JP3018528U - 仮設ステージ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 部材の揚重作業を容易にするとともに、構造
体への取り付け，取り外し作業が簡単で、工事中の作業
者の安全性を充分に確保することができる仮設ステージ
を提供すること。 【構成】 平板からなる載置部材２の両側面には、一対
の互いに平行な溝型鋼からなる支持部材３の下端側が固
定され、両支持部材３の上端部は、側面鉤型の係止部４
が具備されることにより一体化している一方、載置部材
２の下面端縁に沿っては別の係止部５が形成されてい
る。そして、載置部材２と支持部材３とは、補強部材６
によって補強され、載置部材２の上面側には、張り出さ
れる三方に編み目状のメッシュ筋からなるガイド部材７
が立ち上げて固定されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、特にプレキャストコンクリートを用いた積層工法において、下階か ら上階への部材の揚重に使用して好適な仮設ステージに関する。

【０００２】

【従来の技術】

プレキャストコンクリートを用いた積層工法は、構造体や外壁等を１層（１階 ないし数階を単位とする）毎に、組み立て，仕上げ，設備等の工事までを同時に 行って完了させていく工法であって、現場労務の省力化，工期の短縮，品質及び 生産性の向上，安全性の確保その他を好適に図ることができ、広く適用されてい るのは周知の通りである。

【０００３】 ところで、このような積層工法では、プレキャストコンクリート部材を用いて １層毎に工事を完了させるものであるため、上階を工事する時点で既に下階の天 井（すなわち上階の床）は工事完了となっており、したがって、下階と上階とは 前記天井によって遮られた状態となっている。このように下階と上階とが遮られ ていれば、特に部材を揚重させる作業が困難になるのは容易に推定されるが、従 来、かかる揚重作業は、構造体に配設されるエレべータの開口部を利用する場合 が多かった。すなわち、エレべータの開口部は、構造体を上下方向に空洞化した ものであるから、この空洞を利用して下階から上階への部材の揚重を例えばクレ ーン等を用いて行っていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、エレべータの開口部は一般に狭いため、作業者が充分なゆとり をもって作業することができず、また例えば部材の落下等の偶発的な事故に対し て安全地帯を設けることができない等といった問題があり、作業者の安全性の確 保に限界があった。

【０００５】 本考案は、上記の問題を解決し得るものであって、その目的は、部材の揚重作 業を容易にするとともに、構造体への取り付け，取り外し作業が簡単で、工事中 の作業者の安全性を充分に確保することができる仮設ステージを提供することに ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の仮設ステージのうち、請求項１に記載の考案は、建物の構築中に当該 建物の第Ｎ階部分から建物外側に張り出して取り付けられる仮設ステージであっ て、前記建物の第Ｎ＋１階を構成する床の端縁に係止可能な係止部を設けた支持 部材と、この支持部材に固定された平板状の載置部材とを側面鉤型に組み合わせ たことを特徴としている。

【０００７】 請求項２に記載の考案は、請求項１に記載の考案において、前記載置部材に前 記建物の第Ｎ階を構成する床の端縁に係止可能な係止部を設けたことを特徴とし ている。 請求項３に記載の考案は、建物の構築中に当該建物の第Ｎ階部分から建物外側 に張り出して取り付けられる仮設ステージであって、前記建物の第Ｎ＋１階を構 成する床の手すりに係止可能な係止部を設けた支持部材と、この支持部材に固定 された平板状の載置部材とを側面鉤型に組み合わせたことを特徴としている。

【０００８】 請求項４に記載の考案は、請求項３に記載の考案において、前記載置部材に前 記建物の第Ｎ階を構成する床の手すりに係止可能な係止部を設けたことを特徴と している。 請求項５に記載の考案は、請求項１ないし請求項４のいずれかに記載の考案に おいて、端部が前記支持部材と前記載置部材とに固定された補強部材を設けたこ とを特徴としている。

