JP7331340B2 - 酸素吸収性積層体およびそれを用いた包装材料と包装袋 - Google Patents
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Description
1.少なくとも、基材層と、酸素吸収性接着剤層と、シーラント層とを有する、包装用の積層体であって、
該基材層と該シーラント層は、それぞれ、該積層体の最表面に積層されており、
該酸素吸収性接着剤層は、少なくとも、接着剤と、酸素吸収性樹脂と、酸化促進触媒と、光ラジカル開始剤とを含有する樹脂組成物からなる酸素吸収性接着剤から形成された層であり、
該酸素吸収性樹脂は、不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂からなり、
該酸素吸収性接着剤層、該基材層、該シーラント層からなる群から選ばれる1種または2種以上が、植物由来の原料から合成された樹脂を含み、
該酸化促進触媒は、カルボン酸遷移金属塩からなり、
該シーラント層中の、酸化防止剤の含有量は50ppm以下であり、
該積層体は、紫外線を照射されることによって酸素吸収能を発現することを特徴とする、包装用の積層体。
2.前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂が、植物由来のひまし油成分から合成された不飽和脂肪酸エステルの、変性樹脂を含むことを特徴とする、上記1に記載の積層体。
3.前記基材層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、上記1または2に記載の積層体。
4.前記シーラント層が、植物由来のポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、上記1~3の何れかに記載の積層体。
5.前記不飽和脂肪酸エステルが、下記式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする、上記1~4の何れかに記載の積層体。
7.前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、イソシアネート系化合物によって変性されていることを特徴とする、上記1~6の何れかに記載の積層体。
8.前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、水酸基を有することを特徴とする、上記1~7の何れかに記載の積層体。
9.前記樹脂組成物が、さらに、硬化剤を含有することを特徴とする、上記1~8の何れかに記載の積層体。
10.前記硬化剤が、ポリイソシアネート系硬化剤であることを特徴とする、上記9に記載の積層体。
11.前記カルボン酸遷移金属塩の含有量は、該カルボン酸遷移金属塩を構成する遷移金属の質量が、前記酸素吸収性接着剤の固形分中に、20~2000ppmであることを特徴とする、上記1~10の何れかに記載の積層体。
12.前記酸素吸収性接着剤が、ドライラミネート用接着剤であることを特徴とする、上記1~11の何れかに記載の積層体。
13.さらに、前記基材層と前記シーラント層との間に、補強層を含むことを特徴とする、上記1~12の何れかに記載の積層体。
14.前記補強層が、植物由来の原料から合成された樹脂を含むことを特徴とする、上記13に記載の積層体。
15.前記補強層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、上記13に記載の積層体。
16.さらに、金属元素含有バリア層を含む積層体であって、
該金属元素含有バリア層と前記シーラント層との間に、前記酸素吸収性接着剤層が積層されていることを特徴とする、上記1~15の何れかに記載の積層体。
17.前記基材層または前記補強層が、前記金属元素含有バリア層を含むことを特徴とする、上記1~16の何れかに記載の積層体。
18.前記金属元素含有バリア層が、金属箔、金属蒸着膜、金属酸化物蒸着膜からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記16または17に記載の積層体。
19.上記1~18の何れかに記載の積層体から作製された、包装材料。
20.上記19に記載の包装材料から作製された、包装袋。
本発明の包装用の積層体は、バイオマス原料を用いて作製されたものであり、少なくとも、基材層と、酸素吸収性接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層された層構成を有し、基材層とシーラント層は、それぞれ、積層体の最表面に積層されている。
幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
本発明においては、植物由来の原料から合成された樹脂は、樹脂原料の一部または全部に、植物由来の原料を用いて合成された樹脂である。
Pbio(%)=P14C/105.5×100
本発明において、基材層は積層体の支持層として機能したり、包装袋の最表面層として、防汚性や耐切創性等の耐外部環境性を付与したりすることができる。
本発明の積層体において、該酸素吸収性接着剤層は、酸素吸収性接着剤から形成された層であり、接着剤としての機能と酸素ガスを吸収する機能とを担う層である。
酸素吸収性接着剤は、少なくとも、接着剤と、酸素吸収性樹脂と、酸化促進触媒と、光ラジカル開始剤とを含有する樹脂組成物からなるものであり、必要に応じて、硬化剤やポリエステルを含有することもできる。酸素吸収性接着剤は、様々なタイプを用いることが可能であり、ドライラミネート用接着剤やノンソルベント型接着剤であってもよい。
酸素吸収性接着剤に含有される接着剤としては、各種の接着剤を用いることが可能であり、例えば、ポリオール系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系等を用いることができる。これらの中でも、ポリオール系が好ましい。
本発明における酸素吸収性樹脂は、不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂からなる樹脂である。
不飽和脂肪酸エステルの炭素-炭素二重結合部が酸素吸収能を発揮することができる。
