JP7321784B2 - 春巻の皮用組成物 - Google Patents
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Description
(I-1)穀物粉、および糊化米加工素材を含むことを特徴とする春巻の皮用組成物。
(I-2)さらに糖質を含有する、(I-1)に記載する春巻の皮用組成物。
(I-3)粉状または顆粒状組成物である、(I-1)または(I-2)に記載する春巻の皮用組成物。
(I-4)水を含有する液状組成物である、(I-1)または(I-2)に記載する春巻の皮用組成物。
(I-5)前記糊化米加工素材が、高アミロース米および/または中アミロース米を含む米を水存在下で加熱処理して得られる糊化米を機械的撹拌処理して得られるゲル状物、その乾燥物、またはそれらを液状化した液状物である、(I-1)~(I-4)のいずれかに記載する春巻の皮用組成物。
(I-6)前記穀物粉が、小麦粉(薄力粉、中力粉、強力粉、デュラム小麦粉等)、ライ麦粉、大麦粉、米粉、玄米粉、大豆粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、ホワイトソルガム粉、およびトウモロコシ粉からなる群より選択される少なくとも一種である、(I-1)~(I-5)のいずれかに記載する春巻の皮用組成物。
(I-7)前記糖質が、糖類(単糖類、二糖類等)、三糖以上の多糖類(澱粉、澱粉分解物、オリゴ糖)、および糖アルコールよりなる群から選択される少なくとも1種である、(I-2)~(I-6)のいずれかに記載する春巻の皮用組成物。
(I-8)下記の工程を有する、(I-4)に記載する春巻の皮用組成物の製造方法:
糊化米加工素材、穀物粉および水を混合して液状組成物を調製するか、または糊化米加工素材、穀物粉、糖質および水を混合して液状組成物を調製する工程。
(I-9)前記糊化米加工素材が、液状糊化米加工素材であり、ゲル状糊化米加工素材または乾燥糊化米加工素材に水を加え、加熱処理し、撹拌処理して調製されるものである(I-8)に記載する製造方法。
(II-1)前記(I-1)、(I-2)、および(I-4)~(I-7)のいずれかに記載する春巻の皮用組成物がシート状に焼成されてなる春巻用皮。
(II-2)前記(I-1)、(I-2)、(I-4)~(I-7)のいずれかに記載する春巻の皮用組成物をシート状に焼成する工程を有する、春巻用皮の製造方法。
(III-1)前記(II-1)に記載する春巻用皮に具材が包まれてなる、未油ちょうの春巻。
(III-2)冷蔵または冷凍状態にある(III-1)に記載する未油ちょう春巻。
(III-3)前記(II-1)に記載する春巻用皮に、春巻の具材を配置し、巻き上げて成形する工程を有する、未油ちょうの春巻の製造方法。
(IV-1)前記(III-1)または(III-2)に記載する未油ちょうの春巻が油ちょう処理されてなる、油ちょう済春巻。
(IV-2)冷蔵または冷凍状態にある(IV-1)に記載する油ちょう済春巻。
(IV-3)(III-1)または(III-2)に記載する未油ちょうの春巻を、油ちょう処理する工程を有する春巻の製造方法。
(IV-4)さらに冷蔵または/および冷凍処理する工程を有する、(IV-3)に記載する製造方法。
(V-1)春巻の皮用組成物の調製に穀物粉および糊化米加工素材、または穀物粉、糊化米加工素材および糖質を用いることを特徴とする、油ちょう処理後の春巻皮の食感を改善または向上するか、または/および食感の経時的低下を抑制する方法。
本発明が対象とする春巻の皮用組成物は、穀物粉に加えて、糊化米加工素材を含むことを特徴とする。また本発明が対象とする春巻の皮用組成物には、穀物粉および糊化米加工素材に加えて、糖質を配合することができる。
(1)糊化米加工素材
本発明の春巻の皮用組成物の調製に使用する糊化米加工素材は、米を水の存在下で加熱して調製される糊化米(α化米)を機械的撹拌処理して得られるものであり、撹拌処理後はゾル(ペースト)からゲルに相転移をした半固形物の性状(ゲル状)を有している。ここで加熱処理する対象の米は、米粒や破砕米粒のような粒状のものでもよいし、また米粉のような米や破砕米の製粉処理物でもよく、両者の混合物であってもよい。