【０００９】 請求項６に記載の考案は、請求項１ないし請求項５のいずれかに記載の考案に おいて、前記補強部材を、前記支持部材の上端と前記載置部材の前記建物から離 れる側の端部とに固定したことを特徴としている。 請求項７に記載の考案は、請求項１ないし請求項６のいずれかに記載の考案に おいて、前記載置部材の張り出される三方の縁から立ち上がったガイド部材を設 けたことを特徴としている。

【００１０】 請求項８に記載の考案は、請求項１ないし請求項７のいずれかに記載の考案に おいて、前記第Ｎ＋１階を構成する床の下面と前記載置部材の上面との間に介在 する支承部材を備えたことを特徴としている。 請求項９に記載の考案は、請求項１ないし請求項８のいずれかに記載の考案に おいて、前記支承部材は、螺子機構により伸縮自在となっていることを特徴とし ている。

【００１１】

【作用】

本考案の仮設ステージのうち、請求項１に記載の考案によれば、先ず仮設ステ ージを工事中の建物に設置するには、例えばクレーン等により当該仮設ステージ を吊り上げ、支持部材の係止部を建物の第Ｎ＋１階を構成する床の端部，例えば バルコニー等の端縁に係止させる。これにより、支持部材は建物の第Ｎ＋１階を 構成する床に支持される一方、載置部材は支持部材に固定されて建物の第Ｎ階か ら外側に張り出した状態となる。したがって、この載置部材上に建物の構成部材 を揚重して載置すれば、作業者は、建物の床上にあって載置部材から建物の構成 部材を搬入，搬出することが可能となる。

【００１２】 請求項２に記載の考案によれば、載置部材が建物の第Ｎ階を構成する床の端部 ，例えばバルコニー等の端縁に係止されるから、仮設ステージの取り付け安定性 が向上する。 請求項３に記載の考案によれば、先ず仮設ステージを工事中の建物に設置する には、例えばクレーン等により当該仮設ステージを吊り上げ、支持部材の係止部 を建物の第Ｎ＋１階を構成する手すり，例えばバルコニー等の手すりに係止させ る。これにより、支持部材は建物の第Ｎ＋１階を構成する床に支持される一方、 載置部材は支持部材に固定されて建物の第Ｎ階から外側に張り出した状態となる 。したがって、この載置部材上に建物の構成部材を揚重して載置すれば、作業者 は、建物の床上にあって載置部材から建物の構成部材を搬入，搬出することが可 能となる。

【００１３】 請求項４に記載の考案によれば、載置部材が建物の第Ｎ階を構成する手すり， 例えばバルコニー等の手すりに係止されるから、仮設ステージの取り付け安定性 が向上する。 請求項５に記載の考案によれば、支持部材と載置部材とが補強部材により補強 されることにより、仮設ステージの強度が向上し、制限荷重を引き上げることが 可能となる。

【００１４】 請求項６に記載の考案によれば、支持部材と載置部材との補強が一層好適にな され、これにより仮設ステージの強度が向上し、制限荷重を引き上げることが可 能となる。 請求項７に記載の考案によれば、載置部材の張り出される三方がガイド部材に より囲まれた状態となり、これによって載置部材上に載置された建物の構成部材 の落下が防止される。

【００１５】 請求項８に記載の考案によれば、支承部材が建物の第Ｎ＋１階を構成する床の 下面（即ち第Ｎ階の天井）と載置部材上面との間でこれらを支承するので、載置 部材上に建物の構成部材が載置された際、当該部材の重みによる第Ｎ＋１階の床 の変形が防止される。 請求項９に記載の考案によれば、支承部材を取り付ける際には、先ず仮設ステ ージを設置した後、第Ｎ＋１階の床の下面と載置部材の上面との間に介在させ、 当該載置部材が伸びる方向に螺子機構を回す。逆に、支承部材を取り外す際には 、載置部材が縮む方向に螺子機構を回す。このように、支承部材は、簡単な操作 により取り付け・取り外しを行うことが可能である。

【００１６】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を参照して詳細に説明する。 図１ないし図５は本考案にかかる仮設ステージ１の一実施例を示す図であり、 図１は側面図，図２は正面図，図３〜図５はぞれぞれ図２におけるＡ線，Ｂ線， Ｃ線の詳細矢視図である。

