JP6231293B2 - 液晶組成物、位相差板、円偏光板および画像表示装置 - Google Patents

液晶組成物、位相差板、円偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶組成物、位相差板、円偏光板および画像表示装置に関する。詳しくは、液晶組成物ならびにそれを用いて形成した光学異方性層を有する位相差板、円偏光板および画像表示装置に関する。
光学異方性材料からなる位相差板は、LCD表示装置、有機EL表示装置、タッチパネル、輝度向上膜などの表示装置に使用されている。
これらの表示装置は、屈折率の異なる層を積層する構造を有するため、外光が各層の界面で反射し、コントラスト低下や映り込みの問題などを生じることが知られている。
そこで、これらの表示装置(特に、LCD表示装置や有機EL表示装置など)には、従来から、外光反射による悪影響を抑制するために、位相差板と偏光膜とから構成される円偏光板が使用されている。
例えば、特許文献1には、「液晶性化合物と、架橋性基を有する非液晶性ポリマーとを含有する液晶組成物。」が記載されており([請求項1])、また、この液晶組成物から形成される少なくとも1層の光学異方性層を有する位相差板、円偏光板および画像表示装置が記載されている([請求項5]〜[請求項10])。
また、特許文献2には、「液晶性化合物と、液晶性を有さず光および酸の少なくとも一つの作用により極性基を生成するポリマーとを含有する液晶組成物。」が記載されており([請求項1])、また、この液晶組成物から形成される少なくとも1層の光学異方性層を有する位相差板、(円)偏光板および画像表示装置が記載されている([請求項7]〜[請求項12])。
更に、これらの特許文献には、液晶組成物中に含まれる「架橋性ポリマー」または「極性変換ポリマー」の機能として、液晶組成物を支持体上に塗布して光学異方性層を形成して位相差板を作製する際に、光学異方性層の空気界面の表面を平滑化するレベリング機能が記載されており、また、複数の光学異方性層を有する位相差板を作製する際に、従来必要であった光学異方性層間に形成する配向膜に代る機能、即ち、架橋性ポリマー(または極性変換ポリマー)が光学異方性層の空気界面側に移行して架橋性ポリマー(または極性変換ポリマー)を多く含む表面濃縮層を形成され、この表面濃縮層にラビングなどによって配向機能を付与することによって、上層光学異方性層となる液晶性化合物を配向させる配向膜としての機能を有する旨が記載されている(特許文献1:[0053]、特許文献2:[0055])。
特開2004−238431号公報 特開2004−277525号公報
本発明者らは、特許文献1および2に記載された液晶組成物について検討したところ、上述した通り、複数の光学異方性層を有する位相差板を作製する際に、「架橋性ポリマー」または「極性変換ポリマー」を多く含む表面濃縮層が配向膜として利用できることが確認できたが、配向機能を付与するためには、この表面濃縮層にラビング処理を施す必要があることを明らかとした。
そこで、本発明は、少なくとも2層の光学異方性層を有する位相差板を作製する際に、下層の光学異方性層にラビング処理が不要となる液相組成物、ならびにそれを用いて形成した光学異方性層を有する位相差板、円偏光板および画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、液晶性化合物とともに光配向化合物を含有する液晶組成物を用いることにより、形成される光学異方性層にラビング処理が不要となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
[1] 重合性基を有する液晶性化合物と、光配向化合物とを含有する液晶組成物。
[2] 光配向化合物が、光の作用により二量化または異性化する光反応性基を有する感光性高分子化合物である[1]に記載の液晶組成物。
[3] 感光性高分子化合物が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する[2]に記載の液晶組成物。
(一般式(I)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Pは光反応性基を表す。)
[4] 光反応性基が、光の作用により二量化する反応性基であり、
感光性高分子化合物が、マレイミド誘導体、桂皮酸誘導体およびクマリン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体の骨格を側鎖に有するポリマーである、[2]または[3]に記載の液晶組成物。
[5] 光反応性基が、光の作用により異性化する反応性基であり、
感光性高分子化合物が、アゾベンゼン化合物、スチルベン化合物およびスピロピラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の骨格を側鎖に有するポリマーである、[2]または[3]に記載の液晶組成物。
[6] 透明支持体と、透明支持体上に設けられる第1の光学異方性層と、第1の光学異方性層上に設けられる第2の光学異方性層とを有する位相差板であって、
第1の光学異方性層が、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶組成物から形成される位相差板。
[7] 第1の光学異方性層と第2の光学異方性層との間に、実質的に配向膜を有さない、[6]に記載の位相差板。
[8] 第1の光学異方性層の表面にラビング処理を施さず、第2の光学異方性層を設けてなる[6]または[7]に記載の位相差板。
[9] 第1の光学異方性層の遅相軸と第2の光学異方性層の遅相軸とのなす角度が、60°±10°であり、
第2の光学異方性層の波長550nmにおける位相差が、100〜145nmであり、
第1の光学異方性層の波長550nmにおける位相差が、第2の光学異方性層の位相差の2倍±50nmである[6]〜[8]のいずれかに記載の位相差板。
[10] [9]に記載の位相差板と、偏光膜とを有する円偏光板であって、
偏光膜が、位相差板における透明支持体の第1の光学異方性層が設けられた側とは反対側の表面に設けられ、
偏光膜の吸収軸と、波長550nmにおける位相差が200〜290nmである光学異方性層の遅相軸とのなす角が、15°または75°である円偏光板。
[11] [6]〜[9]のいずれかに記載の位相差板、または、[10]に記載の円偏光板を有する画像表示装置。
[12] 位相差板の製造方法であって、
透明支持体上に、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶組成物を用いて第1の光学異方性層を形成する第1光学異方性層形成工程と、
第1光学異方性層形成工程の後、配向膜を形成せず、ラビング処理を施さずに、液晶組成物を用いて第2の光学異方性層を形成する第2光学異方性層形成工程とを有する、位相差板の作製方法。
本発明によれば、少なくとも2層の光学異方性層を有する位相差板を作製する際に、下層の光学異方性層にラビング処理が不要となる液相組成物、ならびにそれを用いて形成した光学異方性層を有する位相差板、円偏光板および画像表示装置を提供することができる。
本発明の位相差板の実施形態の例を示す模式的な断面図である。 本発明の円偏光板の実施形態の例を示す模式的な断面図である。 本発明の有機EL表示装置の実施形態の例を示す模式的な断面図である。
〔液晶組成物〕
以下に、本発明の液晶組成物について詳細に説明する。
本発明の液晶組成物は、液晶性化合物(以下、「液晶性分子」ともいう。)および光配向化合物を含有する組成物であり、後述する本発明の位相差板が有する光学異方性層の形成に好適に用いられる組成物である。
<液晶性分子>
本発明の液晶組成物が含有する液晶性分子は特に限定されず、例えば、特許文献1(特開2004−238431号公報)の[0014]〜[0052]段落および特許文献2(特開2004−277525号公報)の[0016]〜[0054]段落に記載された棒状液晶性分子又はディスコティック液晶性分子が挙げられる。なお、当該段落の記載内容は、本明細書に参照として取り込まれる。
また、本発明においては、以下に示すディスコティック液晶化合物および棒状液晶性化合物を用いるのが好ましい。
(ディスコティック液晶化合物)
ディスコティック液晶化合物としては、特開2011−133549号公報の[0026]〜[0072]段落に記載された液晶化合物を用いるのが好ましい。なお、当該段落の記載内容は、本明細書に参照として取り込まれる。
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましい。
棒状液晶性化合物には、活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる重合性基が含まれることが好ましい。重合性基の定義は、上述の通りであり、その個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。
<光配向化合物>
本発明の液晶組成物が含有する光配向化合物は、異方性を有する光(例えば、平面偏光など)を照射することにより、再配列や異方的な化学反応が誘起される化合物をいう。
