JP6837415B2 - 光学フィルムの製造方法および、光学フィルム、光学フィルム積層体、偏光板、画像表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法および、光学フィルム、光学フィルム積層体、偏光板、画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法および、光学フィルム、光学フィルム積層体、偏光板、画像表示装置に関する。
位相差フィルムは液晶表示装置の視野角補償膜や有機EL表示装置の反射防止膜として用いることが一般的である。また、近年、表示装置の普及に伴い、表示装置に使用される位相差フィルムに対して薄膜化や、製造工程及び検査の効率化が求められている。
位相差フィルムの作製方法としては、配向処理して基材上に配向膜(中間層)を形成した後に、位相差層を製膜することが知られている。例えば、特許文献1には、少なくとも、支持体、配向膜、及び位相差層をこの順に有する位相差フィルムであって、上記支持体が、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、上記位相差層が、液晶化合物のホメオトロピック配向状態を固定した層である、位相差フィルムが記載されている。
一方、特許文献2には、配向膜が不要となるホメオトロピック配向液晶フィルムとして、表面に親水性処理したプラスチック基材上に、界面活性剤を含み、重合可能且つ反応性である液晶混合物溶液を直接コーティングする段階を含む、ホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法によって製造されることを特徴とするホメオトロピック配向液晶フィルムが記載されている([請求項1][請求項10])。
特開2015−148745号公報 特表2008−523443号公報
本発明者らは、特許文献1について検討したところ、PETフィルムでは剥離前のフィルムにおいて位相差面状及び、輝点の検査が行えないことや、配向膜を形成する工程を省略し、製造工程を簡略化した場合には、位相差層における配向状態が乱れる問題や、斜め方向の位相差の発現が不十分となる問題があることを明らかにした。また、特許文献2について検討したところ、剥離工程の際に位相差層と基材間の剥離強度が強く、剥離不良を起こす問題があることを明らかにした。
本発明者は、液晶化合物の配向を制御するために従来必要だった予備的な配向膜を省略し、なおかつ基材からの剥離と他の光学フィルムへの転写が可能な位相差膜を得ることを目標に分子構造中に水酸基を有する特定の高分子化合物を位相差膜の添加剤として利用することを試みたところ、その高分子化合物の選択のみならず、位相差膜の作製過程の諸条件が、液晶化合物の配向性と位相差膜の剥離性に大きく影響することがわかった。
また、位相差膜中の液晶化合物の良好な配向を得たのち、固定するには、塗布液を乾燥したあとに、紫外線を照射して架橋させて重合度を上げる工程が必要である。本発明者は、この硬化工程として、連続搬送されるフィルムの塗布層を有する側とは反対側の面をドラム状のバックアップローラで支えながら塗布層に紫外線を照射して硬化する方式を採用したが、この工程で生じうるUVムラ故障も品質上、解決すべき課題であった。このUVムラ故障は、バックアップローラ上でフィルムにかかる紫外線と熱により、基材が波板状(トタン状)の座屈を起こし、塗布液層にかかる熱に場所によるムラが生じて、スジ状の位相差ムラとなる重大な故障であり、バックアップローラ上でフィルムにかかる紫外線と熱は、前述した液晶化合物の配向性と位相差膜の剥離性にも大きく影響するのでUVムラと液晶化合物の配向性と位相差膜の剥離性は切り離せない課題であった。
そこで、本発明は、UVムラ故障が無く、液晶化合物の垂直配向性が良好でそれを固定した位相差膜の剥離性に優れた、位相差膜が剥離可能な光学フィルムの製造方法、ならびに、光学フィルムとそれを用いた光学フィルム積層体、偏光板および画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、液晶性化合物の配向状態を固定する前の液晶組成物に、基材との関係で所定のSP値の関係を満たす高分子化合物を特定量配合し、乾燥と紫外線照射時の条件を精緻に制御した場合に、配向膜(中間層)が無くても、配向性が高く、剥離性に優れ、UVムラも良好となることを見出した。
本発明においては、上述した通り、液晶性化合物の配向状態を固定する前の液晶組成物に、基材とのδa値の差が3以内である、分子構造中に水酸基を有する高分子化合物を配合する。配向膜が無い製造工程を簡略化した場合であっても、配向性が高いメカニズムは明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。まず、図1に、本発明の光学フィルムにおける推定メカニズムを説明するための模式的な断面図を示す。
図1に示す光学フィルム10は、基材1と、基材上に隣接して設けられる位相差層2とを有し、位相差層2が、配向状態が固定された液晶性化合物3と、高分子化合物4とを含有している。なお、図1においては、形式的に、位相差層2が液晶性化合物3を含有する態様を示しているが、本来、液晶性化合物の配向状態が固定されて位相差層となった後においては、液晶性化合物は液晶性を示す必要はない。そして、本発明者らは、高分子化合物4と基材1とのδa値の差が3以下であると、図1に示すように、高分子化合物4が基材1との界面付近に偏在しやすく、液晶性化合物3が水平方向に配向し難くなり、その結果、垂直方向への配向が促進されると推測している。高分子化合物4の含有量は、液晶性化合物3の100質量部に対して2質量部以上10質量部以下が好ましい。
しかし、この配向を製造機で安定的に実現すること、すなわち、幅方向にも長手方向にも一か所の配向不良無く作製することは非常に難しいことが分かった。その理由は、製造機では、幅方向や長手方向で、乾燥が完全に均一ではなく、乾燥条件の場所による違いが配向に影響を与えるためであると考えられ、配向膜を基材に隣接して設けた上に液晶層を塗布する通常の方法ではなく、本発明のように、直接、液晶層を基材の上に設ける場合は、乾燥条件の不均一性に対する配向性のロバストネスが大きく悪化すると推定された。
完全に均一な乾燥条件を製造機で実現することは不可能であるため、どの製造機でも製造できるような製造条件の探索を進めた。その結果、塗布直後の乾燥条件を穏やかな条件にして溶剤を蒸発させてから、強い乾燥条件にすることで、完全な配向が実現できることがわかった。メカニズムは完全にはわかっていないが、次のように考えている。塗布された塗布液に強い風を当てずに、穏やかに溶剤を蒸発させることで、その間に高分子が所望の界面に分布する。その後、強い乾燥条件にすることで、配向が基材に均一に固定される。すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1]基材の上に、分子構造中に水酸基を有する高分子化合物と、重合性基を有する液晶性化合物を含有する塗布液を塗布、乾燥して塗布層を形成して前記液晶化合物を垂直配向させ、次いで、前記塗布層に紫外線を照射して前記液晶性化合物を硬化して位相差膜を形成し、前記基材から前記位相差膜が剥離可能な光学フィルムの製造方法において、前記高分子化合物の3次元SP値を用いて算出されるδa値と前記基材のδa値との差が3以下であり、前記塗布層の塗布直後から乾燥風速1m/秒以下、乾燥風温度25〜40℃で15秒以上乾燥した後、乾燥風速2〜8m/秒、乾燥風温度60〜80℃の乾燥工程を通過させ、次いで、前記塗布層に紫外線を照射して前記液晶化合物を硬化させる際に、前記塗布層を有するフィルムの側とは反対側の面を支えるバックアップローラがあり、前記バックアップローラの温度を60〜80℃にし、前記バックアップローラ上に前記塗布層を有するフィルムが着地する直前0.5m以内の前記塗布層を有するフィルムを放射温度計で測定した温度が、前記バックアップローラの温度に対して−20℃〜+20℃になるように温度調節をする、前記基材から前記位相差膜が剥離可能な光学フィルムの製造方法。
