以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を説明する。尚、本願明細書中、図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を電動遮蔽装置の左側、及び、図示右方向を電動遮蔽装置の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
(全体構成)
図1(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図(見下げ図)、正面図及び側面図である。図1に示す電動遮蔽装置の代表例として複数の遮蔽材を上下に連なって配設しそれぞれ昇降可能とする電動プリーツスクリーンを示している。ただし、駆動軸の回転によって、上下に連なって配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とするものや、単一の遮蔽材を電動で昇降操作可能とするものであればこれに限定する必要はなく、例えば、プリーツスクリーン、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン、ロールスクリーン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下に連なって配設するように組み合わせたハイブリッド構成の電動遮蔽装置としてもよい。
また、図1(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンでは、複数種の昇降コード3U,3Lによって個別に昇降可能な上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6Lの2種類の遮蔽材を上下に連なって配設する例を示しているが、3種類以上の遮蔽材を前後方向に配設する電動プリーツスクリーンとしてもよい。
図1(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンは、ヘッドボックス1の下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした上部スクリーン6Uが吊下支持され、その上部スクリーン6Uの下端は、錘部材として機能する中間レール7Uの上面に取着される。ヘッドボックス1は天井面等の取付面に対しブラケット15を介して固定される。
本例の上部スクリーン6Uは、図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下される昇降コード3U,3Lが挿通される。このため、昇降コード3U,3Lは上部スクリーン6Uの背面側に垂下して、図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、上部スクリーン6Uの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3U,3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、図1(c)に示すように、昇降コード3U,3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Uが垂下され、その下端が中間レール7Uに取着されている。このピッチ保持コード4Uには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3U,3Lが挿通されている。そして、中間レール7Uを下降させて上部スクリーン6Uを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Uの各支持コード40に支持されて、上部スクリーン6Uの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
また、中間レール7Uの下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした下部スクリーン6Lが吊下支持され、そのスクリーン6Lの下端は、錘部材として機能するボトムレール7Lの上面に取着される。
本例の下部スクリーン6Lについても、上部スクリーン6Uと同様に、図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下され中間レール7Uを貫通する昇降コード3Lが挿通される。このため、昇降コード3Lは下部スクリーン6Lの背面側に垂下して、図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、下部スクリーン6Lの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、図1(c)に示すように、昇降コード3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Lが垂下され、その下端がボトムレール7Lに取着されている。このピッチ保持コード4Lには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3Lが挿通されている。そして、ボトムレール7Lを下降させて下部スクリーン6Lを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Lの各支持コード40に支持されて、下部スクリーン6Lの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
ヘッドボックス1内にて適所(本例では左右2箇所)に配設された各支持部材5に対し巻取ドラム51U,51Lが前後に並設されて回転可能に支持される。そして、駆動力を駆動軸2Fに伝達するようになってム51U,51Lの軸方向一端部には、それぞれカムクラッチ52U,52Lが設けられる。それぞれの巻取ドラム51U及びカムクラッチ52U、並びに、それぞれの巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lは、それぞれ同形状に構成される。
それぞれの巻取ドラム51Uには、昇降コード3U(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Uの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、中間レール7Uに取着される。巻取ドラム51Uは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Uが巻取ドラム51Uに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
また、それぞれの巻取ドラム51Lには、昇降コード3L(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Lの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、更に、中間レール7Uを貫通して、下部スクリーン6Lの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、ボトムレール7Lに取着される。巻取ドラム51Lは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Lが巻取ドラム51Lに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
それぞれの巻取ドラム51U及びカムクラッチ52U並びに回転ドラム53の中心軸には駆動軸2Uが挿通され、回転ドラム53は駆動軸2Uの回転を巻取ドラム51Uに伝達し、且つ巻取ドラム51Uの駆動力を駆動軸2Uに伝達するようになっている。
同様に、それぞれの巻取ドラム51L及びカムクラッチ52L並びに回転ドラム53の中心軸には駆動軸2Lが挿通され、回転ドラム53は駆動軸2Lの回転を巻取ドラム51Lに伝達し、且つ巻取ドラム51Lの駆動力を駆動軸2Lに伝達するようになっている。
