JP5029043B2 - 位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法

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Description

本発明は、液晶表示装置等に用いられる位相差フィルムおよび位相差フィルムの製造方法に関するものであり、より詳しくは、シクロオレフィン系樹脂からなる基材が用いられ、かつ、配向層を有さない位相差フィルムに関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図3に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、MVA、IPS、および、OCB等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置は、その特有の問題点として液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその重大性が増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。このような位相差フィルムを用いる方法は、図4に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。この方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
従来、上記位相差フィルムとしては、図5に示すように任意の透明基材21上に配向層22を設け、さらに当該配向層22上に液晶分子を含有する位相差層23を形成し、上記配向膜の配向規制力により上記液晶分子を配向させて所望の屈折率異方性を発現させる構成を有するもの一般的であった。このような位相差フィルムとしては、例えば特許文献1または特許文献2には、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差層(複屈折性を示す位相差層)を、配向層を有する基材上に形成した位相差フィルムが開示されている。また、特許文献3には、円盤状化合物からなる位相差層(複屈折性を示す位相差層)を、配向層を有する基材上に形成した位相差フィルムが開示されている。
上記位相差フィルムを用いて視野角依存性を改善する方法は、液晶表示装置の液晶セルで生じる位相差を相殺するように位相差層の屈折率異方性を適宜設計することにより、液晶表示装置の視角依存性の問題を大幅に改善することができる点において有用である。しかしながら、上述したように従来の位相差フィルムは、上記液晶分子を配向させるための配向層を必須の構成としていたことから、上記配向層と位相差との密着性に問題があった。
この問題を解決するために、本発明者らは上記配向層を用いることなく基材上に直接位相差層が形成された構成を有する位相差フィルムを提供している(特許文献4)。このような配向層を用いない位相差フィルムは、簡易な工程で形成することができ、さらに当該位相差フィルムを用いて作製する液晶表示装置の薄型化に寄与できるという利点を有することから、機能性に優れた位相差フィルムとして着目されている。
特開平3−67219号公報 特開平4−322223号公報 特開平10−312166号公報 国際公開第2006/028217号パンフレット
ところで、従来、液晶表示装置に用いられてきた位相差フィルムには、トリアセチルセルロースからなる基材が用いられてきた。これは、上記トリアセチルセルロースは光学的等方性に優れることから、このような基材を用いることにより位相差フィルムの光学特性の設計が容易になるというのがその理由であった。しかしながら、トリアセチルセルロースは吸水性が比較的大きいことから、高温高湿雰囲気下において吸湿膨張し、位相差フィルムの光学特性が変化してしまうという問題点があった。
このような問題点に対して、上記トリアセチルセルロースからなる基材の代わりに、近年、上記トリアセチルセルロースの代替品として着目されているシクロオレフィン系樹脂からなる基材を用いることも考えられる。しかしながら、上記シクロオレフィン系樹脂は上記トリアセチルセルロースよりも吸水性が低いため、上記吸湿膨張の問題点については解消できるが、その反面、基材上に形成される位相差層との密着性が低下してしまうという問題点が懸念されていた。
このようなことから、上記配向層を用いない位相差フィルムにおいては、位相差層と基材との密着性に優れ、かつ、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れたものを得ることが困難であった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、配向層を用いない位相差フィルムであって、基材と位相差層との密着性に優れ、かつ、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材と、上記基材上に直接形成され、棒状化合物を含む位相差層とを有し、面内方向において互いに直交する任意のX,Y方向の屈折率をnx、ny、厚み方向の屈折率をnzとした場合に、上記nx、nyおよびnzの間にnx≧ny>nzの関係が成立する位相差フィルムであって、上記位相差層にウレタンアクリレートの重合物が含まれることを特徴とする位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、上記位相差層にウレタンアクリレートの重合物が含まれることにより、上記位相差層と上記基材との密着性を向上させることができる。このため、本発明によれば上記位相差層と上記基材との密着性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
また、本発明によれば上記基材としてシクロオレフィン系樹脂からなるものが用いられているため、高温高湿雰囲気下において上記基材が吸湿膨張等することを防止することができる。このため、本発明によれば高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
このようなことから、本発明によれば、配向層を用いない位相差フィルムであって、基材と位相差層との密着性に優れ、かつ、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
本発明においては、上記ウレタンアクリレートの重量平均分子量(Mw)が1000〜40000の範囲内であることが好ましい。上記ウレタンアクリレートの重量平均分子量(Mw)がこのような範囲内であることにより、上記位相差層を光学特性の発現性に優れたものにできるからである。
また、本発明においては、上記位相差層中の上記ウレタンアクリレートの重合物の含有量が5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量がこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムにおける上記位相差層と上記基材との密着性をより優れたものにできるからである。
