JP6001314B2 - 親綱支柱 - Google Patents

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本発明は、建設中の建物における高所作業の安全を確保する目的で、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックを掛着する親綱を架け渡すために立設する親綱支柱に関する。
従来、鉄骨梁のフランジ部に取り付けて使用する親綱支柱としては、長方形又は正方形の断面を有する角管からなる支柱本体と、この支柱本体の下端部に設けられた万力等の機能を有する固定部材と、支柱本体の上端部に取り付けられた親綱保持金具とを有しているものが一般的であり、H形鋼等からなる鉄骨梁の上部フランジに万力等の機能を有する固定部材で把持固定することで親綱支柱を立設していた。そして、1本の鉄骨梁には2本以上の親綱支柱が取り付けられ、隣り合う親綱支柱間には各々の親綱保持金具を介して親綱が架け渡されることになる。
これにより、作業者は腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックを、隣り合う親綱支柱間に架け渡された親綱に掛着することで、作業者が誤って鉄骨梁から足を踏み外して鉄骨梁から落下しても安全帯ランヤードが親綱に引き留められることになるから、鉄骨梁から地上に落下する心配がなく、安全に高所作業を行うことができる。なお、作業者は親綱支柱間に架け渡された親綱に沿って親綱支柱まで歩行した後に、その親綱に掛着したフックを外し、次の親綱支柱間に架け渡された隣の親綱にフックを掛着し直してから次の親綱支柱間を歩行することになる。
ここで、親綱支柱には、「平行型」、「直交型」および「兼用型」の3種類がある。これらは、鉄骨梁への親綱支柱の設置場所に応じて、次のように使い分けられている。
まず、「平行型」親綱支柱は、鉄骨梁の長手方向の同じ側の側縁部に複数本立設されるが、鉄骨梁と平行方向のみに荷重が作用する場合に用いられるものであって、1本の「平行型」親綱支柱に取り付けられる親綱の張られる方向は鉄骨梁と平行の方向である。
次に、「直交型」親綱支柱は鉄骨梁の長手方向に対して直角の方向に親綱を張るために立設するものであって、鉄骨梁と直角の方向のみに荷重が作用する場合に用いられる。
したがって、2本以上の鉄骨梁が交差する箇所では、それぞれの鉄骨梁に張られる親綱支柱の配置の方法としては「平行型」と「平行型」、もしくは「平行型」と「直交型」の2方法あるが、いずれの場合もコーナー部の親綱支柱は、2本が併設されることとなる。
また、これらに対して、「兼用型」親綱支柱は鉄骨梁の長手方向に対して平行方向と直角方向の両方に親綱を張ることができるように立設するものであって、鉄骨梁と平行方向だけでなくその直角方向にも荷重が作用する場合にも用いることができる。
したがって、「兼用型」親綱支柱を用いると、2本の鉄骨梁が交差するコーナー部では一本の「兼用型」親綱支柱で兼用することができるので、「兼用型」親綱支柱を1本立設するだけで済むという利点がある。また、2本の平行する鉄骨梁に対して直角に1本の鉄骨梁が組み込まれている場合であって、直角に組み込まれている1本の鉄骨梁の長さが短い(10m以下)場合には、その1本の短い鉄骨梁には殊更に親綱支柱を立設しなくても、2本の並行する鉄骨梁のそれぞれに立設された「兼用型」親綱支柱の間に直接親綱を張ることによって、その1本の短い鉄骨梁について親綱を張ることができるという利点がある。
ところで、従来の親綱支柱にあっては、平行型と直交型とを問わず、作業者が鉄骨梁から落下した場合には、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックが掛着された親綱に、作業者の落下時の衝撃荷重が鉛直方向に作用することで親綱に引っ張り力が働き、その親綱が落下した作業者を中心にして左右に配置されている親綱支柱の上端部の親綱保持金具を互いに引き寄せる力が発生する。そのため、万力等の機能を有する固定部材と支柱本体との接合部分に当たる支柱本体の下端部に大きな曲げ応力が働き、万力等の機能を有する固定部材が破損して親綱支柱が鉄骨梁から脱落したり、あるいは支柱本体が根元から折れ曲がったりするおそれがあった。
