JP7323249B1 - マット - Google Patents
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Abstract
Description
図1~5に示されるマット1は、たとえば薄い直方体形状のウレタンなどの弾力性を有する材料によって一体形成されている。マット1は、当該マット1を支えるフレームまたは台(図示せず)と共にベッドを構成する。マット1は、たとえばその上面全体で、その上に仰臥した人50(図4~6参照)の全身を支えることができるサイズである。マット1のサイズは、例えば、標準的な成人の体型(例えば、身長170cm、体重70kg程度の日本の成人男子など)に合わせて設定される。なお、本発明では、マット1は、仰臥した人50の少なくとも背中52(図4~6参照)に対応する部位を支持することが可能なサイズがあればよい。
背中支持部3によって支持される背中52の内部には、仰臥した人50の呼吸を司る筋肉として、図7に示されるように、一対の下後鋸筋41と一対の上後鋸筋42がある。
本実施形態では、上後鋸筋42による肋骨群の引き上げを制限しないための背中支持部3の頭側X1の部分の構成として、図1~7に示されるように、背中支持部3は、一対の肩甲骨支持部20と、一対の上後鋸筋対応部19と、胸椎支持部18と、第6胸椎対応部23と、一対の肩甲挙筋押圧部24と、一対の肋骨押圧部27と、一対の下後鋸筋対応部29とを備える。
(1)
本発明者は、仰臥時において呼吸の促進をするために、吸気時に肋骨を上昇させる上後鋸筋42の動きを阻害する圧迫を除去する点について鋭意検討を重ねた結果、以下のマット1を発明するに至った。
本実施形態のマット1では、肩甲骨支持部20は、肩甲骨SCの頭側X1の部分(具体的には、肩甲棘SC2の少なくとも一部を含む部分)に対応する部位の下方に配置され、基準面100よりも下方に凹んだ頭側段差部22(第1段差部)を有する。これにより、仰臥時において肩甲棘SC2の圧迫を回避し、肩甲骨SCの上方回旋がしやすくなる。それとともに鎖骨および胸郭の頭側への移動がしやすくなるので、仰臥時の吸気がさらに容易になる。
本実施形態のマット1では、肩甲骨支持部20は、基準面100と同じ高さに設定されている。さらに、上後鋸筋対応部19が基準面100より下方に凹んだ上後鋸筋段差部119(第2段差部)により構成されることにより、上後鋸筋対応部19からの体圧が肩甲骨支持部20からの体圧よりも低くなっている。したがって、上後鋸筋段差部119により上後鋸筋42の圧迫を確実に回避することが可能である。なお、肩甲骨支持部20の上面の高さは、基準面100以上の高さであればよく、基準面100よりも高くてもよい。
本実施形態のマット1では、背中支持部3は、仰臥した人の背中のうち脊柱SPの少なくとも第6胸椎T6を含む胸椎が2個以上連続した部分に対応する部位の下方に配置された第6胸椎対応部23をさらに有する。第6胸椎対応部23は、第6胸椎対応部23からの体圧が背中支持部3における第6胸椎対応部23以外の脊柱を支持する部分からの体圧よりも低くなるように構成されている。
本実施形態のマット1では、第6胸椎対応部23は、基準面100よりも下方に凹んだ胸椎段差部123(第3段差部)により構成されている。この構成では、簡単な構成で第6胸椎T6付近の圧迫を回避し、仰臥時の呼吸をより促進することが可能である。
本実施形態のマット1では、背中支持部3は、仰臥した人の左右一対の下後鋸筋41(図7参照)のそれぞれの少なくとも起始部と停止部との間の中間の部分に対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部29を備えている。下後鋸筋対応部29は、下後鋸筋対応部29からの体圧が背中支持部3における下後鋸筋対応部29以外の部分からの体圧よりも低くなるように構成されている、
本実施形態のマット1では、下後鋸筋対応部29が基準面100より下方に凹んだ下後鋸筋段差部129(第4段差部)により構成されることにより、下後鋸筋対応部29からの体圧が背中支持部3における下後鋸筋対応部29以外の部分からの体圧よりも低くなっている。したがって、下後鋸筋段差部129により下後鋸筋41の圧迫を確実に回避することが可能である。
本実施形態のマットでは、背中支持部3は、一対の下後鋸筋対応部29よりも体幅方向Yの外側において、仰臥した人の少なくとも第8肋骨R8および第9肋骨R9のそれぞれに対応する部位の下方に位置し、基準面100よりも上方Z1に突出する一対の肋骨押圧部27を備えている。肋骨押圧部27は、少なくとも第8肋骨R8および第9肋骨R9(例えば、第7肋骨R7~第11肋骨R11)を含む肋骨を下方から押圧することが可能である。これにより、胸郭下部が頭側X1へ向かって開きやすくなり、さらに胸椎が理想に近い状態に若干反ることが可能になり、吸気がしやすくなる。
