JP7388861B2 - パネル積載ラック及びパネル施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パネル積載ラック及びパネル施工方法に係り、特に、建築用パネルを積載するとともに、積載された建築用パネルを建物本体の所定部位に向かって吊り上げる際に用いられるパネル積載ラック及びパネル施工方法に関する。
従来から、工場にて製造された幅や厚さの異なる建築用パネルを運搬するために、当該建築用パネルを積載することが可能な積載ラックが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
具体的な積載、運搬方法について説明すると、工場の製造ラインから取り出された直後の建築用パネル(例えば、外壁パネルや庇パネル)は、積載ラックに水平に積載された状態で工場内に保管される。その後、積載ラックに水平に積載された状態でトラック等の運搬車両に積み込まれ、施工現場に運搬される。
運搬された建築用パネルは、施工現場に据え付けられたレッカー等によって積載ラックとともに積み下ろされ、施工現場に保管される。そして、施工現場に据え付けられたクレーン等によって、一枚ずつ吊り上げられ、建物本体の所定部位に取り付けられる。
特開2016-89567号公報 特開2018-104041号公報
ところで、特許文献1、2のような積載ラックを用いた場合、上述した通り、工場から施工現場までの積載、運搬作業においては作業者が比較的効率良く作業することができる。しかしながら、施工現場において建物本体に建築用パネルを取り付ける際には、一般にクレーン等によって建築用パネルを直接吊り上げていたため、吊り上げ作業中に例えば建築用パネルが他の建築用部材に接触してしまうと、当該建築用パネルの仕上げ面材が損傷、破損等してしまう虞があった。
そのため、建築用パネルの積載、運搬作業を効率良くするとともに、建築用パネルを安定して吊り上げることができ、吊り上げた建築用パネルを建物本体に効率良く取り付けることが可能な技術が求められていた。
特に、各種の建築用パネルのうち、矩形状のパネルフレームの上面、前面及び両側面に仕上げ面材が固定されてなる庇パネル等の建築用パネルにおいて、当該仕上げ面材の損傷、破損等を防止することが可能な技術が求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、建築用パネルの積載、運搬、吊り上げ作業を効率良く行うことが可能なパネル積載ラック及びパネル施工方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、建築用パネルを安定して吊り上げることができ、吊り上げた建築用パネルを安定して建物本体に設置することが可能なパネル積載ラック及びパネル施工方法を提供することにある。
前記課題は、本発明のパネル積載ラックによれば、建築用パネルを水平に積載するとともに、積載された該建築用パネルを建物本体の所定部位に向かって水平に吊り上げる際に用いられるパネル積載ラックであって、前記建築用パネルを下方から支持するために所定の間隔を空けて設けられた一対のパネル受け部材を備え、前記パネル受け部材は、前記建築用パネルを挟むように間隔を空けて設けられ、上下方向に延びている一対の支柱部と、該一対の支柱部を連結するように延びて、前記建築用パネルを上面に載置するためのパネル受け部と、を有し、該パネル受け部の所定位置には、前記建築用パネルを載置した状態で該建築用パネルを固定するためのパネル固定部が設けられ、前記支柱部の所定位置には、吊り上げ装置によって前記パネル積載ラックを吊り上げるためのラック吊り上げ部が設けられていること、により解決される。
上記構成により、建築用パネルの積載、運搬、吊り上げ作業を効率良く行うことが可能なパネル積載ラックを実現することができる。
詳しく述べると、建物本体の所定部位に建築用パネルを取り付けるにあたって、吊り上げ装置によって建築用パネルを直接吊り上げるものではなく、建築用パネルが積載されたパネル積載ラックを吊り上げるため、建築用パネルを安定して吊り上げることができ、かつ、吊り上げた建築用パネルを建物本体に効率良く設置することができる。
また上記構成により、例えば庇パネルのように、水平に積載され、建物本体の所定部位に向かって水平に吊り上げられる建築用パネルの吊り上げ作業を効率良く行うことが可能なパネル積載ラックとなる。