このため、特許文献1には、親綱支柱として、断面が四角形の支柱本体の中程の側辺に凹凸部を形成し、かつ、他の側辺の中程に凹部を形成することによって、支柱本体の中程に応力集中部を設けることが提案されている。このような応力集中部を設けることによって、作業者が鉄骨梁から落下して親綱支柱に大きな力が働いても、親綱支柱本体の中程に設けられた応力集中部に応力が集中的に作用して、親綱支柱本体は衝撃時にその中程に設けられた応力集中部から折れ曲がることになるので、親綱支柱本体が根元から折れ曲がったり万力等の機能を有する固定部材が破損したりする恐れは小さくなるとしている。
しかしながら、特許文献1に記載された親綱支柱では、支柱本体の中程の一側辺に凹凸部を形成し、かつ、他の側辺に凹部を形成するという複雑な板金加工を施す必要がある。
そのため、特許文献2では、親綱支柱本体の途中に、その断面積が急激に変化する個所を形成することによって、所定の個所に応力集中部を設けている。具体的には、親綱支柱本体を、上方に向かって断面が幅狭となるテーパー管からなる下部の鞘管と、この鞘管内部に挿入可能かつ固定可能な上部の芯管とから構成することによって、親綱支柱本体の側辺に凹凸部及び凹部のいずれをも形成することなく、支柱本体に応力集中部を設けて衝撃時にその応力集中部から折れ曲がることのできる親綱支柱が開示されている。
特開2004−353439号公報 特開2010−185261号公報
しかしながら、親綱支柱の落下阻止性能試験の認定基準が強化され、親綱支柱の強度を測定する際に、「親綱支柱に折損がなく落下を阻止したときでも、親綱支柱が下方に大きく変形を起こすと、落下距離が大きくなることから、落錘の自由落下後、親綱支柱の固定部材の取り付け位置である床から親綱保持金具までの高さが落下前の高さの70%以下となった場合は、折損とみなす。」(社団法人仮設工業会の認定基準による)ようになったことから、親綱支柱本体が折れ曲がらないだけの強度が親綱支柱に求められるようになった。したがって、親綱支柱本体の中程に応力集中部を設けると変形が大きくなるので避けたい。
また、親綱支柱の強度測定試験として、従来は、2本の親綱支柱を10m間隔で立設し、これらの間に親綱を取り付けて0.5kN±0.05kNの張力で緊張したところに、作業者の体重に見立てた質量85kgの落錘を一端に取り付けた長さ1.7mの安全帯ランヤードの他端に設けたフックを親綱に掛着して親綱の中点に自由落下させるという、「単独落下阻止試験」が行われてきた。しかしながら、最近では、実際の現場での使用条件に、より近づける強度測定試験として、「L型連続落下試験」が主流となってきた。L型連続落下試験は、2本の梁材が交差するコーナー部を想定したものであって、2本の親綱支柱を梁材に平行に設置することに加えて、上記の親綱支柱のうちの1本に対して別の親綱支柱の1本をこの梁材と直角に設置したうえで、上記の単独落下阻止試験と同じ条件で、平行側の親綱支柱間と直交側の親綱支柱間の両方で連続して落下試験を行うというものである。このときも、親綱支柱の固定部材の取り付け位置である床から親綱保持金具までの高さが落下前の高さの70%以上であることが合格の条件となる。したがって、このL型連続落下試験を行うためにも、親綱支柱本体が衝撃時に折れ曲がらないだけの強度が親綱支柱に求められる。もちろん、親綱支柱本体の中程に応力集中部を設けると変形が大きくなるので避けたい。
そして、親綱支柱本体が衝撃時に折れ曲がらないためには、より大きな曲げモーメントに耐えることのできるだけの高強度のものが求められる。そのためには、親綱支柱に用いる管の肉厚を厚くすればよいが、その分、親綱支柱の質量が増加することになる。しかしながら、親綱支柱は作業員が手作業で取り扱う関係上、その製品はせいぜい9kgまでの質量に留めておく必要がある。したがって、高強度を維持したまま、親綱支柱本体を軽量化することが求められる。
