JP7346138B2

JP7346138B2 - 記録装置およびその制御方法

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Publication number: JP7346138B2
Application number: JP2019140180A
Authority: JP
Inventors: 皓樹島田
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Current assignee: Canon Inc
Priority date: 2019-07-30
Filing date: 2019-07-30
Publication date: 2023-09-19
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Description

本発明は、インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置およびその制御方法に関する。

特許文献１には、記録ヘッドの吐出口列を払拭するワイパと、吐出口列を含む吐出口面全体を払拭するタブワイパを備えるインクジェット記録装置が開示されている。これにより、吐出口列に残ったインクのみならず、タブ面に飛散したインクも払拭することができる。

特開２０１８－１２２５０１号公報

記録ヘッドによる記録動作を繰り返し行うと、吐出されたインクの跳ね返りによってタブ面の外側を覆うノズルカバーにもインクが付着することがある。この付着したインクが蓄積した場合に、記録媒体を汚染する虞がある。しかしながら、特許文献１の構成では、ワイパやタブワイパによってノズルカバーを払拭できないため、記録媒体の汚染を防止しきれないことがあった。

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、吐出口面の外側までワイピングすることで記録媒体の汚染を抑制することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。

上記課題を解決するため、本発明に係る記録装置は、液体を吐出する複数の吐出口が配列された吐出口面を有する記録ヘッドを搭載して第１方向に移動するキャリッジと、前記記録ヘッドが第１位置に位置する状態で前記吐出口面をワイピングする第１ワイピング動作と、前記記録ヘッドが記録を行う記録領域に対して前記第１方向において前記第１位置よりも近い第２位置に前記記録ヘッドが位置する状態で前記吐出口面をワイピングする第２ワイピング動作と、を実行可能なワイパと、を備え、前記記録ヘッドは、前記第１方向において前記吐出口面の外側に配される第１ノズルカバーと、前記第１方向において前記吐出口面の外側であって、前記第１方向において前記第１ノズルカバーより前記記録領域の近くに配される第２ノズルカバーと、を有し、前記ワイパは、前記第１ワイピング動作、前記第２ワイピング動作及び前記第１ワイピング動作の順にワイピングシーケンスを実行し、前記ワイパは、前記第１ワイピング動作では、前記第２ノズルカバーをワイピングして前記第１ノズルカバーをワイピングせず、前記第２ワイピング動作では、前記第１ノズルカバーをワイピングして前記第２ノズルカバーをワイピングしないことを特徴とする。

本発明によれば、吐出口面の外側までワイピングすることで記録媒体の汚染を抑制することができるインクジェット記録装置を提供することができる。

第１実施形態に係るインクジェット記録装置の概略斜視図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置を制御する制御ユニットのブロック図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンスユニットの斜視図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドの斜視図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドとワイパユニットの対応関係を詳細に説明する模式図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置において記録ヘッドとワイパユニットの対応関係を示す側面図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置において記録ヘッドが第１位置に位置するときのワイパユニットの移動経路を模式的に説明する図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置において記録ヘッドが第２位置に位置するときのワイパユニットの移動経路を模式的に説明する図である。第１実施形態に係るインクジェット記録装置の通常ワイピングシーケンスを示すフローチャートである。第１実施形態に係るインクジェット記録装置の広範囲ワイピングシーケンスを示すフローチャートである。第１実施形態に係るインクジェット記録装置の表示パネルを示す図である。第２実施形態に係るインクジェット記録装置の概略斜視図である。第２実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンスユニットの斜視図である。第２実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドとワイパユニットの対応関係を示す側面図である。第２実施形態に係るインクジェット記録装置において記録ヘッドが第１位置に位置するときのワイパユニットの移動経路を模式的に説明する図である。第２実施形態に係るインクジェット記録装置において記録ヘッドが第２位置に位置するときのワイパユニットの移動経路を模式的に説明する図である。

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状等はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。

〔第１実施形態〕
図１は、第１実施形態のインクジェット記録装置（以下、記録装置）１０の概要を示す概略斜視図である。記録装置１０は、記録ヘッド４０（図４参照）を搭載するキャリッジ２０と、給送ユニット７０と、搬送駆動部６０と、メンテナンスユニット３０と、を備える。キャリッジ２０は、Ｘ方向と平行な主走査方向２１に往復移動する。

給送ユニット７０は、積載された記録媒体を給送ローラにより１枚ずつ記録装置１０本体内へ給送する。搬送駆動部６０は、主走査方向２１の一端側に配され、搬送ローラを回転させて給送ユニット７０により給送された記録媒体を搬送方向１１に搬送する。なお、搬送方向１１は図１に示すＹ方向と平行であり、主走査方向２１と交差する。本実施形態では、搬送方向１１と主走査方向２１は直交する。

