JP5603805B2 - 吊り治具および吊り治具の取付構造、バルコニーユニットの吊り上げ方法 - Google Patents

吊り治具および吊り治具の取付構造、バルコニーユニットの吊り上げ方法 Download PDF

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Description

本発明は、バルコニーユニットを吊り上げるための吊り治具と、この吊り治具をバルコニーユニットに取り付けてなる構造と、この吊り治具を用いてバルコニーユニットを吊り上げる方法に関する。
従来、予め工場で製造された複数の建物ユニットを建築現場で相互に接合するユニット式建物が利用されている。このようなユニット式建物によれば、建物の内外装等の殆ど全ての作業が工場で行われるため、建築現場での作業が軽減され、短期間で建物を完成することができる。
ユニット式建物にバルコニーを設ける場合、床部と手摺壁部とを有する断面L字型のバルコニーユニットを予め工場で製造し、このバルコニーユニットを建築現場で建物本体に接合することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−018411号公報
ところで、バルコニーユニットの手摺壁として、PALC(プレキャストオートクレーブド軽量気泡コンクリート)等の厚みのある外壁材が用いられる場合がある。
ところが、PALC等のコンクリート製の外壁材は重量物であり、例えばバルコニー床部の四つのコーナー部分に吊りワイヤーを係止した状態で吊り上げてしまうと、バルコニーユニット自体が重量のある手摺壁側に傾いてしまう場合がある。このように傾いてしまうと、運搬作業や施工が困難となる場合がある。
また、このように外壁材が重量物であるため、輸送時において、バルコニー床部と手摺壁との間の接合部分等には、振動等により大きな負荷がかかる場合がある。
本発明の課題は、輸送時においてバルコニーユニットを補強するとともに、吊り上げ時においてバルコニーユニットの傾きを確実に防ぐことである。
請求項1に記載の発明は、吊り治具10であって、例えば図1〜図4に示すように、平面視矩形状の床部2と、この床部2の長手方向の一側縁部に設けられる手摺壁3とを有し、側断面視L字型に形成されたバルコニーユニット1の入隅部1aに取り付けられており、
前記床部2の上面に、該床部2の短手方向に沿って設けられる横材11と、
前記横材11の手摺壁3側端部から前記手摺壁3の高さ方向に沿って設けられ、上端部が前記手摺壁3に固定されるとともに、下端部が前記床部2に固定される縦材12と、
前記縦材12の上端部と、前記横材11の手摺壁3とは反対側の端部との間に架設される斜材13とを備えており、
前記縦材12は、この縦材12の上端部に設けられるとともに、吊りワイヤー4係止用の吊り金具5を取り付けるための吊り金具取付部14を有していることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記横材11と、前記縦材12と、前記斜材13とによって吊り治具10を略トラス状に形成することができる。このような吊り治具10を、前記縦材12の上端部を前記手摺壁3に固定するとともに、下端部を前記床部2に固定するようにして、前記バルコニーユニット1の入隅部1aに取り付けることによって、前記床部2と手摺壁3との間の接合部分等を補強することができる。これによって、例えば輸送時において前記床部2と手摺壁3との間の接合部分等に大きな負荷がかかったとしても、バルコニーユニット1の破損を確実に防止することができる。
また、前記縦材12の上端部に、前記吊り金具取付部14が設けられているので、この吊り金具取付部14に取り付けられる吊り金具5は、例えば吊り金具5を前記床部2に取り付ける場合に比して高い位置に設けられることになる。また、このような高い位置に設けられる吊り金具5が前記手摺壁3側に配置されることから、この高い位置の吊り金具5よりも低い位置に、前記手摺壁3側に配置されない吊り金具5を設けることによって、バルコニーユニット1を吊り上げた際に、バルコニーユニット1が重量のある手摺壁3側に傾くことを確実に防ぐことができる。これによって、バルコニーユニット1の運搬作業や施工を容易に行うことができる。
