JP7331340B2 - 酸素吸収性積層体およびそれを用いた包装材料と包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線を照射されることによって優れた酸素ガス吸収性を発現する、バイオマス原料を用いた積層体および該積層体を用いて作製した包装材料と包装袋に関する発明である。
包装袋に内容物を充填する場合は、内容物の酸化による品質劣化や、カビの発生を抑えることが重要であり、包装袋内に酸素が存在すると、内容物によっては、一日以内にカビ等が発生する場合もあり、内容物充填後の即日から酸素吸収性能を発揮することが求められている。
包装袋内の内容物のカビ発生や酸化による品質劣化を防止するためには、包装袋内空気の酸素ガス濃度を低減することが効果的であり、従来は、包装袋を高い酸素バリア性を有する包装材料を用いて作製して、外部からの酸素ガスの浸入を防止したり、包装袋内を窒素ガス等によってパージしたり、各種脱酸素剤を内容物と共に包装袋内に留置したりする手法が採られてきた。
しかしながら、高い酸素バリア性を有する包装袋を用いても継続的な酸素濃度低減効果が得難く、脱酸素剤が内容物と誤用されてしまう虞があり、満足のいく状況ではない。
さらに、特許文献1と特許文献2では、酸素吸収性能を有する包装材料用の接着剤が提案されているが、該接着剤を積層体に用いた場合には、製造直後から酸素吸収が発現するため、積層体を用いた包装袋に内容物を充填する前に酸素吸収性能が劣化してしまう問題がある。
また、特許文献3では、ジエン系樹脂に遷移金属やラジカル捕捉剤を含有させることにより高い酸素吸収性を持った樹脂が提案されているが、射出成型を目的とした樹脂であり、本発明における包装材料とは用途が異なる。
特許文献4では、ジエン系樹脂を用いた接着剤も提案されているが、該接着剤は酸素吸収性能を有さず、層間接着性にも問題が残っている。
特開2017-105910号公報 特許第5671816号公報 特開2006-335809公報 特許第5097373号公報
本発明は、上記を鑑みて鋭意検討されたものであり、バイオマス原料を用いて、優れたラミネート強度を有し、内容物充填前までは酸素ガス吸収性を発現せずに、内容物充填後の即日に優れた酸素ガス吸収性を発現することができる積層体および該積層体からなる包装材料を用いて、内容物が酸素ガスによって劣化することを防ぐことができる包装袋を得ることを課題とする。
本発明は、内容物充填前までは酸素ガス吸収性を発現せずに、紫外線を照射されることがトリガーとなって、内容物充填後の即日に優れた酸素ガス吸収性を発現することができることと、シーラント層中に酸化防止剤が50ppmよりも多く含有されている場合には酸素吸収性能の発現が遅れることを見出したものであり、本発明の包装用の積層体は、バイオマス原料を用いて作製されたものであり、少なくとも、特定の、基材層と、酸素吸収性接着剤層と、シーラント層とを有する包装用の積層体である。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材層と、酸素吸収性接着剤層と、シーラント層とを有する、包装用の積層体であって、
該基材層と該シーラント層は、それぞれ、該積層体の最表面に積層されており、
該酸素吸収性接着剤層は、少なくとも、接着剤と、酸素吸収性樹脂と、酸化促進触媒と、光ラジカル開始剤とを含有する樹脂組成物からなる酸素吸収性接着剤から形成された層であり、
該酸素吸収性樹脂は、不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂からなり、
該酸素吸収性接着剤層、該基材層、該シーラント層からなる群から選ばれる1種または2種以上が、植物由来の原料から合成された樹脂を含み、
該酸化促進触媒は、カルボン酸遷移金属塩からなり、
該シーラント層中の、酸化防止剤の含有量は50ppm以下であり、
該積層体は、紫外線を照射されることによって酸素吸収能を発現することを特徴とする、包装用の積層体。
2.前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂が、植物由来のひまし油成分から合成された不飽和脂肪酸エステルの、変性樹脂を含むことを特徴とする、上記1に記載の積層体。
3.前記基材層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、上記1または2に記載の積層体。
4.前記シーラント層が、植物由来のポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、上記1~3の何れかに記載の積層体。
5.前記不飽和脂肪酸エステルが、下記式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする、上記1~4の何れかに記載の積層体。
Figure 0007331340000001
6.前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、およびそれらのウレタン鎖伸長ポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上によって変性されていることを特徴とする、上記1~5の何れかに記載の積層体。
7.前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、イソシアネート系化合物によって変性されていることを特徴とする、上記1~6の何れかに記載の積層体。