駆動軸2Uの一端は、駆動軸連結器20Uを介してモーター9Uの出力軸に連結され、モーター9Uの出力軸の回転が駆動軸2Uに伝達される。従って、モーター9Uの駆動力で駆動軸2Uを回転させ、駆動軸2Uの回転に基づいて昇降コード3Uを当該巻取ドラム51Uで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、中間レール7Uを昇降可能とし、これにより上部スクリーン6Uを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Uは、上部スクリーン6Uの下降時に昇降コード3Uに係る張力(上部スクリーン6U及び中間レール7Uの自重)を利用しているため、その駆動力が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Uから駆動軸2Uに伝達し、この駆動軸2Uに係る駆動力を調節して下降制御される。
また、駆動軸2Lの一端は、駆動軸連結器20Lを介してモーター9Lの出力軸に連結され、モーター9Lの出力軸の回転が駆動軸2Lに伝達される。従って、モーター9Lの駆動力で駆動軸2Lを回転させ、駆動軸2Lの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Lで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7Lを昇降可能とし、これにより下部スクリーン6Lを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Lは、下部スクリーン6Lの下降時に昇降コード3Lに係る張力(下部スクリーン6L及びボトムレール7Lの自重)を利用しているため、その駆動力が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Lから駆動軸2Lに伝達し、この駆動軸2Lに係る駆動力を調節して下降制御される。
モーター9U,9Lの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9U,9L、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、有線スイッチ21、赤外線リモコン22、無線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(図示せず)から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えばモーター9U,9LをそれぞれDCモーターで構成することで、制御装置10からモーター9U,9Lに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9U,9Lの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2U,2Lのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8U,8Lが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8U,8Lから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9U,9Lの回転速度及び回転量を制御する。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降速度を適宜に調整するとともに、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降停止位置を制御する。
このように構成された本実施形態の電動プリーツスクリーンでは、中間レール7Uをヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間に上部スクリーン6Uを折り畳んだ状態で、ボトムレール7Lを下降させれば、ヘッドボックス1から下部スクリーン6Lが所望位置まで遮蔽された状態となる。
また、ボトムレール7Lを下限まで下降させた状態で、中間レール7Uをボトムレール7L上まで下降させると、中間レール7Uとボトムレール7Lとの間で下部スクリーン6Lが折り畳まれ、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間で上部スクリーン6Uが遮蔽された状態となる。従って、例えば上部スクリーン6Uを採光性生地とし、下部スクリーン6Lを遮光性生地とすれば、採光量調節の自由度を高めることができる。
そして、ボトムレール7Lを下限まで下降させ、中間レール7Uをヘッドボックス1とボトムレール7との中間に位置させれば、採光性生地とした上部スクリーン6Uを透過した柔らかな光を採光することができる。
また、ボトムレール7Lを上限まで引き上げて開放する場合には、中間レール7Uと共にボトムレール7Lを引き上げ、ヘッドボックス1とボトムレール7Lとの間に上部スクリーン6Uと下部スクリーン6Lとを折り畳んだ状態とすることができる。
(クラッチ式の障害物検知停止装置)
ところで、中間レール7U又はボトムレール7Lが障害物に接触し、その下降が妨げられると、クラッチ式の障害物検知停止装置が作動して、駆動軸2U又は2Lがロックするようになっている。つまり、中間レール7U又はボトムレール7Lが障害物に接触したとき、支持部材5に支持される巻取ドラム51U及びカムクラッチ52U、並びに巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lは、それぞれ中間レール7U及びボトムレール7Lに対する「障害物検知」及び各駆動軸の「停止」を機械的に行うクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する。即ち、支持部材5に支持される巻取ドラム51U及びカムクラッチ52U、並びに巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lは、図2に示すようなクラッチ式の障害物検知停止装置として構成される。
以下、簡潔にクラッチ式の障害物検知停止装置について説明する。
尚、巻取ドラム51U及びカムクラッチ52Uは、それぞれ巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lと同様の構造を有しているため、図2(a)には、代表して、支持部材5に支持されるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lの構成について、その断面図を示している。
図2(a)に示すように、クラッチ式の障害物検知停止装置は、支持部材5におけるサポート部位50にて巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lが支持され、カムクラッチ52Lは、回転ドラム53を介して巻取ドラム51Lに連結されている。
尚、支持部材5は、その底面に突出形成されるスナップフィット501がヘッドボックス1に嵌合されることで固定されている。そして、カムクラッチ52L、回転ドラム53及び巻取ドラム51Lは、サポート部位50の左右両端に形成される貫通孔502,503間で回転可能に支持されている。より具体的には、貫通孔502に対しカムクラッチ52Lの筒部521が回転可能に軸支され、貫通孔503に対し巻取ドラム51Lの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54が回転可能に軸支されている。
カムクラッチ52Lの径方向内側に回転ドラム53が収容され、回転ドラム53は略円筒状を有し巻取ドラム51Lに対し所定の回転遊びを有して相対回転不能、且つ軸線方向に相対移動しないように装着される。また、筒部521内には駆動軸2Lが相対回転可能に貫通しているが、回転ドラム53は駆動軸2Lに対し一体となって回転する。
スナップフィット501には、昇降コード3Lを所定の位置から巻き取り、或いは巻き戻しするために導出する導出口が形成されている。また、サポート部位50の図示左辺の底面には制動凸部504が形成されている。
巻取ドラム51Lは略円筒形状に形成されており、係合部511と巻取部512とを備えている。
巻取ドラム51Lの巻取部512は、カムクラッチ52L側から図示右端側に向かうにつれて徐々にその径が小さくなるように設定されている。そして、巻取ドラム51Lの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54の中心には駆動軸2Lが相対回転可能に貫通されている。
巻取ドラム51Lの係合部511の径方向内側にはカムクラッチ52Lが収容されている。カムクラッチ52Lは略円筒形状に形成された筒部521と該筒部521より大径に形成された制動部522とを備えている。