さらに、前述した特許文献1および2に記載の親綱支柱はいずれも、H形鋼からなる鉄骨梁材の上部フランジにその側面から万力等の機能を有する固定部材で把持固定することによってのみ立設することができるものであって、H形鋼からなる鉄骨梁以外の部材には立設することができなかった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、作業者が高所での作業現場から落下した場合でもその衝撃時に折れ曲がらないだけの強度を有し、かつ作業員が手作業で容易に取り扱うことができるように軽量化されており、そして、H形鋼だけでなくコンクリート構造体等の部材にも立設することができる親綱支柱を提供することを目的とする。
本発明者らは、H形鋼以外の部材として、コンクリート構造体に着目し、併せて、親綱支柱本体の軽量化に関して、検討を重ねた。その結果、次の(a)〜(e)の知見を得た。
(a) コンクリート構造体の代表的なものとしてプレキャストコンクリート部材がある。プレキャストコンクリート部材を用いてなる工法は、柱、床、梁、階段等の部材を、建築現場内であるいはコンクリート工場にて別途製作しておき、これを建築現場にてフレッシュコンクリートを打設して組み立ててゆく一種のプレハブ工法であるから、建築工期の短縮や、配筋精度とコンクリート品質の向上などを図ることができる。
ただし、プレハブ化されたプレキャストコンクリート部材の結合を高所にてフレッシュコンクリートを打設して行うことや、完成した床の上で次階用の柱部材の組立などの作業をすることになる。これらの作業をするためには作業員の墜落防止対策が必要となり、そのためには、プレキャストコンクリート部材に親綱支柱を立設して親綱支柱間に親綱を架け渡すことが求められる。
(b) プレキャストコンクリート部材には、大別すると、全ての鉄筋がプレキャストコンクリート内に配置されている「フル・プレキャストコンクリート部材」と、鉄筋の一部がプレキャストコンクリート外に露出されている「ハーフ・プレキャストコンクリート部材」の2種類がある。
まず、フル・プレキャストコンクリート部材について検討すると、全ての鉄筋がプレキャストコンクリート内に配置されているから、フル・プレキャストコンクリート部材の表面はコンクリートである。したがって、アンカーナット方式で親綱支柱をフル・プレキャストコンクリート部材に固定することができる。すなわち、アンカーナットに固定することができる孔を穿ったベースプレートが親綱支柱の基部に取り付けられており、この孔にボルトを挿入して、締め付けることによって、親綱支柱をフル・プレキャストコンクリート部材の上面に立設することができる。なお、アンカーナット方式に代えて、アンカーボルト方式でフル・プレキャストコンクリート部材に固定することができる。すなわち、アンカーボルトを通すことができる孔を穿ったベースプレートが親綱支柱の基部に取り付けられており、この孔をアンカーボルトの上端からベースプレートの孔に挿入した後にナットで締め付けることによって、親綱支柱をフル・プレキャストコンクリート部材の上面に立設することができる。
次に、ハーフ・プレキャストコンクリート部材について検討する。ハーフ・プレキャストコンクリート部材は鉄筋の一部がプレキャストコンクリート外に露出しているので、建築現場においてフレッシュコンクリートを打設して組み立ててゆくことができる。このとき、他のハーフ・プレキャストコンクリート部材と結合し、柱、床、梁、階段等を形成することができる。
また、ハーフ・プレキャストコンクリート部材の場合には、「箱抜き方式」による親綱支柱の立設が可能である。箱抜き方式とは、ハーフ・プレキャストコンクリート部材の上面に底付き穴を開けておき、前記穴に親綱支柱本体の基部を落とし込むことによって、親綱支柱を立設しようとするものである。ただし、この箱抜き方式の場合、ハーフ・プレキャストコンクリート部材に開けられた前記穴とハーフ・プレキャストコンクリート部材中に配置された鉄筋とが干渉することのないようにする必要がある。
