以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を説明する。尚、本願明細書中、図1に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、図示上方及び図示下方を遮蔽材の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を電動遮蔽装置の左側、及び、図示右方向を電動遮蔽装置の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
(全体構成)
図1(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図及び正面図である。図1に示す電動遮蔽装置の代表例として遮蔽材を昇降する電動プリーツスクリーンを示している。ただし、駆動軸の回転によって上下方向に連ねた複数段の遮蔽材を昇降操作可能とするものであればこれに限定する必要はなく、例えば電動横型ブラインドや電動たくし上げカーテン等としてもよい。
また、図1(a),(b)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンでは、複数種の昇降コード3U,3Lによって個別に昇降操作可能な上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6Lの2種類の遮蔽材を上下方向に連ねる例を示しているが、3種類以上の遮蔽材を上下方向に連ねる電動プリーツスクリーンとしてもよい。
図1(a),(b)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンは、ヘッドボックス1からジグザグ状に折り曲げ可能とした上部スクリーン6Uが吊下支持され、そのスクリーン6Uの下端は中間レール4の上面に取着される。ヘッドボックス1は天井面等の取付面に対しブラケット15を介して固定される。
中間レール4の下面には、同じくジグザグ状に折り曲げ可能とした下部スクリーン6Lの上端が取着され、その下部スクリーン6Lの下端は、ボトムレール7に取着される。
ヘッドボックス1内にて適所(本例では左右2箇所)に配設された各支持部材5に対し巻取ドラム51A,51Bが前後に並設されて回転可能に支持される。そして、それぞれの巻取ドラム51A,51Bの軸方向一端部には、それぞれカムクラッチ52A,52Bが設けられる。それぞれの巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに、それぞれの巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、それぞれ同形状に構成される。
それぞれの巻取ドラム51Aには、昇降コード3L(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Lの下端は、本例では上部スクリーン6U、中間レール4、及び下部スクリーン6Lを貫通し、ボトムレール7に取着される。巻取ドラム51Aは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Lが巻取ドラム51Aに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
また、それぞれの巻取ドラム51Bには、昇降コード3U(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Uの下端は、本例では上部スクリーン6Uを貫通し、中間レール4に取着される。巻取ドラム51Bは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Uが巻取ドラム51Bに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
それぞれの巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの中心軸には駆動軸2Aが挿通され、カムクラッチ52Aは駆動軸2Aの回転を巻取ドラム51Aに伝達し、且つ巻取ドラム51Aの駆動力を駆動軸2Aに伝達するようになっている。
同様に、それぞれの巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bの中心軸には駆動軸2Bが挿通され、カムクラッチ52Bは駆動軸2Bの回転を巻取ドラム51Bに伝達し、且つ巻取ドラム51Bの駆動力を駆動軸2Bに伝達するようになっている。
駆動軸2Aの一端は、駆動軸連結器20Aを介してモーター9Aの出力軸に連結され、モーター9Aの出力軸の回転が駆動軸2Aに伝達される。従って、モーター9Aの駆動力で駆動軸2Aを回転させ、駆動軸2Aの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Aで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7を昇降操作可能とし、これにより下部スクリーン6Lを昇降させ、更には上部スクリーン6U及び中間レール4を昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Aは、下部スクリーン6Lの下降時に昇降コード3Lに係る張力(各スクリーン及び各レールの自重)を利用しているため、その駆動力がカムクラッチ52Aを介して巻取ドラム51Aから駆動軸2Aに伝達し、この駆動軸2Aに係る駆動力を調節して下降制御される。
また、駆動軸2Bの一端は、駆動軸連結器20Bを介してモーター9Bの出力軸に連結され、モーター9Bの出力軸の回転が駆動軸2Bに伝達される。従って、モーター9Bの駆動力で駆動軸2Bを回転させ、駆動軸2Bの回転に基づいて昇降コード3Uを当該巻取ドラム51Bで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、中間レール4を昇降操作可能とし、これにより上部スクリーン6Uを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Bは、上部スクリーン6Uの下降時に昇降コード3Uに係る張力(上部スクリーン6U及び中間レール4の自重)を利用しているため、その駆動力がカムクラッチ52Bを介して巻取ドラム51Bから駆動軸2Aに伝達し、この駆動軸2Bに係る駆動力を調節して下降制御される。
モーター9A,9Bの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9A,9B、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、有線スイッチ21、無線リモコン22、赤外線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(図示せず)から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えばモーター9A,9BをそれぞれDCモーターで構成することで、制御装置10からモーター9A,9Bに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9A,9Bの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2A,2Bのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8A,8Bが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8A,8Bから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9A,9Bの回転速度及び回転量が制御される。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降速度を適宜に調整するとともに、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降停止位置を制御する。
このように構成された本実施形態の電動プリーツスクリーンでは、中間レール4をヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1と中間レール4との間に上部スクリーン6Uを折り畳んだ状態で、ボトムレール7を下降させれば、ヘッドボックス1から下部スクリーン6Lが吊下支持された状態となる。
また、ボトムレール7を下限まで下降させた状態で、中間レール4をボトムレール7上まで下降させると、中間レール4とボトムレール7との間で下部スクリーン6Lが折り畳まれ、ヘッドボックス1と中間レール4との間で上部スクリーン6Uが吊下支持された状態となる。従って、例えば上部スクリーン6Uを採光性生地とし、下部スクリーン6Lを遮光性生地とすれば、採光量調節の自由度を高めることができる。
そして、ボトムレール7を下限まで下降させ、中間レール4をヘッドボックス1とボトムレール7との中間に位置させれば、採光性生地とした上部スクリーン6Uを透過した柔らかな光を採光することができる。
また、ボトムレール7を上限まで引き上げて開放する場合には、中間レール4と共にボトムレール7を引き上げ、ヘッドボックス1とボトムレール7との間に上部スクリーン6Uと下部スクリーン6Lとを折り畳んだ状態とすることができる。
(クラッチ式の障害物検知停止装置)
ところで、中間レール4又はボトムレール7が障害物に接触し、その下降が妨げられると、クラッチ式の障害物検知停止装置が作動して、駆動軸2A又は2Bがロックするようになっている。つまり、中間レール4又はボトムレール7が障害物に接触したとき、支持部材5に支持される巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、それぞれ各レールに対する「障害物検知」及び各駆動軸の「停止」を機械的に行うクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する。即ち、支持部材5に支持される巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、図2に示すようなクラッチ式の障害物検知停止装置として構成される。