記録ヘッド４０は、搬送される記録媒体と対向するようにキャリッジ２０の底部に搭載され、インクを吐出する複数の吐出口を有する。記録ヘッド４０は主走査方向２１に移動しながらインク滴を吐出して、記録媒体に対して１バンド分の画像を記録する記録動作を行う。１バンド分の画像が記録されると、記録媒体は搬送駆動部６０によって１バンドに対応する所定量だけ搬送方向１１に搬送される（間欠搬送動作）。この１バンド分の記録動作と間欠搬送動作を繰り返すことによって、記録媒体の全体に画像が記録される。なお、記録ヘッド４０はキャリッジ２０に対して着脱可能な形態であってもよい。

メンテナンスユニット３０は、記録ヘッド４０の吐出性能を維持回復するための回復動作を行う機構であり、キャップ３１とワイパユニット３２を有する（図３参照）。メンテナンスユニット３０は、記録ヘッド４０による記録動作が行われる記録領域Ｒの外側であって、キャリッジ２０が移動する走査領域の内側（回復領域Ｍ）に配される。

メンテナンスユニット３０による回復動作は、予備吐出動作とワイピング動作とインク吸引動作を含む。予備吐出動作は、記録ヘッド４０から記録動作に寄与しないインクをキャップ３１に向けて吐出させる動作である。ワイピング動作は、記録ヘッド４０の吐出口が設けられた吐出口面をワイパユニット３２で拭き取る動作である。インク吸引動作は、記録ヘッド４０の吐出口から吸引手段によりインクを吸引する動作である。

搬送駆動部６０は、搬送ローラを回転させる搬送モータ２０５（図２参照）等を備え、主走査方向２１においてメンテナンスユニット３０の反対側に配される。すなわち、本実施形態では、搬送駆動部６０は記録装置１０を前面から見たときの左側に、メンテナンスユニット３０は右側に配されている。また、メンテナンスユニット３０内の駆動は搬送駆動部６０から駆動列によって伝達される。記録装置１０が記録命令を受信すると、記録ヘッド４０はメンテナンスユニット３０側から記録動作を開始して搬送駆動部６０側に移動し、折り返してメンテナンスユニット３０側に戻ってくる。

図２は、記録装置１０を制御する制御ユニットのブロック図である。ＭＰＵ２０１は、各ユニットの動作やデータ処理等、記録装置１０全体を制御する。ＲＯＭ２０２は、ＭＰＵ２０１によって実行されるプログラムや各種データを格納する。ＲＡＭ２０３は、ＭＰＵ２０１によって実行される処理データや、ホストコンピュータ２１４から受信したデータを一時的に記憶する。

記録ヘッド４０は記録ヘッドドライバ２０７によって制御される。キャリッジ２０を駆動するキャリッジモータ２０４は、キャリッジモータドライバ２０８によって制御される。搬送駆動部６０を構成する搬送モータ２０５は、搬送モータドライバ２０９によって制御される。給送ユニット７０を構成する給送ローラと、メンテナンスユニット３０の吸引手段であるポンプ３５（図３参照）は、ポンプモータ２０６によって駆動される。ポンプモータ２０６は、ポンプモータドライバ２１０によって制御される。

ホストコンピュータ２１４には、ユーザによって記録動作の実行が命令された場合に、記録画像や記録画像品位等の記録情報を取りまとめて記録装置１０と通信するためのプリンタドライバ２１４１が設けられている。ＭＰＵ２０１は、Ｉ／Ｆ部２１３を介してホストコンピュータ２１４と記録画像等のやり取りを実行する。

図３は、メンテナンスユニット３０の斜視図である。メンテナンスユニット３０は、キャップ３１、ワイパユニット３２、カムスライダ３３、ポンプ３５、エアバルブレバー３７等によって構成される。

キャップ３１は、可撓性材料で形成され、記録ヘッド４０の吐出口面を覆うキャッピング位置と、吐出口面を覆わない離間位置と、に移動可能に構成される。キャップ３１はポンプ３５と接続されており、キャップ３１がキャッピング位置に位置する状態でポンプモータ２０６によりポンプ３５が駆動されると、キャップ３１の内部が負圧になってインクが吸引される（インク吸引動作）。キャップ３１とポンプ３５はキャップチューブで接続されており、インク吸引動作により吸引されたインクは不図示の廃インクタンクへ回収される。

エアバルブレバー３７は、キャップ３１と接続され、キャップ３１内を大気と連通させる連通状態と、大気と連通させない非連通状態とに切り替える。具体的には、エアバルブレバー３７がゴム等で形成されたエアバルブシール（不図示）と当接しているときはキャップ３１内が大気と連通せず、エアバルブレバー３７がエアバルブシールと当接していないときは大気と連通する。キャップ３１とエアバルブレバー３７はエアバルブチューブによって接続される。

カムスライダ３３は、搬送駆動部６０によって駆動され搬送方向１１に沿って往復動作する。カムスライダ３３が往復動作すると、その動作に連動してカムスライダ３３を構成するカム面と各部材のフォロア面が当接し、各部材が独立して動作することができる。本実施形態では、カムスライダ３３の往復動作によって、キャップ３１、ワイパユニット３２、エアバルブレバー３７が独立して動作する。

