以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
本発明の第一形態のパネル積載用ラック100(以下「ラック100」と記載する)は、図1〜4に示すように、建築用パネル1を立て置きで複数並んで収容するためのラックである。なお、立て置きとは、建築用パネル1を立て起こした状態で置くことを意味し、立て置き状態における建築用パネル1は鉛直方向に対して略平行な姿勢となる。以下では、平面視において、複数の建築用パネル1が並ぶ方向を前後方向とし、この前後方向に対して直交する方向を左右方向として、各構成について説明する。例えば、図1では、矢印Xで示す方向が前方であり、矢印Yで示す方向が右方であり、矢印Zで示す方向が上方である。
建築用パネル1は、建物の躯体に上下に並べて複数取り付けられることで、建物の外壁等の壁や屋根を形成する。つまり、建築用パネル1は、壁材や屋根材等である。本形態では、建築用パネル1は、立て置き状態における上端部に凹部10を有し、下端部に凸部11を有する。建築用パネル1は、立て置き状態において、左右方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とし、前後方向を厚み方向とする板材である。
さらに建築用パネル1は、下端部の前端部から下方に突出した前突出部12と、下端部の後端部から下方に突出した後突出部13と、凹部10の下方のパネル前面に位置する凹段部14を有する。前突出部12は、凸部11から前方に離れて位置し、後突出部13は、凸部11から後方に離れて位置する。前突出部12と凸部11の間と、凸部11と後突出部13との間には、凹部10が嵌り込み可能な溝が形成される。前突出部12は、先端(下端)が凸部11よりも下に位置するように下方に突出している。後突出部13は、先端(下端)が凸部11の下面よりも上に位置するように下方に突出している。
建築用パネル1は、凹段部14にねじ等の固定具が打ち込まれることで、上側の部位が建物の躯体に対して固定される。上下に隣接する2枚の建築用パネル1は、上側の建築用パネル1の下端部の凸部11と、下側の建築用パネル1の上端部の凹部10とが嵌め合わされて連結される。このとき、上側の建築用パネル1の前突出部12によって、下側の建築用パネル1の凹段部14とここに打ち込まれた固定具とが覆い隠される。
本形態では、建築用パネル1は、2枚の金属板15,16の間に芯材17を挟んだサンドイッチパネルである。
金属板15,16は、フラットな金属板をロール加工やプレス加工するなどして所望の形状に成形したものである。金属板15,16は、厚みが、例えば0.27〜1.6mm程度である。金属板15,16は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これに限定されない。
芯材17は、樹脂発泡体または繊維状無機材またはその組み合わせであり、断熱性や耐火性を有する。樹脂発泡体は、例えば、ポリイソシアヌレートフォームやウレタンフォームやフェノールフォームなどである。繊維状無機材は、例えば、ロックウールやグラスウールなどをバインダー等で固めたブロック体を複数並べて1枚の板状に配置したものである。芯材17のうち、サンドイッチパネルの周端部に位置する芯材としては、繊維状無機材や樹脂発泡体よりも耐火性の高い耐火芯材を用いてもよい。この場合、耐火芯材は、例えば、石膏や珪酸カルシウムなどの無機材である。
建築用パネル1の長手方向の長さは、少なくともラック100の左右方向の長さよりも長く、例えば、ラック100の2〜3倍である。建築用パネル1は、長手方向(左右方向)の中央部がラック100上に積載される。なお、建築用パネル1は、ALC板等の他のパネル材であってもよい。
ラック100は、底部材2と、底部材2の前後の端部から上方に突出した前後一対の側部材3と、底部材2に前後に並んで設けられた複数の下支持部4と、複数の下支持部4と交互に並ぶように、底部材2に前後に並んで立設された複数の支柱5を備える。さらに、ラック100は、複数の支柱5のそれぞれの上部に設けられた上支持部6と、複数の支柱5のうち前後に並ぶ2つの支柱5の間毎に形成され、建築用パネル1が1枚ずつ配置される配置スペースS1を備える。
複数の下支持部4のそれぞれは、建築用パネル1の下端部が嵌まるように構成されている。本形態では、複数の下支持部4のそれぞれは、底部材2に固定されている。各上支持部6は、配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、建築用パネル1の上端部を支持し、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、配置スペースS1の前後に位置する2本の支柱5の上部間に介在し得るように、複数の支柱5のそれぞれの上部に着脱自在に設けられている。複数の支柱5のそれぞれは、底部材2に対して着脱自在である。
底部材2は、本形態では、平面視略矩形枠状である。底部材2は、図2等に示すように、左右一対の側枠部20,21と、前枠部22と、後枠部(図示せず)とを有する。前枠部22は、左右一対の側枠部20,21の前端部間に介在し、後枠部は、左右一対の側枠部20,21の後端部間に介在する。左右一対の側枠部20,21と前枠部22と後枠部のそれぞれは、角形鋼管である。左右一対の側枠部20,21と前枠部22と後枠部は、溶接などにより平面視矩形枠状に一体化されている。側枠部20,21には、その上面に、支柱5の下端部が差し込まれる差込孔(図示せず)が設けられている。
前後一対の側部材3のそれぞれは、本形態では、図1等に示すように、前方から視て略H字状である。前側の側部材3は、右側の側枠部20の前端部に立設された柱部30と、左側の側枠部21の前端部に立設された柱部31と、柱部30,31の上部間に介在する横架材32とを有する。横架材32の左右の端部は、柱部30,31に溶接などにより一体化されている。
柱部30,31は、左右一対の側枠部20,21に対して回動自在に設けられており、側枠部20,21に対して垂直な起立姿勢(図1,4参照)と、この起立姿勢から前側に倒れた倒伏姿勢(図2,3参照)とに切り替え自在である。柱部30,31は、横架材32を介して一体である。
柱部30,31は、ボルト・ナット等の固定具により、起立姿勢の状態で側枠部20,21に対して固定される。柱部30,31は、前記固定具を取り外すことで、起立姿勢から倒伏姿勢へと回動させることができる。
後側の側部材3は、右側の側枠部20の後端部に立設された柱部33と、左側の側枠部21の後端部に立設された柱部34と、柱部33,34の上部間に介在する横架材(図示せず)とを有する。横架材の左右の端部は、柱部33,34に溶接などにより一体化されている。柱部33,34は、本形態では、左右一対の側枠部20,21に対して溶接等で固定されており、回動不可に設けられている。
