JP7383392B2 - 外装パネル支持構造および外装パネル支持方法 - Google Patents
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Description
このような外装パネルを建物躯体に支持する技術として、特許文献1に示す工法および取付具が知られている。
特許文献1の工法では、複数の外装パネルの裏側に連結部材を設置してパネルユニットとし、吊り上げないし固定を一括して行うことで作業を効率化している。連結部材として、外装パネルの上部および下部にそれぞれ水平に延びる型鋼を設置し、各々をクレーンなどでの吊り上げに用いるとともに、建物躯体への固定に利用している。
建物躯体に外装パネルを取り付ける際には、上下に配列される外装パネルのうち、先ず、下側の外装パネルを取付位置に配置したうえ、その上部連結部材を、建物躯体の各階床梁に載置して固定する。続いて、上側の外装パネルを取付位置に配置したうえ、その下部連結部材を、下側の外装パネルの上部連結部材に載置して固定する。
これらの作業を建物躯体の各階で順次繰り返すことで、建物躯体の各階床梁間に外装パネルによる外壁が形成される。
また、特許文献1の工法では、下側の外装パネルの上部連結部材を建物躯体の床梁への固定作業、および下側の外装パネルの上部連結部材と上側の外装パネルの下部連結部材との固定作業が、それぞれ外側の足場なしに床梁の上面で行えるものの、床梁に床材が設置されている際には、床材上面より低い位置での作業になる可能性もあり、作業性を十分に高めることができない。
本発明の他の目的は、外装パネルの固定作業が現場溶接作業なしに行える外装パネル支持構造および外装パネル支持方法を提供することにある。
なお、建物躯体の各階床材の上面側に配置されるパネル支持具の支持面の高さは、上部支持具および下部支持具の固定作業を容易にできる高さ、例えば床面上10mmないし300mm程度とすることができる。
このような本発明では、建物躯体の各階床面上から行う支持面、上部支持具、および下部支持具の固定作業が、例えばボルトの締め付け作業、リベットの打ち込み作業、クリップの打ち込み作業など、ハンドツールで実施可能である。つまり、外装パネルの固定作業を、現場溶接作業なしに行うことができる。
そして、下段フランジと支持面との固定、および下段フランジと下部連結具との固定にあたって、下段フランジおよび下段フランジが薄い部分となるため、ボルト締結、リベットやクリップの打ち込みを容易にできる。
なお、下段フランジおよび下段フランジを有する台座部材としては、例えば汎用のH形鋼やC形鋼を用いることができ、専用部材よりも確保が容易かつ安価にできる。
このような本発明では、挟持具で上部支持部材を挟持する際に、外装パネルに対する台座部材の位置調整が可能である。また、挟持具としてはZクリップなどの汎用部品を利用でき、上部支持部材は汎用のL形鋼アングル材を利用でき、それぞれ確保が容易かつ安価にできる。
このような本発明では、挟持具で下部支持部材を挟持する際に、外装パネルに対する下部ブラケットの位置調整、つまり下階の外装パネルに対する位置調整が可能である。また、挟持具としてはZクリップなどの汎用部品を利用でき、下部支持部材および下部ブラケットは汎用のL形鋼アングル材を利用でき、それぞれ確保が容易かつ安価にできる。
前記外装パネルは、予め複数を並列に配置したうえ各々の裏面を前記上部支持具および前記下部支持具で互いに連結して外装パネルユニットとしておくことが好ましい。
また、本発明によれば、外装パネルの固定作業が現場溶接作業なしに行える外装パネル支持構造および外装パネル支持方法を提供することができる。
図1において、建物躯体1の外側には、外装パネル支持構造10により、外装パネル9が支持されている。
建物躯体1は、形鋼を用いた柱梁架構体であり、複数階層にそれぞれH形鋼材を用いた床梁2が設置され、その上面にはコンクリートスラブを用いた床材3が張られている。
パネル支持具20は、床梁2から建物躯体1の外側へ延びる横部材21と、横部材21の外側先端から上方へ延びる縦部材22とを有し、縦部材22の上端には上向きの支持面23(図7および図8参照)が形成されている。
外装パネル9の建物躯体1側(裏面側)には、外装パネル支持構造10を構成する上部支持具30および下部支持具40が設置されている。
3枚の外装パネル9は、水平方向に延びる上部支持具30および下部支持具40により連結され、これにより外装パネルユニット8が形成されている。
台座部材32は、上部支持部材31を介して外装パネル9に接続されるとともに、両端近傍をそれぞれパネル支持具20の支持面23に載置されている。
台座部材32は、断面H字状の形鋼材で形成され、建物躯体に向けて水平に延びる下段フランジ321および上段フランジ322を有する。そして、台座部材32は、下段フランジ321に沿って上部支持部材31の水平部分312が溶接され、上部支持部材31を介して外装パネル9の上部裏面に固定されている。上部支持部材31により持ち出し状態で支持されることで、台座部材32は外装パネル9から離れた位置に支持されている。