しかも、工場等で製造されたバルコニーユニット1に吊り治具10を取り付け、この吊り治具10を用いてバルコニーユニット1を輸送車両の荷台に運搬し、補強を兼ねて吊り治具10を取り付けたまま輸送し、現場では吊り治具10を用いて吊り上げてバルコニーユニット1の施工を行うことができる。すなわち、バルコニーユニット1が工場等で製造されてから、現場で建物本体に接合されるまでの間の作業効率を向上させることができるので、利便性に優れる。
請求項2に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、請求項1に記載の吊り治具10において、
前記縦材12の上端部には、この縦材12の上端部と前記手摺壁3の裏面とを連結する連結ブラケット15が取り付けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前記連結ブラケット15によって、前記縦材12の上端部と前記手摺壁3の裏面とを連結できるので、前記縦材12の上端部を、前記手摺壁3の裏面に確実に固定することができる。したがって、例えば前記縦材12が前記床部2上に確実かつ強固に立設された状態であれば、この縦材12を介して、前記手摺壁3を補強できることになる。
請求項3に記載の発明は、例えば図2および図4に示すように、請求項1または2に記載の吊り治具10において、
前記縦材12の下端部には、前記床部2の上面に載置固定される固定プレート16が一体的に設けられており、
この固定プレート16には、前記床部2の上面の縦材12固定位置に形成されるボルト孔に対応するボルト孔が形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、前記固定プレート16を前記床部2の上面に載置し、この固定プレート16と前記床部2の上面の縦材12固定位置とをボルト接合することによって、前記縦材12を、前記床部2上に確実かつ強固に立設させることができる。これによって、前記縦材12の上端部が固定された手摺壁3を補強することができる。
請求項4に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項3に記載の吊り治具10において、
前記縦材12の下端部側面には、前記固定プレート16を露出させるための作業用開口部12aが形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、前記作業用開口部12aから固定プレート16を露出させることができるので、この作業用開口部12aから手や工具を入れることができるので、この固定プレート16と前記床部2とを確実かつ容易に接合させることができる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吊り治具10において、
前記横材11には、この横材11と前記床部2とを同時に把持することによって、これら横材11と床部2とを連結する把持ブラケット17が取り付けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記把持ブラケット17によって、前記横材11と床部2とを同時に把持することによって、これら横材11と床部2とを確実に連結することができる。したがって、吊り治具10の取付作業時に、この把持ブラケット17によって前記横材11と床部2とを連結しておけば、吊り治具10が転倒することを確実に防ぐことができる。これによって、吊り治具10を床部2上に安定的に載置した状態で、前記縦材12を床部2に固定したり、手摺壁3に固定したりすることができるので、吊り治具10の取付作業を容易かつ確実に行うことができる。
請求項6に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吊り治具10を、バルコニーユニット1の入隅部1aに取り付けてなる吊り治具10の取付構造であって、
前記床部2の長手方向の他側縁部には、吊りワイヤー4係止用の吊り金具5を取り付けるための吊り金具取付部6が、この床部2の長手方向両端部付近に位置するようにして設けられており、
前記吊り治具10は、前記床部2の長手方向両端部に配置されており、
