JP7334428B2 - スフレチーズケーキ - Google Patents

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Description

本発明は、スフレチーズケーキに関する。具体的には、本発明は、加工澱粉を含むスフレチーズケーキに関する。
チーズケーキは、レアチーズケーキとベイクドチーズケーキに大別される。レアチーズケーキはクリームチーズ等のチーズ原料に砂糖や香料、ゲル化剤等を混ぜ合わせたものを冷やし固めたものである。一方、ベイクドチーズケーキは、クリームチーズ等のチーズ原料に砂糖や香料、小麦粉等を混ぜ合わせた生地を焼成することで製造される。
レアチーズケーキやベイクドチーズケーキに加えて、近年は新たな食感を有するスポンジ様のスフレチーズケーキも主流となってきている。スフレチーズケーキは、クリームチーズ等のチーズ原料に、卵白を泡立てたメレンゲを加えて、湯煎焼きしたチーズケーキである。スフレチーズケーキは焼成後に空気を含む状態となるため、その独特な食感を楽しむ消費者が増えている。
例えば、特許文献1には、卵白粉末、変性食品デンプン、フラワー、膨張させる剤および膨張させる酸を含むドライスフレミックスが開示されている。ここでは、ドライスフレミックスに水を加えて湯煎焼きすることでスフレをより容易に製造する方法が提案されている。また、特許文献2には、植物由来の水可溶性ヘミセルロースと、モノグリセリドまたは有機酸モノグリセリドとを配合してなることを特徴とするスフレケーキが開示されている。ここでは、薄力粉に加えて、植物由来の水可溶性ヘミセルロースと、モノグリセリドまたは有機酸モノグリセリドとを配合することで、耐熱性、保形性、冷凍耐性に優れた物性を有するスフレケーキを得ることが検討されている。
特開平05-292873号公報 特開平07-298826号公報
上述したように、従来のスフレチーズケーキは、小麦粉(薄力粉)を含むスフレミックスを焼成してなるものであった。しかしながら、近年は、グルテンフリーであることが求められる場合がある。そして、このような場合においても、小麦粉を含むスフレチーズケーキと同様の食感、もしくは小麦粉を含むスフレチーズケーキよりも弾力のある食感が求められている。
そこで、本発明者らは、スフレチーズケーキについて検討を進める中で、グルテンフリーであり、かつ小麦粉を含むスフレチーズケーキと同様の食感、もしくは小麦粉を含むスフレチーズケーキよりも弾力のある食感を呈するスフレチーズケーキを開発することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、薄力粉に代えて加工澱粉をスフレチーズケーキの生地に配合することにより、小麦粉を含むスフレチーズケーキと同様の食感、もしくは小麦粉を含むスフレチーズケーキよりも弾力のある食感を有するスフレチーズケーキが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] スフレチーズケーキ原料と加工澱粉とを含むスフレミックスを焼成してなるスフレチーズケーキであって、
スフレミックスは実質的に小麦粉を含まない、スフレチーズケーキ。
[2] 加工澱粉がリン酸架橋澱粉である[1]に記載のスフレチーズケーキ。
[3] 加工澱粉がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である[1]又は[2]に記載のスフレチーズケーキ。
[4] スフレチーズケーキ原料は、クリームチーズを含む[1]~[3]のいずれかに記載のスフレチーズケーキ。
[5] スフレチーズケーキ原料は、卵由来原料を含む[1]~[4]のいずれかに記載のスフレチーズケーキ。
[6] スフレミックスの全質量に対する加工澱粉の含有量が5~50質量%である[1]~[5]のいずれかに記載のスフレチーズケーキ。
[7] グルテンフリーである[1]~[6]のいずれかに記載のスフレチーズケーキ。
[8] 下記測定条件でスフレチーズケーキの中心部の圧縮応力を測定し、圧縮距離(x)に対して、圧縮応力(y)をプロットし、y=Ax+Bx+Cで表される二次曲線の決定係数(R)が0.9以上となるように近似した場合、Aの値の絶対値が0.025以下である[1]~[7]のいずれかに記載のスフレチーズケーキ;
(測定条件)
直径が25mmの円柱状のプランジャーを圧縮速度が1mm/秒となるように厚み方向に圧縮した場合の圧縮応力を、0.01秒毎に測定する。
[9] スフレチーズケーキ原料と加工澱粉とを含み、実質的に小麦粉を含まないスフレミックス。
本発明によれば、グルテンフリーであり、かつ小麦粉を含むスフレチーズケーキと同様の食感、もしくは小麦粉を含むスフレチーズケーキよりも弾力のある食感を有するスフレチーズケーキを提供することができる。