ここで、本実施形態ではカム機構としてカムスライダ３３を採用しているが、往復動作を行うカム機構に限定されることはなく、回転動作を行うカム機構であっても良い。さらに、メンテナンスユニット３０としては少なくともキャップ３１とワイパユニット３２が構成されていれば記録ヘッド４０のメンテナンスが可能であるため、メンテナンスユニット３０が前述した部材のすべてを有する必要はない。すなわち本実施形態は、前述したメンテナンスユニット３０のすべての部材を使用する構成に限定されるものではない。

次に、記録装置１０におけるキャリッジ２０の構成について説明する。図４は、記録ヘッド４０が搭載されたキャリッジ２０を下から見た斜視図である。記録ヘッド４０の吐出口面は、複数の吐出口が配列された第１チップ面４４及び第２チップ面４５と、それらの周囲を取り囲むタブ面４２と、によって構成される。

第１チップ面４４はブラックインクを吐出する吐出口列４１Ｋが設けられている。第２チップ面４５は、シアンインクを吐出する吐出口列４６Ｃ、マゼンタインクを吐出する吐出口列４６Ｍ、イエローインクを吐出する吐出口列４６Ｙが設けられている。各吐出口列は、Ｙ方向（搬送方向１１）に沿って配列されている。

また、記録ヘッド４０は、主走査方向２１においてタブ面４２の外側を覆う第１ノズルカバー４３ａと第２ノズルカバー４３ｂを備える。第２ノズルカバー４３ｂは、主走査方向２１において第１ノズルカバー４３ａより記録領域Ｒに近い位置に配されている。以降で、第１ノズルカバー４３ａと第２ノズルカバー４３ｂを合わせてノズルカバー４３とも称する。ノズルカバー４３の下面は、タブ面４２よりも下方に突出しているため、ノズルカバー４３とタブ面４２との間には重力方向において段差部ｇ（図６参照）がある。

図５は、記録ヘッド４０とワイパユニット３２の対応関係を詳細に説明する斜視図である。ワイパユニット３２は、カムスライダ３３の動作によって搬送方向１１に移動することでワイピング動作を行う。具体的には、カムスライダ３３が搬送駆動部６０の駆動によって搬送方向１１と反対方向に移動することで、ワイパユニット３２が搬送方向１１に移動する。従って、搬送駆動部６０とカムスライダ３３がワイパユニット３２の移動機構として機能する。

ワイパユニット３２は、第１ワイパ５１と、搬送方向１１において第１ワイパ５１より上流に配された第２ワイパ５２と、を有する。第１ワイパ５１と第２ワイパ５２はブレード状であり、ワイパホルダ５３に保持される。

第１ワイパ５１は、第１当接部５１ａと、第２当接部５１ｂと、切り欠き部５１ｃと、によって構成される。第２当接部５１ｂは、第１当接部５１ａより記録領域Ｒに近い側に設けられる。切り欠き部５１ｃは、第１当接部５１ａと第２当接部５１ｂの間に設けられている。第１当接部５１ａは、主走査方向２１においてタブ面４２を払拭可能な長さを有する。第２当接部５１ｂは、主走査方向２１において第２ノズルカバー４３ｂを払拭可能な長さを有する。

第２ワイパ５１は、第３当接部５２ａと、第４当接部５２ｂと、によって構成される。第３当接部５２ａは、主走査方向２１において吐出口列４１Ｋを払拭可能な長さを有する。また、第４当接部５２ｂは、主走査方向２１において吐出口列４６Ｃ、４６Ｍ、４６Ｙのすべてを払拭可能な長さを有する。

続いて、本実施形態のワイピング動作について説明する。本実施形態は、キャリッジ２０が主走査方向２１に移動することで、記録ヘッド４０が第１位置に位置するときと、第１位置より記録領域Ｒに近い第２位置に位置するときの、２箇所においてワイピング動作が実行可能な構成である。なお、第１位置と第２位置はいずれも回復領域Ｍの位置であり、記録ヘッド４０が第１位置のときにキャップ３１によりキャッピングされる。

図６は、ワイピング動作を行う際のキャリッジ２０と第１ワイパ５１の対応関係について説明する側面図である。図６（ａ）は、記録ヘッド４０が第１位置に位置する状態を示す。また、図７は、記録ヘッド４０が第１位置に位置するときの、記録ヘッド４０に対するワイパユニット３２の移動経路を模式的に説明する図である。ワイパユニット３２の移動経路を一点鎖線によって示す。

記録ヘッド４０が第１位置に位置する状態でワイピングすることを、第１ワイピング動作と称する。記録ヘッド４０が第１位置に位置するとき、第１ワイパ５１の第１当接部５１ａはタブ面４２と対向し、第２当接部５１ｂは第２ノズルカバー４３ｂと対向する。そのため、第１ワイピング動作を行うと、第１当接部５１ａによってタブ面４２の全体が払拭され、第２当接部５１ｂによって第２ノズルカバー４３ｂが払拭される。