[2]前記の分子構造中に水酸基を有する高分子化合物が、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体である、[1]に記載の光学フィルムの製造方法。
ここで、式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Xは−O−または−NH−を表し、R2は有機基を表す。
[3]前記基材が、セルロースアシレートフィルムである、[1]、[2]いずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[4]前記位相差膜に、下記(II)で表される化合物を液晶性化合物の質量に対して0.3〜2.0質量%含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
式(II) (Z)−L100−(Q)
前記式(II)中、
Zは、重合性基を有する置換基を表し、nは、0〜4の整数を表し、nが2〜4の整数である場合、2以上のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基を表し、mは、1または2を表し、mが2の場合、2つのQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
100は、n+m価の連結基を表す。ただし、nが0を表し、かつ、mが1を表す場合は、L100は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の製造方法により得られる光学フィルム。
[6] [5]に記載の光学フィルムを粘着剤または接着剤を介して他の光学フィルムと貼り合わせて得られる光学フィルム積層体。
[7] [5]に記載の光学フィルム、または、[6]に記載の光学フィルム積層体の前記位相差膜を粘着剤または接着剤を介して偏光板に転写することにより得られる位相差層付き偏光板。
[8] [5]に記載の光学フィルム、または、[6]に記載の光学フィルム積層体、または、[7]に記載の位相差層付き偏光板を有する、画像表示装置。
本発明によれば、UVムラ故障が無く、液晶化合物の垂直配向性が良好でそれを固定した位相差膜の剥離性に優れた、位相差膜が剥離可能な光学フィルムの製造方法、ならびに、光学フィルムとそれを用いた光学フィルム積層体、偏光板および画像表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の光学フィルムにおける推定メカニズムを説明するための模式的な断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、基材であるポリマーフィルムと、基材上に隣接して設けられる位相差層とを有する光学フィルムである。
また、本発明の光学フィルムにおいては、位相差層が、架橋性基を有する液晶性化合物と、分子構造中に水酸基を有する高分子化合物とを含有する、液晶組成物に含まれる液晶性化合物の垂直配向を固定してなる層である。そして、3次元SP値を用いて算出される、前記高分子化合物と基材であるポリマーフィルムとのδa値の差が3以下である。
また、本発明の光学フィルムにおいては、高分子化合物の含有量が、液晶性化合物100質量部に対して2質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<δa値>
本明細書において、δa値は、Hoyらの方法により算出されるSP値(VAN KREVELEN,D.W.著、「PROPERTIES OF POLYMERS(ED.3)」ELSEVIER出版(1990)参照)の非分散力成分を意図する。つまり、δa値は、Hoyらの方法により算出される3次元SP値(δd、δp、δh)を用いて、下記式(X)により算出することができる。
δa=(δp2+δh20.5 式(X)
Hoyらの方法に従うと、求めたい化合物の化学構造式よりδd、δp、δhの各々の値が算出できる。なお、複数の繰り返し単位からなるコポリマーの場合、各繰り返し単位の3次元SP値の2乗値(δd2、δp2、δh2)に、各繰り返し単位の体積分率を乗じて和を求めることでコポリマーの3次元SP値の2乗値(δd2、δp2、δh2)を算出し、これを上記式(X)に代入することでコポリマーのδa値を求めることができる。
〔基材〕
本発明において、光学フィルムが有する基材は、後述する位相差層を支持するための基材であり、例えば、後述する液晶組成物を塗布して位相差層を形成する際に液晶組成物を塗布する対象となる基材が挙げられる。このような基材は、透明であるのが好ましく、本発明では、光透過率が80%以上であるのが好ましい。なお、本発明で透明とは、可視光の透過率が60%以上であることを示す。
基材はポリマーフィルムであることが好ましく、ポリマーフィルムのポリマー材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース系ポリマー;ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系ポリマー;ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体などの脂環式構造を有するポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;またはこれらのポリマーを混合したポリマー;等が挙げられる。
これらの材料のうち、セルロース系ポリマー、または、脂環式構造を有するポリマーであることが好ましく、セルロース系ポリマーであることがより好ましい。
本発明において、基材のδa値については、基材を構成するポリマー材料に基づいて決定することができ、例えばトリアセチルセルロースであればδa値は16.4となる。シクロオレフィンポリマーのアートン(JSR社製)であれば、8.7となる。複数の異なるポリマー材料の混合物から構成される場合は、各ポリマー材料のδa値にそのポリマー材料の体積分率を乗じて和を求めればよい。
3次元SP値を用いて算出される前記基材のδa値は10〜25が好ましく、15〜20がより好ましい。またδaが低い基材では、5〜10が好ましく、7〜10がより好ましい。
本発明においては、剥離前の位相差面状および輝点検査の効率が向上する理由から、基材の波長550nmにおける面内レタデーションが5nm以下であることが好ましく、2nm以下であることがより好ましい。
また、本発明においては、上記基材の厚みについては特に限定されないが、5〜60μmであるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好ましい。
また、本発明においては紫外線硬化型の接着剤を用いることで、光学フィルム積層体及び位相差層付き偏光板をより薄膜化が可能になることから、基材の波長250〜400nmにおける平均透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
