JP7365245B2 - 複合成形品およびその成形品に使用する部材 - Google Patents

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    • B29C65/70Joining or sealing of preformed parts, e.g. welding of plastics materials; Apparatus therefor by moulding

Description

本発明は、複合成形品およびその成形品に使用する部材に関する。
近年、自動車、電気製品、産業機器等をはじめとした分野では、二酸化炭素の排出量削減、製造コストの削減等の要請に応えるため、従来金属で製造されていた部品の一部または全体を樹脂成形体に置き換える動きが広がっている。それに伴い、一の樹脂成形体と他の部材(樹脂成形体または金属成形体等)とを強固に一体化する技術の提供が求められる。
特許文献1は、一の樹脂成形体と他の成形体とを一体化して複合成形品を製造する方法を開示する。この方法は、繊維状無機充填剤を含有する樹脂成形品に樹脂の一部除去を行い、側面から無機充填剤が露出された溝を形成して溝付き樹脂成形体を得た後、溝付き樹脂成形体の溝を有する面を接触面として他の成形体と一体化する。溝付き樹脂成形体を得る際、樹脂の一部除去は、レーザ照射によって行われる。この方法によると、溝で露出する無機充填剤が溝付き樹脂成形体及び他の成形体の破壊を抑えるアンカーの役割を果たし、結果として複合成形品の強度を著しく高めることができる。
また、特許文献2では、金属表面にレーザを照射することで凹凸形状(溝)を形成し、それをアンカーとして樹脂を射出成形することで、金属と樹脂成形品を一体化した複合成形品を得る技術が提案されている。
特開2015-91642号公報 特許第4020957号公報
このような相手部材に溝を設けて射出成形を行うことで樹脂成形品と一体化させる複合成形品では、アンカーとして、ある程度深い溝を設けることで接合強度を向上させることができたが、そのような深い溝を有する接合部においては、樹脂成形品の肉厚によって、特に製品の設計仕様上、接合部において肉厚を厚くする必要がある(厚肉部を有する)樹脂成形品の場合には、複合成形品内部のボイドの発生等により、十分な強度が得られない場合があった。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、接合部における樹脂成形品の肉厚が不均一、特に厚肉部を有する場合であっても、ボイドの発生を抑制し高い接合強度を得ることが可能な複合成形品を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために検討したところ、接合部において、部材に設けられた溝が深く、かつ樹脂成形品の肉厚が厚い箇所では、当該接合部界面および界面付近の樹脂成形品内部に、ボイドと呼ばれる空隙が発生する場合があることを発見した。これは、溝が深いとインサート成形において当該溝に樹脂が入り込む際に、溝の中に存在していた空気を十分に排出させることが困難となり、溝及び成形品の内部に微細な気泡が存在してしまうことに起因するものと考えられる。
この気泡は、通常は成形時の樹脂圧(射出圧)により認識不能な程度に圧縮されるため問題とならないが、当該接合部の樹脂成形品の肉厚が厚い場合は、樹脂の収縮(ヒケ)が大きくなり、圧縮されていた気泡が膨張することで、空隙となるものと推定される。このような空隙が存在すると接合界面の密着性や樹脂成形品自体の強度が低下し、ひいては接合強度や気密性の低下に繋がる。そこで本発明者は、下記によってボイドの生成を抑制し、上記課題を解決した。
[1]表面に複数の溝を有する部材を、インサート成形により樹脂成形品と接合してなる複合成形品であって、該部材と該樹脂成形品とは、該溝を備えた接合領域を介して接合され、該接合領域は、該溝の深さが異なる領域A及び領域Bを少なくとも有し、該領域Aにおいて接合される該樹脂成形品の肉厚Xが2mmより厚く、該領域Bにおける該溝の深さYが0.05mm以上、かつ該領域Aにおける該溝の深さをYmmとしたとき、該領域AにおけるXとYとの積が0.1以下であり、該領域Bにおいて接合される該樹脂成形品の肉厚をXmmとしたとき、該領域Bにおける該肉厚Xと前記溝の深さYとの積が0.5以下、かつ該肉厚Xが前記領域Aにおける前記肉厚Xよりも薄肉である、複合成形品。
