JP2015203720A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い品位の表示が可能であるとともに、巻回または折りたたみと展開とを繰り返しても表示品位が劣化しないフレキシブル液晶表示素子を製造するための方法を提供すること。
【解決手段】透明電極を有する基板上に液晶配向膜を形成する工程と、前記液晶配向膜上に、重合性液晶または硬化性液晶組成物を塗布して硬化させる工程とを経由して透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板を得て、前記基板と、少なくとも透明電極および液晶配向膜がこの順に形成された基板とを一対として用い、該一対の基板間に液晶を挟持する工程を経由することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示素子およびその製造方法に関する。詳しくは、柔軟性を有する基板を用いて製造されるフレキシブル液晶表示素子に適用可能な技術を開示するものである。
デジタル放送の普及、スマートフォンおよびタブレット型端末を含む携帯受信端末の高度化および普及ならびに不可視聴エリアの少ないデジタルネットワークの拡大などに伴って、持ち運び可能な液晶表示素子の要求が高まっている。
柔軟子を有する樹脂フィルムを基板として用いたフレキシブル液晶表示素子は、薄型且つ軽量であり、巻回し、または折りたたんで収納・移動が可能であるなどの種々の利点を有しており、現在および近未来におけるデジタルコンテンツの視聴に適している。
しかし樹脂フィルムは耐熱性に乏しいため、液晶表示素子を構成する個々の要素、例えば透明電極、液晶配向膜など、を製造するための低温プロセスが種々提案されてきた。例えば室温スパッタによるITO膜の形成方法、低温焼成可能な液晶配向膜材料などが提案されている(特許文献1および2)。これらの技術によって、フレキシブル液晶表示素子製造のための準備は整ったかとも思えた。
しかしながら、従来知られている技術を組み合わせてフレキシブル液晶表示素子を製造すると製造当初の表示品位が維持されない不都合が生じる場合があることが分かった。すなわち、フレキシブル液晶表示素子について、巻回または折りたたみと展開とを繰り返すと、表示不良の発生が見られるのである。
特開平2−54755号公報 特開2012−37868号公報
「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42
本発明は、上記の現状を打開しようとしてなされたものである。
従って本発明の目的は、高い品位の表示が可能であるとともに、巻回または折りたたみと展開とを繰り返しても表示品位が劣化しないフレキシブル液晶表示素子を製造するための方法を提供することである。
本発明によると、本発明の上記目的および利点は、
透明電極を有する基板上に液晶配向膜を形成する工程と、
前記液晶配向膜上に、重合性液晶または硬化性液晶組成物を塗布して硬化させる工程と
を経由して透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板を得て、
前記基板と、少なくとも透明電極および液晶配向膜がこの順に形成された基板とを一対として用い、
該一対の基板間に液晶を挟持する工程を経由することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法によって達成される。
本発明によると、高い品位の表示が可能であるとともに、巻回または折りたたみと展開とを繰り返しても表示品位が劣化しない液晶表示素子の製造方法が提供される。従って本発明は、柔軟性のある基板を用いたフレキシブル液晶表示素子に好適に適用することができる。
本発明の液晶表示素子の製造方法は、上記のとおり、
透明電極を有する基板上に液晶配向膜を形成する工程と、
前記光照射した後の塗膜上に重合性液晶または硬化性液晶組成物を塗布して硬化させる工程と
を経由して透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板を得て、
前記基板と、少なくとも透明電極および液晶配向膜がこの順に形成された基板(対向基板)とを一対として用い、
該一対の基板間に液晶を挟持する工程を経由することを特徴とする。
<基板>
本発明の方法に使用される基板を構成する材料としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;
ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。本発明の方法によって製造される液晶表示素子は、巻回または折り畳みに対する耐性が高いから、柔軟性を有する素材からなる基板を用いて巻回・折り畳み可能なフレキシブル液晶表示素子とすることが好ましい。このような観点から、本発明における基板としては、プラスチックからなる基板を使用することが好ましく、特にポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどからなる基板が好ましい。
基板の厚さは、好ましくは3〜500μmであり、より好ましくは8〜300μmである。
前記基板の表面上には、透明電極が形成されている。該透明電極としては、例えば酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などからなる透明電極を用いることができる。
基板上に透明電極を形成する方法としては、例えば室温スパッタリング、蒸着法、電子ビーム蒸着法、CVD法(特にプラズマCVD法)、スプレー法などの公知の適宜の方法を採用することができる。
前記基板は、透明電極上にさらに液晶配向膜が形成されている。