前記横材11は、前記床部2の上面に、該床部2の短手方向に沿って設けられており、
前記縦材12は、上端部が前記手摺壁3に固定されており、下端部が前記床部2に固定されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、前記吊り治具10が、前記縦材12の上端部を前記手摺壁3に固定するとともに、下端部を前記床部2に固定するようにして、前記バルコニーユニット1の入隅部1aに取り付けているので、前記床部2と手摺壁3との間の接合部分等を補強することができる。これによって、例えば輸送時において前記床部2と手摺壁3との間の接合部分等に大きな負荷がかかったとしても、バルコニーユニット1の破損を確実に防止することができる。
また、前記床部2の吊り金具取付部6と、この吊り金具取付部6よりも高い位置に設けられる縦材12上端部の吊り金具取付部14とに、それぞれ吊り金具5を取り付けることができるので、バルコニーユニット1を吊り上げた際に、バルコニーユニット1が重量のある手摺壁3側に傾くことを確実に防ぐことができる。これによって、バルコニーユニット1の運搬作業や施工を容易に行うことができる。
しかも、工場等で製造されたバルコニーユニット1に吊り治具10を取り付け、この吊り治具10を用いてバルコニーユニット1を輸送車両の荷台に運搬し、補強を兼ねて吊り治具10を取り付けたまま輸送し、現場では吊り治具10を用いて吊り上げてバルコニーユニット1の施工を行うことができる。すなわち、バルコニーユニット1が工場等で製造されてから、現場で建物本体に接合されるまでの間の作業効率を向上させることができるので、利便性に優れる。
請求項7に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吊り治具10を用いるバルコニーユニット1の吊り上げ方法であって、
前記吊り治具10を、前記床部2の長手方向両端部に配置するとともに、この吊り治具10の横材11を前記床部2の上面に、該床部2の短手方向に沿って設け、さらに、前記縦材12の上端部を前記手摺壁3に固定するとともに、下端部を前記床部2に固定し、
前記縦材12の上端部に設けられた吊り金具取付部14に、吊りワイヤー4係止用の吊り金具5を取り付け、
前記床部2の長手方向の他側縁部に、この床部2の長手方向両端部付近に位置するようにして設けられた吊り金具取付部6に、吊りワイヤー4係止用の吊り金具5を取り付け、
前記縦材12上端部の吊り金具5と、前記床部2の吊り金具5とに吊りワイヤー4(4b)を係止してからバルコニーユニット1を吊り上げることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、前記吊り治具10を、前記縦材12の上端部を前記手摺壁3に固定するとともに、下端部を前記床部2に固定するようにして、前記バルコニーユニット1の入隅部1aに取り付けるので、前記床部2と手摺壁3との間の接合部分等を補強することができる。これによって、例えば輸送時において前記床部2と手摺壁3との間の接合部分等に大きな負荷がかかったとしても、バルコニーユニット1の破損を確実に防止することができる。
また、前記床部2の吊り金具取付部6と、この吊り金具取付部6よりも高い位置に設けられる縦材12上端部の吊り金具取付部14とに、それぞれ吊り金具5を取り付けてバルコニーユニット1を吊り上げるので、バルコニーユニット1が重量のある手摺壁3側に傾くことを確実に防ぐことができる。これによって、バルコニーユニット1の運搬作業や施工を容易に行うことができる。
しかも、工場等で製造されたバルコニーユニット1に吊り治具10を取り付け、この吊り治具10を用いてバルコニーユニット1を輸送車両の荷台に運搬し、補強を兼ねて吊り治具10を取り付けたまま輸送し、現場では吊り治具10を用いて吊り上げてバルコニーユニット1の施工を行うことができる。すなわち、バルコニーユニット1が工場等で製造されてから、現場で建物本体に接合されるまでの間の作業効率を向上させることができるので、利便性に優れる。