本発明の春巻の皮用組成物の調製に使用する穀物粉としては、小麦粉、米粉、玄米粉、大麦粉、大豆粉、そば粉、ライ麦粉、オーツ粉、ヒエ粉、アワ粉、ホワイトソルガム粉、およびトウモロコシ粉、コーングリッツ粉砕物等を挙げることができる。ここで小麦粉には、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉が含まれる。また、これら穀物粉に熱処理を施した熱処理穀物粉等が含まれる。これらの穀物粉は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは小麦粉であり、より好ましくは薄力粉である。
本発明の春巻の皮用組成物の調製に使用する糖質としては、糖類(単糖類、二糖類等)、三糖以上の多糖類(澱粉、澱粉分解物、オリゴ糖)、および糖アルコールを挙げることができる。ここで糖類には、ブドウ糖および果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等の二糖類が含まれ、複数の糖類の混合物(例えば異性化糖)の形態であってもよい。
DE=[直接還元糖(グルコースとして表示)/全固形分]×100 (1)
本発明が対象とする春巻の皮用組成物は、春巻用皮を調製する際に使用される皮材組成物であり、春巻の皮用ミックス粉、および春巻の皮用バッターが含まれる。なお、「春巻」は、肉、魚介類、または野菜などの具材を、穀物粉を主成分とする原料粉で作った皮で包んだ食品である。本発明では、具材を包んだ皮がパリパリとしたクリスピーな食感を備えていることを特徴とすることから、生春巻や蒸春巻ではなく、揚げ春巻を対象とする。「春巻の皮用ミックス粉」は、春巻の皮材を構成する成分の粉粒体混合物であり、「春巻の皮用バッター」は、春巻の皮材を構成する成分に水を加えて均一にした流体であり、例えば、前記春巻の皮用ミックス粉を水に分散させて調製することもできる。
本発明の春巻用皮は、前述する本発明の春巻用皮バッターをシート状に焼成することで調製することができる。当該焼成は、通常、春巻の皮を焼成する際に用いる鉄製または銅製の板型焼成機若しくはドラム型焼成機を用いて行うことができる。かかる焼成機の板表面上またはドラム表面上で春巻用皮バッターをシート状に焼成(加熱固化)した後に、必要に応じて、所望の大きさに裁断することで、春巻用の皮とすることができる。焼成条件は、公知の条件から適宜選択することができる。
前述するように、春巻の皮用組成物に穀物粉および糊化米加工素材、または穀物粉、糊化米加工素材および糖質を用いることで、当該春巻の皮用組成物を使用して製造した春巻について、油ちょう処理した後の春巻皮の食感を改善または向上することができる。ここで、「油ちょう処理した後の春巻皮の食感」とは、油ちょう直後の春巻特有の、適度な硬さを有し、ヒキがなくてパリパリとした歯切れのよい食感(クリスピー感)を意味する。また、「改善または向上」とは、春巻の皮用組成物の調製に「穀物粉および糊化米加工素材」、または「穀物粉、糊化米加工素材および糖質」を用いない場合と比較して、「穀物粉および糊化米加工素材」、または「穀物粉、糊化米加工素材および糖質」を用いることで、前記春巻皮の食感が良好になっていることを意味する。当該春巻皮の食感の改善または向上効果は、油ちょう処理直後よりも、時間が経過した後のほうがより大きい。つまり、本発明の春巻の皮用組成物を使用して製造した春巻によれば、油ちょう処理から時間が経過することによる上記食感の低下を抑制することで、揚げたてに近い春巻皮の食感を長く維持することが可能になる。
小麦粉に糊化米加工素材、または糊化米加工素材と糖質を配合して調製した春巻用の皮を用いて、春巻を作製し、その食感から、春巻の皮の食感に与える糊化米加工素材、および糊化米加工素材と糖質の効果を評価した。
・小麦粉:薄力粉(昭和産業(株)製)
・澱粉分解物A:SPD(昭和産業(株)製)、DE値:約30