なお、柱部33,34についても、柱部30,31と同様に、左右一対の側枠部20,21に対して回動自在に設けて、起立姿勢と倒伏姿勢とに切り替え自在としてもよい。
柱部30,31,33,34のそれぞれは、角形鋼管であり、上端が蓋35で閉塞されている。蓋35は、柱部30,31,33,34に対して溶接等で固定されている。柱部30,31,33,34のそれぞれには、クレーン等の吊り上げ装置に連結するための連結部36が設けられている。本形態では、連結部36は、蓋35に固定された略U字状の吊り金具である。
柱部30,31,33,34のそれぞれには、隣接する上支持部6を接続することができる第二接続部37が設けられている(図2,3参照)。第二接続部37は、本形態では、柱部30,31,33,34の上部の建築用パネル1側の面に溶接等で固定された側面視略U字状の金具である。
柱部30,31,33,34のそれぞれには、左右の面に、フレーム材7(図4参照)を取り付けるための板状の取付部38が左右方向に突出させて設けられている。
複数の下支持部4のそれぞれは、本形態では、図2,3に示すように、下向きに開口する側面視略コ字状の突条部40と、この突条部40の上面のうちの後端部から上方に突出した差込片部41とを有する。差込片部41は、突条部40の上面に左右方向に亘って設けられている。前後に隣接する2つの下支持部4の突条部40は、連結板42を介して連続している。そのため、複数の下支持部4は一体である。各連結板42には、支柱5の下端部が挿通される挿通孔(図示せず)が設けられている。各連結板42の挿通孔の位置は、側枠部20,21の差込孔の位置に対応している。
複数の下支持部4は、側枠部20,21のそれぞれに設けられる。複数の下支持部4は、連結板42を側枠部20,21上に溶接やねじ等の固定具により固定することで、側枠部20,21上に設けられる。
下支持部4は、左右方向の長さが側枠部20,21の左右方向の幅よりも長い。下支持部4は、その左右方向の中央部が側枠部20,21に対して取り付けられている。
建築用パネル1は、突条部40上に凸部11が載置され、凸部11と後突出部13との間の溝部分に、差込片部41が差し込まれることによって、建築用パネル1の下端部が下支持部4に嵌まった状態で支持される。このとき、建築用パネル1の前突出部12と後突出部13は、連結板42から上方に離れて位置する。これにより、建築用パネル1は、前突出部12や後突出部13が潰れることなく、立て置きすることができる。
なお、差込片部41は、突条部40の上面のうちの前端部から上方に突出するものであってもよい。この場合、差込片部41は、建築用パネル1の下端部の凸部11と前突出部12との間の溝部分に差し込まれる。また、差込片部41は、突条部40の上面のうちの前端部と後端部のそれぞれから上方に突出するものであってもよい。また、下支持部4は、側枠部20,21の上面を加工して形成したものであってもよい。
支柱5は、図5A,Bに示すように、上下方向を長手方向とする棒状であり、前後に隣接する2つの上支持部6を着脱自在に接続することのできる接続部50を上部に有する。本形態では、接続部50は、支柱5の上部に溶接等で固定された側面視略U字状の金具である。
支柱5は、鍔状のストッパー51を下部に有する。支柱5は、下端部を連結板42の貫通孔を介して側枠部20,21の差込孔へ差し込んだときに、ストッパー51が連結板42の貫通孔の周囲の部分に当たることで、底部材2上に立設される。
支柱5の上部に着脱自在に設けられる上支持部6は、本形態では、平面視矩形状の板部60と、板部60の前端部から下方に略垂直に突出した前接続片部61と、板部60の後端部から下方に略垂直に突出した後接続片部62とを有する。さらに上支持部6は、板部60の前端部よりも若干後方の位置から下方に略垂直に突出した前支持片部63と、板部60の後端部よりも若干前方の位置から下方に略垂直に突出した後支持片部68を有する。前接続片部61と後接続片部62と前支持片部63と後支持片部68は、略矩形板状であり、互いに平行である。前支持片部63と後支持片部68とは、建築用パネル1の凹部10の前後方向の長さと同じ距離だけ前後方向に離れて位置する(図6参照)。
板部60には、支柱5が挿通される貫通孔64が設けられている。貫通孔64は、前後方向に長い長孔であり、板部60に前後方向に亘って設けられている。そのため、前支持片部63と後支持片部68のそれぞれは、平面視において貫通孔64を挟んで位置する左右一対の2枚の略矩形板で構成されている。
上支持部6は、図5Aに示すように、板部60の貫通孔64に支柱5の上端部が挿通され、後接続片部62が接続部50に差し込まれた状態で、支柱5に支持されて、支柱5の上部における位置が決まる。上支持部6は、上方に持ち上げることで支柱5から取り外すことができる。
前後に隣接する2つの上支持部6は、図6に示すように、1つの支柱5の接続部50に、前側の上支持部6の後接続片部62と、後側の上支持部6の前接続片部61とを差し込むことで、接続される。このとき、前後に隣接する2つの上支持部6は、接続部50により前後方向への移動が制限される。ここで、接続部50は、前後に隣接する2つの上支持部6を移動不可に接続するものであってもよいし、多少の前後移動を許容する状態で接続するものであってもよい。
複数の支柱5を底部材2に対して前後方向に並べて立設することで、複数の支柱5のうち前後に並ぶ2つの支柱5の間毎に、配置スペースS1が形成される。配置スペースS1の下端部には、下支持部4が位置する。各配置スペースS1には、建築用パネル1が1枚配置される。
本形態では、上支持部6は、支柱5の前方に位置する建築用パネル1の上端部を支持するものである。そのため、ラック100は、後側の柱部33,34とその前方の支柱5との間に配される建築用パネル1の上端部を支持する支持部材8をさらに備える。
支持部材8は、柱部33,34の前方の支柱5の接続部50と、柱部33,34の第二接続部37とに接続された状態で、建築用パネル1の上端部を支持する。支持部材8は、本形態では、上支持部6と同大同形である。つまり、支持部材8は、長孔状の貫通孔80が設けられた板部81と、前接続片部82と、後接続片部83と、前支持片部84と、後支持片部85とを有する。なお、支持部材8は、上支持部6とは別の形状及びサイズのものであってもよい。
フレーム材7は、図4に示すように、柱部30,33の上部間と、柱部31,34の上部間のそれぞれに着脱自在に取り付けられる横架材である。各フレーム材7は、柱部30,33(柱部31,34)の上部間に介在する略角筒状の本体部70と、本体部70の前後の端部から前後方向外側に向けて突出した左右一対の板状の突出部71と、各突出部71から左右方向外側に向けて突出した左右一対の板状の取付部72とを有する。
