JP7360903B2 - めっき方法 - Google Patents
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ヒドロキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物の塩、アンモニウム塩、およびハロゲン化塩から選択される少なくとも1種を含有する水溶液を用いて、前記金属基材の表面を水洗する水洗工程と、
水洗を行った前記金属基材の表面に、めっきを行うめっき工程とを備え、
前記金属基材が、鉄系金属基材、ニッケル系金属基材、銅系金属基材、および銀系金属基材から選択されるいずれかであるめっき方法が提供される。
本発明のめっき方法において、前記無電解めっきを行う際における無電解めっき浴中の金属イオン濃度が1.0~7.0g/Lであることが好ましい。
本発明のめっき方法において、前記金属基材が、鉄系金属基材であることが好ましい。
本発明のめっき方法において、前記鉄系金属基材が、ステンレス鋼であることが好ましい。
本発明のめっき方法において、前記金属基材を、硫酸水溶液、硝酸水溶液、硫酸を主とする混酸の水溶液、フッ酸水溶液、およびフッ化水素アンモニウム水溶液から選ばれる水溶液中に浸漬させることで、前記金属基材の表面活性化処理を行う表面活性化処理工程をさらに備え、前記水洗工程が、前記表面活性化処理を行った前記金属基材に対し、前記水溶液を用いた水洗を行う工程であることが好ましい。
金属基材の表面をめっきする方法であって、
ヒドロキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物の塩、アンモニウム塩、およびハロゲン化塩から選択される少なくとも1種を含有する水溶液を用いて、前記金属基材の表面を水洗する水洗工程と、
水洗を行った前記金属基材の表面に、めっきを行うめっき工程とを備え、
前記金属基材が、鉄系金属基材、ニッケル系金属基材、銅系金属基材、および銀系金属基材から選択されるいずれかであるものである。
まず、本発明のめっき方法において用いられる、めっきの対象となる金属基材について、説明する。
本発明のめっき方法で用いる金属基材としては、鉄系金属基材、ニッケル系金属基材、銅系金属基材、および銀系金属基材のいずれかであれば特に限定されないが、これらのなかでも、本発明の作用効果がより一層顕著になるという点より、鉄系金属基材が好ましい。また、金属基材としては、鉄、ニッケル、銅、あるいは銀などの各金属基材を構成する金属単体からなるものであっても、これらの金属を含む合金からなるものであってもよい。さらに、金属基材としては、基材となる材料の表面に、鉄、ニッケル、銅、または銀、あるいはこれらの合金をめっきすることにより得られたものであってもよい。
次いで、本発明のめっき方法について説明する。
本発明のめっき方法の水洗工程は、ヒドロキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物の塩、アンモニウム塩、およびハロゲン化塩から選択される少なくとも1種を含有する水溶液を用いて、金属基材の表面を水洗する工程である。
本発明のめっき方法のめっき工程は、上記水洗工程において、水洗を行った金属基材の表面に、めっきを行うことで、金属基材の表面にめっき膜を形成する方法である。
まず、鉄系金属基材として、ステンレス鋼材(SUS316L)を準備した。次いで、ステンレス鋼材を、温度50℃に調整したアルカリ脱脂剤(商品名「フォーミュラー618-TK2」、日本クエーカーケミカル社製)の水溶液中に、2分間の条件にて浸漬させることで、脱脂を行った。次いで、脱脂を行ったステンレス鋼材を水道水で水洗した後、温度50℃に調整した25体積%の塩酸水溶液中に、30秒間浸漬させることで、酸洗処理を行った。次いで、酸洗処理を行ったステンレス鋼材を水道水で水洗した後、温度70℃に調整した25体積%の硫酸水溶液中に、30秒間浸漬させることで、表面活性化処理を行った。
次いで、クエン酸含有水溶液を用いた水洗を行ったステンレス鋼材について、下記に示すパラジウムめっき浴と、ニッケルめっき浴とを、パラジウムめっき浴:ニッケルめっき浴=3:1(体積比)の割合で混合した無電解めっき浴を用いて、温度37℃、4分間の条件で、無電解めっき処理を施すことにより、クエン酸含有水溶液を用いた水洗を行ったステンレス鋼材の表面(表面および裏面)に、厚さ40nmのNi-Pd-P合金めっき膜を形成することで、めっき膜形成ステンレス鋼材を得た。なお、めっき浴中におけるパラジウム塩、還元剤、および錯化剤については、従来公知の化合物を用いた。また、パラジウムめっき浴と、ニッケルめっき浴とを混合しためっき浴中におけるNi:Pd(モル比)は、0.88:1.0であった(無電解合金めっき浴中に含まれる合計の金属イオンの濃度:2.5g/L)。
<パラジウムめっき浴>
パラジウム塩:パラジウムめっき浴中におけるPd量が0.2重量%となる量
