においては、上記低級脂肪酸エステルのなかでもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。なお、トリアセチルセルロースフィルムを構成するトリアセチルセルロースの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
一方、上記シクロオレフィン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)を挙げることができるが、本発明においては、シクロオレフィンポリマーを用いることが好ましい。シクロオレフィンポリマーは、水分の吸収性および透過性が低いため、本発明に用いられる透明基材がシクロオレフィンポリマーから構成されることにより、本発明の長尺円偏光フィルムを光学特性の経時安定性に優れたものにできるからである。
本発明に用いられる上記シクロオレフィンポリマーの具体例としては、例えば、JSR株式会社製、商品名:ARTONや日本ゼオン株式会社製、商品名ゼオノア等を挙げることができる。
本発明に用いられる透明基材の厚みは、本発明の長尺円偏光フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を備えることが出来る範囲内であれば特に限定されないが、通常、25μm〜1000μmの範囲内が好ましく、なかでも30μm〜100μmの範囲内が好ましい。透明基材の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明に用いられる位相差フィルムに必要な自己支持性が得られない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の長尺円偏光フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本発明における透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されても良い。
本発明に用いられる透明基材は位相差性を示すものであっても良い。このような位相差性としては、本発明の長尺円偏光フィルムに所望の屈折率異方性を付与できるものであれば特に限定されない。なかでも本発明においては、λ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、透明基材の面内レターデーション(以下、Reと称する場合がある。)が、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明に用いられる透明基材は、波長550nmにおけるReが120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、透明基材の面内レターデーション(以下、Reと称する場合がある。)が、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明に用いられる透明基材は、波長550nmにおけるReが250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記Reは、透明基材の面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、位相差フィルムの厚みdとにより、Re=(Nx−Ny)×dの式で表される値であり、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定することができる。
(2)配向層
次に、本発明に用いられる配向層について説明する。本発明に用いられる配向層は、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料から構成される光配向膜であること特徴とするものである。また、本発明に用いられる配向層は、上記透明基材上に長尺に形成されたものである。
上記「光配向法」とは、任意の偏光状態を有する光(偏光)を配向層に照射することにより配向層の配向規制力(異方性)を発現させる方法である。したがって、本発明に用いられる光配向材料は、偏光を照射することにより配向規制力を発現できる材料ということができる。また、本発明における「配向規制力」とは、後述する位相差層に含まれる液晶材料を配列させる相互作用を意味するものとする。
本発明に用いられる光配向材料は、偏光を照射することにより分子形状のみを変化させて配向規制力を可逆的に変化させる光異性化材料と、偏光を照射することにより分子そのものを変化させる光反応材料とに大別することができる。本発明においては上記光異性化材料、および、光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光反応材料を用いることがより好ましい。上述したように光反応材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであるため、不可逆的に配向規制力を発現することが可能になる。したがって、光反応材料の方が配向規制力の経時安定性において優れるからである。
上記光反応材料は、偏光照射によって生じる反応の種類によってさらに分別することができる。具体的には、光二量化反応を生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料、光分解反応を生じることによって配向規制力を発現する光分解型材料、光結合反応を生じることによって配向規制力を発現する光結合型材料、および、光分解反応と光結合反応とを生じることによって配向規制力を発現する光分解−結合型材料等に分けることができる。本発明においては上記光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光二量化型材料を用いることがより好ましい。
本発明に用いられる光二量化型材料は、光二量化反応を生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されない。なかでも本発明においては光二量化反応を生じる光の波長が200nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
このような光二量化型材料としては、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーを例示することができる。なかでも本発明においてはシンナメート、または、クマリンの少なくとも一方を有するポリマー、シンナメートおよびクマリンを有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表10−506420号公報、および、特表2003−505561号公報に記載された化合物を挙げることができる。
本発明における上記シンナメート、および、クマリンとしては、下記式Ia、Ibで表されるものが好適に用いられる。
Figure 2007171595
上記式中、Aは、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェニレン、2,5−フラニレン、1,4−もしくは2,6−ナフチレンを表すか、非置換であるか、フッ素、塩素または炭素原子1〜18個の環式、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル残基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一または多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立して基Cによって置換されていてもよい)によって一または多置換されているフェニレンを表す。
上記式中、Bは、水素原子を表すか、第二の物質、たとえばポリマー、オリゴマー、モノマー、光活性ポリマー、光活性オリゴマーおよび/または光活性モノマーもしくは表面と反応または相互作用することができる基を表す。
