以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を説明する。尚、本願明細書中、図1に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、図示上方及び図示下方を遮蔽材の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を電動遮蔽装置の左側、及び、図示右方向を電動遮蔽装置の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
(全体構成)
図1(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図及び正面図である。図1に示す電動遮蔽装置の代表例として遮蔽材を昇降する電動プリーツスクリーンを示している。ただし、駆動軸の回転によって遮蔽材を移動させるものであればこれに限定する必要はなく、例えば電動横型ブラインドや電動縦型ブラインド、或いは電動カーテン等としてもよい。
また、図1(a),(b)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンでは、複数種の昇降コード3U,3Lによって個別に昇降可能な上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6Lを備えるものとして構成しているが、一種の昇降コードによって一種の遮蔽材を昇降可能とする電動プリーツスクリーンとしてもよい。
図1(a),(b)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンは、ヘッドボックス1からジグザグ状に折り曲げ可能とした上部スクリーン6Uが吊下支持され、そのスクリーン6Uの下端は中間レール4の上面に取着される。ヘッドボックス1は天井面等の取付面に対しブラケット15を介して固定される。
中間レール4の下面には、同じくジグザグ状に折り曲げ可能とした下部スクリーン6Lの上端が取着され、その下部スクリーン6Lの下端は、ボトムレール7に取着される。
ヘッドボックス1内にて適所(本例では左右2箇所)に配設された各支持部材5に対し巻取ドラム51A,51Bが前後に並設されて回転可能に支持される。そして、それぞれの巻取ドラム51A,51Bの軸方向一端部には、それぞれカムクラッチ52A,52Bが設けられる。それぞれの巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに、それぞれの巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、それぞれ同形状に構成される。
それぞれの巻取ドラム51Aには、昇降コード3L(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Lの下端は、本例では上部スクリーン6U、中間レール4、及び下部スクリーン6Lを貫通し、ボトムレール7に取着される。巻取ドラム51Aは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Lが巻取ドラム51Aに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
また、それぞれの巻取ドラム51Bには、昇降コード3U(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Uの下端は、本例では上部スクリーン6Uを貫通し、中間レール4に取着される。巻取ドラム51Bは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Uが巻取ドラム51Bに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
それぞれの巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの中心軸には駆動軸2Aが挿通され、カムクラッチ52Aは駆動軸2Aの回転を巻取ドラム51Aに伝達し、且つ巻取ドラム51Aの駆動力を駆動軸2Aに伝達するようになっている。
同様に、それぞれの巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bの中心軸には駆動軸2Bが挿通され、カムクラッチ52Bは駆動軸2Bの回転を巻取ドラム51Bに伝達し、且つ巻取ドラム51Bの駆動力を駆動軸2Bに伝達するようになっている。
駆動軸2Aの一端は、駆動軸連結器20Aを介してモーター9Aの出力軸に連結され、モーター9Aの出力軸の回転が駆動軸2Aに伝達される。従って、モーター9Aの駆動力で駆動軸2Aを回転させ、駆動軸2Aの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Aで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7を昇降可能とし、これにより下部スクリーン6Lを昇降させ、更には上部スクリーン6U及び中間レール4を昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Aは、下部スクリーン6Lの下降時に昇降コード3Lに係る張力(各スクリーン及び各レールの自重)を利用しているため、その駆動力がカムクラッチ52Aを介して巻取ドラム51Aから駆動軸2Aに伝達し、この駆動軸2Aに係る駆動力を調節して下降制御される。
また、駆動軸2Bの一端は、駆動軸連結器20Bを介してモーター9Bの出力軸に連結され、モーター9Bの出力軸の回転が駆動軸2Bに伝達される。従って、モーター9Bの駆動力で駆動軸2Bを回転させ、駆動軸2Bの回転に基づいて昇降コード3Uを当該巻取ドラム51Bで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、中間レール4を昇降可能とし、これにより上部スクリーン6Uを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Bは、上部スクリーン6Uの下降時に昇降コード3Uに係る張力(上部スクリーン6U及び中間レール4の自重)を利用しているため、その駆動力がカムクラッチ52Bを介して巻取ドラム51Bから駆動軸2Aに伝達し、この駆動軸2Bに係る駆動力を調節して下降制御される。