この液晶配向膜は、プレチルト角が例えば1°以下の水平配向性の液晶配向膜およびプレチルト角が例えば85°以上90°未満の垂直配向性の液晶配向膜であることが好適である。該垂直配向性の液晶配向膜は、例えば光配向法によって垂直配向性の液晶配向膜を形成するためのものとして公知の液晶配向剤から形成することができる。具体的には、基板の透明電極形成面上に、上記の液晶配向剤を塗布し、好ましくは次いで加熱することにより光配向性基を有する塗膜を形成し、該塗膜に光照射することにより、上記の好ましいプレチルト角を示す液晶配向膜とする方法によることが好ましい。
上記液晶配向剤としては、光配向法に適用可能な公知の液晶配向剤を好ましく使用することができる。しかしながら、以下のいずれかの態様であることが、低温硬化性および光感度の面から好ましい。
(1)(メタ)アクリル系重合体、ポリオルガノシロキサン、ポリアミック酸、ポリアミック酸のイミド化重合体およびポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種であって、光配向性基を有する重合体(A)を含有する液晶配向剤(液晶配向剤1)、または
(2)光配向性基と架橋性基とを有する化合物(a)、架橋性基を有するポリマー(b)および架橋剤(c)を含有する液晶配向剤(液晶配向剤2)。
上記液晶配向剤1および液晶配向剤2における光配向性基とは、光の照射によって異性化、二量化および分解のうちの1つ以上の変化を起こし、形成される液晶配向膜に異方性を与える機能を有する基である。光配向性基として具体的には、例えばアゾベンゼン構造を有する基、桂皮酸構造を有する基、カルコン構造を有する基、ベンゾフェノン構造を有する基、クマリン構造を有する基などを挙げることができる。
重合体(A)は、その基本骨格が(メタ)アクリル系重合体、ポリオルガノシロキサン、ポリアミック酸、ポリアミック酸のイミド化重合体およびポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種であるが、これらのうち、(メタ)アクリル系重合体およびポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
光配向性基を有する(メタ)アクリル系重合体は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体と、光配向性基を有するカルボン酸との反応によって得ることができる。上記エポキシ基とは、オキシラニル基およびオキセタニル基の双方を包含する概念である。場合により、上記光配向性基を有するカルボン酸とともに、その他のカルボン酸を併用してもよい。
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、または該エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸系単量体とその他の単量体との混合物を、公知の方法に従って重合(好ましくはラジカル重合)することにより、得ることができる。
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−オキセタニルメチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記その他の(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和多価カルボン酸無水物などであって、エポキシ基を有さない(メタ)アクリル酸系単量体;共役ジエン;スチレンおよびその誘導体;不飽和カルボン酸アミド;不飽和ケトンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記光配向性基を有するカルボン酸としては、例えばアゾベンゼン構造を有するカルボン酸、桂皮酸構造を有するカルボン酸、カルコン構造を有するカルボン酸、ベンゾフェノン構造を有するカルボン酸、クマリン構造を有するカルボン酸などを挙げることができる。
上記その他のカルボン酸としては、例えばプレチルト角発現性構造を有するカルボン酸、光照射によりラジカルを発生する構造および光増感機能を有する構造のうちの少なくとも1種の構造を有するカルボン酸、上記以外の他のカルボン酸などを挙げることができ、これらよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
上記プレチルト角発現性構造を有するカルボン酸におけるプレチルト角発現性構造とは、例えば炭素数8〜20のアルキル基もしくはアルコキシル基または炭素数1〜21のフルオロアルキル基もしくはフルオロアルコキシル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基からなる構造を挙げることができる。
光照射によりラジカルを発生する構造および光増感機能を有する構造のうちの少なくとも1種の構造を有するカルボン酸は、光の照射によって一重項励起状態となった後、速やかに項間交差を起こして三重項励起状態へ遷移し、この三重項励起状態において他の分子と衝突して相手を励起状態に変え、自らは基底状態に戻る機能をいう。この光増感機能は光照射によりラジカルを発生する機能と併存していてもよい。光照射によりラジカルを発生する構造および光増感機能を有する構造のうちの少なくとも1種の構造としては、例えばベンゾフェノン構造、9,10−ジオキソジヒドロアントラセン構造、1,3−ジニトロベンゼン構造および1,4−ジオキソシクロヘキサ−2,5−ジエン構造、のそれぞれで表される構造を挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種の構造であることができる。
上記以外の他のカルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などを挙げることができる。