また、上記課題を解決するために本発明は、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材を用い、棒状化合物およびウレタンアクリレートが溶媒に溶解された位相差層形成用塗工液を、上記基材上に直接塗工することにより、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程と、上記位相差層形成用層形成工程によって形成された位相差層形成用層を35℃以下の温度で保温する保温工程と、上記保温工程において保温された位相差層形成用層中に含まれるウレタンアクリレートを重合する、ウレタン重合工程と、上記位相差層形成用層を乾燥させる乾燥工程と、を含む位相差層形成工程を有することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記位相差層形成用塗工液にウレタンアクリレートが含有されることにより、上記位相差層形成工程によって基材上に形成される位相差層と、上記基材との密着性を向上することができる。このため、本発明によれば上記基材と上記位相差層との密着性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
また、本発明によれば上記基材としてシクロオレフィン系樹脂からなるものが用いられているため、高温高湿雰囲気下において上記基材が吸湿膨張等することを防止することができる。このため、本発明によれば高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
このようなことから、本発明によれば、配向層を用いない位相差フィルムであって、基材と位相差層との密着性に優れ、かつ、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
本発明は、配向層を用いない位相差フィルムであって、基材と位相差層との密着性に優れ、かつ、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができるという効果を奏する。
本発明は、位相差フィルムと、位相差フィルムの製造方法とに関するものである。
以下、本発明の位相差フィルムおよび位相差フィルムの製造方法について順に説明する。
A.位相差フィルム
まず、本発明の位相差フィルムについて説明する。本発明の位相差フィルムは、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも負のCプレートとしての性質を有する基材と、上記基材上に直接形成され、棒状化合物を含む位相差層とを有し、面内方向において互いに直交する任意のX,Y方向の屈折率をnx、ny、厚み方向の屈折率をnzとした場合に、上記nx、nyおよびnzの間にnx≧ny>nzの関係が成立するものであって、上記位相差層にウレタンアクリレートの重合物が含まれることを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図1は本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。図1に例示するように本発明の位相差フィルム10は、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材1と、上記基材1上に直接形成された位相差層2とを有し、位相差フィルム10全体として、上記nx、nyおよびnzの間にnx≧ny>nzの関係が成立するものである。
このような例において、本発明の位相差フィルム10は、上記位相差層2に棒状化合物とウレタンアクリレートの重合物とが含有されることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記位相差層にウレタンアクリレートの重合物が含まれることにより、上記位相差層と上記基材との密着性を向上させることができる。このため、本発明によれば上記位相差層と上記基材との密着性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
また、本発明によれば上記基材としてシクロオレフィン系樹脂からなるものが用いられているため、高温高湿雰囲気下において上記基材が吸湿膨張等することを防止することができる。このため、本発明によれば高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
このようなことから、本発明によれば、配向層を用いない位相差フィルムであって、基材と位相差層との密着性に優れ、かつ、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
ここで、上記位相差層にウレタンアクリレートの重合物が含まれることにより、上記位相差層と上記基材との密着性を向上させることができる理由については明らかではないが、次のような理由に基づくものと考えられる。
すなわち、上述したように、本発明に用いられる基材はシクロオレフィン系樹脂からなるものであるが、上記ウレタンアクリレートは上記基材を構成するシクロオレフィン系樹脂と相溶性を示すものである。このため、本発明においては上記ウレタンアクリレートの重合物が位相差層中に含有されることにより、本発明の位相差フィルムにおいて上記位相差層と上記基材の境界付近に上記ウレタンアクリレートの重合物と上記シクロオレフィン系樹脂とが相溶した状態が形成されると考えられ、これにより上記位相差層と上記基材との密着性を向上させることができるものと考えられる。
しかしながら、上記理由はあくまで推定であり、上記理由とは異なる機構で上記基材と上記位相差層との密着性が向上されている場合であっても、本発明と実質的に同一の構成を有する発明については本発明の技術的範囲に属するものである。
本発明の位相差フィルムは、少なくとも上記基材と、上記位相差層とを有するものである。
以下、本発明の位相差フィルムに用いられる各構成について順に説明する。
1.位相差層
最初に、本発明に用いられる位相差層について説明する。本発明に用いられる位相差層は、後述する基材上に直接形成されるものであり、棒状化合物とウレタンアクリレートの重合物とを含有すること特徴とするものである。
本発明においては、位相差層に上記ウレタンアクリレートの重合物が含有されることにより、上記位相差層と後述する基材との密着性に優れた位相差層を得ることができるのである。
なお、本発明において、上記「直接形成される」とは、後述する基材と位相差層との間に他の層を介することなく、位相差層が基材の表面に直接的に接するように形成されていることを意味するものである。
以下、このような位相差層について詳細に説明する。
(1)ウレタンアクリレートの重合物
まず、位相差層に含まれるウレタンアクリレートの重合物について説明する。本発明に用いられるウレタンアクリレートの重合物は、ウレタン結合部(−O−CO−N<)と、(メタ)アクリレート基とを有するウレタンアクリレートが重合されてなるものである。
なお、上記「(メタ)アクリレート基」の表記は、アクリレート基とメタクリレート基とを含む意である。
上記ウレタンアクリレートとしては、ウレタン結合部(−O−CO−N<)と、(メタ)アクリレート基とを有するものであり、後述する棒状化合物の配列を損なわないものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられるウレタンアクリレートは、単一の(メタ)アクリレート基を有するもの(単官能)であってもよく、または、複数の(メタ)アクリレート基を有するもの(多官能)であってもよい。また、本発明に用いられるウレタンアクリレートは、単一のウレタン結合部を有するものであってもよく、または、複数のウレタン結合部を有するものであってもよい。
本発明に用いられるウレタンアクリレートの重量平均分子量(Mw)としては、本発明の位相差フィルムに用いられる位相差層を、所望の光学特性を備えるものにでき、かつ、後述する基材との密着性を所望の範囲にできるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるウレタンアクリレートは、重量平均分子量(Mw)が、1000〜40000の範囲内であることが好ましく、特に1000〜30000の範囲内であることが好ましく、さらに1500〜20000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることにより、本発明に用いられる位相差層を光学特性の発現性に優れたものにできるからである。
