JP5314994B2 - 親綱支柱 - Google Patents
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例えば、クランプ部材は、一体ブロック状の重いものであったり、クランプボルトの本数が3本や4本と多かったり、支柱本体を全長に亘って一様とし、その肉厚を厚くしたり、角柱状の剛性の高いものとしていたため、重量が増大して運搬・取扱に多大の労力を必要とし、また、足場への取付・取り外し手数も多くなる欠点があった。工事現場の規模にもよるが、親綱支柱の使用本数は、数百本以上の多数にのぼる場合もあり、前記欠点が顕著であった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、軽量化及び作業手数の削減を可能にした親綱支柱を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る親綱支柱は、支柱本体と、この支柱本体の上部に設けられる親綱係止部と、支柱本体の下部に設けられる基礎装着部とを有し、前記基礎装着部は、支柱本体に外嵌される支柱ソケットと、この支柱ソケットの左右両側で互いの平行状態を保持して振り分け配置された二組のクランプ部材とを有しており、各クランプ部材は、取付対象部材を挟持する下顎部と上顎部とがウエブ部で連結されて成る一対のコ字状フレームを有し、これら一対のコ字状フレームの相互間には、上顎部の前端部に1本のクランプボルトを螺合するナット部材が固着され、前記ウエブ部と上顎部とのコーナー部近傍に該コーナー部の補強材を兼ねる第1の連結部材が固着され、前記ウエブ部と下顎部とのコーナー部近傍に該コーナー部の補強材を兼ねる第2の連結部材が固着され、前記下顎部の前端部であって且つ前記ナット部材よりも更に前方に当該下顎部の上縁部と同一面を保持する縦方向の第3の連結部材が固着されており、前記二組のクランプ部材が支柱本体の左右両側に設けられていることで合計2本ある前記クランプボルトによって前記取付対象部材を押圧する2位置が支柱本体の直径を超えた広幅間隔に配置されると共に、前記ナット部材よりも前方に前記第3の連結部材が設けられていることで前記クランプボルトの押圧位置よりも各前方に前記第3の連結部材によって前記取付対象部材を支持する位置が配置され、前記第3の連結部材は前記下顎部よりも左右外方及び下方へ張り出す大きさで形成されているていることを特徴とする。
このようにすると、基礎装着部を取付対象部材から押し出す方向(離す方向)の横荷重が、抜止ピンより上方の支柱本体に負荷したとき、この横荷重は抜止ピンの位置(即ち、取付対象部材と同等位置又は上方位置)を支点としてクランプ部材に作用することになる。この支点位置において、横荷重が基礎装着部を取付対象部材から外そうとする作用は略ゼロか、又は限りなく小さなものとなる。結果として、基礎装着部が取付対象部材から外れたり位置ズレしたりしないという作用(取付強度が低下しないという効果)が、一層高められる。
ほど取付対象部材から離れる向きに傾斜して設けられていてもよい。
前記支柱本体が上端ほど取付対象部材から離れる向きに傾斜していれば、取付対象部材の上が広く使用できる利点がある(要するに、取付対象部材の上で作業したり歩いたりするときに支柱本体が邪魔にならない)。
この構成によれば、親綱係止部に親綱を張設する方向を、取付対象部材Sの長手方向に平行させる方向とさせたり、或いは直交させる方向とさせたりすることが簡単に選択できることになる。また、これら両方向の中間角度で親綱を張設することも簡単にできるようになる。特に、張設方向の変更時、親綱係止部への親綱の通し直し作業を省略することができる。
図1乃至図7は、本発明に係る親綱支柱1の第1実施形態を示している。図2に、親綱支柱1の全体図を示しているように、この親綱支柱1は、支柱本体2と、この支柱本体2の上部に設けられる親綱係止部3と、支柱本体2の下部に設けられる基礎装着部4とを有している。
基礎装着部4は、支柱本体2をガタツキなく外嵌可能にする丸パイプ状の支柱ソケット6を有しており、この支柱ソケット6に対して支柱本体2の下端部を差し込む構成になっている。支柱ソケット6には前後方向(丸パイプの直径方向)に貫通した抜止ピン差込孔7が形成されている(図3乃至図5参照)。