還元剤:1.8重量%
錯化剤:0.63重量%
水:97.2重量%
pH:5.5
<ニッケルめっき浴>
ニッケル塩:ニッケルめっき浴中におけるNi量が0.6重量%となる量
還元剤(次亜燐酸ソーダ):2.4重量%
錯化剤:2.4重量%
水:93.2重量%
pH:5.2
得られためっき膜形成ステンレス鋼材について、めっき膜の表面に粘着テープ(ニチバン株式会社製 ナイスタック強力タイプ)を貼付した後、勢いよく基板に対して垂直方向に引きはがすことによりテープ剥離試験を実施した。そして、テープ剥離試験前、およびテープ剥離試験後のめっき膜形成ステンレス鋼材のめっき膜形成面に対し、蛍光X線測定(株式会社リガク製 蛍光X線分析装置 型式ZSX)を行い、蛍光X線測定の結果に基づいて、下記式にしたがって、めっき膜の残存率を求めた。めっき膜の残存率が高いほど、めっき膜の密着性が高いと判断できる。
めっき膜の残存率(%)={(テープ剥離試験後の、蛍光X線測定によるPd強度)/(テープ剥離試験前の、蛍光X線測定によるPd強度)}×100
得られためっき膜形成ステンレス鋼材を、pH=2の硫酸水溶液中に、温度90℃、100時間の条件で浸漬させ、100時間浸漬させた後における、基材となるステンレス鋼材からの鉄(Fe)の溶出量を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)(株式会社島津製作所製 型式ICPE―9820)により測定した。鉄(Fe)の溶出量が少ないほど、耐食性に優れると判断できる。
得られためっき膜形成ステンレス鋼材について、抵抗測定を行った。具体的には、幅20mm、長さ20mmの大きさに加工した、めっき膜形成ステンレス鋼材について、電気接点シミュレータ(株式会社山崎精機研究所製 型式CRS―1)を用いて接触抵抗値を測定した。なお、鉄系金属基材であるステンレス鋼材の接触抵抗値を測定したところ、200mΩであった。
得られためっき膜形成ステンレス鋼材の、めっき膜形成面について、目視にてめっきムラの有無を確認し、以下の基準で評価した。
◎:めっき膜の表面は均一であり、めっきムラは確認できなかった。
〇:めっき膜の表面は均一であったが、僅かにめっきムラが確認された。
×:めっきムラが顕著に発生していた。
クエン酸含有水溶液を用いた水洗を、100g/Lのクエン酸含有水溶液に代えて、40g/Lのクエン酸含有水溶液(pH:1.98)を使用して行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液を用いた水洗を、100g/Lのクエン酸含有水溶液に代えて、20g/Lのクエン酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液を用いた水洗を、100g/Lのクエン酸含有水溶液に代えて、5g/Lのクエン酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液を用いた水洗を、100g/Lのクエン酸含有水溶液に代えて、2g/Lのクエン酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液を用いた水洗を、100g/Lのクエン酸含有水溶液に代えて、1g/Lのクエン酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、クエン酸ナトリウムを20g/Lの濃度で含有するクエン酸ナトリウム含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、リンゴ酸を20g/Lの濃度で含有するリンゴ酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
リンゴ酸含有水溶液を用いた水洗を、20g/Lのリンゴ酸含有水溶液に代えて、1g/Lのリンゴ酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例8と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、酒石酸を20g/Lの濃度で含有する酒石酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