図1は、スフレチーズケーキの圧縮距離(x)に対する圧縮応力(y)の二次近似曲線を示すグラフである。 図2は、実施例及び参考例で得られたスフレチーズケーキの断面写真である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(スフレチーズケーキ)
本発明は、スフレチーズケーキ原料と加工澱粉とを含むスフレミックスを焼成してなるスフレチーズケーキに関する。ここで、スフレミックスは、実質的に小麦粉を含まないものである。なお、本明細書において、スフレミックスは、スフレチーズケーキ用の生地であり、水分を含むものである。
本発明のスフレチーズケーキは、実質的に小麦を有さないものであるため、グルテンフリーのスフレチーズケーキが得られる。具体的には、スフレチーズケーキの全質量に対する小麦の含有量は、10μg/g未満である。すなわち、本発明のスフレチーズケーキは、小麦フリーのスフレチーズケーキである。このため、本発明のスフレチーズケーキは、小麦アレルギー患者用の食品としても適している。また、本発明のスフレチーズにおいてはグルテンフリーを達成することもできる。具体的には、スフレチーズケーキの全質量に対するグルテンの含有量は、10μg/g未満である。すなわち、本発明のスフレチーズケーキは、グルテンフリーのスフレチーズケーキである。このため、本発明のスフレチーズケーキは、グルテン過敏症やグルテン不耐症といった疾患を有する患者用の食品としても適している。なお、小麦やグルテンの含有量は、ELISA法、ウエスタンブロット法、PCR法等を用いて特定することができる。また、必要に応じて、上記方法を組み合わせて各種含有量を特定してもよい。
さらに、本発明のスフレチーズケーキは、小麦粉を含むスフレチーズケーキと同様の食感、もしくは小麦粉を含むスフレチーズケーキよりも弾力のある食感を有している。また、本発明のスフレチーズケーキは、弾力感がより強く、もっちりとした食感を有しつつも、スフレチーズケーキらしいふわっとした食感やもっちりとした食感を呈することもできる。
ここで、スフレチーズケーキの弾力感や(斬新な食感、もっちりとした食感)は以下の指標によっても評価することができる。まず、下記測定条件でスフレチーズケーキの中心部の圧縮応力を測定する。
(測定条件)
30mm±2mmのサイズにカットしたスフレチーズケーキを、以下の方法で測定する。直径が25mmの円柱状のプランジャーを圧縮速度が1mm/秒となるように厚み方向に圧縮した場合の圧縮応力を、0.01秒毎に測定する。なお、圧縮する距離は10mmとする。
そして、圧縮距離(x)に対して、圧縮応力(y)をプロットし、y=Ax+Bx+Cで表される二次曲線の決定係数(R)が0.9以上となるように近似する。そのようにして得られた二次曲線におけるAの値の絶対値は0.025以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましく、0.015以下であることがさらに好ましい。なお、Aの値の下限値は0であってもよい。すなわち、本発明のスフレチーズケーキを下記条件で圧縮した場合、圧縮距離(x)に対する圧縮応力(y)は、直線的関係となることが好ましい。圧縮距離(x)に対する圧縮応力(y)を上記関係性とすることで、スフレチーズケーキの耐脆性をより効果的に高めることができ、しなやかで弾力感に優れたスフレチーズケーキが得られる。
なお、上記測定では、スフレチーズケーキの中心点に円柱状のプランジャーの中心点が重なるようにして、スフレチーズケーキの中央部の圧縮応力を測定する。圧縮応力の測定には、例えば島津製作所製、小型卓上試験機 EZ-Testを用いることができる。
スフレチーズケーキは、卵白を泡立てたメレンゲを加えて、湯煎焼きしたチーズケーキである。このため焼成されてなるスフレチーズケーキは内部に空気(微気泡)を多数含んだ状態となる。
本発明のスフレチーズケーキは上記構成を有するものであるため、焼成後に時間が経過した場合であっても、その形状変化が少ない傾向がある。例えば、スフレチーズケーキを焼成した直後の断面高さをPとし、焼成後冷蔵保存し48時間経過後の断面高さをQとした場合、Q/Pの値は、0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。なお、スフレチーズケーキを焼成した直後の断面高さ(P)とは、直径15cmの型に400gのスフレミックス(スフレチーズケーキ用生地)を流し入れオーブンで焼成(湯煎焼き)し、焼成後20分経過した後にオーブンから取り出し、その後の中心点を含む裁断面で切断することで形成される断面の高さである。断面の高さは最も高い点の高さを測定する。なお、焼成後冷蔵保存し48時間経過後の断面高さ(Q)は、高さPを測定したサンプルを冷蔵庫で48時間保管した後の高さである。
なお、本発明のスフレチーズケーキは、上記構成を有するものであるため、耐冷凍性にも優れている。このため、本発明のスフレチーズケーキは、冷凍用スフレチーズケーキであってもよい。
