JP5096039B2 - 湿気硬化性組成物及び湿気硬化性シーリング材 - Google Patents
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Description
しかしながら、ポリウレタン樹脂は、硬化後のゴム引張物性を低モジュラスから高モジュラス(高伸びから低伸び)まで比較的自由に調節できる利点を有している反面、シーリング材や塗膜防水材などに使用するため低〜中モジュラス域に設計したとき、ポリウレタン樹脂を含有する湿気硬化性組成物は、硬化後の表面にタック(粘着)が残るため、塵や埃などが付着し易くなり、表面が黒っぽく汚染してしまうという問題が生じる。特にシーリング材などの湿気硬化性組成物を外壁目地や屋上などの屋外に施工した場合、施工直後の完全硬化をしていない段階においては、残存タックが激しいため、例えば風が強く吹くなどして埃が舞ったとき、塵埃付着による汚染が激しく生じてしまう。
さて、水性樹脂塗料分野においては、低汚染性能を発揮する技術として、ポリオキシアルキレン基とアルコキシ基を有するアルコキシシランの変性縮合物である水性塗料用低汚染化剤、及びこれを合成樹脂エマルションに特定量添加した低汚染型水性塗料組成物、ならびに水酸基含有合成樹脂エマルションを含む主剤の硬化剤として、ポリオキシアルキレン基とイソシアネート基含有水分散性ポリイソシアネート化合物と、ポリオキシアルキレン基とアルコキシ基を有するアルコキシシランの変性縮合物と、特定の溶解度パラメータの溶剤を含むものを使用する方法が提案されている(特許文献1及び2参照。)。これらは、水性塗料に対して、アルコキシシラン化合物の相溶性を改良して分散安定性を高め、耐汚染性を向上させる技術であるが、これらは水性エマルションの分野に関するものであり、しかも塗料という硬化した塗膜が硬く元々汚染性が少ないものに関するものである。
しかしながら、非水系の硬化性組成物の分野において、しかも湿気硬化性のシーリング材や塗膜防水材などの硬化物が低〜中モジュラス(低硬度〜中硬度)領域の比較的柔らかなものの場合においては、硬化物に対して良好な汚染防止性を付与する効果的な技術がなく、硬化途中の段階においても、そして硬化後長期にわたっても優れた汚染防止性能を有する硬化性組成物が求められている。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(14)に示されるものである。
(2) 前記アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)が、下記一般式(1)に示すアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(a)と、水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)との反応生成物(B′)である、前記(1)の湿気硬化性組成物。
R2 4−nSi(OR1)n (1)
〔但し、式中、R1は炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表し、R1O基が複数のときは互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表し、R2が複数のときは互いに同じであっても異なっていてもよい。nは2〜4の整数である。〕
(3) 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、オキシエチレン基含有モノオールである、前記(2)の湿気硬化性組成物。
(4) 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、オキシエチレン基含有ポリオールである、前記(2)の湿気硬化性組成物。
(5) 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、オキシエチレン基含有モノオールとオキシエチレン基含有ポリオールとの組み合わせである、前記(2)の湿気硬化性組成物。
(6) 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、エチレングリコールモノメチルエーテルである、前記(2)の湿気硬化性組成物。
(7) 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、ポリエチレングリコールである、前記(2)の湿気硬化性組成物。
(8) 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、エチレングリコールモノメチルエーテルとポリエチレングリコールとの組み合わせである、前記(2)の湿気硬化性組成物。
(9) 前記一般式(1)に示すアルコキシシラン化合物が、テトラエトキシシランである、前記(2)〜(8)のいずれかの湿気硬化性組成物。
(10) 更に硬化促進触媒(C)を配合する、前記(1)〜(9)のいずれかの湿気硬化性組成物。
(11) 更に耐候性付与剤(D)を配合する、前記(1)〜(10)のいずれかの湿気硬化性組成物。
(12) 前記硬化促進触媒(C)が、金属キレート化合物である、前記(10)の湿気硬化性組成物。
(13) 更に添加剤(E)を配合する、前記(1)〜(12)のいずれかの湿気硬化性組成物。
(14) イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、オキシエチレン基含有アルコキシ基を分子内に少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)とからなること、を特徴とする湿気硬化性シーリング材。
本発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基が大気中の水分(湿気)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するものであり、活性水素化合物と有機イソシアネートとを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものであって、本発明の湿気硬化性組成物において硬化成分となるものである。