このとき、記パネル固定部は、前記パネル受け部の上面に設けられ、該パネル受け部の長尺方向において間隔を空けて複数配置されており、前記ラック吊り上げ部は、前記支柱部の上方部分に設けられていると良い。
た、パネル固定部がパネル受け部の長尺方向において間隔を空けて配置されており、かつ、ラック吊り上げ部が支柱部の上方部分に設けられているため、建築用パネルをより安定させて積載、運搬し、吊り上げることができる。
このとき、前記パネル積載ラックは、前記建物本体の所定部位に前記建築用パネルをそのまま水平状態で上下方向から設置するために用いられ、前記パネル受け部材の長尺方向において前記建築用パネルを挟むように間隔を空けて設けられ、前記一対のパネル受け部材を連結する一対のつなぎ部材をさらに備え、該つなぎ部材は、前記パネル受け部材のうち、前記支柱部に設けられたつなぎ取り付け部に取り付けられ、前記パネル受け部よりも上方位置に配置されていると良い。
上記構成により、例えば庇パネルのように、建物本体の所定部位にそのまま水平状態で上下方向から設置される建築用パネルを安定して吊り上げることができ、かつ、効率良く設置することができる。
また、つなぎ部材が、パネル受け部よりも上方位置に配置されているため、例えば、建物本体の所定部位に建築用パネルを設置するにあたって、つなぎ部材と、建物本体の所定部位とが上下方向で干渉してしまうことを抑制でき、建築用パネルを安定して設置することができる。
このとき、前記パネル受け部材は、上下方向に複数重ねたときに前記建築用パネルを水平に収容可能な間隔を空けて互いに着脱可能に設けられていると良い。
上記構成により、パネル積載ラックに対し建築用パネルを上下方向に複数積載することができ、かつ、積載ラックを分割することで建築用パネルを1枚ずつ効率良く吊り上げることができる。
また前記課題は、上記パネル積載ラックを利用したパネル施工方法であって、前記建築用パネルを下方から支持するために所定の間隔を空けて設けられた一対のパネル受け部材を有する前記パネル積載ラックに前記建築用パネルを水平に積載するパネル積載工程と、前記パネル受け部材の所定位置に設けられたパネル固定部に前記建築用パネルを載置した状態で固定するパネル固定工程と、前記パネル受け部材の所定位置に設けられたラック吊り上げ部に吊り上げ装置の一部を取り付けて、前記建築用パネルが固定された前記パネル積載ラックの少なくとも一部を前記建物本体の所定部位に向かって水平に吊り上げるパネル吊り上げ工程と、前記建物本体の所定部位に前記建築用パネルをそのまま積載された状態で設置するパネル設置工程と、設置された前記建築用パネルを前記パネル積載ラックから取り外すパネル取り外し工程と、を含むパネル施工方法によっても解決される。
このとき、記パネル設置工程では、前記建物本体の所定部位に前記建築用パネルをそのまま水平状態で上下方向から設置すると良い。
上記構成により、例えば庇パネルのように、水平に積載され、建物本体に向かって水平に吊り上げられ、建物本体の所定部位にそのまま水平状態で上下方向から設置される建築用パネルを効率良く、かつ安定して施工することができる。
このとき、前記パネル積載工程では、前記一対のパネル受け部材によって前記建築用パネルの間口方向の両端部が支持されるようにして前記建築用パネルを積載し、前記パネル設置工程では、前記一対のパネル受け部材と、前記建物本体の所定部位とが上下方向で重ならないようにして前記建築用パネルを水平に設置すると良い。
上記構成により、建築用パネルを一層安定して吊り上げることができる。
また、吊り上げた建築用パネルを効率良く、かつ安定して設置することができる。
また、建物本体の所定部位に建築用パネルを設置するにあたって、一対のパネル受け部材と、建物本体の所定部位とが上下方向で干渉してしまうことを抑制でき、建築用パネルを効率良く、かつ安定して設置することができる。
このとき、前記パネル施工方法は、板状のパネルフレームと、該パネルフレームの表面に固定される仕上げ面材とを有する前記建築用パネルを施工するために用いられ、前記パネル固定工程では、前記パネル固定部に対し前記パネルフレームに設けられた被固定部を上下方向から固定し、前記パネル設置工程では、前記建物本体の所定部位に前記パネルフレームを上下方向から嵌合させることで前記建築用パネルを水平に設置すると良い。
上記構成により、仕上げ面材を有する建築用パネルにおいて仕上げ面材の損傷、破損等を極力防止しながら、当該建築用パネルを積載、運搬、吊り上げ及び設置することができる。