本実施形態のマット1では、背中支持部3は、仰臥した人の肩甲挙筋40における幅方向Yの中間位置よりも外側で、かつ、当該肩甲挙筋40を当該幅方向Yにおいて外側から内側へ押圧可能な位置に配置された肩甲挙筋押圧部24を備えている。
本実施形態のマット1では、肩甲挙筋押圧部24は、基準面100よりも上方に突出し、基準面100よりも高い位置で肩甲挙筋40を幅方向Yにおいて外側から内側へ押圧するように構成されている。
本実施形態のマット1では、一対の上後鋸筋段差部119のそれぞれは、一対の上後鋸筋42のそれぞれにおける仰臥した人の脊柱SPと肩甲骨SCの間に位置する範囲に形成されている。
本実施形態のマット1では、背中支持部3は、仰臥した人の背中のうち脊柱SPの少なくとも第1胸椎T1から第3胸椎T3までを含む胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持する胸椎支持部18をさらに備える。胸椎支持部18は、一対の上後鋸筋段差部119の間に位置している。
(A)
上記実施形態のマット1では、上後鋸筋対応部19は、基準面100より下方に凹んだ上後鋸筋段差部119(第2段差部)により構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明では、上後鋸筋対応部19および脚側支持部21は、上後鋸筋対応部19からの体圧が脚側支持部21からの体圧よりも低くなることにより、前記上後鋸筋対応部からの体圧が前記脚側支持部からの体圧よりも低くなる構成であれば、仰臥時において上後鋸筋42の圧迫を回避することが可能である。
上記の実施形態では、第6胸椎対応部23は、基準面100よりも下方に凹んだ胸椎段差部123(第3段差部)により構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。第6胸椎対応部23は、当該第6胸椎対応部23からの体圧が脚側支持部21からの体圧よりも低くなるように構成されていればよい。したがって、第6胸椎対応部23および脚側支持部21が基準面100と同じ高さに位置し、かつ、第6胸椎対応部23が肩甲骨支持部20よりも硬度が低い材料で構成されてもよい。この場合も、第6胸椎T6付近の圧迫を回避し、仰臥時の呼吸をより促進することが可能である。なお、本発明では、第6胸椎対応部23は必須の構成要素ではなく、省略してもよい。
また、本発明の変形例として、図8~9に示されるように、一対の肩甲骨支持部20は、それぞれ、脚側支持部21と、脚側支持部21よりも頭側X1に位置する頭側対応部25とをさらに有し、脚側支持部21が頭側対応部25と比べて相対的に高くなるように構成されていてもよい。この構成により、仰臥時において上後鋸筋42の全体の圧迫回避と肩甲骨SCの上方回旋の促進の両方を達成することが可能である。なお、図8~9に示されるマットの他の構成は、図1~7に示される上記実施形態のマットの構成と共通する。
上記の変形例(C)では、肩甲骨支持部20における当該脚側支持部21よりも頭側X1の頭側対応部25は、図1の基準面100と同一の高さであり、脚側支持部21は、頭側対応部25と比べて高くなっているが、脚側支持部21は、頭側対応部25と比べて相対的に高くなるように構成されていれば、仰臥時において、上後鋸筋42のうち肩甲骨SCと重なり合う部分を含む上後鋸筋42の全体の圧迫回避と肩甲骨SCの上方回旋の促進の両方を達成することが可能である。
上記実施形態のマット1は、一対の上後鋸筋段差部119の間に胸椎支持部18を備えているが、本発明はこれに限定するものではない。一対の上後鋸筋段差部119の面積が比較的小さい場合には、胸椎支持部18が無く、一対の上後鋸筋段差部119がつながっていてもよい。すなわち、一対の上後鋸筋段差部119は、仰臥した人の背中の脊柱SPに対応する部位を横断して互いに連続していてもよい。
上記の実施形態では、上後鋸筋段差部119が脊柱SPと肩甲骨SCの間に位置する範囲に形成されるとともに、上後鋸筋42における肩甲骨SCと重なっている部分(図7の部分42b1、42c1、42d1参照)が肩甲骨支持部20によって支持されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明では、上後鋸筋42に対応する部位の少なくとも起始部と停止部の中間の部分に対応する部位の下方に配置されていればよい。したがって、本発明の変形例として、上後鋸筋段差部119は、肩甲骨SCと重なっている部分(図7の部分42b1、42c1、42d1参照)を含めて上後鋸筋42の全体を覆う範囲に形成されてもよい。
前記実施形態をまとめると以下のとおりである。
Claims (13)
- 仰臥した人の背中を支持する基準面を有する背中支持部を備えたマットであって、
前記背中支持部は、
前記仰臥した人の左右一対の上後鋸筋のそれぞれの少なくとも起始部と停止部との間の中間の部分に対応する部位の下方に配置された一対の上後鋸筋対応部と、
前記一対の上後鋸筋対応部よりも体幅方向の外側において前記仰臥した人の左右一対の肩甲骨に対応する部位を支持する一対の肩甲骨支持部と、