また、上記の変性は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、本発明における不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、硬化剤と反応し得る官能基を有することが好ましい。
硬化剤と反応し得る官能基の具体例としては、水酸基が好ましい。
不飽和脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸(不飽和脂肪族カルボン酸)と水酸基含有化合物とを縮合させる従来公知の方法により得ることができる。不飽和脂肪酸成分は、酸、酸無水物、酸エステル等の誘導体を用いることができ、例えば、上記の水酸基含有化合物と不飽和脂肪酸成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応をなどによって合成することができる。
不飽和脂肪酸エステルを変性する為のポリオール類には、各種の化合物を用いることができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、およびそれらのウレタン鎖伸長ポリオール等が挙げられる。
不飽和脂肪酸エステルを変性する際には、上記のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上を用いて変性することができる。
不飽和脂肪酸エステルを変性する為のイソシアネート系化合物には、公知の種々のイソシアネート系化合物を用いることができる。イソシアネート系化合物によって、不飽和脂肪酸エステルをウレタン化することができる。
本発明において、酸化促進触媒は酸素吸収性樹脂による酸素吸収作用を促進する成分であり、カルボン酸遷移金属塩からなるものである。
本発明における酸素吸収性樹脂の硬化剤は、酸素吸収性樹脂や接着剤の硬化剤として機能する化合物であれば、特に制限が無く、公知の種々の化合物を用いることができる。
剤である場合には、酸素吸収性接着剤中のポリイソシアネート系硬化剤の含有量は、全酸素吸収性接着剤中のNCO基/OH基のモル比が、1.0以上、3.0以下になるように含有することが好ましい。
酸素吸収性接着剤をドライラミネート用接着剤として用いる場合に添加される希釈剤は、酸素吸収性接着剤を構成する成分と反応しない溶媒がよく、例えば、エステル系またはケトン系溶媒が好ましく、具体的には、酢酸エチルが好ましい。例えば、ポリイソシアネート系硬化剤が含有されている場合には、水やアルコールはイソシアネート基と反応してしまう為に用いることはできない。
本発明の積層体において、シーラント層は、ヒートシール性樹脂を含有することによってヒートシール性を有する最外層であり、該積層体からなる包装材料を用いて包装袋を作製した場合には、内容物収納空間に接する層になる。
レンや、植物由来のエチレングリコールを原料モノマーとして用いた各種ポリエステル等が挙げられる。
本発明において、補強層は、必要に応じてさらに、基材層とシーラント層との間に積層される層である。
本発明において、金属元素含有バリア層は、必要に応じてさらに積層される層であり、
ガスバリア層として機能する層である。
本発明の包装材料は、本発明の包装用の積層体から作製された、包装材料であり、必要に応じて、各種機能を有する層を本発明の積層体に加えて有することも可能である。そして、本発明の積層体と同様に、紫外線を照射されることによって、内容物充填後の即日に、酸素吸収能を発現することができる。
本発明の包装袋は、本発明の包装材料から作製された包装袋である。そして、本発明の積層体と同様に、紫外線を照射されることによって、内容物充填後の即日に、酸素吸収能を発現することができる。
・PETフィルム1:東洋紡社製2軸延伸バイオマス(植物由来)PETフィルム。12μm厚。
・透明蒸着PETフィルム2:大日本印刷(株)社製バイオマスIB-PET。アルミナ蒸着バイオマス(植物由来)PETフィルム。12μm厚。
・LLDPEフィルム1:大日本印刷(株)社製バイオマス(植物由来)無延伸LLDPEフィルム。40μm厚。
・LLDPEフィルム2:無延伸LLDPEフィルム。40μm厚。酸化防止剤含有量770ppm。
・不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂1:伊藤製油(株)社製バイオマス(植物由来)ヒマシ油のポリオール変性樹脂、URIC H-30。水酸基価155~165mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/g以下、平均官能基数2.7。
・酸素吸収性接着剤1:ドライラミネート用。下記で調製。
・DL接着剤1:東洋モートン社製2液硬化型ポリエステルウレタン系接着剤
・アルミニウム箔1:7μm厚のアルミニウム箔。
フラスコ内に下記原料を投入し、窒素雰囲気下で、撹拌しながら6時間反応させ、酸素吸収性樹脂を得た。
不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂1 1500質量部
ポリエステルポリオール 1000質量部
キシレンジイソシアネート 80質量部
酢酸エチル 2500質量部
酸素吸収性樹脂 1000質量部
酸化促進触媒として
オクチル酸コバルト4%酢酸エチル溶液 24.2質量部
(金属量換算で400ppm)
硬化剤として
ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体 100質量部、
希釈剤として
酢酸エチル 1000質量部
さらに、光ラジカル開始剤として、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンを1.1質量部添加した。
透明蒸着PETフィルム2の蒸着面に、酸素吸収性接着剤1を乾燥塗布量が3.0g/m2になるように塗布・乾燥したのちに、LLDPEフィルム1とドライラミネートで貼り合せた。
そして、40℃にて3日間養生し、積層体を得た。そして、各種評価を実施した。
透明蒸着PETフィルム2の蒸着面に、DL接着剤1を乾燥塗布量が3.0g/m2になるように塗布・乾燥したのちに、PETフィルム1とドライラミネートで貼り合せた。
次いで、該PETフィルム1の表面に、酸素吸収性接着剤1を乾燥塗布量が3.0g/m2になるように塗布・乾燥したのちに、LLDPEフィルム1とドライラミネートで貼り合せ、40℃にて3日間養生し、積層体を得た。そして、実施例1と同様に各種評価を実施した。