〔位相差膜〕
本発明において、光学フィルムの基材から剥離可能な位相差膜は、重合性基を有する液晶性化合物と高分子化合物とを含有する液晶組成物(以下、形式的に「本発明の液晶組成物」ともいう。)に含まれる液晶性化合物の垂直配向を固定してなる層である。
ここで、液晶性化合物が棒状液晶性化合物である場合の垂直配向とは、ホメオトロピック配向ともいい、上述した基材の表面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内となる配向を意味し、80°〜90°の範囲内となる配向が好ましく、85°〜90°の範囲内となる配向がより好ましい。
また、液晶性化合物が円盤状液晶性化合物である場合の垂直配向とは、上述した基材の表面と円盤状液晶性化合物の円盤面とのなす角度が70°〜90°の範囲内となる配向を意味し、80°〜90°の範囲内となる配向が好ましく、85°〜90°の範囲内となる配向がより好ましい。
本発明において、光学フィルムの基材から位相差膜を剥離する際の剥離強度としては、150mm×25mmに裁断し、ガラス基板に80mm×25mm部分のみを粘着剤(SK1478,綜研化学社製)を介して貼合し、180°方向に剥離したときの剥離強度をテンシロン万能材料試験機(オリエンテック社製)にて測定することができ、好ましい剥離強度としては、0.05〜0.50N/25mmであり、より好ましくは0.10〜0.20N/25mmである。
剥離強度が0.05N/25mm未満の場合は、途中の工程で位相差層の剥離が起き、剥離したものが工程中に飛散し、二次故障になる。また剥離強度が0.50N/25mmを超えると、滑らかに剥離ができず、スティックスリップを発生し、幅方向に線状の故障が残る。
<液晶性化合物>
本発明において、液晶組成物に含有する液晶性化合物は、重合性基を有する液晶性化合物であれば特に限定されず、従来公知の液晶性化合物を用いることができる。
ここで、重合性基としては、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基およびアリル基などが挙げられ、なかでも、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましい。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。
本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物(ディスコティック液晶性化合物)を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上の円盤状液晶性化合物、または棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物との混合物を用いてもよい。
また、配向を固定化する観点から、液晶性化合物は上述した重合性基を2以上有することが好ましい。液晶性化合物が2種類以上の混合物の場合には、少なくとも1種類の液晶性化合物が1分子中に2以上の重合性基を有していることが好ましい。
棒状液晶性化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1や特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]や特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
本発明においては、上記液晶性化合物として棒状液晶性化合物を用いることが好ましく、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
<高分子化合物>
本発明において位相差膜を形成する液晶化合物の組成物が含有する高分子化合物は、分子構造中に水酸基を有し、上述した基材のδa値との差(差の絶対値をいう。以下、同様。)が3以下となるδa値を有する重合体である。
本発明においては、上記高分子化合物を上述した基材界面において均一に存在させ、位相差層の面状を向上させることができる理由から、上記高分子化合物が、基材のδa値との差が3以下である重合体であり、0.1〜2.5となるδa値を有する重合体であることが好ましく、差が0.2〜2.0となるδa値を有する重合体であることがより好ましく、差が0.3〜1.5となるδa値を有する重合体であることが更に好ましい。
また、本発明においては、本発明による配向性の改善効果が大きくなる理由から、上記高分子化合物が、δa値が13〜19を示す重合体であることが好ましく、δa値が15〜19を示す重合体であることがより好ましい。
このような高分子化合物は、その主鎖骨格は特に限定されないが、側鎖の分子設計が多様となり、付加重合による主鎖形成が簡便である理由から、互いに異なる繰り返し単位を2種以上有する共重合体であることが好ましく、特に分子構造中に水酸基を有さない繰り返し単位が、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体であることがより好ましい。
ここで、上記式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Xは−O−または−NH−を表し、R2は有機基を表す。
本発明においては、上記高分子化合物が水酸基を有しており、配向性がより向上する理由から、高分子化合物の1分子あたりの水酸基当量が100〜900が好ましく、300〜600がより好ましい。
このような水酸基を有する高分子化合物としては、上記式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ、上記式(I)中のR2が示す有機基は、環状または非環状のアルキル基、あるいは酸素原子を有する有機基が好ましく、特に酸素原子を有する有機基としてはカルボニル基(−CO−)を有する有機基、カルボニルオキシ基(−COO−)を有する有機基、ラクトン環構造を有する有機基がより好ましく、とりわけカルボニル基(−CO−)またはカルボニルオキシ基(−COO−)を複数有する有機基、例えばジケトン構造を有する有機基が好ましい。また、上記式(I)中のXは、酸素原子(−O−)または−NH−であり、酸素原子(−O−)がより好ましい。
本発明においては、上記式(I)で表される繰り返し単位に水酸基が含まれる場合、水酸基を含む繰り返し単位の含有量は、上記式(I)で表される全繰り返し単位に対して、3〜50mol%であることが好ましく、5〜30mol%であることがより好ましい。
また、上記式(I)で表される繰り返し単位に水酸基が含まれる場合、水酸基を含む繰り返し単位のδa値は、13〜25であることが好ましく、17〜21であることがより好ましい。
本発明においては、上述した基材のδa値が10以上、特に、13〜19である場合においては、本発明による配向性の改善効果が大きくなる理由から、上記高分子化合物が、3次元SP値を用いて算出されるδa値が13以上18未満の繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