・澱粉分解物B:L-SPD(昭和産業(株)製)、DE値:約17
・ぶどう糖:昭和含水結晶ぶどう糖AZ(昭和産業(株)製)
・糖アルコール:ソルビトール(物産フードサイエンス(株)製)
・トレハロース:トレハ((株)林原製)
・糊化米加工素材:ゲル状糊化米加工素材である市販米ゲル〔ライスジュレ(Rice gelee)(仕様:白米ソフトタイプ(固形分18.5%、水分81.5%)(ライステクノロジーかわち(株)製)〕
なお、糊化米加工素材は、これに同量の湯(90℃)を加えて、電子レンジ(500W)で1分間加熱した後、撹拌機(1000rpm、東京理化器械製)で5分間撹拌して、液状糊化米加工素材である米ゲル溶液(糊化米加工素材由来の固形分9.3%、水分90.7%)を調製し、以下の実験に使用した。
容器に、表1および表2に記載する割合に従って、水、前記で調製した米ゲル溶液、糖質(実施例6~12のみ)および小麦粉、食塩を加え、撹拌機(1000rpm)で5分間撹拌して、春巻の皮用組成物(バッター)を調製した。
加熱した銅板の上に、上記で調製した春巻の皮用組成物(バッター)40gを流して薄くのばし、約150℃で40秒間焼成し、12cm×12cmのサイズに切断し、これを春巻皮とした。
予め調理した具材15gを、上記で作製した春巻用皮で包んで巻き、春巻を調製した。調製した春巻を-40℃の環境下で凍結し、-20℃で冷凍保存した。これを、175℃に加温した大豆油の中に投入し、5分間油ちょうし、次いでキッチンペーパーに載せて油を切り、揚げ春巻を作製した。
上記で作製した揚げ春巻をキッチンペーパーに載せた状態で、恒温恒湿(25±5℃、40±5%)条件下で30分間および4時間放置した後、それぞれ良く訓練されたパネラー10名が食し、食感を評価した。食感の評価は、糊化米加工素材(液状糊化米加工素材である米ゲル溶液)を配合せずに調製した春巻の皮用組成物(バッター)を用いて、上記方法で作製した春巻(対照例)について、油ちょうから30分間経過後の揚げ皮の食感(対照食感)を「評価3」とし、これとの比較で、下記の5段階の判断基準に従って実施した。
評価5:対照食感と比較して、揚げ皮に硬さがあり、パリパリとして歯切れが非常によい
評価4:対照食感と比較して、揚げ皮にやや硬さがあり、パリパリとして歯切れがよい
評価3:揚げ皮がややパリパリとしている(対照食感:対照例の揚げ皮の油ちょうから30分後の食感)
評価2:対照食感と比較して、揚げ皮がやや軟らかく、歯切れが悪い
評価1:対照食感と比較して、揚げ皮が軟らかく、歯切れが非常に悪い
Claims (6)
- 穀物粉、糊化米加工素材、および糖質を含むことを特徴とし、
前記糖質が、単糖類、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、およびキシリトールからなる群より選択される少なくとも1種である、
春巻の皮用組成物。 - 水を含有する液状組成物である、請求項1に記載する春巻の皮用組成物。
- 請求項2に記載する春巻の皮用組成物がシート状に焼成されてなる春巻用皮。
- 請求項3に記載する春巻用皮に具材が包まれてなる、未油ちょうの春巻。
- 請求項4に記載する未油ちょうの春巻が油ちょう処理されてなる春巻。
- 春巻の皮用組成物の調製に穀物粉、糊化米加工素材および糖質を用いることを特徴とする、油ちょう処理後の春巻皮の食感を改善または向上するか、または/および油ちょう処理後の春巻皮の食感の劣化を抑制する方法であって、
前記糖質が、単糖類、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、およびキシリトールからなる群より選択される少なくとも1種である、
前記方法。
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- 2019-06-17 JP JP2019111672A patent/JP7321784B2/ja active Active
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