JP2005314683A - 建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
硬化後低モジュラス、高伸びで、ゴム弾性物性、作業性、接着性、耐久性などが良好で、硬化途中のムーブメント追従性に優れた建築用ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物、及びその施工方法を提供する。
【解決手段】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、揺変性付与剤と、硬化促進触媒とを含有する建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物、及びこれを用いた施工方法である。このシーリング材組成物は、目地に対してムーブメントを与える試験機に設けた目地に充填後、1日に1サイクル以上のムーブメントを目地に与える硬化試験において、実質的に損傷のない硬化物となる性能を有する。
【選択図】 なし
Description
従来、このワーキングジョイント用のシーリング材としては、2成分形のものが全体的に硬化が進行するため硬化過程のムーブメント追従性が良く、硬化途中に目地が大きく動いても硬化物の表面や内部に亀裂等の損傷が生じないので専ら使用されている。これに対し、1成分形シーリング材は硬化の性質上、湿気や空気中の酸素と接触する表面から硬化するため、硬化途中にムーブメントを受けると、表面の硬化した部分と内部の未硬化部分にかかる応力の差が大きく、局部的に歪が大きくなるためと推察されるが、硬化物に亀裂、シワ、剥離等の損傷が発生し(これを硬化途中のムーブメント追従性が悪いという)、ひいては漏水事故につながるため、ワーキングジョイント用のシーリング材としては使用されていなかった。
また、ワーキングジョイント用のシーリング材として適しているか否か、実際の中高層ビルのワーキングジョイントを使用して試験するのが最も適切ではあるが、莫大な費用と時間がかかり、仮に試験に供したシーリング材が硬化途中のムーブメント追従性が悪かった場合、漏水事故を起こすことにもなり、極めて現実的ではない。
従って、1成分形ウレタンシーリング材において、硬化過程のムーブメント追従性が良いものに改良でき、そしてこのシーリング材を実際のワーキングジョイントの動きを近似的に再現できる試験機を用い、硬化途中のムーブメント追従性を評価して結果が良好であれば、建築ワーキングジョイント用のシーリング材として使用できることになり、1成分形であるがゆえに作業性に優れ、安心して使用でき、かつ接着性や耐久性に優れた建築ワーキングジョイント用のシーリング材を提供できることとなり、今後の中高層ビル建築の外壁目地などのシーリング材として役に立つものとなる。
しかしながら、前者はポリサルファイド系シーリング材についてであり、さらに2成分形であるため、主剤と硬化剤の混合の手間がかかり、かつ計量ミスや混合不良による硬化不良を生じる危険性がある。また、後者は変成シリコーン系シーリング材組成物についてであり、しかも評価試験機を用いて硬化途中のムーブメント追従性を試験して確認はしていない。すなわち、硬化途中のムーブメント追従性が良好で建築ワーキングジョイント用として適したウレタンシーリング材は未だにないのが実情である。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(10)に示されるものである。
なお、本発明において、建築ワーキングジョイントには、土木構築用に設けられた動きの大きな目地も包含するものである。
本発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、硬化性成分として用いるものであり、イソシアネート基が湿気(水分)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するものであり、活性水素化合物と、有機イソシアネートとを、活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で、或いは活性水素化合物としてアルコール性水酸基含有化合物を使用した場合は、水酸基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものが好適である。
更に具体的には、活性水素化合物又はアルコール性水酸基含有化合物と有機イソシアネートとを、イソシアネート基/活性水素(基)又はイソシアネート基/水酸基の当量比が1.1〜10/1.0、更に1.3〜5.0/1.0、特に1.3〜2.5/1.0となる範囲で同時或いは逐次に反応させて、好適に製造することができる。当量比が1.1/1.0を下回ると、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなりすぎ、ゲル化の危険性が生じ、当量比が10/1.0を超えると、イソシアネート基が湿気と反応して生成する炭酸ガスの発生量が多くなり発泡の原因となるため好ましくない。
ポリオールは、アルコール性水酸基含有化合物であって、低分子のポリオールと高分子のポリオールがあり、このうち高分子のポリオールが好ましい。高分子のポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、炭化水素系ポリオール等が挙げられ、数平均分子量500以上、好ましくは1,000以上のものである。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、アルキレンオキシドを開環付加重合させたものや、活性水素を2個以上含有する化合物などの開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどが挙げられる。
開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の低分子多価アルコール類、ソルビトール、シュークロース、グルコース、ラクトース、ソルビタン等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類、アジピン酸、テレフタル酸等の低分子ポリカルボン酸類、これらの少なくとも1種にアルキレンオキシドを反応させて得られる分子量500未満の低分子量のポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
すなわち、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、具体的には、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリテトラメチレンエーテル系ポリオール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ランダム或いはブロック共重合系ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシブチレン)−ランダム或いはブロック共重合系ポリオールなどを挙げることができ、また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたものも挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールは、作業性などの点から、数平均分子量が500〜100,000、更に1,000〜30,000、特に1,000〜20,000のものが好ましく、また、1分子当たり平均のアルコール性水酸基の個数は2個以上、更に2〜4個が好ましく、2〜3個が最も好ましい。
更に、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、その製造時に使用する触媒として、セシウム系化合物(水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなど)、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体など、なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度を低下でき、かつ硬化後のゴム弾性物性が良好となる点と、それから得られる1成分形ウレタン系シーリング材組成物の硬化途中のムーブメント追従性が良好となる点で好ましい。