具体的には、活性水素化合物と有機イソシアネートとを、原料合計のイソシアネート基/活性水素(基)のモル比が1.3〜10/1.0、更には1.5〜3.0/1.0となる範囲で同時或いは逐次に反応させて、好適に製造することができる。モル比が1.3/1.0を下回ると、得られるウレタンプレポリマー(A)の架橋点が少なくなりすぎ、湿気硬化性組成物の硬化後の伸びや引張強度などが低下し、ゴム弾性物性や接着性が乏しいものとなり、モル比が10/1.0を超えると、湿気と反応したとき炭酸ガスの発生量が多くなり発泡の原因となるため好ましくない。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基含有量は0.3〜15.0質量%が好ましく、特に0.5〜5.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、プレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、プレポリマー中の架橋点が多くなりゴム弾性が悪化する点と、湿気との反応による炭酸ガスの発生量が多くなり硬化物が発泡する点で好ましくない。
製造方法としては、例えば、ガラス製やステンレス製などの反応容器に活性水素化合物と有機イソシアネートとを仕込み、後述する反応触媒や有機溶剤の存在下或いは不存在下に50〜120℃で反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気と反応すると、得られるウレタンプレポリマー(A)が増粘するため、窒素ガス置換、窒素ガス気流下などの湿気を遮断した状態で反応を行うことが好ましい。
なお、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、湿気と室温で反応硬化することにより一液湿気硬化型として使用される。
高分子のポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、炭化水素系ポリオールなどが挙げられ、数平均分子量500以上、好ましくは1,000以上のものである。
なお、本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数値である。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、アルキレンオキシドを開環付加重合させたものや、活性水素を2個以上含有する化合物などの開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどが挙げられる。
開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の低分子多価アルコール類、ソルビトール、シュークロース、グルコース、ラクトース、ソルビタン等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類、アジピン酸、テレフタル酸等の低分子ポリカルボン酸類、これらの少なくとも1種にアルキレンオキシドを反応させて得られる低分子量のポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、これらの混合物などが挙げられる。
すなわち、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、具体的には、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ランダム或いはブロック共重合ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシブチレン)−ランダム或いはブロック共重合ポリオールなどを挙げることができ、また、これらの各種ポリオールとトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたものも挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールは、良好な作業性などの理由で、数平均分子量が500〜100,000、更に1,000〜30,000、特に1,000〜20,000のものが好ましく、また、1分子当たり平均のアルコール性水酸基の個数は2個以上、更に2〜4個が好ましく、2〜3個が最も好ましい。
更に、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、複合金属シアン化錯体などの触媒を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系ポリオールとは、分子1モルの水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、本発明においては、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るポリオールが最も好ましい。
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、例えば、公知のコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、それらの酸エステル、酸無水物等と、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの合成に開始剤として使用される活性水素を2個以上含有する化合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン等の環状エステル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、例えば、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールと前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造に用いる低分子多価アルコール類と、ホスゲンとの脱塩酸反応、或いはジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応などから得られる化合物が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルポリオールとしては、水酸基を含有するヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合したものなどが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオールや水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオールなどが挙げられる。