本発明においては、少なくとも2層の光学異方性層を有する位相差板を作製する際に、このような光配向化合物を含有する液晶組成物を用いて下層の光学異方性層(後述する第1光学異方性層(H)に相当する光学異方性層)を形成することにより、下層の光学異方性層にラビング処理が不要となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推察している。
すなわち、本発明の液晶組成物を用いて光学異方性層を形成し、空気界面側に移行した光配向化合物を多く含む表面濃縮層に対して光配向処理を施すことにより、上述した反応が生起し、容易に配向機能を付与することできたためと考えられる。
本発明においては、光配向化合物が、配向の均一性に優れ、熱的安定性や化学的安定性も良好となる理由から、光の作用により二量化または異性化する光反応性基を有する感光性高分子化合物であるのが好ましい。
ここで、光の作用により二量化する光反応性基としては、具体的には、例えば、マレイミド誘導体、桂皮酸誘導体およびクマリン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体の骨格からなる基などが好適に挙げられる。
一方、光の作用により異性化する光反応性基としては、具体的には、例えば、アゾベンゼン化合物、スチルベン化合物およびスピロピラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の骨格からなる基などが好適に挙げられる。
このような感光性高分子化合物は、その主鎖骨格は特に限定されないが、側鎖の分子設計が多様となり、エチレン性不飽和化合物のラジカル重合反応による主鎖形成が簡便である理由から、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマーであるのが好ましい。
(一般式(I)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Pは光反応性基を表す。)
ここで、一般式(I)中、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等)であるのが好ましく、なかでも、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。
以下に一般式(I)で表される繰り返し単位を有する感光性高分子化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらのうち、光に対する感度が高くなり、配向が長期に安定する等の理由から、マレイミド誘導体または桂皮酸誘導体の骨格からなる基を光反応性基として有しているものが好ましく、具体的には、上記で例示した、P−1、1a−1および1a−9で表される基であるのがより好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位を有する感光性高分子化合物は、(a)対応するモノマーを重合させて直接光反応性基を導入する方法で合成してもよく、(b)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られるポリマーに高分子反応により光反応性基を導入する方法で合成してもよい。また、(a)および(b)の手法を組み合わせて合成することもできる。
ここで、上述した(a)および(b)の方法において利用可能な重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合及びアニオン重合などが挙げられる。
また、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する感光性高分子化合物は、複数種の一般式(I)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(I)以外の繰り返し単位(例えばエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。
このような感光性高分子化合物の好ましい分子量範囲は、重量平均分子量で1000〜500000であるのが好ましく、2000〜300000であるのがより好ましく、3000〜200000であるのが更に好ましい。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
本発明においては、本発明の液晶組成物中に含まれる光配向化合物の含有量は、液晶組成物の総質量に対して0.001〜20質量%であるのが好ましく、0.01〜10質量%であるのがより好ましく、0.1〜5質量%であるのが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の液晶組成物には、上述した液晶性化合物および光配向化合物以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、液晶組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。光学異方性層を形成する際には、配向(好ましくは垂直配向)させた液晶性化合物の配向状態を維持して固定することが好ましい。その際、重合開始剤を使用することにより、効率よく重合反応を進行させることができる。
使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。例えば、光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ、アクリジンおよびフェナジン化合物およびオキサジアゾール化合物が含まれる。
重合開始剤の使用量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
また、液晶組成物には、塗工膜の均一性、膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の円盤状液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。
重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
また、液晶組成物には、塗工膜の均一性、膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特願2003−295212号明細書中の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
また、液晶組成物には、溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
さらに、組成物には、配向膜界面側垂直配向剤、空気界面側垂直配向剤など垂直配向促進剤などの各種配向剤が含まれていてもよい。これらの配向制御剤は、配向膜界面側または空気界面側において円盤状液晶性化合物を垂直に配向制御可能な配向制御剤である。これらの配向制御剤としては、公知の化合物が適宜使用されるが、例えば、配向膜界面側垂直配向剤としては特開2012−215704号公報の段落0079〜0104に記載の化合物が挙げられ、空気界面側垂直配向剤としては特開2012−215704号公報の段落0106〜0113に記載の化合物が挙げられ、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
〔位相差板〕
以下に、本発明の位相差板について詳細に説明する。
本発明の位相差板は、透明支持体と、透明支持体上に設けられる第1の光学異方性層(以下、「第1光学異方性層(H)」ともいう。)と、第1光学異方性層(H)上に設けられる第2の光学異方性層(以下、「第2光学異方性層(Q)」ともいう。)とを有する位相差板であって、少なくとも第1光学異方性層(H)が上述した本発明の液晶組成物から形成される位相差板である。
なお、本発明の位相差板は、光学異方性層を3層以上有する態様であってもよい。例えば、光学異方性層を3層(以下、透明支持体側からそれぞれ第1、第2および第3の光学異方性層という。)有する態様においては、本発明の位相差板は、第1および/または第2の光学異方性層を本発明の液晶組成物で形成した位相差板である。
本発明の位相差板は、上述した通り、少なくとも第1光学異方性層(H)が上述した本発明の液晶組成物から形成される位相差板であり、空気界面側に移行した光配向化合物を多く含む表面濃縮層が形成されるため、光配向膜を別途設けた従来公知の位相差板よりも、第1光学異方性層(H)と光配向膜(本発明においては表面濃縮層)との密着性が良好となる。
同様に、第1光学異方性層(H)と光配向膜(本発明においては表面濃縮層)との界面における算術平均粗さRaは、0.01〜10μmであるのが好ましく、0.01〜5.0μmであるのがより好ましい。
また、本発明の液晶組成物に含まれる光配向化合物の含有量は、上述した通り、液晶組成物の総質量に対して0.001〜20質量%であるのが好ましいが、第1光学異方性層(H)における光配向化合物の濃度分布は、空気界面側(第2光学異方性層(Q)側)に漸増する分布を有しているのが好ましい。