以下、簡潔にクラッチ式の障害物検知停止装置について説明する。
尚、巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、それぞれ巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aと同様の構造を有しているため、図2(a)には、代表して、支持部材5に支持されるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの構成について、その断面図を示している。
図2(a)に示すように、クラッチ式の障害物検知停止装置は、支持部材5におけるサポート部位50にて巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aが支持され、カムクラッチ52Aは、回転ドラム53を介して巻取ドラム51Aに連結されている。
尚、支持部材5は、その底面に突出形成されるスナップフィット501がヘッドボックス1に嵌合されることで固定されている。そして、カムクラッチ52A、回転ドラム53及び巻取ドラム51Aは、サポート部位50の左右両端に形成される貫通孔502,503間で回転可能に支持されている。より具体的には、貫通孔502に対しカムクラッチ52Aの筒部521が回転可能に軸支され、貫通孔503に対し巻取ドラム51Aの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54が回転可能に軸支されている。
スナップフィット501には、昇降コード3Lを所定の位置から巻き取り、或いは巻き戻しするために導出する導出口が形成されている。また、サポート部位50の図示左辺の底面には制動凸部504が形成されている。
巻取ドラム51Aは略円筒形状に形成されており、係合部511と巻取部512とを備えている。
巻取ドラム51Aの巻取部512は、カムクラッチ52A側から図示右端側に向かうにつれて徐々にその径が小さくなるように設定されている。そして、巻取ドラム51Aの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54の中心には駆動軸2Aが相対回転可能に貫通されている。
巻取ドラム51Aの係合部511の径方向内側にはカムクラッチ52Aが収容されている。カムクラッチ52Aは略円筒形状に形成された筒部521と該筒部521より大径に形成された制動部522とを備えている。
制動部522は外周面の径が巻取ドラム51Aの係合部511の内周面と摺動可能な大きさに設定されている。制動部522における筒部521側の端部には1つ又は複数の制動爪523が鋸歯状に突出して形成されており、サポート部位50の制動凸部504と係合可能とされている。
制動爪523は制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止されると、カムクラッチ52Aがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。
カムクラッチ52Aは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Aとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有している。
即ち、カムクラッチ52Aにおける制動部522の側壁にはカム構造としての摺動孔524が形成されており、この摺動孔524は制動部522の軸線に対して略45°傾斜するように形成されている。また、摺動孔524は、制動部522の周方向において略45°の角度範囲に亘って配設されるようにその長さが設定されている。
そして、回転ドラム53には、その径方向外側に向かって突出する摺動凸部531が形成されている。この摺動凸部531がカムクラッチ52Aの摺動孔524の内部に位置するよう回転ドラム53がカムクラッチ52Aに組み付けられ、回転ドラム53は摺動凸部531がカムクラッチ52Aの摺動孔524の内部を相対移動する範囲内においてのみ相対移動可能となる。
具体的には、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置するときにはカムクラッチ52Aは最も巻取プーリ9側(図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除される。一方、摺動凸部531が摺動孔524の他端部に位置するときには、カムクラッチ52Aは、軸方向にスライド移動して最も反巻取プーリ9側(図2(a)において左側)に位置することとなるため、制動爪523と制動凸部504とは係合状態となる。
制動爪523と制動凸部504とが係合状態となると、カムクラッチ52Aの回転が阻止され、このとき摺動孔524の当該他端部まで移動された摺動凸部531もそれ以上の回転ができなくなるため回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Aの回転も停止する。
従って、カムクラッチ52Aが巻取ドラム51Aの軸線方向に相対移動して、制動爪523が制動凸部504に係合されると、カムクラッチ52Aはサポート部位50に対し相対回転不能に係止される。また、制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されるとカムクラッチ52Aはサポート部位50に対して相対回転可能となる。
カムクラッチ52Aの径方向内側に回転ドラム53が収容され、回転ドラム53は略円筒状を有し巻取ドラム51Aに対し所定の回転遊びを有して相対回転不能、且つ軸線方向に相対移動しないように装着される。また、筒部515内には駆動軸2Aが相対回転可能に貫通しているが、回転ドラム53は駆動軸2Aに対し一体となって回転する。
このように、駆動軸2Aが遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き上げ方向に回転されると、該回転は回転ドラム53に伝達される。このとき、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間、巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aに対して相対回転される。
この場合、カムクラッチ52Aの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除され、カムクラッチ52Aはサポート部位50に対して相対回転可能である。そして、回転ドラム53は当該所定の回転遊び以上の回転でカムクラッチ52A及び巻取ドラム51Aと相対回転不能となる。
従って、駆動軸2Aを更に引き上げ方向に回転させると、回転ドラム53はカムクラッチ52A及び巻取ドラム51Aと一体となって引き上げ方向に回転され、当該遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き上げ駆動が行われる。
一方、駆動軸2Aが遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ時では、その下部スクリーン6L及びボトムレール7の自重を使って行われるため、引き下げ時の駆動力は巻取ドラム51Aから駆動軸2Aに向かって伝達される。
巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aが引き下げ方向に回転されると、カムクラッチ52Aの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除された状態であるため、回転ドラム53及び駆動軸2Aは即座に引き下げ方向への回転が伝達される。
ここで、図2(b)乃至(e)には、遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ操作が行われている最中に、ボトムレール7が障害物に衝突したときの、図2(a)におけるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの動作について、概略図示している。尚、図2(d)及び図2(e)において、1つの制動爪523として簡略図示しているが、複数の制動爪523とすることができる。
まず、図2(b)に示すように遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ操作が行われているとき、ボトムレール7が障害物に衝突する前では、巻取ドラム51Aから昇降コード3Lが巻き戻され、下部スクリーン6Lが下降する。巻取ドラム51Aに巻き取られている昇降コード3Lにはボトムレール7等の自重により引き出し方向の張力が加わっており、カムクラッチ52Aの回転とともに巻取ドラム51Aは自重回転し、駆動軸2Aの回転制御により、その自重回転を制御している。このとき、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置してカムクラッチ52Aは最も巻取プーリ9側(図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されている。
そして、図2(c)に示すようにボトムレール7が障害物に衝突すると昇降コード3Lにおける引き出し方向の張力が失われ、巻取ドラム51Aの回転は停止するが、回転ドラム53、カムクラッチ52A及び駆動軸2Aは回転を維持するため回転差が生じる。ただし、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間のみ巻取ドラム51Aに対して相対回転される。
すると、摺動凸部531が摺動孔524に案内されて、図2(d)に示すように、巻取ドラム51Aの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Aが回転しながら軸方向に相対移動(スライド)を開始する。
