JPH11323567A - 無電解めっき方法 - Google Patents

無電解めっき方法

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JPH11323567A
JPH11323567A JP13001798A JP13001798A JPH11323567A JP H11323567 A JPH11323567 A JP H11323567A JP 13001798 A JP13001798 A JP 13001798A JP 13001798 A JP13001798 A JP 13001798A JP H11323567 A JPH11323567 A JP H11323567A
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JP
Japan
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acid
acids
iron
based material
sodium
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Application number
JP13001798A
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English (en)
Inventor
Kazuhisa Naito
和久 内藤
Kenji Hara
健二 原
Yutaka Nakagishi
豊 中岸
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Okuno Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
Okuno Chemical Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鉄系材料に対して、欠陥のない均一な無電解ニ
ッケルリンめっき皮膜であって、特に防錆性能に優れた
めっき皮膜を形成できる方法を提供する。 【解決手段】鉄系材料を下記の工程で順次処理すること
を特徴とする無電解めっき方法: (1)炭素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜1
0のジカルボン酸、、オキシカルボン酸、及びこれらの
塩から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸類を含有す
るアルカリ性水溶液に、脱脂処理をした鉄系材料を浸漬
する工程、(2)上記(1)工程で処理された鉄系材料
を、炭素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜10
のジカルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩か
ら選ばれた少なくとも一種のカルボン酸類を含有する酸
性水溶液に浸漬する工程、(3)上記(2)工程で処理
された鉄系材料を、無電解ニッケルリンめっき液に浸漬
して無電解ニッケルリンめっき皮膜を形成する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄系材料に無電解
ニッケルリンめっき皮膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼材料等の鉄系材料に無電解ニッケル
リンめっき皮膜を形成する方法としては、従来は、溶剤
への浸漬処理、アルカリ性水溶液への浸漬処理及びアル
カリ性水溶液中での電解処理を順次行なうことによっ
て、被めっき物に付着した油脂成分などの汚れを除去し
た後、塩酸、硫酸などの鉱酸水溶液に浸漬して被めっき
物表面を活性化し、その後、無電解ニッケルリンめっき
を行い、次いで重クロム酸塩水溶液に浸漬して、無電解
ニッケルリンめっき皮膜の保護膜を形成する処理方法が
広く行われている。
【0003】この方法は、すでに技術的に確立された信
頼性の高い方法として長年使用されてきた実績がある
が、鉄鋼材料の形状や材料表面の凹凸の状態等によって
は、鉄鋼材料に付着した油脂成分などの汚れを完全に除
去することが困難な場合がある。また、塩酸、硫酸など
の鉱酸水溶液を用いて活性化処理を行うと、鉄鋼材料の
表面が激しく腐食されるという欠点もある。このため、
上記した従来の処理方法では、形成される無電解ニッケ
ルリンめっき皮膜が不均一となり易く、欠陥の多い無電
解ニッケルリンめっき皮膜が形成されて、十分な防錆効
果が発揮できない場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
鉄系材料に対して、欠陥のない均一な無電解ニッケルリ
ンめっき皮膜であって、特に防錆性能に優れためっき皮
膜を形成できる方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