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、例えば、公知のコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、それらの酸エステル、酸無水物等と、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの合成に開始剤として使用される活性水素を2個以上含有する化合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン等の環状エステル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、例えば、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールと前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造に用いる低分子多価アルコール類と、ホスゲンとの脱塩酸反応、或いはジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応などから得られる化合物が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルポリオールとしては、水酸基を含有するヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合したものなどが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオールや水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオールなどが挙げられる。
ポリオールとしては更に、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールの製造原料として挙げた数平均分子量500未満の低分子多価アルコール類などが挙げられる。
ポリアミンとしては、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリオキシアルキレン系ポリオールの末端がアミノ基となったポリオキシアルキレンポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げられる。
ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等が挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度が低く、内部硬化性が良好なため、これらから得られる1成分形ウレタン系シーリング材組成物の粘度が低く作業が良好な点と、硬化途中のムーブメント追従性が良好な点で、高分子のポリオールが好ましく、更にポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、特にポリオキシプロピレン系ポリオールが好ましい。
また、前記活性水素化合物として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の変性用として、モノオール化合物も場合により使用できる。モノオール化合物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類の他、これら低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを開環付加重合させた、後述の液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の合成に使用されるポリオキシアルキレン系モノオールと同様の化合物が挙げられる。このうちポリオキシプロピレン系モノオールが好ましい。
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールとは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた部分の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるポリオールが最も好ましい。
有機ポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上含有する化合物であり、具体的には例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート類、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート類、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート類、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート類などの芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。更に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートも使用できる。また、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などを1以上含有する変性イソシアネートも使用できる。
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できるが、これらのうち得られる1成分形ウレタン系シーリング材組成物の硬化途中のムーブメント追従性と、硬化後の接着性が良好な点で、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、さらにジフェニルメタンジイソシアネート類が好ましく、特に4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
有機モノイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を1個含有すればよく、イソシアネート基以外の有機基としては、湿気などの水分硬化性の官能基を含有していない疎水性の有機基が好ましい。具体的には例えば、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、オクタデシルモノイソシアネート、n−クロロエチルモノイソシアネートなどの脂肪族モノイソシアネート、クロロフェニルモノイソシアネート、3,5−ジクロロフェニルモノイソシアネート、p−フルオロフェニルモノイソシアネート、2,4−ジフルオロフェニルモノイソシアネート、o−トリフルオロメチルフェニルモノイソシアネート、p−ニトロフェニルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、2,6−ジイソプロピルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネートなどの芳香族モノイソシアネート、その他に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
また、重質炭酸カルシウムと呼ばれる天然の炭酸カルシウムを粉砕して微粉末状にしたものを脂肪酸金属塩や樹脂酸金属塩で処理したものも使用できる。
この有機表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01〜0.5μm、更に0.03〜0.15μmが好ましく、BET比表面積は5〜200m2/g、更に10〜60m2/gが好ましい。平均粒径が0.01μmを下回るか、或いはBET比表面積が200m2/gを超えると、得られるシーリング材組成物の粘度が上がって作業性が悪化し、平均粒径が0.5μmを上回るか或いはBET比表面積が5m2/gを下回ると、揺変性付与効果がなくなるため好ましくない。
