JP7365531B2 - 変性ポリアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents

変性ポリアセタール樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、変性ポリアセタール樹脂の製造方法に関する。
従来、ポリアセタール樹脂の主鎖または末端に特定の構造単位または官能基を導入する変性方法としては、トリオキサンを主モノマーとし、これと共重合可能なコモノマーとのカチオン共重合を行うことが一般的によく知られている。たとえば、ポリアセタール樹脂と活性水素原子やグリシジル基を分子内に有するポリマーとを、カチオン重合触媒の失活処理前に溶融混練することが知られている(特許文献1)。
特開2005-105103号公報
近年、ポリアセタール樹脂の汎用性が拡がり、用途に応じて変性したポリアセタール樹脂が求められている。しかしながら、共重合するコモノマー、末端に反応する化合物には制限があり、所望する変性を行うのが難しい現状があった。
本発明の目的は、ポリアセタール樹脂の変性を容易にし、多様な変性ポリアセタール樹脂の提供を可能とするポリアセタール樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明は、下記によって達成された。
1.変性ポリアセタール樹脂の製造方法であって、少なくとも、
(1)プロトン酸触媒を用いてモノマーを重合し、粗ポリアセタール重合体を製造する工程と、
(2)前記プロトン酸触媒を失活させると同時に、粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物とを反応させる工程と、を有する変性ポリアセタール樹脂の製造方法。
2.前記プロトン酸触媒が、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸とその塩の混合物から選択されるものである、前記(1)に記載の変性ポリアセタール樹脂の製造方法。
3.前記プロトン酸触媒を失活させる失活剤がアミン化合物、四級アンモニウム化合物またはアルカリ金属の塩である、前記(1)または(2)に記載の変性ポリアセタール樹脂の製造方法。
本発明によれば、ポリアセタール樹脂の変性を容易にし、多様な変性ポリアセタール樹脂の提供を可能とするポリアセタール樹脂の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態の一つの製造工程を示す概略図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の変性ポリアセタール樹脂の製造方法は、(1)プロトン酸触媒を用いてモノマーを重合し、粗ポリアセタール重合体を製造する工程と、(2)前記プロトン酸触媒を失活させると同時に、粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物とを反応させる工程と、を有する。
<工程(1):粗ポリアセタール重合体を製造する工程>
工程(1)は、プロトン酸触媒を用いてモノマーを重合して、粗ポリアセタール重合体を製造する工程である。本発明の「粗ポリアセタール重合体」とは、モノマーを重合して未だ触媒の失活を行っていない状態の重合体をいい、重合率が60%以上の重合体をいう。好ましくは、重合率が65%以上の重合体である。ここで、「重合率」とは使用したモノマーの量に対して、重合反応後に得られた重合体の量を100分率で示した値である。
≪モノマー≫
本発明においては、変性ポリアセタール樹脂の製造に使用できるモノマーに特に制限はないが、主モノマーとしてトリオキサンを使用することが好ましい。コモノマーの例には、1,3-ジオキソラン、1,3,6-トリオキソカン、1,4-ブタンジオールホルマール等の少なくとも一つの炭素-炭素結合を有する環状ホルマールが含まれる。これらの中では、製造上の観点から、1,3-ジオキソランが好ましい。
さらに、コモノマーとして、ブタンジオールジグリシジルエーテル等の分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する化合物、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,4-ペンタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、1,6-ペブタジエンジエポキシド、1,7-オクタジエンジエポキシド、1,8-ノナンジエンジエポキシド、1,9-デカンジエポキシド、1,10-ウンデカンジエポキシド、1,11-ドデカンジエポキシド等のエポキシ基を有する化合物、2-(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチル基のような脂環式エポキシ基を有する化合物を用いることもできる。これによって分岐構造や架橋構造が形成されたポリアセタール共重合体を得ることができる。