ポリオールとしては更に、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールの製造原料として挙げた数平均分子量500未満の低分子多価アルコール類が挙げられる。
ポリアミンとしては、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリオキシアルキレン系ポリオールの末端がアミノ基となったポリオキシアルキレンポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げられる。
ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度が低く、硬化後の物性が良好なため、これから得られる湿気硬化性組成物の粘度が低く作業性が良好な点と、硬化後のゴム弾性物性や接着性が高い点で、高分子のポリオールが好ましく、更にポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、特にポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の変性用として、ポリオキシアルキレンモノアルコール、ブチルアルコール、オクタデシルモノアルコール等の高分子のモノアルコールや低分子のモノアルコールなども使用できる。
また、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などを1以上含有する変性イソシアネートも使用できる。
これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、得られる湿気硬化性組成物の硬化後の接着性や、高伸びで高引張り強度というゴム弾性物性を良好なものとすることができる点で、芳香族系ポリイソシアネートが好ましく、さらにジフェニルメタン系ポリイソシアネートが好ましく、特に4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
この(B)成分は、分子内のケイ素原子に加水分解性の基であるアルコキシ基が2個以上結合したアルコキシシラン化合物の単量体が2分子以上部分的に加水分解して縮合した多量体化合物であって、この多量体化合物の分子内のアルコキシ基のうち少なくとも1個のアルコキシ基が、オキシエチレン基を有するものである。
この(B)成分をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)からなる湿気硬化性組成物に配合することにより、湿気硬化性組成物を湿気に暴露させたとき、硬化後はもちろん、硬化途中の段階から、その表面に塵埃が付着しない、また少量付着しても雨やシャワー等の流水により簡単に洗い流すことができる、汚染防止性に優れた硬化物表面となる効果を与えるものである。これは、湿気硬化性組成物が水分により硬化が進行するとともに、(B)成分が硬化途中の段階から湿気硬化性組成物の表面に移行(ブリード)し、湿気により加水分解を受け、脱アルコールしながら縮合し、親水性の被膜を形成することによるものと推察される。
更に、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)からなる湿気硬化性組成物の硬化を促進させるなどのため、後述する硬化促進触媒(C)を配合すると、硬化後、硬化物表面が太陽光、酸素、雨水などの暴露を受けたとき、硬化促進触媒(C)が硬化後のウレタン結合を切断する触媒としても働くため、通常は硬化物の耐候性が低下してしまうのであるが、前記(B)成分は、これをイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、硬化促進触媒(C)とからなる湿気硬化性組成物に配合することにより、得られる湿気硬化性組成物の硬化後の表面が、著しく優れた耐候性を有するという効果を与えることができる。これは、前記したように、(B)成分が硬化物表面に速やかに親水性の被膜を形成し、バリヤー層となり、硬化物内部に太陽光や雨水などが直接暴露するのを防止するためと推察される。
(イ)メトキシシランやエトキシシランなどのアルコキシシランの部分加水分解縮合物に、水酸基とオキシエチレン基を有する化合物をアルコール交換反応して得られる化合物、
(ロ)テトラクロルシランなどのハロゲン化シランの部分加水分解縮合物に、水酸基とオキシエチレン基を有する化合物を脱ハロゲン化反応して得られる化合物、
(ハ)メチルオキシエチレンオキシ基などのオキシエチレン基を有するアルコキシ基を少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物の2分子以上、あるいはこのアルコキシシラン化合物と他のアルコキシシラン化合物を少量の水で部分的に加水分解縮合して得られる化合物、
などが挙げられるが、原料の入手と合成が容易な点で、(イ)の方法で得られる化合物が好ましい。
(イ)の反応で得られる化合物を具体的に説明すると、下記一般式(1)に表すアルコキシシラン化合物単量体の1種又は2種以上が、2分子以上、好ましくは2〜20分子、更に好ましくは2〜15分子、線状或いは3次元状に部分的に加水分解して縮合した多量体(部分加水分解縮合物)(a)と、水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)とをアルコール置換反応して得られる反応生成物(B′)が挙げられる。
