JP7490378B2 - 電子レンジ加熱耐性のある型焼き饅頭及びその製造方法 - Google Patents
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Description
型焼き饅頭は、基本的に焼き立てが最も美味であるが、家庭に持ち帰ってから食されることもあり、そのような場合には冷めると共に食感が劣化していく。また食事情の多様化に伴い、いつでもどこでも手軽に食することのできるチルド又は冷凍の型焼き饅頭が提供されるようになってきた。このように冷めた、チルド又は冷凍の型焼き饅頭を加熱するために、家庭あるいは店舗で電子レンジが利用される。しかしながら、電子レンジで加熱すると、型焼き饅頭内部の具材では水分が蒸発して小豆餡等ではパサつき、またクリーム等では濃縮により重い食感となる等の問題がある。また皮部については具材から生じた蒸気により湿り気を帯びてべたつくとともに、加熱の影響でヒキのある硬い食感になって口溶けが悪くなるという問題がある。特に、近年の家庭用電子レンジにおいては加熱のボタンが複数あり、またモードも複雑であるため、お年寄りや子供がうっかり加熱の設定を誤ることで、過加熱になってしまうこともあり、そのような場合にはとりわけ皮の部分のヒキが強くなり、著しく硬い食感になる。
上記のような問題を解決するために、種々検討されている。
特許文献1では、加熱器具である電子レンジの観点から、レンジを使用する場合、使用者が調理時間を手動で誤って長く設定した場合に調理物が過加熱状態になることを防ぐ方法が記載されている。特許文献2では、冷凍やチルドで保存した後に電子レンジで温めても、皮の表面がサクッとした焼き立てのような食感を呈する、卵殻粉末と融点が40℃以上である油脂を添加した皮からなる鯛焼き様食品が開示されている。特許文献3では、冷蔵・冷凍保存後に電子レンジなどで再加熱しても食感の劣化が少ない鯛焼きや大判焼等を得るために使用する、小麦粉と、10~80メッシュの難溶性粒状粉体と、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、米粉及びそれらの化工品からなる群より選ばれた1種以上を含有することを特徴とする和風スナック用生地組成物が開示されている。特許文献4では、冷蔵又は冷凍保存後、電子レンジで加熱調理しても硬くならず、また経時的硬化の抑制される、最終製品中、小麦粉100重量%に対して尿素を0.002~0.5重量%含有することを特徴とするホットケーキ類が開示されている。しかしながら、いずれの場合も何らかの添加物を必要とするものであって、原料となる小麦粉を工夫することについては何ら記載が無い。
[1]GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SX小麦粉)を含む、型焼き饅頭用小麦粉組成物。
[2]前記GA-SX小麦粉が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SA小麦粉)である、前記[1]記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物。
[3]前記型焼き饅頭が、電子レンジ再加熱用である、前記[1]又は前記[2]に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物。
[4]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物を含む、型焼き饅頭用生地。
[5]前記[4]記載の型焼き饅頭用生地を焼成してなる、型焼き饅頭。
[6]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物を使用することを特徴とする、型焼き饅頭の製造方法。
型焼き饅頭の具材としては、小豆餡、栗餡、芋餡等の餡類、カスタードクリーム、チョコレートクリーム、キャラメルクリーム等のクリーム類を挙げることが出来る。
電子レンジ再加熱の条件は、型焼き饅頭の大きさ、常温保存、チルド保存又は冷凍保存の別によって、適宜調整することができる。例えば、常温保存又はチルド保存された型焼き饅頭(80~110g)の場合、家庭用電子レンジ(500W~700W)で1個あたり40~60秒、業務用電子レンジ(1400~1500W)で1個あたり20~30秒間加熱することができ、また冷凍保存された型焼き饅頭(80~110g)の場合、家庭用電子レンジ(500W~700W)で1個あたり60~80秒、業務用電子レンジ(1400~1500W)で1個あたり30~50秒間加熱することができる。
本発明の型焼き饅頭は、上記の例示のような電子レンジ再加熱条件を超えて長時間加熱された場合(過加熱された場合)に、通常起こりうる型焼き饅頭の食感の低下(皮がべたついて硬く、口溶けの悪いヒキの強い食感、餡のパサつき)を防ぐこと、とりわけ皮の部分のヒキの強い食感を防ぐことができる。
普通系コムギは、異質6倍体であり、その染色体には同祖染色体であるA、B、Dの3つのゲノムがそれぞれ1~7番まで存在する(1A~7A、1B~7B、1D~7D)。
「GBSSI」とは、アミロースの合成に関与する顆粒結合性澱粉合成酵素であり、GBSSI-A1、GBSSI-B1、GBSSI-D1が、それぞれ7A、4A、7D染色体上に座乗する遺伝子によってコードされている。
「SSIIa」とは、アミロペクチンの分岐鎖合成に関与する澱粉合成酵素であり、SSIIa-A1、SSIIa-B1、SSIIa-D1が、それぞれ7A、7B、7D染色体上に座乗する遺伝子によってコードされている。
GA-SX小麦粉としては、酵素活性を欠損した2種類のSSIIaの組み合わせにより、以下の小麦粉が挙げられる:
GA-SA小麦粉:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉;
GA-SB小麦粉:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-B1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉;