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体とカルボン酸との反応は、公知の方法に従って行うことができる。
上記光配向性基を有するポリオルガノシロキサンは、例えばエポキシ基を有する加水分解性シラン化合物、または該エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物とその他の加水分解性シラン化合物との混合物を、加水分解・縮合してエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを得て、該エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを、光配向性基を有するカルボン酸と反応させることにより、合成することができる。場合により、上記光配向性基を有するカルボン酸とともに、その他のカルボン酸を併用してもよい。
エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記その他の加水分解性シラン化合物としては、例えば3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリクロロシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
これらの加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合反応は、公知の方法に従って行うことができる。
上記光配向性基を有するカルボン酸としては、光配向性基を有する(メタ)アクリル系重合体に使用される光配向性基を有するカルボン酸として上記したものと同じ化合物を使用することができる。その他のカルボン酸についても同様である。エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物とカルボン酸との反応は、公知の方法に従って行うことができる。
重合体(A)についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、250〜500,000であることが好ましく、1,000〜50,000であることがより好ましい。
液晶配向剤1は、上記のような重合体(A)のほかに、その他の重合体、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、イソシアネート基、アミノ基、チオール基およびエポキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するシラン化合物(B)、シリカ粒子などをさらに含有していてもよい。
上記その他の重合体は、光配向性基を有さない重合体から選択され、その基本骨格として、例えばポリアミック酸、ポリアミック酸のイミド化重合体、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種を使用することができる。
その他の重合体の使用割合は、重合体(A)とその他の重合体との合計に対して、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下である。
上記シラン化合物(B)としては、例えば3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシラン、2−イソシアネートエチルトリエトキシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
シラン化合物(B)の使用割合は、上記重合体(A)100重量部に対して、好ましくは10〜300重量部であり、より好ましくは50〜250重量部である。
上記液晶配向剤2に含有される化合物(a)およびポリマー(b)における架橋性基としては、例えばヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることが好ましい。
上記液晶配向剤2に含有される化合物(a)は、4−ヒドロキシヘキシルオキシ桂皮酸メチルエステル、3−メトキシ−4−ヒドロキシヘキシルオキシ桂皮酸メチルエステル、ペンタエリスリトールと桂皮酸クロリドとの反応生成物、ジペンタエリスリトールと桂皮酸クロリドとの反応生成物、桂皮酸、フェルラ酸、4−ニトロ桂皮酸、4−メトキシ桂皮酸、クマリン−3−カルボン酸、メチル−4−アミノ桂皮酸、エチル−4−アミノ桂皮酸などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記架橋性基を有するポリマー(b)としては、親水性のポリマーであることが好ましく、具体的には、例えばヒドロキシアルキルシクロデキストリン、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレングリコールエステル基と架橋性基とを有する(メタ)アクリル系重合体、炭素数2〜5のヒドロキシアルキルエステル基と架橋性基とを有する(メタ)アクリル系重合体、アミノアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系重合体、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
ポリマー(b)の有する架橋性基は、上記化合物(a)の有する架橋性基と同じ種類のものであることが好ましい。
ポリマー(b)についてGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、3,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましい。
液晶配向剤2におけるポリマー(b)の含有割合は、上記化合物(a)の重量Maとポリマー(b)の重量Mbとの比Ma:Mbとして、好ましくは5:95〜60:40である。
