以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のウレタンプレポリマー組成物は、活性水素含有化合物(A)とポリイソシアネート(B)との反応生成物であるNCO基末端ウレタンプレポリマーと、充填剤(C)及び添加剤(D)からなる群より選ばれる1種又は2種以上とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
活性水素含有化合物(A)が、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)及び3官能以上のポリアルキレンオキシド(A2)からなる群より選ばれる一種又は二種以上のポリアルキレンオキシドを含み、
2官能のポリアルキレンオキシド(A1)と3官能以上のポリアルキレンオキシド(A2)のうち多い方の成分が、下記(イ)から(ニ)の全てを満たし、かつ
NCO基末端ウレタンプレポリマーが下記(ホ)を満たすことをその特徴とする。
(イ)不飽和度が0.010meq/g以下である。
(ロ)水酸基価(OHV)から算出された数平均分子量が1000以上である。
(ハ)ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィーにより(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.039以下である。
(ニ)ゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)と水酸基価(OHV)から算出された数平均分子量(M)とが、上記数式(1)を満たす。
(ホ)ポリイソシアネート(B)の有するNCO基総量と活性水素含有化合物(A)の有するOH基総量の比率(NCO/OH)が1.31〜5.00(モル比)である。
<ポリアルキレンオキシドの化学組成>
本発明において、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)としては、特に限定するものではないが、例えば、活性水素含有化合物R[−H]mを一種又は二種以上用い、炭素数が2〜12の3員環のアルキレンオキシドを一種又は二種以上付加したアルキレンオキシド付加物であることが好ましく、また、下記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキシドであることが好ましい。
[上記一般式(1)中、Rは、活性水素含有化合物(R[−H]m)からm個の活性水素を除いたm価の基であり、Zは炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、Aは炭素数3のアルキレン基である。複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。mは2、pは0又は1〜500の整数、qは1〜1000の整数、rは0又は1〜500の整数である。]
また、本発明において、3官能のポリアルキレンオキシド(A2)としては、特に限定するものではないが、例えば、活性水素含有化合物R[−H]mを一種又は二種以上用い、炭素数が2〜12の3員環のアルキレンオキシドを一種又は二種以上付加したアルキレンオキシド付加物であることが好ましく、また、上記一般式(1)において、Rが、活性水素含有化合物(R[−H]m)からm個の活性水素を除いたm価の基であり、Zは炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、Aは炭素数3のアルキレン基であり(複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい)、mは3〜100の整数、pは0又は1〜500の整数、qは1〜1000の整数、rは0又は1〜500の整数であるポリアルキレンオキシドであることが好ましい。
これらのうち、オキシアルキレン基を有し、ポリマー末端、分岐鎖末端といった任意の箇所に分子内に1分子当たり活性水素基を少なくとも1個有している化合物が好ましい。
活性水素含有化合物(R[−H]m)としては、活性水素基を有していれば特に限定されないが、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシアルキレンジオール等の2官能のジオール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等のビスフェノール類、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアミン類等の2個の活性水素基を有する化合物が挙げられる。活性水素含有化合物(R[−H]m)としては、これらの中からから選ばれる一種又は二種以上の混合物を用いることができる。
活性水素含有化合物(R[−H]m)に付加させるアルキレンオキシドとしては、分子内にエポキシ環を1個以上有している化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の炭素数2〜12のアルキレンオキシドが挙げられ、一種又は二種以上のアルキレンオキシドを用いてもよい。
これらのなかでも、工業的に入手が容易なプロピレンオキシド、エチレンオキシド等の炭素数が2〜3のアルキレンオキシドを含む一種又は二種以上のアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドを含む一種又は二種以上のアルキレンオキシドが更に好ましい。
上記一般式(1)中のZOとしては、粘度が低くなりやすく良好なウレタン成形性を示しやすいため、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の炭素数2〜12のアルキレンオキシド由来のポリエーテル構造を有することが好ましい。更に好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドから選ばれる一種又は二種以上のアルキレンオキシド由来のポリエーテル構造であり、最も好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドから選ばれる一種のポリエーテル構造である。
上記一般式(1)中のpは0又は1〜500の整数であり、好ましくはp=0又は1〜100の整数であり、更に好ましくはp=0である。
上記一般式(1)中のZとしては、例えば、下記一般式(2)で示される構造が挙げられる。
[上記一般式(2)中、R2、R3、R4、R5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキルを表す。但し、R2〜R5の合計の炭素数が10を超えることはない。また、R2〜R5のいずれか2つが結合してシクロアルキル基を形成してもよい。]
また、上記一般式(1)中のAOとしては、粘度が低くなりやすくポリウレタンとした際に良好な機械物性を示しやすいため、プロピレンオキシド等の炭素数3のアルキレンオキシド由来のポリエーテル構造であることが好ましい。
上記一般式(1)中のAとしては、例えば、下記式で示される構造が挙げられる。
上記一般式(1)中のqは1〜1000の整数であり、好ましくはq=10〜500の整数であり、更に好ましくはq=15〜250の整数である。
上記一般式(1)中のrは、0又は1〜500の整数である。低温で固化しにくくハンドリング性に優れやすいため、好ましくはr=0又は1〜90の整数であり、更に好ましくはr=0である。
上記一般式(1)中のpとqとrの関係としては、粘度が低くなりやすくポリウレタンとした際に良好な機械物性を示しやすいため、p+q>r(但し、p+qが10〜1000、qが10〜1000、rが0又は1〜90)を満たすことが好ましい。更に好ましくは、p+q>5r(但しp+qが30〜600、qが30〜500、rが0又は1〜90)を満たすことであり、最も好ましくはp+q>10r(但しp+qが50〜600、qが50〜500、rが0又は1〜90)を満たすことである。
ポリアルキレンオキシド(A1)としては、上記一般式(1)中のmは2である。ポリアルキレンオキシド(A2)としては、上記一般式(1)中のmは3〜100の範囲であれば特に限定されないが、3〜5の範囲であることが好ましい。
ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)とを組み合せて使用する場合、分子量分布が狭くなりやすくハンドリング性に優れやすいため、好ましくはポリアルキレンオキシド(A)がm=2のジオール、ポリアルキレンオキシド(B)がm=3のトリオールの組み合わせである。
また、ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)とを組み合せて使用する場合、ポリアルキレンオキシド(A)、ポリアルキレンオキシド(B)、それぞれが上記構造を有する方がより好ましいが、含有量の多い方のポリアルキレンオキシドの分子構造が上記構造を有していれば好適に使用できる。
<ポリアルキレンオキシドの分子量分布>
活性水素含有化合物(A)として、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)を単独で使用する場合、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めたその分子量分布(Mw/Mn)は1.039以下である。好ましくは1.003〜1.029の範囲であり、更に好ましくは1.005〜1.019の範囲であり、最も好ましくは1.006〜1.016の範囲である。