このような繰り返し単位を構成するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート(δa=13.8)、メトキシエチルアクリレート(δa=13.7)、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(δa=15.2)、および、テトラヒドロフルフリルアクリレート(δa=13.2)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、モノマーに併記する括弧内のδa値は、そのモノマーから構成される繰り返し単位のδa値である。また、これらのモノマーから構成される繰り返し単位の含有量は、上記式(I)で表される全繰り返し単位に対して、30〜100mol%であることが好ましく、50〜80mol%であることがより好ましい。
本発明においては、上述した基材のδa値が5以上10未満、特に、7以上10未満である場合においては、本発明による配向性の改善効果が大きくなる理由から、上記高分子化合物が、3次元SP値を用いて算出されるδa値が5以上11未満の繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
このような繰り返し単位を構成するモノマーとしては、例えば、オクタデシルアクリレート(δa=6.3)、ラウリルアクリレート(δa=7.4)、シクロヘキシルアクリレート(δa=10.2)、ジシクロペンタニルアクリレ−ト(δa=9.6)、および、イソボルニルアクリレート(δa=10.4)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、モノマーに併記する括弧内のδa値は、そのモノマーから構成される繰り返し単位のδa値である。
また、これらのモノマーから構成される繰り返し単位の含有量は、上記式(I)で表される全繰り返し単位に対して、30〜95mol%であることが好ましく、50〜85mol%であることがより好ましい。
上記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物としては、例えば、下記式A101〜A108、A111〜A125、A201〜A209、および、A301〜A307で表される高分子化合物などが挙げられる。
なお、以下の説明において、下記式A101で表される高分子化合物を「高分子化合物A101」と表記する。また、下記式A102〜A108、A111〜A125、A201〜A209、および、A301〜A307で表される高分子化合物も同様に表記する。
このような高分子化合物の重量平均分子量は特に限定されないが、1000〜500000であるのが好ましく、2000〜100000であるのがより好ましく、3000〜50000であるのが更に好ましい。
ここで、高分子化合物の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算値として定義される。高分子化合物の重量平均分子量は、例えば、HLC−8120(東ソー製)を用い、カラムとしてTSKgelMultiporeHXL−M(東ソー製、7.8mmID×30.0cmを、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)またはNMP(N−メチルピロリドン)を用いることによって求めることができる。
本発明においては、上記高分子化合物の含有量は、上述した液晶性化合物100質量部に対して2質量部以上10質量部以下であることが好ましい。3質量部以上8質量以下であることがより好ましい。
本発明においては、配向性がより高くなる理由から、上記高分子化合物が、位相差層における基材と反対側の表面よりも、位相差層における基材側の表面(基材側の界面)に多く存在していることが好ましく、具体的には、位相差層における基材と反対側の表面から0.2μmの厚み領域に存在する高分子化合物よりも、位相差層における基材側の表面(基材側の界面)から0.2μmの厚み領域に存在する高分子化合物の量の方が多いことが好ましい。
本発明においては、塗布直後から乾燥風速1m/秒以下、乾燥風温度25〜40℃で15秒以上乾燥する。この乾燥時間は、本発明の前記高分子化合物が、塗布液中で層分離して、塗布液と基材との界面に偏在するのに必要な時間である。短くなると偏在が不十分となり、配向ムラが発生する。前記高分子は、基材界面側より少ないが、塗布液と空気界面側にも分布する。双方への偏在を促進するため、塗布面を乱さずに乾燥を進める必要性から検討した結果、気流の風速が1m/秒以下の時に配向性が良好になることがわかった。これより風速を上げると、塗布液の塗膜が乱れ、前記高分子の界面への均一な偏在が不足して、配向不良となる。また、乾燥風温度は、40℃より高温にすると、配向性が悪化する。これは、高温になることにより、基材への拡散や染み込みが起こり、塗布液と基材との界面が乱れることが原因と推定している。気流は均一に流すことが重要で、方向は、特に限定しないが、基材搬送方向の下流側から上流側に、基材の搬送方向に沿っていることが好ましい。
塗布後に乾燥風を微風にすることで、塗布面の荒れを抑制する方法や液晶の配向性を良好にする試みは従来より検討されている。しかし、本発明の微風乾燥の目的は、高分子化合物の偏在をこの微風乾燥期に完了させることである。したがって、この塗布直後の微風乾燥期の後の乾燥、硬化方法が従来とは大きく異なる。
塗布直後の微風乾燥期(一次乾燥)に続いて、乾燥風速2〜8m/秒、乾燥風温度60〜80℃を含む二次乾燥工程を通過させることで、残った溶剤を一気に乾燥させ、該液晶性化合物の垂直配向を固定する。風速が2m/秒以下だと、溶剤の乾燥不足になる。この時、乾燥工程の温度は、25℃〜80℃が好ましく、この中に、60〜80℃の温度ゾーンがあれば良い。この温度が本発明より低いと、ディスプレイの黒表示の際に、斜め視野にモヤモヤ状の光漏れの欠陥が現れる。これは、一次乾燥によりある程度の配向性を確保しているものの、二次乾燥での乾燥速度が遅く、液晶が揺らいだ状態で固定化されるためと推定している。また、温度が高すぎると、一次乾燥で得られた配向性が、乱されることがわかった。乾燥風の方向は、特定の方向に限られないが、真上から、あるいは、対向方向が好ましく、当業界で使用されている、パンチングメタル、網状部材を通して風を送ることで、風速を安定させて、均一な気流を塗布面に送ることができる。
本発明では、乾燥後に前記塗布層に紫外線を照射して液晶を硬化させるが、この時の紫外線照射時の塗布面と反対側の面を支えるバックアップローラの温度を60〜80℃にする。これは界面に偏在した前記高分子を平滑に固定化する作用があると考えられる。60℃より低いと、前記高分子に凹凸が残り、配向にムラができて、モヤモヤ状のムラとなる。また、80℃より高いと、前記高分子が、膜中で液晶とランダムに混合し、意図した偏在が達成できず、配向ムラとなる。60〜80℃の時にのみ、配向性が良好となる。これは偏在した前記高分子が、平滑に固定化されることで、疑似配向膜の役目を果たしていると推定された。このように、限られた条件でのみ、配向膜(中間層)無しで製造機の全長、全幅で良好な配向性が得られることを見出した。
さらに、前記バックアップローラの温度が、剥離性にとっても最も良好な範囲であり、60℃より低いと、前記塗布層を硬化して形成された位相差膜の剥離力が強くなり過ぎて全く剥離できなくなり、使用できない。また、80℃より高温では、剥離力が低下していく傾向があった。これは、前記高分子が、塗布液と基材の界面で配向膜として働くのみならず、硬化後の前記位相差膜の良好な剥離層形成にも寄与していると推定された。
前記バックアップローラは、円柱状の形状の本体と、本体の両端部に配置された回転軸とを備えている。バックアップローラの本体は、例えば、幅方向に1000mm以上5000m以下の長さを有し、150mm以上1000mm以下の半径Rを有しているが、幅方向の長さ、半径についての制限は無い。バックアップローラの本体には、温度調節器が取り付けられている。バックアップローラが複数ある場合は、各々に温度調節器があることが好ましい。