また、記録ヘッド４０が第１位置に位置するとき、第１ワイパ５１の切り欠き部５１ｃはタブ面４２と第２ノズルカバー４３ｂの間の段差部ｇと対向する。切り欠き部５１ｃを設けることで、第１ワイパ５１が段差部ｇによって第２ノズルカバー４３ｂに乗り上げてしまうのを防ぎ、タブ面４２を好適にワイピングすることができる。

記録ヘッド４０が第１位置に位置するとき、第２ワイパ５２の第３当接部５２ａは第１チップ面４４と対向し、第４当接部５２ｂは第２チップ面４５と対向する。そのため、第１ワイピング動作を行うと、第３当接部５２ａによって第１チップ面４４が払拭され、第４当接部５２ｂによって第２チップ面４５が払拭される。

上述した第１ワイピング動作は、記録ヘッド４０による記録動作完了後や、メンテナンスユニット３０のインク吸引動作の後に、通常ワイピングシーケンスとして実行される。なお、第１ノズルカバー４３ａは、記録ヘッド４０が第１位置に位置するときに第１ワイパ５１と第２ワイパ５２のいずれとも対向しない。そのため、第１ワイピング動作を行っても第１ノズルカバー４３ａは払拭されない。

図６（ｂ）は、記録ヘッド４０が第１位置よりも記録領域Ｒ側の第２位置に位置する状態を示す。また、図８は、記録ヘッド４０が第２位置に位置するときの、記録ヘッド４０に対するワイパユニット３２の移動経路を模式的に説明する図である。ワイパユニット３２の移動経路を一点鎖線によって示す。

記録ヘッド４０が第２位置に位置する状態でワイピングすることを、第２ワイピング動作と称する。記録ヘッド４０が第２位置に位置するとき、第１ワイパ５１の第１当接部５１ａの一部が第１ノズルカバー４３ａと対向する。従って、第２ワイピング動作を行うと、第１当接部５１ａによって第１ノズルカバー４３ａが払拭される。すなわち、第１ワイピング動作によって払拭できない第１ノズルカバー４３ａを、第２ワイピング動作によって払拭する。

本実施形態において、第２ワイピング動作は、前回の第２ワイピング動作実施後の記録ヘッド４０からの吐出量が所定値を超えた場合に実行される。しかしながら、例えば前回の第２ワイピング動作実施後の総記録枚数が所定枚数を超えた場合に第２ワイピング動作を実行する形態であってもよい。

以上のように、記録領域Ｒに近い第２ノズルカバー４３ｂは第１ワイパ５１ｂによって払拭し、記録領域Ｒから遠い第１ノズルカバー４３ａはキャリッジ２０の位置を記録領域Ｒに近い位置へ変更して払拭する。すなわち、キャリッジ２０の走査領域を大きくせず、主走査方向において第１ワイパ５１ｂの大きさを極端に大きくしなくても、吐出口面の外側までワイピングすることができる。これにより、主走査方向において記録装置１０を小型化しつつ、吐出口面の外側までワイピング可能な記録装置１０を実現することができる。

図９は、通常ワイピングシーケンスを示すフローチャートである。通常ワイピングシーケンスでは、第２ワイピング動作は実行せず第１ワイピング動作のみを実行する。まずＳ３０１で、ＭＰＵ２０１は、記録ヘッド４０が第１位置となる位置までキャリッジ２０を移動して停止させる。

Ｓ３０２にて、ＭＰＵ２０１はカムスライダ３３を動作させることで、ワイパユニット３２を搬送方向１１に移動（前進）する。このワイパユニット３２の移動に伴って第１ワイピング動作が実行される。すなわち、第１チップ面４４、第２チップ面４５及びタブ面４２を含む吐出口面の全体と、第２ノズルカバー４３ｂと、がワイピングされる。

Ｓ３０３にて、ＭＰＵ２０１は、記録ヘッド４０がワイパユニット３２の移動経路上から退避する退避位置に位置するようにキャリッジ２０を移動する。すなわち、キャリッジ２０は回復領域Ｍから記録領域Ｒへ移動する。

Ｓ３０４にて、ＭＰＵ２０１はカムスライダ３３を動作させることで、ワイパユニット３２を搬送方向１１と反対の方向に移動（後退）して、ワイパユニット３２を元の位置に戻す。

Ｓ３０５にて、ＭＰＵ２０１は、記録ヘッド４０が第１位置となる位置まで再びキャリッジ２０を移動して停止させて通常ワイピングシーケンスを終了する。通常、記録装置１０が次の記録命令を受信するまでは、キャップ３１によりキャッピングされて待機する。