一方、本第1実施形態において、親綱係止部3は支柱本体2に対して一体的に設けられたものを示している。この親綱係止部3は、例えばU字状に曲げた線材の両端部を支柱本体2の長手方向(上下方向)に沿って並べて固定させることで、支柱本体2の外周面に親綱用の通し輪10を形成させたものである。図例では、支柱本体2のまわりに対して等間隔で4箇所(90°配置)に、通し輪10を形成させてある。線材両端部の固定は溶接により行ってある。
外装パイプ15に対し、中間補強パイプ16はガタツキが殆どないか又は微小程度のクリアランスを保持した状態で内装される状態に挿通される。またこの中間補強パイプ16に対し、内部補強パイプ17は、その下端側を中間補強パイプ16の内周面に溶接することによって固定される。
クランプ部材20は、左右方向に所定間隔をおいて平行に設けられた一対のコ字状フレーム25と、これらコ字状フレーム25の相互間で挟持固定された1個のナット部材26と、このナット部材26に対して上下に貫通する方向で螺合される1本のクランプボルト27と、コ字状フレーム25の相互間に突っ張り状態で設けられた複数の連結部材(第1の連結部材28、第2の連結部材29、第3の連結部材30)とを有している。
また第1の連結部材28は、ウエブ部35から上顎部37へ向けた部分に固着配置され、水平方向に設けられている。第1の連結部材28の水平方向長さのうち、後端寄りの半分以上がウエブ部35に充当して固着配置され、前端部が上顎部37に及ぶように固着配置されている。また第1の連結部材28における後端部は、支柱ソケット6と結合される方のコ字状フレーム25において、これら支柱ソケット6とコ字状フレーム25との溶接位置に可及的に近接するように固着配置されている。このような固着配置により、この第1の連結部材28では主として、上顎部37が上方へ曲げられる作用に抗するような補強(ナット部材26に作用するクランプ反力のバックアップ)がなされ、上顎部37とウエブ部35とのコーナー部を亀裂から護るための補強もなされている。
ム25は、支柱本体2の左右のものが互いに平行状態で取り付けられている。そのため、2本クランプボルト27の左右方向の設置間隔は、支柱本体2の直径よりも大きい幅寸法で広幅に設けられており、支柱本体2に作用する左右方向の外力に対する支持強度の向上が図られている。
この第2実施形態では、支柱ソケット6は、各クランプ部材20に対して後方へ傾斜する状態で固定されている。そのため、この支柱ソケット6に支柱本体2が嵌合されたとき、支柱本体2は上端ほど取付対象部材Sから離れる向きに傾斜することになる(図9参照)。具体的には、鉛直方向に対して14°の傾きにした。ただし、この数値に限定されるものではない。第2実施形態における他の構成は、前記第1実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。
そして、本発明に係る支柱本体2は、上記したように外装パイプ15と中間補強パイプ16と内部補強パイプ17との多層構造になっており、殊に、下部ほど多層となる構造であるので、支柱本体2の上方では曲がりやすく、下方となるほど曲げ強度は高く(強く)なり、丁度、釣り竿のようになって、親綱に子綱(命綱)を介して係留した作業者が万一作業足場から落下しても、支柱本体2の上部が釣り竿のように撓むことによって作業者へ強い落下衝撃が加わることを軽減し緩和することができる。
以上詳説したところから明かなように、本発明に係る親綱支柱1では、左右のクランプ部材20にそれぞれ1本のクランプボルト27が設けられているだけ(親綱支柱1の全体で2本だけ)である。そのため、図6又は図13に示すようにH形鋼などの取付対象部材Sに対してその側縁部に基礎装着部4をしっかりと取り付けできる。親綱係止部3に親綱を架設する方向を、取付対象部材Sの長手方向に平行させる方向Xとしても、また直交させる方向Yとしても、同様に強固な架設状態に保持できる。
図15は、本発明に係る親綱支柱1の第3実施形態として、主な変更箇所となっている親綱係止部3を示したものである。本第3実施形態の親綱係止部3は、上部リング40と下部リング41とを上下方向に離反させ、これらの間をU字状に曲げた線材で連結することで、この線材によって通し輪10が形成されるようにしたものである。
ようにする。
これであると、親綱係止部3に親綱を張設する方向を、取付対象部材Sの長手方向に平行させる方向Xとさせたり、或いは直交させる方向Yとさせたりすることが簡単に選択できることになる。また、これらX方向とY方向との中間角度で親綱を張設することも簡単にできるようになる。