なお、重量平均分子量(Mw)が上記範囲よりも小さいと、本発明に用いられる位相差層と、後述する基材との密着性を所望の範囲内にするための添加量が多くなり、例えば、ヘイズが損なわれる場合があり、一方で重量平均分子量(Mw)が上記範囲よりも大きいと、上記位相差層に所望の光学特性を付与することが困難になる可能性がある。
本発明に用いられるウレタンアクリレートの具体例としては、例えば、日本合成化学工業株式会社製 UV7610B、および、同社製UV7640B等を挙げることができる。
本発明に用いられるウレタンアクリレートの重合物は、上述したウレタンアクリレートが重合してなるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられるウレタンアクリレートの重合物は、1種類のウレタンアクリレートが重合されてなるものであってもよく、または、複数のウレタンアクリレートが重合されてなるものであってもよい。
また、本発明に用いられるウレタンアクリレートの重合物は、1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。
本発明において、上記位相差層中に含有されるウレタンアクリレートの重合物の量としては、本発明に用いられる位相差層と、後述する基材との密着性を所望の範囲内にできる量であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記位相差層中におけるウレタンアクリレートの重合物の含有量が5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、特に5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、さらには5質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量がこのような範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムにおける上記位相差層と上記基材との密着性をより優れたものにできるからである。
(2)棒状化合物
次に、本発明における位相差層に含有される棒状化合物について説明する。本発明に用いられる棒状化合物は、上記位相差層中に含有されるものであり、本発明の位相差フィルムに、上記nx、nyおよびnzとの間にnx≧ny>nzの関係が成立する光学特性を付与する機能を有するものである。
ここで、本発明における「棒状化合物」とは、分子構造の主骨格が棒状となっているものを指すものとする。
以下、このような棒状化合物について説明する。
本発明に用いられる棒状化合物は、本発明における位相差層に所望の光学特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。上記棒状化合物として液晶性材料を用いることにより、本発明に用いられる位相差層を単位厚み当たりの光学特性の発現性に優れたものにできるからである。
また、本発明に用いられる棒状化合物は、上記液晶性材料の中でもネマチック相を示す液晶性材料であることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、他の液晶相を示す液晶材料よりも所定の形態に配列させることが容易だからである。
さらに、本発明に用いられる棒状化合物は、上記ネマチック相を示す液晶性材料のなかでもメソゲン両端にスペーサを有する構造を持つものが好ましい。このような構造を有する液晶性材料は、柔軟性に優れるため、本発明における位相差層が白濁することを効果的に防止することができるからである。
本発明に用いられる棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、なかでも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものが好ましい。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、上記棒状化合物が配向している状態で固定化することにより、配列安定性に優れ、光学特性の変化が生じにくい位相差フィルムを得ることができるからである。本発明においては上記重合性官能基を有する棒状化合物と、上記重合性官能基を有さない棒状化合物とを混合して用いてもよい。
なお、「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワー
ク)構造の状態にすることを意味する。
上記重合性官能基は特に限定されるものではなく、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基を用いることができる。このような重合性官能基の代表例としては、例えば、ラジカル重合性官能基や、カチオン重合性官能基等を挙げることができる。
上記ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基等を挙げることができる。より具体的には、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等を挙げることができる。
一方、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等を挙げることができる。
上記重合性官能基としては、上記ラジカル重合性官能基、上記カチオン重合性官能基以外にも、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等の重合性官能基を用いることが得きるが、なかでも本発明においては、プロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明における棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。例えば両末端に重合性官能基を有するネマチック液晶性材料を用いれば、互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができ、配列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層を得ることができる。また、片末端に重合性官能基を有するものであっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。このような液晶性材料としては、例えば、下記式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
Figure 0005029043
ここで、化学式(1)、(2)、(5)および(6)で示される液晶性材料は、D.J.Broerら、Makromol.Chem.190,3201−3215(1989)、またはD.J.Broerら、Makromol.Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似した方法によって調製することができる。化学式(3)および(4)で示される液晶性材料の調製は、DE195,04,224に開示されている。
また、末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性材料の具体例としては、下記化
学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
Figure 0005029043