技術の現状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、無電解ニッ
ケルリンめっき処理に先立って、特定のカルボン酸類を
含有するアルカリ性溶液に浸漬して被めっき物の表面調
整を行った後、特定のカルボン酸類を含有する酸性溶液
に浸漬して被めっき物表面を活性化する処理を行うこと
によって、均一で耐食性に優れた無電解ニッケルリンめ
っき皮膜を形成できることを見出した。更に、脱脂処理
として、アルカリ性浸漬脱脂、酸性浸漬脱脂、及び起泡
性浸漬脱脂を組み合わせた方法を採用することによっ
て、より良好なめっき皮膜を形成することができ、ま
た、無電解ニッケルリンめっき液として、オキシカルボ
ン酸を含有する特定のめっき液を用いる場合や、無電解
めっきを行った後リン酸塩を含有する特定の処理液を用
いて保護膜を形成する場合には、欠陥が殆どなく、極め
て耐食性に優れた無電解ニッケルリンめっき皮膜を形成
できることを見出し、ここに本発明を完成するに至っ
た。
【0006】即ち、本発明は、以下の無電解めっき方
法、及び無電解めっき皮膜が形成された鉄系材料を提供
するものである。
【0007】1.鉄系材料を下記の工程で順次処理する
ことを特徴とする無電解めっき方法: (1)炭素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜1
0のジカルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩
から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸類を含有する
アルカリ性水溶液に、脱脂処理をした鉄系材料を浸漬す
る工程、(2)上記(1)工程で処理された鉄系材料
を、炭素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜10
のジカルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩か
ら選ばれた少なくとも一種のカルボン酸類を含有する酸
性水溶液に浸漬する工程、(3)上記(2)工程で処理
された鉄系材料を、無電解ニッケルリンめっき液に浸漬
して無電解ニッケルリンめっき皮膜を形成する工程。
【0008】2.(1)工程及び(2)工程で用いるカ
ルボン酸類が、それぞれ、ギ酸、酢酸、しゅう酸、マロ
ン酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれ
た少なくとも一種である上記項1に記載の方法。
【0009】3.(1)工程で用いる鉄系材料が、下記
(i)〜(iii)の工程で脱脂処理されたものである上
記項1に記載の方法: (i)アルカリ性浸漬脱脂液に浸漬する工程、(ii)炭
素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜10のジカ
ルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩から選ば
れた少なくとも一種のカルボン酸類、並びにノニオン系
界面活性剤及びアニオン系界面活性剤から選ばれた少な
くとも一種の界面活性剤を含む水溶液からなる酸性浸漬
脱脂液に浸漬する工程、(iii)炭素数1〜10のモノ
カルボン酸、炭素数2〜10のジカルボン酸、オキシカ
ルボン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくとも一種
のカルボン酸類、並びに過酸化水素を含有する起泡性浸
漬脱脂液に浸漬する工程。
【0010】4.上記項3に記載した脱脂処理におい
て、(ii)工程及び(iii)工程で用いるカルボン酸類
が、それぞれ、ギ酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、コハ
ク酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒
石酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくと
も一種である上記項3に記載の方法。
【0011】5.無電解ニッケルリンめっき液が、ニッ
ケル塩、次亜リン酸塩、及びオキシカルボン酸類を含有
する水溶液である上記項1〜4のいずれかに記載の方
法。
【0012】6.無電解ニッケルリンめっき皮膜を形成
した後、更に、リン酸塩、酸化剤及びアルカリ金属水酸
化物を含有するアルカリ性水溶液に浸漬する処理を行う
上記項1〜5のいずれかに記載の方法。
【0013】7.リン酸塩が、リン酸ナトリウム、リン
酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン
酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、及びピロリン酸カ
リウムから選ばれた少なくとも一種であり、酸化剤が過
酸化水素水、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸
化ナトリウム、過酸化カリウム、過マンガン酸ナトリウ
ム、及び過マンガン酸カリウムから選ばれた少なくとも
一種である上記項6に記載の方法。
【0014】8.上記項1〜7のいずれかの方法によっ
て、無電解ニッケルリンめっき皮膜が形成された鉄系材
料。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、鉄系材料に無電
解ニッケルリンめっき皮膜を形成する方法である。処理
対象とする鉄系材料としては、極軟鋼、軟鋼、硬鋼等の
炭素鋼材料、クロム鋼、ニッケルクロム鋼、クロムモリ
ブデン鋼等の合金鋼材料、ステンレス鋼、工具鋼、快削
鋼等の特殊用途鋼材料、鍛鋼、鋳鋼、鋳鉄鋼等の鍛鋳造
品材料等を挙げることができる。処理対象物の種類につ
いても、特に限定はなく、ボルト、ナット等の機械部
品、シャフト、ロール等のOA機械部品、時計、カメ
ラ、電子顕微鏡等の精密部品等を例示できる。
【0016】本発明の方法では、脱脂処理を行った鉄系
材料を被めっき物として、下記の特定の方法で表面調整
処理及び活性化処理を行ない、その後、無電解ニッケル
リンめっきを行うことが必要である。以下に、本発明に
おける各処理工程について詳細に説明する。尚、各処理
工程の間には、通常、水洗処理を行うが、その記載は省
略する。
【0017】脱脂処理工程 本発明方法で用いる被めっき物は、十分に脱脂処理を行
った鉄系材料であればよい。脱脂方法については、特に
限定はなく、公知の脱脂方法、例えば、溶剤脱脂、浸漬
脱脂、電解脱脂等の方法を適宜適用でき、必要に応じ
て、これらの方法を組み合わせて行えば良い。
【0018】本発明では、特に、脱脂処理として、以下
のアルカリ性浸漬脱脂、酸性浸漬脱脂、及び気泡性浸漬
脱脂の各処理を順次行うことが好ましい。この様な脱脂
処理方法によれば、複雑な形状を有する鉄系材料や油分
などの汚れの付着量の多い材料であっても、簡単な処理
で十分に汚れを除去することができる。
【0019】(i)アルカリ性浸漬脱脂処理 アルカリ性浸漬脱脂の具体的な方法については、特に限
定されるものではなく、公知のアルカリ性浸漬脱脂用の
脱脂液及び処理条件を適宜適用できる。脱脂液(水溶
液)の組成及び処理条件の一例を挙げると下記の通りで
ある。
【0020】 水酸化ナトリウム 5〜100g/l、より好ましくは30〜60g/l 界面活性剤 0.5〜5g/l、より好ましくは1〜2g/l 処理温度 20〜90℃、より好ましくは40〜70℃ 処理時間 1〜20分、より好ましくは5〜10分 界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系等の界面
活性剤を用いることができ、その具体例としては、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールエ
チレンオキサイド付加物等のノニオン系界面活性剤、ア
ルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、高級アルコール
硫酸エステルナトリウム等のアニオン系界面活性剤等を
挙げることができる。
【0021】(ii)酸性浸漬脱脂処理 酸性浸漬脱脂用の脱脂液としては、炭素数1〜10のモ
ノカルボン酸、炭素数2〜10のジカルボン酸、オキシ
カルボン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくとも一
種のカルボン酸類、並びにノニオン系界面活性剤及びア
ニオン系界面活性剤から選ばれた少なくとも一種の界面
活性剤を含む水溶液を用いる。この様な酸性浸漬脱脂液
を用いることによって、鉄系素材の表面を適度に溶解さ
せて、表面に付着した油分等の汚れを剥離することがで
きる。
【0022】この処理液に配合するカルボン酸類の内
で、モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸等を例示でき、ジカルボン酸としては、しゅう酸、マ
ロン酸、コハク酸等を例示でき、オキシカルボン酸とし
ては、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒
石酸、クエン酸を例示できる。また、塩の種類として
は、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩等を例示できる。界面活性剤の具体例とし
ては、上述したアルカリ性浸漬脱脂用脱脂液で使用でき
るものとして例示した界面活性剤と同様のものを挙げる
ことができ、これらを一種単独又は二種以上混合して用
いることができる。
【0023】酸性浸漬脱脂用脱脂液の好ましい液組成及
び処理条件は、以下の通りである。
【0024】 カルボン酸類 1〜100g/l、より好ましくは 20〜50g/l 界面活性剤 0.5〜5g/l、より好ましくは 1〜2g/l 処理温度 10〜80℃、より好ましくは 30〜60℃ 処理時間 0.5〜10分、より好ましくは 2〜5分 (iii)起泡性浸漬脱脂処理 起泡性浸漬脱脂用の脱脂液としては、炭素数1〜10の