本発明のパネル積載ラック及びパネル施工方法によれば、建築用パネルの積載、運搬、吊り上げ作業を効率良く行うことができる。
また、建築用パネルを安定して吊り上げることができ、吊り上げた建築用パネルを安定して建物本体に取り付けることができる。
本実施形態のパネル積載ラックを示す斜視図であって、建築用パネルが積載された状態を示す図である。 建築用パネルをパネル積載ラックの一部と共に吊り上げた状態を示す図である。 建築用パネル(庇パネル)を示す斜視図である。 別の角度から見た建築用パネルを示す斜視図である。 建物本体の所定部位に建築用パネルを設置する作業を説明する図である。 上下方向に重ねられたパネル受け部材を示す分解斜視図である。 パネル受け部材及びつなぎ部材を示す斜視図である。 補助パネル受け部材及び補助つなぎ部材を示す斜視図である。 パネル積載ラックを用いたパネル施工方法を示す工程図である。 建物本体に建築用パネルを設置する施工手順を説明する模式図である。 図9Aの施工手順の変形例を説明する模式図である。 第2実施形態のパネル積載ラックを示す斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について図1-図10を参照して説明する。
本実施形態は、建築用パネルを水平に積載し、積載された建築用パネルを建物本体の所定部位に向かって水平に吊り上げる際に用いられるパネル積載ラックを利用したパネル施工方法であって、パネル積載ラックに建築用パネルを積載するパネル積載工程と、パネル受け部材のパネル固定部に建築用パネルを固定するパネル固定工程と、パネル受け部材のラック吊り上げ部に吊り上げ装置の一部を取り付けて、建物本体の所定部位に向かって吊り上げるパネル吊り上げ工程と、建物本体の所定部位に建築用パネルをそのまま積載された状態で設置するパネル設置工程と、設置された建築用パネルをパネル積載ラックから取り外すパネル取り外し工程と、を備えていることを特徴とする発明に関するものである。
本実施形態のパネル積載ラック1は、図1に示すように、建築用パネル2を複数積載した状態で運搬し、保管することが可能なラックであって、例えば、工場で建築用パネル2を水平に積載した状態で保管したり、工場から施工現場まで建築用パネル2を水平に積載した状態で運搬したりするために用いられる。
また、パネル積載ラック1は、図2に示すように、積載された建築用パネル2を建物本体の所定部位に向かって吊り上げる際に用いられ、かつ、当該所定部位に建築用パネル2をそのまま水平状態で上下方向から設置する際に用いられるものである。
建築用パネル2は、図3に示すように、建物を構成する矩形板状の部材であって、具体的には、庇パネルであって、矩形板状のパネルフレーム2aと、パネルフレーム2aの上面、前面及び両側面にそれぞれ固定されている仕上げ面材2bと、から主に構成されている。
パネルフレーム2aの底面において当該パネルフレーム2aの間口方向の両端部分には、パネル積載ラック1に固定するための固定穴2c,2dがそれぞれ形成されている。
また、パネルフレーム2aの底面において固定穴2c及び固定穴2dの間の部分には、図4に示す建物本体Bの所定部位(具体的には、腕木B1)に上下方向から嵌合させるための切り欠き溝2eが間隔を空けて複数形成されている。
なお、建築用パネル2は、「庇パネル」に特に限定されることなく、「外壁パネル」や「屋根パネル」のような片面仕上げパネル、「腰壁パネル」のような両面仕上げパネルであっても良く、各種の建築用パネルを採用することができる。
パネル積載ラック1は、図1に示すように、建築用パネル2を下方から支持するために所定の間隔を空けて設けられた一対のパネル受け部材10と、建築用パネル2を挟むように間隔を空けて配置され、一対のパネル受け部材10を連結する一対のつなぎ部材20と、一対のパネル受け部材10の間に配置され、つなぎ部材20の上面に立設された補助パネル受け部材30と、同じ高さ位置に配置され、互いに隣り合う位置に配置されるパネル受け部材10と補助パネル受け部材30を連結する補助つなぎ部材40と、から主に構成されている。
本実施形態のパネル積載ラック1では、一対のパネル受け部材10が上下方向に3段積み重ねられて構成されている。パネル積載ラック1の1段目には「長尺な建築用パネル」が積載され、2段目には「中尺な建築用パネル」及び「短尺な建築用パネル」が並んで積載され、3段目には「長尺な建築用パネル」が積載されている。