図7および図8に示すように、台座部材32は、外装パネル9から離れた位置に支持されており、下段フランジ321をパネル支持具20の支持面23に載置したうえ、下段フランジ321と支持面23とをボルト35で締結可能である。
下部ブラケット42は、下部支持部材41の両端近傍、および外装パネル9の接続部分にそれぞれ配置され、前述した上部支持具30の台座部材32の上面に載置されている。
下部ブラケット42は、断面L字状のアングル材で形成され、その垂直部分421が下部支持部材41の垂直部分412に溶接され、下側の水平部分422が外装パネル9から離れる方向に延びている。
図7および図8に示すように、下部ブラケット42は、下側の水平部分422が外装パネル9から離れる方向に延びているので、この水平部分422を台座部材32の上段フランジ322に載置し、ボルト45で締結可能である。
先ず、建物躯体1の近くの作業現場で、外装パネル9を起立状態で並べ、各々の裏面上部および裏面下部に上部支持具30および下部支持具40を沿わせ、Zクリップ33,43およびボルト34、44で固定し、これにより外装パネルユニット8を形成しておく。
一方、建物躯体1では、各階の床材3が張られた床梁2に、パネル支持具20を溶接しておく。この際、パネル支持具20は、支持面23が各階の床材3の上面より上にくるように配置しておく。
この際、上部支持具30を支持面23に近接させて載置する際の案内作業、台座部材32と支持面23とのボルト締結は、上階の床材3上にいる作業者が行う。
一方、下部支持具40を下階の外装パネルユニット8の台座部材32に近接させて載置する際の案内作業、下部支持具40と台座部材32とのボルト締結は、下階の床材3上にいる作業者が行う。
本実施形態では、下階の外装パネルユニット8(外装パネル9)の上部支持具30が、上階の床梁2のパネル支持具20に支持され、その上に上階の外装パネルユニット8の下部支持具40が支持される。つまり、上階の外装パネルユニット8の下部支持具40は、下階の上部支持具30およびパネル支持具20を介して床梁2に支持される。ここで、パネル支持具20は、支持面23が建物躯体1の各階の床材3の上面側に配置され、その上に載置されて固定される下階の外装パネルユニット8の上部支持具30および上階の外装パネルユニット8の下部支持具40は、それぞれ建物躯体1の各階の床材3の上面側に配置される。従って、これらを固定する作業は、各階の床材3の上から容易に行うことができる。
このため、建物躯体1の各階床面上から行う作業は、スパナなどのハンドツールで実施可能であり、外装パネル9の固定作業を、現場溶接作業なしに行うことができる。
このため、台座部材32に形成される下段フランジ321および上段フランジ322を用いて、支持面23に載置または下部支持具40を載置することができる。
そして、下段フランジ321と支持面23との固定、および上段フランジ322と下部支持具40との固定にあたって、下段フランジ321および上段フランジ322が薄い部分となるため、ボルト35,45による締結を容易にできる。
さらに、下段フランジ321および上段フランジ322を有する台座部材32として、汎用のH形鋼を用いることができ、専用部材よりも確保が容易かつ安価にできる。
このため、Zクリップ33で上部支持部材31を挟持する際に、外装パネル9に対する台座部材32の位置調整が可能である。また、Zクリップ33は汎用部品であり、上部支持部材31は汎用のL形鋼アングル材を利用でき、確保が容易かつ安価にできる。
このため、Zクリップ43で下部支持部材41を挟持する際に、外装パネル9に対する下部ブラケット42の位置調整、つまり下階の外装パネル9に対する位置調整が可能である。また、Zクリップ43は汎用部品であり、下部支持部材41および下部ブラケット42は汎用のL形鋼アングル材を利用でき、確保が容易かつ安価にできる。
このため、下部支持具40で外装パネル9(外装パネルユニット8)の荷重を支持することができ、建物躯体1に対して外装パネル9を確実に支持することができる。
このため、外装パネル9の裏面に沿って延びる上部支持具30および下部支持具40により、複数の外装パネル9を順次連結して外装パネルユニット8とすることができ、外装パネルユニット8を一括して搬送、吊り上げないし支持固定を行うことで、作業効率を向上できる。
前記実施形態では、上部支持具30と支持面23との締結、および上部支持具30と下部支持具40との締結に、それぞれ締結具としてボルト35,45を用いた。これに対し体し、締結具としては、ハンドツールで操作可能なリベットまたはクリップなどを用いてもよい。このようなリベットまたはクリップによる締結でも、リベットの打ち込み作業、クリップの打ち込み作業など、ハンドツールで実施可能であり、外装パネルの固定作業を、現場溶接作業なしに行うことができる。