〔R1−NHCONH−(R2)m−SiO〕n−M (1)
(式中、R1、R2は有機基であって、それぞれ独立に、主鎖中にエーテル形結合酸素原子及び/又は第3級窒素原子を有していてもよい炭素数1〜50の炭化水素基である。mは0又は1の整数であり、nは1以上の整数である。Mは無機系物質粒子の表面を示す。なお、ウレイレン基は置換基を有していてもよい。)
更に具体的には、有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物と架橋性シリル基反応性官能基含有無機系物質粒子との反応生成物が好ましい。有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物は、架橋性シリル基及び有機基(イ)含有化合物と、該有機基(イ)と反応可能な有機基(ロ)を含有する有機化合物とを反応させた生成物でウレイレン基を有するものか、或いは、架橋性シリル基及び有機基(イ)含有化合物と、有機基(ハ)を含有する有機化合物とを、分子内に該有機基(イ)と反応可能な有機基(ニ)及び該有機基(ハ)と反応可能な有機基(ホ)とを含有する有機低分子化合物を介して反応させた生成物でウレイレン基を有するものが好ましい。ここにおいて有機基(ニ)及び有機基(ホ)は互いに同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。有機基(イ)としては、第1級及び/又は第2級アミノ基、イソシアネート基などが挙げられ、有機基(イ)と反応可能な有機基(ロ)としては、イソシアネート基、第1級及び/又は第2級アミノ基などが挙げられ、有機基(ハ)としては、第1級及び/又は第2級アミノ基、水酸基、イソシアネート基などが挙げられ、有機基(ニ)としてはイソシアネート基、第1級及び/又は第2級アミノ基、水酸基などが挙げられ、有機基(ホ)としては、イソシアネート基、第1級及び/又は第2級アミノ基、水酸基などが挙げられる。更に具体的には、有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物は、第1級及び/又は第2級アミノ基と架橋性シリル基を含有する有機化合物と、有機モノイソシアネートとの反応生成物であるか、第1級及び/又は第2級アミノ基含有有機化合物と、架橋性シリル基含有有機イソシアネート化合物との反応生成物であるか、或いは、第1級及び/又は第2級アミノ基と架橋性シリル基を含有する有機化合物と、第1級及び/又は第2級アミノ基含有有機化合物とを、有機ポリイソシアネートを介して反応させた生成物であることが好ましい。また、第1級及び/又は第2級アミノ基と架橋性シリル基を含有する有機化合物と、有機モノアルコールとを、有機ポリイソシアネートを介して反応させた生成物、或いは、イソシアネート基と架橋性シリル基を含有する有機化合物と有機モノイソシアネートとを、有機ポリアミンを介して反応させた生成物なども挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち、反応のし易さと、揺変性付与効果の高い点で、架橋性シリル基及び有機基(イ)含有化合物と、該有機基(イ)と反応可能な有機基(ロ)を含有する有機化合物とを反応させた生成物でウレイレン基を有するものが好ましく、特に第1級及び/又は第2級アミノ基と架橋性シリル基を含有する化合物と、有機モノイソシアネートとの反応生成物が好ましい。
ウレイレン基に結合する有機基R1又はR2或いはウレイレン基が有していてもよい置換基を選択する際には、シーリング材組成物の安定した揺変性を保つ点と保存安定性の点から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と室温で反応しないものである必要がある。この有機基R1又はR2或いはウレイレン基が有していてもよい置換基がイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と反応すると、貯蔵中に有機基結合ウレイレン基含有無機系物質粒子により形成された揺変性付与構造が破壊されてしまうとともに増粘してしまう。
具体的には、ウレイレン基に結合する有機基R1又はR2或いはウレイレン基が有していてもよい置換基としてエポキシド基を含有する基などは選択できるが、アミノ基などの活性水素(基)を含有する基は選択できない。
前記のウレイレン基に結合している有機基は、イソシアネート基と反応する官能基を含有しないものであればどのような基でもよいが、安定した揺変性付与効果が大きな点から、反応性官能基を含有しない、主鎖中にエーテル形結合酸素原子及び/又は第3級窒素原子を有していてもよい炭素数1〜50の炭化水素基であって、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基などが挙げられ、これらのうち、主鎖中にエーテル形結合酸素原子及び/又は第3級窒素原子を有していてもよい炭素数3〜24、特に炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基が好ましい。更には、主鎖中にエーテル形結合酸素原子及び/又は第3級窒素原子も有しない炭素原子と水素原子だけからなる炭化水素基が、より安定した揺変性付与効果の点から好ましい。
前記のウレイレン基が有していてもよい置換基は、イソシアネート基と実質的に反応しない基であればどのような基でもよいが、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランとジブチルアミンとを反応させたときのウレイレン基に結合しているどちらか一方のブチル基や、3−アミノプロピルトリメトキシシランとオクタデシルモノイソシアネートとを反応させたときのウレイレン基に対し過剰のオクタデシルモノイソシアネートがビウレット結合したもの、或いは3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランとオクタデシルアミンとを反応させたときのウレイレン基に対し過剰の3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランがビウレット結合したもの、或いは3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランとオクタデシルアミンとを反応させたときのウレイレン基に対し過剰の3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランがビウレット結合したものなどが挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できる
これらのうち、安定した揺変性付与効果の点から、第1級及び/又は第2級アミノ基と架橋性シリル基を含有する脂肪族化合物が好ましく、特にN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、安定した揺変性付与効果の点で脂肪族モノイソシアネートが好ましく、オクタデシルモノイソシアネートが特に好ましい。