パネル受け部材10は、図1、図5に示すように、建築用パネル2の受け部材であって、金属材料の角パイプ等が加工された略H形状の長尺体からなり、パネル積載ラック1の土台として機能するほか、建築用パネル2を着脱可能に固定する部材としても機能する。
パネル受け部材10は、建築用パネル2の間口方向の両端部を下方から支持するために間隔を空けて2本立設されている。
また、パネル受け部材10は、建築用パネル2を収容可能な間隔を空けて上下方向に複数重ねて配置することができ、互いに着脱可能となるように構成されている。
パネル受け部材10は、建築用パネル2を挟むように間隔を空けて設けられ、上下方向に延びている一対の支柱部11と、一対の支柱部11を連結するように延びて、建築用パネル2を上面に載置するためのパネル受け部12と、から主に構成されている。
なお、パネル受け部12の上面には、水平に積載された建築用パネル2の損傷を抑制するために不図示の弾性体(弾性ゴム材)が間隔を空けて複数取り付けられていても良い。
支柱部11は、図5、図6に示すように、パネル受け部材10を上下方向に複数重ねたときに全体としてパネル積載ラック1の支柱となる部分であって、パネル積載ラック1の4隅に配置されている。
支柱部11は、上下方向に長尺な横断面ロ字形状の本体部11aと、本体部11aの上端部に形成され、上方に突出する横断面コ字形状の係合凸部11bと、本体部11aの下端部に形成され、上下方向に複数重ねたときに係合凸部11bと着脱可能に係合する係合穴部11cと、を有している。
また、支柱部11は、その本体部11aの外側面から互いに反対側に突出するように一対に設けられ、つなぎ部材20を取り付けるためのつなぎ取り付け部11dと、係合凸部11bの外面に形成され、吊り上げ装置によってパネル積載ラック1を吊り上げるためのラック吊り上げ穴11eと、本体部11aの外面に形成され、例えば図10に示す連結バー部材150を取り付けるための取り付け穴11fと、を有している。
つなぎ取り付け部11dは、図5、図6に示すように、縦断面コ字形状からなり、つなぎ部材20の長尺方向の端部を下方から支持する底壁部11daと、底壁部11daの幅方向の両端部からそれぞれ連続して上方に突出し、つなぎ部材20の端部を挟むように設けられた第1側壁部11db及び第2側壁部11dcと、を有している。
そのため、つなぎ取り付け部11dは、つなぎ部材20を両側方及び下方から保持することができる。
ラック吊り上げ穴11eは、図2に示す吊り上げ装置L(吊り上げフックL1)に掛け止めされたワイヤL2の端部を取り付けるための貫通穴であって、パネル積載ラックの四隅に配置されている。
本実施形態では、図2に示すように、パネル積載ラック1を水平に吊り上げるために、長尺な2本の玉掛けワイヤが用いられている。
パネル受け部12は、図5に示すように、断面ロ字形状の長尺体であって、建築用パネル2の間口方向の端部を下方から支持する部分であって、パネル積載ラック1の長尺方向の両端部にそれぞれ配置されている。
パネル受け部12の上面には、建築用パネル2を水平に載置した状態で固定するためのパネル固定穴12aが間隔を空けて複数形成されている。
上記構成において、パネル積載ラック1に建築用パネル2を固定するときには、パネル固定穴12aと、建築用パネル2の底面にある固定穴2c,2dとを上下方向に連通させた状態で不図示の固定ボルトによって締結すればよい。
つなぎ部材20は、図6に示すように、一対のパネル受け部材10を連結する部材であって、金属材料の角パイプ等が加工された長尺体からなり、パネル積載ラック1の剛性を付与する機能のほか、建築用パネル2を挟むように保持する部材としても機能する。
つなぎ部材20の上端部には、補助パネル受け部材30の下端部を上下方向に着脱可能に係合させるための補助係合凸部21が間隔を空けて複数形成されている。
また、つなぎ部材20の下端部のうち、上下方向において補助係合凸部21と対応する位置には、補助パネル受け部材30の上端部を上下方向に着脱可能に係合させるための補助係合穴部22が形成されている。
なお、補助係合凸部21は、係合凸部11bと略同じ形状を有しており、補助係合穴部22は、係合穴部11cと略同じ形状を有している。
補助パネル受け部材30は、図7に示すように、パネル受け部材10と同じ形状を有しており、つなぎ部材20の上面に立設されるものである。
補助パネル受け部材30は、建築用パネル2を挟むように間隔を空けて設けられた一対の支柱部31と、一対の支柱部31を連結するパネル受け部32と、から主に構成されている。
