以下に本発明を実施するための例示的な態様を詳細に説明する。
本発明の一態様にかかるウレタンプレポリマー組成物(H)は、
ウレタンプレポリマー(E)、ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)、金属成分を含むウレタン化触媒(G)、を含むウレタンプレポリマー組成物であって、
前記ウレタンプレポリマー(E)が、
重量平均分子量が3000以上で、
炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基、0.010meq/g以下の不飽和基、エチレンオキシド残基、を必須構成成分として含み、
更に、テトラメチレン-エーテル残基、炭素数6以上の糖残基、芳香族アミン残基の何れかの残基を構成成分として含む。
<ポリアルキレンオキシド(A)>
ポリアルキレンオキシド(A)の不飽和度は、好ましくは0.010meq/g以下であり、更に好ましくは0.007meq/g以下であり、最も好ましくは0.004meq/g以下である。
ポリアルキレンオキシド(A)の不飽和度が0.010meq/g以下であれば、それを用いて得られるウレタンプレポリマー(E)と、イソシアネート化合物(J)との反応に伴う硬化(固化)が速くなりやすく、得られるポリウレタンは直鎖状に高分子量化して引張破断伸びと引張破断強度は大きくなりやすいため、好ましい。
ここで、ポリアルキレンオキシド(A)の「不飽和度(meq/g)」とは、ポリアルキレンオキシド1g当たりに含まれる不飽和基の量であり、ポリアルキレンオキシドに含まれる不飽和モノオールの数に対応する。すなわち、不飽和度が高ければ不飽和モノオールが多く、不飽和度が低ければ不飽和モノオールは少ない。
なお、本態様では、高分子論文集1993,50,2,121-126に記載のNMR法に準拠してポリアルキレンオキシドの不飽和度を測定した。本態様では、不飽和モノオールが少ないポリアルキレンオキシドを測定の対象とするので、測定精度を高めるために、NMR測定におけるスキャン回数は500回以上とした。
ポリアルキレンオキシド(A)は、好ましくは数平均分子量が800以上であり、更に好ましくは1000以上30000以下であり、最も好ましくは3000以上9000以下である。ポリアルキレンオキシド(A)の数平均分子量が800以上であれば、ポリオール(B)と、ポリアルキレンオキシド(C)、とイソシアネート化合物(D)との反応によって得られるウレタンプレポリマー(E)とイソシアネート化合物(J)との反応の際に可使時間が長くなりやすく、得られるポリウレタンは、引張破断伸びと引張破断強度が大きくなりやすいため、好ましい。
なお、ポリアルキレンオキシド(A)の数平均分子量は、JIS K-1557-1に記載の方法により算出したポリアルキレンオキシド(A)の水酸基価と、ポリアルキレンオキシド(A)1分子中の水酸基数と、から算出することができる。
本発明に用いるポリアルキレンオキシド(A)は、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn);Mw/Mn)が1.1以下であることが好ましい。Mw/Mnが1.1以下であると、汚染の原因となる低分子量物が少なくなることで優れた耐汚染性を有することになるため、好ましい。
分子量分布(Mw/Mn)は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography+;GPC)法より測定することができる。
ポリアルキレンオキシド(A)は、炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基を含むことが好ましい。炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基として特に限定されず、例えば、炭素数3~20のアルキレンオキシド残基を挙げることができる。具体的には、プロピレンオキシド残基、1,2-ブチレンオキシド残基、2,3-ブチレンオキシド残基、イソブチレンオキシド残基、ブタジエンモノオキシド残基、ペンテンオキシド残基、スチレンオキシド残基、シクロヘキセンオキシド残基等が挙げられる。これらのアルキレンオキシド残基の中でも、ポリアルキレンオキシド(A)を得るための原料の入手が容易で、得られるポリアルキレンオキシド(A)の工業的価値が高いことから、プロピレンオキシド残基が好ましい。
また、ポリアルキレンオキシド(A)は、炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基として、単一のアルキレンオキシド残基のみを含んでいてもよく、2種類以上のアルキレンオキシド残基を含んでいてもよい。なお、2種以上をアルキレンオキシド残基が含まれる場合は、例えば、1種のアルキレンオキシド残基が連鎖的に繋がったものに、それ以外のアルキレンオキシド残基が連鎖的に繋がったものであってもよく、2種以上のアルキレンオキシド残基がランダムに繋がったものでもよい。さらに、ポリアルキレンオキシド(A)は、炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基を含んでいればよく、これに加えて、炭素数2のエチレンオキシド残基を含んでいてもよい。
ポリアルキレンオキシド(A)は、1分子中に2つ以上の水酸基を有するものであれが好ましく、水酸基数の上限は特には限定されないが、1分子中の水酸基数が6以下であることが更に好ましく、最も好ましくは1分子中の水酸基数が3以下である。ポリアルキレンオキシド(A)の1分子中の水酸基数が6以下であると、ポリアルキレンオキシド(A)の分子量が低い場合であっても、それを用いて得られるウレタンプレポリマー(E)と、イソシアネート化合物(J)との反応によって得られるポリウレタンの架橋構造が密になり難く、引張破断伸びと引張破断強度が更に大きくなるため、好ましい。
ここで、1分子中に炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基および2つ以上の水酸基を有するポリアルキレンオキシド(A)は、例えば、ホスファゼン化合物及びルイス酸を含むアルキレンオキシド重合触媒の存在下で、活性水素含有化合物を開始剤として、アルキレンオキシドを開環重合することによって得られる。したがって、ポリアルキレンオキシド(A)はアルキレンオキシド残基を有することになる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、式(1)で示されるホスファゼニウム塩を挙げることができる。
(式(1)中、
R1及びR2は、各々独立して、
水素原子、
炭素数1~20の炭化水素基、
R1とR2とが互いに結合した環構造、または、
R1同士もしくはR2同士が互いに結合した環構造を表す;
X-は、ヒドロキシアニオン、炭素数1~4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す;
Yは、炭素原子またはリン原子を表す;
aは、
Yが炭素原子のとき2であり、
Yがリン原子のとき3である。)
炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等を挙げることができる。
R1及びR2としては、触媒活性に優れるアルキレンオキシド重合触媒となり、原料の入手が容易という点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
また、上記ホスファゼニウム塩におけるX-は、ヒドロキシアニオン、炭素数1~4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンである。
炭素数1~4のアルコキシアニオンとしては、例えば、メトキシアニオン、エトキシアニオン、n-プロポキシアニオン、イソプロポキシアニオン、n-ブトキシアニオン、イソブトキシアニオン、t-ブトキシアニオン等が挙げられる。
炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオンとしては、例えば、アセトキシアニオン、エチルカルボキシアニオン、n-プロピルカルボキシアニオン、イソプロピルカルボキシアニオン、n-ブチルカルボキシアニオン、イソブチルカルボキシアニオン、t-ブチルカルボキシアニオン等が挙げられる。
これらの中で、X-としては、触媒活性に優れるアルキレンオキシド重合触媒となることから、ヒドロキシアニオン、炭酸水素アニオンが好ましい。
ホスファゼン化合物としては、例えば、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシドを挙げることができる。
ルイス酸としては、例えば、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ホウ素化合物等を挙げることができる。
アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニルモノイソブチルアルミニウム、モノフェニルジイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウムや、例えば、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルーイソブチルアルミノキサン等のアルミノキサンを挙げることができる。
亜鉛化合物としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等の有機亜鉛;塩化亜鉛、酸化亜鉛等の無機亜鉛を挙げることができる。
ホウ素化合物としては、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロボラン等を挙げることができる。
そして、これらの中でも、触媒性能に優れるアルキレンオキシド重合触媒となることから、有機アルミニウム、アルミノキサン、有機亜鉛が好ましく、有機アルミニウムが特に好ましい。
アルキレンオキシド重合触媒における、ホスファゼン化合物とルイス酸との割合は、アルキレンオキシド重合触媒としての作用が発現する限りにおいて任意であり、特に限定されるものではないが、その中でも特に触媒性能に優れる重合触媒となることから、ホスファゼン化合物:ルイス酸=1:0.002~1:500(モル比)であることが好ましい。
活性水素含有化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、ヒドロキシ化合物、アミン化合物、カルボン酸化合物、チオール化合物、水酸基を有するポリエーテルポリオール等が挙げられる。
水酸基を有するポリエーテルポリオールとしては、例えば分子量200以上3000以下のポリエーテルポリオール等が挙げられる。
そして、これら活性水素含有化合物は、単独で用いてもよいし、数種類を混合して用いてもよい。
<ポリオール(B)>
ポリオール(B)は、テトラメチレン-エーテル残基、炭素数6以上の糖残基、芳香族アミン残基の何れかの残基を有することが好ましい。同一ポリオール内に上記残基を1種または2種以上含んでもよく、ポリオール(B)を2種以上用いてもよい。
ポリオール(B)が1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有する場合、特に限定されないが、1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有し、アルキレンオキシド残基および4つ以上の水酸基を有するポリオールが好ましく、炭素数6以上の糖に1種のアルキレンオキシドが連鎖的に繋がったもの、炭素数6以上の糖に複数のアルキレンオキシドが連鎖的に繋がったものやランダムで繋がったもの、何れでもよい。
なかでも、工業的にアルキレンオキシドの入手がしやすく、合成が簡便となりやすいため、炭素数6以上の糖にプロピレンオキシドのみが連鎖的に繋がったもの、炭素数6以上の糖にエチレンオキシドのみが連鎖的に繋がったもの、炭素数6以上の糖にプロピレンオキシドとエチレンオキシドが連鎖的に繋がったものまたはランダムで繋がったものであることが好ましい。
ポリオール(B)が1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有する場合、ポリオール(B)は更に1分子中に4つ以上の水酸基を有することが好ましく、更に好ましくは1分子中の水酸基数が4以上12以下であり、最も好ましくは5以上8以下である。
1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B)の1分子中の水酸基数が4以上12以下であると、ポリアルキレンオキシド(A)の分子量が低い場合であっても、それを用いて得られるウレタンプレポリマー(E)と、イソシアネート化合物(J)との反応によって得られるポリウレタンの架橋構造が均一になり易く、引張破断強度が更に大きくなるため、好ましい。
1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B)の数平均分子量は特に限定されず、用途により適宜選択されるが、好ましくは100以上3000以下であり、さらに好ましくは500以上2000以下である。1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B)の数平均分子量が3000以下であると、炭素数6以上の糖残基を多く含み、引張破断強度が向上しやすいため好ましい。
なお、ポリオール(B)の数平均分子量は、JIS K-1557-1に記載の方法により算出したポリオール(B)の水酸基価と、ポリオール(B)1分子中の水酸基数と、から算出することができる。
