JP7395130B2 - 二成分現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式に用いられる二成分現像剤に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高生産性が要求されるようになってきている。さらに、市場の広がりとともに、さまざまな環境変動下においても色味や濃度が変動せず高画質を維持すること(環境安定性)が現像剤に求められてきている。またさらに、長期間にわたり高速かつ多量に出力する場合であってもカブリや濃度ムラを抑制しかつ濃度を変動させず高画質を維持すること(耐久安定性)が現像剤に求められてきている。
これら市場の要求に対し、下記のように現像剤の帯電特性を安定化する技術が開示されている。
たとえば、トナー由来成分のキャリアへの移行により、帯電能が低下することは広く知られており、キャリアの低表面自由エネルギー化のため、キャリア表面にフッ素樹脂コートを行うことも知られている。
しかし、フッ素樹脂コートは脆い性質があり、長期間の使用によって、キャリア表面のトナー由来成分による汚染にともなって樹脂コートが剥離し、低抵抗であるキャリアコアが露出することによって低抵抗化しやすい。低抵抗化するとトナーに対する帯電付与性が小さくなるため、キャリアが受けるカウンターチャージも小さくなる。カウンターチャージが小さいキャリアに、現像スリーブに印加された現像バイアスによって電荷が注入され、キャリア表面の電荷極性が反転し、トナーと同極性に帯電し、キャリアが画像部に飛翔し、キャリア付着の増加という問題が発生する場合がある。
前記課題を改善する例として、特許文献1では被覆樹脂中にフッ素元素、ケイ素元素、窒素元素を含有させた樹脂被覆層形成がなされたキャリアが開示されている。
また、特許文献2では、N-イソプロピルアクリルアミド及び/又はN-イソプロピルメタクリルアミドを必須成分とするビニル重合体を、キャリアコアを被覆する被覆層に含有させたキャリアが開示されている。
特許第3810005号公報 特開2008-233341号公報
特許文献2に開示されている方法では、高温高湿下におけるキャリアの帯電量の低下や、低温低湿下におけるキャリアの帯電量の増加がなく、キャリアの帯電量における環境安定性は向上する。しかしながら従来よりもさらなる長時間の使用での、キャリア表面のトナー由来成分による汚染や、それにともなうキャリア表面の樹脂コートの剥離およびキャリアが画像部に飛翔し付着することに関しては、いまだ改善の余地があった。
また、特許文献1に開示されている方法では、耐久安定性は向上するものの、出力環境の変動した際にも高品質な画質のプリント成果物を形成することに関しては、いまだ改善の余地があった。
本発明の目的は、上述した課題を解決するものであり、出力環境の変動や、長期間にわたる使用に際し、安定的にカブリや濃度ムラを抑制しかつ濃度を変動させず高画質を維持することで、環境安定性かつ耐久安定性を高めた二成分現像剤を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、本発明の構成を用いることにより、環境安定性と耐久安定性を両立する二成分現像剤を提供することが可能となった。本発明は以下のとおりである。
本発明は、
トナー粒子及び外添剤を有するトナーと、磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
前記外添剤は、下限臨界溶液温度以上の温度で疎水性を有し、該下限臨界溶液温度未満で親水性を有する温度応答性高分子を含有する樹脂粒子を含み、
該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
該樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
X線光電子分光法による元素分析において、
(i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
該N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
0.1≦N1≦1.5
0.3≦S1≦5.0
45.0≦F1≦65.0
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
を満たすことを特徴とする二成分現像剤である。
本発明により、環境安定性と耐久安定性とを両立する二成分現像剤を提供することができる。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明者らは、環境安定性と耐久安定性の更なる向上を目的として、鋭意検討をした結果、トナー粒子及び外添剤を有するトナーと、磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
前記外添剤は、下限臨界溶液温度以上の温度で疎水性を有し、該下限臨界溶液温度未満で親水性を有する温度応答性高分子を含有する樹脂粒子を含み、
該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
該樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
X線光電子分光法による元素分析において、
(i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
該N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
0.1≦N1≦1.5
0.3≦S1≦5.0
45.0≦F1≦65.0
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
を満たすことを特徴とする二成分現像剤を用いることで、従来にない優れた環境安定性と耐久安定性を両立できることを見出した。
本発明の効果が得られた理由は以下のように考えている。
本発明においては親水性-疎水性に関して温度応答性を有する温度応答性高分子を用いる。
高温高湿環境下においては、トナー粒子の表面に水分がつきやすい状態になるため、トナー表面における帯電が減衰しやすく、したがって帯電量が不足しがちになる。
その一方、低温低湿環境下においては、トナー粒子の表面の水分が少なすぎる状態になることで、局所的に帯電量が過剰になってしまう。
他方、温度応答性高分子とは、一般的には、側鎖に親水性部分と疎水性部分との両方を持つ高分子鎖である分子構造をもっている。
このような分子構造をもつことで、下限臨界溶液温度(以下、LCST(Lower Critical Solution Temperature)と記載する)と呼ばれる温度を有する。
そして、下限臨界溶液温度以上の高温側では、側鎖の疎水性部分によって、分子間における疎水結合が強まり高分子鎖が凝集し、疎水化される。
逆に下限臨界溶液温度未満の低温側では、高分子鎖が伸展することで親水性部分と水分子が結合しやすくなることで親水化される、という性質を有する。
すなわち、環境温度に対する親水性の挙動と疎水性の挙動とが、トナー粒子の表面と温度応答性高分子とで逆転している。そのため、この温度応答性高分子を含有させた樹脂粒子をトナー粒子に外添することで、トナーにおける帯電量の環境温度に対する挙動を平準化することができる。
したがって、こうしたトナーを用いた本発明の二成分現像剤は、優れた環境安定性を有していると考えられる。
さらに、上記トナーを用いた本発明の二成分現像剤におけるキャリア表面の樹脂被覆層が、0.1≦N1≦1.5、0.3≦S1≦5.0、45.0≦F1≦65.0、S1<S2、S1/N1<S2/N2、F1>F2を満たすことで、耐久安定性が向上する。
すなわち、窒素原子が含有されることで、樹脂被覆層をなす原子間のネットワークが増えることにより樹脂被覆層そのものの強度を高めることができる。さらにケイ素原子が樹脂被覆層内部に向けて徐々に多くなる組成分布の傾斜を有することで、機械的な衝撃が層中で分散しやすくなって、樹脂被覆層のキャリアコア粒子に対する密着性が向上される。
またフッ素元素が樹脂被覆層の最表面に多く存在することで、表面自由エネルギーを減少させ上記樹脂粒子が樹脂被覆層の表面に付着することを抑制し、現像剤特性の変動を抑制する。また、このフッ素原子が樹脂被覆層の内部にむけて徐々に少なくなる組成分布の傾斜を有することで、樹脂被覆層の靭性を高めることができると考えられる。
以上の作用が複合的に発揮されることで、耐久においてキャリア特性ならびにトナー特性の変動を抑制でき、耐久安定性を高められていると考えられる。
こうした理由によって本発明の二成分現像剤は、環境安定性と耐久安定性とを両立できると考えられる。
また、さらに好ましい構成として、キャリアコア粒子上に形成された樹脂被覆層の層厚が、50nm以上3000nm以下であることで、よりキャリアコア粒子に対する樹脂被覆層の密着性が高まり、耐久による剥離が抑制され、耐久安定性が向上する。