第1級アミンとしては、モノアミンとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、へプチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、オクタデシルアミン等の脂肪族モノアミン、トリメチルシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン、ベンジルアミン等の芳香脂肪族モノアミン、アニリン等の芳香族モノアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、2−エチルへキシルオキシプロピルアミン等の酸素原子含有脂肪族アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン等の第3級窒素原子含有脂肪族アミンなどを挙げることができ、ジアミンとして、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノへプタン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、1,21−ジアミノヘンティコサン、1,22−ジアミノドコサン、1,23−ジアミノトリコサン、1,24−ジアミノテトラコサン等の脂肪族ジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロへキシルメタン等の脂環族ジアミン、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、4,4′―ジアミノ―3,3′−ジエチルジフェニルメタン等の芳香族ジアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン等のポリエーテルジアミンなどを挙げることができ、トリアミンとして、トリ(メチルアミノ)へキサン等の脂肪族トリアミンなどを挙げることができる。第2級アミンとしては、モノアミンとして、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、メチルラウリルアミンなどの脂肪族モノアミン、ジフェニルアミン等の芳香族モノアミン、ジアミンとして、N,N′−ジラウリルプロピルジアミン、N,N′−ジステアリルブチルジアミン、N−ブチル−N′−ラウリルエチルジアミン、N−ブチル−N′−ラウリルプロピルジアミン、N−ラウリル−N′−ステアリルブチルジアミンなどの脂肪族ジアミンを挙げることができる。その他のアミンとしては、N−ラウリルプロピレンジアミン、N−ステアリルプロピレンジアミンなどを挙げることができる。第1級アミノ基と第2級アミノ基を有するポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノプロピルアミン等の脂肪族アミンなどを挙げることができる。また他の官能基を含有するアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アリルアミン、アミノ酢酸などが挙げられる。また、前記第1級及び/又は第2級アミノ基含有有機化合物としては、炭化水素基の一部の水素原子が塩素などのハロゲン原子と置換したものも含まれる。
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのうちで、安定した揺変性付与効果の大きさから、他の官能基を有しない脂肪族第1級アミンが好ましく、特に他の官能基を有しない脂肪族第1級モノアミンが好ましい。
架橋性シリル基含有有機イソシアネート化合物としては、具体的には、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルイソプロポキシシラン、イソシアネートトリメトキシシラン等の架橋性シリル基含有有機モノイソシアネート化合物、ジイソシアネートジメトキシシラン等の架橋性シリル基含有有機ポリイソシアネート化合物などが挙げられ、これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、揺変性付与効果の高さの点で架橋性シリル基含有有機モノイソシアネート化合物が好ましく、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、脂環族ポリイソシアネートが好ましい。
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できる。
なお、ここにおいて、例えば二酸化ケイ素(SiO2)等の化学式では水酸基がないものでも、粒子表面は水分により反応を受け、水酸基を含有しているのである。また、金属粒子については、粒子表面が酸化され、次いで水分により反応を受け、使用の際には粒子表面に水酸基を含有しているのである。
また、前記無機系物質粒子には、炭素(カーボンブラック等)或いは(メタ)アクリル系重合体粒子、サランマイクロバルーン等の有機系物質粒子を、前記無機物質で被覆処理等加工したものも含まれる。
架橋性シリル基と反応可能な官能基を有している無機系物質粒子としては、石灰石、珪藻土、カオリンクレーなどの天然鉱物を微粉砕したものでもよいし、また沈降炭酸カルシウム、乾式法シリカ粒子等の合成品あってもよく、具体的に例えば、チタン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属粒子、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素(シリカ)、含水ケイ酸等の金属酸化物粒子、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物粒子、重質炭酸カルシウムや沈降炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム又はコロイド状炭酸カルシウム)等の炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩粒子、ウォラストナイト等のケイ酸カルシウム、含水ケイ酸カルシウム、カオリンクレー等のケイ酸アルミニウム、天然マイカ等のケイ酸アルミニウム−カリウム、含水ケイ酸アルミニウム、タルク等のケイ酸マグネシウム等の金属ケイ酸塩粒子、ジルコニア等のセラミックス粒子、カリガラス等の各種ガラス粒子等が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できる。
更に、二酸化ケイ素(シリカ)としては、石英、ケイ砂、珪藻土等を粉砕した天然シリカ、また、沈降法シリカ等の湿式法シリカ、フュームドシリカ等の乾式法シリカ等の合成シリカ等が挙げられる。
また、無機系物質粒子の形状はどんなものであってもよく、具体的には例えば、フュームドシリカ等の球状、セピオライト、ウォラストナイト等の繊維状或いは針状、マイカやタルク等のフレーク状(板状)、雲母等の鱗片状、シリカゲル等の多孔質状、シリカバルーン等のバルーン状、珪藻土等の管状など種々の形状が挙げられ、用途に応じて使い分けることができる。
無機系物質粒子の平均(一次)粒子径(直径又は長径)は、1,000,000nm(1,000μm)以下、更には1〜100,000nm(100μm)、特に1〜10,000nm(10μm)が好ましく、また更に、有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物を粒子表面で反応させた無機系物質粒子が樹脂に対して揺変性を付与する効果が大きな点で、前記無機系物質粒子の平均(一次)粒子径は1〜1,000nmのコロイド状と呼ばれるものが好ましく、更に1〜100nmが好ましく、特に5〜50nmが好ましい。またBET比表面積(m2/g)は、0.1以上、更には20〜500が好ましく、特に40〜500が好ましい。
前記のうち、金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子、金属炭酸塩粒子、金属ケイ酸塩粒子が好ましく、更に二酸化ケイ素粒子が好ましく、特に有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物を反応させたとき、樹脂に対する揺変性付与効果が大きいことよりコロイド状のシリカが好ましく、親水性コロイド状シリカが最も好ましい。
また、無機系物質粒子は結晶水を持っていてもよいし、また持っていなくてもよいが、貯蔵安定性を向上させるためには結晶水を持っていない方が好ましい。