なお、本発明において上記棒状化合物は1種類のみであってもよく、または、2種以上であってもよい。例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
本発明に用いられる棒状化合物は、位相差層内で配列することによって本発明の位相差フィルムに所定の光学特性を付与する機能を有するものであるが、本発明において上記棒状化合物が位相差層内で配列する態様としては、本発明の位相差フィルムに、上記nx、nyおよびnzとの間にnx≧ny>nzの関係が成立する光学特性を付与することができる態様であれば特に限定されるものではない。
ここで、上述したように本発明に用いられる棒状化合物は、主骨格が棒状である分子構造を有するものであるため、分子の長軸方向が平均的に一方向に揃うような態様で配列することにより、本発明の位相差フィルムにnx>ny>nzの関係が成立する光学特性を付与することが容易になる。また、上記棒状化合物がランダムホモジニアス配向を形成することにより、本発明の位相差フィルムにnx=ny>nzの関係が成立する光学特性を付与することが容易になる。
ここで、上記「ランダムホモジニアス配向」とは、第1に、位相差層における棒状化合物の配列方向がランダムであること、第2に、位相差層において棒状化合物が形成するドメインの大きさが可視光領域の波長よりも小さいこと、第3に、位相差層において棒状化合物が面内配向していること、の3つの特徴を備える配列態様を指すものとする。
(3)他の化合物
本発明における位相差層には、上記ウレタンアクリレートの重合物および上記棒状化合物以外に他の化合物を含んでもよい。このような他の化合物としては、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、上記位相差層に所望の機能を付与できるものを適宜選択して用いることができる。本発明に用いられる上記他の化合物としては、例えば、光重合開始剤、重合禁止剤、レベリング剤、カイラル剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。
なお、本発明に用いられるこれらの他の化合物については、一般的に光学フィルムに用いられるものを用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。
(4)位相差層
本発明に用いられる位相差層の厚みは、上記棒状化合物の種類に応じて、位相差層に所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては位相差層の厚みが0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜16μmの範囲内であることが好ましく、特に0.5μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
また、本発明における位相差層の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。
2.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有するものである。本発明においては、上述した位相差層にウレタンアクリレートの重合物が含まれることにより、シクロオレフィン系樹脂からなる基材を用いても基材と上記位相差層との密着性に優れた位相差フィルムを得ることができる。また、シクロオレフィン系樹脂は吸水性が低いことから、このようなシクロオレフィン系樹脂からなる基材が用いられていることにより、本発明の位相差フィルムは高温高湿雰囲気下においても光学特性の変動が少ない、耐久性に優れたものになる。
以下、このような基材について説明する。
本発明に用いられる基材は、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質としての性質を有するものであるが、ここで、上記「光学的に負のCプレートとしての性質を有する」とは、基材の厚み方向のレターデーション(Rth)が10nm以上であること意味するものとする。したがって、本発明に用いられる基材は上記厚み方向のレターデーション(Rth)が10nm以上のものであれば特に限定されるものではないが、なかでも厚み方向のレターデーション(Rth)が10nm〜250nmの範囲内であることが好ましく、なかでも25nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、特に40nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)とは、上記基材の面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内の進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、さらに、上記基材の厚みをdとした場合に、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで表されるものである。
また、上記基材の厚み方向のレターデーション(Rth)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
なお、本発明に用いられる基材として光学的に負のCプレートとしての性質を有するものを用いるのは、このような光学的性質を有する基材を用いることにより、上記位相差層に用いられる棒状化合物を、本発明の位相差フィルムにnx≧ny>nzの関係が成立する光学特性を付与することができる態様で配列させることが容易になるからである。
本発明に用いられる基材はシクロオレフィン系樹脂からなるものであるが、本発明に用いられる基材を構成するシクロオレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。このような上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
なお、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであっても好適に用いることができる
本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であってもよく、または、共重合体であってもよい。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が1質量%以下であるものが好ましく、なかでも0.1質量%〜0.7質量%の範囲内であるものが好ましい。このようなシクロオレフィン系樹脂を用いることにより、本発明の位相差フィルムを吸水による光学特性の変化や寸法の変化がより生じにくいものとすることができるからである。
ここで、上記飽和吸水率は、上記吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる。
さらに、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、ガラス転移点が100℃〜200℃の範囲内であるものが好ましく、特に100℃〜180℃の範囲内であるものが好ましく、なかでも100℃〜150℃の範囲内であるものが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムを耐熱性および加工適性により優れたものにできるからである。