制動部522は外周面の径が巻取ドラム51Lの係合部511の内周面と摺動可能な大きさに設定されている。制動部522における筒部521側の端部には1つ又は複数の制動爪523が鋸歯状に突出して形成されており、サポート部位50の制動凸部504と係合可能とされている。
制動爪523は制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止されると、カムクラッチ52Lがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。
カムクラッチ52Lは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Lとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有している。
即ち、カムクラッチ52Lにおける制動部522の側壁にはカム構造としての摺動孔524が形成されており、この摺動孔524は制動部522の軸線に対して略45°傾斜するように形成されている。また、摺動孔524は、制動部522の周方向において略45°の角度範囲に亘って配設されるようにその長さが設定されている。
そして、回転ドラム53には、その径方向外側に向かって突出する摺動凸部531が形成されている。この摺動凸部531がカムクラッチ52Lの摺動孔524の内部に位置するよう回転ドラム53がカムクラッチ52Lに組み付けられ、回転ドラム53は摺動凸部531がカムクラッチ52Lの摺動孔524の内部を相対移動する範囲内においてのみ相対移動可能となる。
具体的には、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置するときにはカムクラッチ52Lは最も巻取ドラム51Lに対して軸方向に収容される側(図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除される。一方、摺動凸部531が摺動孔524の他端部に位置するときには、カムクラッチ52Lは、軸方向にスライド移動して最も巻取ドラム51Lに対して軸方向に突出される側(図2(a)において左側)に位置することとなるため、制動爪523と制動凸部504とは係合状態となる。
制動爪523と制動凸部504とが係合状態となると、カムクラッチ52Lの回転が阻止され、カムクラッチ52Lの移動範囲は回転ドラム53と巻取ドラム51Lの係合範囲によって規制されるため、摺動孔524の当該他端部まで摺動凸部531が移動された状態で回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Lの回転も停止する。
従って、カムクラッチ52Lが巻取ドラム51Lの軸線方向に相対移動して、制動爪523が制動凸部504に係合されると、カムクラッチ52Lはサポート部位50に対し相対回転不能に係止される。また、制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されるとカムクラッチ52Lはサポート部位50に対して相対回転可能となる。
このように、駆動軸2Lが遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き上げ方向に回転されると、該回転は回転ドラム53に伝達される。このとき、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間、巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lに対して相対回転される。
この場合、カムクラッチ52Lの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除され、カムクラッチ52Lはサポート部位50に対して相対回転可能である。そして、回転ドラム53は当該所定の回転遊び以上の回転でカムクラッチ52L及び巻取ドラム51Lと相対回転不能となる。
従って、駆動軸2Lを更に引き上げ方向に回転させると、回転ドラム53はカムクラッチ52L及び巻取ドラム51Lと一体となって引き上げ方向に回転され、当該遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き上げ駆動が行われる。
一方、駆動軸2Lが遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ時では、その下部スクリーン6L及びボトムレール7Lの自重を使って行われるため、引き下げ時の駆動力は巻取ドラム51Lから駆動軸2Lに向かって伝達される。
巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lが引き下げ方向に回転されると、カムクラッチ52Lの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除された状態であるため、回転ドラム53及び駆動軸2Lは即座に引き下げ方向への回転が伝達される。
ここで、図2(b)乃至(e)には、遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ操作が行われている最中に、ボトムレール7Lが障害物に衝突したときの、図2(a)におけるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lの動作について、概略図示している。尚、図2(d)及び図2(e)において、1つの制動爪523として簡略図示しているが、複数の制動爪523とすることができる。
まず、図2(b)に示すように遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ操作が行われているとき、ボトムレール7Lが障害物に衝突する前では、巻取ドラム51Lから昇降コード3Lが巻き戻され、下部スクリーン6Lが下降する。巻取ドラム51Lに巻き取られている昇降コード3Lにはボトムレール7L等の自重により引き出し方向の張力が加わっており、カムクラッチ52Lの回転とともに巻取ドラム51Lは自重回転し、駆動軸2Lの回転制御により、その自重回転を制御している。このとき、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置してカムクラッチ52Lは最も巻取ドラム51Lに対して軸方向に収容される側(図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されている。
そして、図2(c)に示すようにボトムレール7Lが障害物に衝突すると昇降コード3Lにおける引き出し方向の張力が失われ、巻取ドラム51L及びカムクラッチ52Lの回転は停止するが、回転ドラム53、及び駆動軸2Lは回転を維持するため回転差が生じる。ただし、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間のみ巻取ドラム51Lに対して相対回転される。
すると、摺動凸部531が摺動孔524に案内されて、図2(d)に示すように、巻取ドラム51Lの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Lが軸方向に相対移動(スライド)を開始する。
そして、図2(e)に示すように、巻取ドラム51Lの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Lにおける制動爪523が制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止され、カムクラッチ52Lがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。カムクラッチ52Lの回転が阻止され、このときカムクラッチ52Lの移動範囲は回転ドラム53と巻取ドラム51Lの係合範囲によって規制されるため、摺動孔524の当該他端部まで摺動凸部531が移動された状態で回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Lの回転も停止する。このようにカムクラッチ52Lがサポート部位50に対し相対回転不能とされ、回転ドラム53の当該所定の回転遊びが経過すると回転ドラム53の回転も停止し、駆動軸2Lの回転がロックされる。
