JP7365207B2 - 飲料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料組成物に関する。
オルニチンはアミノ酸の一種であり、様々な健康機能を有することから、飲食品への応用が検討されている。例えば、L-オルニチン塩を遊離オルニチンとして0.08%含む溶液にレモン果汁を0.5~15%添加し、pHを3.5~3.6に調整することで、飲料の微生物増殖抑制と香味バランスの保持とを両立させ、健康機能及び嗜好性を兼備した容器詰飲料が提案されている(特許文献1)。
一方、シネオールは、環状エーテル構造を有するモノテルペノイドの1種であり、さわやかな香りを有する香気物質として知られている。従来、シネオールを麦芽飲料に添加すると、光による味の毀損を抑制できることが報告されている(特許文献2)。
特開2011-120479号公報 特開昭59-179058号公報
本発明者らは、オルニチンを強化した酸性飲料を開発すべく検討した。その結果、飲料の酸度が低い場合には、オルニチンが低濃度であれば酸味を十分に感じることができるが、オルニチンを高濃度化すると、オルニチンの強い呈味により、酸味が弱められるという課題が存在することを見出した。
本発明の課題は、オルニチンを強化しながらも、酸味の良好な飲料組成物を提供することにある。
本発明者らは、特定のモノテルペノイドを含有させると、オルニチンを強化しながらも、酸味が改善された飲料組成物が得られることを見出した。
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)オルニチン及びその塩から選択される少なくとも1種 0.1質量%以上、
(B)シネオール 0.01~100質量ppb、及び
(C)酸味料
を含有し、
(D)酸度が0.05~0.8質量%である、飲料組成物を提供するものである。
本発明によれば、オルニチンを強化しながらも、酸味の良好な飲料組成物を提供することができる。
本発明の飲料組成物は、成分(A)としてオルニチン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有する。
成分(A)は、L体でも、D体でも、これらの混合物(例えば、ラセミ体)であってもよいが、L体が好ましい。成分(A)は、天然由来品でも、化学合成品でもよく、更に市販品であってもよい。天然由来品としては、例えば、シジミからの抽出物が挙げられ、また化学合成品としては、例えば、発酵法により製造したものが挙げられ、必要によりカラムクロマトグラフィ等により精製してもよい。
オルニチンの塩としては、例えば、酸付加塩、アミノ酸付加塩、有機アミン付加塩、アンモニウム塩、金属塩等が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α-ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。アミノ酸塩としては、例えば、グリシン塩、フェニルアラニン塩、リジン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられ、有機アミン付加塩としては、例えば、モルホリン塩、ピペリジン塩等を挙げることができる。アンモニウム塩としては、例えば、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等が挙げられ、金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等を挙げることができる。オルニチンの塩は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、成分(A)としては、オルニチンの塩が好ましく、オルニチン酸付加塩、オルニチンアミノ酸塩がより好ましく、L-オルニチン塩酸塩、L-オルニチンL-アスパラギン酸塩が更に好ましい。
本発明の飲料組成物中の成分(A)の含有量は、0.1質量%以上であるが、オルニチンの強化、生理効果の観点から、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が更に好ましく、またオルニチン由来の強い呈味を抑制する観点から、2.0質量%以下が好ましく、1.7質量%以下がより好ましく、1.3質量%以下が更に好ましく、1.0質量%以下が殊更に好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、飲料組成物中に、好ましくは0.2~2.0質量%であり、より好ましくは0.3~1.7質量%であり、更に好ましくは0.4~1.3質量%であり、殊更に好ましくは0.4~1.0質量%である。なお、成分(A)が塩の形態である場合、成分(A)の含有量は遊離オルニチンに換算した値とする。また、成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、アミノ酸分析装置を用いることができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の飲料組成物は、成分(B)としてシネオールを含有する。
本明細書に係る「シネオール」は、1,8-シネオールとも呼ばれ、IUPAC系統名は1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタンである。成分(B)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(B)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、シネオールを含有する植物の抽出物又は精油でもよい。
本発明の飲料組成物中の成分(B)の含有量は0.01~100質量ppbであるが、酸味改善の観点から、0.03質量ppb以上が好ましく、0.05質量ppb以上がより好ましく、0.1質量ppb以上が更に好ましく、0.3質量ppb以上がより更に好ましく、1.0質量ppb以上が殊更に好ましく、また風味バランスの観点から、70質量ppb以下が好ましく、50質量ppb以下がより好ましく、30質量ppb以下が更に好ましい。成分(B)の含有量の範囲としては、本発明の飲料組成物中に、好ましくは0.03~70質量ppbであり、より好ましくは0.05~70質量ppbであり、更に好ましくは0.1~50質量ppbであり、より更に好ましくは0.3~50質量ppbであり、殊更に好ましくは1.0~30質量ppbである。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法で分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の飲料組成物は、成分(C)として酸味料を含有する。