本発明において、コモノマーの含有量は、トリオキサン100質量部に対して0.01~20質量部の範囲が好ましく、0.05~5質量部の範囲がより好ましい。コモノマーの含有量が、トリオキサン100質量部に対して0.01質量部以上であると、重合を安定的に進行させることができる。また、コモノマーの含有量が、トリオキサン100質量部に対して20質量部以下であると、ポリマー鎖の結晶化速度の低下や結晶化度の低下を抑制することができる。
≪プロトン酸触媒≫
本発明で使用できるプロトン酸触媒の例には、ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸とその塩の混合物、イソポリ酸、パーフルオロアルカンスルホン酸等が含まれる。
へテロポリ酸の例には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸等が含まれる。へテロポリ酸は、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸またはリンタングステン酸のいずれか一種以上であることが好ましい。ヘテロポリ酸を用いることにより、良好な重合安定性が得られる。
ヘテロポリ酸の塩としては、アルカリ金属の塩が好ましい。ヘテロポリ酸のアルカリ金属の塩の例には、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸リチウム、リンタングステン酸カリウムが含まれる。アルカリ金属の中では、ナトリウムが好ましい。リンタングステン酸ナトリウムを用いることにより、良好な重合安定性が得られる。
ヘテロポリ酸とその塩との質量混合比(ヘテロポリ酸塩/ヘテロポリ酸)は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。上記質量混合比が10を超えると触媒の使用量が増加するため、ホルムアルデヒド発生減となる水酸基末端が過剰に生成することとなり、ポリマーの品質が低下するため好ましくない。
イソポリ酸の例には、パラタングステン酸、メタタングステン酸等に例示されるイソポリタングステン酸、パラモリブデン酸、メタモリブデン酸等に例示されるイソポリモリブデン酸、メタポリバナジウム酸、イソポリバナジウム酸等が含まれる。これらの中でも、イソポリタングステン酸であることが好ましい。イソポリタングステン酸を用いることにより、良好な重合安定性が得られる。
パーフルオロアルカンスルホン酸の例には、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸、ペンタデカフルオロへプタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸が含まれる。これらの中でも、トリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。トリフルオロメタンスルホン酸を用いることにより、良好な重合安定性が得られる。
本発明において、上記プロトン酸触媒の使用量は、その種類によって、適宜調整して重合反応を調節することができる。一般的には、プロトン酸触媒の使用量は、モノマーの総量に対し0.05~100ppm(以下質量/質量ppmを示す。)の範囲が好ましく、0.1~50ppmの範囲がより好ましい。プロトン酸触媒の使用量が、モノマーの総量に対し0.05~100ppmであると、十分に重合を進行させることができるので、所望する重合度が得られやすい。一方で、プロトン酸触媒の使用量が、モノマーの総量に対し100ppm超であると、ホルムアルデヒド発生減となる水酸基末端が過剰に生成することとなり、ポリマーの品質が低下するため好ましくない。
反応を均一に行うために、プロトン酸触媒は、重合に悪影響のない不活性な溶媒で希釈して、主モノマーおよび/またはコモノマーに添加して使用することが望ましい。不活性な溶媒の例には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン等が含まれる。