当然ながら、支柱部31は、支柱部11と同じ形状を有しており、パネル受け部32は、パネル受け部12と同じ形状を有している。
補助つなぎ部材40は、パネル受け部材10と補助パネル受け部材30を連結する部材であって、短尺な補助つなぎ部材40Aと、長尺な補助つなぎ部材40Bの2種類が存在する。
補助つなぎ部材40Bの上端部には、補助係合凸部41が間隔を空けて複数形成されている。また補助つなぎ部材40Bの下端部のうち、上下方向において補助係合凸部41と対応する位置には、補助係合穴部42が形成されている。
当然ながら、補助係合凸部41は、補助係合凸部21と同じ形状を有しており、補助係合穴部42は、補助係合穴部22と同じ形状を有している。
本実施形態のパネル積載ラック1では、図1に示すように、補助パネル受け部材30が、パネル積載ラック1の2段目に2本配置されている。
また、補助つなぎ部材40A及び補助つなぎ部材40Bが、パネル積載ラック1の2段目に1本ずつ配置されている。
上記構成において、図1、図6に示すように、つなぎ部材20が、パネル積載ラック1の高さ方向においてパネル受け部12よりも上方位置に配置されており、かつ、建築用パネル2を挟むように設けられている。
そのため、建築用パネル2を安定して積載し、運搬することができる。
また、パネル積載ラック1は、図4に示すように、積載された建築用パネル2を建物本体Bの所定部位に向かって吊り上げる際に用いられるところ、建築用パネル2を安定して吊り上げることができる。
また、パネル積載ラック1は、吊り上げた建築用パネル2(庇パネル)を建物本体Bの所定部位(腕木B1)にそのまま水平状態で上下方向から設置する際に用いられるところ、つなぎ部材20と、建物本体Bの腕木B1とが上下方向で干渉してしまうことを抑制でき、建築用パネル2を安定して設置できる。
また上記構成において、図1、図5に示すように、パネル積載ラック1は、ラック吊り上げ穴11e及びパネル固定穴12aを備えている。
そのため、図2に示す吊り上げ装置Lによって建築用パネル2を直接吊り上げるものではなく、建築用パネル2が積載されたパネル積載ラック1を吊り上げるため、建築用パネル2を効率良く、安定して吊り上げることができる。
また上記構成において、ラック吊り上げ穴11eは、パネル固定穴12aよりも上方位置に配置されており、かつ、パネル固定穴12aよりもパネル積載ラック1の短尺方向において外側位置に配置されている。
そのため、パネル積載ラック1が安定して吊り上げ易い形状、構成となる。その結果、例えば庇パネルのように、水平に積載され、建物本体の所定部位に向かって水平に吊り上げられる建築用パネル2の吊り上げ作業を安定して効率良く行うことができる。
<パネル積載ラックを利用したパネル施工方法>
次に、パネル積載ラック1を利用したパネル施工方法について図8に基づいて説明する。
具体的には、図4に示すように、建築用パネル2(庇パネル)が積載されたパネル積載ラック1を建物本体Bに向かって水平に吊り上げ、建物本体Bの腕木B1に建築用パネル2をそのまま水平状態で上下方向から設置するパネル施工方法について説明する。
パネル積載ラック1を利用したパネル施工方法では、図8に示すように、まず、工場においてパネル積載ラック1を組み立てるラック組み立て工程(ステップS1)から始まる。
具体的には、一対のパネル受け部材10及びつなぎ部材20を1ユニットとして上下方向に複数重ねてパネル積載ラック1を組み立てる。建築用パネル2の大きさに応じて、パネル受け部材10、補助パネル受け部材30及び補助つなぎ部材40を1ユニットとして構成することもできる。
本実施形態では、三段のパネル積載ラック1として組み立てられている。
その後、パネル積載ラック1に建築用パネル2を水平に積載し(ステップS2)、パネル積載ラック1に建築用パネル2を固定する(ステップS3)。
パネル積載工程では、一対のパネル受け部材10によって建築用パネル2の間口方向の両端部が支持されるようにして建築用パネル2を積載する。
なお、同じ高さ位置に一対のパネル受け部材10を設置する毎に1枚の建築用パネル2を載置することで、上下方向に間隔を空けながら複数の建築用パネル2を積載することができる。
パネル固定工程では、パネル受け部材10の上面に形成されたパネル固定穴12aと、建築用パネル2に設けられた固定穴2c,2dとを連通させた状態で、不図示の固定ボルトを用いてパネルを固定する。
