JP5141140B2 - 光学機能フィルム製造用ライナー、光学機能フィルムの製造方法、および、光学機能フィルム。 - Google Patents
光学機能フィルム製造用ライナー、光学機能フィルムの製造方法、および、光学機能フィルム。 Download PDFInfo
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Description
このような位相差フィルムを用いて視野角依存性の問題を改善する方法は、液晶表示装置に用いられる液晶セルの種類に応じて、位相差フィルムの複屈折率を変更することにより、様々な光学特性を有する液晶セルを用いた液晶表示装置の視野角依存性の問題を改善できる点において有用である。具体的な位相差フィルムの例としては、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
このような方法は連続プロセスにより位相差フィルムを形成できるという利点を有するが、ロール状に巻き取られた際に上記積層体同士の表裏が密着(ブロッキングとも云う)してしまい、次の工程においてロールから積層体を巻き出した際に、面状が損なわれるという問題点があった。
このような方法によれば、積層体と共に積層体をロール状に巻き取った際に、積層体同士が密着することを防止できるため上記の問題点を解消できるという利点がある。
しかしながら、一般的にこのような用途に用いられているライナーは、ライナー表面の微細な凹凸形状が積層体の表面に転写されたり、または、ライナーから離型剤等の構成材料が積層体の表面にブリードアウトしたりして、次の工程において塗工液が撥液されて平面性に優れた層を形成できないという問題があった。このような問題は、特に配向層として厚みの薄い光配向層を用いた場合や、配向層上に液晶材料を含む液晶層を塗設する場合に顕著になっていた。
であることが好ましい。フッ素転写量が上記範囲内であることにより、配向層上に液晶材料を含む光学機能層を塗設する場合においても、フッ素のブリードアウトに起因する塗工時の撥液等による光学機能層の塗工欠陥の少ない光学機能フィルムを製造することができるからである。
まず、本発明の光学機能フィルム製造用ライナーについて説明する。本発明の光学機能フィルム製造用ライナーは、透明基材上に、光配向材料を含む配向層と、液晶材料を含む光学機能層とがこの順で積層された光学機能フィルムの製造に用いられるものであって、少なくとも片面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm〜1μmの範囲内であることを特徴とするものである。
図1は、透明基材上に、配向層と、光学機能層とがこの順で積層された光学機能フィルムを製造する一般的な製造方法の一例を示す概略図である。図1に示すように、上記構成を有する光学機能フィルムは、通常、ロール状に巻かれた長尺で帯状の透明基材1を巻き出し、配向層形成用塗工液を塗布することによって上記透明基材1上に配向層3を形成した後、透明基材1上に配向層3が形成された積層体をロール状に巻き取る配向層形成工程(図1(a))と、
上記配向層形成工程においてロール状に巻き取られた積層体11を巻き出し、光学機能層形成用塗工液を塗布することによって、上記積層体の配向層3上に光学機能層4を形成した後、透明基材1上に配向層3と、光学機能層4とがこの順で形成された積層体をロール状に巻き取る光学機能層形成工程(図1(b))とによって製造される。
このような光学機能フィルムの製造方法において、本発明のライナー10は、上記配向層形成工程において上記透明基材1上に配向層3が積層された積層体をロール状に巻き取る際(図1(a))、あるいは、上記光学機能層形成工程において上記透明基材1上に配向層3と、光学機能層4とがこの順で積層された積層体をロール状に巻き取る際(図1(b))に、これらの積層体と共にロール状に巻き取られる態様で用いられる。
このような問題点を解消するために上記のような態様でライナーを用いることが一般的に行われているが、従来用いられてきたライナーでは光配向層を有する光学機能フィルムを製造する際に、ライナーの表面形状(微小凹凸等)が光配向層に転写(賦形)されてしまったり、または、光配向層とライナーとの密着力が高くなることによって剥離時に光配向層表面が破断しライナー側に転移したりして、光配向層の平面性が損なわれることが多く、平面性に優れた光学機能フィルムを製造することが困難であった。