1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B)は、糖残基の構造は特には限定されないが、好ましくは1分子中の炭素数が6以上20以下の糖残基であり、さらに好ましくは6以上12以下の糖残基である。ポリオール(B)に炭素数6以上の糖残基を含まない場合、引張破断強度が不足しやすく、テトラメチレン-エーテル残基または芳香族アミン残基の何れかを含むポリオールを用いることが好ましい。
このような糖残基としては、例えば、マルチトール残基、マルトース残基、グルコース残基、フルクトース残基、シュークローズ残基、ソルビトール残基などが挙げられ、好ましくは原料の入手が容易であり良好な硬化性、引張破断強度を発現しやすいシュークローズ残基又はソルビトール残基である。なかでも、環状構造を有し、さらに高い引張破断強度を発現しやすいためシュークローズ残基を含むことが最も好ましい。
1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B)は、一般にシュークローズやソルビトールなどの炭素数6以上の糖を開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合することにより得られるが、ジエチレントリアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等の炭素数6以上の糖残基を含まない低粘度の活性水素化合物を開始剤に併用して合成されることがあり、上記残基を有する成分を含んでいてもよい。
例えば、通常、ソルビトールの水酸基数は6、シュークローズの水酸基数は8であるが、シュークローズ残基又はソルビトール残基を含まない開始剤の併用や末端の封止等により水酸基数が低下することがある。
市販のシュークローズ残基を含むポリアルキレンオキシドとしては、ハンツマン製JEFFOLSA-499(公称官能基数4.3、水酸基価495)、JEFFOLSD-361(公称官能基数4.4、水酸基価360)、JEFFOLSG-522(公称官能基数5.0、水酸基価520)、東邦化学工業製トーホーポリオールO-850(公称官能基数8、水酸基価380)、ソルビトール残基を含むポリアルキレンオキシドとしては、ハンツマン社製JEFFOLS-490(公称官能基数4.7、水酸基価490)などが挙げられ、好適に使用できる。
ポリオール(B)がテトラメチレン-エーテル残基を含有する場合、特に限定されないが、1分子中にテトラメチレン-エーテルを含み、2つ以上の水酸基を有することが好ましく、テトラメチレン-エーテルの連続重合体でも、テトラメチレン-エーテルを含むブロック、グラフト、ランダム共重合体でもよい。
テトラメチレン-エーテル残基を含有するポリオール(B)の数平均分子量は特に限定されず、用途により適宜選択されるが、好ましくは100以上3000以下であり、さらに好ましくは500以上2000以下である。テトラメチレン-エーテル残基を含有するポリオール(B)の数平均分子量が3000以下であると、引張破断強度が向上しやすいため好ましい。
テトラメチレン-エーテル残基を含有するポリオール(B)中のテトラメチレン-エーテル残基の含有量は特に限定されず、用途により適宜選択されるが、好ましくは70~100%の範囲であり、さらに好ましくは90~100%の範囲である。テトラメチレン-エーテル残基の含有量が70%以上であれば、所望の引張破断強度が発現しやすいため好ましい。
ポリオール(B)が芳香族アミン残基を含有する場合、特に限定されないが、1分子中に芳香族アミン残基を含み、アルキレンオキシド残基および2つ以上の水酸基を有するポリオールが好ましく、芳香族アミンに1種のアルキレンオキシドが連鎖的に繋がったもの、芳香族アミンに複数のアルキレンオキシドが連鎖的に繋がったものやランダムで繋がったもの、何れでもよい。
なかでも、工業的にアルキレンオキシドの入手がしやすく、合成が簡便となりやすいため、芳香族アミンにプロピレンオキシドのみが連鎖的に繋がったもの、芳香族アミンにエチレンオキシドのみが連鎖的に繋がったもの、芳香族アミンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドが連鎖的に繋がったものまたはランダムで繋がったものであることが好ましい。
ポリオール(B)が芳香族アミン残基を含有する場合、ポリオール(B)は1分子中に2つ以上の水酸基を有することが好ましく、更に好ましくは1分子中の水酸基数が3以上12以下であり、最も好ましくは4以上6以下である。
1分子中に芳香族アミン残基を含有するポリオール(B)の1分子中の水酸基数が3以上12以下であると、ポリアルキレンオキシド(A)の分子量が低い場合であっても、それを用いて得られるウレタンプレポリマー(E)と、イソシアネート化合物(J)との反応によって得られるポリウレタンの架橋構造が均一になり易く、引張破断強度が更に大きくなるため、好ましい。
1分子中に芳香族アミン残基を含有するポリオール(B)の数平均分子量は特に限定されず、用途により適宜選択されるが、好ましくは100以上3000以下であり、さらに好ましくは300以上2000以下である。1分子中に炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B)の数平均分子量が3000以下であると、芳香族アミン残基を多く含み、引張破断強度が向上しやすいため好ましい。
なお、ポリオール(B)の数平均分子量は、JIS K-1557-1に記載の方法により算出したポリオール(B)の水酸基価と、ポリオール(B)1分子中の水酸基数と、から算出することができる。
1分子中に芳香族アミン残基を含有するポリオール(B)の、芳香族アミン残基の構造は特には限定されないが、好ましくは1分子中の芳香環数が1以上20以下の芳香族アミン残基であり、さらに好ましくは1以上3以下の芳香族アミン残基である。ポリオール(B)に芳香族アミン残基を含まない場合、引張破断強度が不足しやすく、テトラメチレン-エーテル残基または芳香族アミン残基の何れかを含むポリオールを用いることが好ましい。
このような芳香族アミン残基としては、例えば、アニリン残基、2,4-トリレンジアミン残基、2,6-トリレンジアミン残基、2,4’-ジフェニルメタンジアミン残基、4,4’-ジフェニルメタンジアミン残基、ポリフェニレンポリアミン残基、1,5-ナフタレンジアミン残基、トリジンジアミン残基、キシリレンジアミン残基、1,3-フェニレンジアミン残基、1,4-フェニレンジアミン残基、ならびに、これらの2種以上の混合残基などが挙げられ、好ましくは原料の入手が容易であり良好な硬化性、引張破断強度を発現しやすい2,4-トリレンジアミン残基、2,6-トリレンジアミン残基、ならびにこれらの2種以上の混合残基である。
1分子中に芳香族アミン残基を含有するポリオール(B)は、一般にトリレンジアミンやジフェニルメタンジアミンなどの芳香族アミンを開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合することにより得られるが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等の芳香族アミン残基を含まない低粘度の活性水素化合物を開始剤に併用して合成されることがあり、上記残基を有する成分を含んでいてもよい。
例えば、通常、トリレンジアミン開始ポリオールの水酸基数は4、アニリン開始ポリオールの水酸基数は2であるが、トリレンジアミン残基又はアニリン残基を含まない開始剤の併用やアルキレンオキシドが付加しなかったアミノ基の残存等により水酸基数が低下することがある。
市販の芳香族アミン残基を含むポリオール(B)としては、ハンツマン製JEFFOLAD-310(公称官能基数3.2、水酸基価310)、JEFFOLAD-500(公称官能基数3.2、水酸基価360)、東邦化学工業製トーホーポリオールAB-250(公称官能基数2.0、水酸基価440)、東邦化学工業社製AR-2589(公称官能基数4.0、水酸基価360)、東邦化学工業社製AR-750(公称官能基数4.0、水酸基価300)などが挙げられ、好適に使用できる。
ポリオール(B)は、2種類以上組み合わせて用いてもよく、特に限定されない。例えば、テトラメチレン-エーテル残基を有するポリオール(B1)と炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B2)の組み合わせ、テトラメチレン-エーテル残基を有するポリオール(B1)と芳香族アミン残基を有するポリオール(B3)の組み合わせ、炭素数6以上の糖残基を含有するポリオール(B2)と芳香族アミン残基を有するポリオール(B3)の組み合わせなどが挙げられ、(B1)と(B2)と(B3)など3種以上を組み合わせてもよい。
<ポリアルキレンオキシド(C)>
ポリアルキレンオキシド(C)は、1分子中に1つの水酸基およびエチレンオキシド残基を含むものが好ましい。特に限定されないが、それを用いて得られるウレタンプレポリマー(E)を含むウレタンプレポリマー組成物(H)を塗工機などで塗工する際の塗工性が特に優れるために、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノフェニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上であることが更に好ましい。
ここで、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシ(エチレン・プロピレン)グリコールモノメチルエーテル、ポリオキシ(エチレン・プロピレン)グリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレングリコールモノラウリルアミンなどが挙げられ、好適に使用できる。また、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩などのアミノ基や硫酸塩等の無機塩を有するポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル塩も使用できる。
ポリオキシアルキレングリコールモノアルケニルエーテルとしても特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレングリコールモノステアリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノオレイルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノアクリレートなどが挙げられ、好適に使用できる。
また、ポリオキシアルキレングリコールモノフェニルエーテルとしても特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノノニルフェニルエーテルなどが挙げられ、好適に使用できる。
これらの中でも、ポリアルキレンオキシド(C)を用いて得られるウレタンプレポリマー(E)を含むウレタンプレポリマー組成物(H)を塗工する際の塗工性に優れるために、エチレンオキサイド残基の含有量が50%以上であって、ポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシ(エチレン・プロピレン)グリコールモノメチルエーテル、ポリオキシ(エチレン・プロピレン)グリコールモノブチルエーテルの何れか1種以上を含むことが好ましい。
ここで、ポリアルキレンオキシド(C)の数平均分子量は特に限定されないが、150以上15000以下であることが好ましく、更に好ましくは200以上5000以下であり、最も好ましくは250以上1300以下である。ポリアルキレンオキシド(C)の分子量が低すぎると、ウレタンプレポリマー組成物(H)の粘度が低くなり過ぎて、ウレタンプレポリマー組成物(H)を塗工機などで塗工する際に液流れという不良現象が生じ、得られるポリウレタン塗膜の厚さが不均一になってしまう場合がある。一方で、ポリアルキレンオキシド(C)の分子量が高すぎると、ウレタンプレポリマー組成物(H)を塗工機などで塗工した際に、塗膜の表面が荒れたり、塗膜が不透明になったりしてしまう場合がある。したがって、厚さが均一で、かつ、表面が平滑で、高透明なポリウレタン塗膜が得られるために、ポリアルキレンオキシド(C)の数平均分子量は150以上15000以下であることが好ましい。
なお、ポリアルキレンオキシド(C)の数平均分子量は、ポリアルキレンオキシド(A)の場合と同様に、JIS K-1557-1に記載の方法により算出したポリアルキレンオキシド(C)の水酸基価と、ポリアルキレンオキシド(C)1分子中の水酸基数と、から算出することができる。
<イソシアネート化合物(D)>
イソシアネート化合物(D)は、イソシアネート基の平均官能基数が2.0以上であれば好ましいが、特に限定されるものではない。イソシアネート化合物(D)としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、および、これらとポリアルキレンオキシドとが反応することで得られる変性イソシアネート、ならびに、これらの2種以上の混合物が挙げられる。更に、これらのイソシアネートにウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基を含む変性物やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体が挙げられる。
