JP7322475B2 - アジルサルタンを含有する錠剤 - Google Patents
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しかし、その形態及び/又は各種添加剤等によって、経時的な分解等が誘発されることがあることが知られている(例えば、特許文献1)。
また、患者の多種多様の服用形態に沿うために、水がなくても服用可能であり、懸濁剤などの経腸栄養の形態に調整しやすいことなどを考慮した医薬組成物が求められている。
本発明は、その形態にかかわらず、製造時及び長期保存時において安定した物性を維持することができる医薬組成物を提供することを目的とする。
アジルサルタンと、
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー及びポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含む安定化された医薬組成物。
医薬組成物中のアジルサルタンは、医薬組成物の重量を基準に5w/w%~35w/w%含有される。また、別の観点から、一回投与量が、10mg~40mgとなるように組成することができる。
また、本願の医薬組成物は、その他の結合剤をさらに含有していてもよい。
結合剤としては、当該分野で通常用いられているもの、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポビドン(ポリビニルピロリドン(PVP))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、α化デンプン、寒天、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、グアールガム及びポリエチレンオキシド等の1種又は2種以上をさらに組合せて用いてもよい。
結合剤の含有量は、医薬組成物の重量を基準に0.01w/w%~10w/w%が挙げられ、0.1w/w%~5w/w%が好ましい。なかでも、結合剤が、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマーであることが好ましく、後者のみがより好ましい。
このように、アジルサルタンに特定の結合剤を組み合わせる場合には、上述したように、アジルサルタンの不安定化を抑制しつつ、医薬組成物のなかでも、服用が容易な錠剤であって、優れた崩壊性と錠剤硬度を示すアジルサルタン含有錠剤を得ることができる。特に、崩壊性と錠剤硬度とはトレードオフの関係があり、崩壊性が向上すると錠剤硬度は低くなり、製造過程、流通過程、個人の保存及び使用においてまでも、崩れやすくなり製造過程での不良品の増大を招く。流通過程又は個人の使用における不都合などを招くことなく、かつ口中又は懸濁液中等において速やかに崩壊して、摂取又は嚥下等を容易に行わせることができるようにする事が必要である。
賦形剤の含有量は、医薬組成物において10w/w%~85w/w%が挙げられ、15w/w%~80w/w%が好ましく、20w/w%~80w/w%がより好ましい。
例えば、製剤が良好な崩壊性及び溶出性を得るためには、製剤が試験液にぬれ、水分を含んで崩壊し、含有する薬物が試験液に溶解する必要がある。一方、ステアリン酸は水にほとんど溶けないことから、水に溶けやすいマクロゴールを使用した場合に比べて製剤自体のぬれが悪く、崩壊性が悪くなり、含有する薬物も溶出しにくくなることが考えられる。しかし、ステアリン酸を、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー及びポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種と組み合わせて添加物として製剤に含有させることにより、これらの添加剤の作用が相まって、アジルサルタンの安定化をより一層維持することができる。
安定化剤の含有量は、医薬組成物において0.1w/w%~5w/w%が挙げられ、1w/w%~3w/w%が好ましい。
滑沢剤の含有量は、医薬組成物において、0.01w/w%~5w/w%が挙げられ、0.01w/w%~4w/w%が好ましい。
崩壊剤の含有量は、医薬組成物において、1w/w%~25w/w%が挙げられる。
潤滑剤の含有量は、医薬組成物において、0.5w/w%~2w/w%が挙げられる。
湿潤剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール等が挙げられる。
流動化剤としては、抗付着剤ともいうが、例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
流動化剤の含有量は、医薬組成物において、0.001w/w%~3w/w%が挙げられ、好ましくは0.001w/w%~1w/w%、より好ましくは0.005w/w%~0.1w/w%が挙げられる。