続いて、図１０を用いて、第２ワイピング動作を含む広範囲ワイピングシーケンスを説明する。広範囲ワイピングシーケンスでは、第１ワイピング動作、第２ワイピング動作、第１ワイピング動作の順に、記録ヘッド４０に対してワイピングを３回行う。Ｓ４０１～Ｓ４０４までは、図９におけるＳ３０１～Ｓ３０４と同様であり、まず１回目の第１ワイピング動作が行われる。

続いて、Ｓ４０５にて、ＭＰＵ２０１は、記録ヘッド４０が第２位置となる位置までキャリッジ２０を移動して停止させる。

Ｓ４０６にて、ＭＰＵ２０１はカムスライダ３３を動作させることで、ワイパユニット３２を搬送方向１１に移動（前進）する。このワイパユニット３２の移動に伴って第２ワイピング動作が実行される。すなわち、第１ノズルカバー４３ａがワイピングされる。

Ｓ４０７にて、ＭＰＵ２０１は、記録ヘッド４０がワイパユニット３２の移動経路上から退避する退避位置に位置するようにキャリッジ２０を移動する。すなわち、キャリッジ２０は回復領域Ｍから記録領域Ｒへ移動する。

Ｓ４０８にて、ＭＰＵ２０１はカムスライダ３３を動作させることで、ワイパユニット３２を搬送方向１１と反対の方向に移動（後退）して、ワイパユニット３２を元の位置に戻す。

Ｓ４０９～Ｓ４１３にて、ＭＰＵ２０１は、記録ヘッド４０に対する２回目の第１ワイピング動作を実行して、広範囲ワイピングシーケンスを終了する。

ここで、Ｓ４０５において第２ワイピング動作が実行されると、第１ワイパ５１と第２ワイパ５２のＸ方向（主走査方向２１）における端部が吐出口列４１、４６と接触することによって、吐出口からインクが滲み出ることがある。従って、第２ワイピング動作を実行した後に再び第１ワイピング動作を実行することで、このように滲み出たインクを払拭することができる。

このように、記録動作や吸引動作の後は通常ワイピングシーケンスを実行し、記録ヘッドからの吐出量が所定値を超えたら広範囲ワイピングシーケンスを実行する。これにより、吐出口面の外側の第１ノズルカバー４３ａと第２ノズルカバー４３ｂの両方を好適に払拭することができ、記録媒体の汚染を抑制することができる。なお、ノズルカバー４３へのインクの付着は、記録ヘッド４０による記録動作を何度も行うことで蓄積されるものであるため、本実施形態のように、第１ノズルカバー４３ａを払拭する頻度が少なくても記録媒体の汚染は十分に抑制することができる。

なお、上述した広範囲ワイピングシーケンスでは、第１ワイピング動作、第２ワイピング動作、第１ワイピング動作の順に３回ワイピングを実施する構成であるが、第２ワイピング動作、第１ワイピング動作の順に２回ワイピングを実施する構成であってもよい。

さらに、広範囲ワイピングシーケンスは、ユーザが任意のタイミングで実行させることができる形態であってもよい。図１１は、記録装置１０の表示パネルを示す。例えば、記録ヘッド４０のノズルカバー４３に付着したインク等による記録媒体の汚れをユーザが見つけた際に、操作ボタン５０２を押下して、表示部５０１に表示されるメニューから強力クリーニングを選択する。これにより、第２ワイピング動作を実行する形態であってもよい。なお、表示部５０１はタッチパネルであってもよい。さらに、記録装置１０が、第２ワイピング動作を行うクリーニング処理の指令をコンピュータや携帯機器から受信する形態であってもよい。

〔第２実施形態〕
第２実施形態では、記録ヘッドを２つ備えるインクジェット記録装置において、その構成を中心に説明する。なお、ワイピングのシーケンスや制御構成は第１実施形態と同様のため説明を省略する。

図１２は、第２実施形態のインクジェット記録装置（以下、記録装置）１０１０の概要を示す概略斜視図である。記録装置１０１０は、第１記録ヘッド１０４１及び第２記録ヘッド１０４５を搭載するキャリッジ１０２０と、給送ユニット１０７０と、搬送駆動部１０６０と、メンテナンスユニット１０３０と、を備える。

また、第１実施形態と異なり、記録装置１０１０は、記録ヘッドへ供給されるインクを収容するインクタンク１０８０と、インクタンク１０８０から記録ヘッドへインクを供給するためのチューブ１０９０と、をさらに備える。

インクタンク１０８０は、記録ヘッドにより吐出されるインクの色毎に設けられ、それぞれ記録装置１０１０の本体に固定されている。本実施形態では、第１記録ヘッド１０４１から吐出されるブラックインクを収容するブラックインクタンク１０８０Ｋが、記録装置１０１０の正面から見て左側に配される。

そして、シアンインクを収容するシアンインクタンク１０８０Ｃと、マゼンタインクを収容するマゼンタインクタンク１０８０Ｍと、イエローインクを収容するイエローインクタンク１０８０Ｙと、は、記録装置１０１０の正面からみて右側に配される。第２記録ヘッド１０４５は、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを吐出可能である。