(加工澱粉)
スフレミックスは、加工澱粉を含む。ここで、加工澱粉としては、エステル化処理、エーテル化処理、酸化処理、アルカリ処理、酵素処理、漂白処理等を施した澱粉が挙げられる。なお、加工澱粉として、上記処理を複数施した加工澱粉を用いることもできる。なお、澱粉の澱粉種は特に限定されず、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ由来の澱粉等を使用することができる。なお、トウモロコシ由来の澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等が挙げられる。中でも、加工澱粉は、タピオカ澱粉及び馬鈴薯澱粉から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、加工澱粉はα化されたものであってもよいが、β澱粉であることが好ましい。
加工澱粉としては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、酸変性澱粉、アルカリ処理澱粉、酵素処理澱粉、漂白処理澱粉を挙げることができる。中でも、加工澱粉は、リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉及びアセチル化アジピン酸架橋澱粉から選択される少なくとも1種であることが好ましく、リン酸架橋澱粉及びヒドロキシプロピル化澱粉から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉であることが特に好ましい。
リン酸架橋澱粉は、リン酸架橋された澱粉であり、例えば、澱粉をトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化することで得られる。リン酸架橋澱粉は、澱粉の分子内または分子間の水酸基が架橋して、糊化が抑制され、耐せん断性や耐酸性に優れている。リン酸架橋澱粉としては、例えば、リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等が挙げられる。中でも、リン酸架橋澱粉は、リン酸架橋澱粉及びヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
リン酸架橋澱粉としては、市販品を用いることができ、例えば王子コーンスターチ(株)製のみやこ500、たなばた300、てらす100、トレコメックスAET26、等を用いることができる。
ヒドロキシプロピル化澱粉は、ヒドロキシプロピル基を有する澱粉であり、酸化プロピレンでエーテル化することで得られる。ヒドロキシプロピル化澱粉は、ヒドロキシプロピル基の導入・付加により親水性が増大し、老化耐性に優れている。ヒドロキシプロピル化澱粉としては、例えば、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を用いることが好ましい。
ヒドロキシプロピル化澱粉としては、市販品を用いることができ、例えば、王子コーンスターチ(株)製のいかるが100等を用いることができる。ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉としては、王子コーンスターチ(株)製のファインテックスS-1、ファインテックスS-2、ひこぼし300、てんじん300、てらす100、まいはま100、たなばた300、ミクロリス52、ミクロリス54、ミクロリス56、トレコメックスAET1、トレコメックスAET4、トレコメックスAET26等を用いることができる。
なお、ヒドロキシプロピル化澱粉には、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉も含まれ、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉は特に好ましく用いられる。ヒドロキシプロピル化澱粉がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である場合、リン酸架橋度は高い方がふんわりとした弾力感が得られやすくなる傾向が見られ、リン酸架橋度が低い方がもっちりとした弾力感が得られやすい傾向が見られる。このため、スフレチーズケーキの種類や求められる食感に応じて加工澱粉のリン酸架橋度を調整することも好ましい。
ヒドロキシプロピル化澱粉の膨潤度は50~100であることが好ましく、70~90であることがより好ましい。ヒドロキシプロピル化澱粉の膨潤度は、以下の方法で測定した値である。まず、ヒドロキシプロピル化澱粉を乾燥重量で1.0g/100mlとなるように水中に分散し、90℃で30分間加熱後30℃に冷却することで糊化液とする。次いで、糊化液を遠心分離(3000rpm、10分間)してゲル層と上澄み層に分け、ゲル層の重量を測定してこれをWとする。次いで、重量を測定したゲル層を乾燥し(105℃、恒量)、重量を測定してこれをWとし、W/Wを膨潤度とする。