プロトン酸触媒は、上記不活性な溶媒に、好適には濃度1~30質量/質量%で溶解されるが、これに限定されるものではない。また、前述した主モノマー、コモノマー、分子量調節剤等の何れか一種または複数種の一部または全量に、上記プロトン酸触媒の所定量を予め混合し、この溶液を重合系に添加して重合を行う方法が好ましい。
≪分子量調節剤≫
本発明の粗ポリアセタール共重合体の製造においては、上記成分の他に分子量を調整するために分子量調節剤を使用することが好ましい。分子量調節剤としては、カチオン重合において公知の連鎖移動剤を使用できる。
連鎖移動剤の例には、メチラール、エチラール、ジブトキシメタンのような線状ホルマール類、メタノール、エタノール、エチレングリコールのようなアルコール類、水等が含まれる。これらの中では、不安定末端を形成することのないメチラール、エチラール、ジブトキシメタンが好ましい。添加量としては、モノマー全体に対して50~2000ppmであることが好ましい。
≪粗ポリアセタール重合体の製造方法≫
本発明の粗ポリアセタール重合体は、体外側に加熱用または冷却用の媒体を通すためのジャケットを有する重合反応装置(連続二軸パドルスクリュー押出機型)に、上記トリオキサンと、1,3-ジオキソラン、分子量調節剤と、プロトン酸触媒とを含有する混合液を連続的に供給し、所定の時間重合させることで得られる。
<工程(2):プロトン酸触媒を失活させると同時に、粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物とを反応させる工程>
工程(2)は、上述の工程(1)で得られた粗ポリアセタール重合体に、失活剤を添加して残存するプロトン酸触媒を失活させ、かつ、粗ポリアセタール重合体の不安定末端を安定化させると同時に、上記粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物とを反応させる工程である。本工程により、水酸基を有する有機化合物の残基を粗ポリアセタール重合体に導入して変性することができるとともに、失活剤の添加条件を変えて、プロトン酸触媒の失活量を調整することで、変性の程度を調整することもできる。
ここで、「プロトン酸触媒を失活させると同時に、粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物とを反応させる」とは、失活剤と水酸基を有する有機化合物とを同時に反応系に添加して粗ポリアセタール重合体と反応させる場合だけでなく、失活剤と水酸基を有する有機化合物とを反応系に添加するタイミングが同時でなくても、失活剤と粗ポリアセタール重合体との反応、および水酸基を有する有機化合物と粗ポリアセタール重合体との反応がそれぞれ反応系内で同時に進行している場合のことをいう。たとえば、先に水酸基を有する有機化合物を添加して、粗ポリアセタール重合体と反応させ、その反応途中で失活剤を反応系に添加する場合、またその逆の順番で添加する場合も含まれる。
工程(1)で得られた粗ポリアセタール重合体に水酸基を有する有機化合物と失活剤とを添加する方法については、バッチ式、連続式等の公知の方法を適宜選択することができる。
≪失活剤≫
本発明で使用できる失活剤は、特に制限されない。粗ポリアセタール重合体に対してそのまま添加し加熱下で溶融混錬することで、プロトン酸触媒の失活および粗ポリアセタール重合体の不安定末端の安定化に供することができるという観点から、失活剤としては、アミン化合物、4級アンモニウム基を有する化合物、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩もしくはカルボン酸塩またはその水和物から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。また、これらのうち二種以上を併用してもよい。
アミン化合物の例には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン化合物、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン等の3級アミン化合物が含まれる。4級アンモニウム基を有する化合物の例には、コリンまたはコリン塩等が挙げられる。これらの中では、コリンまたはコリン塩が好ましい。
アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩もしくはカルボン酸塩またはその水和物の例には、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムまたはステアリン酸カルシウム等が含まれる。これらの中では、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムが好ましい。これらは、一種のみで使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
失活剤の添加量は特に制限されるものではないが、粗ポリアセタール共重合体1kgに対し、0.002~1.0ミリ当量であることが好ましい。添加量が0.002~1.0ミリ当量の範囲であると、得られる重合体の変色を抑制することができる。
≪水酸基を有する有機化合物≫
本発明で使用できる水酸基を有する有機化合物(以下、水酸基含有有機化合物ともいう)の例には、アルコール性の水酸基を有する有機化合物が含まれる。水酸基は、一つの化合物に複数存在していてもよい。例えば、炭素数1~34のアルコール、水酸基末端を有し数平均分分子量が1000以下のポリアルキレンオキシド(たとえばエチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)、平均分子量が600以下のポリエチレングリコール(PEG)(たとえばPEG600、PEG400、PEG300など)が挙げられる。
水酸基を有する有機化合物は、ポリアセタール樹脂の用途によって適宜選択でき、変性の程度も適宜選択できる。
≪変性ポリアセタール樹脂の製造方法≫
本発明の変性ポリアセタール樹脂の製造方法の概略について、図1を用いて説明する。図1に示されるAは「工程(1):粗ポリアセタール重合体を製造する工程」にてモノマーを重合反応させる重合装置であり、Bは「工程(2)プロトン酸触媒を失活させると同時に、粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物とを反応させる工程」にて粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物とを反応させ、同時に重合触媒の失活処理をするための押出機である。また、図1中のXおよびYは失活剤を添加する位置を示している。具体的には、Xは押出機に入る前(溶融混練前)に失活剤を添加する位置を、Yは押出機の途中で失活剤を添加する位置を意味する。
次に、上述の「プロトン酸触媒を失活させる」ための処理方法(以下、触媒の失活処理ともいう)および粗ポリアセタール重合体を変性させる工程について説明する。具体的には、触媒の失活処理は、図1で示されるXの位置から失活剤もしくは失活剤の溶液を次の(ア)~(エ)で示すように、粗ポリアセタール重合体に添加し、両者を押出機Bにて溶融混練処理することである。
(ア)失活剤をそのまま粗ポリアセタール重合体に添加する。
(イ)失活剤を含む溶液を、粗ポリアセタール重合体に添加する。
(ウ)失活剤を含む溶液を予め用意したポリアセタール樹脂のパウダーと混合した後、粗ポリアセタール重合体に添加する。
(エ)失活剤をそのまま予め用意したポリアセタール樹脂のパウダーと混合した後、粗ポリアセタール重合体に添加する。
また、次の(オ)~(ク)で示すように、図1で示されるYの位置から粗ポリアセタール重合体が押出機Bで溶融混練されている状態に対して添加してもよい。
(オ)失活剤を含む溶液を、押出機Bの途中から溶融混練状態の部分にインジェクション等で添加する。
(カ)失活剤をそのまま押出機Bの途中から溶融混練状態の部分に添加する。
(キ)失活剤を含む溶液を予め用意したポリアセタール樹脂のパウダーと混合した後、分散後のパウダーを押出機Bの途中から溶融混練状態の部分に添加する。
(ク)失活剤をそのまま予め用意したポリアセタール樹脂のパウダーと混合した後、分散後のパウダーを押出機Bの途中から溶融混練状態の部分に添加する。
(ア)~(ク)で示した粗ポリアセタール重合体もしくはポリアセアタール樹脂のパウダーと失活剤との混合は、水平円筒型、V型、リボン型、パドル型、高速流動型等の一般的な混合機を用いてもよい。押出機Bの排出部に設置された吐出ダイ(不図示)から吐出した溶融樹脂は冷却後、ペレット状に切断され変性ポリアセタール樹脂となる。
この(ア)~(ク)の触媒の失活処理における失活剤の添加タイミングに対しては、本発明の水酸基含有有機化合物を、失活剤と同時または別に添加することができる。
水酸基含有有機化合物を、失活剤と同時に添加する場合には、水酸基含有有機化合物と失活剤とを同じ位置(XまたはY)にそのまま、あるいは予め用意したポリアセタール樹脂パウダーと混合後、添加することができる。