さらに好ましい構成として、前記S1と前記S2とがS2/S1≧2を満たすことで、よりキャリアコア粒子に対する樹脂被覆層の密着性が高まり、耐久による剥離が抑制され、耐久安定性が向上する。
さらに好ましい構成として、前記N1と前記N2とが0.7≦N1/N2≦1.3を満たすことにより、樹脂被覆層の強度をより高めることができ、樹脂被覆層の部分的欠けを防ぐことで、より耐久安定性が向上する。
さらに好ましい構成として、樹脂被覆層がフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、又は窒素系樹脂を含有することにより、樹脂被覆層の強度をより高めることができ、樹脂被覆層の部分的欠けを防ぐことで、より耐久安定性が向上する。
また、さらに好ましい構成として、上述の温度応答性高分子は、
N原子の位置にアセチル基を有するアクリルアミドとN原子の位置にアセチル基を有するメタクリルアミドとを含む単量体の重合物、
N原子の位置に直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリルアミドとN原子の位置に分岐アルキル基を有する(メタ)アクリルアミドとを含む単量体の重合物及び
N原子の位置に環状エーテル基を有する(メタ)アクリルアミドを含む単量体の重合物からなる群から選択されるいずれかの重合体であることが好ましい。
前記群から選択されるいずれかの重合体を用いることによって、画像形成装置の実使用環境における温度変化範囲により適切に対応した温度応答性を、温度応答性高分子にもたせることができ、それによって環境安定性をより高めることができる。
また、上述の温度応答性高分子は、下限臨界溶液温度が13℃以上30℃以下であることが好ましい。
このような温度範囲に下限臨界溶液温度があることによって、画像形成装置の実使用環境における環境安定性をより高めることができる。
すなわち、高温高湿(たとえば温度30℃、相対湿度80%)の環境下においては、トナー粒子の表面に水分がつきやすい状態になる。その一方、前記下限臨界溶液温度が30℃以下であることによって、上記高温高湿の環境下において、トナー粒子上における、温度応答性高分子を含む樹脂粒子が疎水性を有する。
それによって、トナー表面に水分が過剰につくことを防いで、トナーの帯電量が減少することを抑制する。
他方、低温低湿(たとえば温度10℃、相対湿度5%)の環境下においては、トナー粒子の表面の水分が少なすぎる状態になる。そのため局所的に帯電量が過剰になってしまうが、前記下限臨界溶液温度が13℃以上であることによって、上記低温低湿の環境下で温度応答性高分子を含む樹脂粒子が親水性を有する。それによって、トナー表面の水分がすくなすぎる状態となることを防いで、トナーの帯電が局所的に増大することを抑制する。
このように環境変動に対してトナー表面の水分量を、温度応答性高分子を含む樹脂粒子が相殺することで、トナーの帯電の変動を抑制する。
それによって、環境変動に対して、画像濃度の変動や、カブリの発生を抑制し、高画質を維持することができる、と考えられる。
たとえば、低温低湿(たとえば温度10℃、相対湿度5%)の環境下におけるトナーの帯電量をQLLとし、高温高湿(たとえば温度30℃、相対湿度80%)の環境下におけるトナーの帯電量をQHHとする。
このときQHH/QLLが65%以上であると、高温高湿と低温低湿とを変動する環境変動に対して画像濃度の変動やカブリの発生を従来よりも十分に抑制することができる。
また、中温中湿(たとえば温度23℃、相対湿度50%)の環境下におけるトナーの帯電量をQNNとする。
このときQHH/QNNが80%以上であると、高温高湿と中温中湿とを変動する環境変動に対して画像濃度の変動やカブリの発生を従来よりも十分に抑制することができる。
また、QNN/QLLが80%以上であると、中温中湿と低温低湿とを変動する環境変動に対して画像濃度の変動やカブリの発生を従来よりも十分に抑制することができる。
上述の理由により、優れた環境安定性と耐久安定性を両立する現像剤を得るに至った。
以下に、本発明において好ましい二成分現像剤を詳述する。
(磁性キャリア)
本発明の二成分現像剤に使用する磁性キャリアについて説明する。
磁性キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等の磁性キャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型の磁性キャリアコアも用いることができる。
本発明の磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子と磁性キャリアコア粒子の表面を被覆(コート)する樹脂被覆層からなる。樹脂被覆層に用いられる樹脂としては、フッ素元素を含有する樹脂、ケイ素元素を含有する樹脂、窒素元素を含有する化合物である。
本発明の磁性キャリアにおける樹脂被覆層のフッ素元素を含有する樹脂としては、以下に挙げる樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂が好ましく、FEP又はPFAが特に好ましい。ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(より具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン等)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)。
フッ素元素を含有する樹脂の添加量としては磁性キャリアコア100部に対して0.40部以上、5.20部以下であることが好ましく、より好ましくは0.55部以上4.90部以下である。
本発明の磁性キャリアにおける樹脂被覆層のケイ素元素を含有する樹脂としては、シリコーン樹脂などが挙げられるが、メチルシリコーン樹脂又はメチルフェニルシリコーン樹脂が好ましい。中でも特に好ましいのはメチルシリコーン樹脂である。シリコーン樹脂は、主鎖としてシロキサン結合「Si-O-Si」を有し、側鎖として有機基を有する。メチルシリコーン樹脂は、側鎖の有機基としてメチル基のみを有する。メチルフェニルシリコーン樹脂は、側鎖の有機基としてメチル基及びフェニル基を有する。シリコーン樹脂が優れた耐久性を有するためには、シリコーン樹脂の主鎖(シロキサン結合:Si-O-Si)同士が3次元的につながっていることが好ましい。
ケイ素元素を含有する樹脂の添加量としては、磁性キャリアコア100部に対して0.15部以上、1.60部以下であることが好ましい。
本発明の磁性キャリアにおける樹脂被覆層の窒素元素を含有する化合物としては、含窒素系樹脂や含窒素化合物が挙げられる。含窒素系樹脂としては、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、又はアニリン系樹脂が挙げられる。また、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、含フッ素系ポリアミドイミド樹脂等も好ましく使用できる。また含窒素化合物としては、アミノシランカップリング剤等も好ましく使用できる。
窒素元素を含有する化合物の添加量としては、磁性キャリアコア100部に対して0.03部以上、0.14部以下であることが好ましい。
本発明のように、磁性キャリア最表層から深さ40nmの位置に向けてケイ素原子の比率が多く、フッ素原子の比率は少なくなるような具体的な方法としては、まず第一被覆層としてシリコーン樹脂を被覆し、熱により硬化させる。その際にアミノシランカップリング剤をシリコーン樹脂に添加しても良い。次に第二被覆層としてシリコーン樹脂を熱硬化させない状態で被覆する。その際にアミノシランカップリング剤をシリコーン樹脂に添加しても良い。そして第三被覆層としてフッ素含有樹脂を被覆後、加熱して樹脂を硬化させる。
最表層の原子比率や最表層から深さ40nmの位置での原子比率は、使用する樹脂の種類や添加量により調整可能である。
樹脂コートキャリアは、上記のフッ素元素を含有する樹脂、ケイ素元素を含有する樹脂、窒素元素を含有する化合物以外に、以下に示すものを併用して使用することも可能である。スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン-アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。
<磁性キャリアのX線光電子分光法による元素分析方法>
磁性キャリアの元素分析は、X線光電子分光分析(XPS)を用いて、以下のように測定する。測定サンプルとしては、XPS専用プラテン上に加工されたφ2mm・深さ2mmのサンプルセット孔に、磁性キャリアをセットする。そして、下記XPS装置により、X線照射箇所およびGCIB(ガスクラスターイオンビーム)照射によるスパッタリング箇所を、上記サンプルセット孔部に設定する。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeII
照射線:Al-Kα線
ビーム径:100μm
出力:25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
Stepsize:0.125eV
XPSピーク:F1s、Si2p、N1s、C1s、O1s
測定範囲:300μm×200μm
以上の条件よりN1、S1、F1(原子%)の測定を行った。
更に、以下のスパッタ条件により、磁性キャリア表面から深さ40nmの位置までスパッタを行い、上記測定条件により測定した値をN2、S2、F2(原子%)とした。
GUNタイプ:GCIB(ガスクラスターイオンビーム)
SputterSetting:20kV
なお、深さ40nmの位置に関しては、事前にスパッタレート(時間に対する深さのレート)を測定し、40nmに相当するスパッタ時間を算出し、算出された時間スパッタすることで、深さ40nmの位置までスパッタしたものとした。
本発明の磁性キャリアを好ましく製造する方法としては、磁性キャリアコア粒子を浮遊流動させながら被覆樹脂溶液をスプレーし、磁性キャリアコア粒子の表面に樹脂被覆層を形成させる方法及びスプレードライ法が挙げられる。かかる流動床被覆装置を使用する場合には、特に流動層の形成状態及び被覆樹脂を溶解した樹脂溶液の噴霧形式が重要である。前述した流動層の形成状態としては、磁性キャリアコア粒子の凝集が起こらず、かつ、効率良く被覆層を形成するため流動層内に回転式底板ディスクと撹拌羽根を設け、旋回流を形成させながら被覆を行う方式を挙げることができる。
具体的にはかかる手法としては、
(1)流動層を円筒の管体内を上昇する気体流によって形成する。
(2)更に、被覆樹脂溶液を流動層の移動方向に対して垂直方向から供給する。
(3)かつ樹脂溶液の噴霧圧が1.5kg/cm以上でスプレー塗布される
ことを特徴とする磁性キャリア製造方法を挙げることができる。
樹脂被覆層の平均層厚は、磁性キャリアコア粒子に対する樹脂成分の添加量を変更することで調整可能である。例えば被覆樹脂成分量を増やすことで樹脂被覆層の平均層厚は厚くなる。
<樹脂被覆層の膜厚の測定>
樹脂被覆層の膜厚は、磁性キャリアの断面を透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)で観察し、樹脂被覆層の厚みを計測した。
具体的には、アルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E-3500)を用い、磁性キャリアをイオンミリングした。そして透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)にて磁性キャリア断面の樹脂被覆層の厚みを1粒子につき任意に5点測定した。
磁性キャリア10粒子に対して上記と同様の測定を行い、得られた樹脂被覆層の厚みの測定値50点の平均値を平均層厚とした。イオンミリング測定条件は下記の通りである。
ビーム径 :400μm(半値幅)
イオンガン加速電圧 :5kV
イオンガン放電電圧 :4kV
イオンガン放電電流 :463μA
イオンガン照射電流量 :90μA/cm/1min
<樹脂粒子>
トナー表面に、親水性-疎水性に関して温度応答性を有する温度応答性高分子を含有する樹脂粒子を配置することによって、環境安定性を良化させることができる。
温度応答性高分子の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。N-イソプロピルアクリルアミド、N-ノルマルプロピルアクリルアミド、N-ノルマルプロピルメタクリルアミド、N-(エトキシエチル)アクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-シクロプロピルアクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、N-アクリロイルピロリジン、N-アクリロイルピペリジン、又はメチルビニルエーテルといったモノマー。
また、これらモノマーを重合させた温度応答性高分子も好ましい。
たとえば、N-ノルマルプロピルアクリルアミドとN-イソプロピルアクリルアミドとの重合物、N-アセチルアクリルアミドとN-アセチルメタクリルアミドとの重合物も好ましい。
こうした温度応答性高分子の製法としては、上記モノマーを重合した高分子を作製できれば特に限定されない。例えば溶液重合、懸濁重合、塊状重合により重合することができる。
外添剤として用いる樹脂粒子としては、外添剤樹脂として例えばエポキシ樹脂など熱硬化性樹脂を用いて、その中に、上記温度応答性高分子が分散している。
このような樹脂粒子の製法としては、上記外添剤樹脂と温度応答性高分子を溶液に溶解させたのち造粒させることができれば特に限定はされない。好ましくは噴霧造粒が挙げられる。
<シリカ粒子>
本発明で用いることが好ましいシリカ粒子は、シリカ(即ちSiO)を主成分とする粒子であり、その製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
ケイ素化合物をガス状にして、火炎中において分解・溶融させる火炎溶融法。四塩化ケイ素を、酸素、水素、希釈ガス(例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素など)の混合ガスとともに、高温で燃焼させる気相法(乾式法シリカ、ヒュームドシリカ)。金属ケイ素粉末を酸素-水素からなる化学炎で直接酸化させてシリカ微粉末を得る気相酸化法。水が存在する有機溶媒中で、触媒を用いてアルコキシシランを加水分解し、縮合反応させた後、得られたシリカゾル懸濁液から、溶媒除去し、乾燥させる湿式法(ゾルゲルシリカ)。水ガラス水溶液と、鉱酸とを接触させることによって、シリカを生成析出、沈降させて得る沈降法。石英を粉砕することによって得る方法。
また、上記のような製造方法によって得られたシリカ微粒子を分級処理および/または解砕処理によって、所望の体積平均粒径を持つシリカ微粒子にする方法も採用してもよい。体積平均粒径は、体積基準での平均粒径である。シリカ微粒子の中でも、より高抵抗であり、湿度の影響を受けにくいことから、気相法または火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子がより好ましい。気相法または火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子を用いる場合、原料ガス供給速度や、可燃性ガスの供給量および/または酸素比率などによって、シリカ微粒子の一次粒子の体積平均粒径や体積基準での粒度分布を制御することが可能である。
反応系内を瞬間的にシリカの融点以上にすることが可能であり、粒径を制御するためには気相酸化法も好ましい製法である。
トナーの無機微粒子は、表面処理によって表面が疎水化されていることが好ましい。表面が疎水化されていることで、シリカ微粒子の吸湿が抑えられ、トナーの帯電性が高まり、耐久時においても帯電しやすくなり、安定した画像濃度が得られやすい。
表面処理としては、例えば、シランカップリング処理、オイル処理、フッ素処理、アルミナ被膜を形成する表面処理などが挙げられる。複数種の表面処理を併用することも可能であり、それらの処理の順序も任意に選択することが可能である。
トナーの無機微粒子は、表面処理剤としてジメチルジクロロシラン、またはヘキサメチルジシラザンを用いて表面処理されたものが好ましい。
シランカップリング剤による無機微粒子の表面処理の方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
無機微粒子を撹拌することによってクラウド状としたものに、気化したシランカップリング剤を反応させる乾式法。
無機微粒子を溶媒中に分散させ、シランカップリング剤を滴下反応させる湿式法。
無機微粒子のオイル処理に用いられるオイルとしては、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル、各種変性オイルなどが挙げられる。より具体的には、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
<チタン酸ストロンチウム粒子>
本発明で用いることが好ましいチタン酸ストロンチウム粒子は、例えば、常圧加熱反応法により製造することができる。
このとき、酸化チタン源としてチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用い、チタン以外の金属源としては水溶性酸性金属化合物を用いるとよい。そして、該原料の混合液に60℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理する方法で製造することができる。
以下、該常圧加熱反応法について説明する。
酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いる。好ましくは、硫酸法で得られたSO含有量が1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下のメタチタン酸を塩酸でpHを0.8以上1.5以下に調整して解膠したものを用いる。
一方、チタン以外の金属源としては、金属の硝酸塩又は塩酸塩などを使用することができる。
硝酸塩としては例えば、硝酸ストロンチウムを使用することができる。塩酸塩としては例えば、塩化ストロンチウムを用いることができる。ここで得られるチタン酸ストロンチウム粒子はペロブスカイト結晶構造を有するため、帯電の環境安定性がさらに向上する点で好ましい。
アルカリ水溶液としては、苛性アルカリを使用することができるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
該製造方法において、得られるチタン酸金属粒子の粒子径に影響を及ぼす因子としては、メタチタン酸を塩酸で解膠する際のpH、酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、などが挙げられる。さらには、アルカリ水溶液を添加するときの温度、添加速度、反応時間及び撹拌条件などが挙げられる。特に、アルカリ水溶液の添加後に、氷水中に投入するなどして急激に系の温度を低下させて反応を停止させると、結晶成長が飽和する中途で強制的に反応を停止でき、広い粒度分布を得やすい。また、撹拌速度を低下する、撹拌方法を変更する、などして反応系の状態を不均一な状態にすることでも、広い粒度分布を得ることができる。
これらの因子は、目的の粒子径及び粒度分布のチタン酸金属粒子を得るため適宜調整することができる。なお、反応過程に於ける炭酸塩の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応させるなど、炭酸ガスの混入を防ぐことが好ましい。
反応時の酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合は、チタン以外の金属をMで示し、その酸化物をMOで示したとき、MO/TiOのモル比で、0.90以上1.40以下であることが好ましく、1.05以上1.20以下であることがより好ましい。ただし、XはMがアルカリ土類金属であるときは1、Mがアルカリ金属のとき2である。
O/TiO(モル比)が1.00以下の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存しやすくなる。相対的にチタン以外の金属源は水への溶解度が高いのに対し酸化チタン源は水への溶解度が低いため、MO/TiO(モル比)が1.00以下の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存しやすくなる傾向にある。
反応初期の酸化チタン源の濃度としては、TiOとして0.050モル/L以上1.300モル/L以下であることが好ましく、0.080モル/L以上1.200モル/L以下であることがより好ましい。
反応初期の酸化チタン源の濃度を高くすることで、チタン酸金属粒子の一次粒子の個数平均粒径を小さくすることができる。
アルカリ水溶液を添加するときの温度は、100℃超ではオートクレーブなどの圧力容器が必要であり、実用的には60℃以上100℃以下の範囲が適切である。
また、アルカリ水溶液の添加速度は、添加速度が遅いほど大きな粒子径のチタン酸金属粒子が得られ、添加速度が速いほど小さな粒子径のチタン酸金属粒子が得られる。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対し0.001当量/h以上1.2当量/h以下であることが好ましく、より好ましくは0.002当量/h以上1.1当量/h以下である。これらは、得ようとする粒子径に応じて適宜調整することができる。
該製造方法においては、常圧加熱反応によって得たチタン酸金属粒子をさらに酸処理することが好ましい。常圧加熱反応を行って、チタン酸金属粒子を製造する際に、酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合がMO/TiO(モル比)で、1.00を超える場合、次のことが起こりやすい。すなわち反応終了後に残存した未反応のチタン以外の金属源が空気中の炭酸ガスと反応して、金属炭酸塩などの不純物を生成しやすい。また、表面に金属炭酸塩などの不純物が残存すると、疎水性を付与するための表面処理をする際に、不純物の影響で表面処理剤を均一に被覆しにくくなる。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応の金属源を取り除くため酸処理を行うとよい。
酸処理では、塩酸を用いてpH2.5以上7.0以下に調整することが好ましく、pH4.5以上6.0以下に調整することがより好ましい。
酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸などを酸処理に用いることができる。硫酸を用いると、水への溶解度が低い金属硫酸塩が発生しやすい。
本発明において用いられ得るチタン酸ストロンチウムは、表面処理が可能であり、立方形状または直方体状に作製可能であれば特に限定されない。また、チタン酸金属粒子の形状を制御する方法として、乾式で機械的処理を施す方法を用いてもよい。
表面処理剤は特に限定はされないが、ジシリルアミン化合物、ハロゲン化シラン化合物、シリコーン化合物又はシランカップリング剤が挙げられる。
ジシリルアミン化合物は、ジシリルアミン(Si-N-Si)部位を有する化合物である。ジシリルアミン化合物の例としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N-メチル-ヘキサメチルジシラザン又はヘキサメチル-N-プロピルジシラザンが挙げられる。ハロゲン化シラン化合物の例としては、ジメチルジクロロシランが挙げられる。
シリコーン化合物の例としては、シリコーンオイル又はシリコーン樹脂(ワニス)が挙げられる。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル又はフッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。シリコーン樹脂(ワニス)としては、メチルシリコーンワニス、フェニルメチルシリコーンワニスが挙げられる。
シランカップリング剤の例としては、アルキル基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又はアミノ基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又は含フッ素シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としてより具体的には、以下のものが挙げられる。ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルジエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルジメトキメチルシラン又はγ-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、1,1.1-トリフルオロヘキシルジエトキシシランなど。
特にトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシランなどのフッ素系のシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
また、好ましい処理剤の量としては、チタン酸ストロンチウム粒子100質量部に対し、0.5~20.0質量部の量で処理されていることが好ましい。
上述の表面処理剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<トナー粒子>
トナー粒子は、結着樹脂、着色剤を含み、
さらに、該トナー粒子には、トナーに離型性を与えるために、離型剤(ワックス)を用いてもよい。
またトナー粒子には、荷電制御剤として、既知の荷電制御剤を含有させてもよい。
以下、本発明に用いられる、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤について説明する。
<結着樹脂>
トナー粒子は公知の結着樹脂を用いることができる。例えば、結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。
スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエステル樹脂とスチレン系共重合樹脂が混合又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂が挙げられる。さらに好ましくは、結着樹脂として、ポリエステル樹脂を含む態様である。
<結晶性ポリエステル>