本発明では、前記バックアップローラ上に前記塗布層を有する基材が着地する直前0.5m以内の前記塗布層を有するフィルムを放射温度計で測定した温度が、前記バックアップローラの温度に対して−20℃〜+20℃になるように温度調節をすることで、UVムラを改良している。好ましくは、−15℃〜+15℃である。より好ましくは―10℃〜+10℃であり、さらに好ましくは、―5℃〜+5℃である。フィルムの温度測定は、バックアップローラに接触する前0.5m以内で測定された結果が前記の温度範囲内であれば問題ないことがわかった。測定は放射温度計でなければ測定は難しく、また、測定時に基材の背景にローラ等、室温より温度が高い物体が無い箇所を選択して測定する。このようにフィルム温度を設定するためには、紫外線照射ゾーンに入る前に温度調節をすることが有効であり、フィルムに温風をかける、赤外ヒーターを照射する、室温を上げる等の方法があるが、方法はこれらに限定されない。
{式(II)で表される化合物}
本発明の光学フィルムが有する液晶層を形成する液晶組成物は、下記式(II)で表される、剥離性を改良する化合物を含有することが好ましい。
式(II) (Z)−L100−(Q)
ここで、式(II)中、Zは、重合性基を有する置換基を表し、nは、0〜4の整数を表し、nが2〜4の整数である場合、2以上のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基を表し、mは、1または2を表し、mが2の場合、2つのQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、L100は、n+m価の連結基を表す。ただし、nが0を表し、かつ、mが1を表す場合は、L100は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。
剥離強度を調節可能な点でnは1〜4が好ましく、1〜2が特に好ましい。
上記式(II)中、Zが表す重合性基を有する置換基としては、例えば、(メタ)アクリレート基、スチリル基、ビニルケトン基、ブタジエン基、ビニルエーテル基、オキシラニル基、アジリジニル基およびオキセタン基等を含む置換基が挙げられる。
これらのうち、(メタ)アクリレート基、スチリル基、オキシラニル基もしくはオキセタン基を含む置換基が好ましく、(メタ)アクリレート基またはスチリル基を含む置換基がより好ましい。
特に、(メタ)アクリレート基を含む置換基としては、下記一般式(V)で表されるエチレン性不飽和二重結合を有する基であることが好ましい。
上記一般式(V)中、Rは水素原子またはメチル基であり、水素原子が好ましい。
また、上記一般式(V)中、Lは、単結合、または、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる二価の連結基であり、単結合、−CO−NH−または−COO−が好ましく、単結合または−CO−NH−が特に好ましい。
上記式(II)中、nは、0〜4の整数を表し、0または1を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。
また、mは、1または2を表し、1を表すことが好ましい。
また、L100としては、例えば、二価の連結基として、単結合、または、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリール基、および、それらの組み合わせから選ばれる二価の連結基が挙げられる。
これらのうち、置換もしくは無置換のアリーレン基がより好ましい。
また、L100が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基については、下記一般式(VI)中のRおよびRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、これらの基が有する置換基としては、例えば、特開2013−054201号公報の[0046]段落に記載された置換基などが挙げられる。
上記式(II)中、Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基であり、ポリマーフィルムに吸着して結合することができる基であることが好ましい。
例えば、ポリマーフィルムが、表面処理等により表面にヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する場合は、ポリマーフィルムのヒドロキシル基またはカルボキシル基と結合できる基が好ましい。なお、「ポリマーフィルムに吸着して結合することができる基」とは、ポリマーフィルムを構成している材料が有する構造と相互作用して、ポリマーフィルムに化学吸着可能な基を意味する。
少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基としては、下記一般式(VI)で表される置換基などが挙げられる。
上記一般式(VI)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。また、上記一般式(VI)中のRおよびRは、RおよびRが連結してアルキレン基、アリール基、またはこれらの組み合わせからなる連結基を構成していてもよい。
上記一般式(VI)中、RおよびRがそれぞれ表す置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基には、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が含まれる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、1個から4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と不飽和五員環とが縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としてはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
また、上記一般式(VI)中、RおよびRがそれぞれ表す置換もしくは無置換のヘテロアリール基の例には、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものが含まれる。
窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環の具体例としては、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
上記一般式(VI)中のR1およびR2として好ましくは水素原子である。
また、上記一般式(VI)中のRおよびR、ならびに、上記式(I)中のL100は、可能な場合はさらに1個以上の置換基によって置換されていてもよい。これらの炭化水素基は任意の置換基によって1個以上置換されていてもよい。置換基としては水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができる。
上記式(II)で表される化合物の分子量としては、120〜1200が好ましく、180〜800がより好ましい。