を備え、
前記上後鋸筋対応部および前記肩甲骨支持部は、前記上後鋸筋対応部からの体圧が前記肩甲骨支持部からの体圧よりも低くなるように構成され、
前記肩甲骨支持部は、前記肩甲骨の頭側の端部における肩甲棘の少なくとも一部に対応する部位の下方に配置され、前記基準面よりも下方に凹んだ第1段差部を有する、
ことを特徴とするマット。 - 請求項1に記載のマットにおいて、
前記背中支持部は、前記仰臥した人の前記背中のうち脊柱の少なくとも第6胸椎を含む胸椎が2個以上連続した部分に対応する部位の下方に配置された第6胸椎対応部をさらに備え、
前記第6胸椎対応部は、前記第6胸椎対応部からの体圧が前記背中支持部における前記第6胸椎対応部以外の脊柱を支持する部分からの体圧よりも低くなるように構成されている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項1に記載のマットにおいて、
前記肩甲骨支持部は、前記基準面の高さと同じまたはそれ以上の高さを有し、
前記上後鋸筋対応部は、前記基準面より下方に凹んだ第2段差部により構成されていることにより、前記上後鋸筋対応部からの体圧が前記肩甲骨支持部からの体圧よりも低くなることを特徴とするマット。 - 請求項1に記載のマットにおいて、
前記上後鋸筋対応部および前記肩甲骨支持部の高さは、前記基準面と同じ高さに設定され、
前記上後鋸筋対応部は、前記肩甲骨支持部の硬度よりも低い硬度の材料で構成されていることにより、前記上後鋸筋対応部からの体圧が前記肩甲骨支持部からの体圧よりも低くなることを特徴とするマット。 - 請求項2に記載のマットにおいて、
前記第6胸椎対応部は、前記基準面よりも下方に凹んだ第3段差部により構成されている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載のマットにおいて、
前記背中支持部は、前記仰臥した人の左右一対の下後鋸筋のそれぞれの少なくとも起始部と停止部との間の中間の部分に対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部をさらに備え、
前記下後鋸筋対応部は、前記下後鋸筋対応部からの体圧が前記背中支持部における前記下後鋸筋対応部以外の部分からの体圧よりも低くなるように構成されている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項6に記載のマットにおいて、
前記下後鋸筋対応部は、前記基準面よりも下方に凹んだ第4段差部により構成されている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項6に記載のマットにおいて、
前記背中支持部は、前記一対の下後鋸筋対応部よりも体幅方向の外側において、仰臥した人の少なくとも第8肋骨および第9肋骨のそれぞれに対応する部位の下方に位置し、前記基準面よりも上方に突出し、前記第8肋骨および前記第9肋骨を含む肋骨を下方から押圧する一対の肋骨押圧部をさらに備えている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載のマットにおいて、
前記背中支持部は、仰臥した人の肩甲挙筋における前記体幅方向の中間位置よりも外側で、かつ、当該肩甲挙筋を当該体幅方向において外側から内側へ押圧可能な位置に配置された肩甲挙筋押圧部をさらに備えている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項9に記載のマットにおいて、
前記肩甲挙筋押圧部は、前記基準面よりも上方に突出し、前記基準面よりも高い位置で前記肩甲挙筋を前記体幅方向において外側から内側へ押圧するように構成されている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項1に記載のマットにおいて、
前記一対の肩甲骨支持部は、前記肩甲骨のうち前記上後鋸筋よりも脚側の部分に対応する部位を前記基準面以上の高さ位置で支持する脚側支持部と、前記脚側支持部よりも頭側に位置する頭側対応部とを有し、
前記脚側支持部は、前記頭側対応部と比べて相対的に高くなるように構成されている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項11に記載のマットにおいて、
前記脚側支持部は、前記基準面よりも上方に突出し、前記肩甲骨のうち前記上後鋸筋よりも脚側の部分に対応する部位を前記基準面よりも高い位置で支持するように構成されている、
ことを特徴とするマット。 - 請求項11に記載のマットにおいて、
前記頭側対応部は、前記肩甲骨のうち前記上後鋸筋と重なる部分の下方に位置し、前記基準面よりも下方に凹んだ第5段差部により構成されている、
ことを特徴とするマット。
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