本発明によれば、略トラス状の吊り治具を、縦材の上端部を手摺壁に固定するとともに、下端部を床部に固定するようにして、バルコニーユニット1の入隅部に取り付けることによって、床部と手摺壁との間の接合部分等を補強することができる。これによって、例えば輸送時において床部と手摺壁との間の接合部分等に大きな負荷がかかったとしても、バルコニーユニットの破損を確実に防止することができる。
また、高い位置に設けられる吊り金具が手摺壁側に配置されることから、バルコニーユニットを吊り上げた際に、バルコニーユニットが重量のある手摺壁側に傾くことを確実に防ぐことができる。これによって、バルコニーユニットの運搬作業や施工を容易に行うことができる。
しかも、工場等で製造されたバルコニーユニットに吊り治具を取り付け、この吊り治具を用いてバルコニーユニットを輸送車両の荷台に運搬し、補強を兼ねて吊り治具を取り付けたまま輸送し、現場では吊り治具を用いて吊り上げてバルコニーユニットの施工を行うことができる。すなわち、バルコニーユニットが工場等で製造されてから、現場で建物本体に接合されるまでの間の作業効率を向上させることができるので、利便性に優れる。
吊り治具をバルコニーユニットに取り付けるとともに、バルコニーユニットを吊り上げた状態を示す斜視図である。 吊り治具をバルコニーユニットに取り付けた状態を示す側面図である。 同、平面図である。 同、正面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、吊り治具10をバルコニーユニット1に取り付けるとともに、この吊り治具10を用いてバルコニーユニット1を吊り上げた状態を示す斜視図である。
このバルコニーユニット1は、平面視矩形状の床部2と、この床部2の長手方向の一側縁部に設けられる手摺壁3とを有し、側断面視L字型に形成されている。また、前記吊り治具10は、バルコニーユニット1の入隅部1aに取り付けられている。
前記バルコニーユニット1の床部2は、図1〜図4に示すように、枠体20と、複数の床材23…とを備えている。
前記枠体20は、複数の床枠材21…によって矩形枠状に組み立てられた矩形枠の内部に、根太や補強桟材等の複数の床構成材22…を組み付けることによって形成されている。なお、床枠材21は断面コ字型のチャンネル材が用いられている。
また、前記複数の床材23…は、前記枠体20の上面に敷設されて、バルコニーユニット1の床面を構成している。
また、前記床部2の長手方向の一側縁部には前記手摺壁3が設けられており、他側縁部には、図3に示すように、吊りワイヤー4係止用の吊り金具5を取り付けるための吊り金具取付部6が、この床部2の長手方向両端部付近に位置するようにして設けられている。
なお、吊り金具取付部6が設けられる部分には、図1および図3に示すように、床材23が敷設されておらず、この部分は、吊り金具取付部6に吊り金具5を取り付ける作業を行うための作業用開口部2aとされている。
ここで、前記吊り金具5としては、図1に示すように、頭部が環状に形成され、軸部にネジ山が形成されたアイボルトが用いられている。また、アイボルトに限られるものではなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、前記吊り金具取付部6は、図3に示すように、平面視矩形状の本体板部を備えており、平面視において縦横に交差する床枠材21と床構成材22との交差部付近に接合されている。
また、本体板部の中央には、前記吊り金具5挿入用のボルト孔6aが形成されており、本体板部の下面には、前記吊り金具5に螺合するナット(図示せず)が設けられている。
前記バルコニーユニット1の手摺壁3は、複数の支柱30…と、頭つなぎ31と、外壁材32と、防水立ち上がり33と、バルコニー内壁34と、笠木35とを備えている。
前記複数の支柱30…は、図2および図3に示すように、前記床部2の長手方向の一側縁部に配置された床枠材21の上面に、該床枠材21の長手方向に間隔をあけて立設されている。また、これら複数の支柱30…の上端同士が、前記頭つなぎ31によって連結されている。
前記外壁材32は、図1および図2に示すように、前記複数の支柱30…の外部側に取り付けられている。
この外壁材32として、PALC(プレキャストオートクレーブド軽量気泡コンクリート)等のコンクリート製の外壁材が用いられている。このようなコンクリート製の外壁材は重量物であるものの、耐火性に優れ、バルコニーユニット1だけでなく、このバルコニーユニット1が取り付けられる建物本体の外壁材としても用いられている。