本発明に用いられる基材の透明度は、本発明の位相差フィルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が低いと、上記棒状化合物等の選択幅が狭くなってしまう場合があるからである。ここで、基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる基材の厚みは、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を有するものであれば特に限定されない。なかでも本発明においては、10μm〜188μmの範囲内が好ましく、特に20μm〜125μmの範囲内が好ましく、特に30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。基材の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の位相差フィルムに必要な自己支持性が得られない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本発明における偏光板保護フィルムの構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。
また、複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、本発明に用いられる基材は、延伸処理が施されているものであってもよい。延伸処理が施された基材を用いることにより、基材と位相差層との密着性にさらに向上することができるという利点がある。
ここで、上記延伸処理としては特に限定されるものではなく、基材を構成する材料等に応じて任意に決定すればよい。このような延伸処理としては1軸延伸処理と、2軸延伸処理とを例示することができる。
なお、本発明に用いられる基材として上記1軸延伸処理が施されたものを用いることに折、本発明の位相差フィルムにnx>ny>nzの関係が成立する光学特性を付与することが容易になる。
本発明に用いられる基材の具体例としては、例えば、Ticona社製 Topas、ジェイエスアール社製 アートン、日本ゼオン社製 ZEONOR、日本ゼオン社製 ZEONEX、三井化学社製 アペルや、これらの基材に延伸処理を施したもの等挙げることができる。
3.その他の構成
本発明の位相差フィルムは、上記位相差層および上記基材以外に他の構成を有していてもよい。このような他の構成としては本発明の位相差フィルムの用途に応じて、任意の機能を備える構成を用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられる上記他の構成としては、例えば、反射防止層、紫外線吸収層、および、赤外線吸収層帯電防止層等を挙げることができる。
以下、これらの他の構成について順に説明する。
上記反射防止層としては、例えば、透明基材フィルム上に、該透明基材よりも低屈折率の物質からなる低屈折率層を形成したもの、或いは、透明基材フィルム上に、該透明基材よりも高屈折率の物質からなる高屈折率層、及び該透明基材よりも低屈折率の物質からなる低屈折率層とを、この順に、交互に、各1層ずつ以上積層したものなどが挙げられる。これら高屈折率層、および、低屈折率層は、層の幾何学的厚と屈折率との積で表される光学厚みが反射防止すべき光の波長の1/4となるように、真空蒸着、塗工等により形成される。高屈折率層の構成材料としては、酸化チタン、硫化亜鉛等が、低屈折率層の構成材料としては、弗化マグネシウム、氷晶石等が用いられる。
また、上記紫外線吸収層としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のフィルム中に、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物等から成る紫外線吸収剤を添加して成膜したものが挙げられる。
また、本発明に用いられる赤外線吸収層としては、例えば、ポリエステル樹脂等のフィルム基材上に赤外線吸収層を塗工等により形成したものが挙げられる。赤外線吸収層としては、例えば、ジインモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物等から成る赤外線吸収剤を、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等から成るバインダー樹脂中に添加して成膜したものが用いられる。
4.位相差フィルム
本発明の位相差フィルムは、上記nx、nyおよびnzの間にnx≧ny>nzの関係が成立する光学特性を有するものである。上記nx、nyおよびnzの間にnx≧ny>nzの関係が成立する態様としては、nx>ny>nzの関係が成立する態様と、nx=ny>nzの関係が成立する態様とを挙げることができるが、本発明の位相差フィルムはこれらのいずれの態様の光学特性を備えるものであってもよい。
また、本発明の位相差フィルムは、上記基材上に上記位相差層が直接形成された構成を有するものであるが、上記基材と、上記位相差層とが積層された態様としては、上記基材と上記位相差層とが独立した層として積層された態様であってもよく、または、上記基材と位相差層との間に明確な界面がなく、両者の間において上記棒状化合物の含有量が連続的または断続的に変化するように積層された態様であってもよい。
本発明の位相差フィルムの厚みは、所望の光学特性を発現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、20μm〜150μmの範囲内であること好ましく、特に25μm〜130μmの範囲内であることが好ましく、なかでも30μm〜110μmの範囲内であることが好ましい。
また本発明の位相差フィルムは、JIS K7105に準拠して測定したヘイズ値が0%〜2%の範囲内であることが好ましく、特に0%〜1.5%の範囲内であることが好ましく、なかでも0%〜1%の範囲内であることが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)は、本発明の用途等に応じて適宜選択すればよいものであり、特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、厚み方向のレターデーション(Rth)が、60nm〜450nmの範囲内が好ましく、特に70nm〜400nmの範囲内が好ましく、さらに80nm〜350nmの範囲内が好ましい。厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをVA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適なものにできるからである。
ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)は、上記nx、nyおよびnzと、位相差フィルムの厚みdとにより、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで表されるものである。
また、上記厚み方向のレターデーション(Rth)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
また、本発明の位相差フィルムの面内レターデーション(Re)についても、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜選択すればよいものであり、特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、面内レターデーション(Re)が、20nm〜150nmの範囲内が好ましく、特に30nm〜130nmの範囲内が好ましく、さらに40nm〜110nmの範囲内が好ましい。面内レターデーション(Re)が上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムを、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適な位相差フィルムとして用いることができるからである。