以下の説明において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレタデーション、および厚さ方向のレタデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、またはWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、後述する光学異方性層中のディスコティック液晶分子の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、またはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレタデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレタデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、またはWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、および入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、および式(B)よりRthを算出することもできる。
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値を表す。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dは測定フィルムの厚みを示す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、またはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS、INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
以下に、本発明の位相差板の実施態様について図面を参照して説明する。図1に、本発明の位相差板の実施態様の概略断面図を示す。
位相差板10は、透明支持体12と、第1光学異方性層(H)14および第2光学異方性層(Q)16を含む積層光学異方性層18とを有する。
ここで、上述した通り、位相差板10における第1光学異方性層(H)14は、上述した本発明の液晶組成物で形成されている。
また、第1光学異方性層(H)14は上述した本発明の液晶組成物のうち、上述した一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物から形成され、第2光学異方性層(Q)16は棒状液晶化合物を含有する組成物から形成されているのが好ましい。
以下に、各部材について詳述する。
<透明支持体>
透明支持体は、後述する第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)を支持する基材である。
透明支持体の550nmにおける厚み方向のレタデーション値(Rth(550))は、本発明の位相差板を用いた円偏光板の斜め方向の反射率がより低減される点で、20〜70nmであるのが好ましく、25〜65nmであるのがより好ましく、30〜60nmであるのが更に好ましい。
透明支持体の550nmにおける面内のレタデーション値(Re(550))は特に制限されないが、0〜50nmであることが好ましく、0〜30nmであることがより好ましく、0〜10nmであることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
透明支持体を形成する材料としては、光学性能透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましい。本発明でいう透明とは、可視光の透過率が60%以上であることを示し、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
透明支持体として用いることのできるポリマーフィルムとしては、例えば、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、脂環式構造を有するポリマーのフィルム(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))などが挙げられる。
なかでも、ポリマーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、または脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
透明支持体の厚さは特に制限されないが、10μm〜200μm程度のものを用いることが好ましく、10μm〜100μmがより好ましく、20μm〜90μmがさらに好ましい。また、透明支持体は複数枚の積層からなっていてもよい。外光反射の抑制には薄い方が好ましいが、10μmより薄いと、フィルムの強度が弱くなり、好ましくない傾向がある。透明支持体とその上に設けられる層との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。
また、透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止したりするために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
(透明支持体の添加剤)
透明支持体には、種々の添加剤(例えば、光学的異方性調整剤、波長分散調整剤、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、など)を加えることができる。また、透明支持体がセルロースアシレートフィルムである場合、その添加する時期はドープ作製工程(セルロースアシレート溶液の作製工程)における何れでもよいが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加し調製する工程を行ってもよい。
<光学異方性層>
本発明の位相差板は、上述した透明支持体上に設けられる第1光学異方性層(H)と、第1光学異方性層(H)上に設けられる第2光学異方性層(Q)とを有する。以下、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)をまとめて積層光学異方性層ともいう。
波長450nm、550nmおよび650nmで測定した積層光学異方性層のレタデーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)は、式(1)〜(3)を満足するのが好ましい。式(1)〜(3)を満たすことにより、本発明の位相差板を用いた円偏光板の斜め方向の反射率がより低減される。
式(1) 100≦Re(550)≦180nm
式(2) 0.70≦Re(450)/Re(550)≦0.90
式(3) 1.05≦Re(650)/Re(550)≦1.30
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、式(1A)〜式(3A)を満足することが好ましい。
式(1A) 110≦Re550≦170nm
式(2A) 0.75≦Re450/Re550≦0.85
式(3A) 1.05≦Re650/Re550≦1.25
また、波長450nm、550nm、650nmで測定した積層光学異方性層のレタデーション値/波長の値が、いずれも0.20〜0.30の範囲内であることが好ましい。該範囲を満たすことは、可視光領域において、位相差がλ/4に近いことを意味している。波長450nm、550nm、650nmで測定したレタデーション値/波長の値が、いずれも0.22〜0.28であることがさらに好ましい。
第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)は、いずれか一方がλ/4層であり、他方がλ/2層であることが好ましい態様の一つである。なかでも、第1光学異方性層(H)がλ/2層であり、第2光学異方性層(Q)がλ/4層であることが好ましい。
ここで、「λ/4層」とは、特定の波長λnmにおける面内レタデーションRe(λ)が、
Re(λ)=λ/4
を満たす光学異方性層のことをいう。上式は可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよいが、波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)が
100nm≦Re(550)≦180nm
であることが好ましく、100nm〜145nmであることがより好ましい。この範囲であると、後述するλ/2層と組み合わせたときに、反射光の光漏れをより低減できるため好ましい。
また、「λ/2層」とは、特定の波長λnmにおける面内レタデーションRe(λ)が
Re(λ)=λ/2
を満たす光学異方性層のことをいう。上式は可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよい。さらに、本発明ではλ/2層の面内レタデーションRe1がλ/4層の面内レタデーションRe2に対して実質的に2倍であるように設定されることが好ましい。つまり、上記の好適態様の場合、第1光学異方性層(H)の面内レタデーションReH(550)が、第2光学異方性層(Q)の面内レタデーションQ(550)に対して実質的に2倍であることが好ましい。ここで、「レタデーションが実質的に2倍である」とは、
Re1=2×Re2±50nm
であることを意味する。なかでも、
Re1=2×Re2±20nm