上記架橋剤(c)としては、例えばエポキシ化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物などであることができる。好ましくはメチロール化合物であり、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化メラミンなどを好ましく使用することができる。架橋剤(c)として、具体的には、例えばヘキサメトキシメチルメラミン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルなどを挙げることができる。
液晶配向剤2における架橋剤(c)の使用割合は、化合物(a)およびポリマー(b)の合計100重量部に対して、好ましくは10〜100重量部であり、より好ましくは15〜80重量部である。
液晶配向剤2は、上記(a)〜(c)成分のほかに、(d)架橋触媒を含有していてもよい。この架橋触媒としては、酸、熱酸発生剤などであることができる。
液晶配向剤2における(d)架橋触媒の使用割合は、化合物(a)およびポリマー(b)の合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜6重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。
上記の液晶配向剤1および液晶配向剤2は、それぞれ、上記の各成分が適当な溶媒中に溶解されてなる溶液組成物として調製される。好ましい溶媒としては、例えば多価アルコールの部分エステル、エーテル、ケトン、エステルなどを使用することができる。具体的には、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸t−ブチル、アセト酢酸エチル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記溶媒の使用量は、液晶配向剤1および液晶配向剤2の固形分濃度が0.2〜10重量%となる量とすることが好ましい。
基板上に液晶配向剤を塗布するには、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法、バーコーター法、エクストリューションダイ法、ダイレクトグラビアコーター法、チャンバードクターコーター法、オフセットグラビアコーター法、一本ロールキスコーター法、小径のグラビアロールを使ったリバースキスコーター法、3本リバースロールコーター法、4本リバースロールコーター法、スロットダイ法、エアードクターコーター法、正回転ロールコーター法、ブレードコーター法、ナイフコーター法、含浸コーター法、MBコーター法、MBリバースコーター法、ロール・ツー・ロール法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
塗布後、好ましくは塗布面を加熱(ベーク)して塗膜を形成する。この時の加熱温度は、40〜150℃とすることが好ましく、80〜140℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.1〜15分とすることが好ましく、1〜10分とすることがより好ましい。
基板上に形成される塗膜の膜厚は、好ましくは1〜1,000nmであり、より好ましくは5〜500nmである。
次いで、上記のようにして基板上に形成された塗膜に対し光を照射することにより、塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とする。ここで、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行うことが好ましい。
光の照射量は、0.1mJ/cm以上1,000mJ/cm未満とすることが好ましく、1〜500mJ/cmとすることがより好ましく、2〜200mJ/cmとすることがさらに好ましい。
次いで、上記のようにして光照射した後の塗膜(液晶配向膜)上に、重合性液晶または硬化性液晶組成物を塗布して硬化させ、液晶硬化物からなる層を形成する。
ここで使用される重合性液晶は、加熱および光照射のうちの少なくとも1種の処理によって重合する液晶化合物または液晶組成物である。このような重合性液晶としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、例えば非特許文献1(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42)に記載されているネマチック液晶化合物を挙げることができる。また、コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、さらに、公知の重合開始剤、適当な溶媒などを含有する組成物であってもよい。
上記硬化性液晶組成物は、少なくとも液晶および多官能性不飽和化合物を含有する。これら以外に、公知の重合開始剤、適当な溶媒などを含有する組成物であってもよい。硬化性液晶組成物に含有される液晶は、上記の重合性液晶であってもよいし、重合性を有さない液晶であってもよい。
形成された液晶配向膜上に上記のような重合性液晶または硬化性液晶組成物を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法、ロール・ツー・ロール法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