成分(C)は、有機酸でも、無機酸でも、それらの塩であってもよく、飲食品に使用されるものであれば特に限定されない。成分(C)は、1種又は2種以上含有させることができる。
有機酸としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、アジピン酸、フィチン酸、フマル酸等が挙げられる。また、無機酸としては、例えば、リン酸等が挙げられる。塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができる。中でも、酸味付与の観点から、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。塩としては、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。
本発明の飲料組成物中の成分(C)の含有量は、酸味料の種類に応じて、後述する酸度となるように適宜決定することができる。
本発明の飲料組成物の(D)酸度は0.05~0.8質量%であるが、適度な酸味付与の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、そして0.7質量%以下が好ましく、0.6質量%以下がより好ましく、0.5質量%以が更に好ましい。かかる酸度の範囲としては、好ましくは0.1~0.7質量%であり、より好ましくは0.15~0.6質量%であり、更に好ましくは0.2~0.5質量%である。ここで、本明細書において「酸度」とは、当該飲料組成物を、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化ナトリウムで滴定し、当該飲料組成物中に含まれる全ての酸の濃度をクエン酸相当量として換算したものである。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の飲料組成物は、成分(E)として非重合体カテキン類を含有させることができる。ここで、本明細書において「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、本発明においては、上記8種のうち、少なくとも1種を含有すればよい。なお、非重合体カテキン類の含有量は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
本発明の飲料組成物中の成分(E)の含有量は0.01~0.5質量%であるが、生理効果の観点から、0.015質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、また風味バランスの観点から、0.4質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。かかる成分(E)の含有量の範囲としては、本発明の飲料組成物中に、好ましくは0.01~0.4質量%であり、より好ましくは0.15~0.3質量%であり、更に好ましくは0.02~0.2質量%である。なお、飲料組成物中の成分(E)の含有量は、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法、例えば、液体クロマトグラフィーで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により分析することができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の飲料組成物は、成分(F)としてクロロゲン酸類を含有させることができる。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸及び5-カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3-フェルラキナ酸、4-フェルラキナ酸及び5-フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸及び4,5-ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸類を併せての総称であり、本発明においては、上記9種のうち、少なくとも1種を含有すればよい。なお、クロロゲン酸類の含有量は、上記9種の合計量に基づいて定義される。
本発明の飲料組成物中の成分(F)の含有量は0.005~0.5質量%であるが、生理効果の観点から、0.008質量%以上が好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、0.4質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。かかる成分(F)の含有量の範囲としては、本発明の飲料組成物中に、好ましくは0.005~0.4質量%であり、好ましくは0.008~0.3質量%であり、より好ましくは0.01~0.2質量%である。なお、飲料組成物中の成分(F)の含有量は、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法、例えば、液体クロマトグラフィーで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により分析することができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
また、本発明の飲料組成物は、所望により、甘味料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、泡安定剤、エステル、色素、乳化剤、保存料、調味料、果汁、野菜汁、花蜜エキス、植物油脂、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜選択することができる。
本発明の飲料組成物は、例えば、液状でも、固形状でもよく、適宜の形態を採り得る。
例えば、本発明の飲料組成物が液状である場合、飲料の形態は、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)でも、濃縮還元飲料でもよい。中でも、利便性の観点から、RTDが好ましい。ここで、本明細書において「RTD」とは、希釈せずにそのまま飲用できる飲料をいう。
