JP7364463B2 - ヘアカラーリング組成物 - Google Patents
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Description
項1. 下記(i)~(iii)に示す少なくとも1種のクチナシ色素を含有する、ヘアカラーリング組成物:
(i)ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が85%以下になる、クチナシ青色素。
(ii)ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が60%以下になる、クチナシ赤色素。
(iii)13-シス-クロセチンを含み、オール-トランス-クロセチンを含むかまたは含まず、オール-トランス-クロセチンを含む場合は、HPLCによって分析したときのオール-トランス-クロセチンのピーク面積を1とした場合の13-シス-クロセチンのピーク面積が1以上である、クチナシ黄色素。
項2. 前記(i)に示すクチナシ青色素を含み、当該クチナシ青色素における前記回収率が65%以下である、項1に記載のヘアカラーリング組成物。
項3. 前記(ii)に示すクチナシ赤色素を含み、当該クチナシ赤色素における前記回収率が40%以下である、項1に記載のヘアカラーリング組成物。
項4. 前記(iii)に示すクチナシ黄色素を含み、当該クチナシ黄色素がオール-トランス-クロセチンを含み、HPLCによって分析したときのオール-トランス-クロセチンのピーク面積を1とした場合の13-シス-クロセチンのピーク面積が1~10000である、項1に記載のヘアカラーリング組成物。
項5. 白髪の染毛に使用される、項1~4のいずれかに記載のヘアカラーリング組成物。
項6. 項1~5のいずれかに記載のヘアカラーリング組成物を用いて、毛髪を染色する、染毛方法。
本発明において、「色価E10% 1cm」とは、色素の色の濃さを表す単位であり、吸光度計にて信頼性のある濃度範囲で光路長1cmのセルを用いて測定した時の極大吸収波長の吸光度を10重量%溶液での値に換算した値のことをいう。
本発明のヘアカラーリング組成物は、下記(i)~(iii)に示す少なくとも1種のクチナシ色素を含有することを特徴とする。以下、本発明のヘアカラーリング組成物について詳述する。
(i)ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が85%以下になる、クチナシ青色素(以下、「クチナシ青色素(i)」と表記することがある)。
(ii)ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が60%以下になる、クチナシ赤色素(以下、「クチナシ赤色素(ii)」と表記することがある)。
(iii)13-シス-クロセチンを含み、オール-トランス-クロセチンを含むかまたは含まず、オール-トランス-クロセチンを含む場合は、HPLCによって分析したときのオール-トランス-クロセチンのピーク面積を1とした場合の13-シス-クロセチンのピーク面積が1以上である、クチナシ黄色素(以下、「クチナシ黄色素(iii)」と表記することがある)。
本発明のヘアカラーリング組成物は、毛髪を染色する染料(直接染料)として、クチナシ青色素(i)、クチナシ赤色素(ii)、及びクチナシ黄色素(iii)よりなる群から選択される少なくとも1種を含む。このように、特定のクチナシ色素を直接染料として使用することによって、毛髪への定着性を向上させ、優れた染毛効果を奏することができる。以下、各クチナシ色素の特性等について説明する。
2-1-1-1.クチナシ青色素(i)の特性
本発明で使用されるクチナシ青色素(i)は、ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が85%以下になるという特性を有するクチナシ青色素である。本発明で使用されるクチナシ青色素(i)として、毛髪への定着性をより一層向上させるという観点から、前記回収率が、好ましくは65%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは25%以下、特に好ましくは15%以下となるものが挙げられる。本発明で使用されるクチナシ青色素(i)の前記回収率の下限値については、特に制限されないが、例えば0%以上、0.001%以上、0.01%以上、0.5%以上、又は1%以上であればよい。
本発明で使用されるクチナシ青色素(i)の前記回収率として、具体的には0~85%、好ましくは0.001~65%、より好ましくは0.01~45%、更に好ましくは0.1~25%、特に好ましくは1~15%が挙げられる。
(1)サンプル溶液の調製