しかしながら、本発明の光学機能フィルム製造用ライナーは、少なくとも片面の算術平均粗さ(Ra)が所定の範囲内であることにより、光学機能フィルムの構成を問わず、平面性に優れた光学機能フィルムを製造することができる。
なお、本発明のライナーは少なくとも片面のRaが上記範囲内であればよく、他方の面のRaの範囲は特に限定されるものではない。本発明のライナーは両面のRaが上記範囲内であってもよい。
上記添加剤としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カオリナイト、アクリル樹脂、尿素樹脂等の粒子等を挙げることができる。
また上記表面処理としては、例えば、サンドブラスト、粒子コーティング、ケミカル処理、鏡面平滑(上記程度のRa、Rtの値を有する)ロールによるプレス加工等を挙げることができる。
ここで、本発明における伸び率とは、ライナーを任意の速さで引っ張ったときの引っ張り前後の伸び度合いを示すものであり、例えば、JIS K7161規定の引張破壊歪(降伏を伴わず破壊する場合)、或いは引張破壊呼び歪(降伏を伴って破壊する場合)に準拠して、引張速度100mm/minにて測定することにより求めることができる。
ここで、上記フッ素転写量とは本発明のライナーが後述する透明基材と接触した際に、透明基材の表面へ転写されるフッ素成分の量を指すものである。本発明における上記フッ素転写量は、次のような方法で測定することができる。すなわち、後述する透明基材上に本発明のライナーを配置し、3kg/cm2の荷重を負荷して60℃、24hrで接触させた後、本発明のライナーを上記透明基材から剥離し、次いで本発明のライナーと接触した上記透明基材の表面をXPS(ESCA)によって分析し、検出された全元素中のフッ素元素の存在量%を算出することによって求めることができる。なお、上記透明基材としては、本発明のライナーを用いて製造する光学機能フィルムに用いられる透明基材を用いるものとする。
ここで、上記シリコン転写量とは本発明のライナーが後述する透明基材と接触した際に、透明基材の表面へ転写されるシリコン成分の量を指すものである。本発明における上記シリコン転写量は、上述したフッ素転写量の測定方法と同様の方法によりXPS(ESCA)分析によって検出された全元素中のシリコン(珪素)元素の存在量%を算出することにより求めることができる。
次に、本発明の光学機能フィルムの製造方法について説明する。本発明の光学機能フィルムの製造方法は、長尺で帯状(以下、単に「長尺」と称する場合がある。)の透明基材上に、応力緩和層形成用塗工液を塗布することにより応力緩和層を形成した後、上記透明基材上に応力緩和層が形成された積層体をロール状に巻き取る応力緩和層形成工程と、上記応力緩和層形成工程により形成された応力緩和層上に、光配向材料を含む配向層形成用塗工液を塗布することにより配向層を形成した後、上記配向層上に液晶材料を含む光学機能層形成用塗工液を塗布することにより光学機能層を形成し、透明基材上に、応力緩和層と、配向層と、光学機能層とがこの順で形成された積層体をロール状に巻き取る配向層・光学機能層形成工程と、により、長尺の透明基材上に、応力緩和層と、配向層と、光学機能層とがこの順で積層された長尺の光学機能フィルムを製造する方法であって、上記応力緩和層形成工程および上記配向層・光学機能層形成工程の少なくとも一方の工程において、当該工程で形成される積層体が上記本発明のライナーと共にロール状に巻き取られることを特徴とするものである。
上記ロール状に巻き取られた積層体20を、上記本発明のライナー10と剥離しながら巻き出した後、応力緩和層2上に、配向層形成用塗工液および光学機能層形成用塗工液を順次塗布することにより、上記応力緩和層2上に配向層3と光学機能層4とをこの順で形成し、透明基材1上に応力緩和層2と、配向層3と、光学機能層4とがこの順で積層された積層体21をロール状に巻き取ることにより(図2(b))、長尺の光学機能フィルムを製造する方法である。
上記応力緩和層形成工程においてロール状に巻き取られた積層体20を、上記本発明のライナー10を剥離しながら巻き出した後、応力緩和層2上に配向層形成用塗工液を塗布することにより配向層3を形成し、上記透明基材1上に応力緩和層2と配向層3とがこの順で形成された積層体22を本発明のライナー10と共にロール状に巻き取る配向層形成工程(図3(b))と、