加工澱粉の含有量は、スフレミックスの全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましい。また、加工澱粉の含有量は、スフレミックスの全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。加工澱粉の含有量を上記範囲内とすることにより、スフレチーズケーキの弾力感をより効果的に高めることができ、スフレチーズケーキらしいふわっとした食感やもっちりとした食感を実現することができる。
なお、本発明は、上述したようなスフレミックス添加用の加工澱粉に関するものであってもよい。また、本発明は、スフレミックス添加用の加工澱粉と、粉体状の任意成分を混合したスフレミックス添加用のパウダー組成物に関するものであってもよい。
(スフレチーズケーキ原料)
スフレミックスは、スフレチーズケーキ原料を含む。本明細書においてスフレチーズケーキ原料は、加工澱粉を除くスフレチーズケーキ用の原料である。なお、本発明においてスフレミックスは実質的に小麦粉を含まないため、スフレチーズケーキ原料にも小麦及び小麦由来原料は含まれない。
スフレチーズケーキ原料は、通常のチーズケーキに用いられる原料であれば、特に限定されるものではないが、スフレミックスには、卵白を泡立てたメレンゲが含まれるため、スフレチーズケーキ原料は卵由来原料を含むものである。特に、メレンゲを形成する卵白由来原料が含まれることが好ましい。なお、卵由来原料には卵黄も含まれてもよく、卵由来原料は全卵であってもよい。また、卵由来原料は、粉末状の卵白由来原料や卵黄由来原料であってもよい。
スフレチーズケーキ原料は、チーズ由来原料を含むことが好ましい。チーズ由来原料は、ナチュラルチーズもしくはプロセスチーズのいずれであってもよい。また、原料チーズ類の形態は特に限定されるものではなく、ブロック状、シート状、シュレッド状、パウダー状、クリーム状など、いずれの形態であってもよい。ナチュラルチーズとしては、軟質チーズ(例えば、クリームチーズ、モッツァレラ、マスカルポーネなどの非熟成タイプ、カマンベールなどの熟成タイプ)、半硬質チーズ(例えば、ゴルゴンゾーラ、ゴーダなどの熟成タイプ)、硬質チーズ(例えば、エメンタール、チェダーなどの熟成タイプ)、超硬質チーズ(例えば、パルミジャーノ・レッジャーノなどの熟成タイプ)等が挙げられる。プロセスチーズとしては、上述した1種以上のナチュラルチーズを加熱溶融して乳化したものが挙げられる。これらの原料チーズ類は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。中でも、チーズ由来原料は、クリームチーズであることが特に好ましい。
チーズ由来原料の含有量は、スフレミックスの全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、チーズ由来原料の含有量は、スフレミックスの全質量に対して、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。チーズ由来原料の含有量を上記範囲内とすることにより、スフレチーズケーキの風味を高めることができ、さらに、スフレチーズケーキの弾力感をより効果的に高めることもできる。
スフレチーズケーキ原料は、乳原料をさらに含むことが好ましい。なお、本明細書において乳原料とは、上述したチーズ由来原料を除く乳由来原料である。乳原料としては、例えば、生乳や加工乳、乳タンパク質などが挙げられる。なお、乳タンパク質としては、例えば、脱脂粉乳やスキムミルク、ホエーパウダーなどに含まれている乳タンパク質を挙げることができる。
スフレミックスは、スフレチーズケーキ原料として上述した成分に加えて、水分を含んでいることが好ましい。スフレミックスが含み得る水分としては、例えば、水、豆乳、果汁等を挙げることができる。なお、スフレミックス中における水分は、添加される水等に由来する水分のみでなく、チーズ由来原料、乳原料等に含まれる水分にも由来する。スフレミックスの全質量に対する水分含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、スフレミックスの全質量に対する水分含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