本発明の飲料組成物が固形である場合、常温(20℃±15℃)において固体であればその形状は特に限定されず、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の種々の形状とすることができる。本発明の固形飲料組成物中の固形分量は通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量をいう。
本発明の飲料組成物が濃縮物又は固形物である場合、所定の用法にしたがい液体で希釈して飲料を調製したときに、成分(A)及び(B)の各含有量、並びに酸度が上記要件を満たせばよい。液体は飲料に還元できれば特に限定されず、例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳等が挙げられ、液体の温度は問わない。なお、希釈倍率は所定の用法にしたがえばよいが、固形飲料組成物である場合、通常20~600質量倍、好ましくは30~500質量倍、より好ましくは40~250質量倍、更に好ましくは50~200質量倍であり、殊更に好ましくは50~150質量倍である。また、濃縮還元飲料組成物である場合、希釈倍率は、通常1.5~200質量倍、好ましくは1.5~100質量倍、より好ましくは1.8~50質量倍、更に好ましくは2~30質量倍である。
また、本発明の飲料組成物がRTDである場合、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
更に、本発明の飲料組成物がRTDである場合、加熱殺菌済でもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、充填後殺菌法(パストリゼーション)等を挙げることができる。また、容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶、瓶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌や充填後殺菌法(パストリゼーション)を採用することができる。また、PETボトルのようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
本発明の飲料組成物は適宜の方法により製造することが可能であるが、例えば、成分(A)、成分(B)及び成分(C)、必要により他の成分を配合し、酸度を調整して製造するができる。
1.オルニチン及びその塩の分析
試料0.5gを精秤後、10w/v%スルホルサリチル酸溶液25mLを加え、更に3mol/L水酸化ナトリウム溶液を加え混和する。その後、クエン酸ナトリウム緩衝液でpH2.2に調製し、100mLに定容したものを、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク13A,孔径0.2μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、アミノ酸自動分析に供する。
アミノ酸自動分析計操作条件
・機種:JLC-500/V(日本電子株式会社)
・カラム:LCR-6,φ4mm×120mm(日本電子株式会社)
・移動相:クエン酸リチウム緩衝液(P-12~P-15,P-21)(日本電子株式会社)
・反応液:日本電子用ニンヒドリン発色液キット-II(和光純薬工業株式会社)
・流量:移動相0.50mL/min,反応液0.30mL/min
・測定波長:570nm
2.シネオールの分析
試料10mLをGC用ヘッドスペースバイアル(20mL)に採取し、塩化ナトリウム3gを添加した。バイアルに攪拌子を入れて密栓し、スターラーで30分間撹拌しながら、SPMEファイバー(シグマアルドリッチ社製,50/30μm、DVB/CAR/PDMS)に含有成分を吸着させた。吸着後、SPMEファイバーを注入口で加熱脱着し、GC/MS測定を行った。分析機器は、Agilent 6890N/5975C(アジレント・テクノロジー社製)を使用した。
分析条件は次のとおりである。
・カラム :VF―WAX(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・カラム温度 :35℃(4min)→3℃/min→130℃→5℃/min→ 240℃(15min)
・カラム圧力 :定流量モード(31kPa)
・カラム流量 :l.5mL/min(He)
・注入口温度 :240℃
・注入方式 :スプリットレス
・検出器 :MS
・イオン源温度:240℃
・イオン化方法:EI(70eV)
購入試薬をエタノールで溶解し、段階希釈して標品を調製した。所定濃度の標品を試料に添加し、試料単体と同様にSPMEファイバーに吸着させ、GC/MS測定を行った。なお、シネオールの定量にはm/z154のイオンのピーク面積を用いた。
3.酸度の分析
1)滴定
試料5~15gを200mL容三角フラスコに正確に量り取り、水で適宜希釈して1%フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、25mLビューレットに入れた0.1M水酸化ナトリウムで振り混ぜながら滴定する。30秒間赤色が持続する点を終点とする。水素イオン濃度計を用いる場合には、マグネティックスターラーでかき混ぜながら同様に滴定し、pH8.1になったときを終点とする。
2)計算
下記式(1)により酸度を求める。
酸度(質量%)=A×f×100/W×0.0064 (1)
〔式(1)中、Aは0.1M水酸化ナトリウム溶液による滴定量(mL)、fは0.1M水酸化ナトリウム溶液の力価、Wは試料質量(g)、をそれぞれ示す。〕
4.非重合体カテキン類の分析
純水で溶解希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP、島津
製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L-カラ
ムODS、4.6mmφ×250mm 粒子径5μm:財団法人 化学物質評価研究機構
製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定する。移動相A液は酢酸を
0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニ
トリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280n
mの条件で行う。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
濃度勾配条件(体積%)
時間 A液濃度 B液濃度