測定対象となるクチナシ青色素をエタノール水溶液(エタノール:水の容量比が20:80)に希釈し、サンプル液を調製した。サンプル液におけるクチナシ青色素の濃度は、当該サンプル液をイオン交換水で10倍稀釈した際の吸光度が1.0になるように調整した。なお、サンプル液は、pHを7.0に調整した。pHを上げる場合は0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を使用し、下げる場合は、0.1mol/L塩酸を使用する。
(2)弱酸性陽イオン交換樹脂
ナトリウムイオン型(Na形)のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂を使用する。当該Na形のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂は、水素イオン型(H形)のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂(アルカリ吸着容量2.5mep/ml-R以上、粒度分布1、180μm以上5%以下、300μm未満1%以下、有効径0.40mm以上、真比重1.13、及び有効pH範囲5~14)をNa形に変換したものが使用される。当該H形のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂としては、具体的には、商品名「ダイヤイオンTM WK10(H形)」(三菱化学株式会社製)を使用できる。なお、H形(水素イオン型)のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂をNa形に変換する方法は、当該技術分野で通常行われている方法であればよいが、例えば、H形のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂をカラムに充填後、10重量%NaOHを樹脂容量の2倍量、SV=2で通液し、その後イオン交換水を樹脂容量の20倍量通液しアルカリを充分に洗浄する方法が挙げられる。
(3)弱酸性陽イオン交換樹脂への通液
カラム(内径2cm、高さ30cm)に、前記弱酸性陽イオン交換樹脂を20ml充填し、エタノール水溶液(エタノール:水の容量比が20:80)で十分に洗浄する。次いで、前記サンプル溶液15mlを空間速度(SV)が5となるように通液する。その後、エタノール水溶液(エタノール:水の容量比が20:80)を通液し、弱酸性陽イオン交換樹脂を洗浄する。前記サンプル溶液の通液時の流出液、及び洗浄時の流出液を合計200mlになるまで回収し、これを回収液とする。
(4)色素成分の回収率の算出
得られた回収液の600nm付近の極大吸収波長の吸光度を測定する。この際に、極大吸収波長がない場合には600nmの吸光度を測定する。下記式に従って、色素成分の回収率を算出する。
クチナシ青色素(i)の製造方法については、前記特性を有するものが得られることを限度として特に制限されない。例えば、アミノ酸、タンパク質加水分解物、タンパク質等のアミノ基含有化合物の中から、クチナシ青色素(i)の生成を可能にする特定の化合物を単独又は組み合わせて、これをアカネ科クチナシ(Gardenia augusta Merrill、又はGardenia jasminoides Ellis)の果実から得られるイリドイド配糖体と共存させてβ-グルコシダーゼを作用させる方法が挙げられる。通常のクチナシ青色素の製造では、タンパク質加水分解物が使用されているが、市販品の製造等で一般的に用いられているタンパク質加水分解物を使用しただけでは、クチナシ青色素(i)を得ることができない。
クチナシ青色素(i)を得るために使用される好適なアミノ基含有化合物である。アルギニンは、タンパク質の加水分解で得られたもの、微生物醗酵によって得られたもの等のいずれであってもよい。
イリドイド配糖体としては、通常のクチナシ青色素の製造原料として使用できるものであればよい。
β-グルコシダーゼを作用させる際には、前記アルギニン及びイリドイド配糖体と共に、必要に応じて、アルギニン以外のアミノ酸、タンパク質加水分解物等の他の成分を更に共存させてもよい。
β-グルコシダーゼとしては、通常のクチナシ青色素の製造に使用されるものであればよいが、例えば、Aspergillus niger、Trichoderma reesei、Trichoderma viride、アーモンド等に由来するものが挙げられる。クチナシ青色素(i)の製造に使用されるβ-グルコシダーゼとしては、スミチームC6000、スミチームAC、スミチームC、スミチームX、スミチームBGT、スミチームBGA(商品名;新日本化学工業社製)、セルロシンAC40、セルロシンT3、セルロシンAL(商品名;エイチビイアイ社製)オノズカ3S、Y-NC(商品名;ヤクルト薬品工業社製)、セルラーゼA「アマノ」3、セルラーゼT「アマノ」4(商品名;天野エンザイム社製)等の市販品を使用することもできる。