酒石酸含有水溶液を用いた水洗を、20g/Lの酒石酸含有水溶液に代えて、1g/Lの酒石酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例10と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、ギ酸を20g/Lの濃度で含有するギ酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、酢酸を20g/Lの濃度で含有する酢酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、コハク酸を20g/Lの濃度で含有するコハク酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、シュウ酸を20g/Lの濃度で含有するシュウ酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、安息香酸を20g/Lの濃度で含有する安息香酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、エチレンジアミン四酢酸の2ナトリウム塩を20g/Lの濃度で含有するエチレンジアミン四酢酸の2ナトリウム塩含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、エタノールを20g/Lの濃度で含有するエタノール含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、塩化ナトリウムを20g/Lの濃度で含有する塩化ナトリウム含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、硫酸アンモニウムを20g/Lの濃度で含有する硫酸アンモニウム含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
クエン酸含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、特定の金属基材の表面に、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液を用いて、金属基材の表面を水洗し、このような水洗を行った後に、めっきを行うことでめっき膜を形成した場合には、得られるめっき膜のめっきムラの発生を低減でき、かつ、形成されるめっき膜を、密着性に優れたものとすることが可能であった(実施例1~20)。
特に、金属基材として、鉄系金属基材を用いた場合には、形成されるめっき膜を、密着性に優れたものとすることに加え、鉄系金属基材を耐食性にも優れたものとすることが可能であった(実施例1~20)。
また、めっき膜として、Ni-Pd-P合金めっき膜を用いた場合には、形成されるめっき膜を、密着性に優れたものとすることに加え、接触抵抗値も低いものとすることが可能であった(実施例1~20)。
一方、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用した場合には、得られるめっき膜のめっきムラの発生が顕著となり、また、形成されるめっき膜は、密着性にも劣るものであった(比較例1)。
特に、金属基材として、鉄系金属基材を用いた場合には、形成されるめっき膜は、密着性に劣るものであることに加え、耐食性にも劣るものであった(比較例1)。
また、めっき膜として、Ni-Pd-P合金めっき膜を用いた場合には、形成されるめっき膜は、密着性に劣るものであることに加え、接触抵抗値も高いものであった(比較例1)。
ニッケル系金属基材として、電鋳法により形成されたニッケル板を準備した。次いで、ニッケル板を、温度50℃に調整したアルカリ脱脂剤(商品名「フォーミュラー618-TK2」、日本クエーカーケミカル社製)の水溶液中に、2分間の条件にて浸漬させることで、脱脂を行った。次いで、温度70℃に調整した25体積%の硫酸水溶液中に、30秒間浸漬させることで、表面活性化処理を行った。
ニッケル板に代えて、ニッケル系金属基材として、鋼板表面に電解ニッケルめっきにより形成されたニッケルめっき層を有するニッケルめっき鋼板を使用するとともに、クエン酸含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用して水洗を行った以外は、実施例21と同様にしてめっき膜形成ニッケルめっき鋼板を得た。しかしながら、得られためっき膜形成ニッケルめっき鋼板は、めっき膜が形成できていないものであったか、もしくは、形成しためっき膜が、形成後すぐにニッケルめっき鋼板から剥離してしまうものであった。そのため、得られためっき膜形成ニッケルめっき鋼板について、密着性試験およびめっきムラの確認の評価を行うことができなかった。
表2に示すように、特定の金属基材の表面に、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液を用いて、金属基材の表面を水洗し、このような水洗を行った後に、めっきを行うことでめっき膜を形成した場合には、得られるめっき膜のめっきムラの発生を低減でき、かつ、形成されるめっき膜を、密着性に優れたものとすることが可能であった(実施例21)。
一方、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用した場合には、めっき膜の密着性が非常に劣るものであり、金属基材の表面にめっき膜が形成できないか、もしくは、形成しためっき膜が、形成後すぐに金属基材から剥離してしまい、そもそもめっき膜形成金属基材を得ることができなかった(比較例2)。