そして、図2(e)に示すように、巻取ドラム51Aの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Aにおける制動爪523が制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止され、カムクラッチ52Aがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。カムクラッチ52Aの回転が阻止され、このとき摺動孔524の当該他端部まで移動された摺動凸部531もそれ以上の回転ができなくなるため回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Aの回転も停止する。このようにカムクラッチ52Aがサポート部位50に対し相対回転不能とされ、回転ドラム53の当該所定の回転遊びが経過すると回転ドラム53の回転も停止し、駆動軸2Aの回転がロックされる。
図2に示す例では、カムクラッチ52Aは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Aとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、カムクラッチ52Aに形成した摺動孔524が回転ドラム53に形成した摺動凸部531を案内することで、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有する例を説明したが、機械的に駆動軸2Aをロックするカム構造は本例に限定されず、巻取ドラム51Aの物理的な障害物による回転停止時に、駆動軸2Aの回転を機械的に停止させるカムクラッチ構造であればく、様々な形態が考えられる。
例えば、回転ドラム53及びカムクラッチ52Aの代わりに、制動凸部504と係合可能な制動爪523と摺動凸部531を形成したカムクラッチを構成し、該カムクラッチを巻取ドラム51Aの内周壁で支持させる構成とすることができる。この場合、該カムクラッチは、駆動軸2Aに対し相対回転不能であるが軸方向には巻取ドラム51Aに対し所定の範囲内で相対移動(スライド移動)を許容する構造とし、該摺動凸部531の回転を図2に例示した動作と同様に作動させるために、巻取ドラム51Aの内周壁に当該摺動孔524に相当する摺動溝を形成したカムクラッチ構造とすることができる。
(制御装置の構成)
図3は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10の概略構成を示すブロック図である。
制御装置10は、有線スイッチ21、無線リモコン22、赤外線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)24などの外部機器からの操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えば制御装置10は、エンコーダー12からのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理してモーター9A,9Bの回転速度及び回転量を制御し、各遮蔽材(各スクリーン及び各レール)の昇降速度を適宜に調整するとともに、各遮蔽材の昇降停止位置を制御する。
有線スイッチ21は、制御装置10に対し有線接続することで操作信号を制御装置10に出力する操作スイッチである。
赤外線リモコン23は、制御装置10に対し赤外線による無線接続することで操作信号を制御装置10に出力するリモートコントローラである。
無線リモコン22は、制御装置10に対し無線LAN(近距離無線通信を含む)による無線接続することで操作信号を制御装置10に出力するリモートコントローラである。
パーソナルコンピュータ(PC)24は、制御装置10に対し有線接続することで(或いは無線LANにより無線接続することで)、操作信号を制御装置10に出力する。
ここで、操作信号には、各遮蔽材(各スクリーン及び各レール)の上昇操作を指示する上昇コマンド、各遮蔽材の下降操作を指示する下降コマンド、各遮蔽材の昇降動作を停止指示する停止コマンド、及び各遮蔽材の上下限位置の設定コマンドを少なくとも含む。また、これらの各遮蔽材の昇降を指示する各種のコマンドは、各遮蔽材の開度割合を示す「%指示操作」にも対応づけたものとすることができる。
また、操作者は、有線スイッチ21、無線リモコン22、又は赤外線リモコン23で各遮蔽材(各スクリーン及び各レール)の上昇操作を行うときは、図1に例示するような“△ボタン”の押下で上昇コマンドを送信でき、下降操作を行うときは、図1に例示するような“▽ボタン”の押下で下降コマンドを送信でき、昇降動作の停止操作を行うときは、図1に例示するような“□ボタン”の押下で停止コマンドを送信できる。
そして、操作者は、各遮蔽材の上下限位置の可変設定を所望するときのために、有線スイッチ21、無線リモコン22、又は赤外線リモコン23にて別のボタンを設けてもよい。ただし、本実施形態では、後述する実施例で例示説明するが、設定モードに関する別のボタンを要することなく、例えば上記の“□ボタン”+“△ボタン”の所定時間の同時押下で上限位置の可変設定制御の開始と設定を、“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で下限位置の可変設定制御の開始と設定を行うよう制御装置10が動作する。そして、設定モードへの移行後も、制御装置10は設定対象の遮蔽材の昇降動作を“△ボタン”,“▽ボタン”,“□ボタン”で制御可能としている。また、操作モードであるか、設定モードであるかは、電動遮蔽装置、或いは有線スイッチ21、無線リモコン22、又は赤外線リモコン23に設けられる赤色LEDや緑色LSD等の点灯により操作者に識別させるようにしている(図示せず)。
そして、図3に示すように、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101、記憶部102、赤外線信号受信部103、無線信号送受信部104、有線信号送受信部105、外部機器インターフェース(IF)部106、モーター駆動部107a,107b、異常検知部108a,108b、及びパルス検出部109a,109bを備える。
赤外線信号受信部103は、赤外線リモコン23からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
無線信号送受信部104は、無線リモコン22からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と無線リモコン22との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
有線信号送受信部105は、有線スイッチ21からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
外部機器インターフェース(IF)部106は、PC24等の外部機器からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と外部機器インターフェース(IF)部106との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
モーター駆動部107a,107bは、それぞれモーター9A,9Bの駆動を行うモータードライバーである。
異常検知部108a,108bは、それぞれモーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
パルス検出部109a,109bは、それぞれエンコーダー8A,8Bからのパルス信号をそれぞれ受信し、マイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
マイクロコンピュータ部101は、記憶部102に予め記憶させたプログラムを読み出して実行することにより、赤外線信号受信部103を介して受信する赤外線リモコン23からの操作信号、無線信号送受信部104を介して受信する無線リモコン22からの操作信号、有線信号送受信部105を介して受信する有線スイッチ21からの操作信号、或いは、外部機器IF部106を介して受信するPC24等の外部機器からの操作信号を受け付け、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを処理する。これにより、電動遮蔽装置の各種制御を行う制御装置10をコンピュータとして構成することができる。
そして、マイクロコンピュータ部101による当該プログラムの実行によって実現される制御装置10の機能には、操作信号を受け付け当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを判別し対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う機能、各エンコーダー8A,8Bからのパルス信号をそれぞれ受信するパルス検出部109a,109bを介してエンコーダーパルスの有無及びエンコーダーパルス数のカウントを行いながら、適宜、そのカウント値を記憶部102に記憶して管理する機能、エンコーダーパルス数のカウント値に応じて設定可能な各遮蔽材の上限設定位置や下限設定位置等に関する各種設定を記憶部102に記憶して管理する機能、モーター9A,9Bの駆動をそれぞれ行うモーター駆動部107a,107bを介してモーター9A,9Bの駆動制御を行う機能、及び、モーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する異常検知部108a,108bを介して、その異常値を監視する機能が含まれる。
(物理上限位置及び物理下限位置の検出)
本実施形態の電動遮蔽装置では、モーター9A,9Bの各々と制御装置10はモーターハーネスで接続されているが、従来の電動プリーツスクリーンのようなスクリーンを昇降させる際の物理上限位置及び物理下限位置を検知するための物理的な検出スイッチを設けていない。この場合でも、制御装置10は、モーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知するか、又は動作制御中に所定時間のエンコーダーパルスの入力が無くなることを検知することで、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、その物理的な昇降操作可能範囲を規定する物理上限位置及び物理下限位置を検出することができる。