水酸基含有有機化合物を、失活剤と別に添加する場合には、水酸基含有有機化合物をそのまま、もしくはあらかじめ用意したポリアセタール樹脂のパウダーと混合したものを、Xから粗ポリアセタール重合体とともに、押出機Bに投入し溶融混練を行う際に、失活剤を上記(オ)~(ク)に記載の方法で溶融混練部(不図示)に添加することができる。または、失活剤をXから上記(ア)~(エ)に記載の方法で粗ポリアセタール重合体へ溶融混練前に添加した後、押出機Bで溶融混練を行い、水酸基含有有機化合物をそのまま、もしくはあらかじめ用意したポリアセタール樹脂のパウダーと混合したものをYから溶融混練部(不図示)に添加することができる。なお、水酸基含有有機化合物を、失活剤と別に添加して混合する場合は、溶融混練前に水酸基含有有機化合物を添加することが好ましい。
本発明の変性は、プロトン酸触媒を用いて重合した粗ポリアセタール重合体に特異的に起こることであって、ルイス酸、例えば、三フッ化ホウ素等を触媒とした場合には、変性の効率が極めて低い。本発明の変性は、プロトン酸触媒を使用した場合に特異的に可能となるものである。
また、本発明では、水酸基を有する有機化合物との反応と、触媒の失活反応とが競争反応となることから、失活処理によって、粗ポリアセタール重合体と水酸基を有する有機化合物との反応の進行を調整することができ、変性の度合いも調整することができる。
<その他の工程>
本発明はその他の工程を有していてもよい。たとえば、押出機の途中から各種添加剤を加えて溶融混練する工程を有していてもよいし、またペレット状のポリアセタール樹脂に各種添加剤を加えてから、再度溶融混練する工程を有していてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<工程(1)>
工程(1)では下記の通り重合を行い、粗ポリアセタール重合体を製造した。重合装置Aとしては、連続二軸パドルスクリュー押出機型を用いた。重合装置Aは胴体部の外側に加熱用または冷却用の媒体を通すためのジャケット(不図示)を備える。また、上記胴体部は上下分割構造であり、上部開放が可能な構造となっている。重合装置Aの内部には撹拌、推進用の多数のバドルを付した2本の回転軸が長手方向に設けられている。
80℃の媒体を通じて温調された上記ジャケットで加熱された胴体部に、単位時間当たり、主モノマーとしてのトリオキサン100質量部と、コモノマーとしての1,3-ジオキソラン4.3質量部と、分子量調節剤1000ppmとを含有する混合液を、連続的に供給し、これに重合触媒を供給した。
重合触媒の含有量は、リンタングステン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸の組み合わせの場合では4ppmを、リンタングステン酸およびその塩、HPV1040(HPA)およびリンタングステン酸の塩の組み合わせの場合では6ppmを、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートでは30ppm(対全モノマー、単位:質量ppm)を溶液として連続添加して共重合を行った。なお、重合触媒の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートの濃度は三フッ化ホウ素としての値である。
<工程(2)>
工程(2)では、重合装置Aから排出されるフレーク状の粗ポリアセタール重合体に対して、表1、2に示される水酸基を有する有機化合物、および失活剤を添加して、シリンダー温度210度のベント付き二軸の押出機で溶融混練を行い、ペレット状の変性ポリアセタール樹脂を得た。水酸基を有する有機化合物および失活剤の添加は、以下のようにして行った。
失活剤の添加位置がXの場合:粗ポリアセタール重合体100質量部に対して、2質量部のポリアセタール樹脂パウダーに、表1、2に示される水酸基を有する有機化合物および失活剤を添加し、これらを混合したものを粗ポリアセタール重合体とともにXの位置から添加した。
失活剤の添加位置がYの場合:粗ポリアセタール重合体100質量部に対して、2質量部のポリアセタール樹脂パウダーに、表1、2に示される水酸基を有する有機化合物を添加し、これらを混合したものを、粗ポリアセタール重合体とともにXの位置から添加し、次いで表1、2に示される失活剤をYの位置から添加した。
≪表1、2に記載の化合物≫
[水酸基を有する有機化合物]
・OH1:ドコサノ―ル(炭素数22)
・OH2:ペンタンジオール(炭素数5)
・OH3:ポリエチレングリコール400(PEG400)
[触媒]