これらの中でも、高透明で着色の少ないウレタンプレポリマー組成物(H)を得やすいために、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、または、これらの変性体が好ましい。1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、脂肪族イソシアネート含有のプレポリマー、脂環式イソシアネートの含有プレポリマー、または、これらのイソシアネートのウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基もしくはオキサゾリドン基含有変性物がより好ましい。これらのイソシアネートは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
<ウレタンプレポリマー(E)>
ウレタンプレポリマー(E)は、炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基、0.010meq/g以下の不飽和基、エチレンオキシド残基、を必須構成成分として含み、更に、テトラメチレン-エーテル残基、炭素数6以上の糖残基、芳香族アミン残基の何れかの残基を構成成分として含むことを特徴とする。
ウレタンプレポリマー中に0.010meq/gを超える不飽和基を含有するとイソシアネート化合物との混合後に時間を要した際にも低い粘度を維持しやすく、それらの組成物からポリウレタンを得るために塗工機などで塗工した際には、可使時間が長く塗工しやすいが、得られるポリウレタンの引張破断強度が低くなるため、使用が困難である。
ウレタンプレポリマー中に炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基やエチレンオキシド残基、を必須構成成分として含まない場合、イソシアネート化合物との混合後に塗工機などで塗工する際の塗工性が悪く実製造が困難であり、得られるポリウレタンも所望の引張破断強度を発現しないため使用が困難である。
更にテトラメチレン-エーテル残基、炭素数6以上の糖残基、芳香族アミン残基の何れかの残基を構成成分として含まない場合、イソシアネート化合物との混合後に時間を要した際にも低い粘度を維持しやすく、それらの組成物からポリウレタンを得るために塗工機などで塗工した際には、可使時間が長く塗工しやすいが、得られるポリウレタンが所望の引張破断強度を発現しないため、使用が困難である。
ウレタンプレポリマー(E)中のテトラメチレン-エーテル残基、炭素数6以上の糖残基、芳香族アミン残基の何れかの残基の含有量としては、好ましくは1質量%~50質量%の範囲であり、更に好ましくは5質量%~30質量%の範囲である。含有量が1質量%未満では得られるポリウレタンが所望の引張破断強度を発現しにくい場合があり、50質量%を超えると可使時間が短くなって加工性に劣る場合がある。
ウレタンプレポリマー(E)中の不飽和基の含有量としては0.010meq/g以下であれば特に限定されないが、得られるポリウレタンの引張破断強度が高くなりやすいため0.007meq/g以下であることが好ましく、0.003meq/g以下であることが更に好ましく、0.0015meq/g以下であることが最も好ましい。本態様では不飽和基の含有量はポリアルキレンオキシド(A)と同様の方法にて測定した。
ウレタンプレポリマー(E)は、重量平均分子量が3000以上であることを特徴とする。なかでも重量平均分子量が5000~1000000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは重量平均分子量が10000~100000の範囲である。重量平均分子量が3000未満では硬化に時間を要して生産性が劣り、得られるポリウレタンも引張強度が低下するため使用が困難である。重量平均分子量が1000000を超えると可使時間が短くなって塗工性(加工性)に劣る場合がある。なお、ウレタンプレポリマー(E)の重量平均分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法を用い、常法に従って測定することができる。
なかでも、ウレタンプレポリマー(E)は、ポリアルキレンオキシド(A)と、ポリオール(B)と、ポリアルキレンオキシド(C)と、イソシアネート化合物(D)とを反応させることで得られる反応物であって、1分子中に少なくとも1つの水酸基を有するポリウレタンであることが好ましい。
その中でもウレタンプレポリマー(E)としては、ポリアルキレンオキシド(A)と、ポリオール(B)と、ポリアルキレンオキシド(C)に由来する水酸基の総量(MOH)に対するイソシアネート化合物(D)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)の比(MNCO/MOH)が、1.0未満であることが好ましい。より好ましくは0.20以上0.95以下であり、さらに好ましくは、0.20以上0.80以下である。なお、比(MNCO/MOH)はモル比を表す。比(MNCO/MOH)が1.0未満であれば、ウレタンプレポリマー(E)を製造する際に、ゲル化(固化)が発生しにくく、また得られるウレタンプレポリマーの塗工性、保存安定性に優れ取り扱いやすいため、好ましい。
ウレタンプレポリマー(E)を製造する際のポリアルキレンオキシド(A)とポリオール(B)の含有比率は特に限定されないが、質量比(ポリアルキレンオキシド(A)/ポリオール(B))で、99.9/0.1~40/60の範囲であることが好ましく、99/1~50/50の範囲であることが更に好ましく、95/5~70/30の範囲であることが最も好ましい。質量比がこの範囲内であるウレタンプレポリマー(E)から得たポリウレタンは、引張破断強度が大きく、透明性が良好になるので、好ましい。
また、ウレタンプレポリマー(E)を製造する際のポリアルキレンオキシド(A)とポリオール(B)を合わせた質量とポリアルキレンオキシド(C)との質量比率も特に限定されないが、質量比[ポリアルキレンオキシド(A)+ポリオール(B)]/ポリアルキレンオキシド(C)で、99.9/0.1~60/40の範囲であることが好ましく、99.5/0.5~80/20の範囲であることが更に好ましく、99/1~90/10の範囲であることが最も好ましい。質量比がこの範囲内であるウレタンプレポリマー(E)は、不飽和モノオールが少ないポリアルキレンオキシド(A)を含むものの、塗工機などで塗工する際に良好な塗工性を示すため好ましい。
またポリアルキレンオキシド(A)とポリオール(B)とポリアルキレンオキシド(C)の混合物の平均官能基数は、特に限定されないが1.9以上であることが好ましく、2以上6以下であることが更に好ましい。各官能基数とモル比より算出した平均官能基数が1.9以上であるウレタン形成性組成物(E)は反応に伴う硬化によってポリウレタンを得る際に、その硬化(固化)性に優れ、ポリウレタンがさらに良好な機械物性を有することになるため好ましい。
ウレタンプレポリマー(E)を製造する際のポリアルキレンオキシド(A)、ポリオール(B)、ポリアルキレンオキシド(C)、及び、イソシアネート化合物(D)は、真空加熱等で脱水して使用することが好ましいが、作業が煩雑となる場合は脱水せずに使用してもよい。
<ウレタンプレポリマー組成物(H)>
本発明のウレタンプレポリマー組成物(H)は、ウレタンプレポリマー(E)に加えてケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)、金属成分を含むウレタン化触媒(G)を必須成分として含有することを特徴とする。
ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)と金属成分を含むウレタン化触媒(G)を含まない場合、不飽和基が顕著に少ないポリアルキレンオキシド(A)や高反応性、高官能基数のポリオール(B)を用いて得られるウレタンプレポリマーとイソシアネートを混合した際に即座に架橋が進行し、可使時間が顕著に短いため塗工が困難であり、可使時間を延長するため触媒量を低減したり、酸遅延剤を導入すると空気中の水分との副反応が進行するため、硬化(固化)に時間を要して生産性が損なわれるため使用が困難となる。本態様では、アセトンやメチルエチルケトンなどの単純ケトン類は実質エノール体を含まないため、ケトエノール互変異性を有さないとみなし、(F)には含まれない。
ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)としては、活性メチレン基を有し、ケトエノール互変異性を示す化合物であれば特に限定されず、例えばマロノニトリル、マロン酸ジエチル、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどが挙げられるが、可使時間を顕著に延長しつつ、良好な生産性を発現し、得られるポリウレタンの引張強度を損なわないため、βジケトン、βケトエステルの1種以上を含むことが好ましい。
なかでも、不飽和基が顕著に少ないポリアルキレンオキシド(A)や高反応性、高官能基数のポリオール(B)を用いた可使時間が特に短いウレタンプレポリマーを含んでも、実用に耐えうる顕著に長い可使時間を発現するため、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルの1種以上を含むことが更に好ましく、最も好ましくは沸点が150℃以下で低温で除去が可能なアセチルアセトンである。
本発明のウレタンプレポリマー組成物(H)中のケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)の含有量としては、特に限定されないが0.1質量%~10質量%の範囲であって、金属成分を含むウレタン化触媒(G)の含有量との質量比((G)の質量/(F)の質量)が、0.1/99.9~3/97の範囲であることが好ましい。
金属成分を含むウレタン化触媒(G)とケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)の質量比を3/97以下とすることで顕著な可使時間延長効果を発現でき、0.1/99.9以上とすることで短時間で硬化でき良好な生産性を発現し、得られるポリウレタンが高い引張破断強度を発現するため好ましい。
なかでも、本発明のウレタンプレポリマー組成物(H)中のケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)の含有量が0.3質量%~3質量%の範囲であって、金属成分を含むウレタン化触媒(G)の含有量との質量比((G)の質量/(F)の質量)が、0.15/99.85~2/98の範囲であることが好ましい。
金属成分を含むウレタン化触媒(G)としては、金属成分を含みウレタン化反応に触媒活性を示す化合物であれば、特に限定されないが、例えばジブチルチンジラウレート(別名:DBTDL)、ジオクチルチンジラウレート(別名:DOTDL)、2-エチルヘキサン酸錫、アセチルアセトナート錫、トリスアセチルアセトナート鉄などが挙げられる。
なかでも、ジブチルチンジラウレートや2-エチルヘキサン酸錫は触媒活性が高く可使時間が短くなる場合があり、アセチルアセトナート錫、トリスアセチルアセトナート鉄のようなアセチルアセトン金属塩は室温での硬化性が劣る場合があることから、ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)を導入した際に硬化性を損なうことなく可使時間を顕著に延長しやすいジオクチルチンジラウレート(別名:DOTDL)が最も好ましい。
本発明のウレタンプレポリマー組成物(H)の調製には、ウレタンプレポリマー組成物(H)に含まれる原料を均一に分散することができる方法であれば特に限定されるものではなく、従来公知の様々な撹拌方法を用いることができ、例えば、撹拌機を用いて撹拌する方法が挙げられる。撹拌機としては、例えば、汎用撹拌機、自転公転ミキサー、ディスパー分散機、ディゾルバー、ニーダー、ミキサー、ラボプラストミル、プラネタリーミキサー等を挙げることができる。ウレタンプレポリマー(E)、ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)、金属成分を含むウレタン化触媒(G)がいずれも撹拌する温度で液状の場合は、自転公転ミキサー、汎用撹拌機、ディスパー分散機、ディゾルバーが好適に用いられる。
ウレタンプレポリマー組成物(H)には、必要に応じて酸化防止剤、光安定化剤、鎖延長剤、酸遅延剤、その他の添加剤を含んでもよい。
また、ウレタンプレポリマー組成物(H)中の添加剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
鎖延長剤としても、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、分子量1000以下の低分子量ポリアルキレングリコール等のグリコール類;エチレンジアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン;が挙げられる。
酸遅延剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、酸性リン酸エステル、カルボン酸類などが挙げられる。
<ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)>
ウレタンプレポリマー組成物(H)は、これらの取り扱いを容易なものにするために、または、所望の粘度や塗工性を得るために、有機溶媒と混合してウレタンプレポリマー溶液(I)とすることができる。