であることがより好ましい。上式は可視光域のいずれかの波長において達成されていればよいが、波長550nmにおいて達成されていることが好ましい。この範囲であると、上記したλ/4層と組み合わせたときに、反射光の光漏れをより低減できるため好ましい。
第1光学異方性層(H)の厚みは特に制限されないが、2.7μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2.2μm以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、位相差ムラおよび輝点欠陥などがより抑制される。なお、下限は特に制限されないが、通常、0.5μm以上である場合が多い。
第2光学異方性層(Q)の厚みは特に制限されないが、2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。上記範囲であれば、位相差ムラおよび輝点欠陥などがより抑制される。下限は特に制限されないが、通常、0.2μm以上である場合が多い。
また、位相差板が長尺状のフィルムであって、長手方向を90°としたとき、第1光学異方性層(H)の遅相軸角度が5〜25°が好ましく(なかでも、10〜20°がより好ましい)、第2光学異方性層(Q)の遅相軸角度が65〜85°が好ましい(なかでも、70〜80°がより好ましい)。特に、第1光学異方性層(H)の遅相軸と第2光学異方性層(Q)の遅相軸とのなす角度が60°±10°であるのが好ましい。上記範囲内であれば、本発明の位相差板を用いた円偏光板の斜め方向の反射率がより低減される。
また、このようにすることで、長尺状フィルムの長手方向と後述する偏光膜の長手方向を一致させてロールトゥロールによる貼り合せを行うことが可能になり、貼り合せの軸角度の精度が高く、生産性の高い円偏光板や楕円偏光板の製造が可能になる。なお、光学異方性層の遅相軸の角度はラビングの角度で調整できる。
第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)とが隣接し、第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)との間に、実質的に配向膜を有さないことが好ましい。第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)との間に実質的に配向膜がない場合、それぞれの光学異方性層に含まれる化合物間での共有結合を利用できるので、密着性により優れる。本明細書において「実質的に配向膜がない」とは、配向膜として機能させるためだけに形成された膜を含んでいないことを意味する。下方に位置する層の表面が、上方に位置する層の液晶性化合物が配向するのに寄与する場合であっても、下方に位置する層が配向膜としてのみ用いるために形成されていない限り、本発明に含まれる。
第1光学異方性層(H)は、表面がべとつかず、布などでこすった場合にも層中の成分が布に転写されることもない。従って、直接光配向処理を施すことができる。従って、第1光学異方性層(H)を形成した後、引き続きその表面に直接光配向処理を施し、他の任意の液晶性化合物を含有する組成物を塗布して、第2光学異方性層(Q)を形成することができる。つまり、第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)とが直接接触するように、配置することができる。
第1光学異方性層(H)は、上述した一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物から形成されるのが好ましい。言い換えると、第1光学異方性層(H)は、ディスコティック液晶化合物が重合等によって固定されて形成された層であるのが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。なお、一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物は2種以上使用してもよい。
また、第2光学異方性層(Q)は、棒状液晶化合物を含有する組成物から形成されるのが好ましい。なかでも、重合性基を有する棒状液晶化合物を含有する組成物から形成されることが好ましく、この場合、第2光学異方性層(Q)は、棒状液晶化合物が重合等によって固定されて形成された層であり、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)において、液晶性化合物(ディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物)の分子は、垂直配向、水平配向、ハイブリッド配向および傾斜配向のいずれかの配向状態に固定化されていることが好ましい。視野角依存性が対称である位相差板を作製するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤面が透明支持体面に対して実質的に垂直であるか、および/または、棒状液晶性化合物の長軸が透明支持体面に対して実質的に水平であることが好ましい。ディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直とは、透明支持体面とディスコティック液晶性化合物の円盤面とのなす角度の平均値が70°〜90°の範囲内であることを意味し、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°が更に好ましい。棒状液晶性化合物が実質的に水平とは、透明支持体面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が0°〜20°の範囲内であることを意味し、0°〜10°がより好ましく、0°〜5°が更に好ましい。
ディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物の液晶性化合物の分子をハイブリッド配向させる場合、液晶性化合物のダイレクターの平均傾斜角は5〜85°であることが好ましく、10〜80°であることがより好ましく、15〜75°であることが更に好ましい。
第1光学異方性層(H)と第2光学異方性層(Q)は、それぞれ一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物と、所望により、後述する重合開始剤や配向制御剤や他の添加剤を含む組成物(塗布液)を、塗布することで形成することができる。
なお、後述するように、透明支持体上に配向膜を形成し、該配向膜表面に組成物(塗布液)を塗布して形成するのが好ましい。
第1光学異方性層(H)または第2光学異方性層(Q)を形成するために使用される組成物中における一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物または棒状液晶化合物の含有量の好ましい範囲は、組成物の全固形分に対して(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物に対して)、50質量%以上であることが好ましく、70〜99質量%であることがより好ましく、80〜98質量%であることが更に好ましい。上記範囲にすることで充分な位相差を薄膜で発現させることができる。
なお、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)を形成するために使用される組成物は、液晶の配向を制御する配向制御剤を含有していてもよい。使用可能な配向制御剤の例には、配向膜界面側に偏在し、配向膜界面の液晶の配向を制御する配向膜界面配向制御剤、および空気界面側に偏在し空気界面側の液晶の配向を制御する空気界面配向制御剤が含まれる。
<配向膜>
本発明の位相差板は、上述した透明支持体上に配向膜を有していてもよく、配向膜の表面に上述した本発明の液晶組成物を塗布して、液晶性化合物(例えば、ディスコティック液晶化合物)の分子を配向させてもよい。配向膜は液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有するため、本発明の好ましい態様を実現する上で利用するのが好ましい。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを別の透明支持体上に転写して本発明の位相差板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射(好ましくは偏光)により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
ポリマーの例には、例えば、特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%が更に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は100〜5000であることが好ましい。特に、ディスコティック液晶を含む光学異方性層の遅相軸方向をラビングローラーの回転軸と実質的に平行にする場合は、89〜99%であるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールと前述の配向膜界面側垂直配向剤を用いることが好ましい。