また、上記面内レターデーション(Re)値は、波長依存性を有していてもよい。例えば、長波長側の方が短波長側よりも値が大きい態様でもよく、また、短波長側の方が、長波長側よりも値が大きい態様でもよい。このような面内レターデーション(Re)値の波長依存性を有することにより、可視光域の全域において液晶表示装置の視野角特性を改善できるからである。
ここで、上記面内レターデーション(Re)は、上記nx、ny、および、dとにより、Re=(nx−ny)×dで表されるものである。
また、上記面内レターデーション(Re)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
5.位相差フィルムの用途
本発明の位相差フィルムの用途としては、特に限定されるものではなく、例えば、液晶表示装置に用いられる光学補償板(例えば、視角補償板)、楕円偏光板、輝度向上板等を挙げることができる。なかでも本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置の視野角依存性改善のための光学補償板として好適に用いることができ、特にVA方式の液晶表示装置用の光学補償板として最も好適に用いることができる。
また本発明の位相差フィルムは、偏光層と貼り合わせることにより、偏光フィルムとしての用途にも用いることができる。偏光フィルムは、通常偏光層とその両表面に保護層が形成されてなるものであるが、本発明においては、例えばその一方側の保護層を上述した位相差フィルムとすることにより、例えば液晶表示装置の視野角特性を改善する光学補償機能を有する偏光フィルムとすることができる。
上記偏光層としては、特に限定されないが、例えばヨウ素系偏光層、二色性染料を用いる染料系偏光層やポリエン系偏光層などを用いることができる。ヨウ素系偏光層や染料系偏光層は、一般にポリビニルアルコールを用いて製造される。
B.位相差フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法は、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材を用い、棒状化合物およびウレタンアクリレートが溶媒に溶解された位相差層形成用塗工液を、上記基材上に直接塗工することにより、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程と、上記位相差層形成用層形成工程によって形成された位相差層形成用層を35℃以下の温度で保温する保温工程と、上記保温工程において保温された位相差層形成用層中に含まれるウレタンアクリレートを重合する、ウレタン重合工程と、上記位相差層形成用層を乾燥させる乾燥工程と、を含む位相差層形成工程を有することを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムの製造方法について図を参照しながら説明する。図2は本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す概略図である。図2に例示するように、本発明の位相差フィルムの製造方法は、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材1を用い(図2(a))、上記基材1上に位相差層形成用塗工液を直接塗工することにより、上記基材1上に位相差層形成用層2’を形成する位相差層形成用層形成工程(図2(b))と、上記位相差層形成用層形成工程によって形成された位相差層形成用層2’を35℃以下の温度で保温する保温工程と(図2(c))、上記保温工程において保温された位相差層形成用層2’に紫外線を照射することにより、上記ウレタンアクリレートを重合するウレタン重合工程と(図2(d))、上記位相差層形成用層2’を乾燥させる乾燥工程と(図2(e))、を含む位相差層形成工程を有するものであり、基材1上に位相差層2が直接形成された位相差フィルム10を製造するものである。
このような例において、本発明の位相差フィルムの製造方法は上記位相差層形成用層形成工程に用いられる位相差層形成用塗工液が、棒状化合物およびウレタンアクリレートが溶媒に溶解されたものであることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記位相差層形成用塗工液にウレタンアクリレートが含有されることにより、上記位相差層形成工程によって基材上に形成される位相差層と、上記基材との密着性を向上することができる。このため、本発明によれば上記基材と上記位相差層との密着性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
また、本発明によれば上記基材としてシクロオレフィン系樹脂からなるものが用いられているため、高温高湿雰囲気下において上記基材が吸湿膨張等することを防止することができる。このため、本発明によれば高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
このようなことから、本発明によれば、配向層を用いない位相差フィルムであって、基材と位相差層との密着性に優れ、かつ、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、少なくとも上記位相差層形成工程を有するものである。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
1.位相差層形成工程
まず、本発明に用いられる位相差層形成工程について説明する。本工程は、少なくとも上記位相差層形成用層形成工程と、上記保温工程と、上記ウレタン重合工程と、上記乾燥工程とを含むものである。
以下、本工程に含まれる各工程について詳細に説明する。
(1)位相差層形成用層形成工程
最初に、上記位相差層形成用層形成工程について説明する。本工程は、シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材を用い、棒状化合物およびウレタンアクリレートが溶媒に溶解された位相差層形成用塗工液を、上記基材上に直接塗工することにより、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程である。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、本工程に用いられる位相差層形成用塗工液にウレタンアクリレートが含まれることにより、シクロオレフィン系樹脂からなる基材が用いられても、基材と位相差層との密着性に優れた位相差フィルムを製造することができるのである。また、本発明の位相差フィルムの製造方法は、本工程に用いられる基材として、シクロオレフィン系樹脂からなるものが用いられることにより、高温高湿雰囲気下においても光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを製造することができるのである。
以下、このような位相差層形成用層形成工程について説明する。
なお、本工程に用いられる基材については、上記「A.位相差フィルム」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程に用いられる位相差層形成用塗工液は、棒状化合物およびウレタンアクリレートが溶媒に溶解されたものである。