このとき、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)は、
ウレタンプレポリマー組成物(H)、及び、
有機溶媒、を含み、
当該ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)中のウレタンプレポリマー組成物の濃度が、10質量%以上90質量%以下である。
有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジメトルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。溶解性、有機溶媒の沸点等の点から、特に、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンまたはこれらの混合溶媒が好ましい。なお、これらの溶媒は、ウレタンプレポリマー(E)の合成前や合成後、作製したウレタンプレポリマー(E)を用いウレタンプレポリマー組成物(H)を得る際等、任意の段階で添加することができる。
ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)中のウレタンプレポリマー組成物の濃度は、10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは30質量%以上70質量%以下である。濃度がこの範囲であると、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)とイソシアネート化合物と混合し、塗工機などで塗工する際に良好な塗工性が得られるなど取り扱いを容易なものにすることができる。
また、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)の25℃における粘度も特に限定されないが、100mPa・s以上100000mPa・s以下であることが好ましい。粘度がこの範囲であると、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)とイソシアネート化合物と混合し、塗工機などで塗工する際に良好な塗工性が得られるなど取り扱いを容易なものにすることができる。
<ウレタン形成性組成物(K)>
ウレタン形成性組成物(K)は、上記ウレタンプレポリマー組成物(H)、または、前記ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)と、イソシアネート化合物(J)を含む、組成物である。
イソシアネート化合物(J)としては、特に限定されるものではないが、イソシアネート化合物(D)と同じものを挙げることができ、好ましいイソシアネートも同じものが挙げられる。イソシアネート化合物(J)と、イソシアネート化合物(D)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
ここで、ウレタン形成性組成物(K)は、ウレタンプレポリマー組成物(H)、または、前記ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)とイソシアネート化合物(J)を含む組成物であればよい。したがって、ウレタンプレポリマー組成物(H)中のイソシアネート化合物(J)の含有率については特に限定されないが、ウレタンプレポリマー(E)に由来する水酸基の総量(MOH)に対するイソシアネート化合物(J)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)の比(MNCO/MOH)が、モル比率で0.5以上、4.0未満であることが好ましい。またウレタンプレポリマー(E)とイソシアネート化合物(J)の質量比((E)の質量/(J)の質量)は99/1~70/30の範囲であることが好ましい。
イソシアネート化合物(J)の含有率が上記の範囲であれば、ウレタン形成性組成物(K)の反応に伴う硬化によってポリウレタンを得る際に、その硬化(固化)性に優れ、ポリウレタンが良好な機械物性を有することになるため好ましい。
ウレタン形成性組成物(K)に用いるウレタンプレポリマー組成物(H)とイソシアネート化合物(J)は、真空加熱等で脱水して使用することが好ましいが、作業が煩雑となる場合は脱水せずに使用してもよい。
ウレタン形成性組成物(K)の調製には、ウレタン形成性組成物(K)に含まれるプレポリマーや原料を均一に分散することができる方法であれば特に限定されるものではなく、従来公知の様々な撹拌方法を用いて撹拌する方法が挙げられる。撹拌機としては、例えば、汎用撹拌機、自転公転ミキサー、ディスパー分散機、ディゾルバー、ニーダー、ミキサー、ラボプラストミル、プラネタリーミキサー等を挙げることができる。ウレタンプレポリマー組成物(H)、または、前記ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)およびイソシアネート化合物(J)がいずれも撹拌する温度で液状の場合は、汎用撹拌機、自転公転ミキサー、ディスパー分散機、ディゾルバーが好適に用いられる。
なお、ウレタン形成性組成物(K)の25℃における粘度は特に限定されないが、通常は100mPa・s以上100000mPa・s以下であり、好ましくは200mPa・s以上30000mPa・s以下であり、更に好ましくは300mPa・s以上10000mPa・s以下である。ウレタン形成性組成物(K)の25℃における粘度がこの範囲であると、ウレタン形成性組成物(K)を調製するために各種撹拌機で撹拌する場合や、ウレタン形成性組成物(K)を塗工機などで塗工する際の前段作業として撹拌を行う場合に、ウレタン形成性組成物(K)の撹拌や取り扱いが容易になるため好ましい。
<ポリウレタン(L)>
ポリウレタン(L)は、ウレタン形成性組成物(K)の反応物であって、ウレタン形成性組成物(K)中のウレタンプレポリマー(E)とイソシアネート化合物(J)の反応物である。
ポリウレタン(L)は、ウレタン形成性組成物(K)を種々の方法によって反応させ、硬化(固化)することで得られる。それらのポリウレタン(L)の製造方法としては特に限定されない。例えば、ウレタン形成性組成物(K)を、必要に応じて、ウレタン化触媒、溶剤、酸化防止剤、光安定化剤、鎖延長剤、架橋剤、その他添加剤等の存在下、常温または150℃以下の高温でウレタン化反応、ウレア化反応を進めることによって製造することができる。
また、良好な硬化性を発現するため、必要に応じて高温で賦活化する工程や溶剤を除去する工程を含んでもよい。
ここで、ウレタン形成性組成物(K)は、塗工機等で塗工する際の塗工性が顕著に優れることから、厚みが薄くて、均一な厚みのポリウレタン(L)の塗膜やポリウレタンのシートが得られる。
ポリウレタン(L)の塗膜においては、その厚みは特に制限されないが、塗膜の外観が特に良好になることから、塗膜の厚みは1μm以上1000μm以下であることが好ましく、20μm以上300μm以下であることが更に好ましい。
ポリウレタン(L)の用途は、特に限定されるものでなく、通常のポリウレタンが使用される何れの用途にも使用できるが、機械物性や粘・接着特性などが要求される用途に特に好適に使用できる。具体的には、建築・土木用シーリング材、建築用弾性接着剤等の接着剤、ガムテープや表面保護フィルム、光学用に代表される各種粘着剤、塗料、エラストマー、塗膜防水材、床材、可塑剤、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等の用途が例示され、好適に使用できる。
その中でも、ポリウレタンに対して、機械物性や粘・接着特性の要求が強く、施工性や塗工性が求められることから、シーリング材、塗料、粘着剤、接着剤として用いることが特に好ましい。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例により限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で使用した原料、及び評価方法は以下に示すとおりである。
(原料1)実施例及び比較例に用いたポリアルキレンオキシド(AまたはAC)
実施例及び比較例に用いたポリアルキレンオキシドの性状は、以下の方法で求めた。
<ポリアルキレンオキシドの不飽和度>
ポリアルキレンオキシドの不飽和度は、高分子論文集1993,50,2,121-126に記載のNMR法に準拠し、スキャン回数800回で測定した。
<ポリアルキレンオキシドの水酸基価と数平均分子量>
ポリアルキレンオキシドの水酸基価は、JIS-K1557-1に記載の方法に準拠して測定した。また、ポリアルキレンオキシドの水酸基価とポリアルキレンオキシド1分子中の水酸基数から、ポリアルキレンオキシドの数平均分子量を算出した。
(原料1-1)実施例に用いたポリアルキレンオキシド(A)
ポリアルキレンオキシド(A1)と(A2)と(A3)は、イミノ基含有ホスファゼニウム塩(以下、IPZ触媒と記す)とトリイソプロポキシアルミニウムを併用し、脱水・脱溶媒を十分に行い、2官能で、分子量が400のポリオキシプロピレングリコールに、十分に脱水を施したプロピレンオキシドを付加することで得た。(A1)と(A2)と(A3)は、アルキレンオキシド基としてプロピレンオキシド基のみを有し、1分子中に2つの水酸基を有するポリオキシプロピレングリコール(ジオール)である。(A1)と(A2)と(A3)の性状を表1に示すが、(A1)と(A2)と(A3)は、不飽和モノオール量が極めて少なく(不飽和度が極めて低く)、分子量分布が狭いものである。
(原料1-2)比較例に用いたポリアルキレンオキシド(AC)
ポリアルキレンオキシド(AC1)は、IPZ触媒のみを使用し、脱水・脱溶媒を十分に行い、2官能で、分子量が400のポリオキシプロピレングリコールに、十分に脱水を施したプロピレンオキシドを付加することで得た。(AC1)は、アルキレンオキシド基としてプロピレンオキシド基のみを有し、1分子中に2つの水酸基を有するポリオキシプロピレングリコール(ジオール)である。(AC1)の性状を表1に示すが、(AC1)は、不飽和度が高く、不飽和度が0.010meq/g以下の範囲を満たしていないものである。
ポリアルキレオキシド(AC2)は、水酸化カリウム触媒を用い、常法により、2官能のポリオキシプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加することで得た。(AC2)は、アルキレンオキシド基としてプロピレンオキシド基のみを有し、1分子中に2つの水酸基を有するポリオキシプロピレングリコール(ジオール)である。(AC2)の性状を表1に示すが、(AC2)は、不飽和度が高く、不飽和度が0.010meq/g以下の範囲を満たしていないもので、(AC2)は(AC1)よりも更に不飽和度が高い。
ポリアルキレンオキシド(AC3)は水酸化カリウム触媒を用いて得られた1分子中に2つの水酸基を有し、分子量が600のポリオキシプロピレングリコールである。(AC3)は、市販されている三洋化成工業(株)製のPP600である。(AC3)の性状を表1に示すが、(AC3)は数平均分子量が低く、数平均分子量が800以上の範囲を満たしていないものである。
なお、実施例に用いたポリアルキレンオキシド(A1)から(A3)、ならびに、比較例に用いたポリアルキレンオキシド(AC1)から(AC3)は、いずれも、加熱・真空脱水した後に使用した。また、IPZ触媒を用いて作製したポリアルキレンオキシドについては、触媒を除去した上で使用した。
(原料2)ポリオール(B)
(原料2-1)実施例に用いたポリオール(B)
ポリオール(B1)は、市販されているポリテトラメチレングリコールであり、水酸基価112mgKOH/g、分子量1000の保土谷化学工業(株)製PTG-1000SNを使用した。
ポリオール(B2)は、市販されているシュークローズ系ポリオールであり、公称官能基数は8.0、水酸基価377mgKOH/g、分子量1190の東邦化学工業製O-855Wを使用した。
ポリオール(B3)は、市販されているトリレンジアミン系ポリオールであり、公称官能基数は4.0、水酸基価360mgKOH/g、分子量620の東邦化学工業社製AR-2589を使用した。
(原料2-2)比較例に用いたポリオール(BC)
ポリオール(BC1)は、市販されているポリカーボネートジオールであり、公称官能基数は2.0、水酸基価113mgKOH/g、分子量990のニッポラン965を使用した。
ポリオール(BC2)は、市販されているアクリルポリオールであり、水酸基価50mgKOH/gのDIC社製アクリディックA801を使用した。
(原料3)ポリアルキレンオキシド(C)
(原料3-1)実施例に用いたポリアルキレンオキシド(C)
ポリアルキレンオキシド(C1)は水酸基価80mgKOH/g、分子量700ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを使用した。
ポリアルキレンオキシド(C2)は水酸基価160mgKOH/g、分子量350ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを使用した。
(C1)、(C2)は何れも、1分子中に1つの水酸基を有し、エチレンオキシド基の含量比率が高いものであった。
(原料3-2)比較例に用いたポリアルキレンオキシド(CC)
ポリアルキレンオキシド(CC1)は、水酸基価56mgKOH/g、分子量1000のポリプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、エチレンオキシド残基を含まないものである。
(原料4)実施例及び比較例に用いたイソシアネート化合物(D)、(J)