モノカルボン酸、炭素数2〜10のジカルボン酸、オキ
シカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくとも
一種のカルボン酸類、並びに過酸化水素を含有する水溶
液を用いる。この脱脂液に被めっき物を浸漬することに
よって、被めっき物の表面から気泡が発生して、表面に
付着した油脂成分などの汚れを効率よく脱離させること
ができる。
【0025】起泡性浸漬脱脂用の脱脂液に配合するカル
ボン酸類としては、上記した酸性浸漬脱脂用脱脂液中に
配合するカルボン酸類と同様のものを用いることができ
る。
【0026】 カルボン酸類 1〜100g/l、より好ましくは20〜50g/l 過酸化水素(35%過酸化水素水として) 10〜500g/l、より好ましくは 50〜200g/ l 界面活性剤 適量 処理温度 10〜80℃、より好ましくは 30〜50℃ 処理時間 0.5〜10分、より好ましくは 2〜5分 界面活性剤は、必要に応じて添加するものであり、好ま
しい添加量、具体例等は、アルカリ性浸漬脱脂用脱脂液
と同様である。
【0027】表面調整処理工程 表面調整処理に用いる処理液としては、炭素数1〜10
のモノカルボン酸、炭素数2〜10のジカルボン酸、オ
キシカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくと
も一種のカルボン酸類、並びにアルカリ性化合物を含有
するアルカリ性水溶液を用いる。この処理液に被めっき
物を浸漬することによって、被めっき物表面の親水性を
向上させることができる。
【0028】処理液中に配合するカルボン酸類として
は、上記した酸性浸漬脱脂用処理液中に配合するカルボ
ン酸類と同様のものを用いることができる。アルカリ性
化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリ
ウム等を例示できる。表面調整に用いる処理液の好まし
い液組成および処理条件は、以下の通りである。
【0029】 カルボン酸類 1〜100g/l、より好ましくは20〜50g/l アルカリ性化合物 1〜100g/l、より好ましくは30〜50g/l 界面活性剤 適量 処理温度 20〜90℃、より好ましくは40〜70℃ 処理時間 1〜20分、より好ましくは 5〜10分 界面活性剤は、必要に応じて添加するものであり、好ま
しい添加量、具体例等は、アルカリ性浸漬脱脂用脱脂液
と同様である。
【0030】活性化処理 活性化処理に用いる処理液としては、炭素数1〜10の
モノカルボン酸、炭素数2〜10のジカルボン酸、オキ
シカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくとも
一種のカルボン酸類を含有する酸性水溶液を用いる。こ
の処理液中の被めっき物を浸漬することによって、被め
っき物の表面が均一に溶解されて、いわゆるマイクロエ
ッチングの状態となり、被めっき物表面を均一に活性化
させることができる。その結果、無電解めっきの初期の
析出が均一となり、欠陥の殆どないめっき皮膜を形成で
きる。
【0031】カルボン酸類としては、上記した酸性浸漬
脱脂用脱脂液中に配合するカルボン酸類成分と同様のも
のを用いればよい。
【0032】活性化処理に用いる処理液の好ましい液組
成および処理条件は、以下の通りである。
【0033】 カルボン酸類 1〜100g/l、より好ましくは10〜30g/l 処理温度 20〜60℃、より好ましくは30〜40℃ 処理時間 0.2〜10分、より好ましくは1〜3分無電解ニッケルリンめっき処理 無電解ニッケルリンめっき液としては、次亜リン酸塩を
還元剤とする無電解ニッケルリンめっき液であれば、特
に限定なく使用できる。
【0034】特に、ニッケル塩、次亜リン酸塩、及びオ
キシカルボン酸類を含有する無電解ニッケルリンめっき
液を用いる場合には、欠陥のない均一性に優れたニッケ
ルリンめっき皮膜が形成され、耐食性がより一層向上す
る。このめっき液では、ニッケル塩としては硫酸ニッケ
ル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル等を用いることがで
き、次亜リン酸塩としては次亜リン酸ナトリウム、次亜
リン酸カリウム等を用いることができ、オキシカルボン
酸類としては、乳酸、リンゴ酸、これらの塩(ナトリウ
ム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等を用いること
ができる。該無電解ニッケルリンめっき液の好ましい液
組成およびめっき条件は、以下の通りである。
【0035】 ニッケル塩 5〜50g/l、より好ましくは20〜30g/l 次亜リン酸塩 5〜50g/l、より好ましくは20〜30g/l オキシカルボン酸類 5〜100g/l、より好ましくは20〜50g/l pH 4.2〜5.2、より好ましくは 4.5〜4.8 (水酸化ナトリウム、アンモニア水等で調整) 処理温度 70〜100℃、より好ましくは80〜95℃保護膜形成処理 保護膜形成処理は、無電解ニッケルリンめっきを行った