なお、前記複数の支柱30…の外部側には、図3に示すように、この外壁材32を支持するための支持部30aが取り付けられている。
前記防水立ち上がり33は、図2に示すように、前記複数の支柱30…のバルコニー内部側の下部に設けられている。
前記バルコニー内壁34は、前記複数の支柱30…のバルコニー内部側において、前記防水立ち上がり33の上方に設けられている。
なお、これら防水立ち上がり33およびバルコニー内壁34は、図1に示すように、前記床部2および外壁材32の長さよりも短くなるように形成されている。すなわち、これら防水立ち上がり33およびバルコニー内壁34は、前記外壁材32よりも幅狭に形成されており、外壁材32の両端部の裏面が露出するように設定されている。
前記笠木35は、図1および図2に示すように、前記頭つなぎ31と、前記外壁材32の上端部に設けられる高さ調整材32aと、前記バルコニー内壁34の上端部とを被覆するようにして設けられている。
なお、上述のバルコニーユニット1は、前記手摺壁3が平面視において直線状に形成されたものであり、該バルコニーユニット1の両側に、別のバルコニーユニットを連結できるような構成となっている。別のバルコニーユニットとしては、上述のバルコニーユニット1と同じく手摺壁3が直線状のものでもよいし、手摺壁が平面視L字型に形成されたものでもよい。
バルコニーユニット1を吊り上げる吊りワイヤー4は、図1に示すように、1本のメインワイヤー4aと、この1本のメインワイヤー4aの先端部(図1では下端部)から分岐する4本のサブワイヤー4b…とを備えており、メインワイヤー4aがクレーン等に係止され、サブワイヤー4b…が4つの吊り金具5にそれぞれ係止されている。
前記吊り治具10は、図1〜図4に示すように、前記床部2の長手方向両端部に配置されている。
また、この吊り治具10は、横材11と、縦材12と、斜材13とを備えており、これら横材11と縦材12と斜材13とを組み立てることでトラス状に形成されている。
また、横材11と斜材13とで形成される入隅部分には補強用のスチフナー18が設けられている。
前記横材11は、図1〜図3に示すように、前記床部2の上面に、該床部2の短手方向に沿って設けられるものであり、この横材11としては、いわゆるリップ付きのチャンネル材が用いられている。そして、図2に示すように、このチャンネル材の開口が外側を向くように配置されている。
前記横材11には、図1〜図4に示すように、この横材11と前記床部2とを同時に把持することによって、これら横材11と床部2とを連結する把持ブラケット17が取り付けられている。
この把持ブラケット17は、断面コ字型に形成されており、上面板が前記横材11の上面に当設されており、下面板が前記床枠材21の下面に当接されており、側面板が前記床枠材21の内側面に当接されている。
前記上面板には複数のボルト孔が形成されており、これらボルト孔は、前記横材11の上面板に形成される複数のボルト孔に対応して設けられている。そして、これら把持ブラケット17の上面板と前記横材11の上面板とは、ボルト17aおよびナット17bによってボルト接合されている。
前記把持ブラケット17の下面板は、前記上面板よりも床部2の短手方向に長くなるように、かつ床部2の長手方向に幅狭となるように形成されている。すなわち、前記上面板の幅寸法は、前記横材11の上面板の幅寸法と略等しくなるように設定されており、前記下面板の幅寸法は、前記床枠材21の下面板の内側縁部に引っ掛かっただけの状態になっている。
前記斜材13は、図1および図2に示すように、前記縦材12の上端部と、前記横材11の手摺壁3とは反対側の端部との間に架設されている。この斜材13としては、いわゆるリップ付きのチャンネル材が用いられている。そして、図2に示すように、このチャンネル材の開口が外側を向くように配置されている。
前記縦材12は、図1〜図4に示すように、前記横材11の手摺壁3側端部から前記手摺壁3の高さ方向に沿って設けられ、上端部が前記手摺壁3に固定されるとともに、下端部が前記床部2に固定されるものである。この縦材12としては、いわゆる角型鋼管が用いられている。