β-グルコシダーゼによる処理は、アルギニンと前記イリドイド配糖体の共存下でクチナシ青色素を生成できる条件下で行えばよいが、例えば、アルギニン及び前記イリドイド配糖体を水に混合した溶液にβ-グルコシダーゼを添加して好気的な条件でインキュベートすればよい。
2-1-2-1.クチナシ赤色素(ii)の特性
本発明で使用されるクチナシ赤色素(ii)は、ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が60%以下になるという特性を有するクチナシ赤色素である。本発明で使用されるクチナシ赤色素(ii)として、毛髪への定着性をより一層向上させるという観点から、前記回収率が、好ましくは40%以下、より好ましくは30%、更に好ましくは20%、特に好ましくは5%となるものが挙げられる。本発明で使用されるクチナシ赤色素(ii)の前記回収率の下限値については、特に制限されないが、例えば、0%以上、0.001%以上、0.01%以上、0.5%以上、又は1%以上であればよい。本発明で使用されるクチナシ赤色素(ii)の前記回収率として、具体的には0~60%、好ましくは0.001~40%、より好ましくは0.01~30%、更に好ましくは0.1~20%、特に好ましくは1~5%が挙げられる。
クチナシ赤色素(ii)の製造方法については、前記特性を有するものが得られることを限度として特に制限されない。例えば、アミノ酸、タンパク質加水分解物、タンパク質等のアミノ基含有化合物の中から、クチナシ赤色素(ii)の生成を可能にする特定の化合物を単独又は組み合わせて、これをアカネ科クチナシ(Gardenia augusta Merrill、又はGardenia jasminoides Ellis)の果実から得られるイリドイド配糖体のエステル加水分解物とを共存させ、β-グルコシダーゼを作用させる方法が挙げられる。
通常のクチナシ赤色素の製造では、タンパク質加水分解物が使用されているが、市販品の製造等で一般的に用いられているタンパク質加水分解物を使用しただけでは、クチナシ赤色素(ii)を得ることができない。
クチナシ赤色素(ii)を得るために使用される好適なアミノ基含有化合物である。アルギニンは、タンパク質の加水分解で得られたもの、微生物醗酵によって得られたもの等のいずれであってもよい。
イリドイド配糖体のエステル加水分解物とは、イリドイド配糖体にけるイリドイド骨格の4位に結合している基がカルボキシル基である化合物である。イリドイド配糖体のエステル加水分解物としては、通常のクチナシ赤色素の製造原料として使用できるものであればよい。
β-グルコシダーゼを作用させる際には、アルギニン及び前記イリドイド配糖体のエステル加水分解物と共に、必要に応じて、アルギニン以外のアミノ酸、タンパク質加水分解物等の他の成分を更に共存させてもよい。
β-グルコシダーゼとしては、通常のクチナシ赤色素の製造に使用されるものであればよく、その具体例等については、前記「クチナシ青色素(i)」の欄に記載の通りである。
β-グルコシダーゼによる処理は、アルギニンと前記イリドイド配糖体のエステル加水分解物の共存下でクチナシ青色素を生成できる条件下で行えばよく、その具体的条件等については、イリドイド配糖体をイリドイド配糖体のエステル加水分解物に置き換えること以外は、前記「クチナシ青色素(i)」の欄に記載の通りである。
2-1-3-1.クチナシ黄色素(iii)の特性
本発明で使用されるクチナシ黄色素(iii)は、13-シス-クロセチンを含み、オール-トランス-クロセチンを含むかまたは含まず、オールートランス-クロセチンを含む場合は、HPLCによって分析したときのオールートランス-クロセチンのピーク面積を1とした場合の13-シス-クロセチンのピーク面積が1以上であるという特性を有するクチナシ黄色素である。以下、HPLCによって分析したときのオール-トランス-クロセチンのピーク面積を1とした場合の13-シス-クロセチンのピーク面積を単に「ピーク面積比(13-cis/All-trans)」と表記することもある。このようなクチナシ黄色素(iii)を使用することによって、毛髪をムラの無い黄色に染めることが可能になる。
クチナシ黄色素(iii)の製造方法については、前記特性を有するものが得られることを限度として特に制限されないは、好適な例として、アカネ科クチナシの果実から得られるクロシン含有抽出液中のクロシンを加水分解してクロセチン含有混合溶液(当該混合溶液には、13-シス-クロセチン及びオール-トランス-クロセチンの双方が含まれる)を得る工程;得られたクロセチン含有混合溶液からオール-トランス-クロセチンを除去することによりクチナシ黄色素(iii)を得る工程を含む方法が挙げられる。このようなクチナシ黄色素(iii)の製造方法の具体的条件等は、特開2011-168649号公報等に開示されており、当該公知の内容に従って設定すればよい。