ハーフ・プレキャストコンクリート部材中の実際の配筋状況を確認したところ、上面から見て、直径46mmの主筋が74mmの間隔を空けて平行に設置され、そして、これと直交する形で直径16mmのスターラップが84mmの間隔を空けて平行に設置されているものが、鉄筋の間隔が最も狭いものであったことから、箱抜き方式で親綱支柱を落とし込むときの前記穴の最大断面は、74mm×84mmの四角断面であることが判明した。したがって、製造公差を考慮すると、親綱支柱の基部の断面は縦72mm以下×横82mm以下の四角管状とするのがよい。なお、親綱支柱の基部を落とし込む前記穴の深さは、好ましくは80〜250mm程度、より好ましくは100〜200mm程度である。また、前記穴の側壁は上方に向かって外側に3〜5mm程度のテーパー差を有するのが好ましい。親綱支柱の高さは900〜1400mm程度とするのが好ましい。
また、箱抜き方式で設置するときの親綱支柱の基部は、前記穴に落とし込むことが可能な形状の断面を有する直管とするのが好ましい。親綱支柱を前記穴に落とし込んだ後のガタ付きを防止することができるからである。
以上は、箱抜き方式による親綱支柱の立設として、ハーフ・プレキャストコンクリート部材の上面に底付き穴を開けておき、前記穴に親綱支柱本体の基部を落とし込むことで説明してきた。しかし、底付き孔を有する箱形の鞘管部材をハーフ・プレキャストコンクリート部材の側面に外付けし、親綱支柱の基部を落としこむこととしてもよい。底付き穴を有する箱形の鞘管部材に親綱支柱本体の基部を落とし込むことでも箱抜き方式によって親綱支柱を立設することが可能となる。
(c) このようにすれば、箱抜き方式によって、プレキャストコンクリート部材に親綱支柱を立設することが可能になる。アンカーナット方式やアンカーボルト方式でフル・プレキャストコンクリート部材に親綱支柱を立設する場合にはベースプレートなどの固定部材を必要とするが、箱抜き方式による場合には、格別に固定部材を備えていなくても、ハーフ・プレキャストコンクリート部材に親綱支柱を立設することが可能になる。そして、この場合、親綱支柱をハーフ・プレキャストコンクリート部材の上面だけでなく、側面にも立設できるという利点がある。なお、親綱支柱を立設するプレキャストコンクリート部材は、梁材に限らず、柱、床、階段等の各種建築部材にも使用することができる。
もちろん、この親綱支柱はH形鋼等からなる鉄骨梁材にも立設することもできる。この場合は、万力等の機能を有する固定部材を親綱支柱本体の基部に組み込んでおき、H形鋼等からなる鉄骨梁材の上部フランジにその側面から万力等の機能を有する固定部材で把持固定することになる。
(d) 次に、親綱支柱本体の軽量化について検討する。前述したように、親綱支柱の強度測定試験では、作業者の体重に見立てた質量85kgの落錘を一端に取り付けた長さ1.7mの安全帯ランヤードの他端に設けたフックを親綱に掛着して親綱の中点に自由落下させることが行われる。最近の作業者の体格の向上を考慮して落錘の質量を増して、質量100kgの落錘を用いたうえで、これを1.5m自由落下させる実験を行った結果、親綱にはその10〜15倍の衝撃荷重が作用することが判明した。そして、親綱支柱の基部の断面を、前述の箱抜き方式で設置するときの親綱支柱の基部の断面の最大値、すなわち、72mm×82mmの四角断面と仮定した場合、親綱支柱基部に生じる曲げモーメントに耐える必要がある。一方、親綱支柱は作業員が手作業で取り扱う関係上、その製品はせいぜい9kgまでの質量に留めておきたい。
(e)衝撃時に親綱支柱基部に生じる大きな曲げモーメントに耐えることができ軽量化を図るには、親綱支柱本体を上方に向かって断面が幅狭となるテーパー管とするのがよい。また、親綱支柱には天端から下方に向かって曲げモーメントが順次増加することを考慮すると、四角管状の親綱支柱本体の内面に補強材を取り付けることが好ましい。そして、L型連続落下試験を考慮すれば、親綱支柱本体の断面に対して、平行方向と直交方向の2方向にわたって補強するのがよい。