さらに、フレーム材7は、本体部70の下面に、各支柱5の上端部を差し込むことができる挿入孔(図示せず)を有する。挿入孔は、本体部70の下面に前後方向に亘って設けられている。
フレーム材7は、前端と後端の左右一対の取付部72を、柱部30,33の左右一対の取付部38上に載置した状態で、取付部72,38をボルト・ナット等の固定具で止め付けることで、柱部30,33の上部間に取り付けられる。また、フレーム材7は、前端と後端の左右一対の取付部72を、柱部31,34の左右一対の取付部38上に載置した状態で、取付部72,38をボルト・ナット等の固定具で止め付けることで、柱部31,34の上部間に取り付けられる。このとき、各支柱5の上端部が、本体部70の下面の挿入孔内に位置し、本体部70が各上支持部6及び支持部材8に接するか、または各上支持部6及び支持部材8の上に僅かな隙間を介して位置する。
各フレーム材7は、各上支持部6及び支持部材8が、接続部50や第二接続部37から浮き上がって外れることを防止することができ、各上支持部6及び支持部材8によって支持される各建築用パネル1が、ラック100の搬送時などに、ラック100から抜け落ちることを防止できる。また、各フレーム材7をラック100に取り付けることで、ラック100の強度を向上させることができる。
次いで、上述したラック100に、建築用パネル1を積載する手順の一例について説明する。
まず、図2,3に示すように、前側の側部材3を底部材2に対して固定する固定具を取り外して、前側の側部材3を底部材2に対して垂直な起立姿勢から、前側に回動させて、倒伏姿勢にする。
次いで、建築用パネル1を、吊り具9を用いてクレーン等の吊り上げ装置で吊り上げて移動させ、側枠部20,21それぞれの後端に位置する下支持部4の上に載置する。なお、吊り具9は、建築用パネル1の上端部の凹部10に引っ掛けて支持するものである。
次いで、載置した建築用パネル1の前方において、側枠部20,21上にそれぞれ支柱5を取り付ける。次いで、右の側枠部20上の支柱5の接続部50と、柱部33の第二接続部37とに支持部材8を取り付けて、この支持部材8によって、建築用パネル1の右側の部分の上端部を支持する。また、左の側枠部21上の支柱5の接続部50と、柱部34の第二接続部37とに別の支持部材8を取り付けて、この支持部材8によって、建築用パネル1の左側の部分の上端部を支持する。このとき、建築用パネル1の右側部分と左側部分のそれぞれの上端部は、凹部10が支持部材8の前支持片部84と後支持片部85によって前後方向から挟まれた状態で支持される。これにより、建築用パネル1は、上端部と下端部とが支持された状態で、ラック100に立て置きで積載される。
次いで、2枚目の建築用パネル1を、吊り具9を用いて吊り上げ装置で吊り上げて移動させ、側枠部20,21上の後から2つ目の下支持部4の上に載せる。
次いで、この2枚目の建築用パネル1の前方において、側枠部20,21上にそれぞれ支柱5を取り付ける。次いで、側枠部20,21のそれぞれの上方において、2枚目の建築用パネル1の前方に位置する支柱5の接続部50に、その後方に位置する支柱5の上部の上支持部6の前接続片部61を接続して、この上支持部6によって、2枚目の建築用パネル1の上端部を支持する。このとき、建築用パネル1の上端部は、凹部10が前支持片部63と後支持片部68とによって前後方向から挟まれた状態で支持される。これにより、2枚目の建築用パネル1は、上端部と下端部とが支持された状態で、ラック100に立て置きで積載される。
上述した2枚目の建築用パネル1の設置手順と同様の手順で、3枚目以降の建築用パネル1をラック100に立て置きで積載していく。
側枠部20,21上の前端の下支持部4上に最後の建築用パネル1を載せた後、柱部30,31を倒伏姿勢から起立姿勢へと起こし、固定具を用いて柱部30,31を側枠部20,21に対して起立姿勢で固定する。
次いで、側枠部20,21のそれぞれの上方において、最後の建築用パネル1の後側に位置する支柱5の接続部50と、柱部30,31の第二接続部37とに上支持部6を取り付けて、この上支持部6によって、最後の建築用パネル1の上端部を支持する。これにより、最後の建築用パネル1は、上端部と下端部とが支持された状態で、ラック100に立て置きで積載される。
以上のように複数の建築用パネル1をラック100に積載することによって、複数の建築用パネル1のそれぞれは、上端部と下端部とが支持された状態で、立て置きで前後に並んでラック100に収容される。
本形態のラック100では、複数の建築用パネル1の上端部を支持する複数の上支持部6と支持部材8とが、図6に示すように、各支柱5の接続部50を介して互いに接続されて一体化されている。そして、複数の上支持部6と支持部材8は、第二接続部37を介して前後一対の側部材3に対しても一体化されている。
これにより、複数の上支持部6と支持部材8の前後方向への移動を規制した状態で各建築用パネル1の上端部を支持することができ、各建築用パネル1が鉛直方向に対して略平行な起立姿勢から倒れることを抑制することができる。
ここで、複数の上支持部6と支持部材8は、前後一対の側部材3に対して直接または間接的に接続されることで、建築用パネル1の上端部をしっかりと支持することができる。そのため、支柱5としては、建築用パネル1の倒れを支えるだけの強度を有する必要がなく、上支持部6の荷重を支えることができる程度の軽量で細いものを用いることができる。これにより、ラック100の軽量化を図ることができ、かつ支柱5の着脱を簡単に行うことができる。また、本形態のラック100では、細い支柱5を用いることができるため、建築用パネル1間の間隔を狭くすることも可能である。
本形態のラック100に収容される複数の建築用パネル1は、図1に示すように、所望の1枚を抜き出すことが可能である。このとき、該当の建築用パネル1の上端部を支持する上支持部6または支持部材8を支柱5から取り外すことで、該当の建築用パネル1を、吊り具9等を用いて吊り上げ装置によって吊り上げて抜き出すことができる。
本形態のラック100では、建築用パネル1を一部抜き出した場合でも、図7に示すように、残りの建築用パネル1は、上端部が上支持部6または支持部材8によって支持され、かつ、各上支持部6が直接または他の上支持部6を介して間接的に左右の側部材3の一方に接続される。そのため、本形態のラック100では、建築用パネル1が抜き出された後の配置スペースS1に、その前後に位置する建築用パネル1が倒れることを抑制できる。
また、本形態のラック100では、図8に示すように、建築用パネル1が抜き出された後の配置スペースS1の前後に位置する2本の支柱5の上部間に上支持部6を介在させるか、あるいは、当該配置スペースS1の前後に位置する1本の支柱5と一方の側部材3の上部間に上支持部6または支持部材8を介在させてもよい。このようにすることで、複数の上支持部6と支持部材8を前後の側部材3間に介在させることができ、各建築用パネル1が前後に倒れることをより抑制することができる。