上記配向層形成工程においてロール状に巻き取られた積層体22を、上記本発明のライナー10と剥離しながら巻き出した後、配向層3上に光学機能層形成用塗工液を塗布することにより光学機能層4を形成し、上記透明基材1上に応力緩和層2と配向層3と光学機能層4とがこの順で形成された積層体23をロール状に巻き取る光学機能層形成工程(図3(c))とにより長尺の光学機能フィルムを製造する方法であってもよい。
上記ロール状に巻き取られた積層体20を、上記本発明のライナー10と剥離せずに巻き出した後、応力緩和層2上に、配向層形成用塗工液および光学機能層形成用塗工液を順次塗布することにより、上記応力緩和層2上に配向層3と光学機能層4とをこの順で形成し、透明基材1上に応力緩和層2と、配向層3と、光学機能層4とがこの順で積層された積層体24を、本発明のライナー10と共にロール状に巻き取ることにより(図4(b))、長尺の光学機能フィルムを製造する方法であってもよい。
なお、本発明の光学機能フィルムの製造方法に用いられる上記本発明の光学機能フィルム製造用ライナーについては、上記「A.光学機能フィルム製造用ライナー」の項に説明した内容と同様であるためここでの説明は省略する。
まず、本発明の光学機能フィルムの製造方法における応力緩和層形成工程について説明する。本発明における応力緩和層形成工程は、長尺の透明基材上に応力緩和層形成用塗工液を塗布することにより、上記長尺の透明基材上に応力緩和層が形成された積層体を形成し、ロール状に巻き取る工程である。
本工程に用いられる透明基材について説明する。本工程に用いられる透明基材は、本発明により製造される光学機能フィルムにおいて、配向層および光学機能層等を支持する機能を有するものである。また、本工程に用いられる透明基材は長尺に形成されたものである。
ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
次に本工程において上記透明基材上に応力緩和層形成用塗工液を塗布することにより、応力緩和層を形成する方法について説明する。
本工程に用いられる上記応力緩和層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる上記応力緩和層形成用塗工液は、応力緩和層を構成する樹脂材料と、これを溶解する溶媒とからなり、必要に応じて他の化合物を含むものである。
上記応力緩和層形成用塗工液に用いられる樹脂材料について説明する。本工程に用いられる上記樹脂材料としては、本工程により形成される応力緩和層に所望の弾性率および硬度等を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、活性エネルギー線によって三次元的架橋が生じる活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
本工程においてはこれらの紫外線硬化性樹脂を1種類のみ用いてもよく、または、2種類以上を混合して用いてもよい。
なかでも本工程においては、上記紫外線硬化性樹脂として、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ビスフェノールフルオレン誘導体を用いることが好ましい。
上記応力緩和層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上記樹脂材料等を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されない。本工程に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、本工程に用いられる溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でもよい。
次に、上記応力緩和層形成用塗工液に含むことができる他の化合物について説明する。本工程における上記他の化合物としては、本工程により形成される応力緩和層の応力緩和機能を損なわないものであれば特に限定されない。なかでも本工程においては、上記樹脂材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤、重合禁止剤および光増感剤を含むことが好ましい。
本工程において、上記透明基材上に応力緩和層形成用塗工液を基材上に塗工する塗布方式としては、所望の平面性を達成できる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などを例示することができるが、これに限られるものではない。