特に、本実施形態の電動遮蔽装置では、図2に例示したクラッチ式の障害物検知停止装置を備える構成としているため、複数段の遮蔽材(上部スクリーン6U及び下部スクリーン6L)の各々の下降動作中に、各遮蔽材の下縁部の一方でも障害物に接触すると、当該障害物に接触した遮蔽材を昇降させるための駆動軸2A(又は2B)の回転は機械的にロックされる。ただし、制御装置10によって、駆動軸2A(又は2B)の回転制御を継続させていると、駆動軸2A(又は2B)へのクリープ負荷(駆動軸に加わる持続応力による負荷)が生じ、クリープ負荷が生じたまま停止することになる。即ち、駆動軸2A(又は2B)に対する機械的な「停止」が作動しているにも関わらず、モーター9A(又は9B)の駆動を維持していると、電力的な無駄やモーター9A(又は9B)の発熱、或いは損傷等を招くおそれが生じることから、これらを避ける必要がある。
そこで、本実施形態の電動遮蔽装置では、従来技法のようなマイクロスイッチを不要としている構成下で、制御装置10は、上述したモーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)、又は動作制御中に所定時間のエンコーダーパルスの入力無しの検出で、当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9A,9Bの駆動を一時停止させた後、当該障害物に接触した遮蔽材の下降をロックした駆動軸2A(又は2B)のクリープ負荷を緩和させ品質を向上させるために、エンコーダーパルス数のカウント値として所定パルス数分を戻すように制御している。
従って、本実施形態では、上述したように、制御装置10は、モーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知するか、又はエンコーダーパルスの入力が無くなることを検知することで、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、その物理的な昇降操作可能範囲を規定する物理上限位置及び物理下限位置を検出する。
ところで、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、その物理上限位置及び物理下限位置により昇降操作可能範囲を決定する従来の電動プリーツスクリーンのような構成では、種々の設置場所への適合性やユーザの好みに合わせた上限設定や下限設定ができず、より利便性の高いものが望まれていた。
そこで、本実施形態に係る電動プリーツスクリーンでは、以下に具体的に説明するように、制御装置10により、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、所望位置で上限位置、更には下限位置を可変設定できるように構成している。尚、所望位置での上下限位置の可変設定制御に関しては、本実施形態のような物理上限位置及び物理下限位置の検出技法に限らず、従来の電動プリーツスクリーンのような物理的な検出スイッチを設けて物理上限位置及び物理下限位置を検出する構成に対しても適用することができ、その場合、エンコーダーパルス数のカウント値として所定パルス数分を戻すように制御する利点がないときはこの制御を省略できる。
(上限設定位置及び下限設定位置)
図4(a)乃至(d)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置に係る「物理上限位置」及び「物理下限位置」、並びに、「上限設定位置」及び「下限設定位置」を説明するための電動遮蔽装置の概略的な正面図である。まず、本願明細書中、各実施例の制御装置10の制御によって、所望位置で可変設定した上限位置を「上限設定位置」と称し、所望位置で可変設定した下限位置を「下限設定位置」と称して、上記の「物理上限位置」及び「物理下限位置」とは区別している。
まず、図4(a)には、上部スクリーン6Uの物理上限位置を示すエンコーダー8Bからのエンコーダーパルス数のカウント値を原点P0とし、及び下部スクリーン6Lの物理上限位置を示すエンコーダー8Aからのエンコーダーパルス数のカウント値を原点P0’として示している。また、上部スクリーン6Uの物理下限位置を示すエンコーダー8Bからのエンコーダーパルス数のカウント値をPmax、及び下部スクリーン6Lの物理下限位置を示すエンコーダー8Aからのエンコーダーパルス数のカウント値をPmax’として示している。従って、上部スクリーン6Uの物理的な可動範囲を示すエンコーダーパルス数のカウント値範囲はPmax-P0=URmaxとなり、下部スクリーン6Lの物理的な可動範囲を示すエンコーダーパルス数のカウント値範囲はPmax’-P0’=LRmaxとなる。
一方、図4(b)には、可変設定された上部スクリーン6Uの上限設定位置を示すエンコーダー8Bからのエンコーダーパルス数のカウント値PUT、及び可変設定された下部スクリーン6Lの上限設定位置を示すエンコーダー8Aからのエンコーダーパルス数のカウント値PLTを示している。本実施形態では、P0及びPUT間の当該カウント値aを可変設定することができ、P0’及びPLT間の当該カウント値bを可変設定することができる。このように各スクリーンの上限設定位置のみを可変設定するときは、上部スクリーン6Uの動作時の可動範囲を示すエンコーダーパルス数のカウント値範囲はPmax-PUT=URmax-aとなり、下部スクリーン6Lの動作時の可動範囲を示すエンコーダーパルス数のカウント値範囲はPmax’-PLT=LRmax-bとなる。
また、図4(b)には、図4(b)に示す状態から更に可変設定された下部スクリーン6Lの下限設定位置を示すエンコーダー8Aからのエンコーダーパルス数のカウント値PLBを示している。本実施形態では、Pmax’及びPLB間の当該カウント値cを可変設定することができる。この場合、下部スクリーン6Lの動作時の可動範囲を示すエンコーダーパルス数のカウント値範囲はLRmax-b-c=LRとなる。
また、図4(d)には、図4(c)に示す状態から更に可変設定された上部スクリーン6Uの下限設定位置を示すエンコーダー8Bからのエンコーダーパルス数のカウント値PUBを示している。本実施形態では、Pmax及びPUB間の当該カウント値dを可変設定することができる。この場合、上部スクリーン6Uの動作時の可動範囲を示すエンコーダーパルス数のカウント値範囲はURmax-a-d=URとなる。
上記を踏まえ、以下、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、所望位置で上限位置、更には下限位置を可変設定する際の、各実施例の制御装置10の制御例について具体的に説明する。
(実施例1:上下限位置の可変設定制御)
図5は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による実施例1としての上下限位置の可変設定制御例を示すフローチャートである。本実施例は、制御装置10が上下限設定に関する設定コマンドを受け付けて個別の設定操作で上限設定位置及び下限設定位置を設定制御する例である。
まず、制御装置10は、例えば操作者による上記の“□ボタン”+“△ボタン”の所定時間の同時押下で上限位置の可変設定の設定モードに移行し(本例では、まず上限位置の可変設定から開始し自動的に下限位置の可変設定に移行する)、その上限位置の設定コマンドを受信すると(ステップS1)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)及び下部遮蔽材(下部スクリーン6L)ともに、物理上限位置まで上昇動作させて、各スクリーンが物理上限位置となるときに停止させる(ステップS2)。
この停止位置で、制御装置10は、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)及び下部遮蔽材(下部スクリーン6L)ともに、それぞれ物理上限位置となる原点P0,P0’を設定し、例えば原点P0,P0’を示すエンコーダーパルス数のカウント値をゼロ設定する(ステップS3)。このとき、電動遮蔽装置は、図4(a)に示す状態となる。
続いて、制御装置10は、この設定動作下で下降コマンドを受信したか否かを監視し(ステップS4)、下降コマンドを受信するまで待機する(ステップS4:N)。尚、このステップS4にて、制御装置10は、下降コマンドを受信するまで所定時間だけ待機し、該所定時間を経過したときは当該設定動作を強制終了させ、設定に係る全てのデータを当該設定動作前の状態に戻すようにしてもよい。
制御装置10は、ステップS4にて下降コマンドを受信すると(ステップS4:Y)、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下降動作を開始して、この設定動作下で停止コマンドを受信するまで、原点P0’からの当該エンコーダーパルス数をカウントする(ステップS5,S6:N)。
制御装置10は、ステップS6にて停止コマンドを受信すると(ステップS6:Y)、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下降動作を停止する。尚、ステップS6における停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、再び下降コマンドを受信したときは再度下降動作を開始するようステップS5に移行し、ステップS6にて停止コマンドの受信を監視する。
制御装置10は、ステップS6で停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、操作者による“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で、原点P0’からのエンコーダーパルス数を下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の上限設定位置PLTとして設定し、記憶部102に記憶する(ステップS7)。
尚、当該上限設定位置PLTが、原点P0’からのエンコーダーパルスのカウント値(図4(b)に示す“b”)として所定パルス数β(例えばβ=3パルス)以下であるときは、原点P0’+βの位置を上限設定位置PLTとして自動的に設定するのが好適である。これにより、支持部材5等に係る機構部品への押し込み負荷を低減させることができる。