上記式中、Cは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR1−、−NR1−CO−、−CO−NR1−、−NR1−CO−O−、−O−CO−NR1−、−NR1−CO−NR1−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH−O−Si(CH−(R1は水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基を表す。
上記式中、Dは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR1−、−NR−CO−、−CO−NR1−、−NR1−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH−O−Si(CH−(Rは水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基、芳香族基または脂環式基を表す。
上記式中、S1およびS2は、互いに独立して、単結合またはスペーサー単位、たとえば炭素原子1〜40個の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一または多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立して基Dによって置換されていてもよいが、酸素原子が互いに直接的には結合していない)を表す。
上記式中、Qは、酸素原子または−NR−(Rは水素原子または低級アルキルを表す)を表す。
上記式中、XおよびYは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素原子1〜12個のアルキル(場合によってはフッ素によって置換されており、場合によっては1個以上の隣接しない−CH−基が−O−、−CO−O−、−O−CO−および/または−CH=CH−によって置換されている)を表す。
本発明においては、上記式で表されるシンナメート、および、クマリンのなかでも、特表2004−536185号公報に記載のものを用いることが好ましい。
本発明の配向層には、上記光配向材料以外に他の材料が含まれていても良い。このような他の材料としては、通常、一つ以上の官能基を持つモノマー又はオリゴマーが用いられる。このようなモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、アクリレート系の官能基を有する単官能モノマー(例えば、反応性エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン)及び多官能モノマー(例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ポリ(メタ)アクリレート(例えば、イソシアヌル酸EOジアクリレート等))や、ビスフェノールフルオレン誘導体(例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシアクリレート)等を単体もしくは混合したものとして用いることができる。
本発明に用いられる上記モノマー又はオリゴマーは重合性液晶材料であることが好ましい。また、後述する位相差層に重合性液晶材料が含まれる場合、上記重合性液晶材料は、位相差層に含まれる重合性液晶材料と同一種類のものを含むことが好ましい。
さらに、上記モノマー又はオリゴマーは、本発明に用いられる位相差フィルムを製造する方法として、透明基材上に配向層が積層された時点でロール巻きされる方法を用いる場合は、配向層が常温(20〜25℃)で固体になるものを用いることが好ましい。この場合、モノマー又はオリゴマーの種類としては、常温(20〜25℃)において固体であるものを用いることが好ましい。これにより、透明基材上に配向層が積層された時点でロール巻きされる場合でも、透明基材の裏面に配向層が貼り付くことに起因するブロッキングが生じることを防止できるからである。
上記モノマー又はオリゴマーの含有量は、配向層と後述する位相差層とを所望の強度で密着できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記光反応材料の質量に対して0.01倍〜3倍の範囲内が好ましく、特に0.05倍〜1.5倍の範囲内であることが好ましい。含有量が上記範囲よりも少ないと、配向層と、位相差層とを所望の強度で密着できない場合があるからである。また、上記範囲よりも多いと配向層の配向規制力が低下してしまう可能性があるからである。
本発明における配向層の厚みは、0.01μm〜0.5μmの範囲内が好ましく、なかでも0.02μm〜0.2μmの範囲内が好ましい。
(3)位相差層
次に、本発明に用いられる位相差層について説明する。本発明の位相差層は液晶材料を含むものであり、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性(複屈折性)を付与する機能を有するものである。また、本発明に用いられる位相差層は、上記配向層上に長尺に形成されたものである。
本発明に用いられる液晶材料は、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の位相差性を発現できる材料であれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明においては、ネマチック相を示す液晶材料が好適に用いられる。ネマチック液晶は、他の液晶相を示す液晶材料と比較して規則的に配列させることが容易だからである。
また、本発明に用いられる液晶材料としては、重合性官能基を有する重合性液晶材料を用いることが好ましい。重合性液晶材料は重合性官能基を介して互いに重合することができるため、本発明における位相差層の機械強度を向上することができるからである。
上記重合性官能基としては、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基が用いられる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。又、カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。これらのなかでもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明に用いられる重合性液晶材料は、上記重合性官能基を複数有するものであっても良く、または、1つのみを有するものであっても良い。また、重合性官能基を複数有するものと、1つのみを有するものとを混合して用いても良い。
本発明に用いられる重合性液晶材料の具体例としては、例えば、特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報、特開2003−287623号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記重合性液晶材料として、以下の化学式(1)〜(10)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2007171595
本発明に用いられる液晶材料は1種類でも良く、または、2種類以上を混合して用いても良い。本発明において2種類以上の液晶材料を混合して用いる場合は、重合性液晶材料と、重合性官能基を有さない液晶材料とを混合して用いても良い。
本発明における位相差層には、上記液晶材料以外の他の化合物が含まれていても良い。このような他の化合物としては、位相差層における上記液晶材料の配列状態や、位相差層の光学特性発現性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明に用いられる位相差フィルムの用途等に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明に用いられる上記他の化合物としては、例えば、カイラル剤、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。