さらに、上記応力緩和層形成用塗工液の塗膜の乾燥方法としては、一定の温度に調整された乾燥風を、上記塗膜に当てる方法を用いることもできるが、このようは乾燥方法を用いる場合は、上記塗膜に当てる乾燥風の風速が3m/秒以下であることが好ましく、特に30m/分以下であることが好ましい。
本工程により形成される応力緩和層について説明する。本工程により形成される応力緩和層の硬度および弾性率は、本発明により製造された光学機能フィルムに外部からの応力が加わった際に、光学機能層等が損傷することを防止できる範囲内であれば特に限定されず、当該光学機能フィルムの用途等に応じて適宜決定すればよい。なかでも本工程に形成される応力緩和層は、ユニバーサル硬度で200N/mm2〜800N/mm2の範囲の硬度を有することが好ましい。
ここで、上記ユニバーサル硬度とは、応力緩和層に対し、試験加重F(0.4mN〜1N)にて圧子を押し込み、圧子の押し込み深さ変位量を測定し、応力緩和層のユニバーサル硬さ値(HU)をHU=F/(26.3×h2)の式により求めたものである。なお、ユニバーサル硬さ値(HU)は試験加重Fと圧子の押し込み表面積から求められ、その表面積は押し込み深さ(h)から求めることができる。
次に、本工程において、透明基材上に応力緩和層が形成された積層体をロール状に巻き取る方法について説明する。本工程において、透明基材上に応力緩和層が形成された積層体をロール状に巻き取る方法としては、上記積層体の所望の長さを巻きずれることなく巻き取れる方法であれば特に限定されない。
また、本発明の光学機能フィルムの製造方法は、本工程および後述する配向層・光学機能層形成工程の少なくとも一方において、当該工程で形成される積層体が上記本発明のライナーと共にロール状に巻き取られることを特徴とするため、本工程において上記積層体をロール状に巻き取る際に、上記本発明のライナーと共に巻き取ってもよく、または、上記積層体単独で巻き取ってもよい。
さらに、上記本発明のライナーを上記塗布工程前に透明基材側に配置する方法としては、透明基材を巻き出した後、上記塗布工程前に配置する方法であってもよく、または、予め透明基材と上記本発明のライナーとがロール状に巻き取られたものを巻き出して使用する方法であってもよい。
次に、本発明の光学機能フィルムの製造方法における配向層・光学機能層形成工程について説明する。本発明における配向層・光学機能層形成工程は、上記応力緩和層形成工程により形成された応力緩和層上に、光配向材料を含む配向層形成用塗工液を塗布することにより配向層を形成した後、上記配向層上に液晶材料を含む光学機能層形成用塗工液を塗布することにより光学機能層を形成し、透明基材上に、応力緩和層と、配向層と、光学機能層とがこの順で形成された積層体をロール状に巻き取る工程である。
まず、本工程において配向層形成用塗工液を塗布することにより、上記応力緩和層上に配向層を形成する方法について説明する。
本工程に用いられる配向層形成用塗工液について説明する、本工程に用いられる配向層形成用塗工液は、光配向材料と、これを溶解する溶媒とからなり、必要に応じて他の化合物が含まれるものである。
上記配向層形成用塗工液に用いられる光配向材料について説明する。本工程に用いられる光配向材料は、光配向法により配向規制力を発現できる材料をさすものである。上記「光配向法」とは、任意の偏光状態を有する光(偏光)を配向層に照射することにより配向層の配向規制力(異方性)を発現させる方法である。したがって、上記配向層形成用塗工液に用いられる光配向材料は、偏光を照射することにより配向規制力を発現できる材料ということができる。また、上記「配向規制力」とは、後述する光学機能層形成工程において用いられる液晶材料を配列させる相互作用を意味するものとする。
上記式中、Bは、水素原子を表すか、第二の物質、たとえばポリマー、オリゴマー、モノマー、光活性ポリマー、光活性オリゴマーおよび/または光活性モノマーもしくは表面と反応または相互作用することができる基を表す。
上記式中、Cは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR1−、−NR1−CO−、−CO−NR1−、−NR1−CO−O−、−O−CO−NR1−、−NR1−CO−NR1−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH3)2−O−Si(CH3)2−(R1は水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基を表す。