活性水素含有化合物(A)として、3官能のポリアルキレンオキシド(A2)を単独で使用する場合、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めたその分子量分布(Mw/Mn)としては、特に限定されないが1.069以下であることが好ましい。さらに好ましくは1.003〜1.039の範囲であり、更に好ましくは1.005〜1.019の範囲である。
さらに、活性水素含有化合物(A)として、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)と3官能以上のポリアルキレンオキシド(A2)とを併用する場合、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた、ポリアルキレンオキシド(A1)、ポリアルキレンオキシド(A2)それぞれの分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内であることがより好ましいが、含有量の多い方のポリアルキレンオキシドの分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内であれば好適に使用できる。
この分子量分布(Mw/Mn)が1.039を超えると、高分子量成分の増加及びモノオールの減少が要因と考えられる粘度の上昇に加え、低分子量成分の影響と考えられる硬化性の悪化を引き起こしやすく、それを用いた硬化性樹脂組成物をシーリング材用途に用いた際に気泡が抜けにくいため施工性が悪く生産性に劣り、硬化の際に発生した気泡も粘調なため抜けず、耐発泡性に劣りやすい。
なかでもポリアルキレンオキシド(A1)の分子量分布(Mw/Mn)が1.039を超える場合、又は後述する不飽和度が0.029meq/gを超える場合には、バルクでのハンドリング性が悪く、更には充填材や添加剤の混和性も悪化し、反応や組成が不均一となる場合や反応が不均一となり、そのような硬化性樹脂組成物の硬化物は、低分子量成分等により下地への汚染を引き起こしやすいため、ポリアルキレンオキシド(A2)100重量部に対してポリアルキレンオキシド(A1)が20重量部未満の範囲であることが好ましく、10重量部未満の範囲であることがさらに好ましい。
なお、ポリアルキレンオキシド(A1)の分子量分布(Mw/Mn)が1.029以下になると、顕著な粘度低減効果が得られ、バルクでのハンドリング性が向上し、添加剤の混和性も良好であり、反応や組成が均一となりやすい。
活性水素含有化合物(A)として、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)又は3官能以上のポリアルキレンオキシド(A2)を単独で使用する場合、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めたその分子量分布(Mw/Mn)と、後述する水酸基価(OHV)より算出した数平均分子量(M)との関係は上記した数式(1)を満たす。
好ましくは下記数式(2)を満たすことであり、
さらに好ましくは下記数式(3)を満たすことである。
また、活性水素含有化合物(A)として、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)と3官能以上のポリアルキレンオキシド(A2)とを併用する場合、ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)それぞれが上記数式を満たすことが好ましいが、含有量の多い方のポリアルキレンオキシドが上記数式を満たすのであれば好適に使用できる。
ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)は、後述する理由から、分離カラムに粒径3μmの充填剤を充填したカラム4本を直列接続し、レファレンス側に抵抗管を接続、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いた条件で測定して分析した分子量分布であることが好ましく、標準ポリスチレンを用いた3次近似曲線検量線を用いて算出した分子量分布(Mw/Mn)であることが望ましい。
分離カラムの本数としては、分離能(理論段数)が高くベースラインの揺らぎや液中の不純物の微小ピークにより分子量分布が広がることを抑制しやすいため、好ましくは3〜5本であり、特に好ましく4本である。
分離カラムの充填剤の粒径は、測定時間が適正で、ベースラインの揺らぎや液中の不純物の微小ピークにより分子量分布が広がることを抑制しやすいため、好ましくは1〜4.5μmであり、特に好ましくは3μmである。
分離カラムの排除限界は好ましくは5万〜300万であり、更に好ましくは6万〜40万である。分離カラムの内径は好ましくは5〜7.5mmφであり、更に好ましくは6mmφである。分離カラムの長さ、好ましくは10〜25cmであり、更に好ましくは15cmである。
このような分離カラムとしては、例えば、東ソー社製TskgelSuperH4000、Tskgel SuperH3000等が挙げられる。最も好ましい分離カラムの構成は、東ソー製TskgelSuperH4000×2本とTskgel SuperH3000×2本との計4本を直列接続する構成である。
分離カラム側の流速は好ましくは0.5〜0.9ml/minであり、更に好ましくは0.6ml/minである。カラム温度は好ましくは30℃〜50℃であり、更に好ましくは40℃である。
また、レファレンス側にはポンプの脈動により分子量分布が広がることを抑制しやすいため、抵抗管2本〜6本を接続することが好ましく、更に好ましくは抵抗管5本の接続であり、最も好ましくは抵抗管5本と分離カラム1本の接続である。
抵抗管としては長さが2m、内径が0.1mmφのもの等が好適なものとして挙げられる。
レファレンス側の流速は、ポンプの脈動周期が短くベースラインの揺らぎを抑制しやすくポンプの脈動により分子量分布が広がることを抑制しやすいため、抵抗管5本の状態で好ましくは0.1〜0.6ml/minであり、更に好ましくは0.15ml/minである。
3次近似曲線検量線の標準物質に用いるポリスチレンは、好ましくは6点〜10点であり、更に好ましくは8点である。分子量既知の標準物質に用いるポリスチレンの分子量としては好ましくは300〜3000000の範囲からの選択であり、更に好ましくは450〜1100000の範囲からの選択である。具体的には、例えば500、1010、2630、10200、37900、96400、427000、1090000の8点選択等が挙げられ、標準物質の測定は500、2630、37900、427000の4点と1010、10200、96400、1090000の4点等2回に分けて測定してもよい。
展開溶媒としては、好ましくはジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランであり、更に好ましくは和光純薬社製のBHT安定剤含有特級テトラヒドロフランである。
サンプル濃度としては好ましくは0.5〜2mg/mlであり、更に好ましくは1mg/mlである。サンプル溶液の注入量はピークがブロードになりにくく分子量分布が広がりにくい10〜90μlが好ましく、更に好ましくは20μlである。
ゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法における低分子量成分の面積比率は、ピーク全体の4.5%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましい。低分子量成分の面積比率減少に伴い粘度は上昇しやすいが、ポリウレタンエラストマーとした際に移行成分が少なくハンドリング性や機械物性に優れやすいため好ましい。
本発明において、ポリアルキレンオキシド(A1)、(A2)のゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法における低分子量成分の面積比率は、ピーク全体の4.5%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。低分子量成分の面積比率減少に伴い粘度は上昇しやすいが、ポリウレタンとした際に移行成分が少なくハンドリング性や機械物性に優れやすいため好ましい。
ここで、ゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法における「低分子量成分の面積比率」とは、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定する際に算出される数平均分子量(Mn)の1/3以下の数平均分子量の低分子量成分を指し、ベースラインと分子量分布を測定する際に算出される数平均分子量(Mn)の1/3の点でピーク分割して低分子量成分の面積%を求めることができる。
<ポリアルキレンオキシドの性状>
活性水素含有化合物(A)として、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)又は3官能以上のポリアルキレンオキシド(A2)を単独で使用する場合、その不飽和度は、0.010meq/g以下である。好ましくは、0.002〜0.009meq/gの範囲であり、更に好ましくは0.004〜0.008meq/gの範囲である。
また、活性水素含有化合物(A)として、2官能のポリアルキレンオキシド(A1)と3官能以上のポリアルキレンオキシド(A2)とを併用する場合、ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)それぞれの不飽和度が上記範囲内であることが好ましいが、含有量の多い方のポリアルキレンオキシドの不飽和度が上記範囲内であれば好適に使用できる。
0.010meq/gを超える不飽和度が高いポリアルキレンオキシドを用いて得られるポリウレタンは、良好に硬化せず移行成分が多く発生して耐汚染性に劣り、硬化に時間を要して施工性の悪化により使用が困難である。更には低分子量のモノオールを多く副生し、数平均分子量低下の要因となるためポリアルキレンオキシドの高分子量化が困難となるとともに、分子量分布の狭いポリアルキレンオキシドを得ること自体も困難となる。