続いて、制御装置10は、この設定動作下で下降コマンドを受信したか否かを監視し(ステップS8)、下降コマンドを受信するまで待機する(ステップS8:N)。尚、このステップS8にて、制御装置10は、下降コマンドを受信するまで所定時間だけ待機し、該所定時間を経過したときは当該設定動作を強制終了させ、設定に係る全てのデータを当該設定動作前の状態に戻すようにしてもよい。
制御装置10は、ステップS8にて下降コマンドを受信すると(ステップS8:Y)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下降動作を開始して、この設定動作下で停止コマンドを受信するまで、原点P0からの当該エンコーダーパルス数をカウントする(ステップS9,S10:N)。
ただし、ステップS8の処理を省略し、ステップS7における下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の上限設定位置PLTの設定に引き続いて、ステップS9に移行して、上部スクリーン6Uの下限位置の可変設定制御に自動的に移行してもよい。
制御装置10は、ステップS10にて停止コマンドを受信すると(ステップS10:Y)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下降動作を停止する。尚、ステップS10における停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、再び下降コマンドを受信したときは再度下降動作を開始するようステップS9に移行し、ステップS10にて停止コマンドの受信を監視する。
制御装置10は、ステップS10で停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、操作者による“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で、原点P0からのエンコーダーパルス数を上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の上限設定位置PUTとして設定し、記憶部102に記憶する(ステップS11)。
尚、当該上限設定位置PUTが、原点P0からのエンコーダーパルスのカウント値(図4(b)に示す“a”)として所定パルス数α(例えばα=3パルス)以下であるときは、原点P0+αの位置を上限設定位置PUTとして自動的に設定するのが好適である。これにより、支持部材5等に係る機構部品への押し込み負荷を低減させることができる。
ここまでの制御で、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれの上限設定位置PLT,PUTの可変設定制御が完了する(図4(b)参照)。ここで、本例では、上限位置の可変設定から開始し自動的に下限位置の可変設定に移行する例とするが、当該設定モードを抜ける構成としてもよい。或いは図5に示すように当該設定モードを継続して、ステップS11の後に、操作者による上記の“▽ボタン”の押下を監視し(ステップS12)、下降コマンドを受信するまで待機し(ステップS12:N)、下降コマンドを受信すると(ステップS12:Y)、下限位置の可変設定の設定モードに移行するように制御装置10の設定制御を構成してもよい。
本例では、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれの上限位置の可変設定制御に引き続いて、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれの下限位置の可変設定制御に自動的に移行する。
即ち、制御装置10は、ステップS11にて、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の上限設定位置PUTを設定した後、ステップS12の処理を省略し、自動的に、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下降動作を開始して、この設定動作下で停止コマンドを受信するまで、原点P0からの当該エンコーダーパルス数をカウントする(ステップS13,S14:N)。
制御装置10は、ステップS14にて停止コマンドを受信すると(ステップS14:Y)、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下降動作を停止する。尚、ステップS14における停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、再び下降コマンドを受信したときは再度下降動作を開始するようステップS13に移行し、ステップS14にて停止コマンドの受信を監視する。
制御装置10は、ステップS14で停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、操作者による“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で、原点P0’からのエンコーダーパルス数を下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下限設定位置PLBとして設定し、記憶部102に記憶する(ステップS15)。
尚、当該下限設定位置PLBが、物理下限位置に対する差としてのエンコーダーパルスのカウント値(図4(c)に示す“c”)が所定パルス数γ(例えばγ=3パルス)以下であるときは、物理下限位置のエンコーダーパルスのカウント値Pmax’から所定パルス数γを減算した位置(物理下限位置より僅かに上昇させた位置)を下限設定位置PLBとして自動的に設定するのが好適である。これにより、障害物停止装置等に係る駆動軸のクリープ負荷を低減させることができる。
制御装置10は、ステップS15の後に、操作者による上記の“▽ボタン”の押下を監視し(ステップS16)、下降コマンドを受信するまで待機する(ステップS16:N)。尚、このステップS16にて、制御装置10は、下降コマンドを受信するまで所定時間だけ待機し、該所定時間を経過したときは当該設定動作を強制終了させ、設定に係る全てのデータを当該設定動作前の状態に戻すようにしてもよい。
制御装置10は、ステップS16にて下降コマンドを受信すると(ステップS16:Y)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下降動作を開始して、この設定動作下で停止コマンドを受信するまで、原点P0からの当該エンコーダーパルス数をカウントする(ステップS17,S18:N)。
ただし、ステップS16の処理を省略し、ステップS15における下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下限設定位置PLBの設定に引き続いて、ステップS17に移行して、上部スクリーン6Uの下限位置の可変設定制御に自動的に移行してもよい。
制御装置10は、ステップS18にて停止コマンドを受信すると(ステップS18:Y)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下降動作を停止する。尚、ステップS18における停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、再び下降コマンドを受信したときは再度下降動作を開始するようステップS17に移行し、ステップS18にて停止コマンドの受信を監視する。
制御装置10は、ステップS18で停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、操作者による“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で、原点P0からのエンコーダーパルス数を上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下限設定位置PUBとして設定し、記憶部102に記憶する(ステップS15)。
尚、当該下限設定位置PUBが、物理下限位置に対する差としてのエンコーダーパルスのカウント値(図4(d)に示す“d”)が所定パルス数δ(例えばδ=3パルス)以下であるときは、物理下限位置のエンコーダーパルスのカウント値Pmaxから所定パルス数δを減算した位置(物理下限位置より僅かに上昇させた位置)を下限設定位置PUBとして自動的に設定するのが好適である。これにより、障害物停止装置等に係る駆動軸のクリープ負荷を低減させることができる。
これにより、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれの下限設定位置PLB,PUBの可変設定制御が完了する(図4(c),(d)参照)。
このようにして、制御装置10により、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、所望位置で上限位置、更には下限位置を可変設定することができる。
(実施例2:上下限位置の可変設定制御)
図6は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による実施例2としての上下限位置の可変設定制御例を示すフローチャートである。本実施例は、制御装置10が上下限設定に関する設定コマンドを受け付けて自動で上限設定位置及び下限設定位置を設定制御する例である。
まず、制御装置10は、例えば操作者による上記の“□ボタン”+“△ボタン”の所定時間の同時押下で上限位置の可変設定の設定モードに移行し(本例では、まず上限位置の可変設定から開始し自動的に下限位置の可変設定に移行する、その上限位置の設定コマンドを受信すると(ステップS21)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)のみ、物理上限位置まで上昇動作させて、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)が物理上限位置となるときに停止させる(ステップS22)。
この停止位置で、制御装置10は、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の物理上限位置となる原点P0を設定し、例えば原点P0を示すエンコーダーパルス数のカウント値をゼロ設定する(ステップS23)。