R2 4−nSi(OR1)n (1)
〔但し、式中、R1は炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表し、R1O基が複数のときは互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表し、R2が複数のときは互いに同じであっても異なっていてもよい。nは2〜4の整数である。〕
前記R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基などが挙げられ、単独又は2種以上組み合わせることができるが、これらのうち加水分解のしやすさと、得られる(B)成分の汚染防止付与性能が高い点からメチル基、エチル基が好ましく、さらに得られる湿気硬化性組成物が湿気により硬化する際、発生するアルコールがメタノールでなくエタノールであり、プレポリマー中のイソシアネート基との反応が比較的遅く、硬化物のモジュラス低下が小さい点でエチル基が好ましい。
R2としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基などが挙げられるが、メチル基が好ましい。
nは、得られる(B)成分の汚染防止付与性能が高い点から3又は4が好ましく、特に4が好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物として、更に具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、モノメトキシトリエトキシシランなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち得られる(B)成分の汚染防止付与性能と耐候性付与性能が高い点で、テトラエトキシシランが好ましい。
そして、前記一般式(1)に表すアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(a)は、一般式(1)に表すアルコキシシラン化合物の2分子以上を、この化合物中のアルコキシ基のモル数の1/2未満のモル数の少量の水で、溶媒の存在下または非存在下に部分的に加水分解縮合して得られるが、得られる(B)成分が造膜性に優れ、汚染防止付与性能と耐候性付与性能が優れている点で、平均3〜20分子の部分加水分解縮合物、さらに平均4〜15分子の部分加水分解縮合物、特に平均約10分子の部分加水分解縮合物(平均約10量体)が好ましい。
なお、アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(a)には市販品があり、例えばコルコート社製の、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物である、メチルシリケート51(平均4量体)、メチルシリケート53A(平均7量体);テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物である、エチルシリケート40(平均5量体)、エチルシリケート48(平均約10量体);ジエトキシジメトキシシランの部分加水分解縮合物である、EMS−485(平均約10量体)などが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて使用できるが、造膜性に優れ、汚染防止性能と耐候性が優れている点で、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物が好ましく、さらにより多分子の部分加水分解縮合物が好ましく、特にエチルシリケート48(平均約10量体)が好ましい。
前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)は、分子内に少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個のオキシエチレン基を有する化合物であり、下記一般式(2)に表す化合物が好ましいものとして挙げられる。
R3(OR4)mOH (2)
〔但し、式中、R3は水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R4は炭素数2〜6の2価の炭化水素基を表す。mは1以上の整数を表す。R 4 の少なくとも一つはエチレン基である。〕
前記R3としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基などが挙げられ、これらのうち得られる(B)成分の汚染防止付与性能が高い点から、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。
R4としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ヘプチレン基、ヘキシレン基などが挙げられ、前記同様汚染防止付与性能が高い点で、エチレン基が好ましい。
また、mは1以上の整数であるが、前記同様汚染防止付与性能が高い点で、1〜20の整数が好ましく、さらに1〜10の整数が好ましい。
なお、前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)は、オキシエチレン基含有モノオールとオキシエチレン基含有ポリオールを組み合わせて使用できるが、この組み合わせて使用の意味は、前記(B′)成分の合成の際、一般式(1)に示す部分加水分解縮合物(a)と、オキシエチレン基含有モノオールと、オキシエチレン基含有ポリオールとを逐次又は同時に反応させたものを使用する場合と、一般式(1)に示す部分加水分解縮合物(a)とオキシエチレン基含有モノオールとの反応生成物と一般式(1)に示す部分加水分解縮合物(a)とオキシエチレン基含有ポリオールとの反応生成物をそれぞれ合成しておき、湿気硬化性組成物の製造の際、両者を組み合わせて配合する場合の両方を意味する。
なお、前記アルコール交換反応は、ステンレス製やガラス製の反応容器に(a)成分と(b)成分を仕込み、反応触媒の存在下又は不存在下、反応溶媒の存在下又は不存在下に60〜200℃に加熱して、副生するアルコールを反応系外に除去しながら置換反応を進める方法が挙げられる。