本発明において、ポリアルキレンオキシドの「不飽和度(meq/g)」とは、ポリアルキレンオキシドの1g当たりに含まれる不飽和基の総量のことであり、JIS K1557 6.7に規定された方法に準拠して測定した値である。ポリアルキレンオキシドの不飽和度はポリアルキレンオキシド中に存在するモノオール量の指標となり、増加することで粘度は低下するが、ポリアルキレンオキシドの平均官能基数が低下することがあり、ポリウレタン原料として用いた際に停止反応となり、ポリウレタンの分子量低下や未架橋の低分子量成分の増加につながったり、ポリウレタン中でダングリング鎖として作用することで硬化性が低下することがある。
本発明において、ポリアルキレンオキシド(A1)又はポリアルキレンオキシド(A2)のうち多い方の成分のOHVから算出した数平均分子量(M)は1000以上である。
ポリアルキレンオキシド(A1)又はポリアルキレンオキシド(A2)のうち多い方の成分のOHVから算出した数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは4000〜30000の範囲であり、さらに好ましくは、7000〜30000の範囲である。
ポリアルキレンオキシド(A1)又はポリアルキレンオキシド(A2)のうち多い方の成分の数平均分子量(M)が1000未満では、不飽和度や分子量分布の差異が小さくなり、硬化性樹脂組成物の施工性改善、やその硬化物の汚染性改善の顕著な効果が得られない。
一方、ポリアルキレンオキシド(A2)のOHVから算出した数平均分子量は特に限定されないが、2000〜30000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、4000〜30000の範囲である。シーリング材に用いる場合、ポリアルキレンオキシド(B)の数平均分子量は4000〜30000の範囲が好ましく、更に好ましくは5000〜30000の範囲である。
本発明において、ポリアルキレンオキシドのOHVから算出した数平均分子量(M)は、ポリアルキレンオキシドの水酸基価(OHV、単位はmgKOH/g)に基づき、下記数式(4)を用いて計算した値をいう。
ここで、「OHV」は、JIS K1557 6.4に準拠して測定した値である。また、「1分子当たりの水酸基数」とは、ポリアルキレンオキシド(A)を製造するときに原料として用いた開始剤である活性水素含有化合物1分子あたりの活性水素原子の数をいう。市販品で開始剤の活性水素原子の数を特定できない場合、公称官能基数を用いる。
本発明において、活性水素含有化合物(A)として用いるポリアルキレンオキシド(A1)は、室温環境下で液体であり、非晶性の化合物が好ましい。室温環境下で液体で非晶性であれば、加熱をせず使用しやすい等成形性に優れやすい。
また、ポリアルキレンオキシド(A1)のガラス転移温度はハンドリング性に優れやすく得られる硬化性樹脂組成物の低温特性が良好となりやすいことから−30℃以下が好ましい。
活性水素含有化合物(A)として用いるポリアルキレンオキシド(A)の25℃条件における粘度は、特に限定されず、用途により適宜選択されるが、好ましくは0.1〜2000Pa・s(25℃)の範囲であり、更に好ましくは0.2〜200Pa・s(25℃)の範囲である。ポリアルキレンオキシド(A)の粘度が0.1〜2000Pa・s(25℃)の範囲であれば成形しやすく、その硬化物の物性を制御しやすい。
本発明において、25℃条件における「粘度」とは、JIS K1557−5 6.2.3項のコーンプレート回転粘度計で測定した値を指す。具体的には、せん断速度0.1(1/s)条件での粘度を指すが、粘度が測定範囲に入らない場合、測定範囲に入るようせん断速度範囲を0.01〜10(1/s)の範囲で調整しても良い。
本発明において、活性水素含有化合物(A1)として、ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)とを併用する場合、それらの添加量としては、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば、特に限定されないが、好ましくはポリアルキレンオキシド(A1)100重量部に対して0.5〜250重量部の範囲であり、さらに好ましくは5〜130重量部の範囲である。なかでもポリアルキレンオキシド(A2)の不飽和度が0.029meq/gを超える場合、又は分子量分布が1.069を超える場合、ポリアルキレンオキシド(A1)100重量部に対してポリアルキレンオキシド(A2)が20重量部未満の範囲であることが好ましく、10重量部未満の範囲がさらに好ましい。
活性水素含有化合物(A)として、ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)とを併用する場合は、ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)を合わせたポリアルキレンオキシド混合物の平均官能基数faveが2.01〜3.00の範囲であることが好ましい。平均官能基数faveの値が高すぎると、シーリング材の柔軟性が低下して、下地への追従性が悪化しやすいため、2.01〜2.70の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2.01〜2.49の範囲である。
本発明において、ポリアルキレンオキシド(A1)とポリアルキレンオキシド(A2)を合わせたポリアルキレンオキシド混合物としての平均官能基数faveは、下記数式(5)より算出した値である。
ここで、fA1はポリアルキレンオキシド(A1)の平均官能基数、WA1はポリアルキレンオキシド(A1)の重量部、MA1はポリアルキレンオキシド(A1)の数平均分子量を表し、fA2はポリアルキレンオキシド(A2)の平均官能基数、WA2はアルキレンオキシド(A2)の重量部、MA2はポリアルキレンオキシド(A2)の数平均分子量を表す。
なお本発明の平均官能基数は、副生したモノオールによる実質的な官能基数の低下は加味せず、2官能の開始剤を用いて得られるジオールは2、3官能の開始剤を用いて得られるトリオールは3として計算することができる。
また活性水素含有化合物(A)として、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、低分子量ジオールや低分子量ジアミンといった鎖延長剤等の、ポリアルキレンオキシド(A1)、(A2)以外のその他の活性水素含有化合物を含有しても良い。その他の活性水素含有化合物の含有量としては、ポリアルキレンオキシド(A1)、(A2)のうち、含有量が多い方のポリアルキレンオキシド100重量部に対して50重量部未満の範囲が好ましく、さらに好ましくは5重量部未満の範囲であり、最も好ましくは含まないことである。
<ポリアルキレンオキシドの製造>
本発明において、ポリアルキレンオキシド(A1)の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、活性水素含有化合物と塩基触媒、ルイス酸の存在下に、アルキレンオキシドの開環重合を行うことにより製造することができる。
例えば、活性水素含有化合物と塩基触媒を混合し、減圧処理して触媒活性種前駆体を調整する際に十分に水分や溶媒を除去すること、
更にルイス酸を混合し、減圧処理して触媒活性種を調整する際に十分に副生物を除去すること及び沸点が低い副生物となる特定のルイス酸を選定することで分子量分布を広げる要因となるルイス酸由来のポリアルキレンオキシドを抑制すること、
副反応が少ない塩基触媒と特定のルイス酸を組み合わせた触媒を用いてアルキレンオキシドを付加する製造プロセスを経ること、
水分値が100ppm以下と少ないアルキレンオキシドを用いること、
等により、製造することが好ましいが、特に限定されない。
また、ポリアルキレンオキシド(A2)の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法で製造することができる。例えば、3官能以上の開始剤にセシウム金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒、イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒、水酸化バリウム触媒等を用いて所定の分子量までアルキレンオキシドを付加する方法が挙げられる。
不飽和度が低く、分子量分布が狭い低粘度のポリアルキレンオキシド(A2)が得やすく、それを用いたウレタンプレポリマーを含有する硬化性樹脂組成物のハンドリング性の向上や得られるウレタン硬化物の耐汚染性が優れやすいため、活性水素含有化合物とイミノ基含有フォスファゼニウム塩等の塩基触媒、ルイス酸触媒の存在下に、アルキレンオキシドの開環重合を行うことにより製造することが好ましい。
塩基触媒として、特に限定するものではないが、アルキレンオキシドの適応範囲が広くて重合活性が高く、低不飽和度となりやすいため、塩基触媒とルイス酸とを併用した触媒系を用いることが好ましい。
ここで、ルイス酸としては、特に限定するものではないが、例えば、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ホウ素化合物等を挙げることができる。そして、これらの中でも、触媒性能に優れるアルキレンオキシド重合触媒となることから、有機アルミニウム、アルミノキサン、有機亜鉛が好ましく、更に好ましくは、有機アルミニウムである。
アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニルモノイソブチルアルミニウム、モノフェニルジイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム;メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチル−イソブチルアルミノキサン等のアルミノキサン;塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の無機アルミニウムを挙げることができる。
これらの中でも、触媒活性種調製の際の副生物の沸点が100℃以下と低くて除去しやすく、分子量分布を広げる要因となるルイス酸由来のポリアルキレンオキシドを抑制しやすいトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム等が好ましい。触媒活性種調製の際に副生する化合物はルイス酸の構造より判断でき、例えばトリメチルアルミニウムではアルミニウム上の置換基のメチル基にHが付加したメタン、トリイソブチルアルミニウムではアルミニウム上の置換基のイソブチル基にHが付加したイソブタン、トリイソプロポキシアルミニウムではイソプロポキシ基にHが付加したイソプロパノールである。
亜鉛化合物としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等の有機亜鉛;塩化亜鉛、酸化亜鉛等の無機亜鉛を挙げることができる。
ホウ素化合物としては、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロボラン等を挙げることができる。
塩基触媒としては特に限定されないが、P−N結合を有する塩基化合物が望ましい。さらに好ましくは、イミノ基及びP−N結合を有する塩基化合物であり、例えば下記一般式(3)で示されるイミノフォスファゼニウム塩化合物が挙げられる(例えば、特開2011−132179号公報参照)。
[上記一般式(3)中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、R1とR2が互いに結合して環構造を形成していても良いし、R1同士又はR2同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。X−は、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。]
塩基触媒とルイス酸との割合は、特に限定するものではなく、アルキレンオキシド重合触媒としての作用が発現する限りにおいて任意であるが、例えば塩基触媒:ルイス酸=1:0.002〜500(モル比)の範囲である。
本発明において用いられるポリアルキレンオキシドを製造する際の重合温度としては、特に限定されないが、ポリアルキレンオキシドが分解して分子量分布が広がりにくく触媒活性を発現しやすいため、70〜150℃の範囲が好ましく、更に好ましくは90〜110℃の範囲である。
本発明において用いられるポリアルキレンオキシドを製造する際の重合圧力は、特に限定されないが、0.05〜1.0MPaの範囲、好ましくは0.1〜0.6MPaの範囲である。
本発明において用いられるポリアルキレンオキシドを製造する際の撹拌速度としては、特に限定されず重合容器の形状や内容積、撹拌翼形状等によるが、内容積2Lの円筒型の重合容器でイカリ型の撹拌翼の場合、300rpm以上で十分に撹拌することが好ましい。
イミノフォスファゼニウム塩とルイス酸を組み合わせた触媒を用い、活性水素含有化合物にアルキレンオキシドを付加する場合、イミノフォスファゼニウム塩(その前駆体を含む)、ルイス酸、及び活性水素含有化合物を同時に混合し、加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法、これらのうちの1成分に他の2成分を混合し加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法、これらのうちの2成分に他の1成分を混合し加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法、これらのうちの2成分を混合し加熱・減圧処理等を行って触媒活性種前駆体を調製後、他の1成分を混合し更に加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法等の如何なる方法を用いても良い。これらのうち、副生物や不純物が除去されやすく狭い分子量分布のポリアルキレンオキシドを得やすいため、好ましくはイミノフォスファゼニウム塩と活性水素含有化合物とを混合した後に加熱・減圧処理を行って、その後にルイス酸を混合し更に加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製してアルキレンオキシドを付加する製造プロセスを経ることが好ましい。
その際の加熱・減圧処理の温度としては副生物や不純物が除去されやすく狭い分子量分布のポリアルキレンオキシドを得やすいため100℃以上が好ましく、更に好ましくは100〜130℃の範囲である。加熱・減圧処理の際の圧力としては、副生物や不純物が除去されやすく狭い分子量分布のポリアルキレンオキシドを得やすいため0.5kPa未満が好ましく、更に好ましくは0.001〜0.2kPaの範囲である。その際の加熱・減圧処理の時間としては、反応容器の形状等により異なるがイミノフォスファゼニウム塩及び又はその前駆体、ルイス酸、及び活性水素含有化合物を混合後2時間以上であることが好ましく、更に好ましくはイミノフォスファゼニウム塩及び又はその前駆体と活性水素含有化合物を混合後2時間以上の加熱・減圧留去に加え、ルイス酸混合後更に加熱・減圧留去を2時間以上行うことが好ましい。更に不純物除去のため低沸点の脱水溶媒を添加し、共沸操作を行って不純物を除去してもよい。
本発明において用いられるポリアルキレンオキシドとしては、特に限定するものではないが、触媒が残存すると粘度が上昇することがあるため、重合後に触媒を除去したものであることが好ましい。ポリアルキレンオキシドの触媒残渣量としては200ppm以下が好ましく、100ppm以下であることがさらに好ましい。ここで、触媒残渣量としては、触媒を2種類以上併用して用いる場合、合算した触媒残渣量を指す。
<ポリイソシアネート>
本発明において、ポリイソシアネート(B)としては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ペンタメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートー4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオールとの反応によるイソシアネート含有プレポリマー、及びこれらの二種以上の混合物等が例示される。更に、これらのイソシアネートの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)も包含される。
これらのなかでも、生産性が優れ、更には硬化性が優れる硬化性樹脂組成物を得やすいため、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ペンタメチレンジイソシアネート、これらのイソシアネート基含有プレポリマー、これらのイソシアネートの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)等が好ましい。
また柔軟性が優れることから、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、これらのイソシアネートの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)等が好適に使用できる。これらイソシアネートは一種又は二種以上混合して使用してもよい。
イソシアネート含有プレポリマーとしては、例えば、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、イソトリデカノール、ヘキシルデカノール、エチルヘキサノール、ブチルテトラグリコール等のモノオール、ポリオール、モノアミン又はポリアミン等と、対応するイソシアネートとの反応生成物が挙げられる。
ポリイソシアネート(B)の官能基数(1分子中のNCO官能基の数)としては特に限定されないが、2〜6官能であることが好ましく、さらに好ましくは2〜3官能である。
ポリイソシアネート(B)の添加量としては、ポリイソシアネート(B)の有するNCO基総量と活性水素含有化合物(A)の有するOH基総量の比率(NCO/OH比と記載)が1.31〜5.0(モル比)となる添加量の範囲であることが好ましい。シーリング材として、柔軟で下地への追従性が良くなりやすいため、1.31〜3.0の範囲であることがさらに好ましく、1.31〜2.3の範囲が特に好ましい。
このNCO/OH比が1.31未満では硬化性樹脂組成物が増粘してハンドリングできずシーリング材の用途での使用が困難な場合があり、特に1.0未満では硬化が不十分となるため、該用途への使用が困難となる場合がある。
ポリイソシアネート(B)の使用量としては、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば特に限定されないが、好ましくはポリアルキレンオキシド(A1)、(A2)のうち、含有量が多い方のポリアルキレンオキシド100重量部に対して0.5〜200重量部の範囲であり、更に好ましくは5〜70重量部の範囲であり、最も好ましくは10〜50重量部の範囲である。
<NCO基末端ウレタンプレポリマー>
本発明において、硬化性樹脂組成物に用いられるNCO基末端ウレタンプレポリマーとしては、例えば、上記した活性水素含有化合物(A)とポリイソシアネート(B)との反応生成物である、末端にNCO基を1つ以上有する化合物が挙げられる。その性状としては液状であることが好ましい。