ここで、上記位相差層形成用塗工液に用いられる棒状化合物およびウレタンアクリレートについては、上記「A.位相差フィルム」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記位相差層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上記棒状化合物および上記ウレタンアクリレートを所望の濃度で溶解できるものであれば特に限定されない。このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができる。本発明においてはこれらの溶媒の中でも、ケトン系溶媒を用いることが好ましく、なかでもシクロヘキサンが好適に用いられる。
また、本工程に用いられる溶媒は、1種類でもよく、または、2種類以上であってもよい。
上記位相差層形成用塗工液中における上記棒状化合物の含有量としては、上記位相差層形成用塗工液を基材上に塗布する塗工方式等に応じて、上記位相差層形成用塗工液の粘度を所望の値にできる範囲内であれば得に限定されない。なかでも本発明においては、上記棒状化合物の含有量が、上記位相差層形成用塗工液中、10質量%〜40質量%の範囲内が好ましく、特に10質量%〜35質量%の範囲内が好ましく、なかでも10質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
また、上記位相差層形成用塗工液中における上記ウレタンアクリレートの含有量としては、本発明により形成される位相差フィルムにおいて、位相差層と基材との密着性を所望の範囲内にできる量であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記ウレタンアクリレートの含有量が、上記位相差層形成用塗工液の固形分中、5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、特に10質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、さらには15質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましい。
本工程に用いられる位相差層形成用塗工液には光重合開始剤が含まれることが好ましい。上記位相差層形成用塗工液に光重合開始剤が含まれることにより、後述するウレタン重合工程において、上記ウレタンアクリレートを重合することが容易になるからである。
本工程に用いられる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本工程においては、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
また、本工程に用いられる位相差層形成用塗工液には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。上記位相差層形成用塗工液に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で決定することができる。上記のような化合物を添加することにより本工程により形成される位相差層の機械強度が向上し、安定性が改善される場合がある。
本工程は、上記位相差層形成用塗工液を上記基材上に直接塗工することにより、上記基材上に位相差層形成用塗工液を形成する工程であるが、上記位相差層形成用塗工液を上記基材上に塗工する塗布方式としては、所望の平面性を備える位相差層形成用層を均一な厚みで形成できる方法であれば、特に限定されるものではない。具体的には、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を挙げることができる。
なお、本発明における上記「直接塗工する」とは、上記基材に上記位相差層形成用塗工液が接するように、上記位相差層形成用塗工液を塗工することを意味するものである。
また、上記位相差層形成用塗工液の塗膜の厚みについても、所望の平面性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜50μmの範囲内が好ましく、特に0.5μm〜30μmの範囲内が好ましく、中でも0.5μm〜10μmの範囲内が好ましい。位相差層形成用塗工液の塗膜の厚みが上記範囲より薄いと位相差層形成用層の平面性を損なってしまう場合があり、また厚みが上記範囲より厚いと、後述する乾燥工程において溶媒の乾燥負荷が増大し、生産性が低下してしまう可能性があるからである。
(2)保温工程
次に、上記保温工程について説明する。本工程は、上記位相差層形成用層形成工程によって形成された位相差層形成用層を35℃以下の温度で保温する工程である。
上記位相差層形成工程に本工程が含まれることにより、上記位相差層形成用層中に含まれる棒状化合物を面内においてランダムに配列することができるため、本発明の位相差フィルムの製造方法によってヘイズが小さく、かつ、所望の位相差性を備える位相差フィルムを製造することができるのである。
本工程において、上記位相差層形成用層を保温する温度としては35℃以下であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程における保温温度は15℃〜35℃の範囲内であることが好ましく、なかでも25℃〜35℃の範囲内であることが好ましく、さらには30℃〜35℃の範囲内であることが好ましい。保温温度が上記範囲よりも高いと、本発明によって製造される位相フィルムのヘイズが大きくなってしまうからである。
また、本工程において上記位相差層形成用層を上記保温温度で保温する保温時間は、本発明により形成される位相差フィルムのヘイズを所定の範囲内にできる時間内であれば特に限定されるものではなく、上記保温温度等に応じて適宜決定されるものである。なかでも本工程における保温時間は、0.5分〜10分の範囲内であることが好ましく、特に1分〜7分の範囲内であることが好ましく、さらには2分〜4分の範囲内であることが好ましい。
なお、本工程において、上記位相差層形成用層を上記保温温度で保温する方法としては、所望の保温温度で保温できる方法であれば特に限定されるものではない。
(3)ウレタン重合工程
次に、上記ウレタン重合工程について説明する。本工程は、上記保温工程において保温された位相差層形成用層中に含まれるウレタンアクリレートを重合する工程である。
本工程において、上記ウレタンアクリレートを重合する方法としては、上記ウレタンアクリレートが有する(メタ)アクリレート基の重合反応を誘起できる方法であれば特に限定されるものではないが、通常、上記位相差層形成用層に活性放射線を照射する方法が用いられる。
上記活性放射線としては、上記(メタ)アクリレート基の重合反応を誘起できる放射線であれば特に限定されるものではないが、照射装置の容易性等の観点から紫外光または可視光を使用することが好ましく、なかでも、波長が150nm〜500nm、好ましくは250nm〜450nm、さらに好ましくは300nm〜400nmの照射光を用いることが好ましい。
上記波長範囲の活性放射線を照射可能な光源としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例示できる。中でも、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等を挙げることができる。照射強度は、光重合開始剤の含有量等によって適宜調整して照射することができる。
なお、上記位相差層形成用層形成工程に用いられる棒状化合物として、重合性官能基を有する棒状化合物を用いる場合は、本工程において上記棒状化合物と上記ウレタンアクリレートとが同時に重合されてもよい。
(4)乾燥工程
次に、上記乾燥工程について説明する。本工程は、上記位相差層形成用層を乾燥させる工程である。