具体的には、四角管状の親綱支柱本体の内面の四隅に、補強材としてアングル材を縦方向に取り付けることで補強できる。親綱支柱には天端から下方に向かって曲げモーメントが順次増加することを考慮すると、補強材としてのアングル材の幅寸法を下方に向かって順次増加させるのが好ましい。
上方に向かって断面が幅狭となるテーパー管は、板状の材料を2枚の台形に裁断し、それぞれ断面がコの字形になるように折り曲げた上でフランジ同士を縦に向かい合わせ、そしてフランジの縁同士を突き合わせ溶接するか、又は同一外径の角管を絞り加工することによって、形成することができる。また、その材料としては、鉄鋼やアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。
なお、補強材としてアングル材を縦方向に取り付けるとき、親綱支柱を四角管状に製造する際の溶接部の裏当てを兼ねることができるので、溶接品質と溶接強度の両面からも優れているし、兼用化によりコストの削減ともなる。
なお、親綱支柱を立設する場所は作業員の歩行スペースまたは作業スペースとなる。したがって、これらのスペースを広く取るために、衝撃時の曲げモーメントに耐えることができる範囲で親綱支柱本体の少なくとも一部に傾斜を付け、親綱支柱の上端が基部の直上よりも外側にある状態で親綱支柱を立設してもよい。
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、その要旨は下記の(1)〜(4)の親綱支柱にある。
(1) 四角管状の支柱本体とその上端部に取り付けられた親綱保持金具からなる親綱支柱であって、支柱本体は上方に向かって断面が幅狭となるテーパー管であり、かつ内面隅部に補強材が縦方向に溶接により取り付けられていることを特徴とする親綱支柱。
(2) 四角管状の支柱本体の基部は直管であることを特徴とする、上記(1)の親綱支柱。
(3) 四角管状の支柱本体の基部に、支柱本体を立設するための固定部材を備えることを特徴とする、上記(1)又は(2)の親綱支柱。
(4) 四角管状の支柱本体の少なくとも一部に傾斜を付けることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの親綱支柱。
本発明の親綱支柱は、作業者が高所での作業現場から落下した場合でもその衝撃時に折れ曲がらないだけの強度を有し、かつ作業員が手作業で容易に取り扱うことができるように軽量化されており、そして、H形鋼だけでなくコンクリート構造体等の部材にも立設することができる。
本発明に係る親綱支柱の一例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。 図1の各矢視断面図を示す。(a)はA−A線、(b)はB−B線、(c)はC−C線、そして、(d)はD−D線のそれぞれの矢視断面図である。 図1の親綱支柱が立設された梁材の上を作業者が歩行する際に、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックを、親綱支柱間に架け渡された親綱に掛着した状態の一例を示す正面図である。 本発明に係る親綱支柱の他の例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。 図4の各矢視断面図(拡大図)を示す。(a)はA−A線、(b)はB−B線、そして、(c)はC−C線のそれぞれの矢視断面図である。 図4の親綱支柱が立設された梁材の上を作業者が歩行する際に、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックを、親綱支柱間に架け渡された親綱に掛着した状態の一例を示す正面図である。 本発明に係る親綱支柱の他の例である。(a)は正面図、(b)は右側面図、そして、(c)はA−A線矢視断面図を示す。 図7の親綱支柱が立設されたH形鋼からなる鉄骨梁のフランジ上を作業者が歩行する際に、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの先端に設けたフックを、親綱支柱間に架け渡された親綱に引っ掛けた状態の一例を示す正面図である。