本発明におけるトナー粒子は、結晶性ポリエステルを含有することが好ましい。結晶性ポリエステルを含有することで、転写時の放電の影響をより効果的に緩和することができ、エンボス転写性が良好となる。上記特性を効果的に得る上で、結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下含有することが好ましい。
結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、例えば、以下の脂肪族ジオールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-イコサンジオールなど。
脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80モル%以上100モル%以下含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していても良い。例えば、以下のものが挙げられる。2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物を含むビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール。
一方、結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、例えば、以下の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等。さらにこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80モル%以上100モル%以下含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していても良い。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、以下のものが挙げられる。1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の誘導体。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
<着色剤>
本発明におけるトナー粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナーへの分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、樹脂成分の総量に対して0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
<離型剤>
本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化型ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなど。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系共重合モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物など。
特に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックスである。例えば、以下のものが挙げられる。
アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量の炭化水素。石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス。高分子量のオレフィンポリマーを熱分解して得られるオレフィンポリマー。一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス。
さらにプレス発汗法、溶剤法、減圧蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
これらワックスは、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
<トナーの製造方法>
以下では、トナーの製造方法について説明する。
トナー粒子を製造する方法としては、特に限定されないが、顔料などのトナー材料の分散の観点から粉砕法が好ましい。
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、離型剤、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に顔料などを分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕する。更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット、遠心力分級方式のターボプレックス、TSPセパレータ、ファカルティの如き分級機や篩分機を用いて分級する。エルボージェットとしては日鉄鉱業社製のものがあり、ターボプレックス、TSPセパレータ、ファカルティとしてはホソカワミクロン社製のものがある。
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べた。以下、実施例に基づいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り部及び%は、質量基準である。
<磁性キャリアコア粒子の製造例>
・Fe 62.7部
・MnCO 29.5部
・Mg(OH) 6.8部
・SrCO 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。
その後、ステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。
このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
該仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、ジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。さらに、得られたスラリーを、湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
該フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム1.0部、及び、バインダーとしてのポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子の粒度を調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積基準の50%粒径(D50)が37.0μmの磁性キャリアコア粒子を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
第1被覆工程として表1に示す熱硬化型シリコーン樹脂溶液(メチルシリコーン樹脂)を被覆樹脂量が磁性コア粒子100部に対して0.20部になるように、磁性キャリアコア粒子に塗布した。
この塗布においては、流動床内に設けた回転式底板ディスクと撹拌羽とを用いて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用した。
尚、上述の樹脂溶液は、流動床の装置内での移動方向に対して垂直な方向から噴霧した。
次いで、第2被覆工程として表1に示す熱硬化型フッ素樹脂溶液(FEP)(固形分として磁性コア粒子100部に対して1.91部)と熱硬化型メラミン樹脂溶液(固形分として磁性コア粒子100部に対して0.09部)とを撹拌・混合した。それによってキャリア被覆溶液を作製した。
この被覆溶液を流動床内に設けた回転式底板ディスクと撹拌羽とを用いて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用して磁性コア粒子に塗布した。その後、得られたキャリアを流動床中において温度280℃で1時間乾燥して溶剤を除去後、磁性キャリア1を得た。
得られたキャリアに対して、X線光電子分光法による元素分析を行ったところ、N1が0.42、S1が0.71、F1が57.65、N2が0.41、S2が1.60、F2が56.70であった。またキャリアの樹脂被覆層の平均層厚は700nmであった。
各被覆工程において使用した化合物の種類およびその部数と、分析結果を表1に示す。
<磁性キャリア2~17の製造例>
第1被覆工程として表1に示す樹脂または化合物を、磁性コア粒子100部に対して固形分が表1に示す部数となるよう混合し、それ以外は磁性キャリア1と同様に流動床による被覆装置を用いて被覆した。次に第2被覆工程として表1に示す樹脂または化合物を、磁性コア粒子100部に対して固形分が表1に示す部数となるよう混合し、それ以外は磁性キャリア1と同様に塗布した。その後磁性キャリア1と同様に流動床中で加熱、乾燥させ、磁性キャリア2~17を得た。