次いで、上記のように形成された重合性液晶または硬化性液晶組成物の塗膜に対して、加熱および光照射から選択される1種以上の処理を施すことにより、該塗膜を硬化して液晶硬化物からなる層を形成する。これらの処理を重畳的に行うことが、良好な配向が得られることから好ましい。なおここで、重合性液晶または硬化性液晶組成物の塗膜に凹凸を形成した後に加熱および光照射から選択される1種以上の処理を施すことにより、液晶硬化物からなる層に凹凸を形成することができる。この凹凸を有する液晶硬化物層は、液晶の配向に寄与するほかに、スペーサーとしての機能を果たすことができる。重合性液晶または硬化性液晶組成物の塗膜に凹凸を形成するには、例えば型押し法などによることができる。この型押し法としては、例えば所望の凹凸形状と係合するパターンを有するスタンプを押し付ける方法、所望の凹凸形状と係合するパターンを有するローラーを回転させつつ押し付ける方法などによることができる。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶または多官能性不飽和化合物の種類によって適宜に選択されるべきである。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cmとすることが好ましく、100〜5,000mJ/cmとすることがより好ましい。
形成される液晶硬化物からなる層の厚さとしては、好ましくは10〜1,000nmであり、より好ましくは20〜500nmである。
以上のようにして、透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板を得ることができる。
<対向基板>
本発明における対向基板は、少なくとも透明電極および液晶配向膜がこの順に形成された基板である。
基板を構成する材料および透明電極については、それぞれ、上記の透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板について説明したところと同じである。
液晶配向膜としては、垂直配向性を有する液晶配向膜として公知のものを使用することができる。しかしながら、上記の液晶配向剤1または液晶配向剤2を用い、好ましくは上記した手段によって形成された液晶配向膜であることが好ましい。
本発明における対向基板は、液晶配向膜上にさらに液晶硬化物からなる層を有するものであることが好ましい。この追加的な層は、透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板におけるのと同じ方法によって形成されることが好ましい。
<液晶挟持工程>
次いで、上記の基板および対向基板を一対として用い、該一対の基板間に液晶を挟持して液晶セルを構成する。このとき、透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板については前記液晶硬化物からなる層が、対向基板については液晶配向膜または存在する場合には液晶硬化物からなる層が、それぞれ挟持させる液晶側となるように、一対の基板を対向する。
上記一対の基板が、適正なギャップを介して対向し、基板間に挟持される液晶補厚さを均一とする目的で、基板間にスペーサーを配置することが好ましい。
このスペーサーとしては、旧来からの散布型スペーサー、感光性のスペーサー形成用組成物から形成されたスペーサーなどの公知のスペーサー材料を使用することができるほか、液晶硬化物からなる層に形成した凹凸をスペーサーとして使用することも可能である。
ここで使用される液晶としては、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などを用いることができる。
基板間に液晶を挟持して液晶セルを構成するには、例えば以下の3つの方法を挙げることができる。
第1の方法として、各液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して一対の基板を対向配置し、該一対の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面および適当なシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造する方法を挙げることができる。
第2の方法として、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数カ所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造する方法(ODF(One Drop Fill)法)を挙げることができる。
第3の方法としては、ロール・ツー・ロール法を挙げることができる。
前記液晶配向剤の塗膜を形成する工程、重合性液晶または硬化性液晶組成物の塗布工程および液晶の挟持工程よりなる群から選ばれる少なくとも1つの工程が、ロール・ツー・ロール方式によって行われるものであることが好ましい。これらの工程のすべてがロール・ツー・ロール方式によって行われることが、液晶表示素子の製造工程を簡略化し、もって製造コストを削減することにつながる点で、より好ましい。
そして、前記液晶セルの外側両面に偏光板を貼付することにより、液晶セルを得ることができる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例において重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
エポキシ当量は、JIS C2105の「塩酸−メチルエチルケトン法」に準じて測定した。
重合体溶液の溶液粘度は、各合成例で指摘した重合体濃度20重量%の重合体溶液(溶媒:N−メチル−2−ピロリドン)について、E型粘度計を用いて25℃において測定した値である。
イミド化重合体のイミド化率は、各合成例で得られたポリイミド溶液を純水中に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で測定した1H−NMRのスペクトルから、下記数式(1)による計算にて求めた。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (1)