本発明において、硬化性樹脂組成物中のNCO基末端ウレタンプレポリマーの含有量としては、特に限定するものではないが、硬化性樹脂組成物中の20〜99.9重量%の範囲であることが好ましく、20〜80重量%の範囲であることがさらに好ましく、25〜65重量%の範囲であることが最も好ましい。
本発明において、NCO基末端ウレタンプレポリマーの標準ポリスチレン換算の数平均分子量は、特に限定されないが、適度な粘度でハンドリング性が優れやすいため、1000〜100000の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは1000〜40000の範囲である。ここで、標準ポリスチレン換算の数平均分子量は、カラム温度40℃、流速1.0ml/min、溶媒THFの条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、標準ポリスチレンを用いた3次近似曲線検量線として算出することができる。
本発明において、NCO基末端ウレタンプレポリマーの粘度は特に限定されないが、施工性が良好となりやすいため、1000〜200000mPa.sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは3000〜100000mPa・sの範囲である。
本発明において、NCO基末端ウレタンプレポリマーの合成方法としては特に限定されず、例えば、上記した活性水素含有化合物(A)とポリイソシアネート(B)、及び後述する添加剤(C)の存在下、ウレタン化反応させる方法等が挙げられる。このため、得られたNCO基末端ウレタンプレポリマーを含む硬化性樹脂組成物は、添加剤(C)を含んでいてもよい。
ウレタンプレポリマーを合成する際の反応温度としては、特に限定されないが50℃〜130℃の範囲であることが好ましい。
<充填剤、添加剤>
本発明において用いられる硬化性樹脂組成物は、充填剤(C)及び添加剤(D)からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する。
充填剤(C)としては、特に限定されず、例えば、無機充填剤、有機充填剤、繊維状充填材等任意の充填剤を選択して使用することができる。
具体的には、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸等のシリカ、脂肪酸処理炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、カオリン、ゼオライト、ベントナイト、有機ベントナイト、アルミニウム、フリント粉末等の顔料、シラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂・塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル・ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂粉末、石綿、ガラス繊維、ガラスフィラメント等が挙げられる。このような充填材は、1種類を単独で又は2種類以上を混合して使用でき、また適宜の表面処理剤で表面処理しておいてもよい。
これらのなかでも、得られる硬化物の汚染性や弾性率、耐久性の点から、好ましくは無機充填材であり、具体的には、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸等のシリカ、脂肪酸処理炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、カオリン、ゼオライト、ベントナイト、有機ベントナイト、アルミニウム、フリント粉末等の顔料が好適な無機充填剤として例示される。
充填材を用いる場合のその含有量としては特に限定されないが、硬化物物性の観点から硬化性樹脂組成物中の0.1〜80重量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%の範囲である。
添加剤(D)としては、例えば、ウレタン化触媒、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、溶剤、レべリング材、チキソトロピー剤、整泡剤、消泡剤、難燃剤、発泡剤、離型剤、潜在性硬化剤、帯電防止剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの添加剤のうち、いずれか1種以上を含むことが好ましく、さらに好ましくはこれらの添加剤のうち、いずれかを2種以上を含むことである。
添加剤(D)は、用途や要求物性により適宜選択されるが、例えば、硬化物の長期の耐汚染性を保持しやすいことから、光安定剤、酸化防止剤が好ましく使用される。
酸化防止剤としては、特に限定はされず、例えば、チオエーテル系化合物、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系化合物等ポリマー鎖の酸化を抑制する効果がある化合物が挙げられ、商品名としてはチバ社製イルガノックスやアデカ社製アデカスタブ等である。
なかでも、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、ウレタンに対する酸化防止性を得やすいことから、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、チバ・ジャパン製IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081から選ばれる1種以上の酸化防止剤を用いることが特に好ましい。
光安定剤としては、特に限定はされないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、ベンゾエート系化合物等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等耐光性や耐候性等を付与する効果がある化合物が挙げられ、商品名としてはチバ・ジャパン製チヌビン等である。
なかでも、光安定剤としてはチヌビン234、チヌビン144、チヌビンC353、チヌビンB75から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。これら酸化防止剤、光安定剤を混合して用いることもできる。
また、高い硬化性を発現して施工性が良好になりやすいことからウレタン化触媒が好ましく使用される。
ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、及び2−エチルヘキサン酸錫等の有機錫化合物、鉄アセチルアセトナート、塩化鉄等の鉄化合物、オクチル酸鉛等の鉛化合物、オクチル酸ビスマス等のビスマス化合物、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン系触媒等が挙げられ、好ましくは有機錫化合物、オクチル酸鉛、オクチル酸ビスマスから選ばれる1種以上の触媒が好ましい。
また、柔軟性を発現して下地への追従性を高めるため可塑剤が好ましく使用される。
可塑剤としては、特に限定はされず、例えば、フタル酸エステル類、非芳香族二塩基酸エステル類、脂肪族エステル類、ポリアルキレングリコールのエステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、塩素化パラフィン類、炭化水素系油、プロセスオイル類、ポリエーテル類、エポキシ可塑剤類、ポリエステル系可塑剤類等が挙げられ、好ましくはフタル酸エステル類である。具体的には、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル、トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等が挙げられる。
このような可塑剤は、1種類を単独で又は2種類以上を混合して使用でき、またウレタンプレポリマーの製造時に配合しておいてもよい。
また、低粘度化して施工性が高まることから溶剤が好ましく使用される。
溶剤としては、希釈して硬化性樹脂組成物の粘度を下げ、作業性を向上させる目的で使用され、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピルエーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット等の石油系溶剤等が挙げられる。
なかでも、作業性の観点から、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ミネラルスピリット等が好ましい。
整泡剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系化合物が挙げられる。消泡剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系化合物が挙げられる。難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、トリスクロロプロピルホスフェート等のリン系化合物、塩素系化合物が挙げられる。離型剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系化合物が挙げられる。潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルジミン化合物、オキシム化合物、ケチミン、オキサゾリジン等が挙げられる。チキソトロピー剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸アミドやBYK410等のウレア誘導体が挙げられる。