本発明のヘアカラーリング組成物は、クチナシ青色素(i)、クチナシ赤色素(ii)、及びクチナシ黄色素(iii)の中から1種を単独で使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。これらのクチナシ色素の内、いずれを使用するかについては、毛髪に付与すべき色に応じて適宜設定すればよい。
クチナシ青色素(i)を使用する場合:ヘアカラーリング組成物の色価E10% 1cmが0.01以上、好ましくは0.01~40、より好ましくは0.5~30、更に好ましくは1.0~20となる量。
クチナシ赤色素(ii)を使用する場合:ヘアカラーリング組成物の色価E10% 1cmが0.1以上、好ましくは0.1~40、より好ましくは0.5~30、更に好ましくは1.0~20となる量。
クチナシ黄色素(iii)を使用する場合:ヘアカラーリング組成物の色価E10% 1cmが0.1以上、好ましくは0.1~40、より好ましくは0.5~30、更に好ましくは1.0~20となる量。
クチナシ青色素(i)を使用する場合:クチナシ青色素(i)の含有量が0.01質量%以上、好ましくは0.01~30質量%、より好ましくは0.1~20質量%、特に好ましくは1.0~10質量%。
クチナシ赤色素(ii)を使用する場合:クチナシ赤色素(ii)含有量が0.1質量%以上、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.1~30質量%、特に好ましくは1.0~20質量%。
クチナシ黄色素(iii)を使用する場合:クチナシ黄色素(iii)含有量が0.1質量%以上、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.1~30質量%、特に好ましくは1.0~20質量%。
本発明で使用されるクチナシ青色素(i)、クチナシ赤色素(ii)、及び/又はクチナシ黄色素(iii)は、毛髪への定着性が高く、浸透促進剤を使用せずとも、優れた染毛効果があるので、本発明のヘアカラーリング組成物には、浸透促進剤が含まれていなくてもよい。但し、毛髪への浸透を更に促進することにより毛髪への色素の定着性をより一層向上させるために、浸透促進剤が含まれていてもよい。
2-3.還元剤(染色補助剤)
本発明のヘアカラーリング組成物には、還元剤が含まれていなくてもよい。但し、毛髪への色素の定着性をより一層向上させるために、還元剤が含まれていてもよい。
本発明のヘアカラーリング組成物には、アルカリ剤が含まれていなくてもよい。但し、キューティクルを開くことによって毛髪への色素の定着性をより一層向上させるために、アルカリ剤が含まれていてもよい。
本発明のヘアカラーリング組成物には、クチナシ青色素(i)、クチナシ赤色素(ii)、及び/又はクチナシ黄色素(iii)に加えて、必要に応じて、酸性染料、天然染料、ニトロ染料、分散染料等の直接染料;酸化染料等の反応型染料等を含んでいてもよい。このような他の染料の配合の有無については、毛髪に付与すべき色調等に応じて決定すればよい。
本発明のヘアカラーリング組成物のpHについては、特に制限されず、例えば、pH3.0~11.0の範囲内で適宜設定すればよい。毛髪へのダメージを抑制しつつ、色素の毛髪への定着性をより一層向上させるという観点から、本発明のヘアカラーリング組成物のpHとして、好ましくは3.0~8.5、更に好ましくは4.0~7.5、特に好ましくは6.0~7.0が挙げられる。
本発明のヘアカラーリング組成物は、毛髪を染色するために使用される。本発明のヘアカラーリング組成物は、白髪、黒髪、茶髪、金髪等のいずれの髪に適用してもよいが、白髪は本発明のヘアカラーリング組成物による染毛効果が現れ易く、好適な適用対象である。
1.クチナシ青色素の製造
先ず、粉砕した乾燥クチナシ果実2500gに60%(v/v)エタノール水溶液25000gを加え、60℃で1時間撹拌し抽出した。残渣に再度50%(v/v)エタノール水溶液を適量添加して二次抽出し、あわせてクロシン含有抽出液とした。得られたクロシン含有抽出液を減圧濃縮し、色価E10% 1cmが500のクロシン含有濃縮抽出液を得た。このクロシン含有濃縮抽出液をスチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤(「ダイヤイオンTM HP20:三菱化学株式会社製)にSV=2で通液し、色素成分を吸着させた。次いで20%(v/v)エタノールをSV=2で通液し、流出画分を採取した。この流出画分を、減圧濃縮することにより、黄色素が除去され、ゲニポサイドを含有するクチナシ果実抽出物(液状)を得た。このクチナシ果実抽出物(液状)のゲニポサイド含有量は、45.0%(w/w)であった。