8.前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、水酸基を有することを特徴とする、上記1~7の何れかに記載の積層体。
9.前記樹脂組成物が、さらに、硬化剤を含有することを特徴とする、上記1~8の何れかに記載の積層体。
10.前記硬化剤が、ポリイソシアネート系硬化剤であることを特徴とする、上記9に記載の積層体。
11.前記カルボン酸遷移金属塩の含有量は、該カルボン酸遷移金属塩を構成する遷移金属の質量が、前記酸素吸収性接着剤の固形分中に、20~2000ppmであることを特徴とする、上記1~10の何れかに記載の積層体。
12.前記酸素吸収性接着剤が、ドライラミネート用接着剤であることを特徴とする、上記1~11の何れかに記載の積層体。
13.さらに、前記基材層と前記シーラント層との間に、補強層を含むことを特徴とする、上記1~12の何れかに記載の積層体。
14.前記補強層が、植物由来の原料から合成された樹脂を含むことを特徴とする、上記13に記載の積層体。
15.前記補強層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、上記13に記載の積層体。
16.さらに、金属元素含有バリア層を含む積層体であって、
該金属元素含有バリア層と前記シーラント層との間に、前記酸素吸収性接着剤層が積層されていることを特徴とする、上記1~15の何れかに記載の積層体。
17.前記基材層または前記補強層が、前記金属元素含有バリア層を含むことを特徴とする、上記1~16の何れかに記載の積層体。
18.前記金属元素含有バリア層が、金属箔、金属蒸着膜、金属酸化物蒸着膜からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、上記16または17に記載の積層体。
19.上記1~18の何れかに記載の積層体から作製された、包装材料。
20.上記19に記載の包装材料から作製された、包装袋。
本発明の包装用の積層体は、バイオマス原料を用いながらも、優れたラミネート強度と、内容物充填前までは酸素ガス吸収性を発現せずに、紫外線照射をトリガーとして内容物を充填した即日の酸素ガス吸収性の発現性、さらには酸素ガスバリア性を示し、該積層体からなる包装材料を用いて作製した包装袋は、包装袋内の酸素濃度低減性に優れることから包装袋内の内容物のカビ発生や酸化による品質劣化を防止できる。
さらには、各種脱酸素剤を内容物と共に包装袋内に留置する必要が無いことから、包装工程の簡略化と、包装袋充填物のコストの削減と軽量化と、脱酸素剤の誤用防止と、脱酸素剤からなるゴミの低減を図ることができる。
本発明の積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層体の層構成について、別態様の一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層体の層構成について、別態様の一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層体の層構成について、別態様の一例を示す概略的断面図である。
本発明の包装用の積層体、包装材料、包装袋について、以下に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<積層体>
本発明の包装用の積層体は、バイオマス原料を用いて作製されたものであり、少なくとも、基材層と、酸素吸収性接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層された層構成を有し、基材層とシーラント層は、それぞれ、積層体の最表面に積層されている。
また、各層の間には、さらに、必要に応じて、積層体の各種特性を補強するための補強層や、ガスバリア性を向上させるための金属元素含有バリア層や、汎用の接着剤層を含むこともできる。
但し、金属元素含有バリア層を含む場合には、少なくとも、金属元素含有バリア層とシーラント層との間に酸素吸収性接着剤層が積層されていることが必要である。
本発明の包装用の積層体を用いて包装袋を作製した際は、シーラント層が包装袋内において内容物収納空間と接する層になる。この状況において、酸素吸収性接着剤層が内容物収納空間内の酸素ガスを効率よく吸収する為には、金属元素含有バリア層よりも内容物収納空間に近い位置に、酸素吸収性接着剤層が積層されている必要がある。酸素吸収性接着剤層は金属元素含有バリア層と隣接している必要は無い。
少なくとも上記の近い位置に酸素吸収性接着剤層が1層有りさえすれば、他の金属元素含有バリア層よりも内容物収納空間から遠い位置に酸素吸収性接着剤層がもう1層積層されていてもよい。
さらに、本発明の包装用の積層体においては、シーラント層中の酸化防止剤の含有量は50ppm以下であることが必要である。
シーラント層中の酸化防止剤の含有量が50ppmよりも多いと、酸素吸収性接着剤層の酸素吸収性能の発現が阻害されて遅くなり、紫外線を照射しても即日発現が困難になることがある。
該含有量の下限値は、ゼロppmが理想的であるが、実用上の管理面を考慮すると、1ppm程度で充分な効果を発揮することができる。