本発明において、上記液晶材料として上記重合性液晶材料を用いる場合は、上記他の化合物として重合開始剤または重合禁止剤を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明では、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
上記重合禁止剤としては、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル,p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン等の反応の重合禁止剤を用いることができるが、なかでも保存安定性の点からハイドロキノン系重合禁止剤が好ましく、メチルハイドロキノンを用いるのが特に好ましい。
また、本発明における位相差層には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。
本発明における位相差層中の上記液晶材料の配列状態としては、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の光学特性を発現できる配列状態であれば特に限定されるものではない。上記配列状態としては、例えば、透明基材に対して液晶材料が平行に配向した状態や、透明基材に対して液晶材料が垂直に配向した状態を挙げることができる。前者の液晶構造はホモジニアス構造(平行配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明に用いられる位相差フィルムに光学的にAプレートとしての性質を付与することができる。また、後者の液晶構造はホメオトロピック構造(垂直配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明の位相差フィルムに光学的に正のCプレートとしての性質を付与することができる。
また、上記液晶材料の配列状態としては、液晶材料が規則的な螺旋構造を示すコレステリック配列状態であっても良い。このような配列状態を有することにより、本発明に用いられる位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与することができる。
上記液晶材料の配列状態をコレステリック配列状態とする場合は、通常、位相差層に螺旋構造を誘起させるカイラル剤が添加される。このようなカイラル剤としては、分子内に軸不斉を有する低分子化合物が好ましく用いられる。本発明に用いられるカイラル剤としては、例えば、下記式(11)、(12)又は(13)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007171595
Figure 2007171595
Figure 2007171595
上記一般式(11)又は(12)において、Rは水素又はメチル基を示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、なかでも、式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)のいずれか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すc及びdは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。
本発明における位相差層の厚みは、上記液晶材料の種類等に応じて、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。
本発明における位相差層は位相差性を示すものであるが、上記位相差性としては、本発明の長尺円偏光フィルムに所望の屈折率異方性を付与できるものであれば特に限定されない。なかでも本発明においては、λ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、位相差層の面内レターデーションが、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明における位相差層は、波長550nmにおけるReが120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、位相差層の面内レターデーションが、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明における位相差層は、波長550nmにおけるReが250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記Reの定義および測定方法については、上記「(1)透明基材」の項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
さらに、本発明における位相差層の遅相軸の向きは、本発明の長尺円偏光フィルムの遅相軸の方向を所望の向きにできる範囲内で任意に調整することができる。なかでも本発明においては、上記透明基材が位相差性を有する場合においては、上記透明基材の遅相軸と、上記位相差層の遅相軸とが交差するように、位相差層の遅相軸の向きを調整することが好ましい。
(4)位相差フィルム
本発明に用いられる位相差フィルムは、上記透明基材、配向層および位相差層以外の他の構成を有していても良い。このような他の構成としては、バリア層および応力緩和層を挙げることができる。
i.バリア層
上記バリア層は、本発明に用いられる位相差フィルムにおいて、通常、上記透明基材と、上記配向層との間に形成され、透明基材中に含まれる可塑剤等の低分子化合物が配向層および位相差層へ移動することを防止するバリア性を有するものである。
本発明に用いられるバリア層を構成する材料としては、上記バリア性を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、上記配向層との密着性等を考慮して適宜選択して用いることができる。本発明においてバリア層に用いられる材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマーやプレポリマーを反応させて得られた生成物に、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレートや2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって得られたものを挙げることができる。
上記紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、例えば、ポリオール(例えば、ポリエステルポリオール等)に2−ヒドロキシエチルアクリレートや2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって得られたものを挙げることができる。
上記紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂としては、例えば、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることができる。上記光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体やオキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して用いることができる。
上記紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。これらの樹脂は通常公知の光増感剤とともに用いられる。
本発明においては上記樹脂のいずれであっても好適に用いることができる。バリア層は上記樹脂の1種類から構成されていてもよく、または、複数の樹脂の混合物から構成されていても良い。なかでも本発明においては、低分子量または架橋密度の高い緻密な層となる材料が好ましく、特に、1,9−ノナンジオールジアクリレートやトリシクロデカンジメタノールジアクリレートが好ましい。