図2に示す例では、カムクラッチ52Lは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Lとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、カムクラッチ52Lに形成した摺動孔524が回転ドラム53に形成した摺動凸部531を案内することで、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有する例を説明したが、機械的に駆動軸2Lをロックするカム構造は本例に限定されず、巻取ドラム51Lの物理的な障害物による回転停止時に、駆動軸2Lの回転を機械的に停止させるカムクラッチ構造であればく、様々な形態が考えられる。
例えば、回転ドラム53及びカムクラッチ52Lの代わりに、制動凸部504と係合可能な制動爪523と摺動凸部531を形成したカムクラッチを構成し、該カムクラッチを巻取ドラム51Lの内周壁で支持させる構成とすることができる。この場合、該カムクラッチは、駆動軸2Lに対し相対回転不能であるが軸方向には巻取ドラム51Lに対し所定の範囲内で相対移動(スライド移動)を許容する構造とし、該摺動凸部531の回転を図2に例示した動作と同様に作動させるために、巻取ドラム51Lの内周壁に当該摺動孔524に相当する摺動溝を形成したカムクラッチ構造とすることができる。
(制御装置の構成)
図3は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10の概略構成を示すブロック図である。
制御装置10は、有線スイッチ21、赤外線リモコン22、無線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)24などの外部機器からの操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えば制御装置10は、エンコーダー8U,8Lからのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理してモーター9U,9Lの回転速度及び回転量を制御し、各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の昇降速度を適宜に調整するとともに、各遮蔽材の昇降停止位置を制御する。
有線スイッチ21は、制御装置10に対し有線接続することで操作信号を制御装置10に送信する機能を有する操作スイッチである。
赤外線リモコン22は、制御装置10に対し赤外線による無線接続することで操作信号を制御装置10に送信する機能を有するリモートコントローラである。
無線リモコン23は、制御装置10に対し無線LAN(近距離無線通信を含む)による無線接続することで操作信号を制御装置10に送信する機能を有するリモートコントローラである。
パーソナルコンピュータ(PC)24は、制御装置10に対し有線接続することで(或いは無線LANにより無線接続することで)、操作信号を制御装置10に送信する機能を有する。
ここで、操作信号には、各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の上昇操作を指示する上昇コマンド、各遮蔽材の下降操作を指示する下降コマンド、各遮蔽材の昇降動作を停止指示する停止コマンド、及び各遮蔽材の上下限位置の設定コマンドを少なくとも含む。また、これらの各遮蔽材の昇降を指示する各種のコマンドは、各遮蔽材の開度割合を示す「%指示操作」にも対応づけたものとすることができる。
また、操作者は、有線スイッチ21、赤外線リモコン22、又は無線リモコン23で各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の上昇操作を行うときは、図1及び後述する図4に例示するような“開ボタン(OPEN、又は△等)”の押下で上昇コマンドを送信でき、下降操作を行うときは、図1及び後述する図4に例示するような“閉ボタン(CLOSE、又は▽等)”の押下で下降コマンドを送信でき、昇降動作の停止操作を行うときは、図1及び後述する図4に例示するような“停止ボタン(STOP、又は□等)”の押下で停止コマンドを送信できる。
そして、図3に示すように、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101、記憶部102、無線信号受信部103、赤外信号送受信部104、有線信号送受信部105、外部機器インターフェース(IF)部106、モーター駆動部107U,107L、異常検知部108U,108L、及びパルス検出部109U,109Lを備える。
無線信号受信部103は、無線リモコン23からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と無線リモコン23との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
赤外線信号送受信部104は、赤外線リモコン22からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
有線信号送受信部105は、有線スイッチ21からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
外部機器インターフェース(IF)部106は、パーソナルコンピュータ(PC)24等の外部機器からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と外部機器インターフェース(IF)部106との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
モーター駆動部107U,107Lは、それぞれモーター9U,9Lの駆動を行うモータードライバーである。
異常検知部108U,108Lは、それぞれモーター駆動部107U,107Lにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
パルス検出部109U,109Lは、それぞれエンコーダー8U,8Lからのパルス信号をそれぞれ受信し、マイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
マイクロコンピュータ部101は、記憶部102に予め記憶させたプログラムを読み出して実行することにより、無線信号受信部103を介して受信する無線リモコン23からの操作信号、赤外線信号送受信部104を介して受信する赤外線リモコン22からの操作信号、有線信号送受信部105を介して受信する有線スイッチ21からの操作信号、或いは、外部機器IF部106を介して受信するPC24等の外部機器からの操作信号を受け付け、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを処理する。これにより、電動遮蔽装置の各種制御を行う制御装置10をコンピュータとして構成することができる。
そして、マイクロコンピュータ部101による当該プログラムの実行によって実現される制御装置10の機能には、操作信号を受け付け当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを判別し対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う機能、各エンコーダー8U,8Lからのパルス信号をそれぞれ受信するパルス検出部109U,109Lを介してエンコーダーパルスの有無及びエンコーダーパルス数のカウントを行いながら、適宜、そのカウント値を記憶部102に記憶して管理する機能、エンコーダーパルス数のカウント値に応じて設定可能な各遮蔽材の上限設定位置や下限設定位置等に関する各種設定を記憶部102に記憶して管理する機能、モーター9U,9Lの駆動をそれぞれ行うモーター駆動部107U,107Lを介してモーター9U,9Lの駆動制御を行う機能、及び、モーター駆動部107U,107Lにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上の)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する異常検知部108U,108Lを介して、その異常値を監視する機能が含まれる。
(操作装置)
図4は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における一実施例の操作装置として典型的な赤外線リモコン22の概略構成を示す図である。本実施例の赤外線リモコン22は、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223を1組のみ有しており、図1に示す有線スイッチ21及び無線リモコン23についても同様である。
