JP7376274B2 - ポリイミド前駆体樹脂組成物 - Google Patents

ポリイミド前駆体樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミド前駆体樹脂組成物等に関する。
ポリイミドは、不溶、不融の超耐熱性樹脂であり、耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、耐低温性、耐薬品性等に優れた特性を有している。このため、ポリイミドは、電子材料を含む広範囲な分野で用いられている。ポリイミドの適用例としては、例えば、半導体素子の保護膜(特許文献1参照)、液晶配向剤(特許文献2、及び3参照)、ガス分離膜(特許文献4参照)等が知られている。
また、液晶ディスプレイ分野における絶縁膜等とともに、フレキシブル基板としても適用可能なポリイミド材料も検討されている(特許文献5)。
特開平03-120079号公報 国際公開第2012/014898号 特開平03-179323号公報 国際公開第1994/029002号 韓国登録特許第10-1365738号公報
しかしながら、フレキシブルディスプレイへの用途に着目すると、特許文献1~4では、フレキシブルディスプレイとしてのポリイミドフィルムの適用について想定されていないため、そのようなポリイミドフィルムに要求される特性の向上をいかにして図るかについて検討がなされていなかった。
そして、フレキシブルデバイスに対する期待の高まりから、特許文献5に記載の材料よりも、フレキシブルディスプレイとしてのポリイミドフィルムに要求される特性の更なる向上を実現可能な材料の開発が望まれていた。
フレキシブルディスプレイとしてのポリイミドフィルムに要求される特性としては、例えば、耐熱性の更なる向上が挙げられる。
また、ポリイミドフィルムを用いて得られるディスプレイデバイスの画質向上の観点から、厚み方向のレタデーション(Rth)の低下を図ること、フレキシビリティを担保可能な程度の剛性を確保する観点から、所定値以上のヤング率を確保すること、の両立も期待されている。他方、ヤング率の向上を図るために分子を配向させるとレタデーションが増加する傾向にあったため、フレキシブルディスプレイ用途のポリイミドフィルムにおいて、所定値以上のヤング率の確保と低レタデーションの低下との両立をいかにして図るかは、解決が待たれる課題であった。
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、フレキシブルディスプレイ用途に適したポリイミドフィルム、すなわち、耐熱性の向上を図ることができ、且つ、ヤング率の確保とレタデーションの低下との両立を図ることができるポリイミドフィルムを実現可能な、ポリイミド前駆体樹脂組成物等を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定構造を有する側鎖をポリイミド前駆体樹脂組成物に導入することで上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明を実施するための形態は、以下の例に示すとおりである。
[1]
下記一般式(1):
{式中、Pは下記式:
(式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香族炭化水素基(ただし、前記芳香族基又は前記芳香族炭化水素基において、芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)、及び複素環式化合物基から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す)で表される構造を示し、Pは4価の有機基を示し、そしてpは正の整数を示す}
で表される構造単位を含むポリイミド前駆体と、溶媒とを含む樹脂組成物。
[2]
前記Pは下記式:
{式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香族炭化水素基(ただし、前記芳香族基又は前記芳香族炭化水素基において、芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)、及び複素環式化合物基から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す}
で表される構造を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記Lはアミド結合又はエステル結合である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記Lは脂肪族基、芳香族基、芳香族炭化水素基(ただし、前記芳香族基又は前記芳香族炭化水素基において、芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)、及び複素環式化合物基から成る群より選択される少なくとも一つである、[1]~[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5]
前記Lは下記式:
{式中、*はLとの結合部分を示す}
で表される構造から成る群より選択される少なくとも一つである、[1]~[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6]
前記ポリイミド前駆体は下記一般式(4):
{式中、R、及びRの各々は、複数ある場合それぞれ独立に、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~10の1価の芳香族基を示し、そしてmは1~200の整数を示す}
で表される構造を含む、[1]~[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]
前記樹脂組成物をイミド化してられるポリイミドがフレキシブルディスプレイに用いられる、[1]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]
下記一般式:
{式中、Pは下記式:
(式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香族炭化水素基(ただし、前記芳香族基又は前記芳香族炭化水素基において、芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)、及び複素環式化合物基から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す)で表される構造を示し、Pは4価の有機基を示し、そしてpは2以上の正の整数を示す}
で表される構造単位を含むポリイミド。
[9]
[8]に記載のポリイミドを含むフレキシブルディスプレイ。
[10]
支持体の表面上に、[1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
前記樹脂組成物を加熱してポリイミドフィルムを形成する膜形成工程と、
前記ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離する剥離工程と
を含むポリイミドフィルムの製造方法。
[11]
前記剥離工程に先立って、前記支持体側から前記ポリイミドフィルムにレーザーを照射する照射工程を更に含む、[10]に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
[12]
支持体の表面上に、[1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
前記樹脂組成物を加熱してポリイミドフィルムを形成する膜形成工程と、
前記ポリイミドフィルム上に素子を形成する素子形成工程と、
前記素子が形成された前記ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離する剥離工程と
を含むフレキシブルディスプレイの製造方法。
[13]
前記塗布工程は、前記樹脂組成物をスリットコートする工程を含む、[12]に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
本発明によれば、フレキシブルディスプレイ用途に適したポリイミドフィルム、すなわち、耐熱性の向上を図ることができ、且つ、ヤング率の確保とレタデーションの低下との両立を図ることができるポリイミドフィルムを実現可能な、ポリイミド前駆体樹脂組成物等を提供することができる。
また、本発明によれば、耐熱性の向上を図ることができ、且つ、ヤング率の確保とレタデーションの低下との両立を図ることができるポリイミドフィルムの製造方法を提供することができる。
更に、本発明によれば、かかるポリイミドフィルムをフレキシブルディスプレイとして用いたフレキシブルディスプレイ、及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態のディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイの、ポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。
本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」ともいう)の一例を説明する。
本明細書中、「~」とは、その両端の数値を上限値、及び下限値として含む意味である。また、本明細書中、各数値範囲の上限値、及び下限値は任意に組み合わされることができる。
≪ポリイミド前駆体樹脂組成物≫
<ポリイミド前駆体>
本実施形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、下記一般式(1):
Figure 0007376274000008
{式中、Pは下記式:
Figure 0007376274000009
(式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香族炭化水素基(ただし、芳香族基又は芳香族炭化水素基において、芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)、及び複素環式化合物基から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す)で表される構造を示し、Pは4価の有機基を示し、そしてpは正の整数を示す}
で表される構造単位を含むポリイミド前駆体と、溶媒とを含む。
本実施形態に係るポリイミド前駆体を用いることで、耐熱性の向上を図ることができ、且つ、ヤング率の確保とレタデーションの低下との両立を図ることができるポリイミドフィルムを実現可能な、樹脂組成物を提供することができる。