また、前記縦材12は、この縦材12の上端部に設けられるとともに、吊りワイヤー4係止用の吊り金具5を取り付けるための吊り金具取付部14を有している。
この吊り金具取付部14は、図2〜図4に示すように、上面プレート14aと、この上面プレート14aに形成されるボルト孔14bと、このボルト孔14bに対応するようにして上面プレート14aの下面に固定されたナット14cとを備えている。なお、前記ボルト孔14bには、吊り金具5の軸部が挿入され、前記ナット14cには、吊り金具5の軸部が螺合される。
前記縦材12の上端部には、図1および図2に示すように、この縦材12の上端部と前記手摺壁3の裏面とを連結する連結ブラケット15が取り付けられている。
この連結ブラケット15は、側面視L字型に形成されており、水平板部15aと、垂直板部15bとを備えている。
前記水平板部15aは、前記縦材12の吊り金具取付部14の上面プレート14aに載置されるようにして設けられるものであり、上面プレート14aの位置から外壁材32方向に延出している。
また、この水平板部15aの上面プレート14aと重なる部分には、前記上面プレート14aのボルト孔14bに対応するボルト孔(図示せず)が形成されている。そして、図1に示すように、これら水平板部15aと上面プレート14aとは、前記吊り金具5によって接合されている。
前記垂直板部15bは、前記外壁材32の裏面に当接固定されるものであり、前記水平板部15aの手摺壁3側端部から上方に延出している。
この垂直板部15bには、複数のボルト孔(図示せず)が形成されている。また、前記外壁材32の裏面には、この垂直板部15bの複数のボルト孔に対応するナット32bが埋設されている。そして、これら垂直板部15bと外壁材32とは、ボルト15cによってボルト接合されている。
前記縦材12の下端部には、図2および図4に示すように、前記床部2の上面に載置固定される固定プレート16が一体的に設けられている。
この固定プレート16には、ボルト孔が形成されている。また、前記床部2の長手方向両端部に設けられた床枠材21,21には、縦材12が固定される縦材固定位置にボルト孔が形成されており、このボルト孔と前記縦材12のボルト孔とが互いに対応している。
そして、これら固定プレート16と前記床枠材21とは、ボルト16aおよび高ナット16bによってボルト接合されている。
さらに、前記縦材12の下端部側面には、前記固定プレート16を露出させるための作業用開口部12aが形成されており、この作業用開口部12aから手や工具を入れることができるようになっている。
なお、本実施の形態で用いられる各ボルトは、通常のボルトの他に、例えばハイテンションボルトが用いられている。このハイテンションボルトは、高張力の鋼で作られた強度の高いボルトであり、部材同士の接合状態を向上させることができる。
次に、前記吊り治具10を用いてバルコニーユニット1を吊り上げる方法について説明する。
まず、前記横材11と、前記縦材12と、前記斜材13とを組み立てて、予め吊り治具10を作製しておく。すなわち、前記縦材12の上端部には、前記吊り金具取付部14を設けておき、下端部には固定プレート16を設けておく。また、前記横材11と斜材13との間にはスチフナー18を取り付けておく。
続いて、このように予め作製された吊り治具10を、図1に示すように、前記床部2の長手方向両端部にそれぞれ配置する。
この時、前記横材11を、前記床部2の上面に、該床部2の短手方向に沿って設けるようにする。そして、この横材11と前記床部2の床枠材21とを、前記把持ブラケット17によって把持して連結する。なお、この把持ブラケット17の上面板は、前記横材11の上面板とボルト接合し、把持ブラケット17の下面板は、前記床枠材21の下面板の内側縁部に引っ掛けるようにする。
なお、吊り治具10をバルコニーユニット1に取り付ける際には、例えば図2に示すような組立輸送治具7を用いて、バルコニーユニット1を支持した上で、吊り治具10を取り付けることが好ましい。図示はしないが、組立輸送治具7は、前記床部2の下面に複数設けられており、バルコニーユニット1を安定的に支持している。