以下、図面を用いて本発明に係る親綱支柱を説明する。なお、本発明は次の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る親綱支柱の一例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。そして、図2は図1の各矢視断面図を示す。(a)はA−A線、(b)はB−B線、(c)はC−C線、そして、(d)はD−D線のそれぞれの矢視断面図である。
この親綱支柱1は、肉厚2mmの四角管状の支柱本体とその上端部に取り付けられた親綱保持金具10からなるものであって、箱抜き方式によってプレキャストコンクリート部材20に立設することができる。親綱支柱1の中程の側面には、親綱支柱1の運搬及び保管時の取り扱いが便利なように取手15が取り付けられている。また、その反対側の側面にはクランプ取り付け用ナット19が3個所取り付けられており、前記ナットにクランプを取り付け親綱支柱の間に手摺材として単管パイプを3段まで水平に取り付けることができるようになっている。
ここでは、支柱本体は、その基部1aを除いて、上方に向かって断面が幅狭となる断面四角形のテーパー管で構成されている。一方、その基部1aは直管で構成されている。そして、支柱本体の内面には、縦方向に2mm厚の補強材16が取り付けられている。そして、支柱本体の基部1aの内部には、その強度を維持するために、2mm厚の中間リブ17と底板18がそれぞれ設けられている。
支柱本体の上部は上方に向かって断面が幅狭となる断面四角形状のテーパー管で、支柱本体の基部は直管であるので、ここでは、板状の材料を2枚の台形と長方形を合わせた六角形に裁断し、それぞれ断面がコの字形になるように折り曲げたのち、直管部とテーパー部との境界部を絞り加工にてテーパー角度に合わせた上でフランジ同士を縦に向かい合わせ、そしてフランジの縁同士をその縁に沿って縦に突き合わせ溶接BWをすることによって形成される。
支柱本体の内面に縦方向に取り付けられる補強材16は、幅寸法が下方に向かって順次増加する直角断面形状のアングル材が用いられている。そして、上記の断面四角形状のテーパー管の内面の四隅に、隅肉溶接FWによって溶着される。なお、補強材16の一部は、上記の支柱本体を形成する際の突き合わせ溶接BWの裏当てを兼ねているので、補強材の一部は突き合わせ溶接BWによって、上記の断面四角形状のテーパー管の内面に固着されていることになる。
支柱本体の基部1aの内部に設ける中間リブ17は中央に円孔を有するドーナツ型8角形状の板材であり、補強のために親綱支柱1の基部のコンクリート天端近傍に設置する。ここで、底板18は8角形状の板材である。それぞれ、支柱本体の基部1aの内面の四辺に隅肉溶接によって溶着されている。
図3は、図1で示された親綱支柱が箱抜き方式によって立設されたプレキャストコンクリート部材20の上を作業者が歩行する際に、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックを、親綱支柱間に架け渡された親綱に掛着した状態の一例を示す正面図である。
図1に示した親綱支柱1の基部をプレキャストコンクリート部材20の前記穴に落とし込むことによって、2本の親綱支柱1がプレキャストコンクリート部材20に立設される。そして、それぞれの親綱支柱1の上端に取り付けられた親綱保持金具10に、親綱30が架け渡されている。なお、ここでは、親綱支柱1は全体がプレキャストコンクリート部材20に対して直角に立設する形状を有しているが、作業員の歩行スペースまたは作業スペースを広く取るため、進行方向に対し親綱支柱を少なくとも一部に左右いずれかに5〜20゜程度の傾斜角度を設けてなる形状とし親綱支柱の上端が基部の直上よりも外側にある状態で親綱支柱を立設してもよい。
作業者31は、腰に取り付けた安全帯ランヤード32の一端に設けたフック33を親綱30に掛着し、親綱30に沿って歩行している状態である。作業者31は、この親綱30を伝って、プレキャストコンクリート部材20の上を安全に歩行することができる。