酸化防止剤の具体例としては、フェノール類、ラクトン類、チオエーテル類、没食子酸系化合物、アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、クエン酸、ブチルヒドロキシアニソール、亜リン酸エステル系化合物、ヒンダードアミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。
本発明の包装用の積層体は、紫外線を照射されることによって、積層体中の酸素吸収性接着剤層が酸素吸収性能を即日に発現し、積層体として酸素吸収性能を発現する。このトリガー機能によって、積層体から包装袋充填物が作製されるまでの間に酸素吸収性能が消費されて劣化することを抑え、且つ、酸素吸収性能を即日に発現することができる。紫外線照射は、一般的な殺菌用の紫外線ランプによる、好ましくは200~1000mJ/cm2、より好ましくは300~700mJ/cm 2 の紫外線照射で充分である。
しかしながら、酸素吸収能は、通常の室内雰囲気の熱、太陽光、室内灯光等によっても多少は発現してしまう可能性があることから、積層体の積層やエージング処理等を行う際は、なるべく、低温下、紫外線カット蛍光灯下、不活性ガス雰囲気下等で行うことが好ましい。
本発明の積層体において、バイオマス原料は、植物由来の原料から合成された樹脂であり、積層体中の、酸素吸収性接着剤層、基材層、シーラント層、補強層からなる群から選ばれる1種または2種以上が、植物由来の原料から合成された樹脂を含む。
したがって、本発明の積層体および該積層体を用いて作製した包装材料と包装袋は、従来の化石燃料から合成された樹脂のみからなるそれぞれに比べて、化石燃料の使用量を大
幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
[植物由来の原料を用いて合成された樹脂]
本発明においては、植物由来の原料から合成された樹脂は、樹脂原料の一部または全部に、植物由来の原料を用いて合成された樹脂である。
植物由来の原料を用いた場合には、植物の生育段階でCO2を吸収しているため、廃棄物として焼却される際のCO2がカーボンオフセット、カーボンニュートラルされることで、製造・輸送工程のCO2を含め、従来の石油由来ポリエチレンに比べて、最大でCO2排出量の70%削減を実現することができるとされている。
植物由来の樹脂原料や樹脂としては、工業的製品には、エタノール、エチレン、エチレングリコール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等が有名である。
先ず、サトウキビやトウモロコシ等のバイオマスを原料として植物由来のエタノール(バイオマスエタノール)が製造される。
植物由来のエチレングリコールは、例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、得ることができる。
そして、植物由来のエチレングリコールと、各種化石燃料由来ジカルボン酸とをエステル化反応させることで、各種の植物由来のポリエステルを得ることができ、例えば、化石燃料由来のテレフタル酸を用いて、植物由来のポリエチレンテレフタレート(PET)を得ることもできる。
また、植物由来のポリエチレンは、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンを経由してポリエチレンを生成する方法等により、得ることができる。
植物由来のエチレングリコールやポリエチレンは、従来の化石燃料由来のエチレングリコールやポリエチレンと化学構造が同じであるため、植物由来のポリエステルやポリエチレンのフィルムは、従来の化石燃料由来のポリエステルやポリエチレンのフィルムと機械的特性等の物性面で遜色がない。
ここで、大気中の二酸化炭素には、14Cが一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中の14C含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中には14Cが殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれる14Cの割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。
本発明においては、樹脂中の14Cの含有量をP14Cとした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioを、以下のように定義する。
Pbio(%)=P14C/105.5×100
PETを例にとると、PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとして植物由来のエチレングリコールのみを使用した場合、PET中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。
エチレングリコールとして、植物由来のエチレングリコールと化石燃料由来のエチレングリコールとを併用してPETを合成してもよく、エチレングリコールとして植物由来のエチレングリコールのみを使用したPETと、化石燃料のみから合成されたPETとを混合して用いてもよい。
[基材層]
本発明において、基材層は積層体の支持層として機能したり、包装袋の最表面層として、防汚性や耐切創性等の耐外部環境性を付与したりすることができる。
基材層には、一般的に基材層として用いられている樹脂フィルムを用いることができ、植物由来の樹脂からなる樹脂フィルムを用いることもできる。