その後、建築用パネル2が積載されたパネル積載ラック1を運搬車両によって施工現場に運搬し、施工現場に保管する(ステップS4)。
保管されている間に、図9A(a)に示すように、建物本体Bに腕木B1を設置し、さらに腕木B1に近接した上方部分に外壁パネルB2を設置する(ステップS5)。
なお、この時点で外壁パネルB2を設置しておくことで、作業者の安全をより確保し易くなる。
その後、パネル積載ラック1のラック吊り上げ穴11eに吊り上げ装置Lの一部を取り付けて、図9A(b)に示すように、建築用パネル2が固定されたパネル積載ラック1の一部を建物本体Bに向かって水平に吊り上げる(ステップS5)。
このとき、パネル積載ラック1の一部とは、図1に示すパネル積載ラック1の最上段に位置する一対のパネル受け部材10及び一対のつなぎ部材20であって、建築用パネル2とは、最上段に位置する長尺な建築用パネル2である。
その後、図9A(c)に示すように、建物本体Bの腕木B1に建築用パネル2をそのまま水平状態で上下方向から設置し、仮固定する(ステップS7)。
具体的には、一対のパネル受け部材10と、建物本体Bの腕木B1とが上下方向で重ならないようにして建築用パネル2を水平に設置する。
より具体的には、腕木B1に対し建築用パネル2のパネルフレーム2a(切り欠き溝2e)を上方から嵌合させることで、建築用パネル2を仮固定する。
その後、図9A(d)に示すように、建築用パネル2をパネル積載ラック1から取り外し(ステップS8)、建物本体Bの腕木B1に建築用パネル2を本固定して(ステップS9)、本作業工程を終了する。
なお、建築用パネル2を本固定するためには、腕木B1に沿って建築用パネル2をスライド移動させて建物本体B側に引き寄せた後、腕木B1及び建築用パネル2をボルト固定すれば良い。
上記パネル施工方法であれば、建築用パネル2の積載、運搬作業だけでなく、建築用パネル2を安定して吊り上げることができ、建物本体Bに効率良く設置することができる。
なお、上記作業工程では、図9Aに示すように、建物本体Bに対し建築用パネル2(庇パネル)を設置する前に外壁パネルB2を予め設置しているところ、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、図9Bに示すように、建物本体Bに対し建築用パネル2を設置(仮固定)した後に外壁パネルB2を設置するようにしても良い。その場合には、仮固定された建築用パネル2を足場として利用しながら、作業者が外壁パネルB2を設置することができる。
なお、図9Bに示す施工方法を採用する場合には、図8に示すパネル施工方法において、ステップS5の工程を「建物本体に腕木を設置」に変更し、ステップS8の「パネル取り外し工程」の後にステップS8-2の工程「外壁パネルの設置」を新たに追加すれば良い。
<パネル積載ラックの第2実施形態>
次に、パネル積載ラックの第2実施形態について、図10に基づいて説明する。
なお、上述したパネル積載ラック1と重複する内容については説明を省略する。
第2実施形態のパネル積載ラック101は、一対のパネル受け部材110と、パネル受け部材110同士を連結する一対のつなぎ部材120と、つなぎ部材120の上面に立設される一対の補助パネル受け部材130と、補助パネル受け部材130同士を連結する補助つなぎ部材140と、を備えているほか、パネル受け部材110同士を連結する一対の連結バー部材150と、をさらに備えている。
連結バー部材150は、矩形板状の長尺体からなり、パネル積載ラック1の剛性を付与する連結部材として機能するほか、パネル積載ラック101をフォークリフト等で持ち上げて運搬するときに、当該フォークリフトのフォーク部(ツメ部)を当接させる当接部材としても機能する。
連結バー部材150は、つなぎ部材120よりも下方位置に配置されており、支柱部111に設けられた取り付け穴111fに不図示の固定ボルトを用いて固定されている。
上記構成において、連結バー部材150は、パネル積載ラック1の高さ方向においてパネル受け部112と略同じ高さ位置に配置されており、建築用パネル2よりもやや低い位置に配置されている。
そうすると、建築用パネル2が積載されたパネル積載ラック101をフォークリフト等で持ち上げて運搬するときに、当該フォークリフト(フォーク部)が建築用パネル2の底面に当接してしまうことを避けることができる。