[2]前記領域Bにおける該肉厚Xと前記溝の深さYとの積が0.3以下である、前記1記載の複合成形品。
[3]前記溝は、前記領域Aにおける幅Z及び前記領域Bにおける幅Zがいずれも0.02mm以上0.5mm以下であり、かつ該幅Zに対する前記溝の深さYの割合Y/Z及び該幅Zに対する前記溝の深さYの割合Y/Zがいずれも0.05以上5以下である、前記1又は2記載の複合成形品。
[4]前記領域A内で隣り合う前記溝同士の間隔W及び前記領域B内で隣り合う前記溝同士の間隔Wがいずれも0.05mm以上2mm以下であり、かつ該間隔Wに対する前記溝の幅Zの割合Z/W及び該間隔Wに対する前記溝の幅Zの割合Z/Wがいずれも0.01以上10以下である、前記1~3いずれかに記載の複合成形品。
[5]前記溝が前記部材にレーザ光を照射することにより形成されたものである、前記1~4いずれかに記載の複合成形品。
[6]前記樹脂成形品が、ISO11443に準拠して測定した剪断速度1000sec-1における溶融粘度が20以上500Pa・s以下の樹脂組成物からなる、前記1~5いずれかに記載の複合成形品。
[7]インサート成形により樹脂成形品と接合するための、表面に複数の溝を有する接合領域を有する部材であって、該接合領域は、該溝の深さが異なる領域A及び領域Bを少なくとも有し、該溝がレーザ光を照射することにより形成されたものである部材。
本発明によると、接合部における樹脂成形品の肉厚が不均一、特に厚肉部を有する場合であっても、高い接合強度を得ることが可能な複合成形品を得ることができる。
本発明に係る部材の例を示す模式図である。 本発明に係る樹脂成形品の例を示す模式図である。 本発明に係る複合成形品の例を示す模式図である。 本発明に係る複合成形品の例における接合領域の状態を示す概略図である。 本発明に係る複合成形品の例を示す断面図である。 本発明に係る部材の例を示す断面図である。 本発明に係る部材の別の例を示す断面図である。 実施例にて行った、部材と樹脂成形品との間の接合強度の測定装置を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<複合成形品>
本発明の複合成形品は、表面に複数の溝を有する部材を、インサート成形により樹脂成形品と接合してなる複合成形品であって、該部材と該樹脂成形品とは、該溝を備えた接合領域を介して接合され、該接合領域は、該溝の深さが異なる領域A及び領域Bを少なくとも有し、該領域Aにおいて接合される該樹脂成形品の肉厚Xが2mmより厚く、該領域Bにおける該溝の深さYが0.05mm以上、かつ該領域Aにおける該溝の深さをYmmとしたとき、該領域AにおけるXとYとの積が0.1以下であり、該領域Bにおいて接合される該樹脂成形品の肉厚をXmmとしたとき、該領域Bにおける該肉厚Xと前記溝の深さYとの積が0.5以下、かつ該肉厚Xが前記領域Aにおける前記肉厚Xよりも薄肉であることを特徴とする。
<部材>
本発明の部材は、後述する樹脂組成物によりインサート成形されることにより、当該樹脂組成物からなる樹脂成形品との複合成形品として一体化されるものであり、その材質は特に限定されず、樹脂、金属、ガラス、セラミック、木材など種々の材質からなるものを使用することができる。
部材が樹脂からなるものである場合、当該樹脂は特に限定されず、後述する樹脂成形品を構成するものと同じであっても良いし異なるものであっても良い。当該樹脂は強化用充填剤等の公知の添加剤を含む樹脂組成物であっても良く、添加剤としては繊維状充填剤を含むことが好ましい。
繊維状充填剤の種類は特に限定されず、ガラス繊維(チョップドストランド、長繊維、扁平断面繊維等)、炭素繊維、ウィスカー繊維、金属繊維等、公知の繊維状充填剤を用いることができる。この中で、後述する部材への溝の形成においてレーザ光を用いる場合、これを効率的に行う上では、繊維状充填剤がレーザ光を透過するものであることが好ましく、ガラス繊維を用いることが特に好ましい。
上記部材が樹脂組成物からなる場合、当該樹脂組成物を構成する樹脂は、特に限定されないが、成形品(部材)中の繊維状充填剤を配向させる点で、射出成形による加工が容易な熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