続いて、制御装置10は、原点P0を設定後、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下降動作を自動開始して、原点P0からのエンコーダーパルスのカウント値(図4(b)に示す“a”)として所定のパルス数α(例えばα=3パルス)分下降した位置で自動停止し、原点P0+αの位置を上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の上限設定位置PUTとして自動設定して、記憶部102に記憶する(ステップS24)。原点P0+αの位置を上限設定位置PUTとすることで、支持部材5等に係る機構部品への押し込み負荷を低減させることができる。
続いて、制御装置10は、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の上限設定位置PUTを設定後、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)のみ、物理上限位置まで上昇動作させて、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)が物理上限位置となるときに停止させる(ステップS25)。
この停止位置で、制御装置10は、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の物理上限位置となる原点P0’を設定し、例えば原点P0’を示すエンコーダーパルス数のカウント値をゼロ設定する(ステップS26)。
続いて、制御装置10は、原点P0’を設定後、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下降動作を自動開始して、原点P0’からのエンコーダーパルスのカウント値(図4(b)に示す“b”)として所定のパルス数β(例えばβ=3パルス)分下降した位置で自動停止し、原点P0’+βの位置を下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の上限設定位置PLTとして自動設定して、記憶部102に記憶する(ステップS27)。原点P0’+βの位置を上限設定位置PLTとすることで、支持部材5等に係る機構部品への押し込み負荷を低減させることができる。
続いて、制御装置10は、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の上限設定位置PLTを設定後、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)のみ、物理下限位置まで自動下降させて、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)が物理下限位置となるときに停止させる(ステップS28)。
この下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の物理下限位置の停止位置で、制御装置10は、該停止位置における原点P0’からのエンコーダーパルス数のカウント値を記憶部102に一時記憶する(ステップS29)。
続いて、制御装置10は、該一時記憶した物理下限位置の停止位置からエンコーダーパルス数として所定パルス数γ(例えばγ=3パルス)分、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)を自動上昇させて停止し、該停止位置のエンコーダーパルス数のカウント値を、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下限設定位置PLBとして、記憶部102に記憶する(ステップS30)。これにより、障害物停止装置等に係る駆動軸のクリープ負荷を低減させることができる。
続いて、制御装置10は、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下限設定位置PLBを設定後、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)のみ、物理下限位置まで自動下降させて、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)が物理下限位置となるときに停止させる(ステップS31)。
この上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の物理下限位置の停止位置で、制御装置10は、該停止位置における原点P0からのエンコーダーパルス数のカウント値を記憶部102に一時記憶する(ステップS32)。
続いて、制御装置10は、該一時記憶した物理下限位置の停止位置からエンコーダーパルス数として所定パルス数δ(例えばδ=3パルス)分、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)を自動上昇させて停止し、該停止位置のエンコーダーパルス数のカウント値を、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下限設定位置PUBとして、記憶部102に記憶する(ステップS33)。これにより、障害物停止装置等に係る駆動軸のクリープ負荷を低減させることができる。
このようにして、制御装置10により、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、所望位置で上限位置、更には下限位置を可変設定することができる。
(実施例3:下限微調整時の可変設定制御)
図7は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による実施例3としての下限微調整時の可変設定制御例を示すフローチャートである。本実施例は、制御装置10が下限微調整設定に関する設定コマンドを受け付けて下限設定位置の微調整設定を制御する例である。つまり、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、下限設定位置のみ調整したいときや、上述した実施例1,2の設定制御を経た後でも、下限設定位置のみ微調整したいことがよくあり、実施例3は、これに対応する制御例である。
まず、制御装置10は、例えば操作者による上記の“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で下限位置の可変設定(上述した実施例1,2の設定制御を経た後の下限位置の微調整設定を含む)の設定モードに移行する。即ち、制御装置10は、その下限位置の設定コマンドを受信すると(ステップS41)、操作者による“△ボタン”,“▽ボタン”,“□ボタン”の操作で、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の昇降動作を制御可能とし、操作者の所望する位置に上部遮蔽材(上部スクリーン6U)を位置させることができるようにする。
具体的には、制御装置10は、ステップS41を経て、その設定動作下で昇降コマンドを受信したか否かを監視し(ステップS42)、昇降コマンドを受信するまで待機する(ステップS42:N)。尚、このステップS42にて、制御装置10は、昇降コマンドを受信するまで所定時間だけ待機し、該所定時間を経過したときは当該設定動作を強制終了させ、設定に係る全てのデータを当該設定動作前の状態に戻すようにしてもよい。
制御装置10は、ステップS42にて昇降コマンドを受信すると(ステップS42:Y)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の昇降動作を開始して、この設定動作下で停止コマンドを受信するまで、原点P0からの当該エンコーダーパルス数をカウントする(ステップS43,S44:N)。
制御装置10は、ステップS44にて停止コマンドを受信すると(ステップS44:Y)、上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の昇降動作を停止する。尚、ステップS44における停止コマンドを受信して昇降動作を停止した後に、再び昇降コマンドを受信したときは再度昇降動作を開始するようステップS43に移行し、ステップS44にて停止コマンドの受信を監視する。
制御装置10は、ステップS44で停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、操作者による“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で上部遮蔽材(上部スクリーン6U)の下限設定位置PUBを設定し、記憶部102に記憶(更新)する(ステップS45)。
続いて、制御装置10は、ステップS45を経て、その設定動作下で昇降コマンドを受信したか否かを監視し(ステップS46)、昇降コマンドを受信するまで待機する(ステップS46:N)。尚、このステップS46にて、制御装置10は、昇降コマンドを受信するまで所定時間だけ待機し、該所定時間を経過したときは当該設定動作を強制終了させ、設定に係る全てのデータを当該設定動作前の状態に戻すようにしてもよい。
制御装置10は、ステップS46にて昇降コマンドを受信すると(ステップS46:Y)、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の昇降動作を開始して、この設定動作下で停止コマンドを受信するまで、原点P0からの当該エンコーダーパルス数をカウントする(ステップS47,S48:N)。
制御装置10は、ステップS48にて停止コマンドを受信すると(ステップS48:Y)、下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の昇降動作を停止する。尚、ステップS48における停止コマンドを受信して昇降動作を停止した後に、再び昇降コマンドを受信したときは再度昇降動作を開始するようステップS47に移行し、ステップS48にて停止コマンドの受信を監視する。
制御装置10は、ステップS48で停止コマンドを受信して下降動作を停止した後に、操作者による“□ボタン”+“▽ボタン”の所定時間の同時押下で下部遮蔽材(下部スクリーン6L)の下限設定位置PLBを設定し、記憶部102に記憶(更新)する(ステップS49)。
このようにして、制御装置10により、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、下限設定位置のみ調整したいときや、上述した実施例1,2の設定制御を経た後でも下限設定位置のみ微調整することができる。