そのため、建築用パネル2が、例えば片面仕上げの庇パネルではなく、両面仕上げのパネルであった場合に、当該仕上げ面材の損傷等を抑制することができる。
なお、片面仕上げの庇パネルの場合であれば、フォークリフト(フォーク部)が庇パネルの底面に当接しても仕上げ面材が損傷することはないため、特に影響はない。
また上記構成において、図4に示すように、パネル積載ラック101は、建築用パネル2とともに吊り上げられ、吊り上げた建築用パネル2(庇パネル)を建物本体Bの腕木B1にそのまま水平状態で上下方向から設置する際に用いられる。
このとき、パネル積載ラック1に連結バー部材150を取り付けたままの状態にしておくと、連結バー部材150と、腕木B1とが干渉してしまう。そのため、建物本体Bに建築用パネル2を設置する前に、具体的にはパネル積載ラック101を吊り上げる前に連結バー部材150を予め取り外しておくと良い。
そうすれば、建築用パネル2の積載、運搬作業から、吊り上げ、設置作業までの一連作業を効率良く行うことが可能なパネル積載ラックとなる。
なお、図8に示すパネル施工方法において、「連結バー部材150を取り外す」工程は、例えば、ステップS6の「パネル吊り上げ工程」の前にステップS5-2として新たに追加すれば良い。
<その他の実施形態>
上記実施形態では、図1、図2に示すように、建築用パネル2(庇パネル)を「水平に」積載し、積載された建築用パネル2を建物本体に向かって「水平に」吊り上げる際に用いられるパネル積載ラック1について説明しているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、パネル積載ラックが、建築用パネル(外壁パネル)を「垂直に」積載し、建築用パネルを建物本体に向かって「垂直に」吊り上げる際に用いられるものであっても良い。
その場合には、建物本体の所定部位に建築用パネルをそのまま垂直状態で真横から設置するように用いられると良い。
また例えば、パネル積載ラックが、建築用パネル(屋根パネル)を「斜めに」積載し、建築用パネルを建物本体に向かって「斜めに」吊り上げる際に用いられるものでも良い。
その場合には、建物本体の所定部位に建築用パネルをそのまま斜め状態で斜め外側から設置するように用いられると良い。
上記実施形態では、図5に示すように、パネル受け部材10の係合凸部11bが、支柱部11の上端部に形成され、係合穴部11cが支柱部11の下端部に形成されているが、特に限定されることなく変更可能であって、それぞれ逆の構成であっても良い。
すなわち、係合穴部11cが支柱部11の上端部に形成され、係合凸部11bが支柱部11の下端部に形成されていても良い。
そのほか、凸部と穴部の係合関係に特に限定されなくても良い。すなわち、支柱部11が、その上端部に形成される第1係合部と、下端部に形成され、上下方向に複数重ねたときに第1係合部と着脱可能に係合する第2係合部とを有していても良い。
上記実施形態では、図1、図7に示すように、補助パネル受け部材30がパネル受け部材10と同じ形状を有しており、構成部品の共通化を図っているところ、必ずしも同じ形状を有していなくても良い。
例えば、補助パネル受け部材30が、パネル受け部材10よりもシンプルな形状を有し、組み立て作業をより容易化しても良いし、あるいはパネル受け部材10よりも幅広な形状を有し、建築用パネル2の保持性を高めるようにしても良い。
上記実施形態では、主として本発明に係るパネル積載ラック及びパネル施工方法に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
1,101 パネル積載ラック
2 建築用パネル
2a パネルフレーム
2b 仕上げ面材
2c,2d 固定穴(被固定部)
2e 切り欠き溝
10,110 パネル受け部材
11,111 支柱部
11a 本体部
11b 係合凸部
11c 係合穴部
11d つなぎ取り付け部
11da 底壁部
11db 第1側壁部
11dc 第2側壁部
11e ラック吊り上げ穴(ラック吊り上げ部)
11f,111f 取り付け穴
12,112 パネル受け部
12a パネル固定穴(パネル固定部)
20,120 つなぎ部材
21 補助係合凸部
22 補助係合穴部
30,130 補助パネル受け部材
31 支柱部
31a 本体部(本体部分)
32 パネル受け部
40(40A,40B),140 補助つなぎ部材
41 補助係合凸部(補助係合部)
42 補助係合穴部
150 連結バー部材
B 建物本体
B1 腕木
B2 外壁パネル