好適な樹脂の例として、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、後述する部材への溝の形成をレーザ光の照射により行う場合、これを効率的に実施する上では、レーザ光を吸収する化合物(着色剤等)が添加されていてもよい。
なお、後述する樹脂成形品とは異なる樹脂を部材に用いる場合、インサート成形時の熱により部材表面の溝が消失することの無いよう、樹脂成形品を構成する樹脂の成形温度(射出成形時のシリンダ温度)から、部材に用いる樹脂の融点(非晶性樹脂等、明確な融点を持たない樹脂の場合はガラス転移温度)を減じた差は、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
上記部材が金属からなるものである場合、当該金属も特に限定されず、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、銅、チタン等を例示することができる。また、金属は、金属合金から構成されたものでも良く、表面に陽極酸化等の表面処理や塗装がされたものでも良い。ただし、部材表面の溝が消失あるいは埋没しないよう、これらの表面処理や塗装は後述する部材への溝の形成よりも前に行うことが好ましい。
上記部材がガラス又はセラミックからなるものである場合、当該ガラス又はセラミックも特に限定されないが、前述の樹脂組成物の場合と同様、部材への溝の形成をレーザ光の照射により行う場合、レーザ光を吸収する化合物が添加されていることが好ましい。
図1は、本発明の実施形態である部材の例、並びに当該部材における領域Aと領域Bを有する接合領域、及び当該接合領域に形成された格子状の溝を示している。この図におい部材の厚みは2.0mm、幅は20mmである。領域A、領域Bはいずれも幅10mm、長さが5mmとなるように形成されている。領域Aに形成される溝は深さが0.01mmであり、領域Bに形成される溝(0.05mm以上)よりも浅いものとなっている。
図2は、本発明の部材をインサート成形することにより、当該部材と接合領域を介して接合される、樹脂成形品の例を示している。樹脂成形品は幅が10mmであり、領域Aで接合する部分の肉厚3.0mm幅5mm、領域Bで接合する部分の肉厚1.5mmの場合の例である。
図3は、本発明の部材を、樹脂組成物でインサート成形することにより樹脂成形品と接合した複合成形品の例を示している。図4に示す通り、複合成形品の接合領域の状態は、領域Aで接合する樹脂成形品の肉厚は領域Bで接合する樹脂成形品の肉厚に比べ厚いもの(2mm超)となっており、また領域Aの溝は領域Bの溝よりも浅いものとなっている。
<部材に形成した溝>
本発明の部材に溝を形成する方法は特に限定されず、レーザ光の照射や切削等の機械加工、マスキングを施してのエッチングやブラスト処理、凹凸を設けた型を用いたプレス加工や射出成形、及び電鋳などの公知の方法を用いることができる。中でも任意の箇所に精密な加工を行うことができるレーザ光の照射を用いることが好ましい。
特に、部材として繊維状充填剤を含む樹脂組成物からなるものを用いる場合、レーザ光の照射により溝を形成することで、繊維状充填剤を露出させることにより、インサート成形において樹脂成形品が当該繊維状充填剤をアンカーとして強固に接合されることになるため好ましい。
なお、樹脂成形品の溝表面のラマン分光分析によって、樹脂の炭化層が存在することが確認できれば、レーザ照射によって形成されたものであると判断することができる。
なお、当該溝は、直線状、縞状、格子状、波線状、樹枝状、魚の骨状、点状、矩形状、円状(同心円状)、等高線状など種々のパターンで形成すれば良いが、複合成形品に加わる荷重の方向によらず接合強度を確保しやすい意味で、格子状(斜格子状)や波線状、樹枝状、魚の骨状が好ましく、加工の容易性と設計に対する汎用性からは格子状(斜格子状)、インサート成形の際に溝内の空気を効率よく排出する観点からは樹枝状や魚の骨状、気密性を確保する意味ではエアリークの方向に対し交差(縁切り)するような縞状や同心円状、等高線状であることが、それぞれ好ましい。また、これらのパターンを複数組み合わせても良い。
溝の断面形状としては、通常知られている形状を適宜選択することができ、矩形・台形・V字・U字・円弧等であることが好ましい。
本発明では、部材と樹脂成形品が接合される接合領域に溝を形成する。当該接合領域は少なくとも領域Aと領域Bを含み、当該領域AとBにおいて、接合される樹脂成形品の肉厚は、領域Aの肉厚Xは2mmより厚く、かつ領域Bの肉厚Xよりも厚いものである。