有機基結合ウレイレン基含有無機系物質粒子を製造する他の方法としては、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の存在下、かつ、触媒及び/又は有機分散媒の存在下又は不存在下、有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物と架橋性シリル基反応性官能基含有無機系物質粒子とを5〜200℃の温度で0.1〜100時間、好ましくは30〜80℃の温度で0.5〜10時間加熱し反応させて合成することができる。触媒と有機分散媒は必要に応じて使用すればよいが、触媒は反応温度を低下でき、反応時間も短縮できるため使用するのが好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の存在下、有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物と架橋性シリル基反応性官能基含有無機系物質粒子とを反応させる製造方法の方が、製造し易く低コストである点から特に好ましい。
なお、前記の有機基結合ウレイレン基含有無機系物質粒子は、トリメチルクロロシランやヘキサメチルシラザンなどで親水性シリカなどの表面を処理した疎水性シリカなどにおいて、有機基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物を、残っている少量のSi−OH基に、或いは少量の水の存在下に加水分解と同時に反応させることにより合成することもできる。
前記の必要に応じて使用する触媒としては、後述の硬化促進触媒(C)と同様の反応触媒が挙げられ、それらのうち反応速度が高く、毒性及び揮発性の比較的低い液体である点から有機錫化合物や有機金属キレート化合物が好ましく、更に有機金属キレート化合物が好ましく、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)が最も好ましい。
前記の必要に応じて使用する触媒は、架橋性シリル基反応性官能基含有無機系物質粒子100質量部に対して、0〜10質量部、特に0.05〜5質量部配合するのが好ましい。
前記の必要に応じて使用する有機分散媒としては、後述の有機溶剤又は可塑剤で各成分と反応しないものであればどのようなものでも使用できる。
前記の必要に応じて使用する有機分散媒は、架橋性シリル基反応性官能基含有無機系物質粒子100質量部に対して、0〜3,000質量部、特に50〜2,000質量部配合するのが好ましい。
具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられ、有機金属化合物としては、例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の2価の有機錫化合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物の旭硝子社製EXCESTAR C−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンビスマス、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガン等の各種金属のキレート化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、その他、オクチル酸鉛やオクチル酸ジルコニウム等のマンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、鉛、ビスマス等の錫以外の各種金属と、オクチル酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の各種有機酸との金属有機酸塩などが挙げられ、アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、或いはこれらのアミン類とカルボン酸等の塩類などが挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、反応速度が高く、毒性及び揮発性の比較的低い液体である点から有機金属化合物が好ましく、更に有機錫化合物や金属キレート化合物が好ましく、特にジブチル錫ジラウレートが好ましい。
硬化促進触媒(C)は、硬化速度、硬化物の物性などの点から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.001〜10質量部、特に0.01〜2質量部配合するのが好ましい。
希釈用樹脂(D)としては、具体的に例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂、低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体樹脂、これらの混合物などが挙げられる。
前記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシエチレンモノオールやポリオキシプロピレンモノオール等のポリオキシアルキレンレンモノオールのアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂などが挙げられる。これらのうち、粘度が低く、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と相溶性が良好で、得られる1成分形ウレタン系シーリング材組成物の作業性と、硬化途中のムーブメント追従性が良好な点で、ポリオキシアルキレン系樹脂が好ましく、更に糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂と液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が好ましく、特に液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が好ましい。
前記希釈用樹脂(D)の数平均分子量は、硬化後の移行(ブリード)防止性と作業性の点で、500以上、更に1,000〜100,000、より更に2,000〜50,000、特に2,000〜20,000が好ましく、2,000〜10,000が最も好ましい。
前記糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂としては、スクロース(ショ糖)、グルコース、マンニトール、ソルビトール等の糖類系多価アルコールの水酸基に対して、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合し、更にアルキルエーテル化或いはアルキルエステル化して末端をアルキル基で封鎖した、実質的に水酸基を有しない樹脂などが挙げられ、ショ糖系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエステル化誘導体の一般市販品として、三洋化成工業社製のSPX−80などが挙げられる。
これらはいずれも単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネート(好ましくは、ポリオキシアルキレン系モノオールと有機ポリイソシアネート、又は、ポリオキシアルキレン系ポリオールと有機モノイソシアネート)を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.9〜1.1/1.0となる範囲で、最も好ましくは1/1で反応させて好適に製造することができる。当量比が0.9/1.0を下回ると水酸基の含有量が多くなるため、1成分形ウレタン系シーリング剤組成物の製造時或いは貯蔵時に、この水酸基とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基とが反応、増粘し作業性が悪化する点で、また1.1/1.0を上回るとイソシアネート基の含有量が多くなり硬化物のゴム弾性物性に対する影響が無視できなくなる点で好ましくない。
なお、前記の「実質的にイソシアネート基又は水酸基を含有しない」とは、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体或いは液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂を合成する際、原料のモル比により、分子中に水酸基或いはイソシアネート基が少量残存する場合があるが、本発明の目的を達成する上で、イソシアネート基又は水酸基を含有しないとみなしても不都合を生じないことを意味する。