イソシアネート化合物(D1)は、HDI系の変性イソシアヌレートである東ソー(株)製アクアネート105で、(D1)におけるイソシアネート基の平均官能基数は3.4である。
イソシアネート化合物(D2)は、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)で、(D2)におけるイソシアネート基の平均官能基数は2.0である。
イソシアネート化合物(J1)は、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系の変性イソシアネートである東ソー(株)製のコロネートHXLVで、(J1)におけるイソシアネート基の平均官能基数は3.2である。
(原料5)ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物化合物(F)
(原料5-1)実施例及び比較例に用いたケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F)
ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F1)は、βジケトンであるアセチルアセトンを用いた。
ケトエノール互変異性を有する活性メチレン基含有化合物(F2)は、βケトエステルであるアセト酢酸エチルを用いた。
(原料5-2)実施例及び比較例に用いた化合物(FC)
化合物(FC1)は、酸性リン酸エステルである2-エチルヘキシルアシッドホスフェートであり、ケトエノール互変異性を有さず、活性メチレン基を有さないウレタン化反応の遅延剤である
化合物(FC2)は、ビス(2-エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイトであり、ケトエノール互変異性を有するが、電子吸引基等により活性化されたメチレン基を有さない化合物である。
化合物(FC3)は、メチルエチルケトンであり、ケトエノール互変異性を実質有さず、電子吸引基等により活性化されたメチレン基を有さない化合物である。
(原料6)実施例及び比較例に用いたウレタン化触媒
金属成分を有するウレタン化触媒(G1)は、和光純薬(株)製ジオクチルチンジラウレート(略称:DOTDL)を用いた。
また金属成分を有さないウレタン化触媒として(GC1)は、トリエチレンジアミン(略称TEDA)を用いた。
(原料7)溶剤
実施例及び比較例において、ウレタンプレポリマー組成物溶液を用いた場合、溶剤には、富士フイルム和光純薬(株)製の酢酸エチルを用いた。
(ウレタンプレポリマー組成物、ウレタンプレポリマー組成物溶液の作製)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた四つ口ナスフラスコに、ポリアルキレンオキシド(A)、ポリオール(B)、ポリアルキレンオキシド(C)を所定量加え、100℃条件にて2時間真空脱水を行った。
イソシアネート化合物(D)、ウレタン化触媒(G)、必要に応じて溶媒として酢酸エチルを所定量加え、76℃まで昇温して反応を行った。反応器内容物のNCO基量を赤外分光光度計を用いて追跡し、反応完結を確認後、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F)を加え、ウレタンプレポリマー組成物(H)またはウレタンプレポリマー組成物溶液(I)とした。
ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は溶媒にテトラヒドロフラン、標準物質にポリスチレンを用いたGPC法により算出した。
(ウレタン形成性組成物の作製)
実施例及び比較例では、所定量の各原料(ウレタンプレポリマー組成物(H)またはウレタンプレポリマー組成物溶液(I)、イソシアネート(J))を50mlのサンプル瓶にいれ、自転公転ミキサーを用いて、常温で、撹拌脱泡することでウレタン形成性組成物を得た。自転公転ミキサーには、株式会社シンキー製のあわとり練太郎ARE-310を用い、自転は回転数2000rpmで5分間、公転は回転数2200rpmで5分間行い、ウレタン形成性組成物(K)とした。
(性能評価)
ウレタン形成性組成物(K)を、厚さ38μmで、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが100μm以下となるようにベーカー式アプリケーターを用いて塗工した。その後、130℃に設定したオーブンに3分間保持して溶剤等を揮発させ、23℃、相対湿度50%の環境で1週間静置することで塗膜を得た。
更に、ポリウレタン塗膜の引張破断強度については、前記のように塗工し、硬化した厚さ約100μmのポリウレタン塗膜からASTM1822号のダンベル試験片を取り出し(打ち抜き)、株式会社オリエンテック社製の引張試験機RTG-1210を用いて、引張試験機のチャック間距離30mm、引張速度50mm/分で引張試験を行い、試験片が破断した際の応力を引張破断強度とした。
その工程においてウレタン形成性組成物の性能の指標として、以下の評価基準にて評価した。ウレタンプレポリマー組成物(H)、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I)は、プレポリマーのOH基に対して1.5当量のイソシアネート化合物C-HXLVを硬化剤として加えて可使時間、塗工性、硬化性、物性の評価をウレタン形成性組成物と同様に行い、ウレタンプレポリマー組成物、ウレタンプレポリマー組成物溶液の性能の指標とした。
<可使時間>
◎(可使時間合格):硬化剤を混合後、48時間を超えて流動性を保持し、24時間後の粘度上昇率が50%以下
〇(可使時間合格):硬化剤を混合後、30時間を超えて流動性を保持し、18時間後の粘度上昇率が50%以下
×(可使時間不合格):硬化剤を混合後、30時間以内に流動性を失う(ゲル化)場合、又は18時間後の粘度上昇率が50%を超える場合
××(可使時間不合格):硬化剤を混合後、12時間以内に流動性を失う(ゲル化)場合、又は6時間後の粘度上昇率が50%を超える場合
<塗工性>
◎(塗工性合格):目視での観察においてポリウレタン塗膜の表面が平滑で、ポリウレタン塗膜の中央と端の厚み差が5%未満の場合。
○(塗工性合格):目視での観察においてポリウレタン塗膜の表面が平滑で、ポリウレタン塗膜の中央と端の厚み差が5~10%の範囲の場合。
×(塗工性不合格):目視での観察においてポリウレタン塗膜の表面が荒れている、または、ポリウレタン塗膜の中央と端の厚み差が10%を超える場合。
<硬化性>
◎(硬化性合格):23℃、相対湿度50%の環境で1日静置することで、べたつき感は凡そ消失し、3日保持以降はべたつき感が経時で変化しない場合。
○(硬化性合格):23℃、相対湿度50%の環境で1~3日静置することで、べたつき感は凡そ消失し、7日保持以降はべたつき感が経時で変化しない場合。
××(硬化性不合格):23℃、相対湿度50%の環境で3日静置以降もべたつき感があり(硬化が不十分)、または、7日保持以降もべたつき感が残り、経時で変化する場合(硬化が著しく遅い)。
<引張破断強度>
◎(強度合格):23℃、相対湿度50%の環境で3日静置後の引張破断強度が10MPa以上
△(強度不合格):23℃、相対湿度50%の環境で3日静置後の引張破断強度が3MPa以上10MPa未満
××(強度不合格):23℃、相対湿度50%の環境で3日静置後の引張破断強度が3MPa未満
何れの評価項目も合格のものは、引張破断強度の大きなポリウレタンの形成に資するウレタンプレポリマー組成物であり、且つ可使時間が長く、塗工や硬化に時間を要さず高い生産性を有するウレタンプレポリマー組成物であると判断した。
実施例1は、ポリアルキレンオキシド(A1)70重量部とポリオール(B1)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D2)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.02重量部を含み、(A1)と(B1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D2)のMNCO/(A1)と(B1)と(C1)のMOH=0.60で得たウレタンプレポリマー(E1)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H1)である。
表2に実施例1の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物(H1)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(H1)から得たポリウレタン(L1)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例1は、実施例1に対してケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A1)70重量部とポリアルキレンオキシド(B1)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.02重量部を含み、(A1)と(B1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D2)のMNCO/(A1)と(B1)のMOH=0.60で得たウレタンプレポリマー(EC1)を含むウレタンプレポリマー組成物(HC1)である。当該組成物(HC2)は(F1)を含まないため6時間で50%以上増粘し12時間で流動性を失う可使時間が顕著に短いものであり、得たポリウレタン(LC1)は引張破断強度が大きいものの、実製造は困難なものであった。
実施例2は、ポリアルキレンオキシド(A3)80重量部とポリオール(B2)20重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.05重量部を含み、(A3)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)のMNCO/(A3)と(B2)と(C2)のMOH=0.23で得たウレタンプレポリマー(E2)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)5.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H2)である。
表2に実施例2の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物(H2)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(H2)から得たポリウレタン(L2)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例2は、実施例2に対してケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A3)80重量部とポリオール(B2)20重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.05重量部を含み、(A3)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)のMNCO/(A3)と(B2)と(C2)のMOH=0.23で得たウレタンプレポリマー(E2)を含むウレタンプレポリマー組成物(HC2)である。当該組成物(HC2)は(F1)を含まないため1時間で流動性を失い可使時間が顕著に短いものであるため塗工性も悪く、得たポリウレタン(LC2)は引張破断強度が大きいものの、実製造は困難なものであった。
実施例3は、ポリアルキレンオキシド(A2)90重量部とポリオール(B3)10重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)1重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)のMNCO/(A2)と(B3)と(C1)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(E3)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F2)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H3)である。表2に実施例3の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物(H3)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(H3)から得たポリウレタン(L3)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例3は、実施例3に対してポリアルキレンオキシド(C1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A2)90重量部とポリオール(B3)10重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B3)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)のMNCO/(A2)と(B3)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(EC3)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F2)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC3)である。当該組成物(HC3)は可使時間は長いものの、(C1)を含まないため塗工性が悪く、得たポリウレタン(LC1)の引張破断強度も幾分小さく、実製造は困難で使用できないものであった。