具体的な樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミド系樹脂;セロファン;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アセタール系樹脂;EVOH等が挙げられる。
また、一軸または二軸延伸された樹脂フィルムまたは樹脂シートであることが好ましい。
基材層は、1層であっても、2層以上から構成されていてもよい。2層以上の場合には、同組成の層であっても、異なる組成の層であってもよい。
包装体を作製した際の内容物の種類や内容物充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用することが出来るが、上記の中でも、ポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂が好ましい。
特に、一軸または二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはシートや、二軸延伸ポリプロピレンフィルムまたはシート等が好適である。
基材層に用いる樹脂フィルム又は樹脂シートは、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
また、基材層または基材層を構成するフィルムやシートの表面には、密着性を向上させるために、積層前に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理を施しておいてもよい。
[酸素吸収性接着剤層]
本発明の積層体において、該酸素吸収性接着剤層は、酸素吸収性接着剤から形成された層であり、接着剤としての機能と酸素ガスを吸収する機能とを担う層である。
そして、植物由来の原料から合成された樹脂を含むことができる。
酸素吸収性接着剤層の厚みは、ドライラミネーション用接着剤の場合は、乾燥後の塗布量が、1g/m2以上、6g/m2以下、または、1μm以上、6μm以下が好ましく、3g/m2以上、5g/m2以下、または、3μm以上、5μm以下がより好ましい。
酸素吸収性接着剤層が上記範囲よりも薄いと、十分な酸素吸収性能が得られない虞が有り、上記範囲よりも厚いと、生産コストが上昇して好ましくない。
酸素吸収性接着剤層は、ドライラミネート用の酸素吸収性接着剤が用いられた場合には、酸素吸収性接着剤を塗布および乾燥して積層されて形成される。
[酸素吸収性接着剤]
酸素吸収性接着剤は、少なくとも、接着剤と、酸素吸収性樹脂と、酸化促進触媒と、光ラジカル開始剤とを含有する樹脂組成物からなるものであり、必要に応じて、硬化剤やポリエステルを含有することもできる。酸素吸収性接着剤は、様々なタイプを用いることが可能であり、ドライラミネート用接着剤やノンソルベント型接着剤であってもよい。
さらに、酸素吸収性接着剤は、必要とする性能が損なわれない範囲内で、接着付与剤、粘着付与剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、消泡剤、顔料等を含有することができる。
(接着剤)
酸素吸収性接着剤に含有される接着剤としては、各種の接着剤を用いることが可能であり、例えば、ポリオール系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系等を用いることができる。これらの中でも、ポリオール系が好ましい。
(酸素吸収性樹脂)
本発明における酸素吸収性樹脂は、不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂からなる樹脂である。
不飽和脂肪酸エステルの炭素-炭素二重結合部が酸素吸収能を発揮することができる。
本発明における不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、不飽和脂肪酸エステルを変性剤によって変性して得られた樹脂であり、1種の不飽和脂肪酸エステルまたは変性樹脂であっても、2種以上の不飽和脂肪酸エステルまたは変性樹脂の混合物であってもよく、さらには、未反応の不飽和脂肪酸エステルを含有していてもよい。
不飽和脂肪酸エステルを変性する為の変性剤には、各種の化合物や、鎖伸長剤を用いることができる。
例えば、ウレタン化やアロファネート化によって変性する場合には、イソシアネート系化合物やポリオール類などを用いることができ、エステル化によって変性する場合には、マレイン酸やフマル酸などのカルボン酸化合物などを用いることができ、アミド化によって変性する場合には、マレイン酸やフマル酸などのカルボン酸などと共にアミン成分を加えて用いることができる。
上記の変性の中でも、イソシアネート系化合物やポリオール類を用いたウレタン化が好ましい。
また、上記の変性は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、本発明における不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、硬化剤と反応し得る官能基を有することが好ましい。
硬化剤と反応し得る官能基の具体例としては、水酸基が好ましい。
(不飽和脂肪酸エステル)
不飽和脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸(不飽和脂肪族カルボン酸)と水酸基含有化合物とを縮合させる従来公知の方法により得ることができる。不飽和脂肪酸成分は、酸、酸無水物、酸エステル等の誘導体を用いることができ、例えば、上記の水酸基含有化合物と不飽和脂肪酸成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応をなどによって合成することができる。