この開始剤としては、具体的に例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちでは、メタノール、エタノール等の、炭素数5以下の化合物が好ましい。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちでは、プロピレンオキシドが好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレン系モノオール、ポリオキシプロピレン系モノオール、ポリオキシブチレン系モノオール、ポリオキシテトラメチレン系モノオール、ポリ(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)系ランダム或いはブロック共重合モノオール、ポリ(オキシプロピレン)−(オキシブチレン)系ランダム或いはブロック共重合モノオールなどが挙げられる。
更に、ポリオキシアルキレン系モノオールは、その製造時に使用する触媒として、前述のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造時に使用する触媒と同様の触媒を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが好ましい。特に低粘度の液状ウレタン樹脂を得るには、分子量分布の狭いポリオキシアルキレン系モノオールを使用することが好ましい。
なお、前記ポリオキシアルキレン系モノオールとは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るモノオールが最も好ましい。
これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち得られる液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が低く、かつブリードしないため、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましく、特にポリオキシプロピレン系モノオールが好ましい。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、得られる液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が低い点で、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、更に芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にキシリレンジイソシアネート類が好ましく、m−キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。これらのうちシラン系カップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物が接着性に優れている点で好ましい。
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシランなどの炭化水素基結合アルコキシシラン類、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシランなどの炭化水素基結合イソプロペノキシシラン類、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類やイソプロペノキシシラン類などの分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物及び/又はこれらシランカップリング剤の1種又は2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物が挙げられる。
有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性であればどのようなものでもよいが、例えば、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤などの従来公知の溶剤が挙げられる。
低分子量の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、ペンタエリスリトールの酢酸エステル類等の多価アルコールのエステル類、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、塩素化パラフィン等のパラフィン系炭化水素類、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、水素添加ポリブテン等のオレフィン系重合体類で分子量500未満のものなどが挙げられる。
前記建築ワーキングジョイントやサイディング外壁目地の動き(ムーブメント)を近似的に再現できる試験用目地は、試験機としては実際のワーキングジョイントの動きを近似的に与えることができるように設計されたものであればどのような試験機であってもよいが、具体的には、例えば、後述の実施例に挙げるような、JIS A 1439(1997)「建築用シーリング材の試験方法」、4.17耐久性試験の4.17.1のd)繰返し試験機に準拠したもので、拡大・縮小の変位サイクルを1日当たり少なくとも1サイクル、好ましくは1〜20,000サイクル、及びその変位幅(ムーブメント量)を0.1mm以上、更に好ましくは0.1〜100mm、特に好ましくは0.1〜20mmの間で可変設定できるように作製したものを繰返し試験機として用い、この試験機の固定部分と可動部分のそれぞれに設けた一対の治具にモルタルを成形したり、サイディングの板を切り出したりなどして作製した試験用被着体を連結し、可動部分と連動させる構造とすることにより作製できる。また、この、繰返し試験機を特定の温度や湿度の雰囲気に置くことにより、温湿度の影響も試験することができる。
また、同様に後述の実施例に挙げるような、日本シーリング材工業会推奨の試験機に準拠した動的暴露試験機を屋外に置き、この試験機の固定部分と可動部分のそれぞれに設けた一対の治具に前記同様試験用被着体を連結することにより作製できる。この可動部分は、黒色アクリル板やアルミニウム板により作製されており、これらの部材が気温や日照の変化により膨張、収縮を繰返すため、この治具に連結した試験用目地は、実際のワーキングジョイントと近似した動きを再現することができる。
これらのうち、拡大・縮小の変位幅と変位サイクルを自由に設定でき、季節や天候の変化を受けず、1年を通じて試験条件を自由に設定することができる点で、繰返し試験機を用いた試験のほうが好ましい。
なお、前記「実質的に損傷のない硬化物」とは、硬化物の内部や表面に極めて小さな泡や皺等の損傷がある場合があるが、漏水につながる損傷ではないと判断できるならば、本発明の目的を達成する上で、損傷のない硬化物とみなしても不都合を生じないことを意味する。
合成例1
攪拌機、温度計、窒素シール管及び加温・冷却装置の付いた反応容器に、窒素気流下で、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製エクセノール−3021、数平均分子量3,300、分子量分布1.0〜1.1)599.2g(OH当量:0.363)と、ポリオキシプロピレントリオール(三井武田ケミカル社製MN−4000、数平均分子量4,000、分子量分布1.0〜1.1)284.5g(OH当量:0.213)を仕込み、攪拌しながら4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製ミリオネートMT、分子量250)116.2g(NCO当量:0.93)(R値(NCO当量/OH当量)=1.6)とジブチル錫ジラウレート0.1gを加えたのち、加温して70〜80℃で2時間攪拌して、イソシアネート基含有量が理論値(1.47質量%)以下となった時点で常温まで冷却して反応を終了させて、イソシアネート基含有ポリオキシプロピレン系ウレタンプレポリマーP−1を製造した。