モーター9A,9Bの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9A,9B、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、有線スイッチ21、無線リモコン22、赤外線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(図示せず)から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えばモーター9A,9BをそれぞれDCモーターで構成することで、制御装置10からモーター9A,9Bに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9A,9Bの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2A,2Bのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8A,8Bが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8A,8Bから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9A,9Bの回転速度及び回転量が制御される。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降速度を適宜に調整するとともに、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降停止位置を制御する。
このように構成された本実施形態の電動プリーツスクリーンでは、中間レール4をヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1と中間レール4との間に上部スクリーン6Uを折り畳んだ状態で、ボトムレール7を下降させれば、ヘッドボックス1から下部スクリーン6Lが吊下支持された状態となる。
また、ボトムレール7を下限まで下降させた状態で、中間レール4をボトムレール7上まで下降させると、中間レール4とボトムレール7との間で下部スクリーン6Lが折り畳まれ、ヘッドボックス1と中間レール4との間で上部スクリーン6Uが吊下支持された状態となる。従って、例えば上部スクリーン6Uを採光性生地とし、下部スクリーン6Lを遮光性生地とすれば、採光量調節の自由度を高めることができる。
そして、ボトムレール7を下限まで下降させ、中間レール4をヘッドボックス1とボトムレール7との中間に位置させれば、採光性生地とした上部スクリーン6Uを透過した柔らかな光を採光することができる。
また、ボトムレール7を上限まで引き上げて開放する場合には、中間レール4を引き上げることなくボトムレール7を引き上げ、ヘッドボックス1とボトムレール7との間に上部スクリーン6Uと下部スクリーン6Lとを折り畳んだ状態とすることができる。
(クラッチ式の障害物検知停止装置)
ところで、中間レール4又はボトムレール7が障害物に接触し、その下降が妨げられると、クラッチ式の障害物検知停止装置が作動して、駆動軸2A又は2Bがロックするようになっている。つまり、中間レール4又はボトムレール7が障害物に接触したとき、支持部材5に支持される巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、それぞれ各レールに対する「障害物検知」及び各駆動軸の「停止」を機械的に行うクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する。即ち、支持部材5に支持される巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、図2に示すようなクラッチ式の障害物検知停止装置として構成される。
以下、簡潔にクラッチ式の障害物検知停止装置について説明する。
尚、巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bは、それぞれ巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aと同様の構造を有しているため、図2(a)には、代表して、支持部材5に支持されるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの構成について、その断面図を示している。
図2(a)に示すように、クラッチ式の障害物検知停止装置は、支持部材5におけるサポート部位50にて巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aが支持され、カムクラッチ52Aは、回転ドラム53を介して巻取ドラム51Aに連結されている。
尚、支持部材5は、その底面に突出形成されるスナップフィット501がヘッドボックス1に嵌合されることで固定されている。そして、カムクラッチ52A、回転ドラム53及び巻取ドラム51Aは、サポート部位50の左右両端に形成される貫通孔502,503間で回転可能に支持されている。より具体的には、貫通孔502に対しカムクラッチ52Aの筒部521が回転可能に軸支され、貫通孔503に対し巻取ドラム51Aの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54が回転可能に軸支されている。
スナップフィット501には、昇降コード3Lを所定の位置から巻き取り、或いは巻き戻しするために導出する導出口が形成されている。また、サポート部位50の図示左辺の底面には制動凸部504が形成されている。
巻取ドラム51Aは略円筒形状に形成されており、係合部511と巻取部512とを備えている。
巻取ドラム51Aの巻取部512は、カムクラッチ52A側から図示右端側に向かうにつれて徐々にその径が小さくなるように設定されている。そして、巻取ドラム51Aの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54の中心には駆動軸2Aが相対回転可能に貫通されている。
巻取ドラム51Aの係合部511の径方向内側にはカムクラッチ52Aが収容されている。カムクラッチ52Aは略円筒形状に形成された筒部521と該筒部521より大径に形成された制動部522とを備えている。
制動部522は外周面の径が巻取ドラム51Aの係合部511の内周面と摺動可能な大きさに設定されている。制動部522における筒部521側の端部には1つ又は複数の制動爪523が鋸歯状に突出して形成されており、サポート部位50の制動凸部504と係合可能とされている。
制動爪523は制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止されると、カムクラッチ52Aがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。
カムクラッチ52Aは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Aとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有している。
即ち、カムクラッチ52Aにおける制動部522の側壁にはカム構造としての摺動孔524が形成されており、この摺動孔524は制動部522の軸線に対して略45°傾斜するように形成されている。また、摺動孔524は、制動部522の周方向において略45°の角度範囲に亘って配設されるようにその長さが設定されている。