添加剤(D)を用いる場合、その含有量としては、特に限定するものではないが、好ましくは添加剤の各成分が本発明の硬化性樹脂組成物の30重量%以下の範囲であり、更に好ましくは15重量%以下の範囲であり、最も好ましくは0.5重量%以下の範囲である。ウレタン化反応触媒を用いる場合、硬化性樹脂組成物の0.0001〜1重量%の範囲で用いることが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.1重量%の範囲である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、本趣旨を損なわない範囲で、NCO基末端ウレタンプレポリマー以外のイソシアネート化合物を含んでも良く、好ましくは硬化性樹脂用組成物中の30重量%未満の範囲であり、さらに好ましくは含まないことである。
本発明においては、添加剤(D)として、硬化性樹脂組成物中にウレタン化触媒を0.001〜0.1重量%、酸化防止剤を0.001〜0.5重量%、及びNCO基末端ウレタンプレポリマーを19〜98.5重量%、無機充填材を1〜80重量%を含むことが特に好ましい。
<ウレタンプレポリマー組成物>
本発明においてウレタンプレポリマー組成物は、液状又はペースト状であることが好ましい。
本発明においてウレタンプレポリマー組成物は、活性水素含有化合物(A)とポリイソシアネート(B)とを任意のタイミングでプレポリマー化し、任意のタイミングで充填剤(C)や添加剤(D)を混合して製造できる。例えば、活性水素含有化合物(A)とポリイソシアネート(B)とを混合・プレポリマー化して硬化性樹脂組成物を調製するプレポリマー法、活性水素含有化合物(A)、ポリイソシアネート(B)に加え更に硬化剤を混合して系内で硬化性樹脂組成物を調製しつつ硬化するワンショット法等が挙げられるが、施工性や物性の安定性の観点からプレポリマー法が好ましい。
具体的には、活性水素含有化合物(A)、ポリイソシアネート(B)、必要に応じて添加剤(D)としてウレタン化触媒存在下プレポリマー化して、さらに充填剤(C)や添加剤(D)を混合して硬化性樹脂組成物を調製する方法、活性水素含有化合物(A)、ポリイソシアネート(B)を充填剤(C)や添加剤(D)の存在下反応させることで、NCO基末端ウレタンプレポリマーを含有する硬化性樹脂組成物を調製する方法、活性水素含有化合物(A)、ポリイソシアネート(B)を混合し、プレポリマー化の途中で充填剤(C)や添加剤(D)を添加して反応を進行させる方法等が挙げられる。これらの添加する順番や方法は任意であり、特に限定されない。添加剤(C)は、マスターバッチにして使用してもよい。
ウレタンプレポリマー組成物に用いる活性水素含有化合物(A)、充填剤(C)、添加剤(D)は真空加熱等で脱水して使用することが好ましいが、作業性や硬化性の面で脱水せず使用してもよい。
ウレタンプレポリマー組成物の調製方法としては、例えば、均一に分散される様々な分散方法を用いることができる。攪拌機としては、汎用攪拌機、ディスパー分散機、ディゾルバー、ニーダー、ミキサー、ラボプラストミル、プラネタリーミキサー等を使用でき、充填材を用いる場合、ニーダー、ミキサー、ラボプラストミル、プラネタリーミキサー等で混合することが好ましい。撹拌混合は、必要に応じて窒素下で行ったり、加熱や減圧脱泡操作をしながら行ってもよい。
本発明のウレタンプレポリマー組成物は、耐汚染性の観点からシーリング材組成物として好適に使用できるが、特に限定されない。例えば、合成皮革形成性組成物や、弾性繊維形成性組成物など幅広く使用することができる。
<シーリング材組成物>
上記したウレタンプレポリマー組成物は種々の活性水素含有化合物との反応により、ウレタンプレポリマー組成物の1液、又は硬化剤との2液以上からなるシーリング材を形成することができる。
1液型としては、空気中の湿気との反応により硬化させる1液湿気硬化型、潜在性硬化剤より得られる活性水素含有化合物により硬化させる1液潜在性硬化剤型(1.5液型と称されることもある。)等が挙げられ、2液以上では本発明の硬化性樹脂を含む主剤と硬化剤やその他副資材を混合して硬化させる2液硬化型が挙げられ、用途や要求特性により選択して何れも好適に使用できる。
本発明のシーリング材組成物は、均一な組成を形成して硬化し耐発泡性に優れやすいため、1液型が好ましい。
ここで、活性水素含有化合物としては、上記した空気中の湿気、硬化剤、潜在性硬化剤の脱保護体等が挙げられる。
硬化剤としては、活性水素基を1つ以上有する化合物を1種以上含んでいれば良く、特に限定されない。例えば、水、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン等のジオール類、ポリプロピレントリオール、ポリエチレンプロピレントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、トリエタノールアミン等のトリオール類、ポリプロピレンテトラオール、ポリエチレンプロピレンテトラオール、ヒマシ油やシュークローズ、ソルビトール等の4官能以上のポリオール類、3,3’−ジクロロ−4,4‘−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、アニリン等で変性した変性MOCA等の変性ポリアミン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、等の芳香族アミン、エチレンジアミン等の脂肪族アミン、ジェファミンED等のポリアミン、エタノールアミンやジエタノールアミン等のアミノアルコール、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。硬化剤併用系としてはポリアルキレンオキシドに芳香族アミンを混合したMOCA−ポリオール併用硬化剤等が挙げられる。
なかでも、十分な硬化性と適度な可使時間(ポットライフ)を発現しやすく、得られるウレタン硬化物の機械物性や耐久性を発現しやすいため、ポリプロピレンポリオール、ポリエチレンプロピレンポリオール等のポリアルキレンオキシド、3,3’−ジクロロ−4,4‘−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、アニリン等で変性した変性MOCAやトリレンジイソシアネートで変性したMOCA等の変性ポリアミン、メタキシリレンジアミン、トルエンジアミン、MOCA−ポリオール併用硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも一種以上であることが好ましい。
2液硬化型のシーリング材組成物を製造する場合、上記硬化剤に充填剤(C)や添加剤(D)を加えた硬化剤液として用いることで、主剤と硬化剤液の添加体積比1:0.2〜3の範囲でコントロールしやすく作業ミスの低減や施工性が向上して組成のバラつきが小さくなるため、低汚染性の2液硬化型のシーリング材組成物を得やすくなる。
硬化剤にポリプロピレンポリオール、ポリエチレンプロピレンポリオール等のポリアルキレンオキシドを用いる場合、とくに限定されないが、顕著に耐汚染性が良好なウレタン樹脂を得やすいため、ポリアルキレンオキシドの不飽和度が0.010meq/g以下で分子量が500〜10000の範囲、分子量分布が1.039以下の範囲であり、塩基触媒とルイス酸触媒を併用して合成した2〜4官能のポリアルキレンオキシドであることが好ましい。
硬化剤には必要に応じて、湿潤分散剤や溶剤、レベリング材、沈降防止剤、酸化防止剤、光安定剤、充填材、可塑剤を含むことができる。
硬化剤の添加量としては、硬化性樹脂組成物を含む主剤に含まれるNCO基と硬化剤に含まれる活性水素基との当量比(NCO/RH)が0.7〜2.0となる範囲で添加する事が好ましい。さらに好ましくはNCO/RHが1.0〜1.5となる範囲で添加することである。硬化剤の添加重量部としては、施工性が優れやすいため、硬化性樹脂組成物を含む主剤100部に対して20〜300重量部の範囲であることが好ましい。
本発明のシーリング材組成物を用いて、ヘラ、クシ、ローラー、コテ、レーキ等での塗工、シーリングガンでの押出やスプレー等、手塗り塗工や機械塗工により任意の厚みで塗膜やフィルムシート、厚物等任意の形状とすることができる。またダレ止め性の有する化合物を配合して立面、壁面、局面、窪地等をローラー、リシンガン、エアレスガン等で塗工して塗膜や硬化物を形成する事もできる。
本発明のシーリング材組成物は、硬化性に優れやすいことから厚みのある形状、物性に優れることから低厚みの形状と幅広い形状とすることができる。例えば、硬化剤の有無に係らず低厚み〜高厚みまで硬化することができるため、10mm以下の厚みの形状とする場合に好適に使用でき、5mm厚み以下の形状とする場合に特に好適に使用できる。微硬化後に重ねてさらに高厚みとしても良い。シーリング材や床材・塗膜防水材に用いる場合、1〜10mm厚みとすることが好ましく、更に好ましくは2〜4mm厚みである。
<シーリング材>
本発明のシーリング材組成物の硬化物であるシーリング材は、耐汚染性に優れ、1液湿気硬化型、2液硬化型、1.5液型何れも好適に使用できる。
本発明のシーリング材の用途としては、特に限定するものではないが、例えば、土木・建築用シーリング材、ダイレクトグレーチングやボディーシーラー等の車両用シーリング材、電気電子用のポッティング材、医療用ポッティング剤、サイディングの目地コーキング等が挙げられる。