以上のように、本実施形態の電動遮蔽装置によれば、複数の遮蔽材を吊下する形態でも、種々の設置場所への適合性やユーザの好みに合わせた遮蔽材の昇降操作可能範囲を任意に設定できるようになり、利便性を向上させることができる。
(障害物検知作動時のモーター制御の実施例)
上述したように、図1に示す電動遮蔽装置において、駆動軸2Aの一端は、駆動軸連結器20Aを介してモーター9Aの出力軸に連結され、モーター9Aの出力軸の回転が駆動軸2Aに伝達される。従って、モーター9Aの駆動力で駆動軸2Aを回転させ、駆動軸2Aの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Aで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7を昇降操作可能としている。また、駆動軸2Bの一端は、駆動軸連結器20Bを介してモーター9Bの出力軸に連結され、モーター9Bの出力軸の回転が駆動軸2Bに伝達される。従って、モーター9Bの駆動力で駆動軸2Bを回転させ、駆動軸2Bの回転に基づいて昇降コード3Uを当該巻取ドラム51Bで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、中間レール4を昇降操作可能としている。
そして、図2を参照して説明したように、支持部材5に支持される巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、それぞれ各レールに対する「障害物検知」及び各駆動軸の「停止」を機械的に行うクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する。この障害物検知停止装置は、中間レール4又はボトムレール7が障害物に接触し(床面等の物理的な下限位置に接触したときを含む。)、その下降が妨げられるときに作動して、駆動軸2A又は2Bがロックするようになっている。
特に、本実施形態の電動遮蔽装置では、図2に例示したクラッチ式の障害物検知停止装置を備える構成としているため、複数段の遮蔽材(上部スクリーン6U及び下部スクリーン6L)の各々の下降動作中に、各遮蔽材の下縁部の一方でも障害物に接触すると、当該障害物に接触した遮蔽材を昇降させるための駆動軸2A(又は2B)の回転は機械的にロックされる。ただし、制御装置10によって、駆動軸2A(又は2B)の回転制御を継続させていると、駆動軸2A(又は2B)へのクリープ負荷(駆動軸に加わる持続応力による負荷)が生じ、クリープ負荷が生じたまま停止することになる。即ち、駆動軸2A(又は2B)に対する機械的な「停止」が作動しているにも関わらず、モーター9A(又は9B)の駆動を維持していると、電力的な無駄やモーター9A(又は9B)の発熱、或いは損傷等を招くおそれが生じることから、これらを避ける必要がある。
そこで、上述したように、本実施形態の電動遮蔽装置では、従来技法のようなマイクロスイッチを不要としている構成下で、制御装置10は、上述した異常検知部108a,108bにより、モーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)、又は動作制御中に所定時間のエンコーダーパルスの入力無しの検出で、当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9A,9Bの駆動を停止させた後、当該障害物に接触した遮蔽材の下降をロックした駆動軸2A(又は2B)のクリープ負荷を緩和させ品質を向上させるために、エンコーダーパルス数のカウント値として所定パルス数分を戻すように制御している。
より具体的に、図8を参照して、代表して、モーター9Aの駆動力で駆動軸2Aを回転させ、駆動軸2Aの回転に基づいて昇降コード3Lを巻取ドラム51Aで巻き戻すことによるボトムレール7の下降制御中に、遮蔽材(下部スクリーン6L)の下端に位置するボトムレール7が障害物に接触(床面等の物理的な下限位置に接触したときを含む。)し、障害物検知停止装置が作動する時の制御装置10によるモーター9Aの制御の実施例を説明する。図8は、図1に示す本実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による障害物検知作動時のモーター9Aの制御の実施例を示すフローチャートである。
まず、制御装置10は、有線スイッチ21、無線リモコン22、赤外線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(図示せず)からボトムレール7の下降を指示する下降コマンドを含む操作信号を受信すると(ステップS51)、遮蔽材(本例では、ボトムレール7)の下降制御を行う(ステップS52)。
この下降制御中、制御装置10は、モーター9Aを駆動するモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)を検知する異常検知部108aからの通知により、モーター9Aのモーター駆動に係る異常検知出力を監視し(ステップS53)、その異常値を検知するまで下降コマンドに従う遮蔽材(本例では、ボトムレール7)の下降制御を継続する(ステップS54:N)。
尚、異常検知部108aは、モーター駆動部107aにおける異常値として、モーター電流の所定の閾値を超えるものを過電流とし、モーター電流又は電圧波形の所定の閾値を超えるものを異常波形電流又は異常波形電圧として予め設定することができる。尚、異常検知部108bによるモーター駆動部107bにおける異常値の検出も同様である。従って、モーター駆動に係る異常値は、所定の過電流、異常波形電流、及び異常波形電圧のうち1以上からなるものとすることができる。
そして、制御装置10は、モーター9Aのモーター駆動に係る異常値を検知したときは(ステップS54:Y)、障害物検知停止装置により機械的に駆動軸2Aの回転を停止したと判断し、遮蔽材(本例では、ボトムレール7)の下降制御に係るモーター駆動を一時停止し(ステップS55)、そのモーター駆動の異常検知に基づくモーター駆動の一時停止後、遮蔽材(本例では、ボトムレール7)の上昇方向に、駆動軸2Aへのクリープ負荷(駆動軸に加わる持続応力による負荷)が無くなる状態まで、駆動軸2Aを所定量逆回転させるようモーター駆動を行って停止する(ステップS56)。
これにより、電力的な無駄やモーター9Aの発熱、或いは損傷等を防ぎ、且つ駆動軸2Aへのクリープ負荷が無くなる状態に保持されるため、障害物検知停止装置に係る過剰負荷を軽減し、品質及び安定動作を維持させることができる。また、中間レール4を下降中の障害物検知停止装置の作動時におけるモーター9Bに関する制御も同様である。
ところで、図8では、遮蔽材の下降制御中における障害物検知停止装置の作動時(障害物の接触は、床面等の物理的な下限位置に接触したときを含む。)におけるモーター9A(9B)に対する制御装置10の制御例を説明したが、遮蔽材の上昇制御中においても同様に制御することができる。即ち、制御装置10は、遮蔽材の上昇動作がヘッドボックス1に当接して妨げられた時に発生するモーター駆動に係る異常値を検知したときも、そのモーター駆動の異常検知に基づくモーター駆動の一時停止後、遮蔽材の下降方向に、駆動軸2A(又は2B)を所定量逆回転させるようモーター駆動を行って停止する制御を有するものとすることができる。従って、制御装置10は、モーター駆動に係る異常値の検出時に遮蔽材の上昇動作又は下降動作を一時停止し、その一時停止後に、所定量逆回転させるようモーター駆動を行って停止する手段を有するように構成される。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、本願明細書中の昇降コードには、紐状コード或いはテープ状の昇降テープが含まれる。また、電動遮蔽装置は、上述した電動プリーツスクリーンに限らず、電動横型ブラインドとするなど、他の電動ブラインドにも適用できる。
特に、図8に示す障害物検知作動時のモーター制御は、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材を昇降操作可能とする電動遮蔽装置に限らず、1つの遮蔽材を昇降操作可能とする電動遮蔽装置(例えば電動横型ブラインドや電動たくし上げカーテン等)にも適用できる。
例えば、図9(a),(b)は、それぞれ本発明による他の実施形態としての電動横型ブラインドの概略構成を示す平面図及び正面図である。尚、図1に示すものと同様な構成要素には、同一の参照暗号を付している。
図9(a),(b)に示す電動横型ブラインドは、ヘッドボックス1の適所(例えば中央部、及び左右両側部近傍)から垂下されるラダーコード12を介して多数段のスラット6が吊下支持され、そのラダーコード12の下端にボトムレール7が吊下支持されている。即ち、多数段のスラット6と、その下端に位置するボトムレール7が、1つの遮蔽材を構成している。
また、ヘッドボックス1から昇降コード3が吊下支持され、その昇降コード3の下端にボトムレール7が取着されている。
そこで、本実施形態の支持部材5は、ヘッドボックス1内にて適所(例えば中央部、及び左右両側部近傍)に配設されて、各支持部材5によって、ラダーコード12及び昇降コード3を吊下支持するように構成されている。
より具体的に、図9(a),(b)に示す各支持部材5は、図1に示す実施形態と同様に構成される巻取ドラム51Aと、ラダーコード12の上端を取着してラダーコード12の前後の縦糸の相対移動を可能とするチルトドラム55とを、回転可能に支持している。そして、図1に示す実施形態と同様に、巻取ドラム51Aの軸方向一端部には、カムクラッチ52Aが設けられる。
尚、巻取ドラム51Aは、本実施形態の昇降コード3(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端を取着して巻き取り、或いは巻き戻し可能に構成され、昇降コード3の下端は、本例では各スラット6に設けられる挿通孔(図示略)を貫通し(スラット6の前縁又は後縁に沿う形態としてもよく、適宜、各スラット6に昇降コード3の垂下を案内する切欠きを設けてもよい。)、ボトムレール7に取着される。