例えば、親綱係止部3において、通し輪10の形成数や輪形状などは何ら限定されるものではない。
基礎装着部4において、各クランプ部材20には、第1の連結部材28、第2の連結部材29、第3の連結部材30の他にも、配置や取付姿勢、形状、大きさを適宜変更した連結部材を設けてもよい。
2 支柱本体
3 親綱係止部
4 基礎装着部
6 支柱ソケット
7 抜止ピン差込孔
9 抜止ピン
15 外装パイプ
16 中間補強パイプ
17 内部補強パイプ
20 クランプ部材
25 コ字状フレーム
26 ナット部材
27 クランプボルト
28 第1の連結部材
29 第2の連結部材
30 第3の連結部材
35 ウエブ部
36 下顎部
37 上顎部
S 取付対象部材
Claims (5)
- 支柱本体(2)と、この支柱本体(2)の上部に設けられる親綱係止部(3)と、支柱本体(2)の下部に設けられる基礎装着部(4)とを有し、
前記基礎装着部(4)は、支柱本体(2)に外嵌される支柱ソケット(6)と、この支柱ソケット(6)の左右両側で互いの平行状態を保持して振り分け配置された二組のクランプ部材(20)とを有しており、
各クランプ部材(20)は、取付対象部材(S)を挟持する下顎部(36)と上顎部(37)とがウエブ部(35)で連結されて成る一対のコ字状フレーム(25)を有し、
これら一対のコ字状フレーム(25)の相互間には、上顎部(37)の前端部に1本のクランプボルト(27)を螺合するナット部材(26)が固着され、前記ウエブ部(35)と上顎部(37)とのコーナー部近傍に該コーナー部の補強材を兼ねる第1の連結部材(28)が固着され、前記ウエブ部(35)と下顎部(36)とのコーナー部近傍に該コーナー部の補強材を兼ねる第2の連結部材(29)が固着され、前記下顎部(36)の前端部であって且つ前記ナット部材(26)よりも更に前方に当該下顎部(36)の上縁部と同一面を保持する縦方向の第3の連結部材(30)が固着されており、
前記二組のクランプ部材(20)が支柱本体(2)の左右両側に設けられていることで合計2本ある前記クランプボルト(27)によって前記取付対象部材(S)を押圧する2位置が支柱本体(2)の直径を超えた広幅間隔に配置されると共に、
前記ナット部材(26)よりも前方に前記第3の連結部材(30)が設けられていることで前記クランプボルト(27)の押圧位置よりも各前方に前記第3の連結部材(30)によって前記取付対象部材(S)を支持する位置が配置され、
前記第3の連結部材(30)は前記下顎部(36)よりも左右外方及び下方へ張り出す大きさで形成されている
ことを特徴とする親綱支柱。 - 前記基礎装着部(4)において、前記支柱ソケット(6)には前記クランプ部材(20)で挟持する取付対象部材(S)と同等位置又は上方位置となる配置で前後方向に貫通した抜止ピン差込孔(7)が形成されており、この支柱ソケット(6)中に前記支柱本体(2)が嵌合されたときには当該支柱本体(2)をも貫通して抜止ピン差込孔(7)に抜止ピン(9)が挿通可能となっていることを特徴とする請求項1記載の親綱支柱。
- 前記支柱本体(2)は、その全長に及ぶ外装パイプ(15)と、この外装パイプ(15)の6割程度の長さを有し前記抜止ピン(9)の挿通位置に下端部を重ね合わせて外装パイプ(15)に内装された中間補強パイプ(16)と、前記外装パイプ(15)の2割程度の長さを有し下端部を前記抜止ピン(9)の挿通位置近傍上部に位置させ上端部を前記支柱ソケット(6)よりも上方へ突出する配置で前記中間補強パイプ(16)に内装固定された内部補強パイプ(17)とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の親綱支柱。
- 前記基礎装着部(4)の支柱ソケット(6)は、前記支柱本体(2)を嵌合した状態で当該支柱本体(2)が上端ほど取付対象部材(S)から離れる向きに傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の親綱支柱。
- 前記親綱係止部(3)は、前記支柱本体(2)の上部に該支柱本体(2)の軸芯回りで回転自在に保持させてあることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の親綱支柱。
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