【００１７】 図１及び図２を参照すると、仮設ステージ１は、以下の通りに構成されている 。すなわち、平板からなる載置部材２には、この載置部材２の一端側（図１にお いて左側）の側面に、一対の互いに平行な溝型鋼からなる支持部材３の下端側が 固定されている（図４参照）。この支持部材３は、載置部材２の側部から上方に 向けて立ち上がって延び、後述する建物の上階（第Ｎ＋１階）と下階（第Ｎ階） のバルコニーの間の長さに対応した長さに形成されている。

【００１８】 そして、両支持部材３の上端部は、係止部４が具備されることにより一体化し ている（図３参照）。この係止部４は、前記載置部材２の面と平行に位置し、そ の側面形状が鉤型となるように形成されている。一方、載置部材２にも係止部５ が形成されている。具体的には、係止部５は、載置部材２の前記一端側の下面端 縁に沿って形成されている。

【００１９】 これら載置部材２と支持部材３とは、補強部材６によって補強されている。こ の補強部材６は、その両端が載置部材２の他端側（図１において右側・図５参照 ）と支持部材３の上端側とに固定され、図２に示すように両支持部材３に対応し て二つ設けられている。また、載置部材２の上面側には、前記一端側以外の三方 にガイド部材７が立ち上げて固定されていて、このガイド部材７は、載置部材２ に物体を載置した際、横側から可視できるように編み目状のメッシュ筋からなっ ている。

【００２０】 次に、上記の構成からなる仮設ステージ１の使用例について説明する。この例 においては、特にプレキャストコンクリートを用いた積層工法において、地上か ら第Ｎ階への部材の揚重を行う際に仮設ステージ１を利用する場合について説明 する。 先ず仮設ステージ１を工事中の建物に設置する。すなわち、図１に示すように 、例えばクレーン等により仮設ステージ１を吊り上げ、建物の上階を構成する床 の端部，例えばバルコニー等の端縁まで移動させる。そして、上階のバルコニー の端縁Ｘには係止部４が，下階のバルコニーの端縁Ｙには係止部５が、それぞれ 係合されるように仮設ステージ１を取り付ける。

【００２１】 これにより、仮設ステージ１は、建物のバルコニーに支持される一方、載置部 材２は建物から外側に張り出した状態で位置することになる。次いで、螺子機構 ８ａによって伸縮自在な支承部材８を用い、この支承部材８を上階のバルコニー の端縁Ｘと載置部材２の上面との間に介在させる。つまり、最初螺子機構８ａを 緩めた状態で介在させ、支承部材８は伸びる方向に螺子機構８ａを回し、上階の バルコニーの端縁Ｘと載置部材２の上面との間で支承部材８を突っ張らせるよう にする。

【００２２】 このように設置した仮設ステージ１には、載置部材２に建物の構成部材を揚重 して載置する。仮設ステージ１は、係止部４，５がバルコニーＸ，Ｙに係合する こにより安定的に支持されるとともに、載置部材２と支持部材３とが補強部材６ により補強されることにより、建物の構成部材が載置された際にもこれを確実に 保持する。また、支承部材８により支承されていることで、載置部材２上の建物 の構成部材の重みによって、上階のバルコニーＸの変形が防止される。さらに、 載置部材２に載置された建物の構成部材は、ガイド部材７によって落下が防止さ れ、作業者の危険性が防止される。

【００２３】 このように、仮設ステージ１は、建物の外側に張り出しているから、クレーン 等を用いて建物の構成部材を容易に揚重して載置することができる。したがって 、作業者は、建物の床上にあって載置部材２から建物の構成部材を搬入，搬出す ることができ、安全性が確保された良好な状況で作業を行うことができる。 なお、補強部材８，ガイド部材７及び支承部材８は、必要に応じて設ければよ く、特に必要がない場合はこれらを省略することも可能である。また、本実施例 では、仮設ステージ１を建物のバルコニーに支持させるものとしたが、建物の構 成に応じて手すりに支持させることも可能である。