また、スフレミックスは、スフレチーズケーキ原料として上述した成分以外に任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、通常のチーズケーキが含み得るものを挙げることができる。任意成分としては、例えば、食塩、砂糖、油脂、乳化剤、風味付けパウダー、調味料、酸味料、甘味料、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、保存料、香料、機能性素材等を挙げることができる。中でも、スフレミックスは、砂糖、甘味料、酸味料、調味料、着色料及び香料から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
なお、風味付けパウダーとしては、例えば、果実風味パウダー、ココアパウダー、抹茶パウダーなどを挙げることができる。調味料としては、例えば、香辛料、ハーブ、ココナッツミルク等を挙げることができる。酸味料としては、例えば、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸等を挙げることができる。甘味料としては、例えば、糖類、糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等を挙げることができる。香料としては、例えば、バニラエッセンス、バター風香料、チーズ風香料等を挙げることができる。機能性素材としては、例えば、セラミド、アマニ、ポリフェノール、キシリトール、または難消化性デキストリン等を挙げることができる。
スフレミックス中における任意成分の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
(スフレチーズケーキの製造方法)
スフレチーズケーキの製造方法は、上述したスフレミックス(スフレチーズケーキ用生地)を調製する工程と、スフレミックス(スフレチーズケーキ用生地)を焼成する工程(焼成工程)を含む。
スフレミックス(スフレチーズケーキ用生地)を調製する工程は、スフレチーズケーキ原料と加工澱粉を混合する工程を含む。この場合、スフレチーズケーキ原料と加工澱粉を混合する前に、予め卵白もしくは卵白由来原料と砂糖を用いてメレンゲを作製する。そして、メレンゲを除くスフレチーズケーキ原料と加工澱粉を混合した後に、メレンゲを混合することが好ましい。なお、加工澱粉を混合する際には予め篩にかけておくことが好ましく、メレンゲを混合する際には複数回に分けて少量ずつ混合することが好ましい。
このようにして得られたスフレミックス(スフレチーズケーキ用生地)は型に流し入れられた後、焼成工程に供される。本発明に製造工程における焼成工程は、湯煎焼きする工程であることが好ましい。例えば、オーブン等の加熱装置の天板に湯を張って焼成することで湯煎焼き状態とすることが可能である。
焼成温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。また、焼成温度は、230℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。なお、焼成時間は、10分以上であることが好ましく、20分以上であることがより好ましい。また、焼成時間は、120分以下であることが好ましく、100分以下であることがより好ましい。
焼成工程の後には急冷工程を設けてもよいが、スフレチーズケーキの変形を抑制するために、焼成後5~60分程度オーブン等の加熱装置内に静置し、予熱放置することが好ましい。このように予熱をかけつつ、徐々に放冷を行うことで、焼成後のスフレチーズケーキの変形を抑制することができる。
なお、焼成後のスフレチーズケーキは、急速冷凍してもよい。本発明のスフレチーズケーキは加工澱粉を原料として含むものであるため、耐冷凍性に優れており、冷凍用スフレチーズケーキとし、その後に解凍した場合でもその食感や弾力感が損なわれない。
(スフレミックス)
本発明は、焼成前のスフレミックス(スフレチーズケーキ用生地)に関するものであってもよい。本発明のスフレミックスは、スフレチーズケーキ原料と加工澱粉とを含み、実質的に小麦粉を含まないものである。このようなスフレミックス(スフレチーズケーキ用生地)は、パウチや保存袋に収容された状態で流通するものであってもよい。なお、スフレミックスに含まれる加工澱粉としては、上述した加工澱粉を好ましく例示できる。また、スフレミックスに含まれるスフレチーズケーキ原料としては、上述したスフレチーズケーキ原料を好ましく例示できる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1~4)
柔らかくしたクリームチーズ(雪印メグミルク社製)150gに対して牛乳135gを少しずつ加え、さらにレモン汁10g、卵黄45gを加えた。次いで、表1に記載した加工澱粉40gを篩い入れ、よく混ぜ合わせた。別のボウルで、卵白90gからメレンゲを作り、上白糖60gと混合した後、加工澱粉を混合した材料に3~4回に分けて加えた。このようにして得られたスフレミックス400gを直径15cmの型に流し天板に湯をはり150~160℃のオーブンで50分程度焼いた。なお、焼成後20分経過した後に、スフレチーズケーキをオーブンから取り出した。