上記式中、Dは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR1−、−NR1−CO−、−CO−NR1−、−NR1−CO−O−、−O−CO−NR1−、−NR1−CO−NR1−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH3)2−O−Si(CH3)2−(R1は水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基、芳香族基または脂環式基を表す。
上記式中、S1およびS2は、互いに独立して、単結合またはスペーサー単位、たとえば炭素原子1〜40個の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一または多置換されており、1個以上の隣接しない−CH2−基が独立して基Dによって置換されていてもよいが、酸素原子が互いに直接的には結合していない)を表す。
上記式中、Qは、酸素原子または−NR1−(R1は水素原子または低級アルキルを表す)を表す。
上記式中、XおよびYは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素原子1〜12個のアルキル(場合によってはフッ素によって置換されており、場合によっては1個以上の隣接しないアルキル−CH2−基が−O−、−CO−O−、−O−CO−および/または−CH=CH−によって置換されている)を表す。
次に、上記配向層形成用塗工液に用いられる溶媒について説明する。上記配向層形成用塗工液に用いられる溶媒は、上記光配向材料等を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでない。本工程に用いられる溶媒としては、上記「1.応力緩和層形成工程」の項に記載したものと同様であるためここでの説明は省略する。
次に、上記配向層形成用塗工液に用いることができる他の化合物について説明する。上記配向層形成用塗工液に用いられる他の化合物としては、本工程により形成される配向層の配向規制力を損なわないものであれば特に限定されない。本工程においては、このような他の化合物として、一つ以上の官能基を持つモノマー又はオリゴマーが好適に用いられる。このようなモノマー又はオリゴマーが上記配向層形成用塗工液に含まれることにより、本工程により形成される配向層を、後述する方法により形成される光学機能層との密着性に優れたものにできるからである。
上記配向層形成用塗工液を透明基材上に塗工することにより、配向層を形成する方法について説明する。上記配向層形成用塗工液を透明基材上に塗工する塗布方式としては、所望の平面性を達成できる方法であれば、特に限定されるものではない。具体的な塗布方式としては、上記「1.応力緩和層形成工程」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程により形成される配向層の厚みは、後述する液晶材料に対して所望の配向規制力を発現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、0.01μm〜0.5μmの範囲内が好ましく、なかでも0.02μm〜0.1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.03μm〜0.05μmの範囲内であることが好ましい。
次に、本工程において光学機能層形成用塗工液を塗布することにより、上記配向層上に光学機能層を形成する方法について説明する。
本工程に用いられる光学機能層形成用塗工液について説明する、本工程に用いられる光学機能層形成用塗工液は、液晶材料と、これを溶解する溶媒とからなり、必要に応じて他の化合物が含まれるものである。
上記光学機能層形成用塗工液に用いられる液晶材料について説明する。上記光学機能層形成用塗工液に用いられる液晶材料は、本工程により形成される光学機能層に所望の光学機能性を付与できる材料であれば特に限定されるものではない。なかでも、本工程においては、ネマチック相を示す液晶材料が好適に用いられる。ネマチック液晶は、他の液晶相を示す液晶材料と比較して規則的に配列させることが容易だからである。