図4は、本発明に係る親綱支柱の他の例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。そして、図5は図4の各矢視断面図を示す。(a)はA−A線、(b)はB−B線、そして、(c)はC−C線のそれぞれの矢視断面図である。
この親綱支柱1は、肉厚2mmの四角管状の支柱本体とその上端部に取り付けられた親綱保持金具10からなるものであって、アンカーナット方式によってプレキャストコンクリート部材に立設することができる。親綱支柱1の中程の側面には、親綱支柱1の運搬及び保管時の取り扱いが便利なように取手15が取り付けられている。また、その反対側の側面にはクランプ取り付け用ナット19が2個所埋め込まれており、前記ナットにクランプを取り付けて親綱支柱の間に手摺材として単管パイプを2段まで水平に取り付けることができるようになっている。
ここでは、支柱本体は、その基部1aを除いて、上方に向かって断面が幅狭となる断面四角形のテーパー管で構成されている。一方、その基部1aは直管で構成されている。そして、支柱本体の内面には、縦方向に2mm厚の補強材16が取り付けられている。そして、支柱本体の基部1aの外周には、その強度を維持するために、4.5mm厚のリブプレート9が4個設けられている。さらに、支柱本体の基部の底面には、親綱支柱1をプレキャストコンクリート部材に立設するためのボルト挿入孔6を4個所で穿たれた固定部材のベースプレート5が取り付けられている。
支柱本体の上部は上方に向かって断面が幅狭となる断面四角形状のテーパー管で、支柱本体の基部は直管であるので、ここでは、板状の材料を2枚の台形と長方形を合わせた六角形に裁断し、それぞれ断面がコの字形になるように折り曲げたのち、直管部とテーパー部の境界部を絞り加工にてテーパー角度に合わせた上でフランジ同士を縦に向かい合わせ、そして、その内側に裏当て14を当てた状態で、フランジの縁同士をその縁に沿って縦に突き合わせ溶接BWをすることによって形成される。
支柱本体の内面に縦方向に取り付けられる補強材16は、幅寸法が下方に向かって順次増加する直角断面形状のアングル材が用いられている。そして、上記の断面四角形状のテーパー管の内面の四隅に、隅肉溶接FWによって溶着される。
図6は、図4で示された親綱支柱がアンカーナット方式によって立設されたプレキャストコンクリート部材20の上を作業者が歩行する際に、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックを、親綱支柱間に架け渡された親綱に掛着した状態の一例を示す正面図である。
図4に示した親綱支柱1の基部の固定部材のベースプレート5を介してアンカーナットとボルトでプレキャストコンクリート部材20に固定することによって、2本の親綱支柱1がプレキャストコンクリート部材20に立設される。そして、それぞれの親綱支柱1の上端に取り付けられた親綱保持金具10に親綱30が架け渡されている。なお、ここでは、親綱支柱1は全体がプレキャストコンクリート部材20に対して直角に立設する形状を有しているが、作業員の歩行スペースまたは作業スペースを広く取るため、進行方向に対し親綱支柱を少なくとも一部に左右いずれかに5〜20゜程度の傾斜角度を設けてなる形状とし、親綱支柱の上端が基部の直上よりも外側にある状態で親綱支柱を立設してもよい。
作業者31は、腰に取り付けた安全帯ランヤード32の一端に設けたフック33を親綱30に掛着し、親綱30に沿って歩行している状態である。作業者31は、この親綱30を伝って、プレキャストコンクリート部材20の上を安全に歩行することができる。
図7は、本発明に係る親綱支柱の他の例である。(a)は正面図、(b)は右側面図、そして、(c)はA−A線矢視断面図を示す。
この親綱支柱1は、肉厚2mmの四角管状の支柱本体と、その上端部に取り付けられた親綱保持金具10とからなり、H形鋼21からなる鉄骨梁のフランジ部に固定するための固定部材として、万力11を備えている。親綱支柱1の中程の側面には、親綱支柱1の運搬及び保管時の取り扱いが便利なように取手15が取り付けられている。