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
5.クロロゲン酸類の分析
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV-VIS検出器:L-2420((株)日立ハイテクノロジーズ)、
・カラムオーブン:L-2300((株)日立ハイテクノロジーズ)、
・ポンプ:L-2130((株)日立ハイテクノロジーズ)、
・オートサンプラー:L-2200((株)日立ハイテクノロジーズ)、
・カラム:Cadenza CD-C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))。
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL、
・流量:1.0mL/min、
・UV-VIS検出器設定波長:325nm、
・カラムオーブン設定温度:35℃、
・溶離液C:0.05M 酢酸、0.1mM 1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液、
・溶離液D:アセトニトリル。
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間
(1)クロロゲン酸類
・モノカフェオイルキナ酸:5.3分、8.8分、11.6分の計3点
・モノフェルラキナ酸 :13.0分、19.9分、21.0分の計3点
・ジカフェオイルキナ酸 :36.6分、37.4分、44.2分の計3点。
ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5-カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
(2)ジカフェオイルキナ酸類
・ジカフェオイルキナ酸 :36.6分、37.4分、44.2分の計3点。
ここで求めた3種のジカフェオイルキナ酸類の面積値から5-カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
なお、カフェインの分析は、UV-VIS検出器設定波長:270nm、カフェインを標準物質とした以外はクロロゲン酸類と同様に実施した。カフェインの保持時間は18.9分。
6.官能評価
クエン酸を用いて酸味の強さを等間隔で8段階に調整した、表1に示す酸味標準水溶液を調製した。そして、専門パネル4名が酸味標準水溶液の酸味強度を指標とする官能試験を行うことを合意したうえで、次の手順で官能試験を行った。先ず、各専門パネルが酸味標準水溶液を低濃度から順に口に含み酸味の強さを記憶する。次いで、各専門パネルが各飲料を口に含み酸味の強さを評価し、酸味標準水溶液の中から最も近い酸味レベルのものを決定する。そして、各専門パネルが決定した酸味強度に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。
Figure 0007365207000001
実施例1~9及び比較例1~5
表2に示す各成分を配合して飲料を調製した。得られた各飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を表2に併せて示す。
Figure 0007365207000002
実施例10~12及び比較例6
表3に示す各成分を配合し、実施例1と同様の操作により飲料を調製した。得られた各飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を表3に併せて示す。
Figure 0007365207000003
実施例13、14及び比較例7、8
表4に示す各成分を配合し、実施例1と同様の操作により飲料を調製した。得られた各飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を実施例4及び比較例1の結果とともに表4に併せて示す。
Figure 0007365207000004
実施例15、16、比較例9、10及び参考例1、2
表5に示す各成分を配合し、実施例1と同様の操作により飲料を調製した。得られた各飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を実施例4及び比較例1の結果とともに表5に併せて示す。
Figure 0007365207000005
実施例17~22及び比較例11~16
表6に示す各成分を配合し、実施例1と同様の操作により飲料を調製した。得られた各飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を実施例6及び比較例1の結果とともに表6に併せて示す。
Figure 0007365207000006
実施例23、比較例17及び参考例3
表7に示す各成分を配合し、実施例1と同様の操作により飲料を調製した。得られた各飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を表7に併せて示す。
Figure 0007365207000007
表2~7から、シネオールを含有させると、オルニチンを強化しながらも、酸味が改善された飲料組成物が得られることが分かる。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C);
    (A)オルニチン及びその塩から選択される少なくとも1種 0.1質量%以上、
    (B)シネオール 0.01~100質量ppb、及び
    (C)酸味料
    を含有し、
    (D)酸度が0.05~0.5質量%である、飲料組成物(但し、ショウガを原料として飲料組成物中に含む場合を除く。)
  2. 成分(C)がクエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1記載の飲料組成物。
  3. 成分(A)がオルニチン酸付加塩又はオルニチンアミノ酸塩である、請求項1又は2記載の飲料組成物。
  4. 成分(E)として非重合カテキン類を更に含有し、該成分(E)の含有量が0.01~0.5質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料組成物。
  5. 成分(F)としてクロロゲン酸類を更に含有し、該成分(F)の含有量が0.005~0.5質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の飲料組成物。
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