前記(B)成分の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.01〜100質量部、更に0.1〜30質量部、特に0.1〜10質量部が好ましい。0.01質量部未満では汚染防止付与効果が少なく、100質量部を超えると、加水分解して発生するアルキルアルコールの量が多くなり、(A)成分のイソシアネート基と反応して硬化不良を起こすため好ましくない。
この(C)成分は、湿気硬化性組成物に配合することにより、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と水分との反応を促進させ、湿気硬化性組成物の硬化を促進させる働きをすると共に、前記(B)成分の加水分解と縮合反応を促進させ、湿気硬化性組成物が硬化途中であっても、速やかに表面汚染防止の効果を発現させる触媒の働きもする。
前記(C)成分としては、具体的には、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物、3級アミン類などが挙げられ、金属と有機酸との塩としては、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オクチル酸ビスマス、オクチル酸ジルコニウム等の各種有機酸と、錫、ビスマス、ジルコニウム、亜鉛、マンガン等の各種金属との塩が挙げられる。有機金属と有機酸との塩としては、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物などが挙げられる。金属キレート化合物としては、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物である旭硝子社製EXCESTAR C−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンビスマス、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガンなどが挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられ、さらにこれら3級アミン類と有機カルボン酸の塩類なども挙げられる。
これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのうち、アルコキシシランの加水分解と縮合の促進効果が高く、以って硬化途中からの汚染防止性能を付与する効果が高い点で、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が好ましく、さらに金属キレート化合物が好ましく、特にジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)が好ましい。
前記(C)成分は、硬化速度、硬化途中からの汚染防止性能を付与する効果などの点から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.001〜10質量部、特に0.01〜2質量部配合するのが好ましい。
耐候性付与剤(D)は、得られる湿気硬化性組成物中のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の硬化後の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、湿気硬化性組成物の耐候性を向上させるために使用するものである。
しかし、耐候性付与剤(D)は、例えば湿気硬化性組成物をシーリング材として使用した場合など、目地の内側は硬化物の厚みが3mm以上など十分の厚さがある場合は、硬化物に対する耐候性を付与する効果は十分高いのであるが、目地の両端においては、シーリング材が目地から少しはみだして施工される場合が多くあり、そのはみ出した部分のシーリング材の厚さは、1mm以下と薄くなってしまい、このように硬化後の厚さが薄い場合、硬化物への耐候性付与の効果は厚いときに比べ低下してしまう。これは硬化物の厚さが薄い場合、耐候性性付与剤(D)の揮発による濃度低下が早めに生じるためである。
このとき、湿気硬化性組成物にオキシエチレン基含有アルコキシ基を分子内に少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)を配合しておくと、硬化物が1mm以下の薄い場合でも、十分に高い耐候性を有する。これは(B)成分が硬化物の表面に移行(ブリード)し、湿気等の水分により加水分解と縮合を受けることにより、極めて薄い被膜を形成し、この被膜がバリヤーとなり,太陽光や雨水などの直接暴露を防止することにより耐候性が高められる効果と、耐候性付与剤(D)の揮発がこの被膜により防止され、耐候性付与剤(D)の濃度低下が生じないため、耐候性が高められる効果の相乗によるものと推察される。
したがって、本発明はまた、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、硬化促進触媒(C)とからなる湿気硬化性組成物に、或いはこれらに更に耐候性付与剤(D)を配合した湿気硬化性組成物に、前記のアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)を配合することにより、湿気硬化性組成物に対して優れた耐汚染性及び耐候性を付与する方法でもある。
耐候性付与剤(D)として具体的には、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられ、耐候性付与効果が高い点で、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、特にヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤の併用が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらのうち、揺変性付与効果が高い点で脂肪酸処理炭酸カルシウムが好ましい。