そして、回転ドラム53には、その径方向外側に向かって突出する摺動凸部531が形成されている。この摺動凸部531がカムクラッチ52Aの摺動孔524の内部に位置するよう回転ドラム53がカムクラッチ52Aに組み付けられ、回転ドラム53は摺動凸部531がカムクラッチ52Aの摺動孔524の内部を相対移動する範囲内においてのみ相対移動可能となる。
具体的には、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置するときにはカムクラッチ52Aは最も巻取プーリ9側(図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除される。一方、摺動凸部531が摺動孔524の他端部に位置するときには、カムクラッチ52Aは、軸方向にスライド移動して最も反巻取プーリ9側(図2(a)において左側)に位置することとなるため、制動爪523と制動凸部504とは係合状態となる。
制動爪523と制動凸部504とが係合状態となると、カムクラッチ52Aの回転が阻止され、このとき摺動孔524の当該他端部まで移動された摺動凸部531もそれ以上の回転ができなくなるため回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Aの回転も停止する。
従って、カムクラッチ52Aが巻取ドラム51Aの軸線方向に相対移動して、制動爪523が制動凸部504に係合されると、カムクラッチ52Aはサポート部位50に対し相対回転不能に係止される。また、制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されるとカムクラッチ52Aはサポート部位50に対して相対回転可能となる。
カムクラッチ52Aの径方向内側に回転ドラム53が収容され、回転ドラム53は略円筒状を有し巻取ドラム51Aに対し所定の回転遊びを有して相対回転不能、且つ軸線方向に相対移動しないように装着される。また、筒部515内には駆動軸2Aが相対回転可能に貫通しているが、回転ドラム53は駆動軸2Aに対し一体となって回転する。
このように、駆動軸2Aが遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き上げ方向に回転されると、該回転は回転ドラム53に伝達される。このとき、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間、巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aに対して相対回転される。
この場合、カムクラッチ52Aの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除され、カムクラッチ52Aはサポート部位50に対して相対回転可能である。そして、回転ドラム53は当該所定の回転遊び以上の回転でカムクラッチ52A及び巻取ドラム51Aと相対回転不能となる。
従って、駆動軸2Aを更に引き上げ方向に回転させると、回転ドラム53はカムクラッチ52A及び巻取ドラム51Aと一体となって引き上げ方向に回転され、当該遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き上げ駆動が行われる。
一方、駆動軸2Aが遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ時では、その下部スクリーン6L及びボトムレール7の自重を使って行われるため、引き下げ時の駆動力は巻取ドラム51Aから駆動軸2Aに向かって伝達される。
巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aが引き下げ方向に回転されると、カムクラッチ52Aの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除された状態であるため、回転ドラム53及び駆動軸2Aは即座に引き下げ方向への回転が伝達される。
ここで、図2(b)乃至(e)には、遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ操作が行われている最中に、ボトムレール7が障害物に衝突したときの、図2(a)におけるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの動作について、概略図示している。尚、図2(d)及び図2(e)において、1つの制動爪523として簡略図示しているが、複数の制動爪523とすることができる。
まず、図2(b)に示すように遮蔽材(下部スクリーン6L)の引き下げ操作が行われているとき、ボトムレール7が障害物に衝突する前では、巻取ドラム51Aから昇降コード3Lが巻き戻され、下部スクリーン6Lが下降する。巻取ドラム51Aに巻き取られている昇降コード3Lにはボトムレール7等の自重により引き出し方向の張力が加わっており、カムクラッチ52Aの回転とともに巻取ドラム51Aは自重回転し、駆動軸2Aの回転制御により、その自重回転を制御している。このとき、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置してカムクラッチ52Aは最も巻取プーリ9側(図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されている。
そして、図2(c)に示すようにボトムレール7が障害物に衝突すると昇降コード3Lにおける引き出し方向の張力が失われ、巻取ドラム51Aの回転は停止するが、回転ドラム53、カムクラッチ52A及び駆動軸2Aは回転を維持するため回転差が生じる。ただし、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間のみ巻取ドラム51Aに対して相対回転される。
すると、摺動凸部531が摺動孔524に案内されて、図2(d)に示すように、巻取ドラム51Aの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Aが回転しながら軸方向に相対移動(スライド)を開始する。
そして、図2(e)に示すように、巻取ドラム51Aの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Aにおける制動爪523が制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止され、カムクラッチ52Aがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。カムクラッチ52Aの回転が阻止され、このとき摺動孔524の当該他端部まで移動された摺動凸部531もそれ以上の回転ができなくなるため回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Aの回転も停止する。このようにカムクラッチ52Aがサポート部位50に対し相対回転不能とされ、回転ドラム53の当該所定の回転遊びが経過すると回転ドラム53の回転も停止し、駆動軸2Aの回転がロックされる。