各被覆工程において使用した化合物の種類およびその部数と、分析結果を表1に示す。
表1において、量は磁性キャリアコア粒子100部に対する部数である。また、樹脂は以下のものを用いた。
FEP:テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体
APTES:3-アミノプロピルトリエトキシシラン
PVDF:ポリビニリデンフルオライド
メチルシリコーン:KR-242A(信越化学社製)
メチルフェニルシリコーン:KR-300(信越化学社製)
メラミン樹脂:メラミン/ホルムアルデヒド/メタノール/水=5/4/1/5質量部含むpH8.5に調整した溶液
Figure 0007395130000001
<外添剤樹脂の製造例>
・ビフェノール 18.3g
・6-ブロモ-1-ヘキサノール 36.4g
・濃度99質量%メタノール 20mL
上記材料を第1反応容器に投入し、温度75℃の窒素雰囲気で第一反応容器内を攪拌した。
続いてKOH含有量86質量%の水酸化カリウム13.0gを濃度99質量%エタノール20mLに溶解させた液を第一反応容器内に滴下した。
滴下終了後、第一反応容器内を攪拌しながら、温度を溶媒の沸点付近まで上げて第一反応容器の内容物の還流を4時間行い、その後、第一反応容器の内容物の温度を室温まで冷却した。
続けて、濃度30質量%硫酸で第一反応容器の内容物を中和し、第一反応容器の内容物を濾過して、反応生成物を分離した。得られた反応生成物を水洗及び乾燥し、白色結晶を得た。
次に第2反応容器内に、上記白色結晶と、エピクロロヒドリン46.4gと、ジメチルスルホキシド22.8gとを入れて圧力を6kPaまで減圧した。そして温度50℃の条件で第2反応容器の内容物の還流を行いながら、濃度48質量%水酸化カリウム水溶液23mLを第2反応容器内に滴下した。
滴下終了後、第2反応容器内を攪拌しながら、フラスコ内容物の温度を70℃まで上げて圧力6kPaかつ温度70℃の条件でフラスコ内容物の還流をさらに1時間行った。
そして第2反応容器内に、メチルイソブチルケトン40mLとイオン交換水45mLとを加えて、第2反応容器内の水酸化カリウム水溶液を希釈した。
ついでイオン交換水100mLを用いて第2反応容器の内容物を洗浄した後、温度を150℃まで上昇させてエピクロロヒドリンを除去した。
こうして外添剤樹脂を得た。
<温度応答性高分子1の製造例>
・ジメチルスルホキシド 510mL
・第1モノマー 6.8g
・第2モノマー 51.7g
・アゾビスイソブチロニトリル 240mg
上記材料を反応容器3に投入した。
ここで第1モノマー種としてN-アセチルアクリルアミド、第2モノマー種としてN-アセチルメタクリルアミドを使用した。
続いて、反応容器3を窒素雰囲気かつ温度76℃の条件で、上記反応容器内容物を4時間攪拌して反応液を得た。
そしてエタノール2100mLを入れた反応容器4を攪拌しながら、上記反応液を滴下した。
滴下終了後、反応容器4をさらに3時間攪拌して沈殿物を得た。続けて、反応容器4内容物を濾過して、沈殿物をエタノールによる洗浄と減圧雰囲気かつ室温で乾燥を行い、温度応答性高分子1を得た。
<温度応答性高分子2~12の製造例>
第一モノマー種とその添加量、第二モノマー種とその添加量を表2に示すようにした以外は、温度応答性高分子1の製造例と同様にして温度応答性高分子2~12を作製した。
<下限臨界溶液温度(LCST)の測定>
得られた温度応答性高分子の下限臨界溶液温度(LCST)を以下の方法で測定した。
温度応答性高分子25mgを、温度5℃の蒸留水5mLに溶解させて、透明な高分子水溶液を得る。
このときの高分子水溶液の透過率を初期透過率として測定した。
ついで高分子水溶液の温度を、5℃から0.5℃/分の速度で上昇させて、高分子水溶液の温度が1℃上昇するごとに、高分子水溶液の透過率を測定した。
以上の透過率の測定には、紫外可視近赤外分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-3600」)を使用した。
そして、昇温後の透過率が初期透過率に対して90%以下となる温度をLCSTと判定した。結果を表2に示す。
透過率が減少する理由は、LCSTより低温側で親水化され水に溶解し透明であった温度応答性高分子が、昇温によってLCSTより高温側で疎水化されることにより、水に対して不溶化して白濁するためと考えられる。
Figure 0007395130000002
<樹脂粒子1の製造例>
・外添剤樹脂 70wt%
・第1温度応答性高分子 15wt%
・第2温度応答性高分子 15wt%
温度25℃環境下において容器内に上記材料を、合計10gとなるように投入し、さらにテトラヒドロフラン(THF)を入れて1.5時間攪拌することで温度応答性高分子をTHFに溶解させ、高分子溶液を得た。
ここで、第1温度応答性高分子種として温度応答性高分子2を、第2温度応答性高分子種として温度応答性高分子10を使用した。
続けて、スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製「FOC-25」)によって噴霧造粒したのち、篩を行って樹脂粒子1を得た。
<樹脂粒子2~22の製造例>
第1温度応答性高分子種とその添加量、第2温度応答性高分子種とその添加量を表3に示すようにした以外は、樹脂粒子1の製造例と同様にして樹脂粒子2~22を作製した。
Figure 0007395130000003
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例>
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.1とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.7まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiOとして1.86モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.4とし解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行ったメタチタン酸をTiOとして1.87モルを採取し、3Lの反応容器に投入した。
該解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を2.15モル添加し、SrO/TiOモル比が1.16となるようにした。
TiO濃度を1.038モル/Lに調整した。
次に、撹拌混合しながら89℃に加温した後、12モル/L水酸化ナトリウム水溶液440mLを40分間かけて添加した。
温度94℃で45分撹拌を続け反応を終了した。
当該反応スラリーを40℃まで冷却し、pH4.9となるまで塩酸を加え20分間撹拌を続けた。
得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過・分離後、120℃の大気中で8時間乾燥した。
続いて乾燥品300gを、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン(株)製 ノビルタNOB-130)に投入した。処理温度30℃、回転式処理ブレード95m/秒で10分間処理を行った。
さらに乾燥品にpH0.1となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを40℃に調整し、塩酸を加えpH2.5に調整した。
次に、固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持を続けた。
5モル/L水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.1に調整し1時間撹拌を続けた。
ろ過・洗浄を行い得られたケーキを130℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウムの粒子を得た。
こうして得られたチタン酸ストロンチウムの個数平均粒径は37nm程度であった。
<シリカ粒子の製造例>
一次粒子の体積平均粒径が80nm、BET比表面積25m/gの気相法シリカ粉を反応槽に入れて窒素雰囲気下で撹拌しながら、このシリカ粉100gに対して、ヘキサメチルシラザン4gをスプレーし、204℃の雰囲気温度で、30分間撹拌した。なお、「気相法シリカ粉」とは乾式法(気相法)により製造されるシリカ粉を意味する。
その後、24℃まで冷却してシリカ粒子を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:73.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:22.4質量部(0.13モル;多価カルボン酸総モル数に対して82.0mol%)