上記式(II)で表される化合物の具体例としては、特開2007−219193号公報の段落[0035]〜[0040]に記載の具体例に例示されている化合物の他に以下の化合物が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。もちろん、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
上記式(II)で表される化合物は、上述した通り、液晶組成物中の液晶性化合物の質量に対して0.3質量%〜2.0質量%含有しており、0.8質量%〜1.5質量%含有していることがより好ましい。上記式(II)で表される化合物の配合量を0.3質量%〜2.0質量%以下とすることで剥離性を向上できる。しかし、2.0質量%超えて添加すると、基材からの剥離力が強くなりすぎて、他の光学フィルムへの転写時に支障が出る。なお、液晶性化合物が複数種含まれている時は、その合計に対しての割合である。
本発明においては、上記式(II)で表される化合物は、液晶層中で膜厚方向において、ポリマーフィルムに近い側に偏在していることが好ましい。ここでいう偏在とは、化合物そのものとして偏在している場合の他、液晶層が液晶性組成物の重合物である場合は重合後の反応生成物としてその分布が偏在していることも包含する概念である。
<オニウム塩化合物>
本発明の液晶組成物は、配向性がより高くなる理由から、上述した高分子化合物が親水性基を有している場合、オニウム塩化合物を含有していることが好ましい。
オニウム塩化合物としては、垂直配向剤として公知のオニウム化合物を用いることができる。具体的には、特開2016−105127号公報の[0042]〜[0052]段落に記載された化合物が挙げられる。
オニウム塩化合物を含有する場合の含有量は、上述した液晶性化合物100質量部に対して0.5〜5質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。
<重合開始剤>
本発明の液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。
使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。
本発明においては、耐久試験前後での位相差変化がより小さくなる理由から、上記光重合開始剤は吸収波長の異なるものを少なくとも2種以上含むことが好ましい。
<重合性モノマー>
本発明の液晶組成物は、塗工膜の均一性、位相差層の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の円盤状液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。
重合性モノマーの添加量は、円盤状液晶性化合物に対して、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤>
本発明の液晶組成物は、塗工膜の均一性、位相差層の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば、特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特願2003−295212号明細書中の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
<溶媒>
本発明の液晶組成物は、位相差層を形成する作業性等の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。
溶媒としては、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔位相差層の形成方法〕
本発明においては、位相差層の形成方法としては、例えば、上述した液晶組成物を上述した基材上に塗布し、所望の配向状態とした後に、重合により固定化する方法などが挙げられる。
液晶組成物の塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、および、ダイコーティング法などが挙げられる。
また、重合条件は特に限定されないが、光照射による重合においては、紫外線を用いることが好ましい。照射量は、10mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、20mJ/cm2〜5J/cm2であることがより好ましく、30mJ/cm2〜3J/cm2であることが更に好ましく、50〜1000mJ/cm2であることが特に好ましい。また、重合反応を促進するため、加熱条件下で実施してもよい。
本発明の光学フィルムが有する位相差層の厚みについては特に限定されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
[偏光板]
本発明の偏光板は、上述した本発明の光学フィルムを有する偏光板である。
また、本発明の偏光板は、上述した基材が偏光子を兼ねていない場合には、偏光子を有するものである。
〔偏光子〕
本発明の偏光板が有する偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用することができる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できるが、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第5048120号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子などが用いられる。
なかでも、密着性がより優れる点で、ポリビニルアルコール系樹脂(−CH−CHOH−を繰り返し単位として含むポリマー。特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つ)を含む偏光子であることが好ましい。
本発明においては、偏光子の厚みは特に限定されないが、3μm〜60μmであるのが好ましく、5μm〜30μmであるのがより好ましく、5μm〜15μmであるのが更に好ましい。
〔粘着剤層〕
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムにおける位相差層と、偏光子との間に、粘着剤層が配置されていてもよい。
位相差層と偏光子との積層のために用いられる粘着剤層としては、例えば、動的粘弾性測定装置で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(tanδ=G”/G’)が0.001〜1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。本発明に用いることのできる粘着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系粘着剤が挙げられるが、これに限定されない。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルムまたは本発明の偏光板を有する、画像表示装置である。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セル、有機EL表示パネルであるのが好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましい。
〔液晶表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置は、上述した本発明の偏光板と、液晶セルとを有する液晶表示装置である。