本実施形態に係るポリイミド前駆体による作用効果の一例は以下のとおり推察される。すなわち、本実施形態に係るポリイミド前駆体は、主鎖が折れ曲がり構造をとることに加え、その分子構造を球状に近づけるための特定構造としてLを有する。そうすると、ポリイミドの配向度を下げ、固有複屈折を下げることができるため、ポリイミドフィルムの厚み方向のレタデーションが低くなる傾向がある。
ここで、本実施形態に係るポリイミド前駆体は、その分子同士の相互作用を増加させるための特定構造としてLを有する。Lによって分子間又は分子内に水素結合を新たに生じさせ、これによりポリイミド前駆体同士の相互作用の増加を図ることができ、その結果、レタデーションの過度の増加を伴わず、所定値以上までヤング率の向上を図ることができる。 しかも、本実施形態に係るポリイミド前駆体では、導入されたLによってポリイミド前駆体同士の相互作用を増加させることができ、これにより、得られるポリイミドフィルムの耐熱性の向上も図ることができる。
式(2)中、一般式(1)中の窒素原子と結合する炭素原子の位置(アミノ基に由来する結合の位置)は任意である。式(2)のベンゼン環において、Lとの結合部位を1位としたとき、そのベンゼン環における2位,3位の炭素原子が窒素原子と結合してよく、2位,4位の炭素原子が窒素原子と結合してよく、2位,5位の炭素原子が窒素原子と結合してよく、2位,6位の炭素原子が窒素原子と結合してよく、3位,4位の炭素原子が窒素原子と結合してよく、3位,5位の炭素原子が窒素原子と結合してよい。これらの中でも3位と5位の炭素原子が窒素原子と結合する場合(すなわち、アミノ基に由来する結合同士がm位の場合)が、レタデーションの観点から好ましい。ここで、ベンゼン環においてアミノ基同士がm位のジアミンを用いた場合、レタデーションが小さくなる理由は定かではないが、下記の通りと推定される。ベンゼン環においてアミノ基同士がm位の場合、それを用いたポリイミドは、主鎖が折れ曲がり構造になり、アモルファス高分子に近づき、高分子の配向度が小さくなるためと考えられる。
式(2)中、LとLとの組み合わせの例は下記表のとおりである。ただし、下記表中の「芳香族基」及び「芳香族炭化水素基」は、その芳香族基又は芳香族炭化水素基において、芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く。
なお、式(2)のベンゼン環における、2位,3位の炭素原子が窒素原子と結合する場合、2位,4位の炭素原子が窒素原子と結合する場合、2位,5位の炭素原子が窒素原子と結合する場合、2位,6位の炭素原子が窒素原子と結合する場合、3位,4位の炭素原子が窒素原子と結合する場合、及び3位,5位の炭素原子が窒素原子と結合する場合の各々において、下表に記載のLとLとの組み合わせが想定される。
Figure 0007376274000010
がアミド結合である場合、そのアミド結合における、炭素原子にLが結合してよく又は窒素原子にLが結合してよい。ただし、フレキシブルディスプレイとして好適に用いることができるポリイミド前駆体の合成容易の観点から、Lがアミド結合である場合、そのアミド結合における窒素原子にLが結合することが好ましい。
がエステル結合である場合、そのエステル結合における、炭素原子にLが結合してよく又は酸素原子にLが結合してよい。ただし、フレキシブルディスプレイとして好適に用いることができるポリイミド前駆体の合成容易の観点から、Lがエステル結合である場合、そのエステル結合における酸素原子にLが結合することが好ましい。
がスルホンアミド結合である場合、そのスルホンアミド結合における硫黄原子にLが結合してよく又は窒素原子にLが結合してよい。ただし、フレキシブルディスプレイとして好適に用いることができるポリイミド前駆体の合成容易の観点から、Lがスルホンアミド結合である場合、そのスルホンアミド結合における窒素原子にLが結合することが好ましい。
における、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香族炭化水素基又は複素環式化合物基は、任意の置換基を有してよい。ただし、Lが芳香族基又は芳香族炭化水素基である場合、その芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されていない必要がある。Lが芳香族基又は芳香族炭化水素基であって、その芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されている構造の場合、ポリイミド前駆体同士の相互作用に悪影響を及ぼす傾向があり、このため、得られるポリイミドフィルムの耐熱性の向上を図ることができない。
なお、得られるポリイミドフィルムの耐熱性の向上を図る観点から、Lが芳香族基又は芳香族炭化水素基である場合、その芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がメチル基で置換されている構造が更に除かれることが好ましい。
が脂肪族基である場合、その脂肪族基の炭素数は1~10が好ましい。
が脂環式基である場合、その脂環式基の炭素数は3~20が好ましい。
が芳香族基(ただし、その芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)である場合、炭素数は6~20が好ましい。
が芳香族炭化水素基(ただし、その芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)である場合、炭素数は7~30が好ましい。
が複素環式化合物基である場合、その複素環式化合物基の炭素数は6~10が好ましい。
一般式(1)中、Pは4価の有機基を示す。
ここで、本実施形態に係るポリイミド前駆体は、ジアミン成分と、酸成分との共重合体であることが好ましい。そして、かかるジアミン成分は、P基を有するジアミンを含むことが好ましく、また、かかる酸成分は、P基を有する酸二無水物を含むことが好ましい。従って、上記Pは、ポリイミド前駆体の製造に用いられる酸成分に由来する構造であることが好ましい。
一般式(1)中、pは正の整数を示す。
ここで、Pは下記式:
Figure 0007376274000011
{式中、L、及びLは、上記式(1)で定義したものと同様である}
で表される構造を含むことが好ましい。
これによれば、耐熱性の向上をより図ることができ、且つ、ヤング率の確保とレタデーションの低下との両立をより好適に図ることができるポリイミドフィルムを実現可能な、樹脂組成物を提供することができる。
また、一般式(1)又は式(2)中、Lはアミド結合又はエステル結合であることが好ましく、アミド結合であることがより好ましい。これによれば、ポリイミド前駆体同士の相互作用の増加を好適に図り易くなり、所定値以上のヤング率を確保し易くなる。ひいては、耐熱性の向上を更に図り易くなり、且つ、ヤング率の確保とレタデーションの低下との両立を更に好適に図ることができるポリイミドフィルムを実現可能な、樹脂組成物を提供することができる。
また、一般式(1)又は式(2)中、Lは、炭素数1~6の脂肪族基、炭素数6~10の芳香族基又は炭素数7~20の芳香族基炭化水素基が好ましい。また、一般式(1)又は式(2)中、Lが芳香族基又は芳香族基炭化水素基である場合、その芳香族環が、非置換の芳香族環であることが好ましい。
特に、一般式(1)又は式(2)中、Lは下記式:
Figure 0007376274000012
{式中、*はLとの結合部分を示す}
で表される構造から成る群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。Lの構造が上記の場合、ポリイミド前駆体の分子構造を球状に近づき易くなり、よりレタデーションの低下を図り易くなると考えられる。
そうすると、耐熱性の向上を更に図り易くなり、且つ、ヤング率の確保とレタデーションの低下との両立を更に好適に図ることができるポリイミドフィルムを実現可能な、樹脂組成物を提供することができる。
また、ポリイミド前駆体は下記一般式(4):
Figure 0007376274000013
{式中、R、及びRの各々は、複数ある場合それぞれ独立に、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~10の1価の芳香族基を示し、そしてmは1~200の整数を示す}
で表される構造を含むことが好ましい。
ポリイミド前駆体の総質量を基準として、一般式(4)で表される構造部位の比率の下限は、支持体との間に発生するポリイミドフィルムの残留応力を低減する観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。ポリイミド前駆体の総質量を基準として、一般式(4)で表される構造部位の比率の上限は、ポリイミドフィルムの透明性、及び耐熱性の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
上記一般式(4)中、得られるポリイミドの耐熱性の観点から、mは1~200の整数が好ましい。
本実施形態に係るポリイミド前駆体は、その重量平均分子量が、好ましくは30,000以上、より好ましくは50,000以上である。ポリイミドフィルムのヘイズを低減させる観点から、ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下である。ポリイミド前駆体の望ましい重量平均分子量は、所望される用途、ポリイミド前駆体の種類、樹脂組成物の固形分含有量、樹脂組成物が含み得る溶媒の種類等によって異なってよい。
以上説明した、本実施形態に係るポリイミド前駆体は、ジアミン成分と、酸成分との共重合体であることが好ましい。そして、かかるジアミン成分は、P基を有するジアミンを含むことが好ましく、また、かかる酸成分は、P基を有する酸二無水物を含むことが好ましい。
(ジアミン成分)
基を含むジアミンとしては、例えば、3,5-ジニトロ安息香酸フェニルアミド(DABPh)、3,5-ジアミノ安息香酸メチルアミド(DABMe)、3,5-ジアミノ安息香酸ベンジルアミド(DABBz)、3,5-ジアミノ安息香酸メチル(DABEMe)、及び3,5-ジアミノ安息香酸フェニル(DABEPh)から成る群より選択される少なくとも一つであることが所定値以上のヤング率と低レタデーションの両立の観点から好ましい。これによれば、フレキシブルディスプレイ用途に適したポリイミドフィルムを実現し易くなる。
ポリイミド前駆体を得るために用いられるジアミン成分の総量に占める、上記ジアミン(DABPh、DABMe、DABBz、DABEMe、及びDABEPhから成る群より選択される少なくとも一つのジアミン)の割合は、20モル%以上、40モル%以上、60モル%以上、80モル%以上又は100モル%であることが好ましい。これによれば、フレキシブルディスプレイ用途に適したポリイミドフィルムをより実現し易くなる。