GA-SC小麦粉:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-D1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-B1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉。
これらのうち、GA-SA小麦粉が好ましい。
GA-SX小麦粉は、公知の方法、例えば、特開2013-188206号記載の方法に従って、製造することができる。
(1)薄力粉(日本製粉株式会社製ハート)100質量部、卵10質量部、ブドウ糖10質量部、ベーキングパウダー6質量部、サラダ油3質量部、増粘剤(グアーガム)0.3質量部、水130質量部を縦型ミキサー(関東混合機工業社製CS型10)に投入し、ホイッパーを使用し低速1分、中速1分混合し鯛焼き用バッター生地を得た。
(2)電熱式鯛焼き焼成機(タニコー(株)社製たい焼き器3連)を180℃に予熱し、薄く液油を塗り片側に鯛焼き用バッター生地30gを入れ、30秒後に餡を入れ3分30秒焼成した。もう一方の型に鯛焼き用バッター生地30gをかけ、30秒後に型を合わせたまま反転し4分焼成した。
(3)型を開いて鯛焼き(100g)を得、網の上に取り出して15分放冷した。
(4)放冷後、2方開きの紙袋に包み、室温で2時間静置して、冷めた鯛焼きを得た。
1.食感評価
冷めた鯛焼き1個を紙袋から取り出して皿に乗せ、電子レンジ(東芝社製電子レンジER-A3(S))に投入し、600Wで50秒間加熱した。加熱した鯛焼きを網の上に取り出し、5分間室温で粗熱を取った。この鯛焼きを熟練パネラー10名により評価基準1に従って食感評価した。
なお、製造例1に従って製造した鯛焼きを上記同様に室温2時間静置した後に、600Wで50秒間電子レンジ再加熱した鯛焼きの食感を3点とした(比較例1)。
薄力粉とGA-SA小麦粉との使用量を表1にした以外は製造例1に従って鯛焼きを製造し、評価基準1に従って評価した。結果を表1に示す。
表1
薄力粉20質量部、GA-SA小麦粉80質量部を使用して製造例1に従って冷めた鯛焼きを製造し、表2記載の時間で冷めた鯛焼きを電子レンジ再加熱(600W)した以外は評価例1に従って評価した。結果を表2に示す。
(1)薄力粉(日本製粉株式会社製ハート)100質量部、卵10質量部、ブドウ糖10質量部、ベーキングパウダー6質量部、サラダ油3質量部、増粘剤(グアーガム)0.3質量部、水130質量部を縦型ミキサー(関東混合機工業社製CS型10)に投入し、ホイッパーを使用し低速1分、中速1分混合し鯛焼き用バッター生地を得た。
(2)電熱式鯛焼き焼成機(タニコー(株)社製たい焼き器3連)を180℃に予熱し、薄く液油を塗り片側に鯛焼き用バッター生地30gを入れ、30秒後に餡を入れ3分30秒焼成した。もう一方の型に鯛焼き用バッター生地30gをかけ、30秒後に型を合わせたまま反転し4分焼成し、型を開いて鯛焼き(100g)を得た。
(3)網の上で15分放冷し、-38℃で急速冷凍し、冷凍鯛焼きを得た。
(4)得られた冷凍鯛焼きを樹脂製袋で密封し、-20℃で30日間保存した。
1.食感評価
冷凍保存した鯛焼きを樹脂製袋から取り出し、冷凍鯛焼きを未包装で皿に2個置き、電子レンジ(東芝社製電子レンジER-A3(S))に投入し、600Wで150秒間解凍加熱した(1個あたりの加熱時間は75秒間)。加熱した鯛焼きを網の上に取り出し、5分間室温で粗熱を取った。この鯛焼きを熟練パネラー10名により評価基準1に従って食感評価した。
なお、製造例2に従って製造した鯛焼き1個あたりを600Wで75秒間電子レンジ再加熱した鯛焼きの食感を3点とした(比較例4)。
薄力粉とGA-SA小麦粉との使用量を表3にした以外は製造例2に従って冷凍鯛焼きを製造し、評価例2に従って評価した。結果を表3に示す。
実施例8及び11の冷凍鯛焼きを表4記載の時間で電子レンジ再加熱(600W)した以外は評価例2に従って評価した。なお加熱時間は1個あたりの時間である。結果を表4に示す。
Claims (7)
- GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SX小麦粉)を含む、型焼き饅頭用小麦粉組成物であって、
前記型焼き饅頭が、電子レンジ再加熱用である、前記型焼き饅頭用小麦粉組成物。 - 小麦粉の全量に対するGA-SX小麦粉の含有量が70~90質量%である、請求項1に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物。
- 前記GA-SX小麦粉が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SA小麦粉)である、請求項1に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物を含む、電子レンジ再加熱用型焼き饅頭用生地。
- 請求項4記載の型焼き饅頭用生地を焼成してなる、電子レンジ再加熱用型焼き饅頭。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物を使用することを特徴とする、電子レンジ再加熱用型焼き饅頭の製造方法。
- 電子レンジ再加熱による型焼き饅頭の具材の食感劣化を抑制するための、請求項1~3のいずれか1項に記載の型焼き饅頭用小麦粉組成物の使用。
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| JP2015033362A (ja) | 2013-08-09 | 2015-02-19 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 2つのGBSSIと2つのSSIIaの酵素活性を欠損したコムギから調製された小麦粉を使用した品質劣化が抑制された食品 |
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