さらには、モノマー以外でもシリカ蒸着などにより、フィルムからの添加剤をブロックすることも可能である。
また、本発明に用いられるバリア層には、一つ以上の官能基を持つモノマー又はオリゴマーが含まれていても良い。上記配向層に一つ以上の官能基を持つモノマー又はオリゴマーが含まれる場合には、配向層に含まれるものと同一のモノマーまたはオリゴマーが含まれていることが好ましい。このようなモノマーまたはオリゴマーが含まれることにより、バリア層と配向層との密着性を向上することができるからである。
本発明に用いられるバリア層の厚みは、バリア層を構成する材料等に応じて、所望のバリア性を発現できる範囲内であれば特に限定されないが、1μm〜10μmの範囲内が好ましい。
ii.応力緩和層
上記応力緩和層は、上記透明基材と、上記配向層との間に形成され、本発明に用いられる位相差フィルムに対して外部から応力が加わった際に、当該応力緩和層が変形して外部から加わった応力を緩和することにより、位相差層や配向層等が損傷することを防止する機能を有するものである。
本発明に用いられる応力緩和層を構成する材料としては、応力緩和層に所望の硬度および弾性率等を付与できる材料であれば特に限定されず、任意の樹脂材料によって形成することができる。なかでも本発明においては、活性エネルギー線によって三次元的架橋が生じる活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
また、上記活性エネルギー線硬化性樹脂としては、紫外線によって三次元的架橋が生じる紫外線硬化性樹脂および電子線によって三次元的架橋が生じる電子線硬化性樹脂を挙げることができるが、本発明においては紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
さらに上記紫外線硬化性樹脂としては、三次元的架橋が生じる紫外線の波長が、波長100〜450nmの範囲であることが好ましく、さらには、250〜400nmの範囲であることが好ましい。この波長範囲の紫外線は、一般的な光源により容易に得ることができるからである。
本発明に用いられる上記紫外線硬化性樹脂の具体例としては、反応性エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコール(メタ)ジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン誘導体、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキキアクリレート等を挙げることができる。
本発明においてはこれらの紫外線硬化性樹脂を1種類のみ用いても良く、または、2種類以上を混合して用いても良い。
なかでも本発明においては、上記紫外線硬化性樹脂として、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ビスフェノールフルオレン誘導体、カプロラクトン変性ウレタンアクリレート、および、カプロラクトン変性アクリレートを用いることが好ましい。
本発明に用いられる応力緩和層の構成材料として、上記紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、応力緩和層に光重合開始剤および光増感剤を含むことが好ましい。上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類を挙げることができる。また、上記光増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等を挙げることができる。
なお、本発明に用いられる応力緩和層としては、配向させた重合性液晶層あるいは等方相において重合させた液晶層を用いてもよい。
本発明に用いられる応力緩和層の硬度および弾性率は、本発明の位相差フィルムに外部からの応力が加わった際に、位相差層等が損傷することを防止できる範囲内であれば特に限定されず、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜決定すればよい。
本発明に用いられる応力緩和層の厚みは、0.5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜10μmの範囲内が好ましい。応力緩和層の厚みが上記範囲よりも薄いと上述した応力緩和機能が十分でない場合があるからである。また、上記範囲よりも厚いと、位相差フィルムの全体が厚くなってしまい、かつコスト的に不利となる可能性があるからである。
また、上記バリア層と上記応力緩和層とはそれぞれが異なる層として形成されていても良く、または、上記バリア層と応力緩和層との機能を備える応力緩和層兼バリア層として1層で形成されていても良い。
応力緩和層兼バリア層の構成材料としては、上記応力緩和層と上記バリア層との機能を所望の膜厚で発現できる材料であれば特に限定されるものではない。このような材料としては、通常、上記応力緩和層に用いられる材料と、上記バリア層に用いられる材料とを少なくとも1種類ずつ組み合わせた混合物が用いられる。このような混合物としては、例えば、カプロラクトン変性ウレタンアクリレート100重量部に対して、ペンタエリスリトールジアクリレートを1重量部〜20重量部の範囲内で混合したものを好ましく用いることができる。
また、上記応力緩和層兼バリア層の厚みは、0.5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
iii.その他
本発明に用いられる位相差フィルムは長尺に形成されたものであるが、具体的な長さは本発明の長尺円偏光フィルムの長さとほぼ同一であることが好ましい。
本発明に用いられる位相差フィルムの遅相軸の向きは、本発明の長尺円偏光フィルムに付与する光学的性質等に応じて任意の角度にすれば良いが、なかでも本発明においては、遅相軸の向きが、位相差フィルムの長手方向の軸と交差することが好ましい。
このような遅相軸の向きについて、図を参照しながら説明する。図5は、位相差フィルムの遅相軸の向きを説明する概略図である。図5中、Lは本発明に用いられる位相差フィルム31の遅相軸の向きを表し、Dは位相差フィルム31の長手方向の軸である、図5に示すように、本発明に用いられる位相差フィルム31の遅相軸の向きLは、長手方向の方向軸Dと交差することが好ましい。
なお、上記遅相軸とは、位相差フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向を意味するものであり、上記長手方向の軸は、位相差フィルムの長手方向に対して平行な方向を意味するものである。
上記のように位相差フィルムの遅相軸と、長手方向の軸とが交差する場合、両者がなす角度としては、本発明の長尺円偏光フィルムの用途に応じて0°〜90°の範囲内で任意に決定すればよいが、特に0°〜60°の範囲内が好ましい。
ここで、本発明における上記角度は、上記位相差フィルムの遅相軸と、長手方向の軸とが平行の場合を0°とし、両者が直行する場合を90°とする。また、上記角度が90°未満の場合は、図5に示すように、上記位相差フィルムの遅相軸Lと、長手方向の軸Dとのなす角度のうち鋭角Θを指すものとする。
本発明に用いられる位相差フィルムが示す位相差性は、本発明の長尺円偏光フィルムに所望の屈折率異方性を付与できる位相差性を示すものであれば特に限定されない。なかでも本発明においては、λ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、本発明の長尺円偏光フィルムの面内レターデーションが、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明の長尺円偏光フィルムは、波長550nmにおけるReが120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、本発明の長尺円偏光フィルムの面内レターデーションが、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明の長尺円偏光フィルムは、波長550nmにおけるReが250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記Reは、位相差フィルムの面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、位相差フィルムの厚みdとにより、Re=(Nx−Ny)×dの式で表される値であり、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定することができる。