前記で得られた各クチナシ青色素溶液を、色価E10% 1cmが1になるように20%(v/v)エタノール水溶液に溶解させて、サンプル溶液を調製した。内径2cmのガラスカラムに、ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂(「ダイヤイオンTM WK10(H形)」(三菱化学株式会社製;アルカリ吸着容量2.5mep/ml-R以上、水分53~59%、粒度分布1、180μm以上5%以下、300μm未満1%以下、有効径0.40mm以上、真比重1.13、有効pH範囲5~14、及び耐用温度150℃以下)を20ml分充填し、当該イオン交換樹脂を通常の方法でNa形に変換した後に、通常の方法でコンディショニングを行った。そこに、サンプル溶液15mlをチャージし、流速SV=5で通液した。その後、20%(v/v)エタノール水溶液でイオン交換樹脂を洗浄した。記サンプル溶液の通液時の流出液、及び洗浄時の流出液を合計200mlになるまで回収し、これを回収液とした。得られた回収液の600nm付近の極大吸収波長の吸光度を測定した。なお、極大吸収波長がない場合は600nmの吸光度を測定した。得られた吸光度の値から、前述する式に従って、色素成分の回収率(%)を算出した。また、市販品のクチナシ青色素(「クチナブルーカラー1250P」、グリコ栄養食品株式会社製)についても、同様の分析を行った。各クチナシ青色の色素成分の回収率(%)は、表1に示す通りであった。
が格段に高い値になっており、更に外観上も優れた染毛効果が確認された(実施例1-1~1-4)。
実施例1-1、比較例1-1、1-2、及び1-6で得られたクチナシ青色素溶液を用いて、色価E10% 1cm=8.0となるよう水で希釈し、その後、塩酸にてpHを3.0に調整して染色液を得た。得られた染色液を使用して、前記「3.染毛試験(1)」と同条件で染毛試験を行った。
実施例1-1で得られたクチナシ青色素溶液を用いて、色価E10% 1cm=8.0となるよう水で希釈し、その後、水酸化ナトリウムにてpHを7.0に調整して染色液を得た。
1.クチナシ赤色素の製造
前記試験例1に示す条件で、乾燥クチナシ果実から、黄色素が除去され、ゲニポサイドを含有するクチナシ果実抽出物(液状)を得た。得られたクチナシ果実抽出物(液状)50gを水に溶解した後に水酸化カリウムを用いてpHを13.0に調整し、水で全量を60mLとして40℃にて24時間反応させ、イリドイド配糖体のエステル加水分解物を生成させた。次に、得られた反応液にクエン酸等のpH調整剤を用いてpHを4.5に調整し、β-グルコシダーゼ(1500U/g、「スミチームC」、新日本化学工業株式会社製)を10.0g加え、更に表4に示す各種アミノ酸の所定量を添加し、50℃の温度で24時間通気撹拌した後、90℃、1時間加熱処理を行った。次いで、濾過にて液分離処理を実施してクチナシ赤色素溶液を得た。
吸光度の測定波長を535nm付近の極大吸収波長に設定したこと以外は、前記試験例1の「2.クチナシ青色素の分析」と同様の条件で、各クチナシ赤色の色素成分の回収率(%)を求めた。各クチナシ青色の色素成分の回収率(%)は、表5に示す通りであった。また、市販品のクチナシ赤色素(「ガーデニアンレッドG」(タイショーテクノス社製)についても、同様の分析を行った。
前記で得られたクチナシ赤色素溶液の一部を抜き取り、色価E10% 1cm=2.7となるよう水で希釈し、その後、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整したものを染色液とした。得られた染色液を使用して、前記試験例1の「3.染毛試験(1)」と同条件で染毛試験を行った。
実施例2-1で得られたクチナシ赤色素溶液を用いて、色価E10% 1cm=2.7となるよう水で希釈し、その後、塩酸にてpHを3.0に調整して染色液を得た。得られた染色液を使用して、前記「3.染毛試験(1)」と同条件で染毛試験を行った。
1.クチナシ黄色素の製造
粉砕した乾燥クチナシ果実2500gに50%(v/v)エタノール水溶液25000gを加え、60℃で1時間撹拌し抽出した。残渣に再度50%(v/v)エタノール水溶液を適量添加して二次抽出し、あわせてクロシン含有抽出液とした。得られたクロシン含有抽出液を減圧濃縮し、色価500のクロシン含有濃縮抽出液を得た。色価500のクロシン含有濃縮抽出液450gを水2050gで希釈して色価90のクロシン含有液2500gとした。そのクロシン含有液に10質量%水酸化カリウム水溶液を添加し、pH12.0に調整した。そのまま35℃で20時間攪拌することにより、クロシンを加水分解しクロセチン化した。その後、濃塩酸を添加しpH3.0に調整して60分間攪拌することによりクロセチンを析出させた。析出したクロセチンをフィルタープレスにより粗クロセチンケーキとして回収した。