また、本形態のラック100では、図2に示すように、前側の側部材3を底部材2に対して垂直な起立姿勢から、倒伏姿勢へと回動させることで、吊り具9等を用いて、複数の建築用パネル1を前側のものから順に抜き出すことも可能である。このとき、各建築用パネル1は、前方にある支柱5を底部材2から引き抜くことで、上方へ少し吊り上げるだけで、前方へと引き出すことができる。
また、本形態のラック100は、図4に示すように、クレーン等の吊り上げ装置を用いてパネル毎吊り上げて搬送することも可能である。この場合、柱部30,33の上部間と、柱部31,34の上部間にそれぞれフレーム材7を取り付けることで、各建築用パネル1の上端部を支持する上支持部6及び支持部材8が支持位置から浮き上がることを防止できる。これにより、ラック100の搬送時に、建築用パネル1の上端部の支持が外れて不安定となることを防止できる。フレーム材7を取り外すことで、各建築用パネル1はラック100から抜き出し可能となる。なお、本形態のラック100は、フォークリフト等で持ち上げて移動することも可能である。
また、本形態のラック100は、ラック100同士を上下に複数積み重ねて用いることも可能である。この場合も、ラック100の強度を確保するために、柱部30,33の上部間と、柱部31,34の上部間にそれぞれフレーム材7を取り付けることが好ましい。
なお、上述した第一形態のラック100は、底部材2と側部材3がそれぞれ、板状であってもよい。
また、第一形態のラック100は、各支柱5が、底部材2に対して垂直な起立姿勢から、建築用パネル1の出し入れの邪魔にならない水平姿勢以外の倒伏姿勢へと回動自在なものであってもよい。
また、第一形態のラック100は、柱部30,31,33,34が第二接続部37を有さないものであってもよい。この場合、柱部30,31,33,34に対して隣接する上支持部6や支持部材8が当たることで、各支柱5の上端部の前後位置が決まる。
また、第一形態のラック100は、吊り上げ装置に連結するための連結部36を有さないものであってもよい。この場合、ラック100は、保管用の台等として利用することができる。
また、第一形態のラック100は、各支柱5が、下端部を中心にして左右方向に回動自在なものであってもよい。この場合、各支柱5を起立姿勢から倒伏姿勢とすることで、各支柱5を、建築用パネル1の抜き出しの邪魔にならないようにすることができる。
また、第一形態のラック100は、柱部30,31,33,34が、左右一対の側枠部20,21に対して着脱自在に設けられたものであってもよい。この場合、柱部30,31,33,34は、ボルト・ナット等の固定具により、起立姿勢の状態で側枠部20,21に対して固定される。また、柱部30,31,33,34は、前記固定具を取り外すことで、側枠部20,21から取り外すことができる。これにより、建築用パネル1を前後方向から出し入れするときに、柱部30,31,33,34が邪魔にならないようにすることができる。
また、第一形態のラック100は、柱部30,31,33,34が、左右一対の側枠部20,21に対して溶接等で固定されて回動や着脱が不可なものであってもよい。
続いて、図9A,Bに示す本発明の第二形態のラック100について説明する。以下では、第一形態のラック100と同様の構成については図中に同じ符号を付して詳しい説明を省略し、第一形態のラック100と異なる構成については詳しく説明する。
第二形態のラック100では、上支持部6は、複数の支柱5のそれぞれの上端部に回動自在に設けられた回動部材65である。詳しくは、回動部材65は、支柱5の上端部を中心軸にして回動する。
回動部材65は、第一姿勢と第二姿勢との間で回動自在であり、第二姿勢にあるときに第一姿勢にあるときよりも前後方向に長くなる。回動部材65は、例えば平面視長方形状や平面視楕円形状のブロック体である。回動部材65は、長手方向が前後方向に対して平行となるときが第二姿勢であり、短手方向が前後方向に対して平行となるときが第一姿勢である。回動部材65は、第一姿勢にある状態から、平面視にて反時計回りに90度回転させることで、第二姿勢となる。回動部材65は、例えば、合成樹脂製やゴム製である。
支柱5は、接続部50を有しておらず、前後の側部材3は、第二接続部37を有していない。支柱5は、前後に隣接する2つの下支持部4間だけでなく、最前部に位置する下支持部4と前側の側部材3との間と、最後部に位置する下支持部4と後側の側部材3との間においても、底部材2に着脱自在に立設される。
本形態のラック100は、配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、建築用パネル1の前後に位置する回動部材65が、前後幅の小さい第一姿勢で建築用パネル1を前後方向から挟み込むことで、建築用パネル1の上端部を支持するように構成されている。また、本形態のラック100は、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、回動部材65が、配置スペースS1の前後に位置する2本の支柱5の上部間に、前後幅の大きい第二姿勢で介在するように構成されている。ここで、第二姿勢とされる回動部材65は、配置スペースS1の前方と後方の回動部材65のどちらであってもよい。
また、本形態のラック100では、最前部に位置する配置スペースS1にある建築用パネル1と前側の側部材3の間の隙間の上部領域は、この間にある支柱5の上部の前後幅の小さい第一姿勢の回動部材65によって埋められる。また、本形態のラック100では、最後部に位置する配置スペースS1にある建築用パネル1と後側の側部材3の間の隙間の上部領域は、この間にある支柱5の上部の前後幅の小さい第一姿勢の回動部材65によって埋められる。
以上説明した本形態のラック100においても、第一形態のラック100と同様に、複数の建築用パネル1のうち、所望の建築用パネル1を抜き出すことが可能である。また、本形態のラック100においても、複数の建築用パネル1のうちの一部を抜き出した後でも、回動部材65を回動させることによって空いた配置スペースS1の上部領域を埋めることができ、残りの建築用パネル1が倒れることを抑制することができる。
続いて、図10A,Bに示す本発明の第三形態のラック100について説明する。以下では、第二形態のラック100と同様の構成については図中に同じ符号を付して詳しい説明を省略し、第二形態のラック100と異なる構成については詳しく説明する。
第三形態のラック100では、上支持部6は、一部が移動自在に設けられたものであり、詳しくは、支柱5の上端部に設けられた回動部材66とスペーサー52を含む。回動部材66は、支柱5の上端部に上下方向に回動自在に設けられている。回動部材66は、略水平な倒伏姿勢と、この倒伏姿勢よりも起き上がった起立姿勢との間で回動自在である。