配向膜において、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤および添加剤を含む溶液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノールやイソプロパノール等のアルコール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:アルコールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることが更に好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜形成時に利用する塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法やエクストルージョンコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5が好ましい。
ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
<位相差板の製造方法>
本発明の位相差板の製造方法は、上述した本発明の位相差板を作製する製造方法であって、上述した透明支持体上に、本発明の液晶組成物を用いて第1光学異方性層(H)を形成する第1光学異方性層形成工程と、第1光学異方性層形成工程の後、配向膜層を形成せず、液晶組成物を用いて第2光学異方性層(Q)を形成する第2光学異方性層形成工程とを有する製造方法である。
具体的には、以下の工程(1)〜(6)の手順を実施することが好ましい。
工程(1):透明支持体上に配向膜を設ける。
工程(2):配向膜上に、一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物を塗布して、必要により加熱処理を行い、ディスコティック液晶化合物を配向させる工程
工程(3):一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第1光学異方性層(H)を形成する工程
工程(4):第1光学異方性層(H)に光配向処理を施す工程
工程(5):ラビングした第1光学異方性層(H)上に重合性基を有する棒状液晶化合物を含む組成物を塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、棒状液晶化合物を配向させる工程
工程(6) 重合性基を有する棒状液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第2光学異方性層(Q)を形成する工程
工程(1)は、透明支持体上に配向膜を形成する工程である。配向膜の形成方法は、上述の通りであり、ポリマー層を形成したのち、その表面にラビング処理を施し、配向膜を得る方法が好ましい。
工程(2)は、配向膜上に一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を含有する組成物を塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、ディスコティック液晶化合物を配向させる工程である。
使用される組成物は、上述の通りである。
組成物の塗布方法は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
加熱処理の条件は、使用されるディスコティック液晶化合物の種類に応じて、適宜最適な温度が選択されるが、通常、20〜200℃(好ましくは、40〜160℃)の温度で10〜600秒(好ましくは、30〜300秒)加熱処理を実施することが好ましい。
工程(3)は、配向状態にある一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第1光学異方性層(H)を形成する工程である。
硬化処理は、重合性基間で反応が進行すればその方法は特に制限されず、例えば、加熱処理または光照射処理(好ましくは、紫外線照射処理)が挙げられる。
なお、配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0〜50℃、より過酷な条件下では−30〜70℃の温度範囲において、該固定化された組成物に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。
工程(4)は、第1光学異方性層(H)に光配向処理を施す工程である。
ここで、光配向処理の方法は特に限定されないが、偏光した紫外線を用いることが均一な配向を得る上で好ましい。この場合、偏光した紫外線を照射する方法は特に限定されない。偏光面を回転させて照射してもよく、また偏光の入射角を変えて2回以上照射してもよい。なお、偏光としては特に制限はなく、例えば、直線偏光、円偏光、楕円偏光などが挙げられ、中でも、直線偏光が好ましい。
また、実質的に偏光が得られればよく、無偏光の光を薄膜の法線から一定角度傾けて照射してもよい。言い換えると、薄膜表面の斜め方向から非偏光を照射してもよい。「傾けて照射」とは、薄膜表面の法線方向に対して極角θ(0<θ<90°)傾けた方向である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、θが20〜80°であることが好ましい。
使用される光の波長としては、第1光学異方性層(H)に対して配向制御能を付与することができる限り特に制限はないが、例えば、紫外線、近紫外線、可視光線などが挙げられる。中でも、350〜450nmの近紫外線が特に好ましい。
光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。このような光源から得た紫外線や可視光線に対して、干渉フィルタや色フィルタなどを用いることで、照射する波長範囲を制限することができる。また、これらの光源からの光に対して、偏光フィルタや偏光プリズムを用いることで、直線偏光を得ることができる。
積算光量としては、第1光学異方性層(H)に対して配向制御能を付与することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光配向膜をより低い照射量で製造する観点から、10〜5000mJ/cm2照射することが特に好ましい。
工程(5)は、光配向処理を施した第1光学異方性層(H)上に重合性基を有する棒状液晶化合物を含む組成物を塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、棒状液晶化合物を配向させる工程である。
使用される組成物は、上述の通りである。
また、組成物の塗布方法は、工程(2)と同様である。
工程(6)は、配向状態にある重合性基を有する棒状液晶化合物に対して、硬化処理を施し、第2光学異方性層(Q)を形成する工程である。
硬化処理は、重合性基間で反応が進行すればその方法は特に制限されず、例えば、加熱処理または光照射処理(好ましくは、紫外線照射処理)が挙げられる。
〔円偏光板〕
以下に、本発明の円偏光板について詳細に説明する。
本発明の円偏光板は、上述した本発明の位相差板と、偏光膜とを有する円偏光板である。
次に、本発明の円偏光板の実施態様について図面を参照して説明する。図2(A)〜(C)に、本発明の円偏光板の実施態様の一例を示す。
図2(A)に示すように、円偏光板100は、位相差板10と、偏光膜20とを有する。
上記構成を有する本発明の円偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置の反射防止用途に好適に用いられ、表示光のコントラスト比を向上させるためのものである。
例えば、有機EL表示装置の光取り出し面側に本発明の円偏光板を用いた態様が挙げられる。この場合、外光は偏光膜によって直線偏光となり、次に位相差板を通過することで、円偏光となる。これが金属電極にて反射された際に円偏光状態が反転し、再び位相差板を通過した際に、入射時から90°傾いた直線偏光となり、偏光膜に到達して吸収される。結果として、外光の影響を抑制することができる。
第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)の遅相軸と、偏光膜の吸収軸とのなす角度は特に制限されず、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)の性質に応じて適宜最適な角度が調整される。
例えば、第1光学異方性層(H)がλ/2層で、第2光学異方性層(Q)がλ/4層である場合には、第1光学異方性層(H)の遅相軸と偏光膜の吸収軸とのなす角が75°±10°の範囲であることが好ましく、75°±8°の範囲であることがより好ましく、75°±5°の範囲であることがさらに好ましい。さらにこのとき、第2光学異方性層(Q)の遅相軸と偏光膜の吸収軸とのなす角が15°±10°の範囲であることが好ましく、15°±8°の範囲であることがより好ましく、15°±5°の範囲であることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
また、第1光学異方性層(H)がλ/2層で、第2光学異方性層(Q)がλ/4層である場合には、第1光学異方性層(H)の遅相軸方向と偏光子層の吸収軸方向とのなす角が15°±10°の範囲であることが好ましく、15°±8°の範囲であることがより好ましく、15°±5°の範囲であることがさらに好ましい。さらにこのとき、第2光学異方性層(Q)の遅相軸方向と偏光子層の吸収軸方向とのなす角が75°±10°の範囲であることが好ましく、75°±8°の範囲であることがより好ましく、75°±5°の範囲であることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