図1に示す実施形態と同様に、本実施形態においても、巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの中心軸には駆動軸2Aが挿通され、カムクラッチ52Aは駆動軸2Aの回転を巻取ドラム51Aに伝達し、且つ巻取ドラム51Aの駆動力を駆動軸2Aに伝達するようになっている。駆動軸2Aの一端は、駆動軸連結器20Aを介してモーター9Aの出力軸に連結され、モーター9Aの出力軸の回転が駆動軸2Aに伝達される。従って、モーター9Aの駆動力で駆動軸2Aを回転させ、駆動軸2Aの回転に基づいて昇降コード3を当該巻取ドラム51Aで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7を昇降操作可能とし、これにより多数段のスラット6を昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Aは、下部スクリーン6Lの下降時に昇降コード3に係る張力(主としてボトムレール7の自重)を利用しているため、その駆動力がカムクラッチ52Aを介して巻取ドラム51Aから駆動軸2Aに伝達し、この駆動軸2Aに係る駆動力を調節して下降制御される。
一方、各チルトドラム55は、その中心軸に駆動軸2Cが相対回転不能に挿通され、その駆動軸2Cの一端は、駆動軸連結器20Cを介してモーター9Cの出力軸に連結され、モーター9Cの出力軸の回転が駆動軸2Cに伝達される。従って、モーター9Cの駆動力で駆動軸2Cを回転させ、駆動軸2Cの回転に基づいてラダーコード12の前後の縦糸の相対移動を可能とし、これにより各スラット6を水平からほぼ垂直となる範囲で傾動させることができる。
モーター9A,9Cの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9A,9C、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、有線スイッチ21、無線リモコン22、赤外線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(図示せず)から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えばモーター9AをDCモーター、モーター9Cをステッピングモーターで構成することで、制御装置10からモーター9A,9Cに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9A,9Cの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2A,2Cのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8A,8Cが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8A,8Cから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9A,9Cの回転速度及び回転量が制御される。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、スラット6の昇降及び回動を制御する。
従って、図9(a),(b)に示す実施形態においても、制御装置10は、モーター駆動に係る異常値の検出時に遮蔽材の上昇動作又は下降動作を一時停止し、その一時停止後に、所定量逆回転させるようモーター駆動を行って停止する手段を有するように構成される。特に、図9(a),(b)に示す実施形態においても、図8に示す障害物検知作動時のモーター制御を適用することができ、電力的な無駄やモーター9Aの発熱、或いは損傷等を防ぎ、且つ駆動軸2Aへのクリープ負荷が無くなる状態に保持されるため、障害物検知停止装置に係る過剰負荷を軽減し、品質及び安定動作を維持させることができる。
尚、制御装置10は、上述した図3に示すブロック部において、制御対象を“モーター9B”とする代わりに“モーター9C”とし、“エンコーダー8B”と同様に機能する“エンコーダー8C”とし、モーター駆動部107a,107bは、それぞれモーター9A,9Cの駆動を行うモータードライバーとすることで、同様に構成することができる。そして、図8に示す実施形態においても、異常検知部108aは、モーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)を検知してマイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。また、図9(a),(b)に示す実施形態において、異常検知部108bについても設けるのが好適である。即ち、制御装置10は、遮蔽材(スラット6)の回動動作のモーター9Cの駆動に係る異常値の検出時に遮蔽材(スラット6)の回動動作を一時停止し、その一時停止後に、所定量逆回転させるようモーター駆動を行って停止する手段を有するように構成することができる。
(障害物検知停止装置の変形例)
上述した実施形態の例では、駆動軸9A(又は9B、或いは9C)の回転を機械的にロックするよう作動する障害物検知停止装置として、図2に示すクラッチ式とする例を説明したが、これに限定する必要はない。例えば、クラッチ式とする代わりに、スライダ式とすることができる。
図10(a)は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置に設けられるスライダ式の障害物検知停止装置の概略構成を示す側面断面図であり、図10(b)は、その動作を示す側面断面図である。尚、上述したものと同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。ここでは、図9に示す巻取ドラム51Aに対して設けられるスライダ式の障害物検知停止装置について、代表して説明する。
図10(a)に示すように、支持部材5におけるサポート部位50にて巻取ドラム51Aが回転可能に支持されるが、本例では、その巻取ドラム51Aの一側端部にラチェット部材59が固着されている。ラチェット部材59には、フランジ591が形成され、このフランジ591の外側にはラチェットホイール592が全周にわたって形成されている。ラチェット部材59の中心軸上には軸部593が形成されて、その軸部593に断面六角形状に形成された駆動軸2Aが相対回転不能に挿通されている。従って、駆動軸2Aが回転すると、ラチェット部材59及び巻取ドラム51Aが一体となって回転する。
ラチェット部材59の下方にはスライダ52が配設されている。このスライダ52は、サポート部位50の側面下方にて前後方向に延在し突出形成されるガイド片50aを掴持し、サポート部位50の底面上に固定される断面略コの字状の底板56の一部の上面にて支持されている。
また、スライダ52の先端部側の下面には、下方に突出するストッパ52eが設けられ、このストッパ52eは、底板56の一部に形成される開口部56bに係合している。これにより、スライダ52は、ガタツキが抑制された状態で、サポート部位50内で所定の範囲内で前後方向にスライド可能となっている。
そして、スライダ52には、昇降コード3(図1に示す例では昇降コード3U又は3Lに対応する。)を貫通させる貫通孔(図示略)が形成され、この貫通孔に昇降コード3の垂下を案内する滑車58が軸支されている。尚、滑車58は必ずしも設ける必要はない。
また、スライダ52の基端部側の上面には、爪52aが突設されている。この爪52aは、ラチェット部材59の一端に形成されたラチェットホイール25の歯形に含わせた形状の凹部52bを有し、凹部52bの先端と基端にはそれぞれ突起52c,52dが形成されている。
スライダ52は、底板56上にガイド片50aをたよりに前後方向に所定の範囲内でスライド自在に設けられているが、底板56に設けられる透孔56a内に圧縮バネ57を嵌入させ、この圧縮バネ57の外方端を、図示するようにスライダ52の基端部側の下面側端部に当接させることで、圧縮バネ57はスライダ52を一方向(図示左方向)に移動させるよう常に付勢している。
そして、レール(本例では、ボトムレール7)の荷重が昇降コード3に加わっているときは、図10(a)に示すように、昇降コード3が張設した状態にあり、昇降コード3が滑車58を介してスライダ52を他方向(図示右方向)に付勢して圧縮バネ57を圧縮させ、爪52aがラチェットホイール25から離れるように構成されている。
このため、スライダ52がラチェット部材59に対し、図10(a)に示すように爪52aがラチェットホイール25から離れている状態にあるときは、駆動軸2Aの回転に伴ってラチェット部材59及び巻取ドラム51Aが一体となって回転し、特に、遮蔽材の下降制御中に、遮蔽材が障害物に接触しない限りはスムーズに遮蔽材が下降動作する。
一方、遮蔽材の下降動作中に、遮蔽材が障害物に接触すると、図10(b)に示すように、昇降コード3に加わる荷重がなくなるため、弛みが生じた状態となる。すると、スライダ52は圧縮バネ57の付勢力により押し戻され、スライダ52の下面のストッパ52eが開口部56bの側縁に当るまで移動し、爪52aがラチットホイール25の爪間に食い込み、ラチェット部材59の回転は機械的に停止する。ラチェット部材59の回転が機械的に停止すると、駆動軸2Aの回転も機械的に停止されるが、制御装置10は、モーター9Aについて駆動軸2Aを回転させるように制御していたため、モーター駆動に係る異常値を検出することができる。
そこで、制御装置10は、上述した図8に示したように、モーター駆動に係る異常値の検出時に遮蔽材の上昇動作又は下降動作を一時停止し、その一時停止後に、所定量逆回転させるようモーター駆動を行って停止する制御を行う。これにより、電力的な無駄やモーター9Aの発熱、或いは損傷等を防ぎ、且つ駆動軸2Aへのクリープ負荷が無くなる状態に保持されるため、障害物検知停止装置に係る過剰負荷を軽減し、品質及び安定動作を維持させることができる。
このように、モーター駆動に係る異常値の検出時の制御は、クラッチ式であるか、スライダ式であるかを問わず、駆動軸9A(又は9B、或いは9C)の回転を機械的にロックするよう作動する障害物検知停止装置を備える電動遮蔽装置に対して有効な制御となる。
従って、本発明に係る電動遮蔽装置は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。