香味料としては、例えば、メントール、人工又は天然果実フレーバー等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、カラメル、酸化鉄(黄又は黒)、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒色三二酸化鉄、天然又は合成有機色素又はレーキ等が挙げられる。
コーティング剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ヒプロメロース等が挙げられる。コーティング剤の含有量は、医薬組成物において、0.1w/w%~3w/w%が挙げられる。
本発明では、特定の結合剤を用いて製剤化した場合において、良好な安定性、つまり、類縁物質、分解物及び不純物等の発生の低減を図ることができる。特に、市販されているアジルサルタン含有錠剤、つまりアジルバ錠(登録商標)に比較して、格段に安定化を図ることができる。また、打錠した後においても、錠剤硬度を適度に保ちつつ、崩壊時間を短縮化することができる。これは、結合剤としてよく用いられているヒドロキスプロピルセルロースを用いた場合の錠剤と比較して、硬度が高いことに反して、崩壊時間が格段に短縮化することができることから、予想外の効果を発揮し得る。
なかでも、本発明の医薬組成物は、服用の利便性等から、顆粒又は粉末あるいは錠剤の形態として製剤化することが好ましい。
例えば、顆粒又は粉末とする場合、図1に示したように、アジルサルタンと、任意に、上述した添加剤、例えば、賦形剤/安定化剤等を混合機又は造粒機に投入し、混合する。
次いで、これらの混合物を攪拌しながら、結合剤を添加しながら造粒する。その際、結合剤は、精製水に溶解させて添加することが好ましい。結合剤は、このような添加によって、アジルサルタンの造粒物中に含有されるか、造粒物の表面に付着する。
その後、造粒物を乾燥し、任意に整粒することが好ましい。
得られた造粒物を、さらに上述した添加剤、例えば、賦形剤/流動化剤/崩壊剤/滑沢剤等を添加し、混合することが好ましい。
また、錠剤の形態として製剤化する場合、図1に示したように、上記で得られたアジルサルタンの造粒物又は混合物を打錠する。
造粒機は、湿式造粒を行うことができる装置が好ましい。湿式造粒は、押出し造粒機、転動造粒機、攪拌造粒機、湿式解砕造粒機、流動層造粒機等を用いて行うことができる。なかでも、攪拌造粒機、流動層造粒機を利用することが好ましく、特に、攪拌造粒機を利用することがより好ましい。攪拌造粒機を利用する場合は、例えば、ブレード及び/又はスクリューの回転等は、任意の回転数等に設定して使用すればよい。流動層造粒機を利用する場合は、例えば、給気温度30℃~90℃、排気温度20℃~80℃にて結合剤溶液等をスプレーしながら造粒する方法が挙げられる。乾式造粒法としては、例えば、ローラーコンパクター(フロイント産業)を使用し、ロール回転数1rpm~50rpmにて造粒する方法が挙げられる。
アジルサルタン等を造粒する際に、結合剤を添加することが好ましい。結合剤は、アジルサルタンと均一に混合されるタイミングで添加することが好ましい。結合剤は精製水とともに又は精製水に分散/溶解させて添加する方法がよい。これによって、結合剤は、アジルサルタンを含む造粒物に付着して、アジルサルタンと一緒に造粒物の形態で、あるいは、一部がアジルサルタンを含む造粒物に付着し、他の一部がアジルサルタンと一緒に造粒物に含まれる形態で含有されることとなる。
整粒時又はその後に、造粒物に、さらに賦形剤等を含む上述した添加剤を任意に添加し、混合する。
また、錠剤とする場合の打錠機は、当該分野で公知のもののいずれを用いてもよい。例えば、単発打錠機、ロータリー式打錠機等が挙げられる。打錠する場合、錠剤用混合物においては、フマル酸ステアリルナトリウム等の滑沢剤を添加することが好ましい。例えば、圧縮打錠する場合の圧力は、錠剤に十分な硬度を与える程度であればよく、1kN以上が好ましく、3kN以上がより好ましい。得られる錠剤の硬度は、20N以上であることが好ましく、30N以上、35N以上又は40N以上であることがより好ましい。錠剤の「硬度」は、錠剤硬度計(例えば、Dr. Schleuniger Pharmatron製のMultiTest 50)により測定することができる。
上述した他、適当な固形の医薬組成物の形態に調製するために、例えば、粉砕、解砕、混合、糖衣、フィルムコート、カプセル充填などを、当該分野の公知の方法及び条件によってさらに行うことができる。
以下の各成分を表1の割合で秤量し、図1に示す以下の方法によって錠剤を作製した。
まず、アジルサルタン、賦形剤1及び安定化剤を撹拌造粒機(岡田精工社製)に投入し、混合した。
ブレード回転(回転数:800rpm~1000rpm)で攪拌しながら、精製水と結合剤との混合した溶液を添加し、攪拌造粒した。その後、棚乾燥にて50℃で1.5時間乾燥した。