2.光学フィルム
次に、本発明に用いられる光学フィルムについて説明する。本発明に用いられる光学フィルムは、本発明の長尺円偏光フィルムが示す光学的性質に応じて、所定の光学的性質を有するものである。また、本発明に用いられる光学フィルムは長尺に形成されたものである。
本発明に用いられる光学フィルムは長尺に形成されたものであるが、具体的な長さは本発明の長尺円偏光フィルムの長さとほぼ同一であることが好ましい。
本発明に用いられる光学フィルムが有する光学的性質は、本発明の長尺円偏光フィルムの用途等に応じて任意に選択することができる。このような光学的性質としては、例えば、特定の振動方向の光のみを透過させる直線偏光性、光を屈折させる屈折性、平面または厚み方向において異なる複数の屈折率を示す位相差性(円偏光性、楕円偏光性)、および、複屈折率を有さない光学的等方性等を挙げることができる。ここで、上記「複屈折率を有さない」とは、光学フィルムの面内レターデーションが0nm〜30nmの範囲内であり、かつ、厚み方向のレターデーションが0nm〜10nmの範囲内であることを指すものである。また、本発明に用いられる光学フィルムは、単に光を透過させる光透過性を有するものであっても良い。
なかでも、本発明においては上記光学フィルムとして、上記位相差性を有する上記位相差板、および、上記直線偏光性を有する直線偏光板が好適に用いられる。
(1)位相差板
上記光学フィルムとして好適に用いることができる位相差板について説明する。本発明に用いられる位相差板が有する位相差性としては、本発明の長尺円偏光フィルムに所望の光学特性を付与できるものであれば特に限定されない。なかでも、本発明においては、位相差板が、λ/2板としての性質、または、1/4板としての性質を有することが好ましい。
なお、上記「λ/2板としての性質」および、上記「λ/4板としての性質」については、上記「1.位相差フィルム」の項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる位相差板の遅相軸の向きは、本発明の長尺円偏光フィルムに付与する光学的性質等に応じて任意の角度にすれば良い。なかでも本発明においては、位相差板の遅相軸が、位相差板の長手方向の軸と交差することが好ましい。また、上記位相差板の遅相軸と、長手方向の軸とが交差する場合において、両者がなす角度としては、通常、0°〜60°の範囲内が好ましい。
上記角度の内容については、上記「1.位相差フィルム」の項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる位相差板の構成としては、所望の位相差性を発現できるものであれば特に限定されない。本発明に好適に用いられる位相差板の構成としては、ポリマーフィルムからなる態様(第1態様)と、透明基材上に、配向層と、位相差層とがこの順で積層された態様(第2態様)を挙げることができる。本発明の位相差板としては、上記いずれの態様であっても好適に用いることができる。
i.第1態様の位相差板
上記第1態様の位相差板について説明する。上記第1態様の位相差板は、ポリマーフィルムからなる態様である。
上記第1態様の位相差板を用いる場合、上記ポリマーフィルムを構成する材料は、位相差板に所望の位相差性を付与することができるものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、上記フレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。
また、上記ポリマーフィルムには、上記材料以外の他の材料が含まれていても良い。このような材料としては、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。
また、上記ポリマーフィルムは必要に応じて、延伸処理を行っても良い。このような延伸処理としては1軸延伸処理であっても良く、または、2軸延伸処理であっても良い。ポリマーフィルムは延伸することより位相差性を制御することが可能であるため、本発明においては、上記第1態様の位相差板として延伸ポリマーフィルムを用いることが好ましい。
上記ポリマーフィルムの厚みとしては、通常、10μm〜100μmの範囲内が好ましい。
ii.第2態様の位相差板
上記第2態様の位相差板について説明する。上記第2態様の位相差板は、透明基材上に、配向層と、位相差層とがこの順で積層された態様である。
上記第2態様の位相差板を用いる場合、上記配向層としては、液晶材料に対して配向規制力を発現できるものであれば特に限定されない。このような配向層としては、通常、ポリイミド、ポリアミドまたはポリビニルアルコール等の材料からなり、ラビング処理により上記配向規制力を発現するラビング膜、若しくは、偏光を照射することにより配向規制力を発現できる光配向材料からなり、光配向法により配向規制力を発現する光配向膜が用いられる。本発明においては上記ラビング膜、または、上記光配向膜のいずれであっても好適に用いることができるが、光配向膜を用いることが好ましい。光配向膜は、非接触な光配向処理により配向規制力を発現できるため配向処理に伴う異物の発生が無いからである。また、本発明のような長尺に形成された光学フィルムにおいても、配向規制力の発現方向に制約が無いという利点を有するからである。
上記位相差板に用いられる光配向膜については、上記「1.位相差フィルム」の項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、第2態様の位相差板に関するその他の事項については、上記「1.位相差フィルム」の項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)偏光板
上記光学フィルムとして好適に用いることができる偏光板について説明する。本発明に用いられる偏光板は、上記直線偏光性を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置に用いられる偏光板を用いることができる。このような偏光板としては、通常、ポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を含浸させた後、当該フィルムを一軸延伸することにより形成される偏光子と、光学的等方性を有する偏光板保護フィルムとを積層したものが用いられる。
上記偏光板保護フィルムとしては、透湿度が低いものがより好ましく用いられる。このような偏光板保護フィルムとしては、通常、セルロース誘導体、または、シクロオレフィン系ポリマーからなるフィルムが用いられる。
本発明に用いられる上記セルロース誘導体は、上記「1.位相差フィルム」の透明基材の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記ノルボルネン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー(COP)、および、シクロオレフィンコポリマー(COC)を挙げることができるが、本発明においては、シクロオレフィンポリマーを用いることが好ましい。
本発明に用いられる偏光板は、通常、上記偏光子の両側に上記偏光板保護フィルムを積層した構成を有するものが用いられるが、上記偏光子の片側にのみ偏光板保護フィルムが積層された偏光板を用いることもできる。また、上記偏光板保護フィルムとしては位相差性を有するものを用いることも可能であり、このような位相差性としては、例えば、λ/2板としての性質やλ/4板としての性質を挙げることができる。
3.長尺円偏光フィルム