(数式(1)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、
αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
合成例1
<カルボン酸(mc−1)の合成>
冷却管を備えた500mLの三口フラスコに、1−ブロモ−4−シクロヘキシルベンゼン19.2g、酢酸パラジウム0.18g、トリス(2−トリル)ホスフィン0.98g、トリエチルアミン32.4gおよびジメチルアセトアミド135mLを仕込んで混合した。次いでここに、アクリル酸7gをシリンジにより加えて撹拌した後、120℃において3時間撹拌下に反応を行った。3時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって反応の終了を確認した後、室温まで冷却した。反応混合物から沈殿物をろ別した後、ろ液を1N塩酸300mL中に注ぎ、生じた沈殿物を回収した。この沈殿物につき、酢酸エチルおよびヘキサンの1:1(重量比)混合溶液を用いて再結晶することにより、4−シクロヘキシル桂皮酸(化合物(mc−1))を10.2g得た。
合成例2
<化合物(mc−2)の合成>
還流管を備えた200mLのナスフラスコに、n−デシルコハク酸無水物12g、4−アミノ桂皮酸8.2gおよび酢酸を100mLを仕込み、2時間還流下で反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、カラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール=8/2(体積比))で精製を行い、さらにエタノールおよびテトラヒドロフランの混合溶剤から再結晶を行うことにより、(E)−3−(4−(−デシル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)フェニル)アクリル酸(化合物(mc−2))の白色結晶(純度98.0%)を10g得た。
<エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの合成>
合成例3
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500gおよびトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いでここに、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
このポリオルガノシロキサンについてH−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基(オキシラニル基)に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンのMwは2,200、エポキシ当量は186g/モルであった。
<重合体(A)の合成>
合成例4
100mLの三口フラスコに、上記合成例3で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン10.1g、アクリル基含有カルボン酸(東亜合成(株)製、商品名「アロニックスM−5300」、アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン(重合度n≒2))0.5g、酢酸ブチル20g、上記合成例1で得た4−シクロヘキシル桂皮酸のうちの1.5gおよびテトラブチルアンモニウムブロミド0.3gを仕込み、90℃で12時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸ブチル100質量部で希釈して、3回水洗した。水洗後の溶液を濃縮し、酢酸ブチルで希釈する操作を2回繰り返し、最終的に光配向性基を有するポリオルガノシロキサン(A−1)を含む溶液を得た。この光配向性ポリオルガノシロキサン(A−1)の重量平均分子量Mwは9,000であった。
合成例5
200mLの三口フラスコに、上記合成例3で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン5.0g、メチルイソブチルケトン46.4g、カルボン酸として上記合成例2で得た化合物(mc−2)1.34g(ポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基に対して25モル%に相当する。)およびテトラブチルアンモニウムブロミド0.13gを仕込み、80℃で12時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、メタノールで再沈殿を行い、沈殿物を酢酸エチルに溶解して溶液を得、該溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(A−2)の白色粉末2.3gを得た。
<その他の重合体の合成>
合成例6
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100モル部、3、5−ジアミノ安息香酸−3−コレスタニル40モル部および3,5−ジアミノ安息香酸60モル部からなるモノマー混合物をN−メチル−2−ピロリドンに溶解してモノマー濃度20重量%の溶液とし、これを60℃で4時間反応させることにより、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は1,670mPa・sであった。