このほか、台座部材32は、支持面23との接続、および下部支持具40との接続に、下段フランジ321および上段フランジ322などの薄板状の部分を用いるものに限らないが、薄板状の部分を重ね合わせて締結すれば、ボルトの締め付け作業、リベットの打ち込み作業、クリップの打ち込み作業などを容易にできる。
前記実施形態では、断面L字状の下部支持部材41の一部で外装パネル9の底面を支持したが、このような支持は断面T字状の形鋼でも行うことができる。
これに対し、上部支持具30を長尺にするためには、上部支持部材31または台座部材32のいずれかが長尺であればよく、一方は短尺材としてもよい。また、下部支持具40を長尺にするためには、下部支持部材41を長尺とするかわりに、下部ブラケット42を長尺にしてもよく、下部支持部材41および下部ブラケット42をともに長尺としてもよい。
Claims (9)
- 建物躯体に外装パネルを支持する外装パネル支持構造であって、
前記外装パネルの裏面上部に接続された上部支持具と、前記外装パネルの裏面下部に接続された下部支持具と、前記建物躯体の各階床梁に固定されたパネル支持具と、を有し、
前記パネル支持具には、前記建物躯体の各階床材より上に配置された上向きの支持面が形成され、
前記支持面には、前記上部支持具が載置され、
前記支持面に載置された前記上部支持具には、上方に設置される他の前記外装パネルの前記下部支持具が載置されており、
前記上部支持具は、前記外装パネルの裏面に接続された上部支持部材と、前記支持面に載置された台座部材と、を有し、
前記台座部材は、前記外装パネルの裏面に沿ったウェブの上下に水平に延びる下段フランジおよび上段フランジが接続されたH形鋼であり、前記下段フランジの前記ウェブより室外側の上面に前記上部支持部材が固定され、前記下段フランジは前記ウェブより室外側および前記ウェブより室内側の両方で締結具により前記支持面に締結され、
前記下部支持具は、前記外装パネルの荷重を支持しており、前記上段フランジの前記ウェブより室外側および前記ウェブより室内側に載置され、前記ウェブより室内側で締結具により締結されていることを特徴とする外装パネル支持構造。 - 請求項1に記載された外装パネル支持構造において、
前記上部支持具と前記支持面とは、前記支持面の下まで貫通する締結具により締結されることを特徴とする外装パネル支持構造。 - 請求項1または請求項2に記載された外装パネル支持構造において、
前記上部支持具は、前記外装パネルの裏面に固定される挟持具を有し、前記上部支持部材は、前記挟持具で前記外装パネルの裏面との間に挟持されることを特徴とする外装パネル支持構造。 - 請求項3に記載された外装パネル支持構造において、
前記下部支持具は、前記外装パネルの裏面に固定される挟持具と、前記挟持具で前記外装パネルの裏面との間に挟持される下部支持部材と、前記下部支持部材に接続されて前記台座部材に載置可能な下部ブラケットと、を有し、前記下部ブラケットが、前記上段フランジの前記ウェブより室外側および前記ウェブより室内側に載置され、前記ウェブより室内側で前記締結具により締結されていることを特徴とする外装パネル支持構造。 - 請求項4に記載された外装パネル支持構造において、
前記下部支持部材は、断面L字状であり、前記外装パネルの底面に沿った部分で前記外装パネルを支持することを特徴とする外装パネル支持構造。 - 請求項4または請求項5に記載された外装パネル支持構造において、
前記上部支持具は、前記上部支持部材または前記台座部材の少なくともいずれかが前記外装パネルの裏面に沿って延びる長尺材であり、
前記下部支持具は、前記下部支持部材または前記下部ブラケットの少なくともいずれかが前記外装パネルの裏面に沿って延びる長尺材であり、
複数の前記外装パネルが並列に配置されかつ各々の裏面が前記上部支持具および前記下部支持具で互いに連結されて外装パネルユニットとされていることを特徴とする外装パネル支持構造。 - 請求項1に記載した外装パネル支持構造を用いて建物躯体に外装パネルを支持する外装パネル支持方法であって、
前記外装パネルを前記建物躯体に近接させ、前記上部支持具を前記支持面に載置し、前記建物躯体の前記床材上から前記上部支持具と前記支持面とを固定し、
他の前記外装パネルを前記建物躯体に近接させ、先に前記支持面に載置した前記外装パネルの前記上部支持具に、他の前記外装パネルの前記下部支持具を載置し、前記建物躯体側の前記床材上から前記下部支持具と前記上部支持具とを固定していくことを特徴とする外装パネル支持方法。 - 請求項7に記載された外装パネル支持方法において、
前記上部支持具と前記支持面とを、前記支持面の下まで貫通する前記締結具により締結することを特徴とする外装パネル支持方法。 - 請求項7または請求項8に記載された外装パネル支持方法において、
前記外装パネルは、予め複数を並列に配置したうえ各々の裏面を前記上部支持具および前記下部支持具で互いに連結して外装パネルユニットとしておくことを特徴とする外装パネル支持方法。
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