本発明の長尺円偏光フィルムは、フィルムに入射する直線偏光を円偏光に変化させる機能を有するものである。また、上記円偏光には楕円偏光も含む。
本発明の長尺円偏光フィルムの遅相軸の向きは、本発明の長尺円偏光フィルムの用途等に応じて、任意に決定することができるが、なかでも本発明においては、遅相軸の向きが、長手方向の軸と交差することが好ましい。また、上記遅相軸と、長手方向の軸とが交差する場合において、両者がなす角度としては、0°〜60°の範囲内が好ましい。
ここで、上記角度の内容は上記「1.位相差フィルム」の項に記載した内容と同様であるためここでの説明は省略する。
また、本発明の長尺円偏光フィルムの遅相軸と、長手方向の軸とが上記角度をなす態様としては、上記位相差フィルムと、上記光学フィルムとの少なくとも一方の遅相軸が、円偏光フィルムの長手方向の軸に対して角度を有すれば良い。本発明においては、遅相軸にこのような角度を有するフィルムが、上記位相差フィルムのみであっても良く、上記光学フィルムのみであっても良く、または、上記位相差フィルムおよび上記光学フィルムの両方であっても良い。
本発明の長尺円偏光フィルムを構成する上記位相差フィルムと、上記光学フィルムの組み合わせとしては、本発明の長尺円偏光フィルムに所望の光学的性質を付与できる組み合わせであれば特に限定されない。なかでも本発明において上記位相差フィルムと、上記光学フィルムの組み合わせとして好ましい例として、以下の3態様を例示することができる。すなわち、
上記位相差フィルムとしてλ/4板としての性質を有する位相差フィルムを用い、上記光学フィルムとしてλ/2板としての性質を有する位相差板を用いる態様(第1態様の組み合わせ)、
上記位相差フィルムとしてλ/2板としての性質を有する位相差フィルムを用い、上記光学フィルムとしてλ/4板としての性質を有する位相差板を用いる態様(第2態様の組み合わせ)、
上記光学フィルムとして偏光板を用いる態様(第3態様の組み合わせ)を挙げることができる。
上記第1態様の組み合わせについて説明する。第1態様の組み合わせは、上記位相差フィルムとしてλ/4板としての性質を有する位相差フィルムを用い、上記光学フィルムとしてλ/2板としての性質を有する位相差板を用いる態様である。
本態様に用いられる光学フィルムは、λ/2板としての性質を有する位相差板であるが、本態様に用いられる上記位相差板は、上記第1態様の位相差板であっても良く、または、上記第2態様の位相差板であっても良い。また、上記第2態様の位相差板を用いる場合には、配向層がラビング膜であっても良く、または、光配向膜であっても良い。
また、本態様においては上記位相差フィルムと、上記光学フィルムとは、両者の遅相軸が交差するように積層されていることが好ましく、具体的には、両者の遅相軸がなす角度が0°〜100°の範囲内が好ましい。
ここで、本発明における上記角度は、上記位相差フィルムの遅相軸と、上記光学フィルムの遅相軸とが平行の場合を0°とし、両者が直行する場合を90°とする。また、上記角度が90°未満の場合は、上記位相差フィルムの遅相軸と、上記光学フィルムの遅相軸とのなす角度のうち鋭角の方を指すものとする。
上記第2態様の組合わせについて説明する。第2態様の組合わせは、上記位相差フィルムとしてλ/2板としての性質を有する位相差フィルムを用い、上記光学フィルムとしてλ/4板としての性質を有する位相差板を用いる態様である。
本態様に用いられる光学フィルムは、λ/4板としての性質を有する位相差板であるが、本態様に用いられる位相差板は、上記第1態様の位相差板であっても良く、または、上記第2態様の位相差板であっても良い。また、上記第2態様の位相差板を用いる場合には、配向層がラビング膜であっても良く、または、光配向膜であっても良い。
また、本態様においては上記位相差フィルムと、上記光学フィルムとは、両者の遅相軸が交差するように積層されていることが好ましく、具体的には、両者の遅相軸が成す角度が0°〜100°の範囲内が好ましい。
ここで、上記角度については上述した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記第3態様の組合わせについて説明する。第3態様の組合わせは、上記光学フィルムとして偏光板を用いる態様である。本態様に用いられる位相差フィルムは、λ/4板としての性質を有するもの、または、λ/2板としての性質を有するものであることが好ましい。
本発明においては、上記の第1態様、第2態様、および、第3態様のいずれであっても好ましく用いることができる。
本発明においては、上記位相差フィルムと、上記光学フィルムとが、それぞれ一枚ずつ積層された構成を有しても良く、または、上記両フィルムの少なくとも一方が複数枚積層されていても良い。複数枚積層する場合においては、同一組成からなるフィルムを積層しても良く、または、異なる組成を有するフィルムを積層しても良い。
本発明の長尺円偏光フィルムのReは、本発明の長尺円偏光フィルムの用途等に応じて任意に決定すればよい。なかでも本発明においては、波長550nmにおけるReが、120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。なお、上記Reの定義、および、測定方法について上述した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明の長尺円偏光フィルムのReの波長分散は、波長が短くなるほどRe値が小さくなる逆分散型であっても良く、波長が短くなるほどRe値が大きくなる正分散型であっても良く、または、Re値に波長依存性を有さないフラット型であっても良い。
本発明の長尺円偏光フィルムの長さとしては、例えば、本発明の長尺円偏光フィルムを用いて液晶表示装置を作製する際の製造方法等に応じて適宜決定すればよい。なかでも本発明においては、500m〜5000mの範囲内であることが好ましい。
また、本発明の長尺円偏光フィルムとしては、シート状であっても良く、または、任意の巻き芯に巻きつけられた状態であっても良い。
4.長尺円偏光フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。ここでは本発明の長尺円偏光フィルムの製造方法の一例として、上記光学フィルムとして第1態様の位相差板を用いる態様の長尺円偏光フィルムの製造方法について説明する。
上記光学フィルムとして上記第1態様の位相差板を用いる態様の長尺円偏光フィルムは、長尺の透明基材上に配向層形成用組成物を塗工することにより、上記透明基材上に長尺の配向層を形成する配向層形成工程と、上記配向層形成用工程により形成した配向層上に、位相差層形成用組成物を塗工することにより、上記配向層上に長尺の位相差層を形成する位相差層形成工程とにより、長尺の位相差フィルムを製造する位相差フィルム製造工程と、
長尺のポリマーフィルムからなる位相差板を製造する光学フィルム製造工程と、
上記位相差フィルム製造工程により製造した長尺の位相差フィルム、および、上記光学フィルム製造工程において製造した長尺の位相差板とを貼り合せる貼り合せ工程と、
により作成することができる。以下、このような長尺円偏光フィルムの製造方法について説明する。
(1)位相差フィルム製造工程
まず、上記位相差フィルム製造工程について説明する。上記位相差フィルム製造工程は、配向層形成工程と、位相差層形成工程と有する工程である。
i.配向層形成工程
上記配向層形成工程について説明する。本工程は長尺の透明基材上に配向層形成用組成物を塗工することにより、透明基材上に配向層を形成する工程である。
本工程に用いられる透明基材は上記「1.位相差フィルム」の透明基材の項において説明したものと同様であるためここでの説明は省略する。
本工程に用いられる配向層形成用組成物は、光配向材料と、一つ以上の官能基を持つモノマー又はオリゴマーと、これらを溶解する溶媒とを含むものである。