実施例1と同様にして得られたクエン酸含有水溶液を用いた水洗を行ったステンレス鋼材について、公知のリンゴ酸-コハク酸系高リンタイプの無電解ニッケルリンめっき浴を用いて、温度85度、120分間の条件で、無電解めっき処理を施すことにより、クエン酸含有水溶液を用いた水洗を行ったステンレス鋼材の表面(表面および裏面)に、厚さ10μmのNi-P合金めっき膜を形成することで、めっき膜形成ステンレス鋼材を得た。なお、めっき浴中におけるニッケル塩、還元剤、および酸化剤については、従来公知の化合物を用いた。
得られためっき膜形成ステンレス鋼材について、めっき膜の表面に粘着テープ(ニチバン株式会社製 ナイスタック強力タイプ)を貼付した後、勢いよく基板に対して垂直方向に引きはがすことによりテープ剥離試験を実施した。そして、テープ剥離試験前、およびテープ剥離試験後のめっき膜形成ステンレス鋼材のめっき膜形成面に対し、蛍光X線測定(株式会社リガク製 蛍光X線分析装置 型式ZSX)を行い、蛍光X線測定の結果に基づいて、下記式にしたがって、めっき膜の残存率を求めた。めっき膜の残存率が高いほど、めっき膜の密着性が高いと判断できる。結果を表3に示す。
めっき膜の残存率(%)={(テープ剥離試験後の、蛍光X線測定によるNi強度)/(テープ剥離試験前の、蛍光X線測定によるNi強度)}×100
得られためっき膜形成ステンレス鋼材について、実施例1と同様にして、抵抗測定の評価を行った。結果を表3に示す。
得られためっき膜形成ステンレス鋼材について、実施例1と同様にして、めっきムラの確認の評価を行った。結果を表3に示す。
クエン酸含有水溶液を用いた水洗を、100g/Lのクエン酸含有水溶液に代えて、20g/Lのクエン酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例22と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
得られためっき膜形成ステンレス鋼材を、5重量%の塩酸水溶液中に、温度30℃、72時間の条件で浸漬させ、72時間浸漬させた後における、基材となるステンレス鋼材からの鉄(Fe)の溶出量を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)(株式会社島津製作所製 型式ICPE―9820)により測定した。鉄(Fe)の溶出量が少ないほど、耐食性に優れると判断できる。その結果、鉄の溶出量は、0.8重量ppmであった。
クエン酸含有水溶液を用いた水洗を、100g/Lのクエン酸含有水溶液に代えて、1g/Lのクエン酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例22と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。また、耐食性試験について、実施例23と同様に評価を行ったところ、鉄の溶出量は、0.78重量ppmであった。
クエン酸含有水溶液に代えて、リンゴ酸を20g/Lの濃度で含有するリンゴ酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例22と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
リンゴ酸含有水溶液を用いた水洗を、20g/Lのリンゴ酸含有水溶液に代えて、1g/Lのリンゴ酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例25と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。また、耐食性試験について、実施例23と同様に評価を行ったところ、鉄の溶出量は、0.75重量ppmであった。
クエン酸含有水溶液に代えて、酒石酸を20g/Lの濃度で含有する酒石酸含有水溶液を使用して水洗を行った以外は、実施例22と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
酒石酸含有水溶液を用いた水洗を、20g/Lの酒石酸含有水溶液に代えて、1g/Lの酒石酸含有水溶液を使用して行った以外は、実施例27と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。また、耐食性試験について、実施例23と同様に評価を行ったところ、鉄の溶出量は、0.85重量ppmであった。