水酸基含有化合物は、水酸基を1個以上有する化合物であり、2個有するグリコールや、3個有するグリセリンが好ましい。
不飽和脂肪酸エステルは、下記式(1)で示される、リシノレイン酸グリセリンエステルを含むことが好ましい。リシノレイン酸グリセリンエステルの原料であるリシノレイン酸は、植物のヒマ(トウダイグサ科)の種子から得られるひまし油の主成分としても知られており、植物由来の樹脂原料として用いることができる。
Figure 0007331340000002
(ポリオール類)
不飽和脂肪酸エステルを変性する為のポリオール類には、各種の化合物を用いることができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、およびそれらのウレタン鎖伸長ポリオール等が挙げられる。
植物由来のエチレングリコールをポリオールまたは上記の各種ポリオール類を合成する原料として用いることもできる
不飽和脂肪酸エステルを変性する際には、上記のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上を用いて変性することができる。
(イソシアネート系化合物)
不飽和脂肪酸エステルを変性する為のイソシアネート系化合物には、公知の種々のイソシアネート系化合物を用いることができる。イソシアネート系化合物によって、不飽和脂肪酸エステルをウレタン化することができる。
イソシアネート系化合物の具体例としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートやそれらのビューレット体、トリメチロールプロパンアダクト体、ヌレート体などが挙げられる。
アロファネート化させる場合には、上記のイソシアネート系化合物のアロファネート体を用いることができる。
不飽和脂肪酸エステルを変性する際には、上記のイソシアネート系化合物からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いて変性することができる。
これらの中でも、2官能性であるジイソシアネート類を用いて変性することが、塗工適性、接着力の面から好ましく、キシリレンジイソシアネートがより好ましい。
(酸化促進触媒)
本発明において、酸化促進触媒は酸素吸収性樹脂による酸素吸収作用を促進する成分であり、カルボン酸遷移金属塩からなるものである。
遷移金属の具体例としては、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、銅などが挙げられ、カルボン酸の具体例としては、ステアリン酸、ナフテン酸、オクチル酸などが挙げられる。
カルボン酸遷移金属塩としては、これらの遷移金属とカルボン酸との組み合わせの塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。それらの中でも、オクチル酸コバルトが酸素吸収性促進作用が大きく、好ましい。
酸素吸収性接着剤中の遷移金属のカルボン酸塩の含有量は、上記の塩を構成する遷移金属成分の質量が、酸素吸収性接着剤固形分に対して10ppm以上、6000ppm以下が好ましく、100ppm以上、1000ppm以下がより好ましい。上記範囲よりも少ないと、酸素吸収性能が不十分になる虞があり、上記範囲よりも多いと、包装袋に内容物を充填する前に酸素吸収性能が多量に消費されてしまう虞がある。
(硬化剤)
本発明における酸素吸収性樹脂の硬化剤は、酸素吸収性樹脂や接着剤の硬化剤として機能する化合物であれば、特に制限が無く、公知の種々の化合物を用いることができる。
例えば、酸素吸収性樹脂が水酸基を有する場合には、硬化剤には、ポリイソシアネート系硬化剤を用いることが好ましい。
本発明におけるポリイソシアネート系硬化剤は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有すものであればよく、芳香族系ポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネート系の何れも用いることが出来る。
具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、さらにはこれらの、トリメチロールプロパンアダクトや、ビューレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体(三量体)が挙げられる。
ポリイソシアネート系硬化剤としては、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体が好ましい。
酸素吸収性接着剤中の硬化剤の含有量は、全酸素吸収性接着剤中の、硬化に関与する官能基について、硬化剤の官能基/(酸素吸収性樹脂+接着剤)の官能基のモル比が、0.8以上、3.0以下になるように含有することが好ましい。
例えば、酸素吸収性樹脂や接着剤が水酸基を有し、硬化剤がポリイソシアネート系硬化
剤である場合には、酸素吸収性接着剤中のポリイソシアネート系硬化剤の含有量は、全酸素吸収性接着剤中のNCO基/OH基のモル比が、1.0以上、3.0以下になるように含有することが好ましい。
該モル比が上記範囲よりも小さいと十分な接着性が得られない虞があり、上記範囲よりも大きいと、ポットライフの短縮などの不具合が生じる虞がある。