ただし、ポリイミド前駆体を得るために用いられるジアミン成分は、上記ジアミンとは異なるジアミン(その他のジアミン)を含んでよい。その他のジアミンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他のジアミンとしては、例えば、ジアミノジフェニルスルホン(例えば4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン)、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)等が挙げられる。
(一般式(4)の構造単位)
本実施形態に係る樹脂組成物におけるポリイミド前駆体は、下記一般式(4):
Figure 0007376274000014
{式中、R、及びRの各々は、複数ある場合それぞれ独立に、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~10の1価の芳香族基を示し、そしてmは1~200の整数を示す}
で表される構造単位を含んでいてもよい。
ポリイミド前駆体は、一般式(4)の構造を分子中のいずれの部位に有してもよいが、シロキサンモノマーの種類、コストの観点、及び得られるポリイミド前駆体の分子量の観点から、一般式(4)の構造は、ケイ素含有化合物、例えばケイ素含有ジアミンに由来することが好ましい。ケイ素含有ジアミンとしては、例えば、下記式(5):
Figure 0007376274000015
{式中、Pは、それぞれ独立に、二価の炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、P、及びPは、一般式(4)で定義したものと同様であり、lは、1~200の整数を表す。}
で表されるジアミノ(ポリ)シロキサンが好ましい。
一般式(5)中のPの構造としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基等が挙げられる。P、及びPの構造としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びフェニル基等が挙げられる。上記一般式(5)中、lは、1~200の整数であり、一般式(5)を用いてられるポリイミドの耐熱性の観点から、3~200の整数でよい。
一般式(6)で表される化合物の数平均分子量は、得られるポリイミドフィルムと支持体との間に発生する残留応力を低減する観点から、例えば、190以上、500以上、1,000以上である。得られるポリイミドフィルムの透明性(特に低ヘイズ)の観点から、数平均分子量は、例えば、12,000以下、10,000以下、8,000以下である。
一般式(6)で表される化合物としては、具体的には、両末端アミン変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-1660B-3(数平均分子量4400)、X22-9409(数平均分子量1340))、両末端酸無水物変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-168-P5-B(数平均分子量4200))、両末端エポキシ変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-2000(数平均分子量1240))、両末端アミノ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X22-161A(数平均分子量1600)、X22-161B(数平均分子量3000)、KF8021(数平均分子量4400)、東レダウコーニング製:BY16-835U(数平均分子量900)チッソ社製:サイラプレーンFM3311(数平均分子量1000))等が挙げられる。
その他のジアミンとしてケイ素含有ジアミンを用いる場合、ケイ素含有ジアミンの共重合割合は、ポリイミド前駆体の全質量に対して、例えば、0.5~30質量%、1.0質量%~25質量%又は1.5質量%~20質量%である。
また、一般式(4)の構造は、下記一般式(6):
Figure 0007376274000016
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、R及びRの少なくとも一つは、不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、かつj及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数である。}
の構造のケイ素含有化合物に由来することもできる。ここで、一般式(6)で表されるケイ素含有化合物の含有量は、ケイ素含有化合物、テトラカルボン酸二無水物、及びジアミンの総量を100質量部としたとき、5質量%以上30質量%以下であることができる。
上記一般式(6)で表されるケイ素含有化合物のL及びLは、限定されないが、それぞれ独立に、得られるポリイミド前駆体の分子量の観点から、アミノ基又は酸無水物基であることが好ましく、アミノ基であることがポリイミド前駆体の分子量の観点でより好ましい。
一般式(6)中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基である。炭素数1~10の二価の有機基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。炭素数1~10の二価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレン、i-プロピレン、n-ブチレン、s-ブチレン、t-ブチレン、n-ペンチレン、ネオペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレン、n-オクチレン、n-ノニレン、及びn-デシレン基等の直鎖又は分岐鎖アルキレン基;並びにシクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、及びシクロオクチレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。炭素数1~10の二価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン、n-プロピレン、及びi-プロピレンからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基である。炭素数1~10の一価の有機基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の一価の有機基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;並びにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基、フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、及びβ-ナフチル基等の芳香族基が挙げられる。炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、及びネオペンチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、及びシクロペンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、及びn-プロピルからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基である。炭素数1~10の一価の有機基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の一価の有機基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;並びにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基、フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、及びβ-ナフチル基等の芳香族基が挙げられる。炭素数6~10の一価の芳香族基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、及びβ-ナフチル基等が挙げられ、フェニル、トリル、又はキシリルであることが好ましい。
一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基である。炭素数1~10の一価の有機基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;並びにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基、フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、及びβ-ナフチル基等の芳香族基が挙げられる。炭素数1~10の一価の有機基としては、メチル、エチル、及びフェニルからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基としては、炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基であってよく、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニル基等が挙げられる。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル、アリル、及び3-ブテニルからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
一般式(6)中、R~Rの水素原子の一部又は全部は、F、Cl、Br等のハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよく、非置換であってもよい。
iは、1~200の整数であり、好ましくは2~100の整数、より好ましくは4~80の整数、更に好ましくは8~40の整数である。j、及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、好ましくは0~50の整数、より好ましくは0~20の整数、更に好ましくは0~50の整数である。
共重合体において、一般式(6)で表されるケイ素含有化合物とともに単量体単位として含まれるテトラカルボン酸二無水物及びジアミンは、それぞれ、一般式(1)について挙げたテトラカルボン酸二無水物とジアミンでよい。