なお、本発明においては、液晶セルの両側に設けられる偏光板のうち、フロント側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのが好ましく、フロント側およびリア側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのがより好ましい。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
<液晶セル>
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Virtical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、又はTN(Twisted Nematic)であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer−Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、及び特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
〔有機EL表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、本発明の偏光板と、λ/4機能を有する板(以下、「λ/4板」ともいう。)と、有機EL表示パネルとをこの順で有する態様が好適に挙げられる。
ここで、「λ/4機能を有する板」とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板をいい、例えば、λ/4板が単層構造である態様としては、具体的には、延伸ポリマーフィルムや、支持体上にλ/4機能を有する光学異方性膜を設けた位相差フィルム等が挙げられ、また、λ/4板が複層構造である態様としては、具体的には、λ/4板とλ/2板とを積層してなる広帯域λ/4板が挙げられる。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<評価>
〔配向性の評価〕
(1)配向性
偏光顕微鏡をクロスニコル条件とし、ステージに作製した各光学フィルムを挿入して基材の遅相軸が、偏光顕微鏡の検光子または偏光子と並行になるようにステージを回転する。
この状態で光学フィルムを観察したときに、98%以上の面積について均一な暗視野が観察されたものを配向性が極めて優れるものとして「S」と評価し、95%以上98%未満の面積について均一な暗視野が観察されたものを配向性が優れるものとして「A」と評価し、80%以上95%未満の面積について均一な暗視野が観察されたものを配向性にやや劣るものとして「B」と評価し、80%未満の面積について均一な暗視野が観察されたものを配向性に劣るものとして「C」と評価した。結果を下記表2に示す。
(2)斜め方向の位相差
作製した各光学フィルムについて、ガラス基板に粘着剤(SK1478,綜研化学社製)を介して貼合したものを、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)を用いて、波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(550)を測定した。
(3)斜め光漏れ
偏光板をクロスニコル条件とし、作製した光学フィルムを挿入して基材の遅相軸が、偏光子と平行になるように基材を回転する。この状態で光学フィルムを観察する。その際、極角0゜(正面方向)〜90゜の間の斜めの角度で、方位角0°(水平方向)から反時計方向に360°の一回転、光学フィルムの黒表示を観察し、光漏れを下記の評価基準で評価した。
A:光漏れが非常に少なく、特に優れている
B:光漏れが少なく、優れている
C:光漏れが多く、許容できない
〔剥離性;剥離強度の評価〕
作製した光学フィルムを150mm×25mmに裁断し、ガラス基板に80mm×25mm部分のみを粘着剤(SK1478,綜研化学社製)を介して貼合し、180°方向に剥離したときの剥離強度をテンシロン万能材料試験機(オリエンテック社製)にて測定し、以下の基準で評価した。
評価基準
A:0.10N/25mm以上、0.20N/25mm以下
B:0.05N/25mm以上、0.10N/25mm未満
または、0.20N/25mmを超え、0.50N/25mm以下
C:0.50N/25mm超過
または、0.05N/25mm未満
〔耐久性の評価〕
作製した光学フィルムを85℃85%の環境下に500hr曝した際の、Rth変化を測定した。
A:Δ3nm以下
B:Δ5nm以下
C:Δ5nmよりも大きい
〔UVムラの評価〕
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学フィルムをクロスニコル配置した偏光板の間に入れ、偏光板の下側にバックライト光源を配置して、UVムラを観察した。UVムラは、スジ状に視認できる。
A:ムラが視認されない
B:僅かにムラが視認されるが、気にならない
C:強いムラが視認される
[実施例1]
<光学フィルムの作製>
セルロース系ポリマーフィルム;富士フイルム社製フジタックZRD40を基材として、下表のとおりに作製した位相差層形成用液晶組成物1を、スロットダイを用いたダイコート法で、塗布量7.1cc/m2、搬送速度30m/分の条件で、基材状に塗布した。なお、基材のδa値は16.4であった。次いで、組成物の乾燥および液晶性化合物の配向熟成のために、40℃、0.5m/秒の温風を搬送方向に沿って流して、20秒加熱して一次乾燥を終え、引き続き二次乾燥として、40℃、6m/秒、30秒、70℃、6m/秒、30秒の乾燥を終えた。続いて窒素パージ下酸素濃度100ppmで紫外線照射時に基材を支えるバックアップローラの温度を70℃にて紫外線照射(300mJ/cm)を行い、液晶化合物の配向を固定化し、塗布層を硬化させて位相差膜を形成した後、巻き取った。この際、紫外線バックアップローラに着地直前0.5m以内で測定したフィルムの温度が55℃になるように、ヒーターでフィルムを加熱した。以上の方法により、実施例1の光学フィルムを作製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶組成物1の調製
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記棒状液晶性化合物(M−1) 83質量部
下記棒状液晶性化合物(M−2) 15質量部
下記棒状液晶性化合物(M−3) 2質量部
下記重合性モノマー(M−4) 4質量部
重合開始剤(IrgacureOXE01,BASF社製) 4質量部
下記フッ素系ポリマー(M−5) 0.3質量部
下記オニウム化合物S01 1,5質量部
例示された高分子化合物A124 3質量部
トルエン 352質量部
メチルエチルケトン 288質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶性化合物(M−1)
棒状液晶性化合物(M−2)
棒状液晶性化合物(M−3)
重合性モノマー(M−4)
フッ素系ポリマー(M−5)
オニウム塩化合物S01
作製した光学フィルムをエッチングTOF−SIMS(Time-of-Flight Secondary Mass Spectrometry)解析により分析し、添加した高分子化合物A124のほぼ全量が、基材であるZRD40と、位相差層との界面に偏在していることを確認した。