なお、上記光配向材料および、一つ以上の官能基を持つモノマー又はオリゴマーは、上記「1.位相差フィルム」の配向層の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記配向層形成用組成物に用いられる溶媒としては、光配向材料およびモノマー又はオリゴマーを所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものではない。本工程に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、本発明に用いられる溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でもよい。
上記配向層形成用組成物を透明基材上に塗工する塗布方式としては、長尺の透明基材上に連続塗布できる方式であって、所望の平面性を達成できる方法であれば、特に限定されるものではない。具体的には、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、プリント法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などを例示することができるが、これに限られるものではない。
上記配向層形成用組成物の塗膜の厚みについても、所望の平面性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜50μmの範囲内が好ましく、特に0.5μm〜30μmの範囲内が好ましく、なかでも0.5μm〜10μmの範囲内が好ましい。
上記配向層形成用組成物の塗膜の乾燥方法は、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、本発明における乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
このようにして形成された配向層形成用組成物の塗膜は、配向膜用組成物の吸収波長をカットしながら、上記モノマーもしくはオリゴマーを硬化させ、その後、任意の偏光状態を持つ紫外線を照射して配向規制力を発現させることにより配向層とすることができる。ここで、遅相軸の方向がフィルムの長手方向の方向軸と交差する位相差フィルムを製造するには、上記偏光状態を持つ紫外線を照射する際に偏光の照射方向をフィルム長手方向の軸と交差するようにすれば良い。
また、上記透明基材が位相差性を示すものである場合において、上記透明基材の遅相軸と、後述する位相差層形成工程により形成される位相差層の遅相軸とが交差する位相差フィルムを製造するには、上記偏光状態を持つ紫外線を照射する際に偏光の照射方向を上記透明基材の遅相軸と交差するようにすれば良い。
このように、本発明においては上記偏光の照射方向を任意に変更することで、遅相軸が任意の方向を向いた位相差フィルムを製造することができる。
ii.位相差層形成工程
上記位相差層形成工程について説明する。本工程は、上記配向層形成工程により形成された配向層上に、位相差層形成用組成物を塗工することにより、配向層上に長尺の位相差層を形成する工程である。
上記位相差層形成用組成物は、液晶材料と、これを溶解する溶媒とを含むものである。なお、上記位相差層形成用組成物に用いられる液晶材料は、上記「1.位相差フィルム」の位相差層の項に記載したものと同様であるためここでの説明は省略する。
上記位相差層形成用組成物に用いられる溶媒は、上記液晶材料を所望の濃度で溶解できるものであれば特に限定されない。このような溶媒の具体例としては、上記配向層形成工程の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程において、配向層上に位相差層形成用組成物の塗膜を形成する方法としては、上記「(1)配向層形成工程」の項に記載した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程においては、配向層上に、位相差層形成組成物の塗膜を形成した後、当該塗膜に含まれる液晶材料を配列させることにより位相差層を形成する。本工程において液晶材料を配列させる方法としては、通常、上記塗膜を液晶材料の液晶層形成温度以上に加温する方法が用いられる。
上記液晶材料として重合性液晶材料を用いる場合、上記重合性液晶材料を重合する方法は、上記重合性液晶材料が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよい。なかでも本発明においては、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、重合性液晶材料を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光を使用することが好ましく、なかでも、波長が150〜500nm、好ましくは250〜450nm、さらに好ましくは300〜400nmの照射光を用いることが好ましい。
この照射光の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例示できる。なかでも、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。
(2)光学フィルム製造工程
次に、長尺のポリマーフィルムからなる位相差板を製造する、光学フィルム製造工程について説明する。
本工程において上記ポリマーフィルムを製造する方法は、厚みが均一で平面性に優れるポリマーフィルムを製造できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、通常、上記ポリマーフィルムを構成する材料を融解した位相差板形成用組成物を、任意の支持体上にキャスティングすることにより製膜する溶融製膜方法、および、上記ポリマーフィルムを構成する材料を溶媒に溶解した位相差板形成用塗工液を任意の支持体上にキャスティングする溶液製膜方法のいずれかが用いられる。上記溶融製膜方法は設備を簡略化することが可能であり、また、乾燥工程を必要としない分、製膜速度を向上できるという利点がある。一方、上記溶液製膜方法は、キャスティング後のレベリング効果により平面性に優れたフィルムを製造することができるという利点を有する。本発明においては、上記溶融製膜方法および上記溶液製膜方法のいずれであっても好適に用いることができる。
上記ポリマーフィルムを構成する材料は、上記「2.光学フィルム」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程においては、上記のいずれかの方法により製膜したフィルムを延伸する工程を有していても良い。本工程に用いられる延伸方法は、ポリマーフィルムを所望の倍率に延伸できる方法であれば特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、テンター延伸方法を挙げることができる。また、本工程での延伸は1軸延伸でも良く、または、2軸延伸でも良い。
(3)貼り合せ工程
次に、上記貼り合せ工程について説明する。上記貼り合せ工程は、上記位相差フィルム製造工程によって製造された長尺の位相差フィルムと、上記光学フィルム製造工程によって製造された長尺の位相差板とを貼り合わせる工程である。本工程における方法は、上記位相差フィルムと位相差板をと所望の強度で接着できる方法であれば特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。また、本工程においては、必要に応じて接着剤を用いて上記位相差フィルムと、上記位相差板とを貼り合せても良い。
(4)その他
上記光学フィルムとして、上記第2態様の位相差板を用いる場合は、上記「(1)位相差フィルム製造工程」の項に記載した方法と同様の方法により上記第2態様の位相差板を製造した後、上記「(3)貼り合せ工程」に記載の方法で位相差フィルムと貼り合せればよい。
また、上記光学フィルムとして、偏光板を用いる場合は、上記偏光板を上記「(3)貼り合せ工程」に記載の方法で位相差フィルムと貼り合せればよい。
5.長尺円偏光フィルムの用途
本発明の位相差フィルムの用途としては、例えば、液晶表示装置に用いられる光学補償板(例えば、視角補償板)、楕円偏光板、輝度向上板等を挙げることができる。なかでも本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置の視野角依存性改善のための光学補償板として好適に用いることができる。