一般式(6)で表されるケイ素含有化合物(一般式(5)で表されるケイ素含有ジアミンを含む)は、精製等の処理を行うことによって、それに含有される環状シロキサン量を低減することが、透明性の向上とヘイズの低減の観点から好ましい。
ケイ素含有化合物の精製法としては、例えば、任意の容器内でケイ素含有化合物に不活性ガス、例えば窒素ガスを吹き込みながらストリッピングを行うことが挙げられる。ストリッピングの温度としては、好ましくは150℃以上300℃以下、より好ましくは1600℃以上300℃以下、更に好ましくは200℃以上300℃以下である。ストリッピングの蒸気圧としては、低いほど好ましく、1000Pa以下、より好ましくは300Pa以下、更に好ましくは200Pa以下、より更に好ましくは133.32Pa(1mmHg)Pa以下である。ストリッピングの時間としては、好ましくは2時間以上12時間以下、より好ましくは4時間以上12時間以下、更に好ましくは6時間以上10時間以下である。上記の条件に調整することにより、環状シロキサンの総量を好ましい範囲に制御することができる。また、一般式(6)で表されるケイ素含有化合物に含まれる環状シロキサンの量を低減する工程においても、樹脂組成物を減圧蒸留に供することが好ましく、かつ/又は樹脂組成物を200℃~300℃及び300Pa以下の条件下で2時間~12時間に亘って置くことが好ましい。
(酸成分:酸二無水物)
基を含む酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロヘキシル-3,3',9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF),4,4'-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)等が挙げられる。
中でも、P基を含む酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)から成る群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
ただし、ポリイミド前駆体を得るために用いられる酸成分は、上記酸二無水物とは異なる酸成分(その他の酸成分)を含んでよい。その他の酸成分は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の酸成分:ジカルボン酸)
その他の酸成分としては、ジカルボン酸が挙げられる。すなわち、本実施形態に係るポリイミド前駆体はポリアミドイミド前駆体であってよい。このようなポリイミド前駆体から得られるフィルムは、機械伸度、ガラス転移温度等の諸性能が良好である場合がある。ジカルボン酸としては、芳香環を有するジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸が挙げられる。特に炭素数が8~36の芳香族ジカルボン酸、及び炭素数が6~34の脂環式ジカルボン酸から成る群より選択される少なくとも一つの化合物が挙げられる。ここでいう炭素数には、カルボキシル基に含まれる炭素の数も含む。
芳香環を有するジカルボン酸としては、具体的には、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-スルホニルビス安息香酸、3,4’-スルホニルビス安息香酸、3,3’-スルホニルビス安息香酸、4,4’-オキシビス安息香酸、3,4’-オキシビス安息香酸、3,3’-オキシビス安息香酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,2’-ジメチル-3,3’-ビフェニルジカルボン酸、9,9-ビス(4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(3―カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,3’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,3’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、1,1-シクロブタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’-ベンゾフェノンジカルボン酸、1,3-フェニレン二酢酸、1,4-フェニレン二酢酸等;及び国際公開第2005/068535号に記載の5-アミノイソフタル酸誘導体等が挙げられる。これらジカルボン酸をポリマーに実際に共重合させる場合には、塩化チオニル等から誘導される酸クロリド体、活性エステル体等の形で使用してもよい。
<溶媒>
樹脂組成物は溶媒を含む。溶媒としては、ポリイミド前駆体の溶解性が良好で、かつ樹脂組成物の溶液粘度を適切に制御できるものが好ましく、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、及び/又はγ-ブチロラクトン(GBL)が好ましい。NMPとGBLとの混合溶媒を用いる場合、NMPとGBLとの質量比は、例えば、NMP:GBL(質量比)=10:90~90:10であってよい。
<追加の成分>
樹脂組成物は、ポリイミド前駆体、及び溶媒に加えて、追加の成分を更に含んでよい。追加の成分としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。
(界面活性剤)
樹脂組成物は、界面活性剤を更に含むことにより、樹脂組成物の塗布性の向上を図り易くなる。具体的には、塗工膜におけるスジの発生を防ぎ易くなる。
このような界面活性剤は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、これら以外の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、オルガノシロキサンポリマーKF-640、642、643、KP341、X-70-092、X-70-093(商品名、信越化学工業社製);SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、DC-190(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製);SILWET L-77,L-7001,FZ-2105,FZ-2120,FZ-2154,FZ-2164,FZ-2166,L-7604(商品名、日本ユニカー社製);DBE-814、DBE-224、DBE-621、CMS-626、CMS-222、KF-352A、KF-354L、KF-355A、KF-6020、DBE-821、DBE-712(Gelest)、BYK-307、BYK-310、BYK-378、BYK-333(商品名、ビックケミー・ジャパン製);グラノール(商品名、共栄社化学社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、F173、R-08(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名);フロラードFC4430、FC4432(住友スリーエム株式会社、商品名)等が挙げられる。これら以外の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、樹脂組成物の塗工性(スジ抑制)の観点から、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられ、キュア工程時の酸素濃度による黄色度(YI値)、及び全光線透過率への影響を低減する観点から、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤を用いる場合、その配合量は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体100質量部に対して、例えば、0.001~5質量部又は0.01~3質量部である。
≪樹脂組成物の製造方法≫
以上説明した樹脂組成物を製造するための、製造方法の一例は、以下のとおりである。
<ポリイミド前駆体の合成>
本実施形態に係るポリイミド前駆体は、酸成分、及びジアミン成分を含む重縮合成分を重縮合反応させることにより合成することができる。酸成分、及びジアミン成分については、上記説明のとおりである。
重縮合反応は、適当な溶媒中で行うことが好ましい。具体的には、例えば、溶媒に所定量のジアミン成分を溶解させた後、得られたジアミン溶液に、酸成分を所定量添加し、撹拌する方法が挙げられる。
ポリイミド前駆体を合成するときの酸成分とジアミン成分とのモル比は、ポリイミド前駆体樹脂の高分子量化、樹脂組成物のスリットコーティング特性の観点から、酸成分:ジアミン成分=100:90~100:110(酸成分1モル部に対してジアミン成分0.90~1.10モル部)の範囲が好ましく、100:95~100:105(酸成分1モル部に対してジアミン成分0.95~1.05モル部)の範囲が更に好ましい。
ポリイミド前駆体の分子量は、酸成分、及びジアミン成分の種類、酸成分とジアミン成分とのモル比の調整、末端封止剤の添加、反応条件の調整等によって制御可能である。酸成分とジアミン成分とのモル比が1:1に近いほど、及び末端封止剤の使用量が少ないほど、ポリイミド前駆体を高分子量化することができる。
酸成分、及びジアミン成分として、高純度品を使用することが推奨される。その純度としては、それぞれ、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、更に好ましくは99.5質量%以上である。酸成分、及びジアミン成分における水分含量を低減することによって高純度化することもできる。複数種類の酸成分、及び/又は複数種類のジアミン成分を使用する場合には、酸成分全体として、及びジアミン成分全体として上記純度を有することが好ましく、使用する全種類の酸成分、及びジアミン成分が、それぞれ上記純度を有していることがより好ましい。
反応の溶媒としては、酸成分、及びジアミン成分、並びに生じるポリイミド前駆体を溶解することができ、高分子量の重合体が得られる溶媒であればよい。このような溶媒としては、例えば、非プロトン性溶媒、フェノール系溶媒、エーテル、及びグリコール系溶媒等が挙げられる。非プロトン性溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、NMP、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素、及び下記一般式(7)のアミド系溶媒:
Figure 0007376274000017