続いて、前記縦材12の上端部に、前記連結ブラケット15を取り付ける。すなわち、この連結ブラケット15の水平板部15aを、前記縦材12の上面プレート14aに接合する。これら水平板部15aと上面プレート14aとの接合は、前記吊り金具5によって行う。
なお、前記縦材12の上端部には、吊り治具10の作製段階で、前記連結ブラケット15を予め取り付けておいても良い。
続いて、この連結ブラケット15の垂直板部15bを、前記外壁材32の裏面に固定する。すなわち、前記縦材12の上端部を、前記連結ブラケット15を介して、前記手摺壁3に固定する。
また、前記縦材12の下端部を、前記床部2に固定する。すなわち、前記固定プレート16を、前記床枠材21の上面に載置し、これら固定プレート16と前記床枠材21の上面板とを、前記ボルト16aおよび高ナット16bによってボルト接合する。
以上のようにして、吊り治具10を、バルコニーユニット1の床部2に取り付けることができる。
続いて、図1に示すように、前記床部2の長手方向の他側縁部に、この床部2の長手方向両端部付近に位置するようにして設けられた吊り金具取付部6に、前記吊り金具5を取り付ける。
そして、前記縦材12上端部の吊り金具5と、前記床部2の吊り金具5とに吊りワイヤー4のサブワイヤー4bをそれぞれ係止してから、クレーン等によりメインワイヤー4aを巻き上げることによってバルコニーユニット1を吊り上げる。
以上のようにして、前記吊り治具10を用いてバルコニーユニット1を吊り上げることができる。
吊り上げられたバルコニーユニット1は、その後、例えば輸送車両の荷台に運搬されたり、建物本体の側面に取り付けられたりする。
なお、前記組立輸送治具7は、吊り治具10をバルコニーユニット1に取り付けた後もそのままにしておく。そして、輸送時に、この組立輸送治具7を、輸送車両の荷台に固定して、輸送時におけるバルコニーユニット1の安定化を図るようにしても良い。
本実施の形態によれば、前記横材11と、前記縦材12と、前記斜材13とによって吊り治具10を略トラス状に形成することができる。
また、略トラス状の吊り治具10を、前記縦材12の上端部を手摺壁3に固定するとともに、下端部を床部2に固定するようにして、バルコニーユニット1の入隅部に取り付けることによって、前記床部2と手摺壁3との間の接合部分等を補強することができる。これによって、例えば輸送時において床部2と手摺壁3との間の接合部分等に大きな負荷がかかったとしても、バルコニーユニット1の破損を確実に防止することができる。
また、高い位置に設けられる吊り金具5が手摺壁3側に配置されることから、前記バルコニーユニット1を吊り上げた際に、このバルコニーユニット1が重量のある手摺壁3側に傾くことを確実に防ぐことができる。これによって、前記バルコニーユニットの運搬作業や施工を容易に行うことができる。
しかも、工場等で製造されたバルコニーユニット1に吊り治具10を取り付け、この吊り治具10を用いてバルコニーユニット1を輸送車両の荷台に運搬し、補強を兼ねて吊り治具10を取り付けたまま輸送し、現場では吊り治具10を用いて吊り上げてバルコニーユニット1の施工を行うことができる。すなわち、前記バルコニーユニット1が工場等で製造されてから、現場で建物本体に接合されるまでの間の作業効率を向上させることができるので、利便性に優れる。
また、前記連結ブラケット15によって、前記縦材12の上端部と前記手摺壁3の裏面とを連結できるので、前記縦材12の上端部を、前記手摺壁3の裏面に確実に固定することができる。
さらに、前記縦材12は、前記固定プレート16を介して、前記床部2上に確実かつ強固に立設された状態であることから、この縦材12を介して、前記手摺壁3を補強することができる。
また、前記固定プレート16を前記床部2の上面に載置し、この固定プレート16と前記床部2の上面の縦材12固定位置とをボルト接合することによって、前記縦材12を、前記床部2上に確実かつ強固に立設させることができる。これによって、前記縦材12の上端部が固定された手摺壁3を補強することができる。
また、前記作業用開口部12aから固定プレート16を露出させることができるので、この作業用開口部12aから手や工具を入れることができるので、この固定プレート16と前記床部2とを確実かつ容易に接合させることができる。