次いで、上記で得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドンを追加してポリアミック酸濃度を10重量%に希釈し、さらにこのポリアミック酸の有するアミック酸単位1モルに対して各1.5倍モル量のピリジンおよび無水酢酸を添加した後、100℃において4時間脱水閉環反応を行った。その後、反応系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化重合体(D−1)を約20重量%含有する溶液を得た。イミド化重合体(D−1)のイミド化率は65%であった。
実施例1
<液晶配向剤の調製>
上記で得た光配向性ポリオルガノシロキサン(A−1)100重量部に、シラン化合物(B)として3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、品名「KBM−5103」)150重量部、硬化促進剤としてトリ(p−トリル)シラノール40重量部、金属キレート化合物としてトリス(アセチルアセトネート)アルミニウム(川研ファインケミカル(株)製、品名「アルミキレートA(W)」)10重量部および溶媒として酢酸ブチルを加えて攪拌した後、孔径1μmのフィルターでろ過することにより、固形分濃度5重量%の液晶配向剤を調製した。この液晶配向剤において、光配向性ポリオルガノシロキサン(A−1)は溶媒に十分に溶解していた。
<透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板の製造>
アクリルフィルム(200mm×100mm、厚さ40μm)の片面全面に、室温スパッタ法により、ITO膜(厚さ0.1μm)を形成した。
上記のITO膜面上に、プライマー処理を施した後、上記で調製した液晶配向剤をバーコーターによって塗布し、温度100℃に調整したオーブン内で1分間ベークして厚さ100nmの塗膜を形成した。この塗膜の表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて発生させた波長313nmの輝線を含む直線偏光紫外線10mJ/cmを、塗膜面に対して垂直の方向から照射して液晶配向膜を形成した。
次いで、上記で形成した液晶配向膜上に、孔径0.2μmのフィルターでろ過した直後の重合性液晶(メルク社製、品名「RMS03−013C」)をバーコーターにより塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。次いで、温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプから発生させた波長365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cmを塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化することにより、液晶配向膜上に液晶硬化物からなる層を形成した。
上記の操作を繰り返し、透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板を2枚製造した。
<液晶セルの製造>
上記基板のうちの1枚の有する液晶硬化物からなる層上に、スペーサーとして直径3.5μmの酸化アルミニウム製の球を散布し、さらに外縁に直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、2枚の基板を液晶硬化物層面が相対し、且つ液晶配向膜形成時に照射した紫外線の偏光面が垂直となるように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−2042)を充填することにより、液晶セルを製造した。
<液晶セルの評価>
(1)配向性の評価
上記で製造した液晶セルにつき、結晶回転角法によりプレチルト角を測定したところ、0°であった。
(2)異常ドメインの有無
上記で製造した液晶セルについて交流5Vの電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を倍率20倍の偏光顕微鏡で調べたところ、本実施例における液晶セルの場合、異常ドメインは観察されなかった。
(3)信頼性の評価(折り曲げ耐久性の評価)
上記の垂直配向性および異常ドメイン有無を調べた液晶セルについて、折り曲げ耐久性の評価を行った。
液晶セルの中央部を、直径5mmのプラスチック製の棒に押し当て、基板の両側(折り曲げた中央部の両外側の部分)が45°の角度をなすように折り曲げた後、基板を平面状態に戻す、折り曲げ・展開のサイクルを繰り返して行った。50サイクルごとに上記の垂直配向性の評価および異常ドメイン有無の評価を行い、プレチルト角が0.5ポイント(°)低下するか、あるいは異常ドメインが観察されるまでの回数を調べた。
その結果、本実施例における液晶セルの場合、1,000サイクル後にもプレチルト角の低下の程度は0.5°未満であり、異常ドメインは発生しなかった。
実施例2
<液晶配向剤の調製>
上記合成例6で得たイミド化重合体(D−1)100重量部を含有する溶液に、上記合成例5で得たポリオルガノシロキサン(A−2)10重量部を加え、さらにN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=40:60(重量比)となるように加え、固形分濃度が6.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板の製造>
上記実施例1の<透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板の製造>において、
基板としてホウケイ酸ガラス(厚さ1.5mm)を使用し、
液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用し、
液晶配向剤の塗膜に照射する直線偏光紫外線の照射量を40mJ/cmとし、さらに