本工程において、上記位相差層形成用層中を乾燥させる方法としては、上記位相差層中に含まれる溶媒量を所望の範囲内にできる方法であれば特に限定されるものではない。このような乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、本工程における乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
2.その他の工程
本発明の位相差フィルムの製造方法は、少なくとも上記位相差層形成工程を有するものであるが、必要に応じて他の工程を有するものであってもよい。本発明に用いられる他の工程としては、本発明により製造される位相差フィルムに所望の機能を付与できる工程であれば特に限定されるものではない。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を示すことにより、本発明についてさらに具体的に説明する。
(1)実施例1
棒状化合物として下記式(I)で表される光重合性液晶化合物をシクロヘキサノンに20質量%溶解させ、ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、商品名:UV7610B、分子量:14000Mw)を上記光重合性化合物に対して5質量%添加したインキを、それぞれCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルム(JSR株式会社製、商品名:ARTON)にバーコーティングにより塗工した。
Figure 0005029043
次いで、塗膜を23℃で2分間加熱した後、塗工面に紫外線を照射することにより、上記記光重合性液晶化合物を固定化した。さらに80℃で4分間加熱して溶媒を除去することにより、位相差フィルムを作製した。
(2)実施例2
ウレタンアクリレートの添加量を上記光重合性化合物に対して10質量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、位相差フィルムを作製した。
(3)実施例3
ウレタンアクリレートの添加量を上記光重合性化合物に対して15質量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、位相差フィルムを作製した。
(4)実施例4
ウレタンアクリレートの添加量を上記光重合性化合物に対して20質量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、位相差フィルムを作製した。
(5)実施例5
ウレタンアクリレートとして、日本合成化学社製、商品名:UV7640B(分子量:1500Mw)を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
(6)実施例6
ウレタンアクリレートとして、日本合成化学社製、商品名:UV7640B(分子量:1500Mw)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
(7)比較例1
ウレタンアクリレートに替えてノナンジオールアクリレート(新中村化学工業社製 商品名:NK エステル A−NOD−N)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
(8)比較例2
ウレタンアクリレートに替えてペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製 商品名:KAYARAD PET−30)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
(9)比較例3
ウレタンアクリレートに替えてヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬社製 商品名:KS−HDDA)を用いたこと以外は、実施例4と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
(評価)
上記実施例および比較例において作製した位相差フィルムについて剥離試験を行った。剥離試験としては、作製したサンプルに1mm角の切れ目を碁盤目状に入れ、接着テープ(ニチバン社製、セロテープ(登録商標))を位相差層に貼り付け、その後テープを引き剥がし、目視により観察した。そして、観察結果から下記式に基づき密着度を評価した。その結果を表1に示す。
密着度(%)=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100
Figure 0005029043
表1に示すように、棒状化合物に対するウレタンアクリレートの添加量の増加と共に、密着度(%)が増加し、20質量%添加することで密着性100%を達成できることを確認した。また、分子量(Mw)が大きいウレタンアクリレートを用いた方が、少ない添加量で高い密着度(%)を達成できることが示された。なお、ウレタンアクリレート以外に重合物を用いた場合は、添加量に関わらず密着度は0%であった。
本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す概略図である。 一般的な液晶表示装置の一例を示す概略図である。 位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一例を示す概略図である。 一般的な位相差フィルムの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 基材
2 … 位相差層
2’ … 位相差層形成用層
10 … 位相差フィルム
21 … 基材
22 … 配向層
23 … 位相差層
101 … 液晶セル
102A,102B … 偏光板
103 … 位相差フィルム

Claims (3)

  1. シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材と、前記基材上に直接形成され、棒状化合物を含む位相差層とを有し、面内方向において互いに直交する任意のX,Y方向の屈折率をnx、ny、厚み方向の屈折率をnzとした場合に、上記nx、nyおよびnzの間にnx≧ny>nzの関係が成立する位相差フィルムであって、
    前記位相差層にウレタンアクリレートの重合物が含まれ
    前記ウレタンアクリレートの重量平均分子量(Mw)が1000〜40000の範囲内であることを特徴とする、位相差フィルム。
  2. 前記位相差層中の前記ウレタンアクリレートの重合物の含有量が5質量%〜40質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. シクロオレフィン系樹脂からなり、少なくとも光学的に負のCプレートとしての性質を有する基材を用い、
    棒状化合物およびウレタンアクリレートが溶媒に溶解された位相差層形成用塗工液を、前記基材上に直接塗工することにより、前記基材上に位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程と、
    前記位相差層形成用層形成工程によって形成された位相差層形成用層を35℃以下の温度で保温する保温工程と、
    前記保温工程において保温された位相差層形成用層中に含まれるウレタンアクリレートを重合するウレタン重合工程と、
    前記位相差層形成用層をさせる乾燥工程と、を含む位相差層形成工程を有し、
    前記ウレタンアクリレートの重量平均分子量(Mw)が1000〜40000の範囲内であることを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
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