また、前記把持ブラケット17によって、前記横材11と床部2とを同時に把持することによって、これら横材11と床部2とを確実に連結することができるので、吊り治具10の取付作業時に、吊り治具10が転倒することを確実に防ぐことができる。
これによって、吊り治具10を床部2上に安定的に載置した状態で、前記縦材12を床部2に固定したり、手摺壁3に固定したりすることができるので、吊り治具10の取付作業を容易かつ確実に行うことができる。
1 バルコニーユニット
2 床部
3 手摺壁
6 吊り金具取付部
10 吊り治具
11 横材
12 縦材
13 斜材
14 吊り金具取付部
15 連結ブラケット
16 固定プレート
17 把持ブラケット

Claims (7)

  1. 平面視矩形状の床部と、この床部の長手方向の一側縁部に設けられる手摺壁とを有し、側断面視L字型に形成されたバルコニーユニットの入隅部に取り付けられており、
    前記床部の上面に、該床部の短手方向に沿って設けられる横材と、
    前記横材の手摺壁側端部から前記手摺壁の高さ方向に沿って設けられ、上端部が前記手摺壁に固定されるとともに、下端部が前記床部に固定される縦材と、
    前記縦材の上端部と、前記横材の手摺壁とは反対側の端部との間に架設される斜材とを備えており、
    前記縦材は、この縦材の上端部に設けられるとともに、吊りワイヤー係止用の吊り金具を取り付けるための吊り金具取付部を有していることを特徴とする吊り治具。
  2. 請求項1に記載の吊り治具において、
    前記縦材の上端部には、この縦材の上端部と前記手摺壁の裏面とを連結する連結ブラケットが取り付けられていることを特徴とする吊り治具。
  3. 請求項1または2に記載の吊り治具において、
    前記縦材の下端部には、前記床部の上面に載置固定される固定プレートが一体的に設けられており、
    この固定プレートには、前記床部の上面の縦材固定位置に形成されるボルト孔に対応するボルト孔が形成されていることを特徴とする吊り治具。
  4. 請求項3に記載の吊り治具において、
    前記縦材の下端部側面には、前記固定プレートを露出させるための作業用開口部が形成されていることを特徴とする吊り治具。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の吊り治具において、
    前記横材には、この横材と前記床部とを同時に把持することによって、これら横材と床部とを連結する把持ブラケットが取り付けられていることを特徴とする吊り治具。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の吊り治具を、バルコニーユニットの入隅部に取り付けてなる吊り治具の取付構造であって、
    前記床部の長手方向の他側縁部には、吊りワイヤー係止用の吊り金具を取り付けるための吊り金具取付部が、この床部の長手方向両端部付近に位置するようにして設けられており、
    前記吊り治具は、前記床部の長手方向両端部に配置されており、
    前記横材は、前記床部の上面に、該床部の短手方向に沿って設けられており、
    前記縦材は、上端部が前記手摺壁に固定されており、下端部が前記床部に固定されていることを特徴とする吊り治具の取付構造。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の吊り治具を用いるバルコニーユニットの吊り上げ方法であって、
    前記吊り治具を、前記床部の長手方向両端部に配置するとともに、この吊り治具の横材を前記床部の上面に、該床部の短手方向に沿って設け、さらに、前記縦材の上端部を前記手摺壁に固定するとともに、下端部を前記床部に固定し、
    前記縦材の上端部に設けられた吊り金具取付部に、吊りワイヤー係止用の吊り金具を取り付け、
    前記床部の長手方向の他側縁部に、この床部の長手方向両端部付近に位置するようにして設けられた吊り金具取付部に、吊りワイヤー係止用の吊り金具を取り付け、
    前記縦材上端部の吊り金具と、前記床部の吊り金具とに吊りワイヤーを係止してからバルコニーユニットを吊り上げることを特徴とするバルコニーユニットの吊り上げ方法。
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