次に、上記光学機能層形成用塗工液に用いられる溶媒について説明する。本工程に用いられる溶媒としては、上記液晶材料等を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されない。本工程に用いられる溶媒としては、上記「1.応力緩和層形成工程」の項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、上記光学機能層形成用塗工液に含むことができる他の化合物について説明する。本工程における上記他の化合物としては、本工程により形成される光学機能層において、液晶材料の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではない。本工程に用いられる上記他の化合物としては、例えば、カイラル剤、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。
本工程においては、上記液晶材料として上記重合性液晶材料を用いる場合は、上記他の化合物として重合開始剤または重合禁止剤を用いることが好ましい。本工程に用いられる重合開始剤および重合禁止剤については、上記「1.応力緩和層形成工程」の項に記載さしたものと同様であるためここでの説明は省略する。
次に、上記光学機能層形成用塗工液を配向層上に塗工することにより光学機能層を形成する方法について説明する。本工程において、上記光学機能層形成用塗工液を配向層上に塗工する塗布方式は、平面性に優れた光学機能層を形成できる方式であれば特に限定されない。本工程において、配向層上に光学機能層形成用塗工液の塗布する塗布方式、光学機能層形成用塗工液の塗膜の厚み、および、光学機能層形成用塗工液の塗膜の乾燥方法としては、上記「1.応力緩和層形成工程」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程により形成される光学機能層について説明する。本工程により形成される光学機能層中での上記液晶材料の配列状態としては、本発明により製造される光学機能フィルムに所望の光学特性を付与できる配列状態であれば特に限定されるものではない。上記配列状態としては、例えば、透明基材に対して液晶材料が平行に配向した状態や、透明基材に対して液晶材料が垂直に配向した状態を挙げることができる。前者の液晶構造はホモジニアス構造(平行配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明により製造される光学機能フィルムに光学的にAプレートとしての性質を付与することができる。また、後者の液晶構造はホメオトロピック構造(垂直配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明により製造される光学機能フィルムに光学的に正のCプレートとしての性質を付与することができる。
次に、本工程おいて、透明基材上に応力緩和層と、配向層と、光学機能層とがこの順で形成された積層体をロール状に巻き取る方法について説明する。本工程において、上記積層体をロール状に巻き取る方法としては、上記積層体の所望の長さを巻きずれることなく巻き取れる方法であれば特に限定されない。
また、本発明の製造方法は、本工程および前述した応力緩和層形成工程のいずれか一方において、上記本発明のライナーと共にロール状に巻き取られることを特徴とするため、本工程において上記積層体をロール状に巻き取る際に、上記本発明のライナーと共に巻き取ってもよく、または、上記積層体単独で巻き取ってもよい。
さらに、本工程において上記積層体を上記本発明のライナーと共にロール状に巻き取る場合において、本工程が上記配向層層形成工程と上記光学機能層形成工程とからなる場合は、上記配向層形成工程と上記光学機能層形成工程との両方において本発明のライナーと共にロール状に巻き取られてもよく、または、いずれか一方において本発明のライナーと共にロール状に巻き取られてもよい。
本発明の光学機能フィルムの製造方法は、上記応力緩和層形成工程および上記配向層・光学機能層形成工程のいずれか一方において、当該工程で形成される積層体が上記本発明のライナーと共にロール状に巻き取られることを特徴とするものであるが、本発明においては上記応力緩和層形成工程と、上記配向層・光学機能層形成工程との両工程において形成される積層体が上記本発明のライナーと共にロール状に巻き取られることが好ましい。