尚、図4に示す赤外線リモコン22は、複数台の電動遮蔽装置が操作対象として設置されているときに、最大4グループまでデバイスIDによりグループ分けして、同一のデバイスIDを持つ複数台の電動遮蔽装置について、グループ指定し同時操作するためのグループ指定ボタン(図示する“1”~“4”)の丸ボタン)224と、全グループを一括して同時操作するための一括指定ボタン(図示する“ALL”ボタン)225とを有している。操作対象として設置されている複数台の電動遮蔽装置の各々には、ディップスイッチ等でグループ指定ボタン224及び一括指定ボタン225に対応するデバイスIDが設定できるようになっている。従って、通常、図4に示す赤外線リモコン22を利用するときは、操作対象の電動遮蔽装置における制御装置10は、グループ指定ボタン224又は一括指定ボタン225の押下後に送信される開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223の押下による操作信号を認識して対応する動作を行うように制御する。ただし、各電動遮蔽装置におけるデバイスIDの設定値には、当該グループ指定ボタン224又は一括指定ボタン225の押下を要することなく、直接、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223の押下による操作信号を認識して対応する動作を行うように制御するモードを設けることができる。
そして、図4に示す赤外線リモコン22は、上述したように、操作対象の電動遮蔽装置における制御装置10に対し赤外線による操作信号を送信する機能を有しており、上昇操作を行うときは開ボタン221の押下で上昇コマンドを送信でき、下降操作を行うときは閉ボタン222の押下で下降コマンドを送信でき、昇降動作の停止操作を行うときは停止ボタン223の押下で停止コマンドを送信できる。
また、赤外線リモコン22等の操作装置は、各遮蔽材の上下限位置の設定を行うとき、停止ボタン223の所定時間の長押し又は開ボタン221及び停止ボタン223の所定時間の同時長押し等により、設定モードに移行させるための設定コマンドを設定対象の電動遮蔽装置における制御装置10に送信できる。当該設定対象の電動遮蔽装置における制御装置10は、設定コマンドの受信に基づく設定モードに移行後、当該設定対象の電動遮蔽装置が有する複数の遮蔽材のうち予め定めた一方の遮蔽材を自動上昇させ、停止ボタン223の所定時間の長押しで上限位置の設定を決定して記憶部102に記憶し、その後、他方の遮蔽材を自動上昇させ、停止ボタン223の所定時間の長押しで上限位置の設定を決定して記憶部102に記憶し、その後、各遮蔽材を自動下降させ、停止ボタン223の所定時間の長押しで各遮蔽材の下限位置の設定を決定して記憶部102に記憶する、複数の遮蔽材の上下限位置の設定制御を行う。
(物理上限位置及び物理下限位置の検出)
本実施形態の電動遮蔽装置では、モーター9L,9Uの各々と制御装置10はモーターハーネスで接続されているが、従来の電動プリーツスクリーンのようなスクリーンを昇降させる際の物理上限位置及び物理下限位置を検知するための物理的な検出スイッチを設けていない。この場合でも、制御装置10は、エンコーダー8L,8Uから得られるエンコーダーパルスのカウント値による絶対的な上下限位置を定めておくか、或いは異常検知部108L,108Uによるモーター駆動部107L,107Uにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知するか、又は動作制御中に所定時間の当該エンコーダーパルスの入力が無くなることを検知するなど、これら1以上の方法で、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、その物理的な昇降操作可能範囲を規定する物理上限位置及び物理下限位置を検出することができる。
即ち、本実施形態に係る電動プリーツスクリーンでは、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、従来のような検出スイッチを用いずに物理上限位置及び物理下限位置を検出し低コスト化を図るようにしているが、その物理上限位置を遮蔽材の可動範囲の上限とする構成では、詳細は後述するが、安定(例えば、遮蔽材の下降性能向上)、又は高品質(例えば、遮蔽材や昇降コードの材料疲労防止、或いは遮蔽材として用いる生地の圧迫跡防止)を維持する観点からは改善の余地があり、更にはその好ましい上限位置となるように操作者に対して手動により上限位置の設定操作を課すことは好ましくない。
そこで、本実施形態に係る電動プリーツスクリーンでは、制御装置10により、安定、且つ高品質を維持できる上限位置を自動決定する設定上限位置の決定制御を行う。この設定上限位置の決定制御の実施例として、大別して、上下限位置の設定モード下で設定上限位置の自動設定を行う「設定上限位置の自動設定制御」と、遮蔽材の上昇動作下で物理上限位置を検出する度に設定上限位置への自動移行を行う「設定上限位置の自動移行制御」について、それぞれ順に説明する。尚、本願明細書中、以下に説明する各実施例の制御装置10の制御によって自動設定する上限位置を「設定上限位置」と称し、上記の「物理上限位置」とは区別している。また、本実施例では、下限位置については従来通り、操作者により所望位置での設定操作を可能としており、その設定される下限位置を「設定下限位置」と称し、上記の「物理下限位置」とは区別する。
(設定上限位置の自動設定制御)
図5は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による一実施例の設定上限位置の自動設定制御を示すフローチャートである。
まず、制御装置10は、上述した図4に示す赤外線リモコン22等の操作装置から、各遮蔽材の上下限位置の設定を行う設定モードに移行させるための設定コマンド(上下限位置設定コマンド)を受信すると(ステップS1)、全ての遮蔽材(本例では、ボトムレール7Lを下端に持つ下部スクリーン6L、及び中間レール7Uを下端に持つ上部スクリーン6U)について、個別又は同時に上昇動作を開始する(ステップS2)。
尚、本実施形態の例では、図4に示す赤外線リモコン22のように、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223を1組のみ有しており、前述した所定の操作で上下限位置設定コマンドを該制御装置10に送信するものとなっているが、本制御に関しては、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223を1組のみ有している操作装置に限定されず、任意の操作装置とすることができる。また、本実施形態では複数の遮蔽材の上下限位置設定を例に説明するが、本制御では、「全ての遮蔽材の上下限位置設置」であることから、単一の遮蔽材を持つ電動遮蔽装置に対しても同様に動作する。
そして、制御装置10は、各遮蔽材を個別に上昇動作する場合と各遮蔽材を同時に上昇動作する場合のいずれにおいても、各遮蔽材について物理上限位置を検出するまで全ての遮蔽材の個別又は同時の上昇動作を継続し(ステップS3:N)、上昇動作する遮蔽材について物理上限位置を検出すると(ステップS3:Y)、物理上限位置を検出した遮蔽材の上昇動作を停止して、全ての遮蔽材の上昇動作が停止した時の各エンコーダー8U,8Lから出力されるエンコーダーパルス(パルス信号)のカウント値を記憶部102に一時記憶する(ステップS4)。
また、ステップS4で、制御装置10は、各遮蔽材の上昇動作の制御を一旦停止すると、各遮蔽材について物理上限位置から所定量分を下げた位置を設定上限位置として、その時の各エンコーダー8U,8Lのエンコーダーパルスのカウント値を記憶部102に記憶する。
尚、この設定上限位置は、畳み込まれている各遮蔽材の少なくとも最上部が圧縮されていない位置とする。このように自動的に定める設定上限位置では、畳み込まれている各遮蔽材が高圧縮とはならず、遮蔽材や昇降コードの材料疲労を防止して高品質を維持できるようになり、更には、図6を参照して後述するが、遮蔽材の下降性能が向上し安定した動作が確保できるようになる。
ここで、制御装置10は、この物理上限位置を検出し設定上限位置を決定した直後、直ちに設定上限位置まで下降させる制御を行って本制御を終了する上限位置の設定モードのみを行う形態とすることもできるが、ここでは上下限位置の設定モードを例にしており、引き続き、設定下限位置の設定制御に移行する。