後、必要に応じて行う処理であり、例えば、従来から行
われている重クロム酸塩を含有する水溶液を使用して、
いわゆるクロメート処理を行っても良い。このような保
護膜形成処理を行うことによって、耐食性をより向上さ
せることができる。
【0036】本発明方法では、特に、保護膜形成処理に
用いる処理液として、リン酸塩、酸化剤及びアルカリ金
属水酸化物を含有するアルカリ性水溶液を用いることが
好ましい。この様な処理液にめっき皮膜を形成した材料
を浸漬することによって、無電解ニッケルリンめっき皮
膜の表面に、優れた耐食性を有する保護層を形成でき
る。
【0037】この処理液に配合するリン酸塩としては、
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、トリポリリン酸ナ
トリウム、トリポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリ
ウム、ピロリン酸カリウム等を例示でき、酸化剤として
は、過酸化水素水、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウ
ム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過マンガン酸
ナトリウム、過マンガン酸カリウム等を例示できる。ア
ルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等を例示できる。保護膜形成処理に際しての
好ましい液組成および条件は以下の通りである。
【0038】 リン酸塩 5〜100g/l、より好ましくは20〜50g/l 酸化剤 10〜200g/l、より好ましくは30〜80g/l アルカリ金属水酸化物 1〜50g/l、より好ましくは5〜20g/l 処理温度 10〜60℃、より好ましくは20〜40℃ 処理時間 1〜20分、より好ましくは3〜10分本発明めっき処理方法 本発明の方法では、上述した表面調整処理と活性化処理
を行った後、無電解ニッケルリンめっきを行うことが必
須であり、これによって、良好な耐食性を有する均一な
無電解ニッケルリンめっき皮膜を形成できる。
【0039】本発明において、特に好ましい処理方法
は、上述した(i)アルカリ性浸漬脱脂処理、(ii)酸
性浸漬脱脂処理、及び(iii)起泡性浸漬脱脂処理から
なる脱脂処理を行った鉄系材料に対して、上記した表面
調整処理と活性化処理を順次行い、その後、ニッケル
塩、次亜リン酸塩、及びオキシカルボン酸類を含有する
無電解ニッケルリンめっき液を用いて無電解めっきを行
い、次いで、リン酸塩、酸化剤及びアルカリ金属水酸化
物を含有するアルカリ性水溶液を用いて無電解ニッケル
リンめっき皮膜に保護皮膜を形成する方法である。この
処理方法によれば、複雑な形状の材料や油分の付着量が
多い材料に対しても汚れをほぼ完全に除去することがで
き、欠陥が殆どなく均一で防錆性能に優れた無電解ニッ
ケルリンめっき皮膜を形成できる。
【0040】
【発明の効果】本発明方法によれば、鉄系材料に対し
て、欠陥が殆どない均一な無電解ニッケルリンめっき皮
膜を形成できる。本発明方法によって形成される無電解
ニッケルリンめっき皮膜は、特に、耐食性に優れたもの
であり、従来の処理方法で形成された無電解ニッケルリ
ンめっき皮膜の1/2程度以下の厚さであっても、従来
法によって形成されるめっき皮膜を上回る防錆効果を発
揮することができる。
【0041】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
【0042】実施例1 軟鋼板(JIS G 3141 SPCC−SB)を被
めっき物として、下記の処理を行った。
【0043】まず、軟鋼板を、アニオン系界面活性剤
(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)1g/l、
及び水酸化ナトリウム30g/lを含む水溶液(アルカ
リ性脱脂液)中に60℃で5分間浸漬し、水洗した後、
乳酸20g/l及びノニオン系界面活性剤(ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル)1g/lを含有する
水溶液(酸性脱脂液)中に40℃で3分間浸漬した。次
いで、軟鋼板を水洗し、グリコール酸20g/l、35
%過酸化水素水100g/l及びアニオン系界面活性剤
(高級アルコール硫酸エステルナトリウム)2g/lを
含有する水溶液(起泡性脱脂液)中に40℃で2分間浸
漬し、水洗して脱脂処理を行った。その後、上記方法で
脱脂した軟鋼板を、酒石酸30g/l、水酸化ナトリウ
ム30g/l、及びノニオン系界面活性剤(ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル)2g/lを含有する水溶液
(表面調整溶液)中に60℃で5分間浸漬した後、水洗
し、酢酸20g/lを含有する水溶液(活性化液)中に
30℃で1分間浸漬した。