篩(850μm)で整粒した顆粒に、賦形剤2、流動化剤、崩壊剤、滑沢剤を添加し、混合した。
得られた混合物を、ロータリー打錠機(菊水製作所製)にて、打錠圧3.5kNでの錠剤とした。
実施例1の製造方法において、撹拌造粒機に、結合剤として、ポリビニルアルコールならびにポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーに代えて、ヒドロキシプロピルセルロースを添加した以外、実施例1と同様に錠剤を製造した。
実施例及び比較例の錠剤、さらに、市販品であるアジルバ錠20mgを、無包装で、それぞれ60℃、75%RHの条件下で14日間保存し、以下の安定性評価を行った。
保存前、中及び後の錠剤について、安定性評価のために純度試験(類縁物質、つまり、アジルサルタンに起因する分解物)を以下の方法で行った。
錠剤1個をとり、水2mLを加え、錠剤を崩壊させた。続いて、メタノールを加えて50mLとした。この液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルター(マイレクスLH)でろ過した。初めのろ液3mLを除き、次のろ液を試料溶液とした。試料溶液5μLずつを正確にとり、以下の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定した。次式により個々の類縁物質の量及び類縁物質の合計量を求めた。
個々の類縁物質の量(%)=AT1/AS
類縁物質の合計量(%)=AT2/AS
(式中、AS:標準溶液のアジルサルタンのピーク面積、
AT1:試料溶液のアジルサルタン以外の個々のピーク面積
AT2:試料溶液のアジルサルタン以外のピークの合計面積である。
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
カラム:内径4.6mm,長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。(Inertsil ODS-3C/N)
カラム温度:35℃付近の一定温度
移動相A:リン酸二水素カリウム約3.67gを水に溶かして2700mLとし、リン酸0.42mlを加えた(pH3.0)。この液にアセトニトリル300mLを加えて移動相Aとした。
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御した。
注入後0~3分で、移動相Aを78vol%、移動相Bを22vol%とした。
注入後3~30分で、移動相Aを78→22vol%、移動相Bを22→78vol%とした。
注入後30~40分で、移動相Aを22vol%、移動相Bを78vol%とした。
注入後40~41分で、移動相Aを22→78vol%、移動相Bを78→22vol%とした。
注入後41~46分で、移動相Aを22vol%、移動相Bを22vol%とした。
流量:毎分1 mL
面積測定範囲:溶媒のピークの後から注入後40分まで
その結果を図2及び表2に示す。
図2及び表2から明らかなように、本願実施例1、2及び3では、特定の添加剤、つまり結合剤を含むことから、錠剤とした場合であっても、アジルサルタン由来の類縁物質及び不純物が、市販品に比較して、低減することが確認された。
この傾向は、同様の条件で14日間保存しても同様であった。
実施例及び比較例で得られた錠剤を、トリコープテスタ(岡田精工社製)によって、崩壊時間(秒)を測定した。その結果を図3に示す。
崩壊試験は人工唾液原料として、KClを1.47g/L、NaClを1.44g/L及びTWEEN80を0.3%含む液を使用し、吐出速度(液速度)を6.0mL/分に設定して測定した。
図3から明らかなように、本願実施例12及び3では、特定の添加剤、つまり結合剤を特定の種類にすることによって、錠剤とした場合であっても、崩壊時間が比較例1に比較して、顕著に短縮することが確認された。
実施例及び比較例の製造直後の錠剤の硬度を測定した。硬度は、硬度計(Dr. Schleuniger Pharmatron製、MultiTest 50)によって測定した。その結果を図4に示す。
図4から明らかなように、特定の結合剤を用いた実施例1、2及び3の錠剤は、比較例1の錠剤と同等の硬度が得られることが確認された。この結果は、上述した崩壊試験において、実施例1、2及び3の錠剤が、比較例1の錠剤に比較して、崩壊時間が顕著に短縮されたことを考慮すると、予想外である。
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- アジルサルタンと、
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーとを含む安定化された錠剤。
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