回動部材66は、矩形状の板部660と、板部660の前端部から略垂直に下方に突出した前接続片部661と、板部660の前端部から左右に延びた軸を中心に回転自在な左右一対のローラー662を含む。回動部材66は、板部660の後端部が支柱5の上端部に回動自在に接続されている。各ローラー662は、合成樹脂製やゴム製である。
各ローラー662の径は、側面視において前接続片部661が内側に収まる長さである。これにより、建築用パネル1を配置スペースS1へ出し入れする際に、建築用パネル1が前接続片部661に接触して傷が付くことを抑制することができ、また各ローラー662が回転することで建築用パネル1の出し入れをスムーズに行うことができる。
スペーサー52は、本形態では、支柱5の上端部から左右に延びた軸を中心に回転自在な左右一対のローラー520である。各ローラー520は、合成樹脂製やゴム製である。各支柱5は、上端部の後側に接続部50を有する。
各ローラー520の径は、側面視において接続部50が内側に収まる長さである。これにより、建築用パネル1を配置スペースS1へ出し入れする際に、建築用パネル1が接続部50に接触して傷が付くことを抑制することができ、また各ローラー520が回転することで建築用パネル1の出し入れをスムーズに行うことができる。
各ローラー520は、各ローラー662に対して左右方向に重ならない位置にある。これにより、回動部材66が回動する際、回動部材66の各ローラー662は、前側に位置する支柱5の各ローラー520とは衝突せず、回動部材66の回動の妨げにならないようになっている。
本形態のラック100では、支柱5は、前後に隣接する2つの下支持部4間だけでなく、最後部に位置する下支持部4と後側の側部材3との間においても、底部材2に着脱自在に立設される。前後の側部材3はそれぞれ、第二接続部37を有している。前側の側部材3の第二接続部37の周囲には、第二接続部37への建築用パネル1の接触を抑制する緩衝材(図示せず)が設けられる。
本形態のラック100は、支持部材8を有する。支持部材8は、本形態では、接続片部82,83のみを有し、支持片部84,85を有さない、側面視にて下方に開口した略U字状の金具である。
本形態のラック100は、配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、回動部材66が起立姿勢にあり、建築用パネル1の前後に位置するスペーサー52(各ローラー520)が建築用パネル1を前後方向から挟み込むことで、建築用パネル1の上部を支持するように構成されている。なおこのとき、起立姿勢にある回動部材66の各ローラー662は、建築用パネル1の上端部の後面に当たる。
最前部に位置する配置スペースS1にある建築用パネル1については、前側の側部材3の第二接続部37の周囲の緩衝材と、建築用パネル1の後方に位置するスペーサー52(各ローラー520)が、建築用パネル1を前後方向から挟み込むことで、建築用パネル1の上部が支持される。
また、本形態のラック100は、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、回動部材66が2本の支柱5の上部間に倒伏姿勢で介在するように構成されている。詳しくは、このとき、配置スペースS1の後方の支柱5の上部の回動部材66が起立姿勢から下方に回動し、この回動部材66の前接続片部661が、配置スペースS1の前方の支柱5の接続部50に接続されて倒伏姿勢となることで、前後の2本の支柱5の上部間に倒伏姿勢の回動部材66が介在される。
最前部に位置する配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、配置スペースS1の後方の支柱5の上部の回動部材66が下方に回動して、前側の側部材3の柱部30,31の第二接続部37に接続されて倒伏姿勢となることで、柱部30,31と支柱5の上部間に倒伏姿勢の回動部材66が介在される。
本形態のラック100では、最後部に位置する各支柱5は、接続部50と後側の側部材3の柱部33,34の第二接続部37に支持部材8が接続されることで、上端部の前後方向の位置が決まる。
以上説明した本形態のラック100においても、第二形態のラック100と同様に、複数の建築用パネル1のうち、所望の建築用パネル1と抜き出すことが可能である。また、本形態のラック100においても、複数の建築用パネル1のうちの一部を抜き出した後でも、回動部材66を回動させることによって空いた配置スペースS1の上部領域を埋めることができ、残りの建築用パネル1が倒れることを抑制することができる。
なお、本形態のラック100は、スペーサー52が、ローラー520に限らず、回転しないものであってもよい。また、本形態のラック100は、各ローラー662が回転しないものであってもよい。
続いて、図11A,Bに示す本発明の第四形態のラック100について説明する。以下では、第三形態のラック100と同様の構成については図中に同じ符号を付して詳しい説明を省略し、第三形態のラック100と異なる構成については詳しく説明する。
第四形態のラック100では、上支持部6は、複数の支柱5のそれぞれの上端部に上下方向に回動自在に設けられた一対の回動部材67である。一対の回動部材67は、前側に位置する前回動部材670と、後側に位置する後回動部材671で構成されている。前回動部材670と後回動部材671はそれぞれ、側面視略L字状の板材であり、前後方向に一直線上に並ぶ第一姿勢と、先端側ほど下に位置する第二姿勢との間で回動自在であり、バネ材(図示せず)により第一姿勢を維持する方向に付勢されている。回動部材670,671は、第二姿勢にあるときに第一姿勢にあるときよりも前後方向に長くなる。
前回動部材670は、前端部から左右方向に延びた軸を中心に回転自在な左右一対のローラー672を有する。各ローラー672の径は、側面視において前回動部材670の前端部が内側に収まる長さである。各ローラー672は、合成樹脂製やゴム製である。
後回動部材671は、後端部から左右方向に延びた軸を中心に回転自在な左右一対のローラー673を有する。各ローラー673の径は、側面視において後回動部材671の後端部が内側に収まる長さである。各ローラー673は、合成樹脂製やゴム製である。各ローラー672の左右位置と、各ローラー673の左右位置は、同じであってもよいし重ならない位置であってもよい。
各支柱5は、上端部から左右方向の少なくとも一方に延びた軸を中心に回転自在なローラー53を有する。各支柱5は、接続部50を有していない。ローラー53の左右位置は、各ローラー672,673の左右位置に対して重ならない位置にある。