【0044】次いで、処理後の軟鋼板を水洗し、下記の
無電解ニッケルリンめっき液を使用して、pH4.7、
温度90℃の条件で25分間無電解めっきを行った。形
成されためっき皮膜の厚さは、5μmであった。
【0045】 硫酸ニッケル6水塩 25 g/l 次亜リン酸ナトリウム 25 g/l リンゴ酸 30 g/l 乳酸 10 g/l 水酸化ナトリウム pH調整 次いで、めっき皮膜を形成した軟鋼板を水洗し、過硫酸
ナトリウム50g/l、リン酸ナトリウム20g/l及
び水酸化ナトリウム10g/lを含有する水溶液(保護
膜形成液)中に30℃で5分間浸漬漬した後、乾燥し
た。
【0046】また比較として、上記軟鋼板を用いて以下
の工程で従来法によりめっき処理を行った。
【0047】まず、軟鋼板をアニオン系界面活性剤(ポ
リオキシエチレンジアルキルアリルエーテルサルフェー
トアンモニウム)2g/l、及び水酸化ナトリウム50
g/lを含有するアルカリ性溶液(アルカリ性脱脂液)
中に60℃で5分間浸漬した後、水洗し、ノニオン系界
面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)1g
/l及び水酸化ナトリウム40g/lを含有するアルカ
リ性溶液(電解脱脂液)中で40℃で軟鋼板を陰極とし
て電流密度5A/dm2で1分間の電解処理し、次いで
同じ処理液中で軟鋼板を陽極として電流密度5A/dm
2で1分間の電解処理を行った。次いで、この軟鋼板を
水洗し、塩酸100g/lを含有する水溶液(酸活性
液)中に25℃で1分間浸漬した後、水洗した。その
後、下記の無電解ニッケルリンめっき液を使用して、p
H4.5、温度90℃の条件で30分間無電解めっきを
行った。形成されためっき皮膜の厚さは、10μmであ
った。
【0048】 硫酸ニッケル6水塩 25 g/l 次亜リン酸ナトリウム 25 g/l 酢酸 20 g/l 水酸化ナトリウム pH調整 次いで、めっき皮膜を形成した軟鋼板を水洗し、重クロ
ム酸ナトリウム40g/lを含有する水溶液(クロメー
ト液)中に50℃で5分間浸漬した後、水洗して乾燥し
た。
【0049】上記した本発明方法と従来法のそれぞれの
方法でめっき皮膜を形成した軟鋼板について、JIS
H 8502に規定された中性塩水噴霧試験方法で耐食
性試験を行い、腐食が発生するまでの時間を測定した。
その結果、従来法によってめっき処理した軟鋼板では4
8時間経過後に腐食が発生したのに対して、本発明方法
でめっき処理を行った軟鋼板では360時間経過後にも
腐食は観察されなかった。 実施例2 硫黄快削鋼(JIS G 4804 SUM 12)製
のシャフトを被めっき物として、実施例1に記載した本
発明方法と同様にしてめっき処理を行った。
【0050】また比較として、これと同じシャフトを被
めっき物として、実施例1に記載したと従来法と同様に
してめっき処理を行った。
【0051】それぞれの方法でめっき皮膜を形成したシ
ャフトについて、JIS H 8502に規定された中
性塩水噴霧試験方法で耐食性試験を行い、腐食が発生す
るまでの時間を測定した。その結果、従来法によってめ
っき処理をしたシャフトは12時間経過後に腐食が発生
したのに対して、本発明方法でめっき処理を行ったシャ
フトは180時間経過後にも腐食は観察されなかった。 実施例3 硫黄快削鋼(JIS G 4804 SUM 31)製
のナットを被めっき物として、実施例1に記載した本発
明方法と同様にしてめっき処理を行った。
【0052】また比較として、これと同じナットを被め
っき物として、実施例1に記載したと従来法と同様にし
てめっき処理を行った。
【0053】それぞれの方法でめっき皮膜を形成したナ
ットについて、JIS H 8502に規定された中性
塩水噴霧試験方法で耐食性試験を行い、腐食が発生する
までの時間を測定した。その結果、従来法によってめっ
き処理したナットでは6時間経過後に腐食が発生したの
に対して、本発明方法でめっき処理を行ったナットでは
120時間経過後にも腐食は観察されなかった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄系材料を下記の工程で順次処理すること
    を特徴とする無電解めっき方法: (1)炭素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜1
    0のジカルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩
    から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸類を含有する
    アルカリ性水溶液に、脱脂処理をした鉄系材料を浸漬す
    る工程、(2)上記(1)工程で処理された鉄系材料
    を、炭素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜10
    のジカルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩か