このイソシアネート基含有ポリオキシプロピレン系ウレタンプレポリマーP−1は、滴定による実測イソシアネート基含有量1.38質量%の常温で粘稠な液体であった。
合成例2
合成例1と同様の反応容器に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ社製S−310)を103.2g仕込み、攪拌しながらオクタデシルモノイソシアネート(保土谷化学工業社製ミリオネートO)295.0g(R値(NCO当量/アミノ基当量)=1.0)を滴下ロートにより65℃以下に冷却しながら加えた後、加温して60〜65℃で30分間攪拌を行い、FTIRによりイソシアネート基のピークの消失を確認し、常温まで冷却して反応を終了させた。
得られた反応生成物は、常温で固体であった。これを炭化水素基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物S−1と称す。
合成例3
合成例1と同様の反応容器に、窒素気流下で、ポリオキシプロピレンモノオール(旭硝子社製XS−M3000、数平均分子量3,300、分子量分布(Mw/Mn)1.0〜1.1)300g(OH当量:0.091)を仕込み、攪拌しながらジブチル錫ジラウレート0.1gとm−キシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製タケネート500、分子量188)9.1g(NCO当量:0.0968)(R値(NCO当量/OH当量)=1.06)を加えた後、加温して70〜80℃で4時間攪拌して、イソシアネート基含有量が理論値(0.08質量%)以下となった時点で反応を終了し、希釈用液状ポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1を製造した。
この希釈用液状ウレタン樹脂U−1は、滴定による実測イソシアネート基濃度0.06質量%で実質的にイソシアネート基を含有しない、粘度3,200mPa・s/25℃、分子量分布(Mw/Mn)1.0〜1.1の常温で透明な液体であった。
加熱、冷却装置及び窒素シール管付き混練容器に、窒素気流下で、合成例1で得たイソシアネート基含有ポリオキシプロピレン系ウレタンプレポリマーP−1 400g、酸化チタン50g、炭酸カルシウム100g、希釈用ショ糖ポリオキシアルキレン化樹脂(三洋化成工業社製サンフレックスSPX−80、数平均分子量8,000)150g及び脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製白艶華CCR)300gを仕込み、内容物が均一になるまで混練りした(なお、酸化チタン、炭酸カルシウム及び脂肪酸表面処理炭酸カルシウムはそれぞれ90〜100℃の乾燥器で予め乾燥したものを使用)。次いで、脂肪酸アマイド10gとヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス1010)10gとをトルエン50gに予め溶解したものと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3gとジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込み、内容物が均一になるまで攪拌、混合し、次いで減圧脱泡(20〜100hPa)し、容器に充填、密封して、建築ワーキングジョイント用1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
実施例1と同様の混練容器に、窒素気流下で、合成例1で得たイソシアネート基含有ポリオキシプロピレン系ウレタンプレポリマーP−1 450g、合成例3で得た希釈用液状ポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1 150g及び親水性コロイド状シリカ(日本アエロジル社製AEROSIL200、BET比表面積200m2/g、平均一次粒子径約12nm)40gを攪拌しながら順次仕込み、内容物が均一になるまで混練りした後、合成例2で得た炭化水素基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物S−1 30gとジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)(日東化成社製ネオスタンU−220)0.9gを仕込み、60〜70℃で2時間攪拌、混合し、イソシアネート基含有ポリオキシプロピレン系ウレタンプレポリマーP−1存在下に炭化水素基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物S−1で、親水性コロイド状シリカの粒子表面を反応処理した。その後、50℃以下に冷却し、更に顔料として酸化チタン50g、充填剤として炭酸カルシウム200g(なお、酸化チタン、炭酸カルシウムはそれぞれ90〜100℃の乾燥器中で予め乾燥したものを使用)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス1010)10gをトルエン50gに予め溶解したもの、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3g及びジブチル錫ジラウレート0.5gを順次仕込み、内容物が均一になるまで攪拌、混合し、次いで減圧脱泡(20〜100hPa)し、容器に充填、密封して、建築ワーキングジョイント用1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
実施例2において、合成例1で得たイソシアネート基含有ポリオキシプロピレン系ウレタンプレポリマーP−1 450gの代わりに600gを使用し、希釈用液状ポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1を使用しないで、トルエン50gの代わりに60gを使用した以外は同様にして、建築ワーキングジョイント用1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
実施例2において、希釈用液状ポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1 150gの代わりに、ジオクチルフタレート150gを使用し、炭化水素基結合ウレイレン基及び架橋性シリル基含有化合物S−1、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)及びジブチル錫ジラウレートを使用しない以外は同様にして、1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
前記実施例1〜3で調製した建築ワーキングジョイント用1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物、比較例1で調製した1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物、比較例2として1成分形(湿気硬化性)シリコーン系シーリング材(一般市販品)及び比較例3として1成分形(湿気硬化性)変成シリコーン系シーリング材(一般市販品)をそれぞれ用いて、以下の試験を行った。
(1)タックフリー
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.19タックフリー試験」に準拠して測定した。
(2)硬化膜厚
シーリング材(組成物)を幅90mm×深さ60mm×長さ120mmのポリプロピレン製容器に充填し、余分なシーリング材をヘラでかきとって平らにし、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で養生した。充填してから3日後と7日後に、長さ方向に対して直角になるように切り取り、未硬化層を慎重に除去して表面から硬化して膜となっている部分の厚さを測定した。
(3)ムーブメント追従性
a.目地の作製