この親綱支柱1は、鉄骨梁のフランジ部の上に支柱本体の上端に向かって鉄骨梁から遠ざかる向きに10゜の傾斜角度を持たせて立設かつ固定される。このため、支柱本体は万力11の固定方向に対して10゜傾斜した状態に作成されている。この万力11は側面からみてコの字形の湾曲部を有している。コの字形の湾曲部の下面には下部固定板12が設けられ、そして、上面には取り付けボルト13が設けられている。この下部固定板12の上に、H形鋼21からなる鉄骨梁のフランジ部を嵌め込み、取り付けボルト13を上から締め付けることによって、この親綱支柱1を鉄骨梁のフランジ部に固定することができる。なお、ここでは、支柱本体の上端に向かって鉄骨梁から遠ざかる向きの傾斜角度として10゜を採用したが、支柱本体の上端に向かって鉄骨梁から遠ざかる向きの傾斜角度としては5〜20゜の間で適宜選択することができる。また、ここでは、支柱本体の全部をその上端に向かって鉄骨梁から遠ざかるように傾斜させているが、支柱本体の長さ方向の途中でその角度を変えて、支柱本体を途中から直立させてもよい。
支柱本体の上方に向かって断面が幅狭となる断面四角形状のテーパー管は、実施例1と同様にして形成することができる。また、支柱本体の内面に縦方向に取り付けられる補強材16も、実施例1と同様にして形成することができる。
図8は、図7で示された親綱支柱1が立設された、H形鋼21からなる鉄骨梁のフランジ上を作業者が歩行する際に、作業者の腰に取り付けた安全帯ランヤードの先端に設けたフックを、親綱支柱間に架け渡された親綱に掛着した状態の一例を示す正面図である。
図7の親綱支柱1の万力11のコの字形の湾曲部に、鉄骨梁21のフランジ部を嵌め込んだ後、取り付けボルト13を締め付けることによって、2本の親綱支柱1が鉄骨梁21のフランジ部に立設され、固定される。そして、それぞれの親綱支柱1の上端に取り付けられた親綱保持金具10に親綱30が架け渡されている。
作業者31は、腰に取り付けた安全帯ランヤード32の一端に設けたフック33を親綱30に掛着し、親綱30に沿って歩行している状態である。作業者31は、この親綱30を伝って、鉄骨梁21の上を安全に歩行することができる。
本発明に係る親綱支柱は、作業者が高所での作業現場から落下した場合でもその衝撃時に折れ曲がらないだけの強度を有し、かつ作業員が手作業で容易に取り扱うことができるように軽量化されており、そして、H形鋼だけでなくコンクリート構造体等の部材にも立設することができる。
1 親綱支柱
1a 親綱支柱基部
5 ベースプレート
6 ボルト挿入孔
9 リブプレート
10 親綱保持金具
11 万力
12 下部固定板
13 取り付けボルト
14 裏当て
15 取手
16 補強材
17 中間リブ
18 底板
19 クランプ取り付け用ナット
20 プレキャストコンクリート部材
21 H形鋼
30 親綱
31 作業者
32 安全帯ランヤード
33 フック
BW 突き合わせ溶接
FW 隅肉溶接

Claims (4)

  1. 四角管状の支柱本体とその上端部に取り付けられた親綱保持金具からなる親綱支柱であって、支柱本体は上方に向かって断面が幅狭となるテーパー管であり、かつ内面隅部に補強材が縦方向に溶接により取り付けられていることを特徴とする親綱支柱。
  2. 四角管状の支柱本体の基部は直管であることを特徴とする、請求項1に記載の親綱支柱。
  3. 四角管状の支柱本体の基部に、支柱本体を立設するための固定部材を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の親綱支柱。
  4. 四角管状の支柱本体の少なくとも一部に傾斜を付けることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の親綱支柱。
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