また、記録装置には、ブラック用タンクカバー１０８１Ｂｋとカラー用タンクカバー１０８１Ｃｌが設けられている。ブラック用タンクカバー１０８１Ｂｋは、ブラックインクタンク１０８０Ｋの上面を覆う。カラー用タンクカバー１０８１Ｃｌは、シアンインクタンク１０８０Ｃとマゼンタインクタンク１０８０Ｍとイエローインクタンク１０８０Ｍの上面を一体的に覆う。

インクタンク１０８０には不図示の注入口が設けられており、ユーザは注入口からインクタンク１０８０の内部へインクを注入可能に構成されている。ユーザがインクを注入する際は、タンクカバー１０８１を開けて注入口を露出して、インクが収容されたインクボトル等からインクを注入する。

その他の、キャリッジ１０２０、給送ユニット１０７０、搬送駆動部１０６０、メンテナンスユニット１０３０の配置や機能は第１実施形態と同様である。

図１３は、メンテナンスユニット１０３０の斜視図である。メンテナンスユニット１０３０は、第１実施形態と同様、キャップ１０３１、ワイパユニット１０３２、カムスライダ１０３３、ポンプ１０３５、エアバルブレバー１０３７等によって構成される。

第２実施形態では記録ヘッドを２つ搭載しているため、キャップ１０３１とワイパユニット１０３２も記録ヘッドと対応するように２つずつ設けられている。メンテナンスユニット１０３０は、第１実施形態と同様に、カムスライダ１０３３の動作によりカムスライダ１０３３のカム面と各部材のフォロア面が当接することで、キャップ１０３１、ワイパユニット１０３２、エアバルブレバー１０３７が独立に動作する。

図１４は、第１記録ヘッド１０４１及び第２記録ヘッド１０４５と、ワイパユニット１０３２の対応関係を説明する斜視図である。第１記録ヘッド１０４１は、ブラックインクを吐出する吐出口列１０４１Ｋが設けられたブラックチップ面１０４２と、ブラックチップ面１０４２の周囲を囲むブラックタブ面１０４４と、を有する吐出口面を備える。

さらに、第１記録ヘッド１０４１は、主走査方向２１においてブラックタブ面１０４４の外側を覆うブラック用第１ノズルカバー１０４３ａとブラック用第２ノズルカバー１０４３ｂを備える。ブラック用第２ノズルカバー１０４３ｂは、主走査方向２１においてブラック用第１ノズルカバー１０４３ａより記録領域Ｒ（図１２参照）に近い位置に配されている。ブラックノズルカバー１０４３の下面は、ブラックタブ面１０４４よりも下方に突出しているため、ブラックノズルカバー１０４３とブラックタブ面１０４４との間には重力方向において段差部ｇがある。

第２記録ヘッド１０４５は、シアンインクを吐出する吐出口列１０４６Ｃと、マゼンタインクを吐出する吐出口列１０４６Ｍと、イエローインクを吐出する吐出口列１０４６Ｙと、が設けられたカラーチップ面１０４７を備える。そして、第２記録ヘッド１０４５は、カラーチップ面１０４７の周囲を囲むカラータブ面１０４９を備える。

さらに、第２記録ヘッド１０４５は、主走査方向２１においてカラータブ面１０４９の外側を覆うカラー用第１ノズルカバー１０４８ａ（図１５参照）とカラー用第２ノズルカバー１０４８ｂを備える。カラー用第２ノズルカバー１０４８ｂは、主走査方向２１においてカラー用第１ノズルカバー１０４８ａより記録領域Ｒに近い位置に配されている。カラーノズルカバー１０４８の下面は、カラータブ面１０４９よりも下方に突出しているため、カラーノズルカバー１０４８とカラータブ面１０４９との間には重力方向において段差部がある。

ワイパユニット１０３２は、ブラック用第１ワイパ１０５１と、カラー用第１ワイパ１０５２と、ブラック用第２ワイパ１０５３と、カラー用第２ワイパ１０５４と、を有する。各ワイパはブレード状であり、ワイパホルダ１０５５によって保持される。

ブラック用第１ワイパ１０５１は、第１当接部１０５１ａと、第２当接部１０５１ｂと、切り欠き部１０５１ｃと、によって構成される。第２当接部１０５１ｂは、第１当接部１０５１ａより記録領域Ｒに近い側に設けられる。切り欠き部１０５１ｃは、第１当接部１０５１ａと第２当接部１０５１ｂの間に設けられている。

第１当接部１０５１ａは、主走査方向２１においてブラックタブ面１０４４を払拭可能な長さを有する。第２当接部１０５１ｂは、主走査方向２１においてブラック用第２ノズルカバー１０４３ｂを払拭可能な長さを有する。