即ち、制御装置10は、各遮蔽材の設定上限位置の決定後、全ての遮蔽材について、自動的に、個別又は同時に下降動作を開始し(ステップS5)、各遮蔽材について、物理下限位置となったとき、又は停止コマンドを受信するまで、それぞれの遮蔽材の下降動作を継続する(ステップS6)。
そして、制御装置10は、下降動作する各遮蔽材について、物理下限位置となったとき、又は停止コマンドを受信したときに、下降動作する各遮蔽材の動作を停止して、各遮蔽材の停止位置を設定下限位置として、その時の各エンコーダー8U,8Lのエンコーダーパルスのカウント値を記憶部102に記憶し、本制御を終了する(ステップS7)。
尚、全ての遮蔽材について個別に下降動作する制御を行う場合では、その都度、各遮蔽材の下降動作に対する停止コマンドの受信を受け付けるようにして、その下降動作を停止し(停止コマンドの受信前に物理下限位置となったときは自動停止)、順次、その停止位置を各遮蔽材の設定下限位置として、その時の各エンコーダー8U,8Lのエンコーダーパルスのカウント値を記憶部102に記憶する。
また、全ての遮蔽材について同時に下降動作する制御を行う場合では、全ての遮蔽材の下降動作に対する停止コマンドの受信を一度だけ受け付けるようにして、全ての遮蔽材の下降動作を停止し(停止コマンドの受信前に物理下限位置となった遮蔽材については自動停止)、その停止位置を各遮蔽材の設定下限位置として、その時の各エンコーダー8U,8Lのエンコーダーパルスのカウント値を記憶部102に記憶する。
ここで、図5に示す制御によって自動設定した設定上限位置は、畳み込まれている各遮蔽材の少なくとも最上部が圧縮されていない位置としており、この設定上限位置では、畳み込まれている各遮蔽材が高圧縮とはならず、遮蔽材や昇降コードの材料疲労を防止して高品質を維持できるようになる。更には、遮蔽材の下降性能が向上し安定した動作が確保できるようになる点について、図6を参照して説明する。
図6(a)は、比較例の電動遮蔽装置における物理上限位置と下降動作に関する動作を概略的に示す側面図であり、図6(b)は本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における設定上限位置と下降動作に関する動作を概略的に示す側面図である。
まず、図6(a)に示す比較例は、物理上限位置を遮蔽材の可動範囲の上限位置とする例であり、図6(a-1)に示すように、物理上限位置の検出のため上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に持つ上部スクリーン6U)及び下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に持つ下部スクリーン6L)を上昇させて畳み込ませ、エンコーダー8L,8Uから得られるエンコーダーパルスのカウント値による絶対的な上下限位置を定めておくか、或いは異常検知部108L,108Uによるモーター駆動部107L,107Uにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知するか、又は動作制御中に所定時間の当該エンコーダーパルスの入力が無くなることを検知することで、物理上限位置を検出する。この場合、畳み込まれた上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lが高圧縮の状態になり、この状態を長く維持すると、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lや昇降コード3U,3Lに過大な負荷が付加されたままとなり、材料疲労が生じるおそれがある。
また、図6(a-1)及び図6(a-2)に示す状態では、その高圧縮に畳み込まれている上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lの各挿通孔6a,6bは畳み込まれている生地間で前後にずれが生じやすく(図6(a-2)における拡大視を参照)、特に昇降コード3Lは、その高圧縮に畳み込まれている上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lの各挿通孔6a,6bを貫通してボトムレール7Lに取着されているため、各挿通孔6a,6bに対する昇降コード3Lの挿通性も劣化する。このため、図6(a-2)に示す高圧縮に畳み込まれている上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lの状態から例えば下部スクリーン6Lの下降動作を開始したとき、その昇降コード3Lの挿通性起因で、下降動作の開始時にもたつきが生じることがある。更に、図6(a-3)に示すように、下部スクリーン6Lの下降動作中においても、その昇降コード3Lの挿通性起因で、下降動作中にがたつきが生じることがある。
このように、物理上限位置を遮蔽材の可動範囲の上限位置とすると、遮蔽材の品質や、安定した動作が確保できないことがある。
一方、図6(b)に示す本発明に係る例は、図5の制御に基づく自動設定した設定上限位置を遮蔽材の可動範囲の上限位置とする例であり、図6(b-1)に示すように、図6(a-1)と同様に、物理上限位置を検出する。この場合、畳み込まれた上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lが高圧縮の状態になり、この状態を長く維持すると、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lや昇降コード3U,3Lに過大な負荷が付加されたままとなり、材料疲労が生じるおそれがある。
そこで、本発明に係る図5の制御では、図6(b-2)に示すように、物理上限位置の検出後、各遮蔽材(上部スクリーン6Uの中間レール7U及び下部スクリーン6Lのボトムレール7L)について物理上限位置から所定量分を下げた位置(畳み込まれている各遮蔽材の少なくとも最上部が圧縮されていない位置)を設定上限位置として自動決定し、この設定上限位置を遮蔽材の可動範囲の上限位置とする。
そして、各遮蔽材について物理上限位置から所定量分を下げた位置である設定上限位置にあるときの上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lは、各レール7U,7Lによる圧縮力が緩和されて、畳み込まれている各遮蔽材の少なくとも最上部が圧縮されていない状態となり(図6(b-2)における拡大視を参照)、この状態では、その畳み込みの高圧縮化が解除され、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lの各挿通孔6a,6bは畳み込まれている生地間で前後のずれが小さくなり、各挿通孔6a,6bに対する昇降コード3Lの挿通性が回復し改善する。このため、図6(b-3)に示すように、下部スクリーン6Lの下降開始時及び下降動作中の動作がスムーズになる。
このように、物理上限位置から所定量分を下げた位置を遮蔽材の可動範囲の上限位置とすることで、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
図5では、設定上限位置の自動設定を行う「設定上限位置の自動設定制御」について説明し、図6(b)に示す効果を得る説明をしたが、遮蔽材の上昇動作下で物理上限位置を検出する度に設定上限位置への自動移行を行う「設定上限位置の自動移行制御」によっても図6(b)の効果を得ることができるため、以下、図7を参照して「設定上限位置の自動移行制御」について説明する。
(設定上限位置の自動移行制御)
図7は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による一実施例の設定上限位置の自動移行制御を示すフローチャートである。
まず、制御装置10は、操作装置から、上昇対象の遮蔽材について上昇コマンドを受信すると(ステップS11)、その上昇対象の遮蔽材について上昇動作を開始する(ステップS12)。
尚、本実施形態の例では、図4に示す赤外線リモコン22のように、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223を1組のみ有しており、開ボタン221の1回目の押下では中間レール7Uを下端に持つ上部スクリーン6Uが上昇し、連続して開ボタン221の2回目の押下ではボトムレール7Lを下端に持つ下部スクリーン6Lが上昇するようになっている。また、閉ボタン222の1回目の押下ではボトムレール7Lを下端に持つ下部スクリーン6Lが下降し、連続して閉ボタン222の2回目の押下では中間レール7Uを下端に持つ上部スクリーン6Uが下降するようになっている。そして、制御装置10は、昇降動作中の遮蔽材が可動範囲の上下限位置に到達しない間、停止ボタン223が押下されるまで、その昇降動作を継続するように制御する。