(希釈剤)
酸素吸収性接着剤をドライラミネート用接着剤として用いる場合に添加される希釈剤は、酸素吸収性接着剤を構成する成分と反応しない溶媒がよく、例えば、エステル系またはケトン系溶媒が好ましく、具体的には、酢酸エチルが好ましい。例えば、ポリイソシアネート系硬化剤が含有されている場合には、水やアルコールはイソシアネート基と反応してしまう為に用いることはできない。
[シーラント層]
本発明の積層体において、シーラント層は、ヒートシール性樹脂を含有することによってヒートシール性を有する最外層であり、該積層体からなる包装材料を用いて包装袋を作製した場合には、内容物収納空間に接する層になる。
本発明は、シーラント層中に酸化防止剤が50ppmよりも多く含有されている場合には酸素吸収性能の発現が遅れることを見出したものである。
シーラント層は、1層であっても、2層以上から構成されていてもよい。2層以上の場合には、同組成の層であっても、異なる組成の層であってもよい。
但し、耐内容物性エージングレス積層体の最表面を構成する層は、ヒートシール性に優れた樹脂を含むことが好ましい。
シーラント層は、(共)押出ラミネーションによって積層された層であっても、フィルムの貼り付けによって積層された層であっても、フィルムを(共)押出ラミネーション層を介して貼り付けたサンドラミネーションによって積層された層であってもよい。
具体的なヒートシール性樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。
これらの中でも。シーラント層は、ヒートシール性樹脂として、ポリエチレン系樹脂を含有していることが好ましく、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)または低密度ポリエチレン(LDPE)を含有していることが、より好ましい。
また、上記のヒートシール性樹脂は植物由来の原料を用いて合成された樹脂を含んでいてもよい。例えば、植物由来のエチレンを原料モノマーとして用いた上記の各種ポリエチ
レンや、植物由来のエチレングリコールを原料モノマーとして用いた各種ポリエステル等が挙げられる。
シーラント層には、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
また、シーラント層またはシーラント層を構成するフィルムやシートの表面には、密着性を向上させるために、積層前に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理を施しておいてもよい。
[補強層]
本発明において、補強層は、必要に応じてさらに、基材層とシーラント層との間に積層される層である。
補強層は、シーラント層の支持層として機能する層であり、積層体の引張り強度、屈曲強度、衝撃強度、突き刺し強度、破断強度、靭性、剛性等の補強を担うことができる。
補強層は、1層であっても、2層以上から構成されていてもよい。2層以上の場合には、同組成の層であっても、異なる組成の層であってもよい。
補強層は、樹脂フィルムから形成されることが好ましい。但し、該樹脂フィルムは、(共)押出ラミネーションによって形成された樹脂フィルムであっても、フィルムの貼り付けによって形成された樹脂フィルムであっても、フィルムを(共)押出ラミネーション層を介して貼り付けたサンドラミネーションによって形成された樹脂フィルムであってもよい。
補強層に含まれる樹脂は、支持層として機能できる樹脂であれば特に制限は無く、基材層と同様の種類の樹脂を用いることができるが、ナイロン等のポリアミド系樹脂や、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含むことが好ましい。
さらには、上記の樹脂は、植物由来の原料を用いて合成された樹脂を含んでいてもよい。
補強層は、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
また、補強層または補強層を構成するフィルムやシートの表面には、密着性を向上させるために、積層前に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理を施しておいてもよい。
[金属元素含有バリア層]
本発明において、金属元素含有バリア層は、必要に応じてさらに積層される層であり、
ガスバリア層として機能する層である。
金属元素含有バリア層は、アルミニウム箔のような金属箔、アルミニウム蒸着膜のような金属蒸着膜、酸化アルミニウム蒸着膜や酸化珪素蒸着膜のような金属酸化物蒸着膜からなる群から選ばれる1種または2種以上からなる層であることが好ましい。
金属元素含有バリア層は、1層であっても、2層以上から構成されていてもよい。2層以上の場合には、同組成の層であっても、異なる組成の層であってもよい。また、層間が接着層を介して積層されていてもよく、2層以上が各々離れて積層されていてもよい。
金属元素含有バリア層は、基材層中または基材層の積層側表面、補強層中または補強層表面等の層中または層間に含まれることができ、基材層または補強層を構成する樹脂フィルムまたは樹脂シートに、アルミニウム蒸着膜、酸化アルミニウム蒸着膜、または酸化珪素蒸着膜等を蒸着処理によって形成されてもよいし、金属箔を各層内または各層表面に接着して形成されてもよい。