B.液晶表示装置
次に本発明の液晶表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置は、上記本発明の長尺円偏光フィルムを用いたことを特徴とするものである。
本発明の液晶表示装置は、上記本発明の長尺円偏光フィルムが用いられていることにより、表示品質に優れた液晶表示装置を得ることができる。また、上記本発明の長尺円偏光フィルムが用いることにより、生産性の高い液晶表示装置を得ることができる。
本発明において上記本発明の長尺円偏光フィルムが用いられる態様としては、上記本発明の長尺円偏光フィルムが有する光学的性質等に応じて適宜決定すればよいが、なかでも液晶セルと、偏光板との間に配置して用いることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の好ましい態様について図を参照しながら説明する。図6は、本発明の液晶表示装置の一部を構成する液晶表示素子の一例を示す概略断面図である。図6に示すように、本発明の液晶表示装置は、液晶セル40を2枚の偏光板50で挟持した構成を有し、上記偏光板50の少なくとも一方と、上記液晶セル40との間に、本発明の長尺円偏光フィルム10が配置された構成を有する液晶表示素子60が用いられていることが好ましい。
本発明に用いられる、上記本発明の長尺円偏光フィルムについては、上記「A.長尺円偏光フィルム」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明の液晶表示装置は、本発明の長尺円偏光フィルムを用いること以外は、一般的な液晶表示装置に用いられる構成をそのまま用いることができる。また、本発明の液晶表示装置の製造方法としても、従来の液晶表示装置の製造方法を採用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
1.実施例1
(1)位相差フィルムの作製
長尺のポリマーフィルムからなる透明基材を用い、当該透明基材上に、カプロラクトン変性をもつアクリレート樹脂をエチルメチルケトン溶剤に溶解させた溶液を塗工し、紫外線硬化させることで応力緩和層を形成した。次に、シンナメート基を有する光配向膜を形成し、その上にΔn:0.11の重合性ネマチック液晶を1.25μm形成することにより位相差層を形成してすることにより、λ/4板としての性質を有する長尺の位相差フィルムを得た。
(2)光学フィルムの作製
長尺のポリカーボネートフィルムを延伸し、波長550nmにおける面内レタデーション値が275nmであり、λ/2板としての性質を有する長尺の光学フィルムを得た。
(3)長尺円偏光フィルムの作製
上記方法により作製した長尺の位相差フィルムと、光学フィルムとを両者の遅相軸が60°の角度で交差するように積層した。次に、偏光膜と保護膜からなる偏光板を、偏光膜の偏光軸と光学フィルムの遅相軸とが同一平面内で15°の角度で交差し、かつ偏光膜の偏光軸と上記位相差フィルムの遅相軸とが同一平面内で75°の角度で交差するように、位相差フィルム側に積層して長尺円偏光フィルムを得た。
作製した長尺円偏光フィルムの偏光膜側から光を照射し、通過した光の位相差を測定した結果、リタデーション/波長の値が、短波長より長波長側の方が小さくなっていた。
2.実施例2
(1)位相差フィルムの作製
長尺のシクロオレフィンフィルムを延伸し、波長550nmにおける面内レタデーション値が275nmであり、λ/2板としての性質を有するフィルムを透明基材として用い、上記透明基材上に、カプロラクトン変性をもつアクリレート樹脂をエチルメチルケトン溶剤に溶解させた溶液を塗工し、紫外線硬化させることで応力緩和層を形成した。
次に、シンナメート基を有する光配向膜を形成し、その上にΔn:0.11の重合性ネマチック液晶を1.25μm形成することにより位相差層を形成してすることにより、λ/4板としての性質を有する位相差層を形成した。このとき、λ/4板としての性質を有する位相差層の遅相軸が、上記λ/2としての性質を有する透明基材の遅相軸に対して60°の角度になるように、上記光配向膜に偏光UVを照射した後に上記位相差層を形成した。このようにして長尺の位相差フィルムを作製した。
(2)長尺円偏光フィルムの作製
偏光子の片面のみに偏光板保護フィルムが積層された構成を有する偏光板を光学フィルムとして用い、これと上述した方法によって作製した位相差フィルムとを、上記偏光子の偏光板保護フィルムが積層されていない面と、上記透明基材とが接着するように貼り合わせることにより、長尺円偏光フィルムを得た。
作製した長尺円偏光フィルムの偏光膜側から光を照射し、通過した光の位相差を測定した結果、波長が長くなるにつれてRe値が大きくなっていることを確認した。
本発明の長尺円偏光フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の長尺円偏光フィルムの他の例を示す概略断面図である。 本発明の長尺円偏光フィルムの他の例を示す概略断面図である。 本発明の長尺円偏光フィルムの利点を例示する概略図である。 本発明に用いられる位相差フィルムの遅相軸を説明する概略図である。 本発明の液晶表示装置に用いられる液晶表素子の一例を示す概略断面図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に示す概略図である。
符号の説明
10、11、12 … 長尺円偏光フィルム
20 … 位相差フィルム
21、31 … 透明基材
22、32 … 配向層
23、33 … 位相差層
30、30’、30’’ … 光学フィルム
40 … 液晶セル
50 … 偏光板
51 … 偏光板保護フィルム
52 … 偏光子
60 … 液晶表示素子

Claims (7)

  1. 透明基材と、前記透明基材上に形成された配向層と、前記配向層上に形成され、液晶材料を含む位相差層とを有し、長尺に形成された位相差フィルム、および、長尺に形成された光学フィルムが積層された構成を有する長尺円偏光フィルムであって、
    前記配向層が、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料からなる光配向膜であることを特徴とする長尺円偏光フィルム。
  2. 遅相軸の方向と、フィルムの長手方向の軸とが交差していることを特徴とする、請求項1に記載の長尺円偏光フィルム。
  3. 前記位相差フィルム、および、前記光学フィルムの一方がλ/4板としての性質を有し、他方がλ/2板としての性質を有するものであり、かつ、前記位相差フィルムの遅相軸と、前記光学フィルムの遅相軸とが交差していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の長尺円偏光フィルム。
  4. 前記光学フィルムが、透明基材と、透明基材上に形成された配向層と、前記配向層上に形成され、液晶材料を含む位相差層とを有するものであり、
    前記配向層が、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料からなる光配向膜であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の長尺円偏光フィルム。
  5. 前記光学フィルムが、延伸ポリマーフィルムからなることを特徴する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の長尺円偏光フィルム。
  6. 前記光学フィルムが直線偏光板であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の長尺円偏光フィルム。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の長尺円偏光フィルムを用いた液晶表示装置。
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