領域Aの肉厚Xの上限は特に限定されないが、肉厚が厚すぎると、成形時のエアの巻き込みや収縮量の増大によりボイドが発生するおそれがあるため、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることがさらに好ましく、4mm以下であることが特に好ましい。
一方、領域Bの肉厚Xについても、肉厚Xと同様に厚すぎるとボイドの懸念があり、薄すぎると成形性が不利となるため、0.2mm以上6mm以下であることが好ましく、0.3mm以上5mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上4mm以下であることがさらに好ましく、0.8mm以上3mm以下であることが特に好ましく、1mm以上2.5mm以下であることが最も好ましい。
また、当該領域Bでは、形成される溝の深さYは0.05mm以上、かつ領域Aに形成される溝の深さYよりも深いものである。領域Bにおける溝の深さYの上限は特に限定されないが、溝を形成する際の加工性(生産性)の観点から、0.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましく、0.2mm以下であることがさらに好ましい。
また、領域Aにおける溝の深さYの下限は特に限定されず、領域Bにおける接合のみで複合成形品全体の接合強度や気密性を確保できれば、Yは0mm、または限りなく0mmに近いもの(例えば0.001mm以上)であってもよいが、接合強度や気密性を確保するためには0.005mm以上であることが好ましく、0.01mm以上であることがより好ましく、0.02mm以上であることがさらに好ましい。
ここで、領域Aにおける肉厚Xと深さYの積(以下X×Yともいう)は0.1以下である。X×Yは好ましくは0.09以下であり、より好ましくは0.08以下である。
また、領域Bにおける肉厚Xと深さYの積(以下X×Yともいう)は0.5以下である。X×Yは好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.2以下であり、さらに好ましくは0.1以下である。なお同一領域内の樹脂成形品の肉厚及び溝の深さは、対応するそれぞれの位置において上記関係を満たせば必ずしもすべて同じでなくてもよい。
本発明の領域A及び領域Bに形成される溝は、領域Aにおける幅Z及び領域Bにおける幅Zがいずれも0.02mm以上0.5mm以下であることが好ましく、当該領域Aにおける幅Zに対する前記溝の深さYの割合Y/Z及び当該領域Bにおける幅Zに対する前記溝の深さYの割合Y/Zはいずれも0.05以上5以下であることが好ましい。
また、領域Aにおける隣り合う前記溝同士の間隔W及び領域Bにおける隣り合う前記溝同士の間隔Wはいずれも0.05mm以上2mm以下であることが好ましく、領域Aにおける当該間隔Wに対する前記溝の幅Zの割合Z/W及び領域Bにおける当該間隔Wに対する前記溝の幅Zの割合Z/Wはいずれも0.01以上10以下であることが好ましい。
図5では、複合成形品の断面図を模式的に示している。部材の溝には、樹脂成形品が充填されている。図6では、領域Aの溝深さをY、幅をZ、間隔をWとし、領域Bの溝深さをY、幅をZ、間隔をWとしたときの例を示している。図7は、無機充填剤を含有する例を示したものである。
本発明の複合成形品は、部材に樹脂成形品を接合することによって製造することができる。部材への接合は、部材上の溝を設けた接合領域に、樹脂成形品を構成する樹脂組成物をインサート成形することによって製造することができる。
<樹脂成形品>
樹脂成形品を構成する樹脂組成物は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である。部材を構成する樹脂組成物と、樹脂成形品を構成する樹脂組成物とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。部材、樹脂成形品ともに、繊維状無機充填剤を含有する樹脂成形品であってもよく、その他公知の添加剤(酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、可塑剤、着色剤、強化材、靱性改良剤、流動性改良剤、耐加水分解性改良剤等)を含有する樹脂成形品であってもよい。