下記触媒はそれぞれ括弧内の溶液の形で添加した。
・PWA:リンタングステン酸(0.2wt%のギ酸メチル溶液)
・PWA+塩:リンタングステン酸とリンタングステン酸Naとの等質量混合物(0.2wt%のギ酸メチル溶液)
・HPA+塩:HPV1040とリンタングステン酸Naとの等質量混合物(0.2wt%のギ酸メチル溶液)
・TFMSA:トリフルオロメタンスルホン酸(0.2wt%のシクロヘキサン溶液)
・BF:三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(三フッ化ホウ素が1.5wt%のシクロヘキサン溶液)
[失活剤]
添加量はすべて10ppmとした。なお、常温で固体のものはそのまま固体で、表1、2中「aq.」とあるものは水溶液(濃度:0.5mg/mL)で添加した。
・StNa:ステアリン酸ナトリウム
・NaCO:炭酸ナトリウム、
・KCO:炭酸カリウム
・コリン
・TEA:トリエチルアミン
<変性評価>
工程(1)、および工程(2)を経て得られたペレット状の変性ポリアセタール樹脂0.2gを1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)4mlに溶解し、そこにメタノール8mlを撹拌しながら添加し、再沈殿した。再沈殿した樹脂をろ過して回収し、乾燥させた。乾燥したポリアセタアール樹脂に対して上記処理を再度行い得られた樹脂を試料とした。得られた試料30mgを重水素化HFIP(0.6ml)に溶解し、Cryoプローブを備えたAVANCEIII400(ブルカーバイオスピン社製)を用いて318Kの温度設定で、かつ、128回積算の条件で1H-NMR(核磁気共鳴)測定を行った。得られたNMRスペクトルのポリアセタール重合体由来のオキシメチレン基およびオキシエチレン基のピーク面積と、水酸基含有有機化合物の水酸基隣接メチレン基とのピーク面積から水酸基含有有機化合物の導入量を求めた。
5000ppmの水酸基含有有機化合物と粗ポリアセタール重合体とを溶融混練した各材料について水酸基含有有機化合物の導入量を測定し、変性効率の確認を行った。結果を表1、2に示す。なお、変性効率は導入率により判断した。導入率は次の式で算出した。
導入率(%)=(導入量)÷(添加量)×100
Figure 0007365531000001
Figure 0007365531000002
表1、2に示された結果から、重合触媒として、ルイス酸(BF)を用いた場合、水酸基含有有機化合物の導入量は少なくなるが、本発明で使用したプロトン酸触媒(ヘテロポリ酸など)では水酸基含有有機化合物の導入量が多くなることがわかった。このことから、本発明の製造方法を用いると、ポリアセタール樹脂の変性が容易に行え、多様な変性ポリアセタール樹脂が得られることがわかった。
本発明の製造方法により、低分子化合物のみならず、ポリアセタール樹脂と相溶しない高分子化合物の導入も可能と考えられ、これによって得られた変性ポリアセタールと種々高分子化合物との相溶性の変化に起因する機能発現が期待できる。
A 重合装置
B 押出機
X 押出機に入る前の位置
Y 押出機の途中の位置
Z 変性されたポリアセタール樹脂

Claims (3)

  1. 変性ポリアセタール樹脂の製造方法であって、少なくとも、
    (1)プロトン酸触媒として、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸とその塩を用いてモノマーを重合し、粗ポリアセタール重合体を製造する工程と、
    (2)溶融混練下で、前記プロトン酸触媒を失活させると同時に、前記粗ポリアセタール重合体と炭素数が5以上34以下である脂肪族炭化水素に結合した水酸基を有する有機化合物、水酸基末端を有し数平均分子量が1000以下のポリアルキレンオキシドおよび数平均分子量が600以下のポリエチレングリコールから選択されるいずれかの水酸基を有する有機化合物を反応させる工程と、を有する変性ポリアセタール樹脂の製造方法。
  2. 前記ヘテロポリ酸とその塩は、リンタングステン酸およびリンタングステン酸ナトリウムであるか、またはHPV1040およびリンタングステン酸ナトリウムである、請求項1に記載の変性ポリアセタール樹脂の製造方法。
  3. 前記プロトン酸触媒を失活させる失活剤がアミン化合物、四級アンモニウム化合物またはアルカリ金属の塩である、請求項1または2に記載の変性ポリアセタール樹脂の製造方法。
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