実施例4は、ポリアルキレンオキシド(A1)95重量部とポリオール(B1)5重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D2)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.02量部を含み、(A1)と(B1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D2)のMNCO/(A1)と(B1)と(C1)のMOH=0.60で得たウレタンプレポリマー(E4)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H4)である。表2に実施例4の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物(H4)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(H4)から得たポリウレタン(L4)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例4は、実施例4に対してポリオール(B1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A1)100重量部とポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D2)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.02量部を含み、(A1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D2)のMNCO/(A1)と(C1)のMOH=0.60で得たウレタンプレポリマー(EC4)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC4)である。
当該組成物(HC4)は可使時間は長く硬化性は幾分良いものの、ポリオール(B1)を含まないため得たポリウレタン(LC4)は引張破断強度が小さく使用は困難なものであった。
実施例5は、ポリアルキレンオキシド(A3)85重量部とポリオール(B1)15重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.03重量部を含み、(A3)と(B1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A3)と(B1)と(C1)のMOH=0.75で得たウレタンプレポリマー(E5)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)2.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H5)に、有機溶媒として酢酸エチルを含むウレタンプレポリマー組成物溶液(I1)である。当該溶液(I1)中の(H5)の濃度は50%である。
表3に実施例5の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I1)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(I1)から得たポリウレタン(L5)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例5は、実施例5に対してポリアルキレンオキシド(C1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A3)85重量部とポリオール(B1)15重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物を含み、(A3)と(B1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A3)と(B1)のMOH=0.75で得たウレタンプレポリマー(EC5)を含むウレタンプレポリマー組成物(HC5)に、有機溶媒として酢酸エチルを含むウレタンプレポリマー組成物溶液(IC1)である。当該溶液(IC1)中の(HC5)の濃度は50%である。当該組成物(IC1)は可使時間は長いものの(C1)を含まないため塗工性が悪く、得たポリウレタン(LC5)の引張破断強度も幾分小さいものであり、実製造は困難で使用できないものであった。
実施例6は、ポリアルキレンオキシド(A2)90重量部とポリオール(B2)10重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=0.45で得たウレタンプレポリマー(E6)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H6)に、有機溶媒として酢酸エチルを含むウレタンプレポリマー組成物溶液(I2)である。当該溶液(I2)中の(H6)の濃度は85%である。
表3に実施例6の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I2)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(I2)から得たポリウレタン(L6)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例6は、実施例6に対してケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A2)90重量部とポリオール(B2)10重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=0.45で得たウレタンプレポリマー(EC6)を含むウレタンプレポリマー組成物(HC6)に、有機溶媒として酢酸エチルを含むウレタンプレポリマー組成物溶液(IC2)である。当該溶液(IC2)中の(HC6)の濃度は85%である。
当該組成物(IC2)は(F1)を含まないため1時間で50%以上増粘し、3時間で流動性を失う可使時間が顕著に短いものであり、得たポリウレタン(LC2)は引張破断強度が大きいものの、実製造は困難なものであった。
実施例7は、ポリアルキレンオキシド(A1)70重量部とポリオール(B3)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D2)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D2)のMNCO/(A1)と(B3)と(C1)のMOH=0.50で得たウレタンプレポリマー(E7)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H7)に、有機溶媒として酢酸エチル、を含むウレタンプレポリマー組成物溶液(I3)である。当該溶液(I3)中の(H7)の濃度は75%である。
表3に実施例7の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I3)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(I3)から得たポリウレタン(L7)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例7は、実施例7に対してケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A1)70重量部とポリオール(B3)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D2)と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D2)のMNCO/(A1)と(B3)と(C1)のMOH=0.50で得たウレタンプレポリマー(EC7)を含むウレタンプレポリマー組成物(HC7)に、有機溶媒として酢酸エチルを含むウレタンプレポリマー組成物溶液(IC3)である。当該溶液(IC3)中の(HC7)の濃度は75%である。
当該組成物(IC3)は(F1)を含まないため1時間で流動性を失う可使時間が顕著に短いものであるため塗工性も悪く、得たポリウレタン(LC7)の引張破断強度も幾分か小さく、実製造は困難であり使用は困難なものであった。
実施例8は、ポリアルキレンオキシド(A1)95重量部とポリオール(B3)5重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(B3)と(C1)のMOH=0.75で得たウレタンプレポリマー(E8)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F2)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H8)に、有機溶媒として酢酸エチルを含むウレタンプレポリマー組成物溶液(I4)である。当該溶液(I4)中の(H8)の濃度は75%である。
表3に実施例8の結果を示すが、ウレタンプレポリマー組成物溶液(I4)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(I4)から得たポリウレタン(L8)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例8は、実施例8に対してポリオール(B3)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A1)100重量部とポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物と金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(C1)のMOH=0.75で得たウレタンプレポリマー(EC8)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F2)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC8)に、有機溶媒として酢酸エチルを含むウレタンプレポリマー組成物溶液(IC4)である。当該溶液(IC4)中の(HC8)の濃度は75%である。
当該組成物(IC4)は可使時間は長く硬化性は幾分良いものの、ポリオール(B3)を含まないため得たポリウレタン(LC8)は引張破断強度が小さく使用は困難なものであった。
実施例9は、ポリアルキレンオキシド(A1)70重量部とポリオール(B1)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.03重量部を含み、(A1)と(B1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(B1)と(C1)のMOH=0.75で得たウレタンプレポリマー(E9)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)2.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H9)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(E9)のMOH=2.0で含むウレタン形成性組成物(K1)である。当該溶液(K1)中の(H9)と(J1)を合わせた濃度は50%である。
表4に実施例9の結果を示すが、ウレタン形成性組成物(K1)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(K1)から得たポリウレタン(L9)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例9は、実施例9に対して金属を含むウレタン化触媒(G1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A1)70重量部とポリオール(B1)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物を含み、(A1)と(B1)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(B1)と(C1)のMOH=0.75で得たウレタンプレポリマー(EC9)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)2.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC9)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC9)のMOH=2.0で含むウレタン形成性組成物(KC1)である。当該溶液(K1)中の(HC9)と(J1)を合わせた濃度は50%である。
当該組成物(KC1)は可使時間は長いものの、(G1)を含まないため硬化性が悪く、得たポリウレタン(LC9)の引張破断強度も小さく、実製造は困難で使用できないものであった。