・アジピン酸:4.3質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.51質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、202℃の温度で撹拌しつつ、4.5時間反応させ、結着樹脂Aを得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は90℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂の合成例>
・ドデカンジオール:34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・セバシン酸:65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持した状態で、4時間反応させた後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻し、結晶性ポリエステル樹脂を得た。軟化点は82℃だった。
(トナーの製造例)
<トナー粒子の製造例>
・結着樹脂 100部
・結晶性ポリエステル樹脂 5部
・フィッシャートロプシュワックス(融点:90℃) 6部
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)で予備混合した後、二軸混練押し出し機(PCM-30型、株式会社池貝製)によって、160℃で溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで1mm以下に粗粉砕した後、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。
得られた微粉砕物を、ファカルティ(F-300、ホソカワミクロン社製)を用いて分級した。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。こうしてトナー粒子を得た。
<トナー1の製造例>
次に、上述のようにして得られたトナー粒子に対し、下記の外添処理を行った。
・トナー粒子 100部
・樹脂粒子1 1.0部
・シリカ粒子 1.0部
・チタン酸ストロンチウム粒子 1.4部
上記処方で示した材料をヘンシェルミキサー(FM-10C型、日本コークス(株)製)を用いて、混合した。ヘンシェルミキサーの運転条件は回転数4000rpm、回転時間2min、加熱温度は室温とした。その後目開き54μmの超音波振動篩を通過させ、トナー1を得た。
<トナー2~22の製造例>
トナー1の製造例において、表4に示すように添加する樹脂粒子種を変更する以外は同様の操作を行い、トナー2~22を得た。
Figure 0007395130000004
<現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、現像剤1を得た。
<現像剤2~30の製造例>
現像剤1の製造例において、表5に示すように変更する以外は同様の操作を行い、現像剤2~30を得た。
Figure 0007395130000005
[実施例1]
<初期環境安定性の評価>
現像剤1を10gプラスチックボトルに秤量し、温度30℃、相対湿度80%の環境(以下「H/H環境」)下で24時間静置した。
その後、振盪器(YS-LD、(株)ヤヨイ製)を用いて、H/H環境下で、1分間に150往復の速さで30分間振盪し、現像剤中のトナーを帯電させた。
トナーの帯電量は、ホソカワミクロン(株)のEspartアナライザーにて測定した。Espartアナライザーは、電場と音響場を同時に形成させた検知部(測定部)に試料粒子を導入し、レーザードップラー法で粒子の移動速度を測定して、粒径と帯電量を測定する装置である。装置の測定部に入った試料粒子は、音響場と電場の影響を受け、水平方向に偏倚しながら落下し、この水平方向の速度のビート周波数がカウントされる。カウント値は、コンピュータに割り込みで入力され、リアルタイムでコンピュータ画面に粒子径分布又は単位粒径当たりの帯電量分布が示される。そして、所定の個数分の帯電量が測定されると画面は停止し、その後、帯電量と粒子径の3次元分布や粒径別の帯電量分布、平均帯電量(クーロン/重量)などが画面に表示される。Espartアナライザーの測定部に試料粒子として前記二成分現像剤を導入することで、トナーの帯電量を測定できる。
こうして測定されたH/H環境下におけるトナーの帯電量をQHHとする。
一方で、温湿度の条件を温度23℃、相対湿度50%の環境(以下「N/N環境」)下、および、温度10℃、相対湿度5%の環境(以下「L/L環境」)下にした以外は同様の方法により、前記トナーを帯電させた。
こうして測定された、N/N環境下におけるトナーの帯電量をQNNとし、L/L環境下におけるトナーの帯電量をQLLとする。
そして、初期帯電環境安定性の指標として、QNN/QLL、QHH/QNN、QHH/QLLを算出し、下記の評価基準に基づいて評価を行った。
評価基準
初期N/N環境とL/L環境と間における環境安定性の指標
A:QNN/QLLが90%以上
B:QNN/QLLが85%以上90%未満
C:QNN/QLLが80%以上85%未満
D:QNN/QLLが80%未満
初期H/H環境とN/N環境と間における環境安定性の指標
A:QHH/QNNが90%以上
B:QHH/QNNが85%以上90%未満
C:QHH/QNNが80%以上85%未満
D:QHH/QNNが80%未満
初期H/H環境とL/L環境と間における環境安定性の指標
A:QHH/QLLが85%以上
B:QHH/QLLが75%以上85%未満
C:QHH/QLLが65%以上75%未満
D:QHH/QLLが65%未満
上記評価基準にしたがって評価した結果を表6に示す。
本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。
<耐久安定性の評価>
画像形成装置として、キヤノン(株)製のフルカラーの複写機(商品名:imageRUNNER ADVANCE C9075 PRO)の改造機を用いた。
各色現像器に現像剤1を入れ、各色補給用現像剤を入れた補給用現像剤容器をセットし、画像を形成し、耐久試験を行いながら各種評価を行った。
なお、耐久試験は、下記Step1からStep2をおこない、合計200,000枚の画像出力で、温湿度を以下のように変化させて行った。
・Step1(1枚目から100,000枚目まで)
温度30℃/相対湿度80%(H/H環境)
画像比率50%のFFH出力チャート
・Step2(100,001枚目から200,000枚目まで)
温度10℃/相対湿度5%(L/L環境)
画像比率50%のFFH出力チャート
ここで、FFHとは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFHが256階調の256階調目(ベタ部)である。
その他の条件は、以下のとおりである。
紙:レーザービームプリンター用紙CS-814(商品名)(81.4g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株))
画像形成速度:A4サイズ、フルカラーで、80枚/分で出力できるように改造した。
現像条件:現像コントラストを任意値で調整可能にし、本体による自動補正が作動しないように改造した。
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)は、周波数:2.0kHz、Vpp:0.7kVから1.8kVまで0.1kV刻みで変えられるように改造した。
各色とも、単色で画像が出力できるように改造した。
各評価項目を以下に示す。
[耐久後カブリ]
上記耐久後、L/L環境において、画像比率100%の00H出力チャート(A4全面ベタ白画像)を10枚出力し、白地部分の白色度をリフレクトメーター(東京電色社製)により測定した。その白色度と転写紙の白色度の差からカブリ濃度(%)を算出し、10枚の中で最もカブリ濃度の高いものを評価した。評価基準は次のとおりである。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上
本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。
結果を表6に示す。
[耐久後画像濃度ムラ]
上記耐久後、L/L環境、H/H環境のそれぞれにおいて画像比率100%のFFH出力チャート(A4全面ベタ画像)を各環境において50枚出力した。
反射濃度は、分光濃度計500シリーズ(X-Rite社製)により画像濃度を測定し、判断した。
測定部位は、下記の合計12点とし、最も高い画像濃度と最も低い画像濃度の差を求めた。
画像の先端(先に画像形成された方)から0.5cmの位置、画像の左端(先に画像形成された方を上側とする。)から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点、