本発明のシーリング材の施工方法としては、通常シーリングガンに充填し、必要に応じて洗浄やプライマーを塗布・乾燥した下地へ直接塗布して、静置して硬化させる方法等が挙げられる。自動車用途では必要に応じてプライマーを塗布・乾燥した鋼板等の基材に必要な個所へ直接押出、ガラス等を張り合わせて基材や空気中の湿気により硬化させる方法等が挙げられる。建築用途では、通常接着面の清掃を行い、バックアップ材又はボンドブレーカーを装てん。目地の周りにマスキングテープを張り、その後施工箇所にプライマーを塗布する前処理を行う。その後、目地等の目的箇所へシーリングガンで充填し、ヘラ仕上げを行うことで施工し、清掃、養生する工程が取られる。
その際に、硬化性樹脂組成物が粘調であると、目地等への充填作業で押出に時間を要し、施工性が悪くなりやすいため、カートリッジ押出し時間は5秒以内で完了できることが好ましく、4秒以内であることがさらに好ましい。シーリング材が粘調すぎると周囲への付着物の清掃に時間を要することやヘラ仕上げの際のヘラへの硬化性樹脂組成物の付着により、施工・成形が困難となる場合があり、通常の施工法であるヘラやコテで施工できる程度の粘調性であり、ハンドリング性を有する組成物であることが好ましい。
2液型では、硬化性樹脂組成物を含む主剤液と硬化剤液を混合したものを必要に応じて洗浄やプライマーを塗布・乾燥した下地へ直接塗布して、静置して硬化させる方法や必要に応じて洗浄やプライマーを塗布・乾燥した下地へ機械塗工で混合しながら直接塗布して、静置して硬化させる方法等が挙げられる。
以下、本発明を、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で使用した原料、及び評価方法は以下に示すとおりである。
(原料)
<ポリオール>
実施例又は比較例で用いたポリオールの性状を表1、表2に併せて示す。
ポリオール(A1)〜(A3):イミノ基含有フォスファゼニウム塩(IPZ)触媒とトリイソプロポキシアルミニウムを併用して脱水・脱溶媒を十分に行い、2官能分子量400のポリオキシプロピレングリコールに十分に脱水したプロピレンオキシドを付加した2官能ポリアルキレンオキシド。
ポリオール(A4):市販の汎用ポリオキシプロピレングリコール(三洋化成社製PP−2000)。
ポリオール(A5):市販の汎用ポリオキシプロピレングリコール(三洋化成社製PP−4000)。
ポリオール(A6):複合金属シアン化物錯体(DMC)触媒を用いて、2官能分子量400のポリオキシプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加したポリアルキレンオキシド。
ポリオール(A7):市販のポリテトラメチレングリコール(三菱化学社製PTMG2000)。
ポリオール(B1)、(B2):イミノ基含有フォスファゼニウム塩(IPZ)触媒とトリイソプロポキシアルミニウムを併用して脱水・脱溶媒を十分に行い、3官能分子量400のポリオキシプロピレンポリオールに十分に脱水したプロピレンオキシドを付加した3官能ポリアルキレンオキシド。
ポリオール(B3):イミノ基含有フォスファゼニウム塩(IPZ)触媒のみを用い、常法により、3官能分子量400のポリオキシプロピレンポリオールにプロピレンオキシドを付加した3官能ポリアルキレンオキシド。
なお、上記ポリオールは使用前に加熱・真空脱水し使用した。市販品以外は、常法により触媒を除去し使用した。
ポリオール(A3)は不飽和度と分子量分布が狭く、ポリオール(A6)と比較して低粘度であった。
ポリオール(A1)、(A2)、(B1)、(B2)は、不飽和度と分子量分布が狭いものであった。一方、ポリオール(A4)、(A5)は不飽和度が高かった。
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネート(C1):4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI、東ソー社製ミリオネートMTL)。
ポリイソシアネート(C2):HDIイソシアヌレート(東ソー社製コロネートHX)。
これらを精製することなくそのまま使用した。
<充填材>
充填材(D1):重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製ホワイトンSB)。
充填材(D2):酸化チタン(石原産業社製タイペークR820)。
上記市販品を使用前に加熱・真空脱水し使用した。
<添加剤>
添加剤(E1):ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製Irganox1010)
添加剤(E2):オクチル酸ビスマス(日本化学産業社製プキャット25)
添加剤(E3):ジオクチルフタレート(大八化学社製DOP)
上記市販品をそのまま使用した。
(硬化性樹脂組成物の評価方法)
<水酸基価、数平均分子量>
ポリアルキレンオキシドの水酸基価(OHV)はJIS−K1557−1の方法に従い、測定した。また、ポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、ポリアルキレンオキシドの水酸基価に基づき、上記数式(4)を用いて計算した値である。
<不飽和度>
JIS−K1557−6の方法に従い、測定した。
<分子量分布(Mw/Mn)>
サンプル瓶へポリオール10mgとTHF10mlを添加し、1終夜静置することで溶解し、PTFEカードリッジフィルター(0.5μm)でろ過することでサンプルを得た。検出器としてRI検出器RI8020、測定用カラムとして分離カラムに粒径3μmの充填剤を充填した東ソー製TskgelSuperH4000×2本及びTskgel SuperH3000×2本の計4本を直列接続し、レファレンス側は抵抗管×5本を接続、展開溶媒に和光社製BHT安定剤含有の特級テトラヒドロフランを用い、分離カラム側の流速0.6ml/min、レファレンス側の流量0.15ml/min、カラム温度40℃の条件で分析した。分子量既知の東ソー社製標準ポリスチレン8点を用いた3次近似曲線を検量線として、分子量分布(Mw/Mn)の解析を行った。測定装置には東ソー製HLC−8320GPC、解析には東ソー製HLC−8320GPC−ECOSEC−WorkStationを用いた。
<施工性>
硬化性樹脂組成物を目的箇所への充填後のヘラ仕上げの施工性を以下のとおり評価した。
○:室温下でヘラやコテ等での塗工・引き伸ばし操作が可能なもの
×:粘調すぎて施工が困難なもの
なお、評価はウレタン硬化物を作成する際の注型、ヘラでの引き伸ばし操作により判断した。
<押出性>
JIS A−1439−5.14試験用カートリッジにより押出試験に準拠して行い、硬化性樹脂組成物を調整して二時間後に硬化性樹脂組成物を充填し、市販のシーリングガンを用いて硬化性樹脂組成物の押し出しに要する時間を測定した。
○:4秒以内の時間で押出せるもの
×:押出に4秒以上を要するもの
<硬化性>
厚さ約2mmの金属製モールド中で硬化性樹脂組成物を硬化するのに要する時間を以下のとおり評価した。硬化中の硬化性樹脂組成物を経時的に採取して、ジブチルアミンを用いた逆滴定によりNCO基の初期の含量に対して転化率が95%に達する時間を以下のとおり評価した。
○:6時間未満の場合
△:6時間以上12時間未満の場合
×:12時間以上を要する場合
<発泡性>
厚さ約2mmの金属製モールドで硬化性樹脂組成物を硬化した際の硬化物の外観を目視評価した。
○:目視上均一な表面外観
△:硬化物の表面の一部に気泡が残存
×:硬化物の一面に気泡が残存
<基材の汚染性>
硬化性樹脂組成物を硬化し、2週間後に剥離した後の金属製モールドへの汚染性を基材の汚染性の指標として評価した。珪砂7号を金属製モールド上に散布して1分静置し、逆さまにしても残存する付着物の状況を観察した。評価の基準は以下のとおり評価した。
○:珪砂の付着が見られない(表面積の5%未満)
△:珪砂の付着が僅かに見られ、叩くことで除去可能(表面積の5%未満の残存)
×:珪砂の付着が見られ、叩いても表面に残存(表面積の5%以上の残存)
基材の汚染性は、○を合格、△、×を不合格とし、不合格のものは施工すると周囲を汚染する懸念があるため、シーリング材や弾性接着剤等の用途としての使用が困難と判断した。
<硬化性樹脂組成物、及びその硬化物の製造>
実施例又は比較例で用いたウレタンプレポリマーの性状を表3、表4に併せて示す。
実施例1.
撹拌翼を付した4つ口のセパラブルフラスコにポリオール(A2)とポリオール(B1)を重量比で80:20となるように投入し、100℃2時間で減圧脱水を行った。室温に冷却後、窒素下で4,4’−MDI(東ソー社製ミリオネートMTL)を、ポリオール(A2)とポリオール(B1)に対して4,4’−MDIの比率が、NCO/OH比で1.5となるようにセパラブルフラスコに投入し、窒素下で無触媒80℃でNCO基の消費が停止するまで撹拌し、NCO基末端ウレタンプレポリマーを合成した。
得られたNCO基末端ウレタンプレポリマーに、充填材として重質炭酸カルシウム[充填材(D1)]及び酸化チタン[充填材(D2)]、酸化防止剤としてIrganox1010[添加剤(E1)]、触媒としてオクチル酸ビスマス[添加剤(E2)]を窒素下でニーダーで混練しペースト状の硬化性樹脂組成物を得た。
次に、得られた硬化性樹脂組成物を、離型剤を塗り余剰分を除去した2mm厚みの金属製モールドに流し込み脱泡後、厚みが2mmとなるようにヘラで塗工・引き延ばして、23℃50%RH条件で静置して硬化することでウレタン硬化物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物は、低粘度でモールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が容易であり施工性に優れた。
また、得られた硬化性樹脂組成物は硬化進行に伴う発泡が見られず耐発泡性に優れるものであり、硬化に要する時間も短いため施工性に優れ、シーリング材等への応用が期待できるものであった。
そして、得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
実施例2.