実施例2〜16、比較例1〜12の光学フィルムを、表1、表2に記載した条件に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。なお、乾燥は、実施例1と同様に、二次乾燥の冒頭に40℃、6m/秒、30秒の乾燥を経た後に、表1、表2記載の乾燥工程を通過している。
[実施例17]
下記組成の液晶組成物2を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶組成物2の調製
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記棒状液晶性化合物(M−1) 83質量部
上記棒状液晶性化合物(M−2) 15質量部
上記棒状液晶性化合物(M−3) 2質量部
上記重合性モノマー(M−4) 4質量部
重合開始剤(IrgacureOXE01,BASF社製) 4質量部
上記フッ素系ポリマー(M−5) 0.3質量部
上記オニウム化合物S01 1,5質量部
例示された高分子化合物A125 3質量部
トルエン 352質量部
メチルエチルケトン 288質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
位相差層形成用液晶組成物1に代えて、液晶組成物2を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、光学フィルムを作製した。なお、乾燥は、実施例1と同様に、二次乾燥の冒頭に40℃、6m/秒、30秒の乾燥を経た後に、表1、表2記載の乾燥工程を通過している。
実施例18〜21の光学フィルムを、表2に記載した条件で、実施例17と同様にして作製した。この際に、本発明例示化合物B1を表2に記載の量を添加した。
化合物(B1)
一次乾燥の影響を見た、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4によれば、本発明の高分子化合物A124を含有し、一次乾燥の風速、温度、時間を本発明の範囲内にすることで、UVムラが問題無く、配向性が良好で、剥離性に優れた、液晶性化合物が垂直配向して所望のRe(550)とRth(550)を実現できている。一次乾燥が、配向性に大きな影響があることがわかる。
二次乾燥の影響を見た、実施例6〜実施例9、比較例5〜比較例8によれば、本発明の高分子化合物A124を含有し、二次乾燥の風速と温度を本発明の範囲内にすることで、UVムラが問題無く、配向性が良好で、剥離性に優れた、液晶性化合物が垂直配向して所望のRe(550)とRth(550)を実現できている。二次乾燥の風速と温度を適性に保たないと、一次乾燥を本発明の条件に保って配向をさせた場合でも、完全ではなく、斜め光漏れがあり、Rth(500)が上昇していることがわかる。
紫外線照射時のバックアップローラの温度の影響を見た、実施例10〜11、比較例9〜10によれば、本発明の高分子化合物A124を含有し、紫外線照射時のバックアプロ―ラの温度を本発明の範囲内にすることで、UVムラが問題無く、配向性が良好で、剥離性に優れた、液晶性化合物が垂直配向して所望のRe(550)とRth(550)を実現できている。バックアップローラの温度が低ければ耐久性が悪化し、高すぎればUVムラが悪化することがわかる。
紫外線照射時のバックアップローラに入る直前の塗布層を有するフィルムの温度の影響を見た、実施例12〜16、比較例11〜12によれば、本発明の高分子化合物A124を含有し、紫外線照射時のバックアプロ―ラに入る直前の塗布層を有するフィルムの温度を本発明の範囲内にすることで、UVムラが問題無く、配向性が良好で、剥離性に優れた、液晶性化合物が垂直配向して所望のRe(550)とRth(550)を実現できている。本発明の温度範囲の中でも、バックアップローラとの温度差をより小さくする方が良いことがわかる。特に、−10℃〜+10℃がより好ましいことがわかる。
本発明の高分子化合物A125を用いた実施例17は、UVムラが問題無く、配向性が良好で、剥離性に優れた、液晶性化合物が垂直配向して所望のRe(550)とRth(550)を実現できている。ただ、高分子化合物A124を用いた実施例1と比較すると剥離性がやや悪い。これは、高分子化合物A125が、そのδaの違いにより、塗布液と基材界面の偏在が少なくなっているからと考えられる。そこで、本発明の、剥離性改良剤の効果を見たのが、実施例18〜21である。本発明の化合物B1の好適量の添加により、剥離性が改善されていることがわかる。
1 基材
2 位相差層
3 液晶性化合物
4 高分子化合物
10 光学フィルム

Claims (4)

  1. 基材の上に、分子構造中に水酸基を有する高分子化合物と、重合性基を有する液晶性化合物を含有する塗布液を塗布、乾燥して塗布層を形成して前記液晶化合物を垂直配向させ、次いで、前記塗布層に紫外線を照射して前記液晶性化合物を硬化して位相差膜を形成し、前記基材から前記位相差膜が剥離可能な光学フィルムの製造方法において、前記高分子化合物の3次元SP値を用いて算出されるδa値と前記基材のδa値との差が3以下であり、前記塗布層の塗布直後から乾燥風速1m/秒以下、乾燥風温度25〜40℃で15秒以上乾燥した後、乾燥風速2〜8m/秒、乾燥風温度60〜80℃の乾燥工程を通過させ、次いで、前記塗布層に紫外線を照射して前記液晶化合物を硬化させる際に、前記塗布層を有するフィルムの側とは反対側の面を支えるバックアップローラがあり、前記バックアップローラの温度を60〜80℃にし、前記バックアップローラ上に前記塗布層を有するフィルムが着地する直前0.5m以内の前記塗布層を有するフィルムを放射温度計で測定した温度が、前記バックアップローラの温度に対して−20℃〜+20℃になるように温度調節をする、前記基材から前記位相差膜が剥離可能な光学フィルムの製造方法。
  2. 前記の分子構造中に水酸基を有する高分子化合物が、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
    ここで、式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Xは−O−または−NH−を表し、R2は有機基を表す。
  3. 前記基材が、セルロースアシレートフィルムである、請求項1〜2のいずれか1項記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記位相差膜に、下記(II)で表される化合物を液晶性化合物の質量に対して0.3〜2.0質量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
    式(II) (Z)−L100−(Q)
    前記式(II)中、
    Zは、重合性基を有する置換基を表し、nは、0〜4の整数を表し、nが2〜4の整数である場合、2以上のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基を表し、mは、1または2を表し、mが2の場合、2つのQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    100は、n+m価の連結基を表す。ただし、nが0を表し、かつ、mが1を表す場合は、L100は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。
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