実施例10は、ポリアルキレンオキシド(A1)85重量部とポリオール(B2)15重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(B2)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(B2)と(C1)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(E10)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H10)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(E10)のMOH=0.9で含むウレタン形成性組成物(K2)である。当該溶液(K2)中の(H10)と(J1)を合わせた濃度は83%である。
表4に実施例10の結果を示すが、ウレタン形成性組成物(K2)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(K2)から得たポリウレタン(L10)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例10は、実施例10に対してケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A1)85重量部とポリオール(B2)15重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(B2)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(B2)と(C1)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC10)を含むウレタンプレポリマー組成物(HC10)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC10)のMOH=0.9で含むウレタン形成性組成物(KC2)である。当該溶液(KC2)中の(HC10)と(J1)を合わせた濃度は83%である。
当該組成物(KC2)は(F1)を含まないため3時間で流動性を失う可使時間が顕著に短いものであり、得たポリウレタン(LC10)の引張破断強度は大きいものの、実製造は困難なものであった。
実施例11は、ポリアルキレンオキシド(A1)80重量部とポリオール(B3)20重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(B3)と(C1)のMOH=0.50で得たウレタンプレポリマー(E11)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H11)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(E11)のMOH=1.7で含むウレタン形成性組成物(K3)である。当該溶液(K3)中の(H11)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
表4に実施例11の結果を示すが、ウレタン形成性組成物(K3)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(K3)から得たポリウレタン(L11)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例11は、実施例11に対してポリアルキレンオキシド(C1)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A1)80重量部とポリオール(B3)20重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A1)と(B3)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A1)と(B3)のMOH=0.50で得たウレタンプレポリマー(EC11)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC11)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC11)のMOH=1.7で含むウレタン形成性組成物(KC3)である。当該溶液(KC3)中の(HC11)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC3)は可使時間は長いものの(C1)を含まないため塗工性が悪く、得たポリウレタン(LC11)の引張破断強度も幾分小さいものであり、実製造は困難で使用できないものであった。
実施例12は、ポリアルキレンオキシド(A2)95重量部とポリオール(B2)5重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=0.55で得たウレタンプレポリマー(E12)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F2)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H12)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(E12)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(K4)である。当該溶液(K4)中の(H12)と(J1)を合わせた濃度は75%である。
表4に実施例12の結果を示すが、ウレタン形成性組成物(K4)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(K4)から得たポリウレタン(L12)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例12は、実施例12に対してポリオール(B2)を含まない、ポリアルキレンオキシド(A2)100重量部とポリアルキレンオキシド(C2)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(C2)のMOH=0.55で得たウレタンプレポリマー(EC12)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F2)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC12)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC12)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC4)である。当該溶液(KC4)中の(HC12)と(J1)を合わせた濃度は75%である。
当該組成物(KC4)は可使時間は長く硬化性は幾分良いものの、ポリオール(B2)を含まないため得たポリウレタン(LC12)は引張破断強度が小さく使用は困難なものであった。
実施例13は、ポリアルキレンオキシド(A3)80重量部とポリオール(B1)15重量部、ポリオール(B2)5重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A3)と(B1)と(B2)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A3)と(B1)と(B2)と(C1)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(E13)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H13)に、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(E13)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(K5)である。
表5に実施例13の結果を示すが、ウレタン形成性組成物(K5)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(K5)から得たポリウレタン(L13)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例13は、実施例13に対して不飽和度の顕著に低いポリアルキレンオキシド(A3)を不飽和度が高めのポリアルキレンオキシド(AC1)に変更した、ポリアルキレンオキシド(AC1)80重量部とポリオール(B1)15重量部、ポリオール(B2)5重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(AC1)と(B1)と(B2)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(AC1)と(B1)と(B2)と(C1)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(EC13)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC13)に、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC13)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC5)である。
当該組成物(KC5)は可使時間は長く塗工性は良いものの、不飽和度の顕著に低いポリアルキレンオキシド(A3)を含まないため、硬化性に劣ってベタツキがあり、得たポリウレタン(LC13)は引張破断強度が小さく使用は困難なものであった。
実施例14は、ポリアルキレンオキシド(A3)80重量部とポリオール(B1)15重量部、ポリオール(B3)5重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A3)と(B1)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A3)と(B1)と(B3)と(C1)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(E14)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H14)に、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(E14)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(K6)である。
表5に実施例14の結果を示すが、ウレタン形成性組成物(K6)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(K6)から得たポリウレタン(L14)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例14は、実施例14に対して不飽和度の顕著に低いポリアルキレンオキシド(A3)を不飽和度が高い汎用のポリアルキレンオキシド(AC2)に変更した、ポリアルキレンオキシド(AC2)80重量部とポリオール(B1)15重量部、ポリオール(B3)5重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(AC2)と(B1)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(AC2)と(B1)と(B3)と(C1)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(EC14)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)0.5重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC14)に、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC14)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC6)である。
当該組成物(KC6)は可使時間は長く塗工性は良いものの、不飽和度の顕著に低いポリアルキレンオキシド(A3)を含まないため、硬化性に劣ってベタツキがあり、得たポリウレタン(LC14)は引張破断強度が小さく使用は困難なものであった。
実施例15は、ポリアルキレンオキシド(A3)70重量部とポリオール(B3)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A3)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A3)と(B3)と(C1)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(E15)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部、反応調整剤として化合物(FC1)0.001重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(H15)に、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(E15)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(K7)である。