DL接着剤1を酸素吸収性接着剤1に変えた以外は、実施例2と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
透明蒸着PETフィルム2をPETフィルム1に変え、PETフィルム1をアルミニウム箔1に変えた以外は、実施例2と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
酸素吸収性接着剤1をDL接着剤1に変えた以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
酸素吸収性接着剤1をDL接着剤2に変えた以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
シーラント層のLLDPEフィルム1をLLDPEフィルム2に変えた以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
[ラミネート強度]
得られた積層体の、シーラント層と接着剤層の界面のラミネート強度を、引っ張り試験機を用いて測定した。
[酸素吸収性能の測定]
得られた積層体にUV照射機にて500mJ/cm2の紫外線をシーラント層側面から照射を行った後、内寸135mm×70mmとなるよう三方ヒートシール方式にて包装体を作成し、シリンジにて26ccの空気、酸素センサーチップ(Precision Sensing社 非破壊酸素センサーチップ)を封入し、25℃の恒温槽内で7日間保管後の包装袋内の酸素濃度を、非破壊酸素濃度測定計を用いて測定し、酸素吸収量を算出した。
全実施例は、バイオマス原料の樹脂を用いながらも、優れたラミネート強度と、UV照射による即日の優れた酸素吸収量を示した。
2 基材層
3 酸素吸収性接着剤層
4 シーラント層
5 補強層
6 金属元素含有バリア層
7 汎用接着剤層
Claims (16)
- 少なくとも、基材層と、酸素吸収性接着剤層と、シーラント層とを有する、包装用の積層体であって、
該基材層と該シーラント層は、それぞれ、該積層体の最表面に積層されており、
該酸素吸収性接着剤層は、少なくとも、接着剤と、酸素吸収性樹脂と、酸化促進触媒と、光ラジカル開始剤とを含有する樹脂組成物から形成された層であり、
該酸素吸収性樹脂は、不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂からなり、
該不飽和脂肪酸エステルが、下記式(1)で示される化合物を含み
該酸化促進触媒は、カルボン酸遷移金属塩からなり、
該酸素吸収性接着剤層中のカルボン酸遷移金属塩の含有量は、塩を構成する遷移金属成分の質量が、酸素吸収性接着剤固形分に対して100ppm以上、1000ppm以下であり、
該シーラント層中の、酸化防止剤の含有量は1ppm~50ppmであり、
前記基材層と前記シーラント層との間に、補強層を含み、
さらに、金属元素含有バリア層を含む積層体であって、該金属元素含有バリア層と前記シーラント層との間に、前記酸素吸収性接着剤層が積層されており、
該積層体は、内容物充填前までは酸素吸収性能を発現せず、紫外線を300~700mJ/cm 2 照射することをトリガーとして酸素吸収性能を即日発現することを特徴とする、包装用の積層体。 - 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂が、植物由来のひまし油成分から合成された不飽和脂肪酸エステルの、変性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
- 前記基材層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記シーラント層が、植物由来のポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の積層体。
- 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、およびそれらのウレタン鎖伸長ポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上によって変性されていることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の積層体。
- 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、イソシアネート系化合物によって変性されていることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の積層体。
- 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、水酸基を有することを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の積層体。
- 前記樹脂組成物が、さらに、硬化剤を含有することを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の積層体。
- 前記硬化剤が、ポリイソシアネート系硬化剤であることを特徴とする、請求項8に記載の積層体。
- 前記樹脂組成物が、ドライラミネート用接着剤であることを特徴とする、請求項1~9の何れか1項に記載の積層体。
- 前記補強層が、植物由来の原料から合成された樹脂を含むことを特徴とする、請求項10に記載の積層体。
- 前記補強層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、請求項11に記載の積層体。
- 前記基材層または前記補強層が、前記金属元素含有バリア層を含むことを特徴とする、請求項1~12の何れか1項に記載の積層体。
- 前記金属元素含有バリア層が、金属箔、金属蒸着膜、金属酸化物蒸着膜からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項12または13に記載の積層体。
- 請求項1~14の何れか1項に記載の積層体から作製された、包装材料。
- 請求項15に記載の包装材料から作製された、包装袋。
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