ブラック用第２ワイパ１０５３は、搬送方向１１においてブラック用第１ワイパ１０５１より上流に配される。また、ブラック用第２ワイパ１０５３は、主走査方向２１において吐出口列１０４１Ｋを払拭可能な長さを有する。

カラー用第１ワイパ１０５２は、第３当接部１０５２ａと、第４当接部１０５２ｂと、切り欠き部１０５２ｃと、によって構成される。第４当接部１０５２ｂは、第３当接部１０５２ａより記録領域Ｒに近い側に設けられる。切り欠き部１０５２ｃは、第３当接部１０５２ａと第４当接部１０５２ｂの間に設けられている。

第３当接部１０５２ａは、主走査方向２１においてカラータブ面１０４９を払拭可能な長さを有する。第４当接部１０５２ｂは、主走査方向２１においてカラー用第２ノズルカバー１０４８ｂを払拭可能な長さを有する。

カラー用第２ワイパ１０５４は、搬送方向１１においてカラー用第１ワイパ１０５２より上流に配される。また、カラー用第２ワイパ１０５４は、主走査方向２１において吐出口列１０４６Ｃ、１０４６Ｍ、１０４６Ｙのすべてを払拭可能な長さを有する。

続いて、第２実施形態における第１ワイピング動作と第２ワイピング動作の説明をする。第１ワイピング動作は、第１記録ヘッド１０４１と第２記録ヘッド１０４５が第１位置に位置するときに行われるワイピング動作である。また、第２ワイピング動作は、第１記録ヘッド１０４１と第２記録ヘッド１０４５が第１位置より記録領域Ｒに近い第２位置に位置するときに行われるワイピング動作である。

図１５は、第１記録ヘッド１０４１と第２記録ヘッド１０４５が第１位置に位置するときのワイパユニット１０３２の移動経路を模式的に説明する図である。ワイパユニット１０３２の移動経路を一点鎖線によって示す。

第１記録ヘッド１０４１が第１位置に位置するとき、ブラック用第１ワイパ１０５１の第１当接部１０５１ａはブラックタブ面１０４４と対向し、第２当接部１０５１ｂはブラック用第２ノズルカバー１０４３ｂと対向する。そのため、第１ワイピング動作を行うと、第１当接部１０５１ａによってブラックタブ面１０４４の全体が払拭され、第２当接部１０５１ｂによってブラック用第２ノズルカバー１０４３ｂが払拭される。

また、第１記録ヘッド１０４１が第１位置に位置するとき、ブラック用第１ワイパ１０５１の切り欠き部１０５１ｃは、ブラックタブ面１０４４とブラック用第２ノズルカバー１０４３ｂの間の段差部と対向する。切り欠き部１０５１ｃを設けることで、ブラック用第１ワイパ１０５１が段差部によってブラック用第２ノズルカバー１０４３ｂに乗り上げてしまうのを防ぎ、ブラックタブ面１０４４を好適にワイピングすることができる。

第１記録ヘッド１０４１が第１位置に位置するとき、ブラック用第２ワイパ１０５２はブラックチップ面１０４２と対向する。そのため、第１ワイピング動作を行うとブラック用第２ワイパ１０５２によってブラックチップ面１０４２が払拭される。

同様に、第２記録ヘッド１０４５が第１位置に位置するとき、カラー用第１ワイパ１０５２の第３当接部１０５２ａはカラータブ面１０４９と対向し、第４当接部１０５２ｂはカラー用第２ノズルカバー１０４８ｂと対向する。そのため、第１ワイピング動作を行うと、第３当接部１０５２ａによってカラータブ面１０４９の全体が払拭され、第４当接部１０５２ｂによってカラー用第２ノズルカバー１０４８ｂが払拭される。

また、第２記録ヘッド１０４５が第１位置に位置するとき、カラー用第１ワイパ１０５２の切り欠き部１０５２ｃは、カラータブ面１０４９とカラー用第２ノズルカバー１０４８ｂの間の段差部と対向する。切り欠き部１０５２ｃを設けることで、カラー用第１ワイパ１０５２が段差部によってカラー用第２ノズルカバー１０４８ｂに乗り上げてしまうのを防ぎ、カラータブ面１０４９を好適にワイピングすることができる。

第２記録ヘッド１０４５が第１位置に位置するとき、カラー用第２ワイパ１０５４はカラーチップ面１０４７と対向する。そのため、第１ワイピング動作を行うとカラー用第２ワイパ１０５４によってカラーチップ面１０４７が払拭される。

図１６は、第１記録ヘッド１０４１と第２記録ヘッド１０４５が第２位置に位置するときのワイパユニット１０３２の移動経路を模式的に説明する図である。ワイパユニット１０３２の移動経路を一点鎖線によって示す。

第１記録ヘッド１０４１が第２位置に位置するとき、ブラック用第１ワイパ１０５１の第１当接部１０５１ａの一部がブラック用第１ノズルカバー１０４３ａと対向する。従って、第２ワイピング動作を行うと、第１当接部１０５１ａによってブラック用第１ノズルカバー１０４３ａが払拭される。すなわち、第１ワイピング動作によって払拭できないブラック用第１ノズルカバー１０４３ａを、第２ワイピング動作によって払拭する。