本形態のラック100では、建築用パネル1を配置スペースS1へ出し入れする際に、建築用パネル1が各ローラー672,673,53に接触することで、建築用パネル1が前回動部材670の前端部や後回動部材671の後端部や支柱5の上端部に接触して傷が付くことを抑制することができ、また各ローラー672,673,53が回転することで建築用パネル1の出し入れをスムーズに行うことができる。
本形態のラック100は、配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、建築用パネル1の前後に位置する回動部材67が、前後幅の小さい第一姿勢で建築用パネル1を前後方向から挟み込むことで、建築用パネル1の上端部を支持するように構成されている。
詳しくは、本形態のラック100では、配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、建築用パネル1の前方に位置する支柱5の上部の第一姿勢の後回動部材671の各ローラー673と、建築用パネル1の後方に位置する支柱5の上部の第一姿勢の前回動部材670の各ローラー672とが、建築用パネル1を前後方向から挟み込むことで、建築用パネル1の上端部を支持する。また、本形態のラック100では、建築用パネル1の前後の支柱5の上端部のローラー53によっても、建築用パネル1の上端部を前後方向から挟み込んで支持することができる。
また、本形態のラック100は、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、回動部材67が、配置スペースS1の前後に位置する2本の支柱5の上部間に、前後幅の大きい第二姿勢で介在するように構成されている。
詳しくは、本形態のラック100では、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、配置スペースS1の前方に位置する支柱5の上部の後回動部材671と、配置スペースS1の後方に位置する支柱5の上部の前回動部材670とが、前後幅の大きい第二姿勢となり、一直線上に並んで接することで、2本の支柱5の上部間に介在する。これにより、空スペースとなった配置スペースS1の上部領域を、第二姿勢の回動部材670,671によって埋めることができる。なお、このとき、ローラー672,673は衝突せず、回動部材670,671の回動の妨げとならない。
本形態のラック100では、最前部に位置する支柱5は、第一姿勢の前回動部材670の各ローラー672が前側の柱部30,31に押し当たり、かつ第一姿勢の後回動部材671の各ローラー673が、最前部に位置する配置スペースS1にある建築用パネル1に押し当たることで、上端部の前後位置が決まる。
あるいは、最前部に位置する支柱5は、第一姿勢の前回動部材670の各ローラー672が前側の柱部30,31に押し当たり、かつ第二姿勢の後回動部材671が、その後方に位置する支柱5の上部の第二姿勢の前回動部材670と一直線上に並んで接することで、上端部の前後位置が決まる。
同様に、最後部に位置する支柱5は、第一姿勢の後回動部材671の各ローラー673が後側の柱部33,34に押し当たり、かつ第一姿勢の前回動部材670の各ローラー672が、最後部に位置する配置スペースS1にある建築用パネル1に押し当たることで、上端部の前後位置が決まる。
あるいは、最後部に位置する支柱5は、第一姿勢の後回動部材671の各ローラー673が後側の柱部33,34に押し当たり、かつ第二姿勢の前回動部材670が、その前方に位置する支柱5の上部の第二姿勢の後回動部材671と一直線上に並んで接することで、上端部の前後位置が決まる。
以上説明した本形態のラック100においても、第一形態のラック100と同様に、複数の建築用パネル1のうち、所望の建築用パネル1と抜き出すことが可能である。また、本形態のラック100においても、複数の建築用パネル1のうちの一部を抜き出した後でも、回動部材670,671が自動的に回動することによって空いた配置スペースS1の上部領域を埋めることができ、残りの建築用パネル1が倒れることを抑制することができる。
なお、本形態のラック100は、ローラー53,672,673が回転しないものであってもよい。
続いて、図12A,Bに示す本発明の第五形態のラック100について説明する。以下では、第一形態のラック100と同様の構成については図中に同じ符号を付して詳しい説明を省略し、第一形態のラック100と異なる構成については詳しく説明する。
第五形態のラック100では、底部材2に前後に並んで設けられた複数の下支持部4のそれぞれは、底部材2に対して着脱自在である。また、複数の下支持部4と交互に並ぶように、底部材2に前後に並んで立設された複数の支柱5のそれぞれは、複数の下支持部4のうちの1つと一体であり、かつ底部材2に対して着脱自在である。
図12A、図13B及び図14に示すように、ラック100は、底部材2上に着脱自在に載置される複数のベース部材18をさらに備える。各ベース部材18の上面に、下支持部4と支柱5が1つずつ固定されている。これにより、1つの下支持部4と1つの支柱5とは、互いに一体であり、かつ底部材2に対して着脱自在である。
本形態では、複数の下支持部4は、互いに別体であり、すなわち、第一形態のように連結板42を介して連結されていない。複数の下支持部4のそれぞれは、角筒状の突条部40と、突条部40の上面のうちの前後の端部から上方に突出した前後一対の差込片部41を備える。突条部40の下面が、ベース部材18の上面に溶接等によって固定されている。建築用パネル1は、突条部40上に凸部11が載置され、前突出部12と凸部11との間の溝部分と、凸部11と後突出部13との間の溝部分にそれぞれ、差込片部41が差し込まれることによって、下支持部4に嵌まった状態で支持される。
ベース部材18は、底部材2の側枠部20上に載置される矩形板状の本体部180と、本体部180の左右の端部のそれぞれから下方に突出した矩形板状のガイド片181とを有する。
左右一対のガイド片181のそれぞれは、下側ほど左右方向外側に位置するように傾斜した傾斜片である。そのため、左右一対のガイド片181間の間隔は下側ほど広く、これにより、ベース部材18は、本体部180が側枠部20上に載せやすくなっている。
ベース部材18の本体部180上において下支持部4と支柱5とは、前後方向に並んでいる。本形態では、支柱5が下支持部4よりも前側に位置する。
支柱5は、上下方向に長い角棒状の支柱本体54と、支柱本体54の下端部から後方に直角に延びた角棒状の固定部55とを有する。つまり、支柱5は側面視略L字状である。支柱5は、固定部55の下面がベース部材18の本体部180の上面に固定されている。