図2に示す例では、カムクラッチ52Aは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Aとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、カムクラッチ52Aに形成した摺動孔524が回転ドラム53に形成した摺動凸部531を案内することで、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有する例を説明したが、機械的に駆動軸2Aをロックするカム構造は本例に限定されず、巻取ドラム51Aの物理的な障害物による回転停止時に、駆動軸2Aの回転を機械的に停止させるカムクラッチ構造であればく、様々な形態が考えられる。
例えば、回転ドラム53及びカムクラッチ52Aの代わりに、制動凸部504と係合可能な制動爪523と摺動凸部531を形成したカムクラッチを構成し、該カムクラッチを巻取ドラム51Aの内周壁で支持させる構成とすることができる。この場合、該カムクラッチは、駆動軸2Aに対し相対回転不能であるが軸方向には巻取ドラム51Aに対し所定の範囲内で相対移動(スライド移動)を許容する構造とし、該摺動凸部531の回転を図2に例示した動作と同様に作動させるために、巻取ドラム51Aの内周壁に当該摺動孔524に相当する摺動溝を形成したカムクラッチ構造とすることができる。
しかし、このように機械的に駆動軸2Aをロックすると、駆動軸2Aの回転制御は継続しているため、駆動軸2Aへの負荷が生じ、負荷が生じたまま停止することになる。即ち、駆動軸2Aに対する機械的な「停止」が作動しているにも関わらず、モーター9Aの駆動を維持していると、電力的な無駄やモーター9Aの発熱、或いは損傷等を招くおそれが生じる。
総括するに、巻取ドラム51A及びカムクラッチ52Aの中心軸には駆動軸2Aが挿通され、駆動軸2Aが回転すると、常には(障害物非検知時には)、カムクラッチ52Aの大部分が巻取ドラム51Aの径方向内側に収容された状態にあり、駆動軸2Aに係合するカムクラッチ52Aが同方向に回転し、更に、昇降コード3Lに係る張力(各スクリーン及び各レールの自重)を利用しつつカムクラッチ52Aに係合する巻取ドラム51Aが同方向に回転する。これにより巻取ドラム51Aにて昇降コード3Lの巻き取り、或いは巻き戻しを行い、ボトムレール7を昇降させることができる。
ただし、下降するボトムレール7に障害物があると駆動軸2Aの回転と巻取ドラム51Aの回転とにおいて回転差が発生し、回転が阻止された巻取ドラム51Aと駆動軸2Aとの相対回転に基づいて、巻取ドラム51Aの径方向内側に大部分が収容されていた状態にあったカムクラッチ52Aの一部が巻取ドラム51Aから駆動軸2Aの軸方向に突出するようにスライドする。そして、当該スライドし巻取ドラム51Aから突出したカムクラッチ52Aの制動爪523が、巻取ドラム51Aを回転可能に支持する支持部材5に形成された制動凸部504と係合することにより、該駆動軸2Aの回転を機械的に阻止(ロック)する。尚、当該障害物が無くなるときを考慮して、制御装置10は、再び当該カムクラッチ52Aの大部分を巻取ドラム51Aの径方向内側に再び収容して当該駆動軸2Aの回転を機械的に阻止する状態を解除する程度に、駆動軸2Aをボトムレール7の上昇方向へ逆回転してから停止する制御を行う。
同様に、巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bの中心軸には駆動軸2Bが挿通され、駆動軸2Bが回転すると、常には(障害物非検知時には)、カムクラッチ52Bの大部分が巻取ドラム51Bの径方向内側に収容された状態にあり、駆動軸2Bに係合するカムクラッチ52Bが同方向に回転し、更に、昇降コード3Uに係る張力(上部スクリーン6U及び中間レール4の自重)を利用しつつカムクラッチ52Bに係合する巻取ドラム51Bが同方向に回転する。これにより巻取ドラム51Bにて昇降コード3Uの巻き取り、或いは巻き戻しを行い、中間レール4を昇降させることができる。
ただし、下降する中間レール4に障害物があると昇降コード3Uに弛みが生じ、昇降コード3Uに弛みが生じると駆動軸2Bの回転と巻取ドラム51Bの回転とにおいて回転差が発生し、回転が阻止された巻取ドラム51Bと駆動軸2Bとの相対回転に基づいて、巻取ドラム51Bの径方向内側に大部分が収容されていた状態にあったカムクラッチ52Bの一部が巻取ドラム51Bから駆動軸2Bの軸方向に突出するようにスライドする。そして、当該スライドし巻取ドラム51Bから突出したカムクラッチ52Bの制動爪523が、巻取ドラム51Bを回転可能に支持する支持部材5に形成された制動凸部504と係合することにより、該駆動軸2Bの回転を機械的に阻止(ロック)する。尚、当該障害物が無くなるときを考慮して、制御装置10は、再び当該カムクラッチ52Bの大部分を巻取ドラム51Bの径方向内側に再び収容して当該駆動軸2Bの回転を機械的に阻止する状態を解除する程度に、駆動軸2Bを中間レール4の上昇方向へ逆回転してから停止する制御を行う。
従って、本実施形態の電動遮蔽装置として構成される電動プリーツスクリーンには、各レールに対する「障害物検知」及び各駆動軸の「停止」を機械的に行うクラッチ式の障害物検知停止装置が設けられる。
ところで、本実施形態の電動遮蔽装置では、モーター9A,9Bの各々と制御装置10はモーターハーネスで接続されているが、各支持部材5に支持されるそれぞれの巻取ドラム51A及びカムクラッチ52A、並びに、それぞれの巻取ドラム51B及びカムクラッチ52Bがクラッチ式の障害物検知停止装置として構成されているため、特許文献1に開示されるようなマイクロスイッチを不要としている。
しかし、当該マイクロスイッチを不要としている構成下で、制御装置10は、当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9A,9Bの駆動を停止させる必要がある。即ち、駆動軸2A,2Bに対する機械的な「停止」が作動しているにも関わらず、モーター9A,9Bの駆動を維持していると、電力的な無駄やモーター9A,9Bの発熱、或いは損傷等を招くおそれが生じることから、これらを避けるために、本実施形態に係る制御装置10では、以下の構成、及び各実施例の障害物検知停止制御により、この課題を解決している。
(制御装置の構成)
図3は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10の概略構成を示すブロック図である。
制御装置10は、有線スイッチ21、無線リモコン22、赤外線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)24などの外部機器からの操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えば制御装置10は、エンコーダー12からのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理してモーター9A,9Bの回転速度及び回転量を制御し、各遮蔽材(各スクリーン及び各レール)の昇降速度を適宜に調整するとともに、各遮蔽材の昇降停止位置を制御する。