{式中、R12=メチル基で表されるエクアミドM100(商品名:出光興産社製)、及び、R12=n-ブチル基で表されるエクアミドB100(商品名:出光興産社製)};γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミド等の含リン系アミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ピコリン、ピリジン等の3級アミン系溶媒;酢酸(2-メトキシ-1-メチルエチル)等のエステル系溶媒等が挙げられる。
フェノ-ル系溶媒としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
エーテル、及びグリコール系溶媒としては、例えば、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。
ポリイミド前駆体の合成に用いられる溶媒の常圧における沸点は、好ましくは60~300℃、より好ましくは140~280℃、更に好ましくは170~270℃である。溶媒の沸点が300℃より低いことにより、乾燥工程が短時間になる。溶媒の沸点が60℃以上であると、乾燥工程中に、樹脂膜の表面における荒れの発生、樹脂膜中への気泡の混入等が起こり難く、より均一なフィルムを得ることができる。特に、沸点が170~270℃であり、及び/又は20℃における蒸気圧が250Pa以下である溶媒を使用することが、溶解性、及び塗工時のエッジ異常の低減の観点から好ましい。より具体的には、NMP、GBL、及び一般式(7)で表される化合物から成る群より選択される1種以上が好ましい。
溶媒中の水分含量は、重縮合反応を良好に進行させるために、例えば3,000質量ppm以下であることが好ましい。また、樹脂組成物中、分子量1,000未満の分子の含有量が5質量%未満であることが好ましい。樹脂組成物中に分子量1,000未満の分子が存在するのは、合成時に使用する溶媒や原料(酸二無水物、ジアミン)の水分量が関与しているためと考えられる。すなわち、一部の酸二無水物モノマーの酸無水物基が水分によって加水分解してカルボキシル基になり、高分子量化することなく低分子の状態で残存することによると考えられる。従って、上記重縮合反応に使用する溶媒の水分量は少ないほど好ましい。溶媒の水分量は、3,000質量ppm以下とすることが好ましく、1,000質量ppm以下とすることがより好ましい。同様に、原料に含まれる水分量についても、3,000質量ppm以下とすることが好ましく、1,000質量ppm以下とすることがより好ましい。
溶媒の水分量は、使用する溶媒のグレード(脱水グレード、汎用グレード等)、溶媒容器(ビン、18L缶、キャニスター缶等)、溶媒の保管状態(希ガス封入の有無等)、開封から使用までの時間(開封後すぐ使用するか、開封後経時した後に使用するか等)等が関与すると考えられる。合成前の反応器の希ガス置換、合成中の希ガス流通の有無等も関与すると考えられる。従って、ポリイミド前駆体の合成時には、原料として高純度品を用い、水分量の少ない溶媒を用いるとともに、反応前、及び反応中に系内に環境からの水分が混入しないような措置を講ずることが推奨される。
溶媒中に各重縮合成分を溶解させるときには、必要に応じて加熱してよい。重合度の高いポリイミド前駆体を得る観点から、ポリイミド前駆体合成時の反応温度としては、好ましくは0℃~120℃、40℃~100℃、又は60~100℃であってよく、重合時間としては、好ましくは1~100時間又は2~10時間であってよい。重合時間を1時間以上とすることによって均一な重合度のポリイミド前駆体となり、100時間以下とすることによって重合度の高いポリイミド前駆体を得ることができる。
樹脂組成物は、本実施形態に係るポリイミド前駆体以外に、他の追加のポリイミド前駆体を含んでもよい。しかしながら、追加のポリイミド前駆体の質量割合は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体の総量に対して、好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
本実施形態に係るポリイミド前駆体は、その一部がイミド化されていてもよい(部分イミド化)。ポリイミド前駆体を部分イミド化することにより、樹脂組成物を保存するときの粘度安定性を向上できる。この場合のイミド化率は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体の溶解性と溶液の保存安定性とのバランスをとる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。この部分イミド化は、ポリイミド前駆体を加熱して脱水閉環することにより得られる。この加熱は、好ましくは120~200℃、より好ましくは150~180℃の温度において、好ましくは15分~20時間、より好ましくは30分~10時間行うことができる。
上記反応によって得られたポリアミド酸に、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール又はN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタールを加えて加熱することでカルボン酸の一部又は全部をエステル化したものを、本実施形態に係るポリイミド前駆体として用いてもよい。エステル化によって、保存時の粘度安定性を向上することができる。これらエステル変性ポリアミド酸は、上記酸成分を、酸無水物基に対して1当量の1価のアルコール、及び塩化チオニル、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤と順次に反応させた後、ジアミン成分と縮合反応させる方法によっても得ることができる。
<樹脂組成物の調整>
ポリイミド前駆体を合成したときに用いた溶媒と、樹脂組成物に含有させる溶媒とが同一の場合には、合成したポリイミド前駆体溶液をそのまま樹脂組成物として使用することができる。必要に応じて、室温(25℃)~80℃の温度範囲で、ポリイミド前駆体に更なる溶媒、及び追加の成分の1種以上を添加して、攪拌混合することにより、樹脂組成物を調整してよい。この攪拌混合は、撹拌翼を備えたスリーワンモータ(新東化学株式会社製)、自転公転ミキサー等の適宜の装置を用いて行うことができる。必要に応じて樹脂組成物を40℃~100℃に加熱してよい。
他方、ポリイミド前駆体を合成したときに用いた溶媒と、樹脂組成物に含有させる溶媒とが異なる場合には、合成したポリイミド前駆体溶液中の溶媒を、例えば再沈殿、溶媒留去等の適宜の方法により除去してポリイミド前駆体を単離してよい。次いで、室温(25℃)~80℃の温度範囲で、単離したポリイミド前駆体に、所望の溶媒、及び必要に応じて追加の成分を添加して、攪拌混合することにより、樹脂組成物を調製してよい。
上記のように樹脂組成物を調製した後、樹脂組成物を、例えば130~200℃で、例えば5分~2時間加熱することにより、ポリマーが析出を起こさない程度にポリイミド前駆体の一部を脱水イミド化してよい(部分イミド化)。加熱温度、及び加熱時間をコントロールすることにより、イミド化率を制御することができる。ポリイミド前駆体を部分イミド化することにより、樹脂組成物を保存する際の粘度安定性を向上することができる。
樹脂組成物の溶液粘度は、スリットコート性能の観点においては、好ましくは500~100,000mPa・s、より好ましくは1,000~50,000mPa・s、更に好ましくは3,000~20,000mPa・sである。具体的には、スリットノズルから液漏れし難い点で、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1,000mPa・s以上、更に好ましくは3,000mPa・s以上である。スリットノズルが目詰まりし難い点で、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは50,000mPa・s以下、更に好ましくは20,000mPa・s以下である。
ポリイミド前駆体の合成時における樹脂組成物の溶液粘度については、200,000mPa・sより高いと、合成時の撹拌が困難になる可能性がある。ただし、合成するときに溶液が高粘度になったとしても、反応終了後に溶媒を添加して撹拌することにより、取扱い性のよい粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。本実施形態に係る樹脂組成物の溶液粘度は、E型粘度計(例えばVISCONICEHD、東機産業製)を用い、23℃で測定される値である。
樹脂組成物の水分量は、樹脂組成物を保存するときの粘度安定性の観点から、好ましくは3,000質量ppm以下、より好ましくは2,500質量ppm以下、更に好ましくは2,000質量ppm以下、より更に好ましくは1,500質量ppm以下、特に好ましくは1,000質量ppm以下、特に好ましくは500質量ppm以下、特に好ましくは300質量ppm以下、特に好ましくは100質量ppm以下である。
≪ポリイミドフィルム、及びその製造方法≫
本実施形態に係るポリイミドは、本実施形態に係る樹脂組成物をイミド化することで得ることができる。
すなわち、本実施形態に係るポリイミドは、下記一般式:
Figure 0007376274000018
{式中、Pは下記式:
Figure 0007376274000019
(式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香族炭化水素基(ただし、前記芳香族基又は前記芳香族炭化水素基において、芳香族環の炭素原子に結合する少なくとも一つの水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されているものを除く)、及び複素環式化合物基から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す)で表される構造を示し、Pは4価の有機基を示し、そしてpは2以上の正の整数を示す}
で表される構造単位を含む。本実施形態に係る樹脂組成物について述べた好ましい態様は、本実施形態に係るポリイミドについても適用することができる。
また、以上説明した、本実施形態に係る樹脂組成物を用いて、本実施形態に係るポリイミドフィルム(以下、ポリイミド樹脂膜ともいう)を提供することができる。
そして、本実施形態に係る、ポリイミドフィルムの製造方法は、支持体の表面上に、本実施形態に係る樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜を上記支持体から剥離する剥離工程とを含む。
<塗布工程>