図13A及び図14に示すように、支柱5の支柱本体54の上端部には、クレーン等の吊り上げ装置に連結するための連結部56が設けられている。本形態では、連結部56は、支柱本体54を前後方向に貫通する貫通孔である。なお、連結部56は、支柱本体54の上端部に固定されたリングやフックであってもよい。
支柱本体54の連結部56よりも少し下の部分に、上支持部6を着脱自在に接続することのできる接続部50を有する。接続部50は、支柱本体54に溶接等で固定された側面視略U字状の金具である。
上支持部6は、貫通孔64が設けられた板部60と前後の接続片部61,62を有する第一部材600と、前後の支持片部63,68を有する左右一対の第二部材601とを一体化した構造である。左右一対の第二部材601のそれぞれは、矩形板状の固定板69を有し、固定板69の前後の端部から支持片部63,68が下方に突出している。左右一対の第二部材601は、板部60の貫通孔64よりも右側の部分と、貫通孔64よりも左側の部分とに、固定板69が溶接等により固定されて一体化されている。上支持部6は、前接続片部61が接続部50に差し込まれる状態で、支柱5の上部に取り付けられる。
図12A及び図12Bに示すように、本形態のラック100では、複数のベース部材18は、底部材2の側枠部20上において、前後に並ぶ本体部180間に隙間ができないように、前後に並べて載置される。
本形態のラック100では、前側の柱部30,31に設けられた第二接続部37と、その後方に位置する支柱5の接続部50とは、支持部材8を介して接続される。支持部材8は、本形態では、側面視にて下方に開口した略U字状の金具である。また、本形態のラック100では、後側の柱部33,34に設けられた第二接続部37には、その前方に位置する支柱5の上部の上支持部6の後接続片部62が接続される。
以上説明した本形態のラック100においても、支柱5、下支持部4、及び上支持部6を用いて、複数の建築用パネル1を立て置きで収容することができる。したがって、本形態のラック100においても、第一形態のラック100と同様に、複数の建築用パネル1のうち、所望の建築用パネル1を抜き出すことが可能である。
本形態のラック100では、複数の建築用パネル1のうちの一部を抜き出した後、空いた配置スペースS1に、支柱5、下支持部4、及び上支持部6を設置することによって、配置スペースS1の上部領域を埋めることができ、残りの建築用パネル1が倒れることを抑制することができる。
また、本形態のラック100においても、第一形態のラック100と同様に、前側の側部材3を底部材2に対して垂直な起立姿勢から、倒伏姿勢へと回動させることで、複数の建築用パネル1を前側から順に抜き出すことも可能である。
また、本形態のラック100においても、第一形態のラック100と同様に、前後の側部材3の取付部38に亘るようにフレーム材7を取り付けることができる。そのため、各上支持部6によって支持される各建築用パネル1が、ラック100の搬送時などに、ラック100から抜け落ちることをフレーム材7によって防止できる。また、各フレーム材7をラック100に取り付けることで、ラック100の強度を向上させることができる。
また、本形態のラック100では、図14に示すように、支柱5及び下支持部4が一体化されて底部材2に対して着脱自在であり、支柱5の上部に上支持部6が着脱自在であり、支柱5の上端部に吊り上げ装置に連結するための連結部56が設けられている。そのため、本形態のラック100では、支柱5、下支持部4及び上支持部6を、底部材2上に建築用パネル1を立て置きするための機構としてだけでなく、建築用パネル1を吊り上げるための吊り具101としても利用することができる。なお、本形態では、支柱5として、吊り具101としての利用が可能な強度を有するものが用いられる。
図15には、建築用パネル1を搬送する様子が示されている。建築用パネル1は、左右の側枠部20上の、左右一対の吊り具101のそれぞれを、クレーン等の吊り上げ装置で吊り上げることによって、搬送することができる。
このとき、本形態のラック100では、建築用パネル1を吊り上げるための専用の吊り具9(図2参照)が別途必要とならない。また、本形態のラック100では、下支持部4に載せた状態の建築用パネル1を、下支持部4ごと吊り上げて搬送することができるため、側枠部20上の下支持部4に建築用パネル1を載せるといった、吊り上げ装置の細かい操作が必要な作業を省略することができる。
また、本形態のラック100では、建築用パネル1と一緒に、支柱5、下支持部4及び上支持部6を搬送することができるため、他のラックへの載せ替えも簡単に行うことができる。
以上まとめると、第一乃至第五形態のラック100は、以下の構成を具備することを特徴とする。
すなわち、第一乃至第五形態のラック100は、建築用パネル1を立て置きで複数並んで収容するためのラックである。ラック100は、底部材2と、底部材2の前後の端部から上方に突出した前後一対の側部材3と、底部材2に前後に並んで設けられた複数の下支持部4と、複数の下支持部4と交互に並ぶように、底部材2に前後に並んで立設された複数の支柱5とを備える。さらにラック100は、複数の支柱5のそれぞれの上部に設けられた上支持部6と、複数の支柱5のうち前後に並ぶ2つの支柱5の間毎に形成され、建築用パネル1を1枚ずつ配置するための配置スペースS1とを備える。複数の下支持部4のそれぞれは、建築用パネル1の下端部が嵌まるように構成されている。上支持部6は、配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、建築用パネル1の上端部を支持し、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、配置スペースS1の前後に位置する2本の支柱5の上部間に介在し得るように、複数の支柱5のそれぞれの上部に、着脱自在または少なくとも一部が移動自在に設けられる。
上記の構成を具備することで、第一乃至第五形態のラック100では、収容される複数の建築用パネル1それぞれの下端部を下支持部4に嵌めて支持し、複数の建築用パネル1それぞれの上端部を上支持部6によって支持することができる。これにより、第一乃至第五形態のラック100では、立て置きで並ぶ複数の建築用パネル1を、上端部と下端部とを支持した安定した状態で収容することができる。
また、第一乃至第五形態のラック100では、建築用パネル1の上端部を支持する上支持部6を、支持する建築用パネル1が配置スペースS1にないときには、2本の支柱5の上部間に介在し得るようにしたことで、立て置きで並ぶ複数の建築用パネル1のうちの一部が抜き出された状態でも、その抜き出された配置スペースS1へ残りの建築用パネル1が倒れ込むことを抑制できて、安定した状態での収容することができる。