金属元素含有バリア層を他層と積層する際には、接着剤層によって接着することができる。該接着剤層はドライラミネーション接着剤層であることが好ましい。
<包装材料>
本発明の包装材料は、本発明の包装用の積層体から作製された、包装材料であり、必要に応じて、各種機能を有する層を本発明の積層体に加えて有することも可能である。そして、本発明の積層体と同様に、紫外線を照射されることによって、内容物充填後の即日に、酸素吸収能を発現することができる。
<包装袋>
本発明の包装袋は、本発明の包装材料から作製された包装袋である。そして、本発明の積層体と同様に、紫外線を照射されることによって、内容物充填後の即日に、酸素吸収能を発現することができる。
例えば、本発明の包装材料を二つ折にするか、または包装材料を2枚用意し、そのシーラント層の面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を作製することができる。
<原材料>
・PETフィルム1:東洋紡社製2軸延伸バイオマス(植物由来)PETフィルム。12μm厚。
・透明蒸着PETフィルム2:大日本印刷(株)社製バイオマスIB-PET。アルミナ蒸着バイオマス(植物由来)PETフィルム。12μm厚。
・LLDPEフィルム1:大日本印刷(株)社製バイオマス(植物由来)無延伸LLDPEフィルム。40μm厚。
・LLDPEフィルム2:無延伸LLDPEフィルム。40μm厚。酸化防止剤含有量770ppm。
・不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂1:伊藤製油(株)社製バイオマス(植物由来)ヒマシ油のポリオール変性樹脂、URIC H-30。水酸基価155~165mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/g以下、平均官能基数2.7。
・酸素吸収性接着剤1:ドライラミネート用。下記で調製。
・DL接着剤1:東洋モートン社製2液硬化型ポリエステルウレタン系接着剤
・アルミニウム箔1:7μm厚のアルミニウム箔。
[酸素吸収性接着剤1の調製]
フラスコ内に下記原料を投入し、窒素雰囲気下で、撹拌しながら6時間反応させ、酸素吸収性樹脂を得た。
不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂1 1500質量部
ポリエステルポリオール 1000質量部
キシレンジイソシアネート 80質量部
酢酸エチル 2500質量部
得られた酸素吸収性樹脂を用いて、下記配合で混合したものを酸素吸収ドライラミネート用接着剤として用いた。
酸素吸収性樹脂 1000質量部
酸化促進触媒として
オクチル酸コバルト4%酢酸エチル溶液 24.2質量部
(金属量換算で400ppm)
硬化剤として
ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体 100質量部、
希釈剤として
酢酸エチル 1000質量部
さらに、光ラジカル開始剤として、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンを1.1質量部添加した。
[実施例1]
透明蒸着PETフィルム2の蒸着面に、酸素吸収性接着剤1を乾燥塗布量が3.0g/m2になるように塗布・乾燥したのちに、LLDPEフィルム1とドライラミネートで貼り合せた。
そして、40℃にて3日間養生し、積層体を得た。そして、各種評価を実施した。
[実施例2]
透明蒸着PETフィルム2の蒸着面に、DL接着剤1を乾燥塗布量が3.0g/m2になるように塗布・乾燥したのちに、PETフィルム1とドライラミネートで貼り合せた。
次いで、該PETフィルム1の表面に、酸素吸収性接着剤1を乾燥塗布量が3.0g/m2になるように塗布・乾燥したのちに、LLDPEフィルム1とドライラミネートで貼り合せ、40℃にて3日間養生し、積層体を得た。そして、実施例1と同様に各種評価を実施した。
[実施例3]
DL接着剤1を酸素吸収性接着剤1に変えた以外は、実施例2と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
[実施例4]
透明蒸着PETフィルム2をPETフィルム1に変え、PETフィルム1をアルミニウム箔1に変えた以外は、実施例2と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
[比較例1]
酸素吸収性接着剤1をDL接着剤1に変えた以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
[比較例2]
酸素吸収性接着剤1をDL接着剤2に変えた以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
[比較例3]
シーラント層のLLDPEフィルム1をLLDPEフィルム2に変えた以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得て、同様に評価した。
<評価方法>
[ラミネート強度]
得られた積層体の、シーラント層と接着剤層の界面のラミネート強度を、引っ張り試験機を用いて測定した。
[酸素吸収性能の測定]
得られた積層体にUV照射機にて500mJ/cm2の紫外線をシーラント層側面から照射を行った後、内寸135mm×70mmとなるよう三方ヒートシール方式にて包装体を作成し、シリンジにて26ccの空気、酸素センサーチップ(Precision Sensing社 非破壊酸素センサーチップ)を封入し、25℃の恒温槽内で7日間保管後の包装袋内の酸素濃度を、非破壊酸素濃度測定計を用いて測定し、酸素吸収量を算出した。