L 吊り上げ装置
L1 吊り上げフック
L2 ワイヤ

Claims (8)

  1. 建築用パネルを水平に積載するとともに、積載された該建築用パネルを建物本体の所定部位に向かって水平に吊り上げる際に用いられるパネル積載ラックであって、
    前記建築用パネルを下方から支持するために所定の間隔を空けて設けられた一対のパネル受け部材を備え、
    前記パネル受け部材は、前記建築用パネルを挟むように間隔を空けて設けられ、上下方向に延びている一対の支柱部と、該一対の支柱部を連結するように延びて、前記建築用パネルを上面に載置するためのパネル受け部と、を有し、
    該パネル受け部の所定位置には、前記建築用パネルを載置した状態で該建築用パネルを固定するためのパネル固定部が設けられ、
    前記支柱部の所定位置には、吊り上げ装置によって前記パネル積載ラックを吊り上げるためのラック吊り上げ部が設けられていることを特徴とするパネル積載ラック。
  2. 記パネル固定部は、前記パネル受け部の上面に設けられ、該パネル受け部の長尺方向において間隔を空けて複数配置されており、
    前記ラック吊り上げ部は、前記支柱部の上方部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパネル積載ラック。
  3. 前記パネル積載ラックは、前記建物本体の所定部位に前記建築用パネルをそのまま水平状態で上下方向から設置するために用いられ、
    前記パネル受け部材の長尺方向において前記建築用パネルを挟むように間隔を空けて設けられ、前記一対のパネル受け部材を連結する一対のつなぎ部材をさらに備え、
    該つなぎ部材は、
    前記パネル受け部材のうち、前記支柱部に設けられたつなぎ取り付け部に取り付けられ、
    前記パネル受け部よりも上方位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル積載ラック。
  4. 前記パネル受け部材は、上下方向に複数重ねたときに前記建築用パネルを水平に収容可能な間隔を空けて互いに着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のパネル積載ラック。
  5. 請求項1に記載のパネル積載ラックを利用したパネル施工方法であって、
    前記建築用パネルを下方から支持するために所定の間隔を空けて設けられた一対のパネル受け部材を有する前記パネル積載ラックに前記建築用パネルを水平に積載するパネル積載工程と、
    前記パネル受け部材の所定位置に設けられたパネル固定部に前記建築用パネルを載置した状態で固定するパネル固定工程と、
    前記パネル受け部材の所定位置に設けられたラック吊り上げ部に吊り上げ装置の一部を取り付けて、前記建築用パネルが固定された前記パネル積載ラックの少なくとも一部を前記建物本体の所定部位に向かって水平に吊り上げるパネル吊り上げ工程と、
    前記建物本体の所定部位に前記建築用パネルをそのまま積載された状態で設置するパネル設置工程と、
    設置された前記建築用パネルを前記パネル積載ラックから取り外すパネル取り外し工程と、を含むことを特徴とするパネル施工方法。
  6. 記パネル設置工程では、前記建物本体の所定部位に前記建築用パネルをそのまま水平状態で上下方向から設置することを特徴とする請求項5に記載のパネル施工方法。
  7. 前記パネル積載工程では、前記一対のパネル受け部材によって前記建築用パネルの間口方向の両端部が支持されるようにして前記建築用パネルを積載し、
    前記パネル設置工程では、前記一対のパネル受け部材と、前記建物本体の所定部位とが上下方向で重ならないようにして前記建築用パネルを水平に設置することを特徴とする請求項6に記載のパネル施工方法。
  8. 前記パネル施工方法は、板状のパネルフレームと、該パネルフレームの表面に固定される仕上げ面材とを有する前記建築用パネルを施工するために用いられ、
    前記パネル固定工程では、前記パネル固定部に対し前記パネルフレームに設けられた被固定部を上下方向から固定し、
    前記パネル設置工程では、前記建物本体の所定部位に前記パネルフレームを上下方向から嵌合させることで前記建築用パネルを水平に設置することを特徴とする請求項6又は7に記載のパネル施工方法。
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