ポリオール(A2)の代わりにポリオール(A3)を用い、併せて柔軟性・反応性等を調整するため、添加剤、充填材の組成を変更した以外は、実施例1と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、モールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が可能であり施工性に優れる硬化性樹脂組成物であった。
また、得られたウレタン硬化物は硬化進行に伴う発泡が見られず耐発泡性に優れる硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も短いため、施工性に優れるシーリング材等への応用が期待できるものであった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
実施例3.
充填材量を増量し、可塑剤としてジオクチルフタレート[添加剤(E3)]を加えた以外は、実施例2と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、モールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が可能であり施工性に優れる硬化性樹脂組成物であった。
また、得られたウレタン硬化物は硬化進行に伴う発泡が見られず耐発泡性に優れる硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も短いため、施工性に優れるシーリング材等への応用が期待できるものであった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
実施例4.
ポリオール成分としてポリオール(A1)のみを用い、充填材(D1)、添加剤(E2)を除いた以外は実施例1と同様の手法により半ペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、低粘度でモールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が容易であり施工性に優れる硬化性樹脂組成物であった。また、得られたウレタン硬化物は硬化進行に伴う発泡が見られず耐発泡性に優れる硬化性樹脂組成物であった。
ウレタン化触媒を用いず3官能のポリオールを含まないため、硬化に要する時間は6時間を超えたが、12時間以内に硬化が可能であり、シーリング材等への応用が可能なものであった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
実施例5.
充填材(D1)、充填材(D2)を除き、添加剤(E2)を増量した以外は実施例1と同様の手法により液状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、モールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が可能であり施工性に優れる硬化性樹脂組成物であった。
また、得られたウレタン硬化物は硬化進行に伴う発泡が軽微であり、充填材を用いないため泡抜け性が若干劣るが、良好な耐発泡性を示す硬化性樹脂組成物であった。硬化に要する時間も短いため、施工性に優れるシーリング材等への応用が期待できるものであった。さらには透明性が高いものであり、透明基材を用いる用途への展開が期待できるものであった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
実施例6.
ポリイソシアネート(C)として、4,4’−MDIの代わりに、HDIイソシアヌレート(東ソー社製コロネートHX)を用いた以外は実施例1と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、モールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が可能であり施工性に優れる硬化性樹脂組成物であった。
また、得られたウレタン硬化物は硬化進行に伴う発泡が見られず耐発泡性に優れる硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も短いため、施工性に優れるシーリング材等への応用が期待できるものであった。得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
実施例7.
NCO/OH比を2.1に変更した以外は実施例2と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、モールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が可能であり施工性に優れる硬化性樹脂組成物であった。
また、得られたウレタン硬化物は硬化進行に伴う発泡が見られず耐発泡性に優れる硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も短いため、施工性に優れるシーリング材等への応用が期待できるものであった。得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
実施例8.
ポリオール(A)とポリオール(B)の重量比率を65:35に変更した以外は実施例7と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、モールドへの投入や塗工・引き伸ばし操作が可能であり施工性に優れる硬化性樹脂組成物であった。
また、得られたウレタン硬化物は硬化進行に伴う発泡が見られず耐発泡性に優れる硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も短いため、施工性に優れるシーリング材等への応用が期待できるものであった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際も金属製モールドへのブリードや汚染もなく、周囲への耐汚染性に優れるものであった。
以上の結果を表5に併せて示す。
比較例1.
ポリオール(A2)、ポリオール(B1)の代わりに、不飽和度の高いポリオール(A5)ポリオール(B3)を用い、可塑剤として添加剤(E3)を10部添加した以外は、実施例1と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、硬化進行に伴う発泡が多く見られ、耐発泡性に劣る硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も長いため養生期間を長く要するためシーリング材等において施工性に劣る硬化性樹脂組成物であった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際に金属製モールドへの汚染が見られ、シーリング材等として使用した際に周囲を汚染する可能性が高いものであった。
比較例2.
ポリオール(A3)の代わりに、分子量18400と同等で分子量分布が広いポリオール(A6)を用いた以外は実施例2と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、粘調で施工の際に気泡を噛みやすく施工性に劣り、硬化進行に伴う発泡が多く見られ、耐発泡性に劣る硬化性樹脂組成物であった。
硬化に要する時間も比較例1より短いが、実施例2より長く養生期間を要する硬化性樹脂組成物であった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際に金属製モールドへの汚染が見られ、シーリング材等として使用した際に周囲を汚染する可能性が高いものであった。
比較例3.
硬化性を改善するためウレタン化触媒量を増量し、充填材(D1)の添加量を低減した以外は比較例2と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、粘調で施工の際に気泡を噛みやすく施工性に劣り、硬化進行に伴う発泡が多く見られ、耐発泡性に劣る硬化性樹脂組成物であった。
硬化に要する時間も改善はみられるが依然、実施例2より長く養生期間を要し、得られたウレタン硬化物も剥離した際に金属製モールドへの汚染が見られ、シーリング材等として使用した際に周囲を汚染する可能性が高いものであった。
比較例4.
ポリオール(A1)の代わりに不飽和度の高いポリオール(A4)を用いた以外は実施例4と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、硬化進行に伴う発泡が多く見られ、耐発泡性に劣る硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も長いため養生期間を長く要するためシーリング材等において施工性に劣る硬化性樹脂組成物であった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際に金属製モールドへの汚染が見られ、シーリング材等として使用した際に周囲を汚染する可能性が高いものであった。
比較例5.
ポリオール(A3)とポリオール(B1)の代わりにポリオール(A6)とポリオール(B2)を用い、ポリオール(A6)とポリオール(B2)の比率を90:10に変更した以外は実施例7と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、硬化進行に伴う発泡が多く見られ、耐発泡性に劣る硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も長いため養生期間を長く要するためシーリング材等において施工性に劣る硬化性樹脂組成物であった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際に金属製モールドへの汚染が見られ、シーリング材等として使用した際に周囲を汚染する可能性が高いものであった。
比較例6.
充填材(D1)を増量した分、施工性を改善するため、可塑剤として添加剤(E3)を10部添加した以外は比較例5と同様の手法によりペースト状の硬化性樹脂組成物、及びウレタン硬化物を得た(プレポリマー法)。
得られた硬化性樹脂組成物は、硬化進行に伴う発泡が多く見られ、耐発泡性に劣る硬化性樹脂組成物であり、硬化に要する時間も長いため養生期間を長く要するためシーリング材等において施工性に劣る硬化性樹脂組成物であった。
得られたウレタン硬化物は、剥離した際に金属製モールドへの汚染が見られ、シーリング材等として使用した際に周囲を汚染する可能性が高いものであった。
以上の結果を表6に併せて示す。
実施例9.
プライマー処理した5cm角のAl板の端面全てに、実施例1で作製した硬化性樹脂組成物を約5mm幅、2mm厚みで塗工し、ガラス基材を張り合わせて6時間静置して硬化を進行させ、ガラスと金属間のシーリング材として使用した。
シーリング材組成物として容易に施工でき、シーリング材部は非発泡でタック性も低く、良好な硬化性、低汚染性、シール性を示した。