塗布工程では、支持体の表面上に樹脂組成物を塗布する。支持体は、その後の膜形成工程(加熱工程)における加熱温度に対する耐熱性を有し、かつ剥離工程における剥離性が良好であれば特に限定されない。支持体としては、例えば、ガラス基板、例えば無アルカリガラス基板;シリコンウェハー;PET(ポリエチレンテレフタレート)、OPP(延伸ポリプロピレン)、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂基板;ステンレス、アルミナ、銅、ニッケル等の金属基板等が挙げられる。
薄膜状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えば、ガラス基板、シリコンウェハー等が好ましく、厚膜状のフィルム状又はシート状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、OPP(延伸ポリプロピレン)等から成る支持体が好ましい。
塗布方法としては、一般には、ドクターブレードナイフコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、フローコーター、ダイコーター、バーコーター等の塗布方法、スピンコート、スプレイコート、ディップコート等の塗布方法;スクリーン印刷、及びグラビア印刷等に代表される印刷技術等が挙げられる。本実施形態に係る樹脂組成物には、スリットコートによる塗布が好ましい。塗布厚は、所望の樹脂フィルムの厚さと樹脂組成物中のポリイミド前駆体の含有量に応じて適宜調整するべきであるが、好ましくは1~1,000μm程度である。塗布工程における温度は室温でもよく、粘度を下げて作業性をよくするために、樹脂組成物を例えば40~80℃に加温してもよい。
<乾燥工程>
塗布工程に続いて乾燥工程を行ってもよく又は乾燥工程を省略して直接次の膜形成工程(加熱工程)に進んでもよい。乾燥工程は、樹脂組成物中の有機溶剤除去の目的で行われる。乾燥工程を行う場合、例えば、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の適宜の装置を使用することができる。乾燥工程の温度は、好ましくは80~200℃、より好ましくは100~150℃である。乾燥工程の実施時間は、好ましくは1分~10時間、より好ましくは3分~1時間である。上記のようにして、支持体上にポリイミド前駆体を含有する塗膜が形成される。
<膜形成工程>
続いて、膜形成工程(加熱工程)を行う。加熱工程は、上記塗膜中に含まれる有機溶剤の除去を行うとともに、塗膜中のポリイミド前駆体のイミド化反応を進行させ、ポリイミド樹脂膜を得る工程である。この加熱工程は、例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の装置を用いて行うことができる。この工程は乾燥工程と同時に行っても、両工程を逐次的に行ってもよい。
加熱工程は、空気雰囲気下で行ってもよいが、安全性と、得られるポリイミドフィルムの良好な透明性、低い厚み方向レタデーションを得る観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。加熱温度は、ポリイミド前駆体の種類、及び樹脂組成物中の溶媒の種類に応じて適宜に設定されてよいが、好ましくは250℃~550℃、より好ましくは300~450℃である。250℃以上であればイミド化が良好に進行し、550℃以下であれば得られるポリイミドフィルムの透明性の低下、耐熱性の悪化等の不都合を回避できる。加熱時間は、好ましくは0.1~10時間程度である。
本実施形態では、上記加熱工程における周囲雰囲気の酸素濃度は、得られるポリイミドフィルムの透明性の観点から、好ましくは2,000質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下、更に好ましくは10質量ppm以下である。
<剥離工程>
剥離工程では、支持体上のポリイミド樹脂膜を、例えば室温(25℃)~50℃程度まで冷却した後に剥離する。この剥離工程としては、例えば下記の(1)~(4)の態様が挙げられる。
(1)上記方法によりポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を作製した後、構造体の支持体側からレーザーを照射して(照射工程)、支持体とポリイミド樹脂膜との界面をアブレーション加工することにより、ポリイミド樹脂を剥離する方法(つまり、剥離工程に先立って、支持体側からポリイミドフィルムにレーザーを照射する照射工程を有する方法)。レーザーの種類としては、固体(YAG)レーザー、ガス(UVエキシマー)レーザー等が挙げられる。波長308nm等のスペクトルを用いることが好ましい(特表2007-512568号公報、特表2012-511173号公報等を参照)。
(2)支持体に樹脂組成物を塗工する前に、支持体に剥離層を形成し、その後ポリイミド樹脂膜/剥離層/支持体を含む構成体を得て、ポリイミド樹脂膜を剥離する方法。剥離層としては、パリレン(登録商標、日本パリレン合同会社製)、酸化タングステンが挙げられ;植物油系、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系等の離型剤を用いてもよい(特開2010-067957号公報、特開2013-179306号公報等を参照)。
この方法(2)と方法(1)のレーザー照射とを併用してもよい。
(3)支持体としてエッチング可能な金属基板を用いて、ポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、エッチャントで金属をエッチングすることにより、ポリイミド樹脂フィルムを得る方法。金属としては、例えば、銅(具体例としては、三井金属鉱業株式会社製の電解銅箔「DFF」)、アルミニウム等を使用することができる。エッチャントとしては、銅に対しては塩化第二鉄等を、アルミニウムに対しては希塩酸等を使用することができる。
(4)上記方法によりポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、ポリイミド樹脂膜表面に粘着フィルムを貼り付けて、支持体から粘着フィルム/ポリイミド樹脂膜を分離し、その後粘着フィルムからポリイミド樹脂膜を分離する方法。
得られるポリイミドフィルムの厚さは、限定されないが、好ましくは1~200μm、より好ましくは5~100μmである。
≪耐熱性、レタデーション、及びヤング率≫
上記樹脂組成物から得られる、本実施形態に係るポリイミドフィルムは、フレキシブルディスプレイとして好適に用いることができる。
ここで、フレキシブルディスプレイとしてのポリイミドフィルムに要求される特性、特に、ヤング率、レタデーション、及び耐熱性について述べる。
ポリイミドフィルムのヤング率は、実施例に記載の手法により測定することができる。ポリイミドフィルムのヤング率は、フレキディスプレイを巻き出し、巻き入れを繰り返した場合の耐久性の観点から、3.5以上であればよい。
ポリイミドフィルムのレタデーションRth(膜厚10μmの厚さに換算したときの厚さ方向レタデーション)は、実施例に記載の手法により測定することができる。
ポリイミドフィルムのレタデーションは、かかるポリイミドフィルムを用いて得られる画像表示デバイスの画質向上の観点から、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。
ポリイミドフィルムの耐熱性は、市販の熱分析評価装置を用いて、ガラス転移温度(Tg)を測定することで評価することができる。ディスプレイの製造は高温になる箇所もあり、特に本用途のようなフレキディスプレイのTFT基板用の場合、ポリイミドフィルムのガラス転移温度は高いほど好ましい。具体的には、390℃以上が好ましく、400℃以上がより好ましく、410℃以上が特に好ましい。
≪ポリイミドフィルムの用途≫
上記樹脂組成物から得られる、本実施形態に係るポリイミドフィルムは、例えば、フレキシブルデバイスの製造において、薄膜トランジスタ(TFT)基板、カラーフィルタ基板、タッチパネル基板、透明導電膜(ITO:Indium Thin Oxide)の基板として好適に使用することができる。本実施形態に係るポリイミドフィルムを適用可能なフレキシブルデバイスとしては、例えば、フレキシブルディスプレイ用TFTデバイス、フレキシブル太陽電池、フレキシブルタッチパネル、フレキシブル照明、フレキシブルバッテリー、フレキシブルプリント基板、フレキシブルカラーフィルター、スマートフォン向け表面カバーレンズ等を挙げることができる。
ポリイミドフィルムを使ったフレキシブルディスプレイにおいて、TFTを形成する工程は、典型的には、150~650℃の広い範囲の温度で実施される。アモルファスシリコンを使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に250℃~350℃のプロセス温度が必要となり、その温度に耐えうる必要があるため、かかるプロセス温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を有するポリマー構造を適宜選択する必要がある。
金属酸化物半導体(IGZO等)を使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に320℃~400℃のプロセス温度が必要となり、本実施形態に係るポリイミドフィルムはその温度に耐えうる必要があるため、かかるプロセス最高温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を有するポリマー構造を適宜選択する必要がある。
低温ポリシリコン(LTPS)を使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に380℃~520℃のプロセス温度が必要となり、その温度に耐えうる必要があるため、かかるプロセス最高温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を適宜選択有する必要がある。
一方で、これら熱履歴により、ポリイミドフィルムの光学特性(特に、光線透過率、レタデーション特性等)は高温プロセスに晒されるほど低下する傾向にある。しかし、本実施形態に係るポリイミド前駆体から得られるポリイミドは、熱履歴を経ても良好な光学特性を有する。
以下、本実施形態に係るポリイミドフィルムの用途例として、ディスプレイ、及び積層体の製造方法について説明する。
<ディスプレイの製造方法>
本実施形態に係るディスプレイの製造方法は、支持体の表面上に、本実施形態に係る樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と;上記素子が形成された上記ポリイミド樹脂膜を上記支持体から剥離する剥離工程とを含む。
<フレキシブル有機ELディスプレイの製造例>