この粗クロセチンケーキを酸がなくなるまで水洗した。水洗後のクロセチンケーキ50gを水500gに分散し、10重量%水酸化カリウム水溶液を添加してpH12.0に調整して30分間攪拌することによりクロセチンケーキを溶解させてクロセチン含有アルカリ性混合液を得た。このクロセチン含有アルカリ性混合液へ濃塩酸を添加し、pH7.7に調整したことによりクロセチン含有弱アルカリ性混合液を得た。調整したクロセチン含有弱アルカリ性混合液をすみやかに再度フィルタープレスで濾過し、クチナシ黄色素含有液(13-シス-クロセチン高含有濾液)を得た。この時点のケーキはトランス-クロセチン高含有ケーキであり、このケーキを乾燥して粉砕することにより、トランス-クロセチン高含有クロセチン粉末を得ることができた。クチナシ黄色素含有液(13-シス-クロセチン高含有濾液)に塩酸を添加し、pH3.0に調整して析出させた。フィルタープレスにより得られたケーキを乾燥してクチナシ黄色素粉末(13-シス-クロセチン高含有クロセチン粉末)を得た。
得られたクチナシ黄色素粉末を下記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析することにより、オール-トランス-クロセチンと13-シス-クロセチンとのピーク面積の比(ピーク面積比(13-cis/All-trans))を求めた。その結果、得られたクチナシ黄色素粉末のピーク面積比(13-cis/All-trans)は、5.7であった。
<HPLCの条件>
カラム:Inertsil ODS-3 5μm 4.6×250mm(GLサイエンス社製)
溶媒:A液:1%(v/v)酢酸、 B液:アセトニトリル
流速:1ml/分
カラム温度:40℃
検出器:フォトダイオードアレイ(PDA)(417.0nm)
タイムプログラム:
時間 B液濃度
0分 20%
20分 80%
30分 80%
30.01分 20%
40分 20%
前記で得られたクチナシ黄色素粉末を色価E10% 1cm=2.7となるよう水で希釈し、その後、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整したものを染色液とした。得られた染色液を使用して、前記試験例1の「3.染毛試験(1)」と同条件で染毛試験を行った。また、比較のために、市販のクロシン高含有タイプのクチナシ黄色素(「クチナカラー400PS」、グリコ栄養食品株式会社製;比較例3-1)、及び市販のクロセチン高含有タイプのクチナシ黄色素(「クチナカラー1600P」、グリコ栄養食品株式会社製;比較例3-2)を用いて、同様に試験を行った。
Claims (6)
- 下記(i)~(iii)に示す少なくとも1種のクチナシ色素を含有する、ヘアカラーリング組成物:
(i) アルギニン又はアルギニンを40質量%以上含むアミノ酸混合物とイリドイド配糖体とを用いて得られ、ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が85%以下になる、クチナシ青色素。
(ii) アルギニン又はアルギニンを50質量%以上含むアミノ酸混合物とイリドイド配糖体のエステル加水分解物とを用いて得られ、ナトリウムイオン型のメタクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂に通液した場合、当該樹脂に吸着されずに流出される色素成分の回収率が60%以下になる、クチナシ赤色素。
(iii)13-シス-クロセチンを含み、オール-トランス-クロセチンを含むかまたは含まず、オール-トランス-クロセチンを含む場合は、HPLCによって分析したときのオール-トランス-クロセチンのピーク面積を1とした場合の13-シス-クロセチンのピーク面積が1以上である、クチナシ黄色素。 - 前記(i)に示すクチナシ青色素を含み、当該クチナシ青色素における前記回収率が65%以下である、請求項1に記載のヘアカラーリング組成物。
- 前記(ii)に示すクチナシ赤色素を含み、当該クチナシ赤色素における前記回収率が40%以下である、請求項1に記載のヘアカラーリング組成物。
- 前記(iii)に示すクチナシ黄色素を含み、当該クチナシ黄色素がオール-トランス-クロセチンを含み、HPLCによって分析したときのオール-トランス-クロセチンのピーク面積を1とした場合の13-シス-クロセチンのピーク面積が1~10000である、請求項1に記載のヘアカラーリング組成物。
- 白髪の染毛に使用される、請求項1~4のいずれかに記載のヘアカラーリング組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載のヘアカラーリング組成物を用いて、毛髪を染色する、染毛方法。
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