該紫外線の照射方向を塗膜面に対して基板法線から40°傾いた方向からとしたほかは実施例1と同様にして、基板上に液晶配向膜を形成した。
次いで、実施例1と同様にして重合性液晶の塗膜を形成し、温度50℃のオーブン内で1分間ベークした後に、塗膜面上に凹凸パターンを有するロールを押し付けつつ回転させて、塗膜面上に高低差3.5μmの凹凸パターンを転写した。その後、実施例1を同様にして塗膜面に光照射し、重合性液晶を硬化することにより、液晶配向膜上に液晶硬化物からなる層を形成した。
上記とは別に、
基板としてホウケイ酸ガラス(厚さ1.5mm)を使用し、
上記で調製した液晶配向剤を使用し、
直線偏光紫外線の照射量を40mJ/cmとし、さらに
該紫外線の照射方向を塗膜面に対して基板法線から40°傾いた方向からとしたほかは実施例1の<透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板の製造>におけるのと同様にして、透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層(凹凸パターンなし)がこの順で形成された基板を得た。
<液晶セルの製造および評価>
上記で得た2枚の基板を一対として用い、スペーサーの散布を行わず、そして基板間に充填する液晶をネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)としたほかは上記実施例1の<液晶セルの製造>と同様にして、液晶セルを製造し、評価した。ただし、本実施例における基板はガラス基板であるため、折り曲げ耐久性の評価は行わなかった。
上記液晶セルのプレチルト角は88.8°であり、異常ドメインは観察されなかった。
実施例3
<液晶配向剤の調製>
数平均分子量200のポリエチレングリコール100重量部、4−ヒドロキシヘキシルオキシ桂皮酸メチルエステル130重量部、ヘキサメトキシメチルメラミン170重量部およびp−トルエンスルホン酸一水和物10重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル4,720重量部中に溶解することにより、均一な溶液組成物である液晶配向剤を調製した。
<透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板の製造>
上記実施例1の<透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板の製造>において、上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして、基板上に液晶配向膜を形成した。
次いで、実施例2と同様に、重合性液晶の塗膜の形成、ベーク、塗膜面上への凹凸パターンの転写および光照射を行うことにより、液晶配向膜上に液晶硬化物からなる層を形成した。
上記とは別に、上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1の<透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順で形成された基板の製造>におけるのと同様にして、透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層(凹凸パターンなし)がこの順で形成された基板を得た。
<液晶セルの製造および評価>
上記で得た2枚の基板を一対として用い、スペーサーの散布を行わなかったほかは上記実施例1の<液晶セルの製造>と同様にして、液晶セルを製造し、評価した。その結果、プレチルト角は0°であり、
異常ドメインは観察されず、そして
折り曲げ・展開のサイクルを1,000回繰り返して行ったにもプレチルト角の低下の程度は0.5°未満であり、異常ドメインも発生しなかった。
比較例1
上記実施例1において、基板上に透明電極および液晶配向膜のみを形成し、液晶硬化物からなる層を形成しなかったほかは実施例1と同様にして液晶セルを製造して評価した。その結果、
製造直後の液晶セルにおける配向性の評価におけるプレチルト角は0°であり、異常ドメインは観察されなかったが、
折り曲げ・展開のサイクルを100回繰り返した後に異常ドメインが観察され、本比較例の液晶セルは、信頼性(繰り返し折り曲げ耐性)に劣ることが分かった。

Claims (5)

  1. 透明電極を有する基板上に液晶配向膜を形成する工程と、
    前記液晶配向膜上に、重合性液晶または硬化性液晶組成物を塗布して硬化させる工程と
    を経由して透明電極、液晶配向膜および液晶硬化物からなる層がこの順に形成された基板を得て、
    前記基板と、少なくとも透明電極および液晶配向膜がこの順に形成された基板とを一対として用い、
    該一対の基板間に液晶を挟持する工程を経由することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。
  2. 前記液晶配向膜を形成する工程、重合性液晶または硬化性液晶組成物の塗布工程および液晶の挟持工程よりなる群から選ばれる少なくとも1つの工程が、ロール・ツー・ロール方式によって行われる工程を含むものである、請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  3. 前記少なくとも透明電極および液晶配向膜がこの順に形成された基板が、液晶配向膜上にさらに液晶硬化物からなる層を有するものである、請求項1または2に記載の液晶表示素子。
  4. 前記基板が柔軟性を有する基板である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法によって製造された液晶表示素子。
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