試験機の固定部と可動部のそれぞれの治具に、被着体として50mm角の立方体状に成型したモルタルを1個づつ相対するように固定し、試験機の動きがモルタルで作製した目地に伝わるようにした。モルタル面にポリエチレン製のバックアップ材(幅12mm×厚さ10mm×長さ50mm)を目地深さが12mmとなるように装填後、目地幅が12mmとなるように調整、固定し目地を作製した。したがって、このときの目地の形状は幅12mm×深さ12mm×長さ50mmとなる。
b.繰返し試験機使用
JIS A1439(1997)「建築用シーリング材の試験方法」、4.17耐久性試験の4.17.1のd)繰返し試験機に準拠したもので、拡大・縮小のサイクルを1日当たり1〜14,400サイクルに設定できるように作製したものを繰返し試験機として用いた。拡大、縮小の変位のサイクルを1日当たり1サイクル、変位幅を目地幅の±10%(±1.2mm)となるように試験機を設定し、前記の方法で作製したモルタルの目地に、プライマーを塗布し、30分前後のオープンタイムをとってから、シーリング材を気泡が入らないように充填し、余分なシーリング材をヘラでかきとって仕上げたものを試験体とした。なお、プライマーは、実施例1〜3及び比較例1で調製した1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物についてはオート化学工業社製OP−2531を使用し、他は専用のプライマーを用いた。シーリング材(組成物)を充填した後、直ちに試験機を稼動させ、目地の縮小・拡大の順で1日当たり1サイクルの条件で、ムーブメントをかけながら硬化させた。これは、外壁板が昼間は日照で膨張することにより目地が縮小し、夜間は気温が下がることにより収縮し目地が逆に拡大することを近似したものである。このときの雰囲気温度を23℃、50%相対湿度とした。硬化途中の変形繰返しを3サイクル(3日間)で打ち切り、目地幅が動かないように慎重に試験機から取り外した後、23℃、50%相対湿度で14日間かけて後養生、硬化させた。次いで、シーリング材硬化物を被着体から切り離し、中央部分を長さ方向に対して直角に切断し、断面の損傷の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
c.動的暴露試験機使用
日本シーリング材工業会推奨の試験機に準拠した、以下の仕様に示す動的暴露試験機を屋外の南面の向きに設置して試験に用いた。モルタル目地の作製、プライマーの塗布及びシーリング材(組成物)の充填は前記と同様の方法で行った。なお、シーリング材(組成物)の充填は、可動部のアクリル樹脂板が最大に膨張し、目地としては最も縮小していると考えられる午後2時頃行った。そのまま7日間硬化を行った後、目地幅が動かないように慎重に試験機から取り外し、更に23℃、50%相対湿度で14日間かけて後養生、硬化させた。次いで、シーリング材硬化物を被着体から切り離し、中央部分を長さ方向に対して直角に切断し、断面の損傷の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
なお、動的暴露試験機上で硬化させている間、アクリル樹脂板が最も膨張したときと最も収縮したときの差(最大変位)は2.4mmであり、アクリル樹脂板が最も膨張したときは午後2時頃であった。したがって、12mmの目地に最大で2.4mmのムーブメントがかかっていることになる。
この動的暴露試験機は、黒色アクリル樹脂板の熱膨張・収縮によるサーマルムーブメントを利用しているため、ムーブメント量は気温と日照により日々変化する。実際のビルのワーキングジョイントのサーマルムーブメントも同様の現象であるため、実際に近い状態での評価が可能である。
〔動的暴露試験機の仕様〕
架台の傾斜角度:30度
ムーブメント発生部:黒色アクリル樹脂板(長さ2,000mm×幅500mm×厚さ
40mm)
固定、可動ビーム:アルミニウム製(長さ500mm×幅50mm×厚さ50mm)
計測器:伸縮量検出器、温度検出器
記録装置:打点式記録計
また、被着体として、目地相当部分厚さ21mmの市販のサイディングを切り出し、縦50mm×横50mm×目地相当部分厚さ21mmに成型したものを使用し、前記と同様の方法でムーブメント追従性を試験した。このときの目地の形状は幅12mm×深さ11mm×長さ50mmである。
〔評価基準〕
○:防水上悪影響となる損傷がほとんど認められない状態
△:防水上悪影響となる損傷が少し認められる状態
×:防水上悪影響となる損傷が多く認められる状態
(ここにおいて、防水上悪影響となる損傷とは、硬化物内部の亀裂や空洞、硬化物表面のくぼみや盛り上がりなどを示す)
1成分形(湿気硬化性)ウレタン系シーリング材組成物の原料組成及びその性能などをまとめて表1に示す。
Claims (10)
- イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、揺変性付与剤(B)と、硬化促進触媒(C)とを含有する建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物であって、
該1成分形ウレタン系シーリング材組成物が、目地に対してムーブメントを与えることができる試験機に設けた目地に充填後、少なくとも1日に1サイクルのムーブメントを該目地に与えながら硬化させる試験において、実質的に損傷のない硬化物となる性能を有すること、を特徴とする前記建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。 - 前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量との比=Mw/Mn)1.6以下のポリオキシアルキレン系ポリオールと有機イソシアネートとを水酸基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるイソシアネート基含有ポリオキシアルキレン系ウレタンプレポリマーである、請求項1に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。
- 前記揺変性付与剤(B)が、有機表面処理炭酸カルシウムである、請求項1又は2に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。
- 前記揺変性付与剤(B)が、有機基結合ウレイレン基含有無機系物質粒子である、請求項1又は2に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。
- 更に希釈用樹脂(D)を配合してなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。
- 前記希釈用樹脂(D)が、数平均分子量が500以上の極性基を有する希釈用樹脂である、請求項5に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。
- 前記希釈用樹脂(D)が、数平均分子量が500以上で、分子中に実質的に水酸基又はイソシアネート基を有しないポリオキシアルキレン系希釈用樹脂である、請求項5に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。
- 更に添加剤を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物を、建築物のワーキングジョイントに充填施工して硬化させることにより、実質的に損傷のない硬化物を形成すること、を特徴とする建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物の施工方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物を、サイディング外壁目地に充填施工して硬化させることにより、実質的に損傷のない硬化物を形成すること、を特徴とする建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物の施工方法。
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