<偏光膜>
偏光膜(偏光子層)は、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であればよく、吸収型偏光子を利用することができる。
偏光膜の種類は特に制限はなく、通常用いられている偏光膜を利用することができ、例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を利用した染料系偏光膜、およびポリエン系偏光膜のいずれも用いることができる。ヨウ素系偏光膜、および染料系偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸することで作製される。
なお、偏光膜は、その両面に保護フィルムが貼合された偏光板として用いられることが一般的である。
円偏光板の製造方法は特に制限されないが、例えば、上記位相差板と偏光膜とが、それぞれ長尺の状態で連続的に積層される工程を含むことが好ましい。長尺の偏光板は、用いられる画像表示装置の画面の大きさに合わせて裁断される。
円偏光板は図2(A)の態様に限定されず、さらに別の層が含まれていてもよい。
例えば、図2(B)に示すように、円偏光板110は、位相差板10と、偏光膜20と、保護膜22とを含む。
保護膜22としては、光学的等方性が高いセルロースエステルフィルムを用いることが好ましい。
また、図2(C)に示すように、円偏光板120は、位相差板10と、偏光膜20と、保護膜22と、機能層24とを有する。機能層24としては、反射防止層、防眩層、およびハードコート層からなる群から選択される少なくとも1つが挙げられる。これらは公知の層材料が使用される。なお、これらの層は、複数層が積層してもよい。
例えば、反射防止層は、最も単純な構成では、フィルムの最表面に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、屈折率の高い高屈折率層と、屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて反射防止層を構成することが好ましい。構成例としては、下側から順に、高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(下層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に有することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、特開平8−110401号公報、特開平10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。また、膜厚変動に対するロバスト性に優れる3層構成の反射防止フィルムは特開2008−262187号公報記載されている。上記3層構成の反射防止フィルムは、画像表示装置の表面に設置した場合、反射率の平均値を0.5%以下とすることができ、映り込みを著しく低減することができ、立体感に優れる画像を得ることができる。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層、帯電防止性のハードコート層、防眩性のハードコート層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報、特開2007−264113号公報等)等が挙げられる。
〔画像表示装置〕
以下に、本発明の画像表示装置について詳細に説明する。
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の位相差板、または、上述した本発明の円偏光板を有する画像表示装置である。
次に、本発明の画像表示装置の具体例として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置について図3を用いて説明する。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述した本発明の位相差板(または円偏光板)を有する。通常、円偏光板は、有機EL表示装置の有機ELパネル上に設けられる。より具体的には、図3(A)に示すように、有機EL表示装置200は、少なくとも、有機ELパネル26と、位相差板10と、偏光膜20とを有する。
なお、有機EL表示装置は図3(A)の態様に限定されず、図3(B)に示すように、有機EL表示装置210は、偏光膜20上にさらに保護膜22を有していてもよく、さらには図3(C)に示すように、有機EL表示装置220は、偏光膜20上に保護膜22および機能膜24を有していてもよい。
有機ELパネルは、陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した部材であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(1)セルロースアシレートフィルムの作製
(セルロースエステル溶液A−1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースエステル溶液A−1を調製した。
セルロースエステル溶液A−1の組成
─────────────────────────────────────
・セルロースアセテート(アセチル化度2.86) 100質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 320質量部
・メタノール(第2溶媒) 83質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 3質量部
・トリフェニルフォスフェート 7.6質量部
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.8質量部
─────────────────────────────────────
(マット剤分散液B−1の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤分散液B−1を調製した。
マット剤分散液B−1の組成
─────────────────────────────────────
・シリカ粒子分散液(平均粒径16nm)
"AEROSIL R972"、日本アエロジル(株)製 10.0質量部
・メチレンクロライド 72.8質量部
・メタノール 3.9質量部
・ブタノール 0.5質量部
・セルロースエステル溶液A−1 10.3質量部
─────────────────────────────────────
(紫外線吸収剤溶液C−1の調製)
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液C−1を調製した。
紫外線吸収剤溶液C−1の組成
────────────────────────────────
・紫外線吸収剤(下記UV−1) 10.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−2) 10.0質量部
・メチレンクロライド 55.7質量部
・メタノール 10質量部
・ブタノール 1.3質量部
・セルロースエステル溶液A−1 12.9質量部
────────────────────────────────
(セルロースエステルフィルムの作製)
セルロースアシレート溶液A−1を94.6質量部、マット剤分散液B−1を1.3質量部とした混合物に、セルロースアシレート100質量部当たり、紫外線吸収剤(UV−1)および紫外線吸収剤(UV−2)がそれぞれ1.0質量部となるように、紫外線吸収剤溶液C−1を加え、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。得られたドープを30℃に加温し、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の表面温度は−5℃に設定し、塗布幅は1470mmとした。流延したドープ膜をドラム上で34℃の乾燥風を150m3/分で当てることにより乾燥させ、残留溶剤が150%の状態でドラムより剥離した。剥離の際、搬送方向(長手方向)に15%の延伸を行った。その後、フィルムの幅方向(流延方向に対して直交する方向)の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で把持しながら搬送し、幅手方向には延伸処理を行わなかった。さらに、熱処理装置のロール間を搬送することによりさらに乾燥し、セルロースアシレートフィルム(T1)を製造した。作製した長尺状のセルロースアシレートフィルム(T1)の残留溶剤量は0.2%で、厚みは60μmで、550nmにおけるReとRthはそれぞれ0.8nm、40nmであった。
(2)位相差板の作製
(アルカリ鹸化処理)
前述のセルロースアシレートフィルム(T1)を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムのバンド面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/m2で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したセルロースアシレートフィルムを作製した。