また、第一乃至第五形態のラック100では、建築用パネル1の上端部を支持する各上支持部6を、支柱5の上部に設けたものとすることで、建築用パネル1の上端部を左右方向に長いバーで支持するようなものと比べて、建築用パネル1の上端部を支持する構造を、軽量な構造とすることができ、上記の安定した状態での建築用パネル1の収容を軽量な構造で行うことができる。
また、第一乃至第五形態のラック100では、複数の建築用パネル1を立て置き状態で収容することができるため、並び順にかかわらず、施工順などの任意の順に、建築用パネル1を1枚ずつ出し入れすることができる。
さらに、第一乃至第五形態のラック100は、上記の構成に加えて、下記の付加的な構成を具備する。
すなわち、第一乃至第五形態のラック100では、前後一対の側部材3の少なくとも一方は、底部材2に対して回動自在または着脱自在であり、複数の支柱5のそれぞれは、底部材2に対して回動自在または着脱自在である。
上記の付加的な構成を具備することで、第一乃至第五形態のラック100では、一対の側部材3のうちの少なくとも一方を底部材2に対して回動または着脱させ、複数の支柱5を前方または後方から1つずつ回動または着脱させることができる。これにより、第一乃至第五形態のラック100では、立て置きで並ぶ複数の建築用パネル1の中のうちの一部を上方から出し入れするだけでなく、この複数の建築用パネル1を前後方向から順に出し入れすることもできる。
さらに、第一及び第五形態のラック100は、上記の構成に加えて、下記の付加的な構成を具備する。
すなわち、第一及び第五形態のラック100では、複数の支柱5のそれぞれは、前後に隣接する2つの上支持部6を着脱自在に接続することのできる接続部50を有する。上支持部6は、配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、配置スペースS1の前後に位置する2つの接続部50に接続された状態で、建築用パネル1に被さって建築用パネル1の上端部を支持し、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、配置スペースS1の前後に位置する2つの接続部50に接続された状態で、2本の支柱5の上部間に介在し得るように構成されている。
上記の付加的な構成を具備することで、第一及び第五形態のラック100では、各上支持部6は、建築用パネル1を支持するときも、建築用パネル1を支持しないときも、各支柱5の接続部50を介して互いに接続することができ、一体化された複数の上支持部6によって、複数の建築用パネル1の上端部を安定的に支持することができる。
また、第二及び第四形態のラック100は、上記の構成に加えて、下記の付加的な構成を具備する。
すなわち、第二及び第四形態のラック100では、上支持部6は、複数の支柱5のそれぞれの上端部に回動自在に設けられた回動部材65,67である。回動部材65,67は、第一姿勢と第二姿勢との間で回動自在であり、前記第二姿勢にあるときに前記第一姿勢にあるときよりも前後方向に長い。配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、建築用パネル1の前後に位置する回動部材65,67が、前記第一姿勢で建築用パネル1を前後方向から挟み込むことで、建築用パネル1の上端部を支持し、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、回動部材65,67が2本の支柱5の上部間に前記第二姿勢で介在するように構成されている。
上記の付加的な構成を具備することで、第二及び第四形態のラック100では、支柱5の上端部で回動部材65,67を回動させて姿勢を変えるだけで、配置スペースS1にある建築用パネル1の支持と、建築用パネル1が抜き出された配置スペースS1の隙間埋めを簡単に行うことができる。
また、第三形態のラック100は、上記の構成に加えて、下記の付加的な構成を具備する。
すなわち、第三形態のラック100では、上支持部6は、複数の支柱5のそれぞれの上端部に設けられた回動部材66とスペーサー52を含む。回動部材66は、倒伏姿勢と、前記倒伏姿勢よりも起き上がった起立姿勢と間で回動自在である。配置スペースS1に建築用パネル1があるときには、回動部材66が前記起立姿勢にあり、建築用パネル1の前後に位置するスペーサー52が建築用パネル1を前後方向から挟み込むことで、建築用パネル1の上端部を支持し、配置スペースS1に建築用パネル1がないときには、回動部材66が2本の支柱5の上部間に前記倒伏姿勢で介在するように構成されている。
上記の付加的な構成を具備することで、第三形態のラック100では、支柱5の上端部で回動部材66を回動させて姿勢を変えるだけで、建築用パネル1が抜き出された配置スペースS1の隙間埋めを簡単に行うことができる。また、第三形態のラック100では、配置スペースS1にある建築用パネル1の支持をその前後に位置するスペーサー52によって行うことができる。
また、第五形態のラック100では、上記の構成に加えて、下記の付加的な構成を具備する。
すなわち、第五形態のラック100では、複数の下支持部4のそれぞれは、底部材2に対して着脱自在であり、複数の支柱5のそれぞれは、複数の下支持部4のうちの1つと一体であり、かつ底部材2に対して着脱自在である。複数の支柱5のそれぞれには、吊り上げ装置に連結するための連結部56が設けられている。
上記の付加的な構成を具備することで、第五形態のラック100では、下支持部4、支柱5、及び上支持部6を、底部材2上に建築用パネル1を立て置きするための機構としてだけでなく、建築用パネル1を吊り上げるための吊り具101としても利用することができる。
さらに、第一、第三及び第五形態のラック100は、上記の構成に加えて、下記の付加的な構成を具備する。
すなわち、第一、第三及び第五形態のラック100では、前後一対の側部材3のそれぞれは、隣接する上支持部6を接続することのできる第二接続部37を有する。
上記の付加的な構成を具備することで、第一、第三及び第五形態のラック100では、建築用パネル1の上端部を支持する各上支持部6は、前後一対の側部材3のうちの少なくとも一方の第二接続部37に直接または他の上支持部6を介して間接的に接続することができ、これにより、建築用パネル1の上端部の支持をより安定的に行うことができる。
さらに、第一乃至第五形態のラック100は、上記の構成に加えて、下記の付加的な構成を具備する。
すなわち、第一乃至第五形態のラック100では、前後一対の側部材3には、吊り上げ装置に連結するための連結部36が設けられている。
上記の付加的な構成を具備することで、第一乃至第五形態のラック100は、クレーン等の吊り上げ装置を用いて吊り上げて搬送することができ、このような搬送の際でも、各建築用パネル1を安定的に支持することができる。
以上、本発明を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。