有線スイッチ21は、制御装置10に対し有線接続することで操作信号を制御装置10に出力する操作スイッチである。
赤外線リモコン23は、制御装置10に対し赤外線による無線接続することで操作信号を制御装置10に出力するリモートコントローラである。
無線リモコン22は、制御装置10に対し無線LAN(近距離無線通信を含む)による無線接続することで操作信号を制御装置10に出力するリモートコントローラである。
パーソナルコンピュータ(PC)24は、制御装置10に対し有線接続することで(或いは無線LANにより無線接続することで)、操作信号を制御装置10に出力する。
ここで、操作信号には、各遮蔽材(各スクリーン及び各レール)の上昇操作を指示する上昇コマンド、各遮蔽材の下降操作を指示する下降コマンド、各遮蔽材の昇降動作を停止指示する停止コマンド、及び各遮蔽材の上下限位置の設定コマンドを少なくとも含む。また、これらの各遮蔽材の昇降を指示する各種のコマンドは、各遮蔽材の開度割合を示す「%指示操作」にも対応づけたものとすることができる。
そして、図3に示すように、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101、記憶部102、赤外線信号受信部103、無線信号送受信部104、有線信号送受信部105、外部機器インターフェース(IF)部106、モーター駆動部107a,107b、異常検知部108a,108b、及びパルス検出部109a,109bを備える。
赤外線信号受信部103は、赤外線リモコン23からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
無線信号送受信部104は、無線リモコン22からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と無線リモコン22との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
有線信号送受信部105は、有線スイッチ21からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
外部機器インターフェース(IF)部106は、PC24等の外部機器からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と外部機器インターフェース(IF)部106との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
モーター駆動部107a,107bは、それぞれモーター9A,9Bの駆動を行うモータードライバーである。
異常検知部108a,108bは、それぞれモーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
パルス検出部109a,109bは、それぞれエンコーダー8A,8Bからのパルス信号をそれぞれ受信し、マイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
マイクロコンピュータ部101は、記憶部102に予め記憶させたプログラムを読み出して実行することにより、赤外線信号受信部103を介して受信する赤外線リモコン23からの操作信号、無線信号送受信部104を介して受信する無線リモコン22からの操作信号、有線信号送受信部105を介して受信する有線スイッチ21からの操作信号、或いは、外部機器IF部106を介して受信するPC24等の外部機器からの操作信号を受け付け、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを処理する。これにより、電動遮蔽装置の各種制御を行う制御装置10をコンピュータとして構成することができる。
そして、マイクロコンピュータ部101による当該プログラムの実行によって実現される制御装置10の機能には、操作信号を受け付け当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを判別し対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う機能、各エンコーダー8A,8Bからのパルス信号をそれぞれ受信するパルス検出部109a,109bを介してエンコーダーパルスの有無及びエンコーダーパルス数のカウントを行いながら、適宜、そのカウント値を記憶部102に記憶して管理する機能、エンコーダーパルス数のカウント値に応じて設定可能な各遮蔽材の上限設定位置や下限設定位置等に関する各種設定を記憶部102に記憶して管理する機能、モーター9A,9Bの駆動をそれぞれ行うモーター駆動部107a,107bを介してモーター9A,9Bの駆動制御を行う機能、及び、モーター駆動部107a,107bにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上の)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する異常検知部108a,108bを介して、その異常値を監視する機能が含まれる。
以下、制御装置10におけるマイクロコンピュータ部101によって行う各実施例の実施例の障害物検知停止制御について順に説明する。また、各実施例の説明では、代表して、エンコーダー8Aの出力を監視してモーター9Aの駆動力で駆動軸2Aを回転させ、駆動軸2Aの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Aで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、下部スクリーン6U及びボトムレール7を下降する際の障害物検知停止制御について説明するが、エンコーダー8Bの出力を監視してモーター9Bの駆動制御に伴い障害物検知停止制御を行う場合も同様である。
(実施例1の障害物検知停止制御)
図4は本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の実施例1の障害物検知停止制御を示すフローチャートである。実施例1の障害物検知停止制御では、制御装置10におけるマイクロコンピュータ部101によって、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスの有無に基づいて障害物検知停止制御を行う例であり、本実施例においては、制御装置10が異常検知部108a,108bを備えていなくてもよい。
まず、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、下降コマンドの受信に応じてモーター9Aの駆動制御を開始し、遮蔽材(本例では、下部スクリーン6U及びボトムレール7)の下降動作を開始する(ステップS1)。
当該遮蔽材の下降動作の開始に伴い、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスのカウントを開始する(ステップS2)。