同様に、第２記録ヘッド１０４５が第２位置に位置するとき、カラー用第１ワイパ１０５２の第３当接部１０５２ａの一部がカラー用第１ノズルカバー１０４８ａと対向する。従って、第２ワイピング動作を行うと、第３当接部１０５２ａによってカラー用第１ノズルカバー１０４８ａが払拭される。すなわち、第１ワイピング動作によって払拭できないカラー用第１ノズルカバー１０４８ａを、第２ワイピング動作によって払拭する。

上述したワイパユニット１０３２を用いて、第１実施形態と同様、通常ワイピングシーケンスと、広範囲ワイピングシーケンスと、を実行する。これにより、記録装置の小型化を実現しつつ、記録ヘッドの吐出口面の外側までワイピングすることができる。

１０インクジェット記録装置
３２ワイパユニット
３３カムスライダ（移動機構）
４０記録ヘッド
４３ノズルカバー
６０搬送駆動部（移動機構）

Claims

液体を吐出する複数の吐出口が配列された吐出口面を有する記録ヘッドを搭載して第１方向に移動するキャリッジと、
前記記録ヘッドが第１位置に位置する状態で前記吐出口面をワイピングする第１ワイピング動作と、前記記録ヘッドが記録を行う記録領域に対して前記第１方向において前記第１位置よりも近い第２位置に前記記録ヘッドが位置する状態で前記吐出口面をワイピングする第２ワイピング動作と、を実行可能なワイパと、を備え、
前記記録ヘッドは、前記第１方向において前記吐出口面の外側に配される第１ノズルカバーと、前記第１方向において前記吐出口面の外側であって前記第１方向において前記第１ノズルカバーより前記記録領域の近くに配される第２ノズルカバーと、を有し、
前記ワイパは、前記第１ワイピング動作、前記第２ワイピング動作及び前記第１ワイピング動作の順にワイピングシーケンスを実行し、
前記ワイパは、前記第１ワイピング動作では、前記第２ノズルカバーをワイピングして前記第１ノズルカバーをワイピングせず、前記第２ワイピング動作では、前記第１ノズルカバーをワイピングして前記第２ノズルカバーをワイピングしないことを特徴とする記録装置。
前記ワイパは、前回の前記ワイピングシーケンス実行後に前記記録ヘッドから吐出した液体の量が閾値を超えた場合に、前記ワイピングシーケンスを実行することを特徴とする請求項１に記載の記録装置。
前記ワイパは、前回の前記ワイピングシーケンス実行後に前記記録ヘッドにより記録された記録媒体の枚数が閾値を超えた場合に、前記ワイピングシーケンスを実行することを特徴とする請求項１または２に記載の記録装置。
前記記録ヘッドは、前記吐出口面と前記第２ノズルカバーの間に段差部があり、
前記ワイパは、前記第１ワイピング動作を実行する場合に前記段差部と対向する切欠きが設けられていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の記録装置。
前記第１ノズルカバーと前記第２ノズルカバーは、前記吐出口面より下方に突出していることを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の記録装置。
前記ワイパは、前記第１方向と交差する第２方向に移動して前記吐出口面をワイピングすることを特徴とする請求項１から５のいずれか１項に記載の記録装置。
前記記録ヘッドへ供給される液体を収容する収容部を備え、
前記収容部は、液体が注入される注入部を有することを特徴とする請求項１から６のいずれか１項に記載の記録装置。
前記記録ヘッドを備えることを特徴とする請求項１から７のいずれか１項に記載の記録装置。
液体を吐出する複数の吐出口が配列された吐出口面を有する記録ヘッドを搭載して第１方向に移動するキャリッジと、前記吐出口面をワイピングするワイパと、を備え、前記記録ヘッドは、前記第１方向において前記吐出口面の外側に配される第１ノズルカバーと、前記第１方向において前記吐出口面の外側であって前記第１方向において前記第１ノズルカバーより前記記録ヘッドが記録を行う記録領域の近くに配される第２ノズルカバーと、を有する記録装置の制御方法であって、
前記記録ヘッドが第１位置に位置する状態で前記ワイパにより前記吐出口面と前記第２ノズルカバーをワイピングし前記第１ノズルカバーをワイピングしない第１ワイピング工程と、
前記第１ワイピング工程の後に、前記記録領域に対して前記第１方向において前記第１位置よりも近い第２位置に前記記録ヘッドが位置する状態で前記ワイパにより前記吐出口面と前記第１ノズルカバーをワイピングし前記第２ノズルカバーをワイピングしない第２ワイピング工程と、
前記第２ワイピング工程の後に、前記第１ワイピング工程を再度行う第３ワイピング工程と、を有することを特徴とする制御方法。