表5に実施例15の結果を示すが、ウレタン形成性組成物(K7)は顕著に長い可使時間を有し、塗工性と硬化性は良好で、当該組成物(K7)から得たポリウレタン(L15)の塗膜は引張破断強度が大きかった。
比較例15は、実施例15に対して不飽和度の顕著に低いポリアルキレンオキシド(A3)を分子量が600と低いポリアルキレンオキシド(AC3)に変更した、ポリアルキレンオキシド(AC3)70重量部とポリオール(B3)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C1)2重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(AC3)と(B3)と(C1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(AC3)と(B3)と(C1)のMOH=0.40で得たウレタンプレポリマー(EC15)とケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)3.0重量部、反応調整剤として化合物(FC1)0.001重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC15)に、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC15)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC7)である。
当該組成物(KC7)は分子量が600と低いポリアルキレンオキシド(AC3)を多量に含みポリアルキレンオキシド(A3)を含まないため、ウレタンプレポリマー(EC15)の重量平均分子量が3000未満と低く、塗工性と硬化性は良いものの、可使時間が短く、得たポリウレタン(LC15)は引張破断強度が小さく使用は困難なものであった。
比較例16は、ポリアルキレンオキシド(A2)70重量部とポリオール(B2)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC16)と、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F)を含まず、代わりに反応調整剤として化合物(FC1)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC16)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC16)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC8)である。当該溶液(KC8)中の(HC16)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC8)は、(F)の代わりに(FC1)を用いているため可使時間は長いものの、硬化性が顕著に悪く、得られるポリウレタン(LC16)もタックが消失せずに引張破断強度が小さく、実製造は困難であり使用は困難なものであった。
比較例17は、ポリアルキレンオキシド(A2)70重量部とポリオール(B2)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC17)と、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F)を含まず、代わりに化合物(FC2)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC17)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC17)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC9)である。当該溶液(KC9)中の(HC17)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC9)は、活性メチレン基を有する(F)を含まないため、3時間で流動性を失う可使時間が顕著に短いものであり、得たポリウレタン(LC17)の引張破断強度は大きいものの、実製造は困難なものであった。
比較例18は、ポリアルキレンオキシド(A2)70重量部とポリオール(B2)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC18)と、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F)を含まず、代わりに化合物(FC3)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC18)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC18)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC10)である。当該溶液(KC10)中の(HC18)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC10)は、活性メチレン基を有する(F)を含まないため、4時間で流動性を失う可使時間が顕著に短いものであり、得たポリウレタン(LC18)の引張破断強度は大きいものの、実製造は困難なものであった。
比較例19は、ポリアルキレンオキシド(A2)70重量部とポリオール(B2)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)を含まず、代わりにアミン系ウレタン化触媒(GC1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC19)と、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC19)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC19)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC11)である。当該溶液(KC11)中の(HC19)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC11)は、金属を含むウレタン化触媒(G1)を含まないため、4時間で流動性を失う可使時間が顕著に短いものであり、硬化性も幾分低く、得たポリウレタン(LC19)の引張破断強度は大きいものの、実製造は困難なものであった。
比較例20は、ポリアルキレンオキシド(A2)70重量部とポリオール(B2)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C)を含まずに代わりにエチレンオキシド残基を含まないポリアルキレンオキシド(CC1)0.5重量部を含み、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、及び、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(B2)と(CC1)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(B2)と(CC1)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC20)と、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC20)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC20)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC12)である。当該溶液(KC12)中の(HC20)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC12)は、可使時間は長いもののエチレンオキシド残基を含むポリアルキレンオキシド(C2)を含まないため、塗工性が悪く、得たポリウレタン(LC20)の引張破断強度も幾分小さいものであり、実製造は困難で使用できないものであった。
比較例21は、ポリアルキレンオキシド(A2)90重量部とポリオール(B)の代わりにポリカーボネート残基を有するポリオール(BC1)10重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(BC1)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(BC1)と(C2)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC21)と、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC21)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC21)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC13)である。当該溶液(KC13)中の(HC21)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC13)は可使時間は長く硬化性は良いものの、ポリオール(B)を含まずにポリカーボネート残基を有する(BC1)を含むため、塗工性が悪く、得たポリウレタン(LC21)は引張破断強度が小さく使用は困難なものであった。
比較例22は、ポリアルキレンオキシド(A2)90重量部とポリオール(B)の代わりにアクリル残基を有するポリオール(BC2)10重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、及び、イソシアネート化合物(D1)と(D2)の混合物、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部を含み、(A2)と(BC1)と(C2)に由来する水酸基の量(MOH)と(D1)と(D2)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(D1)と(D2)のMNCO/(A2)と(BC1)と(C2)のMOH=0.35で得たウレタンプレポリマー(EC21)と、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)1.0重量部を含むウレタンプレポリマー組成物(HC21)に、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)を、イソシアネート(J1)のMNCO/ウレタンプレポリマー(EC21)のMOH=1.3で含むウレタン形成性組成物(KC14)である。当該溶液(KC14)中の(HC21)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC14)は、ポリオール(B)を含まずにアクリル残基を有する(BC1)を含むため、析出成分が発生して塗工が困難であり、物性評価が可能なポリウレタン(LC22)の製造は困難であった。
比較例23は、ポリアルキレンオキシド(A2)70重量部とポリオール(B2)30重量部、ポリアルキレンオキシド(C2)0.5重量部、金属を含むウレタン化触媒(G1)0.005重量部、ケトエノール互変異性を有する活性水素化合物(F1)1.0重量部、有機溶媒として酢酸エチル、硬化剤としてイソシアネート化合物(J1)をイソシアネート(J1)のMNCO/(A2)と(B2)と(C2)のMOH=1.3で含み、(A2)と(B2)と(C2)とイソシアネート化合物(D)でウレタンプレポリマー(E)を形成していない組成物(KC15)である。当該溶液(KC15)中の(A2)と(B2)と(C2)と(G1)と(F1)と(J1)を合わせた濃度は80%である。
当該組成物(KC15)は、ウレタンプレポリマー(E)を含まないため、低粘度で塗工性が悪く、可使時間は長いものの、反応に時間を要して硬化性が悪いものであり、得たポリウレタン(LC23)は引張破断強度が小さく、実製造ならびに使用は困難なものであった。
実施例1~実施例15で例示したウレタンプレポリマー組成物(H)は、何れもウレタンプレポリマー(E)が、重量平均分子量が3000以上であって、炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基、0.010meq/g以下の不飽和基、エチレンオキシド残基、を含み、更に、テトラメチレン-エーテル残基、炭素数6以上の糖残基、芳香族アミン残基の何れかの残基を構成成分として含むものであった。
以上、実施例で示したように、本開発におけるウレタンプレポリマー組成物は、塗工機などで塗工する際の可使時間が顕著に長くかつ塗工性に優れ、ウレタン化触媒を多量に用いることなく、イソシアネート化合物との反応に伴う硬化(固化)を進めることでの高い生産性を有し、更に、イソシアネート化合物との反応で引張破断強度の大きなポリウレタンを得ることができる。その特徴を活かすことにより、ウレタンプレポリマー組成物より得られるポリウレタンは、シーリング材、塗料、粘着剤、接着剤等に好適に使用できることが示された。