続いて、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスの入力の有無を監視して(ステップS3)、エンコーダーパルスの入力が有るときは(ステップS3:No)、ステップS4に移行し、エンコーダーパルスの入力が無いときは(ステップS3:Yes)、ステップS6に移行する。
エンコーダーパルスの入力が有るときは(ステップS3:No)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われていないとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、停止コマンドの受信が無く下限設定位置に到達したか否かを監視して(ステップS4)、停止コマンドが無く下限設定位置に到達していないときは(ステップS4:No)、ステップS3に移行し、停止コマンドの受信が有るときや下限設定位置に到達しているときは(ステップS4:Yes)、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS5)。
一方、エンコーダーパルスの入力が無いときは(ステップS3:Yes)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われているとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS6)。このステップS2,S3の制御を組み入れることで、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下でコスト低下及び品質向上が可能となる。
その後、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、少なくとも障害物検知停止装置のロックを解除する位置まで当該遮蔽材を自動上昇させ(ステップS7)、当該ロックを解除する位置に到達した時点でモーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の上昇動作を停止する(ステップS8)。このステップS7,S8の制御を組み入れることで、駆動軸2Aのクリープ負荷(駆動軸2Aに加わる持続応力による負荷)を緩和することができ、これによっても品質を向上させることができる。
以上のように、実施例1の障害物検知停止制御により、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下で、制御装置10は、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、同様にして、駆動軸2Bに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Bの駆動を停止させ、尚且つクリープ負荷を緩和させることができる。これにより、本実施形態に係る電動遮蔽装置においては、特許文献1に開示されるようなマイクロスイッチを不要とし、尚且つ当該マイクロスイッチから制御装置10への配線、及び当該制御装置10にて当該マイクロスイッチの作動を検知する検知回路も不要とし、品質向上が可能となる。つまり、実施例1の障害物検知停止制御により、クラッチ式の障害物検知停止装置の機能のみで機械的に駆動軸をロックした場合でも、駆動軸への負荷を減少させ、モーターの電力的な無駄やモーターの発熱、或いは損傷等を回避できる。
また、従来技法におけるマイクロスイッチを介して機能する障害物検知停止装置では、手動操作のブラインド等の遮蔽装置における障害物検知停止装置と比較して、そのマイクロスイッチの部品、マイクロスイッチから制御装置への配線、及び当該制御装置にてマイクロスイッチの作動を検知する検知回路が必要となり、部品及び生産に係るコストが上昇する問題もある。更に、遮蔽材の上限リミット位置又は下限リミット位置を検出のために専用のスイッチやセンサを設ける場合も同様に、その作動を検知する検知回路が必要となり、部品及び生産に係るコストが上昇する問題もある。本実施形態に係る電動遮蔽装置においては、これらの問題も解決できるようになる。
(実施例2の障害物検知停止制御)
図5は本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の実施例2の障害物検知停止制御を示すフローチャートである。実施例2の障害物検知停止制御では、制御装置10におけるマイクロコンピュータ部101によって、異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)を検知して障害物検知停止制御を行う例であり、図4に示す実施例1と比較して、ステップS2,S3が、それぞれステップS2a,S3aに置き換えられている点を除き同様である。
まず、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、下降コマンドの受信に応じてモーター9Aの駆動制御を開始し、遮蔽材(本例では、下部スクリーン6U及びボトムレール7)の下降動作を開始する(ステップS1)。尚、本例でも、当該遮蔽材の下降動作の開始に伴い、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスのカウントを開始するが、当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握するために利用しない例であるため、図示を省略している。
当該遮蔽材の下降動作の開始に伴い、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、モーター駆動に係る電流又は電圧、或いは駆動波形の異常の有無、即ち異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)を監視する(ステップS2a)。
そして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)が無いときは(ステップS3a:No)、ステップS4に移行し、当該異常値が有るときは(ステップS3a:Yes)、ステップS6に移行する。
当該異常値が無いときは(ステップS3a:No)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われていないとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、停止コマンドの受信が無く下限設定位置に到達したか否かを監視して(ステップS4)、停止コマンドが無く下限設定位置に到達していないときは(ステップS4:No)、ステップS3aに移行し、停止コマンドの受信が有るときや下限設定位置に到達しているときは(ステップS4:Yes)、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS5)。