【００２４】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように、本考案の仮設ステージによれば、建物の構成 部材の揚重作業を容易にするとともに、建物への取り付け，取り外しが容易で、 工事中の作業者の安全性を充分に確保することができる。 特に、請求項１及び請求項３に記載の考案によれば、建物の構成部材の揚重作 業を容易にし、作業者の作業性の確保及び危険性の回避を実現し得る。

【００２５】 請求項２及び請求項４に記載の考案によれば、仮設ステージの取り付け安定性 を一層向上させることができる。 請求項５及び請求項６に記載の考案によれば、仮設ステージの強度が向上し、 制限荷重を引き上げることができる。 請求項７に記載の考案によれば、載置部材上に載置された建物の構成部材の落 下を防止することができる。

【００２６】 請求項８に記載の考案によれば、載置部材上に建物の構成部材が載置された際 、当該部材の重みによる上階の床の変形を防止することができ、請求項９に記載 の考案によれば、簡単な操作により支承部材を取り付け・取り外しすることがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる仮設ステージの建物への取り付
け状態を示す側面図である。

【図２】本考案にかかる仮設ステージの正面図である。

【図３】図２のＡ線詳細矢視図である。

【図４】同Ｂ線詳細矢視図である。

【図５】同Ｃ線詳細矢視図である。

【符号の説明】

１・・・仮設ステージ ２・・・載置部材 ３・・・支持部材 ４，５・係止部 ６・・・補強部材 ７・・・ガイド部材 ８・・・支承部材 ８ａ・・螺子機構 Ｘ，Ｙ・建物のバルコニー

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【手続補正書】

【提出日】平成７年６月２６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項６

【補正方法】変更

【補正内容】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項９

【補正方法】変更

【補正内容】

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物の構築中に当該建物の第Ｎ階部分か
   ら建物外側に張り出して取り付けられる仮設ステージで
   あって、前記建物の第Ｎ＋１階を構成する床の端縁に係
   止可能な係止部を設けた支持部材と、この支持部材に固
   定された平板状の載置部材とを側面鉤型に組み合わせた
   ことを特徴とする仮設ステージ。
2. 【請求項２】 前記載置部材に前記建物の第Ｎ階を構成
   する床の端縁に係止可能な係止部を設けたことを特徴と
   する請求項１に記載の仮設ステージ。
3. 【請求項３】 建物の構築中に当該建物の第Ｎ階部分か
   ら建物外側に張り出して取り付けられる仮設ステージで
   あって、前記建物の第Ｎ＋１階を構成する床の手すりに
   係止可能な係止部を設けた支持部材と、この支持部材に
   固定された平板状の載置部材とを側面鉤型に組み合わせ
   たことを特徴とする仮設ステージ。
4. 【請求項４】 前記載置部材に前記建物の第Ｎ階を構成
   する床の手すりに係止可能な係止部を設けたことを特徴
   とする請求項３に記載の仮設ステージ。
5. 【請求項５】 端部が前記支持部材と前記載置部材とに
   固定された補強部材を設けたことを特徴とする請求項１
   ないし請求項４のいずれかに記載の仮設ステージ。
6. 【請求項６】 前記補強部材を、前記支持部材の上端と
   前記載置部材の前記建物から離れる側の端部とに固定し
   たことを特徴とする請求項１ないし請求項５のいずれか
   に記載の仮設ステージ。
7. 【請求項７】 前記載置部材の張り出される三方の縁か
   ら立ち上がったガイド部材を設けたことを特徴とする請
   求項１ないし請求項６のいずれかに記載の仮設ステー
   ジ。
8. 【請求項８】 前記第Ｎ＋１階を構成する床の下面と前
   記載置部材の上面との間に介在する支承部材を備えたこ
   とを特徴とする請求項１ないし請求項７のいずれかに記
   載の仮設ステージ。
9. 【請求項９】 前記支承部材は、螺子機構により伸縮自
   在となっていることを特徴とする請求項１ないし請求項
   ８のいずれかに記載の仮設ステージ。