図1は、本実施形態に係るディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイのポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。図1の有機EL構造部25について説明する。例えば、赤色光を発光する有機EL素子250aと、緑色光を発光する有機EL素子250bと、青色光を発光する有機EL素子250cと1単位として、マトリクス状に配列されており、隔壁(バンク)251により、各有機EL素子の発光領域が画定されている。各有機EL素子は、下部電極(陽極)252、正孔輸送層253、発光層254、上部電極(陰極)255から構成されている。窒化ケイ素(SiN)や酸化ケイ素(SiO)から成るCVD複層膜(マルチバリヤーレイヤー)を示す下部層2a上には、有機EL素子を駆動するためのTFT256(低温ポリシリコン(LTPS)や金属酸化物半導体(IGZO等)から選択される)、コンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258、及び下部電極259が複数設けられている。有機EL素子は封止基板2bで封入されており、各有機EL素子と封止基板2bとの間に中空部261が形成されている。
フレキシブル有機ELディスプレイの製造工程は、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部に上記図1に示される有機EL基板を製造する工程と、封止基板を製造する工程と、両基板を貼り合わせる組み立て工程と、ガラス基板支持体からポリイミドフィルム上に作製された有機ELディスプレイを剥離する剥離工程とを含む。有機EL基板製造工程、封止基板製造工程、及び組み立て工程は、周知の製造工程を適用することができる。以下ではその一例を挙げるが、これに限定されるものではない。剥離工程は、上述したポリイミドフィルムの剥離工程と同一である。
例えば、図1を参照すれば、まず、上記方法によりガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部にCVD法やスパッタ法により窒化ケイ素(SiN)と酸化ケイ素(SiO)の複層構造から成るマルチバリアレイヤー(図1中の下部基板2a)を作製し、その上部にTFTを駆動するためのメタル配線層を、フォトレジスト等を使用して作製する。その上部にCVD法を用いてSiO等のアクティブバッファー層を作製し、その上部に金属酸化物半導体(IGZO)や低温ポリシリコン(LTPS)などのTFTデバイス(図1中のTFT256)を作製する。フレキシブルディスプレイ用TFT基板を作製後、感光性アクリル樹脂等でコンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258を形成する。スパッタ法等にてITO膜を成膜し、TFTと対をなすように下部電極259を形成する。
次に、感光性ポリイミド等で隔壁(バンク)251を形成した後、隔壁で区画された各空間内に、正孔輸送層253、発光層254を形成する。発光層254、及び隔壁(バンク)251を覆うように上部電極(陰極)255を形成する。その後、ファインメタルマスク等をマスクにして、赤色光を発光する有機EL材料(図1中の、赤色光を発光する有機EL素子250aに対応)、緑色光を発光する有機EL材料(図1中の、緑色光を発光する有機EL素子250bに対応)、及び青色光を発光する有機EL材料(図1中の、青色光を発光する有機EL素子250cに対応)を公知の方法にて蒸着することで、有機EL基板を作製する。有機EL基板を封止フィルム等(図1中の封止基板2b)で封止し、ガラス基板支持体からポリイミド基板より上部のデバイスをレーザー剥離等の公知の剥離方法で剥離することで、トップエミッション形フレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。本実施形態に係るポリイミドを使用する場合は、シースルー型のフレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。公知の方法でボトムエミッション形のフレキシブル有機ELディスプレイを作製してもよい。
<フレキシブル液晶ディスプレイの製造例>
本実施形態に係るポリイミドフィルムを使用してフレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。具体的な作製方法としては、上記方法でガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、上記方法を用いて、例えばアモルファスシリコン、金属酸化物半導体(IGZO等)、及び低温ポリシリコンから成るTFT基板を作製する。別途、本実施形態に係る塗布工程、及び膜形成工程に従って、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、公知の方法に従ってカラーレジスト等を使用して、ポリイミドフィルムを備えたカラーフィルターガラス基板(CF基板)を作製する。TFT基板、及びCF基板の一方に、スクリーン印刷により、熱硬化性エポキシ樹脂などから成るシール材料を液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンに塗布し、他方の基板に液晶層の厚さに相当する直径を持ち、プラスチック又はシリカから成る球状のスペーサーを散布する。
次いで、TFT基板とCF基板とを貼り合わせ、シール材料を硬化させる。そして、TFT基板、及びCF基板並びにシール材料で囲まれる空間に、減圧法により液晶材料を注入し、液晶注入口に熱硬化樹脂を塗布し、加熱によって液晶材料を封止することで液晶層を形成する。最後に、CF側のガラス基板とTFT側のガラス基板とをレーザー剥離法などでポリイミドフィルムとガラス基板の界面で剥離することで、フレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。
<積層体の製造方法>
支持体の表面上に、本実施形態に係る樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程とを含むことで、積層体を製造することができる。
積層体における素子としては、上記フレキシブルデバイスの製造に例示したものが挙げられる。支持体としては、例えばガラス基板を用いることができる。塗布工程、及び膜形成工程の好ましい具体的手順は、上記ポリイミドフィルムの製造方法に関して記載したものと同様である。素子形成工程においては、支持体上に形成された、フレキシブルディスプレイとしてのポリイミド樹脂膜の上に、上記素子を形成する。その後、任意に剥離工程においてポリイミド樹脂膜、及び素子を支持体から剥離してもよい。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明を更に説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例欄の記載のみに限定されるものではない。
≪測定、及び評価方法≫
<レタデーション(Rth)>
実施例、及び比較例において調製した樹脂組成物を、表面にアルミニウム蒸着層を設けた6インチシリコンウェハー基板に、イミド後の膜厚が10μmになるようにスピンコートし、100℃にて6分間プリベークした。その後、縦型キュア炉(光洋リンドバーグ社製、型式名VF-2000B)を用いて、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整し、400℃で1時間間の加熱イミド化処理を施し、ポリイミドフィルムが形成されたウェハーを作製した。次に、該ウェハーのポリイミドフィルムを希塩酸水溶液に一晩浸してフィルム片を剥離し、乾燥させた。得られたポリイミドフィルムを試料として、位相差複屈折測定装置(王子計測機器社製、KOBRA-WR)を用いて測定した。測定光の波長は589nmとした。そして、膜厚10μmの厚さに換算して用いた。
<ヤング率>
実施例、及び比較例において調製した樹脂組成物を、表面にアルミニウム蒸着層を設けた6インチシリコンウェハー基板に、イミド後の膜厚が10μmになるようにスピンコートし、100℃にて6分間プリベークした。その後、縦型キュア炉(光洋リンドバーグ社製、型式名VF-2000B)を用いて、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、400℃で1時間間の加熱イミド化処理を施し、ポリイミドフィルムが形成されたウェハーを作製した。次に、ダイシングソー(株式会社ディスコ製 DAD 3350)を用いて該ウェハーのポリイミドフィルムに3mm幅の切れ目を入れた後、希塩酸水溶液に一晩浸してフィルム片を剥離し、乾燥させた。これを、長さ50mmにカットし、サンプルとした。
上記サンプルにつき、TENSILON(オリエンテック社製 UTM-II-20)を用いて、試験速度40mm/min、初期加重0.5fsにてヤング率を測定した。
<耐熱性:ポリイミド上無機膜のアニール評価>
ポリイミド上に無機膜を形成し、その後アニール処理を行い、膨れ、しわ等の不具合が発生するか否かを評価した。ポリイミドの耐熱性が低い場合、膨れ、しわ等が発生すると考えられる。
上記(レタデーション(Rth))の場合と同様に、ポリイミドフィルムが形成されたウェハーを作製した。得られたサンプルを、キャノンアネルバ(株)製のスパッタリング装置の成膜チャンバー内のホルダーに保持した。このホルダーを、モールド保持面に垂直な軸を中心として回転させながら、下記のスパッタリング条件で酸化ケイ素(以下SiOともいう)をポリイミド層上に被着させて、無機膜層を形成した。
スパッタリング条件
・成膜ターゲット:SiO
・電力値:900W
・反応ガス:Ar(流量=30.0sccm)
(流量=10.0sccm)
・成膜厚:100nm
得られたサンプルを、縦型キュア炉(光洋リンドバーグ社製、型式名VF-2000B)を用いて、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、350℃で1時間の無機膜のアニール処理を施し、サンプルを作製した。
得られたサンプルを光学顕微鏡で観察し、下記基準で評価した。
A:しわ、膨れが観察されない
B:膨れは観察されないが、しわが観察される
C:しわ、膨れが観察される
≪モノマー合成例≫
<モノマー合成例1(DABPhの合成)>
窒素フロー下で、5Lセパラブルフラスコにアニリン222g(2.39mol)、トリエチルアミン439g(4.34mol)を入れ、THF2Lを加えて攪拌溶解させた。それからフラスコを-20℃に冷却し、3,5-ジニトロ安息香酸クロリド500g(2.17mol)をTHF1Lに溶解させた液を窒素フロー下で1時間かけて滴下した。その後フラスコを室温に戻し、固体を濾別、水洗すると共に、濾液側も減圧濃縮することで固体を析出させ、3,5-ジニトロ安息香酸フェニルアミド(DABPh)436.3gを得た(収率70%)。