一方、当該異常値が有るときは(ステップS3a:Yes)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われているとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS6)。このステップS2a,S3aの制御を組み入れることで、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下でコスト低下及び品質向上が可能となる。
その後、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、少なくとも障害物検知停止装置のロックを解除する位置まで当該遮蔽材を自動上昇させ(ステップS7)、当該ロックを解除する位置に到達した時点でモーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の上昇動作を停止する(ステップS8)。このステップS7,S8の制御を組み入れることで、駆動軸2Aのクリープ負荷(駆動軸2Aに加わる持続応力による負荷)を緩和することができ、これによっても品質を向上させることができる。
以上のように、実施例2の障害物検知停止制御により、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下で、制御装置10は、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、同様にして、駆動軸2Bに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Bの駆動を停止させ、尚且つクリープ負荷を緩和させることができる。これにより、品質向上が可能となり、更に、特許文献1に開示されるようなマイクロスイッチを不要とし、尚且つ当該マイクロスイッチから制御装置10への配線、及び当該制御装置10にて当該マイクロスイッチの作動を検知する検知回路も不要とし、部品及び生産に係るコストを低減させた電動遮蔽装置、及びその制御装置10を構成することができる。
(実施例3の障害物検知停止制御)
図6は本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の実施例3の障害物検知停止制御を示すフローチャートである。実施例3の障害物検知停止制御では、制御装置10におけるマイクロコンピュータ部101によって、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスの有無と、異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)とをそれぞれ検知して障害物検知停止制御を行う例であり、図5に示す実施例2と比較して、ステップS2a,S3aが、それぞれステップS2b,S3bに置き換えられている点を除き同様である。
まず、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、下降コマンドの受信に応じてモーター9Aの駆動制御を開始し、遮蔽材(本例では、下部スクリーン6U及びボトムレール7)の下降動作を開始する(ステップS1)。
当該遮蔽材の下降動作の開始に伴い、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスのカウントを開始し、尚且つ、モーター駆動に係る電流又は電圧、或いは駆動波形の異常の有無、即ち異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)を監視する(ステップS2b)。
そして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、エンコーダー8Aからの「エンコーダーパルスの入力無し」と、異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける「異常値有り」のいずれも検知しないときは(ステップS3b:No)、ステップS4に移行し、当該「エンコーダーパルスの入力無し」か、当該「異常値有り」のいずれか一方を検知したときは(ステップS3b:Yes)、ステップS6に移行する。
当該「エンコーダーパルスの入力無し」と当該「異常値有り」のいずれも検知しないときは(ステップS3b:No)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われていないとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、停止コマンドの受信が無く下限設定位置に到達したか否かを監視して(ステップS4)、停止コマンドが無く下限設定位置に到達していないときは(ステップS4:No)、ステップS3bに移行し、停止コマンドの受信が有るときや下限設定位置に到達しているときは(ステップS4:Yes)、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS5)。
一方、当該「エンコーダーパルスの入力無し」か、当該「異常値有り」のいずれか一方を検知したときは(ステップS3b:Yes)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われているとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS6)。このステップS2b,S3bの制御を組み入れることで、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下でコスト低下及び品質向上が可能となる。
その後、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、少なくとも障害物検知停止装置のロックを解除する位置まで当該遮蔽材を自動上昇させ(ステップS7)、当該ロックを解除する位置に到達した時点でモーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の上昇動作を停止する(ステップS8)。このステップS7,S8の制御を組み入れることで、駆動軸2Aのクリープ負荷(駆動軸2Aに加わる持続応力による負荷)を緩和することができ、これによっても品質を向上させることができる。
以上のように、実施例3の障害物検知停止制御により、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下で、制御装置10は、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、同様にして、駆動軸2Bに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Bの駆動を停止させ、尚且つクリープ負荷を緩和させることができる。これにより、品質向上が可能となり、更に、特許文献1に開示されるようなマイクロスイッチを不要とし、尚且つ当該マイクロスイッチから制御装置10への配線、及び当該制御装置10にて当該マイクロスイッチの作動を検知する検知回路も不要とし、部品及び生産に係るコストを低減させた電動遮蔽装置、及びその制御装置10を構成することができる。