アルカリ溶液組成
─────────────────────────────────────
・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.8質量部
・イソプロパノール 63.7質量部
・界面活性剤SF−1:C1429O(CH2CH2O)20H 1.0質量部
・プロピレングリコール 14.8質量部
─────────────────────────────────────
(配向膜の形成)
セルロースアシレートフィルム(T1)のアルカリ鹸化処理を行った面に、下記組成の配向膜塗布液(A)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、更に100℃の温風で120秒乾燥した。使用した変性ポリビニルアルコールの鹸化度は96.8%であった。
配向膜塗布液(A)の組成
─────────────────────────────────────
・下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
・水 308質量部
・メタノール 70質量部
・イソプロパノール 29質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー2959、チバ・ジャパン製) 0.8質量部
─────────────────────────────────────
(第1光学異方性層(H)の形成)
上記作製した配向膜に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が75°(時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は15°)。
下記の組成のディスコティック液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(A)を上記作製した配向膜上に#5.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥およびディスコティック液晶化合物の配向熟成のために、115℃の温風で90秒間、続いて、80℃の温風で60秒間加熱し、80℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化した。第1光学異方性層(H)の厚みは2.0μmであった。DLC化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角は90°であり、DLC化合物がフィルム面に対して、垂直に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と平行で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、15°であった。
光学異方性層塗布液(A)の組成
─────────────────────────────────────
・下記のディスコティック液晶化合物(A) 80質量部
・下記のディスコティック液晶化合物(B) 20質量部
・エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 10質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ジャパン社製) 3質量部
・下記のピリジニウム塩(A) 0.9質量部
・下記のボロン酸含有化合物 0.08質量部
・光配向化合物(A−1) 0.6質量部
・下記のフッ素系ポリマー(FP1) 0.3質量部
・メチルエチルケトン 183質量部
・シクロヘキサノン 40質量部
─────────────────────────────────────
(光配向処理)
ハロゲンランプより出射される光を偏光板を介して直線偏光に変換し、上記作製した第1光学異方性層(H)に対して垂直の方向から100mW/cm2(365nm)の強度で60分間照射した。
このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向と照射した直線偏光とのなす角度が−75°(反時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、直線偏光照射角度は165°)。
(第2光学異方性層(Q)の形成)
下記の組成の棒状液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(B)を、上記作製した光配向処理後の第1光学異方性層(H)に#2.2のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥および棒状液晶化合物の配向熟成のために、60℃の温風で60秒間加熱し、60℃にてUV照射を行い、液晶化合物の配向を固定化した。第2光学異方性層(Q)の厚みは0.8μmであった。棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、液晶化合物がフィルム面に対して、水平に配向していることを確認した。また、遅相軸の角度はラビングローラーの回転軸と直交で、フィルム長手方向を90°(フィルム幅方向を0°)とすると、75°であった。
光学異方性層塗布液(B)の組成
─────────────────────────────────────
・下記の棒状液晶化合物(A) 80質量部
・下記の棒状液晶化合物(B) 20質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ジャパン社製) 3質量部
・増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
・下記のフッ素系ポリマー(FP4) 0.3質量部
・メチルエチルケトン 193質量部
・シクロヘキサノン 50質量部
─────────────────────────────────────
上記のようにして、セルロースアシレートフィルムの上に、ディスコティック液晶化合物から形成された第1光学異方性層(H)と棒状液晶化合物から形成された第2光学異方性層(Q)とが積層された位相差板を作製した。このフィルムを1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(3)偏光膜の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
(4)偏光膜保護フィルムの鹸化
上記作製したセルロースアシレートフィルム(T1)を1.5モル/リットルで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/リットルで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(5)円偏光板の作製
前述の位相差板(F1)の透明支持体の面と、前述の偏光膜と、前述の偏光膜保護フィルムとをポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続的に貼り合せた。このようにして長尺状の円偏光板(P1)を作製した。
なお、偏光膜の吸収軸は、円偏光板の長手方向と一致しており、偏光膜の吸収軸と第1光学異方性層(H)の遅相軸とのなす角度が75°で、偏光膜の吸収軸と第2光学異方性層(Q)の遅相軸とのなす角度が15°であった。
(6)有機EL表示装置の作製
有機ELパネル搭載のLG電子社製15EL9500を分解し、円偏光板を剥離した。上記作製した円偏光板(P1)を画面サイズに裁断し、パネル前面に粘着剤を用いて貼合した。このとき、第2光学異方性層(Q)がパネル面側で、偏光膜保護フィルムが視認者側になるように円偏光板(P1)を貼合した。
<実施例2〜11>
光配向化合物(A−1)に代えて、以下に示す光配向化合物(A−2)〜(A−11)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜11の位相差板、円偏光板および有機EL表示装置を作製した。
<比較例1>
光学異方性層塗布液(A)において、光配向化合物(A−1)に代えて、以下に示す非光配向化合物(AH−1)を用い、第1光学異方性層(H)に対して光配向処理の代わりにラビング処理を施した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の位相差板、円偏光板および有機EL表示装置を作製した。
なお、ラビング処理は、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度が−75°(反時計回り)とした(フィルム長手方向を90°とすると、ラビングローラーの回転軸は165°)。
<比較例2>
光学異方性層塗布液(A)において、光配向化合物(A−1)に代えて、以下に示す非光配向化合物(AH−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2の位相差板、円偏光板および有機EL表示装置を作製した。
<比較例3>
光学異方性層塗布液(A)において、非光配向化合物(AH−1)を用いなかった以外は、比較例1と同様の方法により、比較例3の位相差板、円偏光板および有機EL表示装置を作製した。