Arフロー下で、3Lセパラブルフラスコに3,5-ジニトロ安息香酸フェニルアミド204.04g(710.4mmol)を入れ、THF1020mlを加えて攪拌溶解させた。そこに5%Pd/Cを20.4g加えて55℃まで加熱し、抱水ヒドラジン160.09g(3.198mol)を滴下した。それから1.5時間55℃で攪拌した後、室温まで冷却し、セルロース製のフィルターでろ過した。その後濾別した固体をTHFで洗浄すると共に、濾液を減圧濃縮して固体を析出させ、3,5-ジアミノ安息香酸フェニルアミド(DABPh)145.3gを得た(収率90%)。
<モノマー合成例2(DABMeの合成)>
モノマー合成例1においてアニリン222g(2.39mol)の代わりにメチルアミン74g(2.39mol)を用いた以外は、モノマー合成例1と同様に合成を行い、3,5-ジニトロ安息香酸メチルアミドを経由して3,5-ジアミノ安息香酸メチルアミド(DABMe)を得た。
<モノマー合成例3(DABBzの合成)>
モノマー合成例1においてアニリン222g(2.39mol)の代わりにベンジルアミン256g(2.39mol)を用いた以外は、モノマー合成例1と同様に合成を行い、3,5-ジニトロ安息香酸ベンジルアミドを経由して3,5-ジアミノ安息香酸ベンジルアミド(DABBz)を得た。
<モノマー合成例4(DABEPhの合成)>
250mlのセパラブルフラスコにアセトン100ml、3,5-ジニトロベンゾイルクロリド(3,5-Dinitrobenzoyl Chloride1)1.5g、トリエチルアミン(Triethylamine)5.1gを添加した後、フェノール(Phenol)4.8gを徐々に添加して40℃で5時間の間反応させて白色の固形分を得た。これをまたエタノール100ml、NMP(N-methyl-2-pyrrollidone)100mlに溶かした後、Pd/C触媒2gを添加して水素ガスを注入しながら50℃で48時間の間応じて最終生成物であるジアミン化合物(DABEPh)6.3gを得た。
<モノマー合成例5(DABEMeの合成)>
250mlのセパラブルフラスコにアセトン100ml、3,5-ジニトロベンゾイルクロリド(3,5-Dinitrobenzoyl Chloride1)1.5g、トリエチルアミン(Triethylamine)5.1gを添加した後、メタノール(Methanol)1.6gを徐々に添加して40℃で5時間の間反応させて白色の固形分を得た。これをまたエタノール100ml、NMP(N-methyl-2-pyrrollidone)100mlに溶かした後、Pd/C触媒2gを添加して水素ガスを注入しながら50℃で48時間の間応じて最終生成物であるジアミン化合物(DABEMe)2.1gを得た。
<モノマー合成例6(DABPhCF3の合成)>
韓国登録特許第10-1365738号公報の実施例1に従って合成し、ポリアミド酸を得た。
<モノマー合成例7(DABPhF5の合成)>
韓国登録特許第10-1365738号公報の実施例4に従って合成し、ポリアミド酸を得た。
<モノマー合成例8(DABEPhCF3の合成)>
韓国登録特許第10-1365738号公報の実施例2に従って合成し、ポリアミド酸を得た。
<モノマー合成例9(DABEPhF5の合成)>
韓国登録特許第10-1365738号公報の実施例5に従って合成し、ポリアミド酸を得た。
<ポリマー合成例10(DABEPhF5の合成)>
500mlセパラブルフラスコにNMP59.5gを入れ、DABPh10.79g(47.5mmol)攪拌溶解し、次いで3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)14.71g(50mmol)を加えて65℃で2時間加熱してポリイミド前駆体を得た。
≪実施例1≫
撹拌棒付き3Lセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながらNMP(251g)を加え、ジアミンとしてDABPh(22.5g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてPMDA(21.8g)を加えた(酸二無水物、ジアミンのモル比(100:99))。次に、オイルバスを用いて80℃に昇温し3時間撹拌した後、オイルバスを外して室温に戻し、透明なポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスとも記す)を得た。得られたワニスは冷凍庫で保管し、評価をする際は解凍して使用した。
実施例1で得られたワニスを用いて、フレキシブルディスプレイのTFT基板としてのポリイミドフィルム、及びかかるポリイミドフィルムを用いたフレキシブルディスプレイを好適に製造することができた。
≪実施例2~14、及び比較例1~10≫
下記表に記載のジアミン成分、酸成分及び溶媒を用いて、実施例1の手法に従いワニスを得た。
Figure 0007376274000020
上記表中の略語は以下のとおりである。
酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸二無水物
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
CpODA:ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物
ジアミン
mPD;1,3-フェニレンジアミン
DABC:3,5-ジアミノ安息香酸
APAB:4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート
TFMB:2,2’-ビス(卜リフルオロメチル)ペンジジン
CHDA:シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物
X-22-1660B-3:両末端アミン変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-1660B-3)
2a 下部基板
2b 封止基板
25 有機EL構造部
250a 赤色光を発光する有機L素子
250b 緑色光を発光する有機EL素子
250c 青色光を発光する有機EL素子
251 隔壁(バンク)
252 下部電極(陽極)
253 正孔輸送層
254 発光層
255 上部電極(陰極)
256 TFT
257 コンタクトホール
258 層間絶縁膜
259 下部電極
261 中空部

Claims (10)

  1. 下記一般式(1):
    {式中、Pは下記式:
    (式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは下記式:
    (式中、*はLとの結合部分を示す)
    で表される構造から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す)で表される構造を示し、Pは4価の有機基を示し、そしてpは正の整数を示す}
    で表される構造単位を含むポリイミド前駆体と、溶媒とを含み、
    イミド化して得られるポリイミドがフレキシブルディスプレイに用いられる樹脂組成物。
  2. 前記Pは下記式:
    {式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは下記式:
    (式中、*はLとの結合部分を示す)
    で表される構造から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す}
    で表される構造を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記Lはアミド結合又はエステル結合である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリイミド前駆体は下記一般式(4):
    {式中、R、及びRの各々は、複数ある場合それぞれ独立に、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~10の1価の芳香族基を示し、そしてmは1~200の整数を示す}
    で表される構造を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 下記一般式:
    {式中、Pは下記式:
    (式中、Lはアミド結合、エステル結合、イミド結合、ウレア結合、スルホンアミド結合、及びグアニジン結合から成る群より選択される少なくとも一つを示し、Lは下記式:
    (式中、*はLとの結合部分を示す)
    で表される構造から成る群より選択される少なくとも一つを示し、そして*は一般式(1)中の窒素原子との結合部分を示す)で表される構造を示し、Pは4価の有機基を示し、そしてpは2以上の正の整数を示す}
    で表される構造単位を含むポリイミドを含む
    フレキシブルディスプレイ用ポリイミドフィルム
  6. 請求項5に記載のポリイミドを含むフレキシブルディスプレイ。
  7. 支持体の表面上に、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    前記樹脂組成物を加熱してポリイミドフィルムを形成する膜形成工程と、
    前記ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離する剥離工程と
    を含むポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 前記剥離工程に先立って、前記支持体側から前記ポリイミドフィルムにレーザーを照射する照射工程を更に含む、請求項7に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  9. 支持体の表面上に、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    前記樹脂組成物を加熱してポリイミドフィルムを形成する膜形成工程と、
    前記ポリイミドフィルム上に素子を形成する素子形成工程と、
    前記素子が形成された前記ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離する剥離工程と
    を含むフレキシブルディスプレイの製造方法。
  10. 前記塗布工程は、前記樹脂組成物をスリットコートする工程を含む、請求項9に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
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