ここで、樹脂成形品を構成する樹脂組成物は、溶融粘度が20Pa・s以上500Pa・s以下の樹脂組成物であることが好ましく、30Pa・s以上400Pa・s以下の樹脂組成物であることがより好ましく、40Pa・s以上350Pa・s以下の樹脂組成物であることがさらに好ましい。
溶融粘度が500Pa・s以下であれば、部材の溝に入り込みやすいため好ましく、溶融粘度が20Pa・s以上であれば、ボイドを抑制しやすいため好ましい。すなわち、溶融粘度が300Pa・s以下のような低い領域では、部材の溝に樹脂組成物が入りやすい一方で、ボイドが発生しやすくなってしまうことから、特に本発明における課題が生じやすい範囲となるため、この範囲で本発明の構成を適用することで、その効果が特に得られやすいものとなる。
なお、本発明において溶融粘度とは、ISO11443に準拠して測定した、剪断速度1000sec-1における溶融粘度を指し、その測定温度(バレル温度)は当該樹脂成形品を成形する際の加工温度(成形機のシリンダ温度)とする。
当該加工温度(成形機のシリンダ)は通常、当該樹脂組成物を構成する樹脂成分のうち最も含有量が多い樹脂の融点(非晶性樹脂のように明確な融点を持たない場合はガラス転移温度)より10~60℃高い温度(例えば融点+30℃)に設定すればよく、例えば樹脂がポリブチレンテレフタレートであれば260℃程度、ポリフェニレンサルファイドであれば310℃程度、ポリエーテルエーテルケトンであれば400℃程度に設定すれば良い。
樹脂組成物に含まれる具体的な樹脂としては、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
本発明では、厚肉部の収縮(ヒケ)に起因するボイドが課題の一因であることから、成形時の収縮が大きい結晶性又は半結晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合に、特に本発明の効果が大きいが、使用環境における線膨張係数に基づく熱収縮も影響しうるため、(半)結晶性熱可塑性樹脂に限定されるものではない。
<複合成形体の製造方法>
まず所望の形状の第一部材を形成し、その表面に所望の溝を形成する。その際、接合される樹脂成形品において、肉厚Xが2mmより厚い箇所と接合される領域Aと、肉厚Xが肉厚Xよりも薄い箇所と接合される領域Bに、領域Aにおける肉厚Xと溝の深さYの積X×Yが0.1以下、かつ領域Bにおける溝の深さYが0.05mm以上となるように溝を形成する。
ついで、溝を形成した部材を金型に配置し、そこに、領域Bにおける樹脂成形品の肉厚Xと部材の溝の深さYとの積が0.5以下となるように、樹脂成形品を構成する樹脂組成物を射出しインサート成形する。樹脂組成物の射出成形は、通常の条件を適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<部材の製造方法>
実施例及び比較例で使用した複合成形品の模式図を図3及び図4に示した。図3は部材と樹脂成形品が接合領域で一体化した状態を示す斜視図であり、図4は接合領域における部材と樹脂成形品の位置関係を示す模式図である。この複合成形品を以下の方法で製造した。なお、図中の寸法の単位はmmである。
<部材の調製>
部材として、アルミニウム(A5052、長さ50mm×幅20mm×厚み2mm)から構成され、下記のようにして接合領域の溝を形成した板状物を用いた。これら板状の部材は、図4のハッチングで示す部分に溝を有する。
レーザマーカMD-V9900(キーエンス社製、レーザータイプ:YV04レーザ、発信波長:1064nm、最大定格出力:13W(平均))を用い、出力90%、ハッチング幅0.2mm、周波数40kHz、走査速度1000mm/sという条件で、2箇所の接合領域の部材表面に、部材の長手方向に直角な方向に対し45°で略平行に並ぶ複数の溝と、部材の長手方向に直角な方向に対し135°で略平行に並ぶ複数の溝とを交差させて、斜格子状になるように溝を形成した。
なお、レーザ光のスポット径(溝幅Z及びZに等しい)は50μm、隣り合う溝の間隔(W及びW)は50μmにそれぞれ調整した。また、接合領域は部材の一方の短辺(20mm)側の中央部10mmの幅で、端部からの距離0~5mmを領域B、端部からの距離5~10mmを領域Aとして、それぞれ表1に示す深さ(Y及びY)となるようにレーザ光の照射(往復)回数を調整して溝を形成した。Z/W=1、Z/W=1である。
<樹脂組成物の調製>