<各種評価>
作製した各位相差板および円偏光板に関して、以下に示す方法により、鏡面反射率、密着性、干渉ムラ、位相差ムラ、輝点欠陥を評価した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、下記第1表においては、位相差板の作製に要したラビング処理の回数も示す。
(鏡面反射率測定)
実施例1〜11および比較例1〜3で製造した円偏光板を、それぞれ位相差板が鏡面に対向するように、鏡面上に粘着剤で貼り付けた。その後、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、円偏光板面の法線方向から入射角5°における出射角5°の鏡面反射率、または、円偏光板面の法線方向から入射角60°における出射角60°の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均を反射率として算出した。より具体的には、円偏光板面の法線方向から入射角5°または60°で、円偏光板の方位角0〜180°の間を15°刻みで変えて鏡面反射率を測定し、方位角0〜180°の間の平均反射率および最大反射率を求めた。そして、別途、裏面を黒インキで塗りつぶした偏光板(位相差板を含まず)の反射率を同様に測定して、該測定値を表面反射由来のバックグラウンドとして、円偏光板の反射率測定値から引いた。このようにして円偏光板の鏡面反射率を求めた。
(密着性評価)
実施例1〜11および比較例1〜3で製造した位相差板の光学異方性層が形成された面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“NO.31B”を圧着して密着試験を行い、剥がれの有無を目視で観察した。
A:100個の升目中に剥がれが0〜5升
B:100個の升目中に剥がれが6〜10升
C:100個の升目中に剥がれが11升以上
(干渉ムラ評価)
実施例1〜11および比較例1〜3で製造した円偏光板を、それぞれ位相差板が鏡面に対向するように、鏡面上に粘着剤で貼り付け、蛍光灯下で反射光の干渉色を観察し、官能評価した。
A:視認されない
B:非常に弱く視認できるが気にならない
C:明らかに視認できる
(位相差ムラ評価)
実施例1〜11および比較例1〜3で製造した位相差板をクロスニコルに配置した2枚の偏光板の間に置いて面状(光学異方性層のムラやポリマーフィルムのムラ)を観察し、官能評価した。
A:視認されない
B:非常に弱く視認できるが気にならない
C:明らかに視認できる
(輝点欠陥評価)
実施例1〜11および比較例1〜3で製造した円偏光板を、それぞれ位相差板が鏡面に対向するように、鏡面上に粘着剤で貼り付け、蛍光灯下で目視し、配向欠陥(輝点として視認される)を観察した。
A:100cm2の範囲に視認できる輝点が0〜3個
B:100cm2の範囲に視認できる輝点が4〜10個
C:100cm2の範囲に視認できる輝点が11個以上
なお、下記第1表中のRe(面内レタデーション)は上述した方法により測定した。
また、下記第1表中、「第1光学異方性層(H)のReH(550)」および「第2光学異方性層(Q)のReQ(550)」は、それぞれ第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)の波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)を表す。
また、「積層光学異方性層」欄は、第1光学異方性層(H)および第2光学異方性層(Q)が積層した積層光学異方性層における面内レタデーションである。
第1表に示すように、非光配向化合物(AH−1)を含有する液晶組成物を用いて第1光学異方性層(H)を形成し、その後にラビング処理を施して第2光学異方性層(Q)を形成させた位相差板(円偏光板)については、正面方向および斜め方向の平均反射率がいずれも高く、また、密着性、干渉ムラ、位相差ムラおよび輝点欠陥も劣っているため、実用上問題があることが分かった(比較例1)。なお、比較例1および比較例の結果を対比すると、比較例1で用いた非配向化合物(AH−1)では、表面濃縮層が形成されないことが分かった。
また、非光配向化合物(AH−2)を含有する液晶組成物を用いて第1光学異方性層(H)を形成し、その後にラビング処理を施さずに光配向処理を施して第2光学異方性層(Q)を形成させた位相差板(円偏光板)については、非光配向化合物による配向機能が発現せず、正面方向および斜め方向の平均反射率がいずれも高く、また、密着性、干渉ムラ、位相差ムラおよび輝点欠陥も劣っているため、実用上問題があることが分かった(比較例2)。
更に、光配向化合物および非光配向化合物をいずれも含有しない液晶組成物を用いて第1光学異方性層(H)を形成し、その後にラビング処理を施して第2光学異方性層(Q)を形成させた位相差板(円偏光板)については、比較例1と同様、正面方向および斜め方向の平均反射率がいずれも高く、また、密着性、干渉ムラ、位相差ムラおよび輝点欠陥も劣っているため、実用上問題があることが分かった(比較例3)。
これに対し、光配向化合物を含有する液晶組成物を用いて第1光学異方性層(H)を形成し、その後にラビング処理を施さずに光配向処理を施して第2光学異方性層(Q)を形成させた位相差板(円偏光板)については、光配向化合物による配向機能が発現し、正面方向(入射角5°)および斜め方向(入射角60°)の両方において平均反射率が低く、かつ、密着性に優れ、干渉ムラ、位相差ムラおよび輝点欠陥の発生も抑制されることが分かった(実施例1〜11)。
特に、光配向化合物が、マレイミド誘導体または桂皮酸誘導体の骨格からなる基を光反応性基として有していると、干渉ムラや位相差ムラがより抑制される傾向があることが和分かった(実施例1、2、5および9)。
(有機EL表示装置の評価)
有機EL表示装置(点灯なし)を蛍光灯下で、正面および斜め方向から観察し、官能評価した。
実施例1〜11の有機EL表示装置は正面方向でも斜め方向でも反射光は小さく抑えられ、色味はニュートラルな黒であった。
一方、比較例1〜3の有機EL表示装置は正面方向および斜め方向の反射光は実施例1より大きく、輝点やムラが容易に視認され、さらに、取り扱い時に光学異方性層の剥がれが生じた。
10 位相差板
12 透明支持体
14 第1光学異方性層(H)
16 第2光学異方性層(Q)
18 積層光学異方性層
20 偏光膜
22 保護膜
24 機能膜
26 表示ELパネル
100,110,120 円偏光板
200,210,220 有機EL表示装置

Claims (9)

  1. 重合性基を有する液晶性化合物と、光配向化合物とを含有し、
    前記光配向化合物が、光の作用により二量化する光反応性基を有する感光性高分子化合物であり、
    記感光性高分子化合物が、マレイミド誘導体の骨格を側鎖に有するポリマーである、液晶組成物。
  2. 前記感光性高分子化合物が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する請求項に記載の液晶組成物。
    (一般式(I)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Pは前記光反応性基を表す。)
  3. 透明支持体と、前記透明支持体上に設けられる配向膜と、前記配向膜上に設けられる第1の光学異方性層と、前記第1の光学異方性層上に設けられる第2の光学異方性層とを有する位相差板であって、
    前記第1の光学異方性層が、請求項1または2に記載の液晶組成物から形成される位相差板。
  4. 前記第1の光学異方性層と前記第2の光学異方性層との間に、実質的に配向膜を有さない、請求項に記載の位相差板。
  5. 前記第1の光学異方性層の表面にラビング処理を施さず、前記第2の光学異方性層を設けてなる請求項またはに記載の位相差板。
  6. 前記第1の光学異方性層の遅相軸と前記第2の光学異方性層の遅相軸とのなす角度が、60°±10°であり、
    前記第2の光学異方性層の波長550nmにおける位相差が、100〜145nmであり、
    前記第1の光学異方性層の波長550nmにおける位相差が、前記第2の光学異方性層の位相差の2倍±50nmである請求項のいずれか1項に記載の位相差板。
  7. 請求項に記載の位相差板と、偏光膜とを有する円偏光板であって、
    前記偏光膜が、前記位相差板における前記透明支持体の前記第1の光学異方性層が設けられた側とは反対側の表面に設けられ、
    前記偏光膜の吸収軸と、波長550nmにおける位相差が200〜290nmである光学異方性層の遅相軸とのなす角が、15°または75°である円偏光板。
  8. 請求項のいずれか1項に記載の位相差板、または、請求項に記載の円偏光板を有する画像表示装置。
  9. 位相差板の製造方法であって、
    透明支持体上に設けられた配向膜上に、請求項1または2に記載の液晶組成物を用いて第1の光学異方性層を形成する第1光学異方性層形成工程と、
    前記第1光学異方性層形成工程の後、配向膜を形成せず、ラビング処理を施さずに、液晶組成物を用いて第2の光学異方性層を形成する第2光学異方性層形成工程とを有する、位相差板の作製方法。
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