クエン酸含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用して水洗を行った以外は、実施例22と同様にして、めっき膜形成ステンレス鋼材を得て、密着性試験およびめっきムラの確認について、同様に評価を行った。結果を表3に示す。また、耐食性試験について、実施例23と同様に評価を行ったところ、鉄の溶出量は、3.8重量ppmであった。なお、形成されためっき膜は、密着性が悪く、指でこするだけで剥離してしまうものであったため、抵抗測定を行うことができなかった。
表3に示すように、特定の金属基材の表面に、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液を用いて、金属基材の表面を水洗し、このような水洗を行った後に、めっきを行うことでめっき膜を形成した場合には、得られるめっき膜のめっきムラの発生を低減でき、かつ、形成されるめっき膜を、密着性に優れたものとすることが可能であった(実施例22~28)。
また、めっき膜として、Ni-P合金めっき膜を用いた場合には、形成されるめっき膜を、密着性に優れたものとすることに加え、Ni-P合金めっき膜を形成していない場合の接触抵抗値である200mΩと比較して、接触抵抗値も低いものとすることが可能であった(実施例22~28)。
一方、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用した場合には、得られるめっき膜のめっきムラの発生が顕著となり、また、形成されるめっき膜は、密着性にも劣るものであった(比較例3)。
また、金属基材として、鉄系金属基材を用いた場合には、形成されるめっき膜が密着性に劣ることにより、耐食性試験において塩酸水溶液に浸漬させた際、めっき膜が浮いてしまい、金属基材が露出してしまうことから、耐食性にも劣るものであった(比較例3)。
銅系金属基材として銅板を準備した。次いで、銅板を、温度50℃に調整したアルカリ脱脂剤(商品名「フォーミュラー618-TK2」、日本クエーカーケミカル社製)の水溶液中に、2分間の条件にて浸漬させることで、脱脂を行った。次いで、温度70℃に調整した25体積%の硫酸水溶液中に、30秒間浸漬させることで、表面活性化処理を行った。
実施例29と同様にして、脱脂および表面活性化処理を行った銅板を準備した。次いで、クエン酸含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用して水洗を行った以外は、実施例1と同様にして、めっき膜形成銅板を得た。しかしながら、得られためっき膜形成銅板は、めっき膜が形成できていないものであったか、もしくは、形成しためっき膜が、形成後すぐに銅板から剥離してしまうものであった。そのため、得られためっき膜形成銅板について、密着性試験およびめっきムラの確認の評価を行うことができなかった。
表4に示すように、特定の金属基材の表面に、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液を用いて、金属基材の表面を水洗し、このような水洗を行った後に、めっきを行うことでめっき膜を形成した場合には、得られるめっき膜のめっきムラの発生を低減でき、かつ、形成されるめっき膜を、密着性に優れたものとすることが可能であった(実施例29)。
一方、特定処理剤を含有する特定処理剤含有水溶液に代えて、特定処理剤を含有しないイオン交換水を使用した場合には、めっき膜の密着性が非常に劣るものであり、金属基材の表面にめっき膜が形成できないか、もしくは、形成しためっき膜が、形成後すぐに金属基材から剥離してしまい、そもそもめっき膜形成金属基材を得ることができなかった(比較例4)。
Claims (4)
- 金属基材の表面をめっきする方法であって、
ヒドロキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物、カルボキシル基含有有機化合物の塩、アンモニウム塩、およびハロゲン化塩から選択される少なくとも1種を含有する水溶液を用いて、前記金属基材の表面を水洗する水洗工程と、
水洗を行った前記金属基材の表面に、めっきを行うめっき工程と、
前記金属基材を、硫酸水溶液、硝酸水溶液、硫酸を主とする混酸の水溶液、フッ酸水溶液、およびフッ化水素アンモニウム水溶液から選ばれる水溶液中に浸漬させることで、前記金属基材の表面活性化処理を行う表面活性化処理工程と、を備え、
前記金属基材が、鉄系金属基材、ニッケル系金属基材、銅系金属基材、および銀系金属基材から選択されるいずれかであり、
前記金属基材が、鉄系金属基材であり、
前記水洗工程が、前記表面活性化処理を行った前記金属基材に対し、前記水溶液を用いた水洗を行う工程であるめっき方法。 - 前記金属基材の表面のめっきを、無電解めっきにより行う請求項1に記載のめっき方法。
- 前記無電解めっきを行う際における無電解めっき浴中の金属イオン濃度が1.0~7.0g/Lである請求項2に記載のめっき方法。
- 前記鉄系金属基材が、ステンレス鋼である請求項1~3のいずれかに記載のめっき方法。
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