従って、本実施形態において、操作者は、上部スクリーン6Uのみを上昇対象とするか、上部スクリーン6Uと下部スクリーン6Lの双方を上昇対象とするかを選択できる。ただし、本制御に関しては、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223を1組のみ有している操作装置に限定されず、複数の遮蔽材の全部又は一部の上昇コマンドを送信する任意の操作装置とすることができる。また、本実施形態では複数の遮蔽材の上下限位置設定を例に説明するが、本制御では、「上昇対象の遮蔽材」であることから、単一の遮蔽材を持つ電動遮蔽装置に対しても同様に動作する。
ステップS12にて上昇対象の遮蔽材について上昇動作を開始すると、制御装置10は、上昇する遮蔽材について物理上限位置を検出した否かを監視し(ステップS13)、停止コマンドの受信があるまで、又は物理上限位置の検出があるまで、その上昇動作を継続する(ステップS13:N)。
ステップS13にて上昇する遮蔽材について物理上限位置を検出すると(ステップS13:Y)、制御装置10は、その上昇動作を停止して、物理上限位置から所定量分を下げた位置を設定上限位置とし、設定上限位置まで自動下降してから停止する(ステップS14)。
従って、図7に示す本制御では、設定上限位置を記憶部102に記憶する必要はなく、図6(b)に示す効果を得ることができ、即ち、物理上限位置の検出の度に、その物理上限位置から所定量分を下げた位置を設定上限位置とし、その設定上限位置まで自動下降して停止するため、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、電動遮蔽装置は、上述した電動プリーツスクリーンに限らず、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン、ロールスクリーン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下に連なって配設するように組み合わせたハイブリッド構成(例えば、上部遮蔽材には、たくし上げカーテン式の遮蔽材とし、下部遮蔽材には、プリーツスクリーン式の遮蔽材とする等)など、他の種類の電動遮蔽装置にも適用できる。
上下に連なって遮蔽材を持つ他の電動遮蔽装置の典型例を図8(a)乃至(c)にそれぞれ示している。図8(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る制御装置を適用した例を示す概略的な側面図である。尚、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
まず、図8(a)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下される上部遮蔽材(下端に中間レール7Uを持つ側面視でハニカム状の上部スクリーン6U)及び中間レール7Uから吊下される下部遮蔽材(下端にボトムレール7Lを持つ側面視でハニカム状の下部スクリーン6L)をそれぞれ昇降可能とする電動ハニカムスクリーンである。図8(a)に示す巻取ドラム51U,51Lは、図1に示す実施形態と同様に、昇降コード3U,3Lの上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lを昇降させる。尚、それぞれ上部スクリーン6Uにおける各ハニカム状を形成する接合片60’に挿通孔が設けられ、この挿通孔に昇降コード3U,3Lが挿通され、昇降コード3Uの下端は中間レール7Uに取着される。また、昇降コード3Lは、中間レール7Uを貫通し、下部スクリーン6Lにおける各ハニカム状を形成する接合片60’に設けられる挿通孔に挿通され、ボトムレール7Lに取着される。ヘッドボックス1内には、それぞれエンコーダー8U,8L及びモーター9U,9Lを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、図3に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、図8(a)に示す電動ハニカムスクリーンについても、制御装置10は、「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」により、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
また、図8(b)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下されるラダーコード12Uにより支持される上部遮蔽材(下端に中間レール7Uを持つ例えば採光性生地による生地スラット群6U’)及びヘッドボックス1から吊下され中間レール7Uを貫通するラダーコード12Lにより支持される下部遮蔽材(下端にボトムレール7Lを持つ例えば遮光性のアルミスラット群6L’)をそれぞれ昇降可能とする電動横型ブラインドである。図8(b)に示す巻取ドラム51U,51Lは、図1に示す実施形態と同様に、昇降コード3U,3Lの上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、生地スラット群6U’及びアルミスラット群6L’を昇降させる。尚、それぞれ生地スラット群6U’における前後方向略中央部に挿通孔が設けられ、この挿通孔に昇降コード3U,3Lが挿通され、昇降コード3Uの下端は中間レール7Uに取着される。また、昇降コード3Lは、中間レール7Uを貫通し、アルミスラット群6L’における前後方向略中央部に設けられる挿通孔に挿通され、ボトムレール7Lに取着される。そして、ラダーコード12U,12Lの縦糸の相対移動により、それぞれ生地スラット群6U’及びアルミスラット群6L’を回動させることができるが、その機構についての説明は省略する。ヘッドボックス1内には、それぞれエンコーダー8U,8L及びモーター9U,9Lを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、図3に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、図8(b)に示す電動横型ブラインドについても、制御装置10は、「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」により、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
また、図8(c)に示すように、上部遮蔽材は、下端に中間レール7Uを持つ例えば採光性生地による生地スラット群6U’とし、下部遮蔽材は、下端にボトムレール7Lを持つ側面視でジグザグ状(ハニカム状でもよい)の下部スクリーン6Lとした、ハイブリッド構成の電動遮蔽装置に、図3に示すものと同様の制御装置10を配設してもよい。他のハイブリッド構成の電動遮蔽装置として、図示を省略するが、例えば、上部遮蔽材には、たくし上げカーテン式の遮蔽材とし、下部遮蔽材には、プリーツスクリーン式の遮蔽材とする等のハイブリッド構成の電動遮蔽装置に、図3に示すものと同様の制御装置10を配設してもよい。これらハイブリッド構成の電動遮蔽装置についても、制御装置10による「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」により、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
また、上下に連なる複数の遮蔽材を持つ電動遮蔽装置に限らず、単一の遮蔽材を持つ電動遮蔽装置に対しても、「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」を行う制御装置を配設してもよい。
単一の遮蔽材を持つ他の電動遮蔽装置の典型例を図9(a)乃至(c)にそれぞれ示している。図9(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」を行う制御装置を適用した例を示す概略的な側面図である。尚、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