また、実施例3の障害物検知停止制御によれば、当該「エンコーダーパルスの入力無し」と当該「異常値有り」の双方を監視し、いずれか早い方を検知したときに直ちにモーター9A(或いは9B)の駆動を停止させることができるので即応性に優れたものとなる。
(実施例4の障害物検知停止制御)
図7は本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の実施例4の障害物検知停止制御を示すフローチャートである。実施例4の障害物検知停止制御では、制御装置10におけるマイクロコンピュータ部101によって、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスの有無と、異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)とをそれぞれ検知して障害物検知停止制御を行う変形例であり、図6に示す実施例3と比較して、ステップS3bが、それぞれステップS3cに置き換えられている点を除き同様である。
まず、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、下降コマンドの受信に応じてモーター9Aの駆動制御を開始し、遮蔽材(本例では、下部スクリーン6U及びボトムレール7)の下降動作を開始する(ステップS1)。
当該遮蔽材の下降動作の開始に伴い、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、パルス検出部109aを介してエンコーダー8Aから出力されるエンコーダーパルスのカウントを開始し、尚且つ、モーター駆動に係る電流又は電圧、或いは駆動波形の異常の有無、即ち異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)を監視する(ステップS2b)。
そして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、エンコーダー8Aからの「エンコーダーパルスの入力無し」と、異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける「異常値有り」の双方を検知しないときは(ステップS3c:No)、ステップS4に移行し、当該「エンコーダーパルスの入力無し」と、当該「異常値有り」の双方を検知したときは(ステップS3c:Yes)、ステップS6に移行する。
当該「エンコーダーパルスの入力無し」と当該「異常値有り」の双方を検知しないときは(ステップS3c:No)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われていないとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、停止コマンドの受信が無く下限設定位置に到達したか否かを監視して(ステップS4)、停止コマンドが無く下限設定位置に到達していないときは(ステップS4:No)、ステップS3cに移行し、停止コマンドの受信が有るときや下限設定位置に到達しているときは(ステップS4:Yes)、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS5)。
一方、当該「エンコーダーパルスの入力無し」と、当該「異常値有り」の双方を検知したときは(ステップS3c:Yes)、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」が行われているとみなして、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、モーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の下降動作を停止する(ステップS6)。このステップS2b,S3cの制御を組み入れることで、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下でコスト低下及び品質向上が可能となる。
その後、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101により、少なくとも障害物検知停止装置のロックを解除する位置まで当該遮蔽材を自動上昇させ(ステップS7)、当該ロックを解除する位置に到達した時点でモーター9Aの駆動制御を停止し、当該遮蔽材の上昇動作を停止する(ステップS8)。このステップS7,S8の制御を組み入れることで、駆動軸2Aのクリープ負荷(駆動軸2Aに加わる持続応力による負荷)を緩和することができ、これによっても品質を向上させることができる。
以上のように、実施例4の障害物検知停止制御により、特許文献1に開示されるマイクロスイッチを不要としている構成下で、制御装置10は、駆動軸2Aに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Aの駆動を停止させることができ、同様にして、駆動軸2Bに係る当該クラッチ式の障害物検知停止装置による機械的な「停止」を把握し、モーター9Bの駆動を停止させ、尚且つクリープ負荷を緩和させることができる。これにより、品質向上が可能となり、更に、特許文献1に開示されるようなマイクロスイッチを不要とし、尚且つ当該マイクロスイッチから制御装置10への配線、及び当該制御装置10にて当該マイクロスイッチの作動を検知する検知回路も不要とし、部品及び生産に係るコストを低減させた電動遮蔽装置、及びその制御装置10を構成することができる。
また、実施例4の障害物検知停止制御によれば、当該「エンコーダーパルスの入力無し」と当該「異常値有り」の双方を監視し、その双方を検知したときにモーター9A(或いは9B)の駆動を停止させることができるので耐誤動作性に優れたものとなる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、本願明細書中の昇降コードには、紐状コード或いはテープ状の昇降テープが含まれる。また、電動遮蔽装置は、上述した電動プリーツスクリーンに限らず、電動横型ブラインドとするなど、クラッチ式の障害物検知停止装置を適用可能とするものであれば、当該制御装置10による障害物検知停止制御を実現できる。
また、上述した制御装置10における、エンコーダー8Aからの「エンコーダーパルスの入力無し」の検知、或いは異常検知部108aを介してモーター駆動部107aにおける「異常値有り」の検知、並びに、エンコーダー8Bからの「エンコーダーパルスの入力無し」の検知、或いは異常検知部108bを介してモーター駆動部107bにおける「異常値有り」の検知により、それぞれ対応するモーター9A,9Bの駆動を停止させる機能は、障害物の検知時に限らず、各遮蔽材の上限リミット位置を検出するための上限リミット検出手段、並びに、各遮蔽材の下限リミット位置を検出するための下限リミット検出手段としても機能させることができる。
従って、本発明に係る電動遮蔽装置、及びその制御装置10は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。