    ら選ばれた少なくとも一種のカルボン酸類を含有する酸
    性水溶液に浸漬する工程、(3)上記(2)工程で処理
    された鉄系材料を、無電解ニッケルリンめっき液に浸漬
    して無電解ニッケルリンめっき皮膜を形成する工程。
  2. 【請求項2】(1)工程及び(2)工程で用いるカルボ
    ン酸類が、それぞれ、ギ酸、酢酸、しゅう酸、マロン
    酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、リン
    ゴ酸、酒石酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれた
    少なくとも一種である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】(1)工程で用いる鉄系材料が、下記
    (i)〜(iii)の工程で脱脂処理されたものである請
    求項1に記載の方法: (i)アルカリ性浸漬脱脂液に浸漬する工程、(ii)炭
    素数1〜10のモノカルボン酸、炭素数2〜10のジカ
    ルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩から選ば
    れた少なくとも一種のカルボン酸類、並びにノニオン系
    界面活性剤及びアニオン系界面活性剤から選ばれた少な
    くとも一種の界面活性剤を含む水溶液からなる酸性浸漬
    脱脂液に浸漬する工程、(iii)炭素数1〜10のモノ
    カルボン酸、炭素数2〜10のジカルボン酸、オキシカ
    ルボン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくとも一種
    のカルボン酸類、並びに過酸化水素を含有する起泡性浸
    漬脱脂液に浸漬する工程。
  4. 【請求項4】請求項3に記載した脱脂処理において、
    (ii)工程及び(iii)工程で用いるカルボン酸類が、
    それぞれ、ギ酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、コハク
    酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石
    酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれた少なくとも
    一種である請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】無電解ニッケルリンめっき液が、ニッケル
    塩、次亜リン酸塩、及びオキシカルボン酸類を含有する
    水溶液である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】無電解ニッケルリンめっき皮膜を形成した
    後、更に、リン酸塩、酸化剤及びアルカリ金属水酸化物
    を含有するアルカリ性水溶液に浸漬する処理を行う請求
    項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】リン酸塩が、リン酸ナトリウム、リン酸カ
    リウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カ
    リウム、ピロリン酸ナトリウム、及びピロリン酸カリウ
    ムから選ばれた少なくとも一種であり、酸化剤が過酸化
    水素水、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化ナ
    トリウム、過酸化カリウム、過マンガン酸ナトリウム、
    及び過マンガン酸カリウムから選ばれた少なくとも一種
    である請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかの方法によって、
    無電解ニッケルリンめっき皮膜が形成された鉄系材料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007119851A (ja) * 2005-10-27 2007-05-17 Nippon Kanizen Kk 黒色めっき膜およびその形成方法、めっき膜を有する物品
JP2014116632A (ja) * 2014-02-05 2014-06-26 Sh Materials Co Ltd 半導体装置の製造方法
JP2020079445A (ja) * 2018-11-09 2020-05-28 東洋鋼鈑株式会社 めっき方法
US11685999B2 (en) 2014-06-02 2023-06-27 Macdermid Acumen, Inc. Aqueous electroless nickel plating bath and method of using the same

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