画像の先端から7.0cmの位置、画像の左端から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点、
画像の先端から14.0cmの位置、画像の左端から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点、
画像の先端から20.0cmの位置、画像の左端から5.0cm、15.0cm、25.0cmの3点。
また、50枚のうち最も濃度差のあったものについて、L/L環境およびH/H環境のそれぞれについての平均値を画像濃度ムラとした。
A:0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.15未満
D:0.15以上
本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。
結果を表6に示す。
[各Step耐久前後の画像濃度差]
各Stepの最初と最後に、画像比率100%のFFH出力チャート(A4全面ベタ画像)を1枚出力した。出力した画像は、上記濃度ムラと同様にして反射濃度を測定し、12点の平均値を算出した。
評価は、各Stepの最初と最後の12点平均値の差分において大きい方を下記基準で判定した
A:0.00以上0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.15未満
D:0.15以上
本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。
結果を表6に示す。
[Step1とStep2における耐久試験後の画像濃度差]
Step1とStep2の最後に画像比率100%のFFH出力チャート(A4全面ベタ画像)を1枚出力した。出力した画像は、上記濃度ムラと同様にして反射濃度を測定し、12点の平均値を算出した。
評価は、Step1とStep2の12点平均値の差分を下記基準で判定した。
A:0.00以上0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.20未満
D:0.20以上
本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。
結果を表6に示す。
[耐久後キャリア付着度合]
上記耐久後、画像比率100%の00H出力チャート(A4全面ベタ白画像)を画像出力途中で電源を切り、クリーニングされる前の静電潜像担持体(感光体)の表面を透明な粘着テープを密着させてサンプリングした。そして、1cm×20cm中の静電潜像担持体の表面に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm2当りの付着キャリア粒子の個数を算出し、以下の基準により評価した。評価はシアン単色で行った。
A:0個以上0.5個未満
B:0.5個以上1.0個未満
C:1.0個以上2.0個未満
D:2.0個以上
本発明の効果が得られているレベルはA~Cである。
結果を表6に示す。
[耐久後トナーの機内飛散度合]
上記耐久後、複写機内部を開けて内部のトナーの飛散状況を確認した。判定基準は以下のとおりとした。
A:補給口の周りにのみ、若干飛散がある。
B:補給口の周りにのみ、飛散がある。
C:補給口の周りと周辺に、飛散がある。
D:中間転写体の一部に飛散がある。
本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。ただし、いずれのレベルも複写機外部にトナーが飛散するレベルではない。結果を表6に示す。
<総合評価>
[総合評価]
以上の初期環境安定性および耐久安定性の評価ランクを数値化し(A=3、B=2、C=1、D=0)、合計値を以下の基準により判定を行った。
A:22以上
B:15以上22未満
C:8以上15未満
D:8未満
本発明の効果が得られているレベルはA~Cであると判断した。
結果を表6に示す。
<実施例2~22、及び比較例1~8>
現像剤2~30を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 0007395130000006
以上の結果から、以下のことが示された。
すなわち、トナー粒子と、外添剤とを有するトナーと、磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、前記外添剤は、下限臨界溶液温度以上の温度で疎水性を有し、該下限臨界溶液温度未満で親水性を有する温度応答性高分子を含有する樹脂粒子を含み、
該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
X線光電子分光法による元素分析において、
(i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
該N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、下記の条件を満たすことによって二成分現像剤の環境安定性と耐久安定性を両立させることができる。
0.1≦N1≦1.5
0.3≦S1≦5.0
45.0≦F1≦65.0
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2

Claims (9)

  1. トナー粒子及び外添剤を有するトナーと、磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
    前記外添剤は、下限臨界溶液温度以上の温度で疎水性を有し、該下限臨界溶液温度未満で親水性を有する温度応答性高分子を含有する樹脂粒子を含み、
    該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
    樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
    X線光電子分光法による元素分析において、
    (i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
    該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
    (ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
    該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
    該N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
    0.1≦N1≦1.5
    0.3≦S1≦5.0
    45.0≦F1≦65.0
    S1<S2
    S1/N1<S2/N2
    F1>F2
    を満たすことを特徴とする二成分現像剤。
  2. 前記樹脂被覆層の層厚が、50nm以上3000nm以下である請求項1に記載の二成分現像剤。
  3. 前記S1と前記S2とが、
    S2/S1≧2
    を満たす請求項1又は2に記載の二成分現像剤。
  4. 前記N1と前記N2とが、
    0.7≦N1/N2≦1.3
    を満たす請求項1~3のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  5. 前記樹脂被覆層は、フッ素系樹脂を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  6. 前記樹脂被覆層は、シリコーン系樹脂を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  7. 前記樹脂被覆層は、窒素系樹脂を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  8. 前記温度応答性高分子は、
    N原子の位置にアセチル基を有するアクリルアミドとN原子の位置にアセチル基を有するメタクリルアミドとを含む単量体の重合物、N原子の位置に直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリルアミドとN原子の位置に分岐アルキル基を有する(メタ)アクリルアミドとを含む単量体の重合物及びN原子の位置に環状エーテル基を有する(メタ)アクリルアミドを含む単量体の重合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~7のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  9. 前記温度応答性高分子は、前記下限臨界溶液温度が13℃以上30℃以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の二成分現像剤。

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