(参考例1)
加工澱粉を薄力粉に変えた以外は実施例1と同様にしてスフレチーズケーキを得た。
(測定及び評価)
<圧縮応力の測定>
直径が25mmの円柱状のプランジャーを圧縮速度が1mm/秒となるようにスフレチーズケーキの中心部を厚み方向に圧縮した場合の圧縮応力を、0.01秒毎に測定した。なお、スフレチーズケーキは、30mm±2mmのサイズにカットしたものを用いた。また、圧縮した距離は10mmとした。
圧縮距離(x)に対して、圧縮応力(y)をプロットし、y=Ax+Bx+Cで表される二次近似曲線を得た。y=Ax+Bx+Cで表される二次曲線に決定係数(R)が0.9以上となるように近似できた場合のAの値を表中に記載した。なお、各実施例及び参考例の圧縮距離(x)に対する圧縮応力(y)の二次近似曲線を図1に示した。
<食感の評価>
スフレチーズケーキを食した時に感じる弾力感を参考例1と比較して、下記の基準で評価した。
a:参考例1に比べて弾力感がより強く感じられ、もっちりとした食感が強く感じられる。
b:参考例1に比べ、やや弾力感が感じられ、もっちり感を感じる。また、参考例1に近い歯切れの良さとふんわりした感じを感じる
c:参考例1と同じ様な食感が得られる。
実施例1~4は、グルテンフリーであり、かつ参考例1と同等以上の弾力のある食感が達成されていた。特に、Ax+Bx+Cで表される二次近似曲線におけるAの値の絶対値が0.02以下である実施例2~4では、より弾力感が強く感じられ、もっちり感が強く感じられた。この食感は、従来のスフレチーズケーキでは得られない、斬新なものであった。
なお、図2(a)は実施例1で得られたスフレチーズケーキ、図2(b)実施例1で得られたスフレチーズケーキ、図2(c)実施例3で得られたスフレチーズケーキ、図2(d)実施例4で得られたスフレチーズケーキ、図2(e)参考例1で得られたスフレチーズケーキの断面写真である。

Claims (7)

  1. スフレチーズケーキ原料(ただし、加工澱粉を除く)と加工澱粉とを含むスフレミックスを焼成してなるスフレチーズケーキであって、
    前記加工澱粉がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉であり、
    前記スフレミックスの全質量に対する前記加工澱粉の含有量が6~50質量%であり、
    前記スフレチーズケーキの全質量に対する小麦の含有量は、10μg/g未満である、スフレチーズケーキ。
  2. 前記スフレチーズケーキ原料は、クリームチーズを含む請求項1に記載のスフレチーズケーキ。
  3. 前記スフレチーズケーキ原料は、卵由来原料を含む請求項1又は2に記載のスフレチーズケーキ。
  4. グルテンフリーである請求項1~3のいずれか1項に記載のスフレチーズケーキ。
  5. 下記測定条件で前記スフレチーズケーキの中心部の圧縮応力を測定し、圧縮距離(x)に対して、圧縮応力(y)をプロットし、y=Ax+Bx+Cで表される二次曲線の決定係数(R)が0.9以上となるように近似した場合、Aの値の絶対値が0.025以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のスフレチーズケーキ;
    (測定条件)
    直径が25mmの円柱状のプランジャーを圧縮速度が1mm/秒となるように厚み方向に圧縮した場合の圧縮応力を、0.01秒毎に測定する。
  6. スフレチーズケーキ原料(ただし、加工澱粉を除く)と加工澱粉とを含むスフレミックスであって、
    前記加工澱粉がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉であり、
    前記スフレミックスの全質量に対する前記加工澱粉の含有量が6~50質量%であり、
    前記スフレミックスの全質量に対する小麦の含有量は、10μg/g未満である、スフレミックス。
  7. スフレチーズケーキ原料(ただし、加工澱粉を除く)と加工澱粉を混合してスフレミックスを調製する工程と、
    前記スフレミックスを焼成する工程を有するスフレチーズケーキの製造方法であって、
    前記加工澱粉がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉であり、
    前記スフレミックスの全質量に対する前記加工澱粉の含有量が6~50質量%であり、
    前記スフレチーズケーキの全質量に対する小麦の含有量は、10μg/g未満である、スフレチーズケーキの製造方法。
JP2019041142A 2019-03-07 2019-03-07 スフレチーズケーキ Active JP7334428B2 (ja)

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