まず、図9(a)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下される単一の遮蔽材(下端にボトムレール7を持つ側面視でジグザグ状のスクリーン6)を昇降可能とする電動プリーツスクリーンである。図9(a)に示す巻取ドラム51は、図1に示す実施形態における巻取ドラム51Lと同様の構成となっており、昇降コード3の上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、スクリーン6を昇降させる。また、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4が垂下され、その下端がボトムレール7に取着されてスクリーン6を引き伸ばすとき、その折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。ヘッドボックス1内には、図1に示す実施形態におけるエンコーダー8Lと同様のエンコーダー及び図1に示す実施形態におけるモーター9Lと同様のモーターを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、上記と同様の「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」を行う制御装置10’が配設される。尚、制御装置10’は、図3に示す制御装置10におけるエンコーダー8L及びモーター9Lに関する制御構成と同様であり、更なる説明は省略する。従って、図9(a)に示す電動プリーツスクリーンについても、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
また、図9(b)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下されるラダーコード12により支持される単一の遮蔽材(下端にボトムレール7を持つスラット群6’)を昇降可能とする電動横型ブラインドである。図9(b)に示す巻取ドラム51は、図1に示す実施形態における巻取ドラム51Lと同様の構成となっており、昇降コード3の上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、スラット群6’を昇降させる。尚、スラット群6’における前後方向略中央部に挿通孔が設けられ、この挿通孔に昇降コード3が挿通され、ボトムレール7に取着される。そして、ラダーコード12の縦糸の相対移動により、スラット群6’を回動させることができるが、その機構についての説明は省略する。ヘッドボックス1内には、図1に示す実施形態におけるエンコーダー8Lと同様のエンコーダー及び図1に示す実施形態におけるモーター9Lと同様のモーターを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、上記と同様の「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」を行う制御装置10’が配設される。尚、制御装置10’は、図3に示す制御装置10におけるエンコーダー8L及びモーター9Lに関する制御構成と同様であり、更なる説明は省略する。従って、図9(b)に示す電動横型ブラインドについても、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
また、図9(c)に示す電動遮蔽装置は、単一の遮蔽材(カーテン生地6C)を昇降可能とする電動たくし上げカーテンである。図9(c)に示すヘッドボックス1の前面からカーテン生地6Cが吊下支持される。カーテン生地6Cの背面の幅方向両側近傍の上下方向中央部にはリング80が取着され、そのリング80には昇降コード3が挿通されている。昇降コード3の下端には本例ではフック式のコードキャッチ30が取着され、コードキャッチ30を掛装するフック受部31が、カーテン生地6Cの下端部に取着されている。図9(c)に示す巻取ドラム51は、図1に示す実施形態における巻取ドラム51Lと同様の構成となっており、昇降コード3の上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、カーテン生地6Cを昇降させる。ヘッドボックス1内には、図1に示す実施形態におけるエンコーダー8Lと同様のエンコーダー及び図1に示す実施形態におけるモーター9Lと同様のモーターを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、上記と同様の「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」を行う制御装置10’が配設される。尚、制御装置10’は、図3に示す制御装置10におけるエンコーダー8L及びモーター9Lに関する制御構成と同様であり、更なる説明は省略する。従って、図9(c)に示す電動たくし上げカーテンについても、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
また、図10(a),(b)は、本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置として構成する電動ロールスクリーンに、本発明に係る制御を行う制御装置10’を応用適用したときの動作例を示す概略的な側面図である。即ち、上述した実施形態では巻取ドラム51(或いは51U又は51L)は、遮蔽材を昇降させるための昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻すことにより遮蔽材を畳み込み、或いは展開して間接的に昇降させる例を説明したが、巻取ドラムによって、遮蔽材を巻き取り、或いは巻き戻すことにより遮蔽材を直接的に昇降させる電動ロールスクリーンに、本発明に係る制御を行う制御装置10’を応用適用することができる。尚、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
図10(a),(b)に示す電動ロールスクリーンは、単一の遮蔽材(下端に錘部材として機能するウェイトバー7’が設けられたスクリーン6)を昇降可能とする電動ロールスクリーンである。図10(a),(b)に示す巻取パイプ51’は、スクリーン6を巻き取り、或いは巻き戻すことにより遮蔽材を直接的に昇降させる機能部であり、内部にエンコーダーを配設している(図示略)。巻取パイプ51’は、取付フレーム1’の左右両側で支持される支持部材(図示略)間に回転可能に軸支される。そして、取付フレーム1’内に、DC電源11(図示略)と、上記と同様の「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」を行う制御装置10’が配設される。尚、制御装置10’は、図3に示す制御装置10におけるエンコーダー8L及びモーター9Lに関する制御構成と同様であり、更なる説明は省略する。
図10(a),(b)に示す電動ロールスクリーンの場合、昇降コードを用いて遮蔽材を昇降させるものではないため、図6(a)に示したような課題は生じないが、電動ロールスクリーンに特有の課題が生じる。即ち、制御装置10’は、上述したエンコーダーから得られるエンコーダーパルスのカウント値による絶対的な上限位置、或いは上述した異常検知により検出されるまで、巻取パイプ51’によって物理上限位置までスクリーン6を巻き取ることができるが、この場合もスクリーン6が高圧縮となり、この高圧縮が維持されると、錘部材として機能するウェイトバー7’により巻き取られている遮蔽材(スクリーン6)が圧迫されてその遮蔽材(スクリーン6)に圧迫跡が残る。そこで、制御装置10’は、上記と同様の「設定上限位置の自動設定制御」又は「設定上限位置の自動移行制御」を行うことで、遮蔽材(スクリーン6)の物理上限位置(高圧縮状態)から所定量分(巻き取られている遮蔽材の少なくとも最外周面が錘部材により圧縮されていない位置)、遮蔽材(スクリーン6)を下げる(即ち、巻取パイプ51’による遮蔽材の巻き上げを巻き戻す方向に回転させる)ことで、図10(b)に示すように遮蔽材(スクリーン6)を展開したときに、遮蔽材(スクリーン6)の圧迫跡を緩和させることができる。従って、図10(a),(b)に示す電動ロールスクリーンについても、遮蔽材の品質、及び安定した動作を確保できるようになる。
従って、本発明に係る電動遮蔽装置は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。