このような遅相軸の向きについて、図を参照しながら説明する。図6は、光学機能フィルムフィルムの遅相軸の向きを説明する概略図である。図6中、Lは光学機能フィルム10の遅相軸の向きを表し、Dは光学機能フィルム10の長手方向の軸である。図6に示すように、本発明によって長尺に形成された光学機能フィルムを製造する場合、その遅相軸の向きLは、長手方向の方向軸Dと交差していてもよい。
なお、上記遅相軸とは、光学機能フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向を意味するものであり、上記長手方向の軸は、光学機能フィルムの長手方向に対して平行な方向を意味するものである。
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置は、上記本発明の光学機能フィルムの製造方法によって製造された光学機能フィルムが用いられたものである。
厚み80μmで930mm幅の長尺で帯状のトリアセチルセルロース系フィルム上に、UV硬化型のポリエチレングリコールジアクリレートを構造にもつ材料をメチルエチルケトン(MEK)に溶解させ、固形分を40%とした液体から成る応力緩和層を5μmの厚みにグラビアロールコーターにて塗工し、高圧水銀燈を用いて紫外線を120mJ/cm2照射することで硬化させて応力緩和層を形成した。次いで、巻き取り時に算術平均粗さ(Ra)が0.2μm、(Rt)が2.6μmで厚み50μm、930mm幅のポリプロピレン製の長尺帯状ライナーを塗工面に触れるように一緒に巻き取った。巻き取ってから24時間後に巻き出したところ、ブロッキングによる基材変形や貼り付き、及び応力緩和層への表面美凹凸の転写(賦形)は認められなかった。
予め厚み38μmで(Ra)が0.07μm、(Rt)が0.4μm、930mm幅の長尺帯状のポリエステル製ライナーが片面に配置されている厚さ60μm、930mm幅の長尺帯状のノルボルネン系フィルムを上記ライナーが保持されたまま巻き出し、実施例1と同様にして、UV硬化型の応力緩和層を5μmの厚みとなるように塗工した。その結果、フィルムは応力緩和層塗工時や乾燥時に破断することなく巻き取ることが可能であった。
実施例1において作製した応力緩和層上に、上記ライナーを剥離しながら基材を巻き出し、シンナモイル基を持つポリマー(1.0重量部)と、重合性ネマチック液晶化合物モノマー(1.0重量部)とを含有する配向層用組成物にシクロヘキサノン(98重量部)を加えて溶解させた配向層用組成物溶液をグラビアロールコーターにより塗工した後、80℃の温風で2分間乾燥し、厚さ100nmの塗膜を得た。この塗膜に偏光紫外線を10mJ/cm2で照射し、表面に配向規制力が発現された配向層を形成した。
次に、算術平均粗さ(Ra)が0.2μm、最大表面粗さ(Rt)が4μmの長尺帯状のポリプロピレン製ライナーが塗工面に触れるように一緒に巻き取った。巻き取ってから24時間後に巻き出し、重合性ネマチック液晶化合物モノマーをトルエンに20質量%の比率で溶解させ、さらに、重合開始剤(イルガキュアー907(商品名)、チバスペシャルティケミカルズ社製)を添加して成るUV硬化型液晶組成物を該配向層上にグラビアロールコータで塗工、而かる後高圧水銀燈を用いて窒素雰囲気下で100mJの紫外線を照射して、該塗膜を硬化することにより液晶分子の配向状態を固定て、光学機能層を形成し、光学機能フィルムを作製した。液晶性組成物溶液を得た。そして、この溶液を、前記工程で作製された塗工し、乾燥させて、厚さ1μmの塗膜を得た。次いで、この塗膜を85℃で2分間加熱し、配向層の表面に発現された配向規制力により塗膜中の液晶分子を配向させた。その後、作製した光学機能フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、光り抜けが認められなかった。
厚み80μmの長尺帯状トリアセチルセルロース系フィルム上に、実施例1と同様にしてUV硬化型の応力緩和層を5μmの厚みに塗工形成し、巻き取り時に算術平均粗さ(Ra)が0.01μm、(Rt)が0.2μmの長尺帯状のポリプロピレン製ライナーを塗工面に触れるように一緒に巻き取った。巻き取ってから24時間後に巻き出したところ、ブロッキングによる微小な海島状(海の中に多数の群島が散在する様な概観)の基材変形が認められた。