Figure 0007331340000003
Figure 0007331340000004
[評価結果まとめ]
全実施例は、バイオマス原料の樹脂を用いながらも、優れたラミネート強度と、UV照射による即日の優れた酸素吸収量を示した。
しかし、本願発明に係る酸素吸収性接着剤層を有していない比較例1、2は、UV照射を行っても酸素を吸収せず、シーラント層中の酸化防止剤含有量が高い比較例3は、UV照射を行っても即日の酸素吸収性を示さなかった。
1 積層体
2 基材層
3 酸素吸収性接着剤層
4 シーラント層
5 補強層
6 金属元素含有バリア層
7 汎用接着剤層

Claims (16)

  1. 少なくとも、基材層と、酸素吸収性接着剤層と、シーラント層とを有する、包装用の積層体であって、
    該基材層と該シーラント層は、それぞれ、該積層体の最表面に積層されており、
    該酸素吸収性接着剤層は、少なくとも、接着剤と、酸素吸収性樹脂と、酸化促進触媒と、光ラジカル開始剤とを含有する樹脂組成物から形成された層であり、
    該酸素吸収性樹脂は、不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂からなり、
    該不飽和脂肪酸エステルが、下記式(1)で示される化合物を含み
    Figure 0007331340000005
    該酸素吸収性接着剤層、該基材層、該シーラント層からなる群から選ばれる1種または2種以上が、植物由来の原料から合成された樹脂を含み、
    該酸化促進触媒は、カルボン酸遷移金属塩からなり、
    該酸素吸収性接着剤中のカルボン酸遷移金属塩の含有量は、塩を構成する遷移金属成分の質量が、酸素吸収性接着剤固形分に対して100ppm以上、1000ppm以下であり、
    該シーラント層中の、酸化防止剤の含有量は1ppm~50ppmであり、
    前記基材層と前記シーラント層との間に、補強層を含み、
    さらに、金属元素含有バリア層を含む積層体であって、該金属元素含有バリア層と前記シーラント層との間に、前記酸素吸収性接着剤層が積層されており、
    該積層体は、内容物充填前までは酸素吸収性能を発現せず、紫外線を300~700mJ/cm 2 照射することをトリガーとして酸素吸収性能を即日発現することを特徴とする、包装用の積層体。
  2. 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂が、植物由来のひまし油成分から合成された不飽和脂肪酸エステルの、変性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記シーラント層が、植物由来のポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の積層体。
  5. 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、およびそれらのウレタン鎖伸長ポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上によって変性されていることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の積層体。
  6. 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、イソシアネート系化合物によって変性されていることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の積層体。
  7. 前記の不飽和脂肪酸エステルの変性樹脂は、水酸基を有することを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の積層体。
  8. 前記樹脂組成物が、さらに、硬化剤を含有することを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の積層体。
  9. 前記硬化剤が、ポリイソシアネート系硬化剤であることを特徴とする、請求項8に記載の積層体。
  10. 前記樹脂組成物が、ドライラミネート用接着剤であることを特徴とする、請求項1~の何れか1項に記載の積層体。
  11. 前記補強層が、植物由来の原料から合成された樹脂を含むことを特徴とする、請求項10に記載の積層体。
  12. 前記補強層が、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、請求項11に記載の積層体。
  13. 前記基材層または前記補強層が、前記金属元素含有バリア層を含むことを特徴とする、請求項1~12の何れか1項に記載の積層体。
  14. 前記金属元素含有バリア層が、金属箔、金属蒸着膜、金属酸化物蒸着膜からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項12または13に記載の積層体。
  15. 請求項1~14の何れか1項に記載の積層体から作製された、包装材料。
  16. 請求項15に記載の包装材料から作製された、包装袋。
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