樹脂成形品を構成する樹脂組成物として、融点が約340℃、溶融粘度が180Pa・sのポリエーテルエーテルケトンを用いた。なお、溶融粘度は東洋精機(株)製キャピログラフを用い、キャピラリーとして1mmφ×20mmL/フラットダイを使用し、バレル温度400℃、剪断速度1000sec-1での溶融粘度を測定した。
<複合成形品の製造>
上記の操作にて領域A及び領域Bにそれぞれ表1に示す深さ(Y及びY)の溝を設けた部材を、金型内に配置した後、150℃で3時間乾燥させた樹脂組成物を、シリンダ温度400℃、金型温度200℃、保圧60MPaで射出成形し複合成形品を得た。ここで、樹脂成形品は、幅10mm、長さ40mmであり、領域A及び領域Bにおいて、それぞれ表1に示す肉厚(X及びX)となるように形成されている。また、流動末端側が接合領域となるよう、接合領域と反対の短辺側の端部中央に設けられた、幅3mm、領域Bと同じ厚さのサイドゲートから射出成形した。
<接合強度>
上記の方法で作成した複合成形品について、測定機器としてテンシロンUTA-50kN(オリエンテック社製)を使用し、測定速度が1mm/分の条件で接合強度を評価した。評価は図8に示すように、複合成形品を冶具4上に配置し、矢印方向に樹脂部を押し剥がすことで接合強度を測定し、下記の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
〇:30MPa以上
△:20MPa以上30MPa未満
×:20MPa未満
<ボイドの発生評価>
接合強度の測定を行う前に、複合成形品内部の軟X線観察を行い、下記の基準でボイドの発生を評価した。評価結果を表1に示す。
〇:ボイドの発生が見られなかった。
△:ボイドが若干見られた。
×:ボイドが著しく見られた。
なお、表1中のボイドの評価結果欄のA,Bの記号は、領域A及び領域Bのうち、ボイドが主に観察された領域(いずれか又は両方)を示す。数値の単位はmmである。
<結果>
Figure 0007365245000001
表1に記載の通り、本発明においては接合強度が強く、ボイドの発生が抑えられることが分かる。
1 部材
A 領域A
B 領域B
2 樹脂成形品
3 複合成形品
4 接合強度測定用冶具

領域Aでの樹脂成形品の肉厚
領域Bでの樹脂成形品の肉厚
領域Aでの溝の深さ
領域Bでの溝の深さ
領域Aでの溝の間隔
領域Bでの溝の間隔
領域Aでの溝の幅
領域Bでの溝の幅

Claims (6)

  1. 表面に複数の溝を有する部材を、インサート成形により樹脂成形品と接合してなる複合成形品であって、該部材と該樹脂成形品とは、該溝を備えた接合領域を介して接合され、該接合領域は、該溝の深さが異なる領域A及び領域Bを少なくとも有し、該領域Aにおいて接合される該樹脂成形品の肉厚Xが2mmより厚く、該領域Bにおける該溝の深さYが0.05mm以上、かつ該領域Aにおける該溝の深さをYmmとしたとき、該領域AにおけるXとYとの積が0.1以下であり、該領域Bにおいて接合される該樹脂成形品の肉厚をXmmとしたとき、該領域Bにおける該肉厚Xと前記溝の深さYとの積が0.5以下、かつ該肉厚Xが前記領域Aにおける前記肉厚Xよりも薄肉である、複合成形品。
  2. 前記領域Bにおける該肉厚Xと前記溝の深さYとの積が0.3以下である、請求項1記載の複合成形品。
  3. 前記溝は、前記領域Aにおける幅Z及び前記領域Bにおける幅Zがいずれも0.02mm以上0.5mm以下であり、かつ該幅Zに対する前記溝の深さYの割合Y/Z及び該幅Zに対する前記溝の深さYの割合Y/Zがいずれも0.05以上5以下である、請求項1又は2記載の複合成形品。
  4. 前記領域A内で隣り合う前記溝同士の間隔W及び前記領域B内で隣り合う前記溝同士の間隔Wがいずれも0.05mm以上2mm以下であり、かつ該間隔Wに対する前記溝の幅Zの割合Z/W及び該間隔Wに対する前記溝の幅Zの割合Z/Wがいずれも0.01以上10以下である、請求項1~3いずれかに記載の複合成形品。
  5. 請求項1~4いずれかに記載の複合成形品の製造方法であって、
    前記溝が前記部材にレーザ光を照射することにより形成されたものである、複合成形品の製造方法
  6. 前記樹脂成形品が、ISO11443に準拠して測定した剪断速度1000sec-1における溶融粘度が20以上500Pa・s以下の樹脂組成物からなる、請求項1~いずれかに記載の複合成形品。
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