実施例1において作製した応力緩和層上に、上記ライナーを剥離しながら基材を巻き出し、実施例3と同様にして、光配向材料からなる配向層を厚み100nmとなるように塗工した。次いで、算術平均粗さ(Ra)が1.5μm、最大表面粗さ(Rt)が20μmのポリプロピレン製ライナーが塗工面に触れるように一緒に巻き取った。巻き取ってから24時間後に巻き出し、実施例3と同様にしてUVを照射してUV硬化型液晶を塗工、硬化することにより光学機能層を形成し、光学機能フィルムを作製した。作製した光学機能フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、光り抜けが多く認められた。
2 … 応力緩和層
3 … 配向層
4 … 光学機能層
10… 光学機能フィルム製造用ライナー
11,12,20,21,22,23、24 … 積層体
30 … 液晶セル
40 … 偏光板
41 … 偏光板保護フィルム
42 … 偏光子
50 … 光学機能フィルム
60 … 液晶表示素子
Claims (6)
- 長尺で帯状の透明基材上に、応力緩和層形成用塗工液を塗布することにより応力緩和層を形成した後、前記透明基材上に応力緩和層が形成された積層体をロール状に巻き取る応力緩和層形成工程と、
前記応力緩和層形成工程により加工されたロールを巻き出して、形成された応力緩和層上に、光配向材料を含む配向層形成用塗工液を塗布することにより配向層を形成した後、前記配向層上に液晶材料を含む光学機能層形成用塗工液を塗布することにより光学機能層を形成し、透明基材上に、応力緩和層と、配向層と、光学機能層とがこの順で形成された積層体をロール状に巻き取る配向層・光学機能層形成工程と、により、前記透明基材上に、応力緩和層と、配向層と、光学機能層とがこの順で積層された長尺の光学機能フィルムを製造する光学機能フィルムの製造方法であって、
前記応力緩和層形成工程および前記配向層・光学機能層形成工程の少なくとも一方の工程において、当該工程で形成される積層体が、透明基材上に、光配向材料を含む配向層と、液晶材料を含む光学機能層とがこの順で積層された光学機能フィルムの製造に用いられる光学機能フィルム製造用ライナーであって、少なくとも片面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm〜1μmの範囲内である光学機能フィルム製造用ライナーと共にロール状に巻き取られることを特徴とする、光学機能フィルムの製造方法。 - 前記配向層・光学機能層形成工程が、光配向材料を含む配向層形成用塗工液を塗布することにより前記応力緩和層上に配向層を形成した後、透明基材上に応力緩和層と配向層とがこの順で形成された積層体をロール状に巻き取る配向層形成工程と、
前記配向層形成工程で加工されたロールを巻き出して、光学機能層形成用塗工液を塗布することにより前記配向層上に液晶材料を含む光学機能層を形成した後、透明基材上に応力緩和層と、配向層と、光学機能層とがこの順で形成された積層体をロール状に巻き取る光学機能層形成工程とからなり、かつ、前記応力緩和層形成工程、前記配向層形成工程、および、前記光学機能層形成工程の少なくとも一つの工程において、当該工程で形成される積層体が、透明基材上に、光配向材料を含む配向層と、液晶材料を含む光学機能層とがこの順で積層された光学機能フィルムの製造に用いられる光学機能フィルム製造用ライナーであって、少なくとも片面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm〜1μmの範囲内である光学機能フィルム製造用ライナーと共にロール状に巻き取られることを特徴とする、請求項1に記載の光学機能フィルムの製造方法。 - 前記光学機能フィルム製造用ライナーが、各工程における塗工液の塗布工程よりも前に透明基材の裏面に配置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の光学機能フィルムの製造方法。
- 前記光学機能フィルム製造用ライナーが、各工程における塗工液の塗布工程よりも後に、前記塗布工程において形成された塗膜上に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の光学機能フィルムの製造方法。
- 最大表面粗さ(Rt)が0.3μm〜10μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の光学機能フィルムの製造方法。
- フッ素転写量が0%〜3%の範囲内であることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の光学機能フィルムの製造方法。
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