表面の艶を消すとともに凹凸を付与するものとしては、粒状物やバルーンなどが挙げられ、粒状物としては前記充填剤として挙げたものと同様のもので、粒径が50μm以上の大きなものが挙げられる。
バルーンは中空の物質であり、その形状は球状だけでなく、立方状、直方状、金平糖状など各種あり、また湿気硬化性組成物に対する凹凸付与効果を消失させない程度にバルーンを少し破壊したものも挙げられるが、湿気硬化性組成物の作業性の良さから球状が好ましい。具体的に例えば、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン等の無機系バルーン、フェノール樹脂バルーン、尿素樹脂バルーン、ポリスチレンバルーン、ポリエチレンバルーン、サランバルーン等の有機系バルーン、或いは無機系化合物と有機系化合物を混合したり積層したりした複合化バルーンなどが挙げられる。
また、これらのバルーンをコーティングしたり表面処理したりしたものも使用でき、例えば、無機系バルーンを前記シランカップリング剤などで表面処理したもの、有機系バルーンを炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどでコーティングしたものなども挙げられる。
これらのうち、意匠性付与効果の大きさの点から、粒状物及び/又はバルーンが好ましく、更に粒状無機系充填剤及び/又は無機系バルーンが好ましく、特に粗粒重質炭酸カルシウム及び/又はセラミックバルーンが好ましい。
粒状物及び/又はバルーンの粒径は、意匠性付与効果の大きさの点から50μm以上、更には100〜1,000μmが好ましい。
可塑剤の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対し、1〜100質量部、さらに10〜60質量部が好ましい。
有機溶剤としては、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネートと反応しないものであればどのようなものでもよいが、例えば、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリット、ナフテン類、灯油、工業ガソリン等の石油留分系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルカーボネート等の炭酸エステル系溶剤などが挙げられる。
有機溶剤は安全性の点で、湿気硬化性組成物中に10質量%未満、更に5質量%未満、より更に1質量%未満となるように使用するのが好ましく、最も好ましいのは0質量%と使用しないことである。
本発明の湿気硬化性組成物の製造方法としては、特に限定はされないが、例えば、前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、オキシエチレン基含有アルコキシ基を分子内に少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、硬化促進触媒(C)と、更に耐候性付与剤(D)と、また更に添加剤(E)或いは可塑剤のうち必要に応じ選択したものを、ステンレス製や鉄製などで湿気を遮断できる攪拌、混合装置に仕込み、常圧下、減圧下、加圧下或いは窒素気流下などの各種の条件下に、パッチ式或いは連続式に攪拌、混合して製造することができる。前記攪拌、混合装置としては、例えばプラネタリーミキサー、ニーダー、アジター、ナウタミキサー、ラインミキサーなど各種挙げられる。
製造した湿気硬化性組成物は、湿気により増粘、硬化するものであるため、内容物の貯蔵安定性を保つため湿気を遮断できる容器に詰め、密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては湿気を遮断できる容器であれば何でもよいが、例えばドラム缶、金属製や合成樹脂製のペール缶や袋状容器、紙製や合成樹脂製のカートリッジ状容器など各種の容器が挙げられる。そして使用に際し、湿気硬化性組成物を詰めた容器を開封し、手動や電動の押出しガンや、塗布装置を用いて、施工の対象物に充填や塗布をして施工すればよい。
本発明の湿気硬化性組成物は、建築物や土木構築物のシーリング材、接着剤、塗膜防水剤などとして広く使用できるが、湿気硬化性組成物が硬化途中においても、そして硬化後長年にわたっても優れた汚染防止性能及び著しく優れた耐候性を有するという特徴を最大限に発揮できる点で、湿気硬化性組成物を硬化後の表面が塵埃の暴露を受けやすく、太陽光や雨水に暴露されやすい場所に施工することを用途とするのが好ましい。
特に、それぞれが本発明の湿気硬化性組成物からなる、サイディング用シーリング材、ビル外壁目地用シーリング材又はポリウレタン系塗膜防水材として使用するのが適している。
なお、後述するような、シーリング材の硬化後、その表面に塗料を上塗りすることなく、直接屋外の周囲環境に暴露される目地を総称して暴露目地という。したがって、本発明の湿気硬化性シーリング材は暴露目地を施工の対象とするのが、最も性能を発揮することができ適している。
更に、具体的に説明すると、一戸建てや集合住宅等の建築物において、窯業系或いは金属系のサイディングと呼ばれる板を貼り付け外壁を形成する工法が広く採用されているが、このサイディング外壁に形成された目地には、防水のためシーリング材を充填、施工する必要がある。この際、サイディングが予め塗装により天然石張り風やタイル張り風の意匠が施されている場合、シーリング材は、その表面色と適合する色に予め着色されたものを使用するため、充填、施工した後、硬化シーリング材の表面は上塗り塗装されることなく、直接屋外の環境に暴露され、塵埃の接触する機会や太陽光などに暴露される機会が多くなることとなる。このようなサイディングで形成された目地に、本発明のサイディング用シーリング材を充填、施工することにより、汚染のない耐候性に優れた、きれいなサイディング外壁の充填目地を長年にわたり維持することが可能となる。
また、低中層や高層のビル建築物においては、シーリング材を充填、施工した後の目地の表面を上塗り塗装することはほとんどなく、前記同様、硬化シーリング材は直接屋外の環境に暴露され、塵埃の接触する機会や太陽光などに暴露される機会が多くなることとなる。このようなビル建築物の外壁に形成された目地に、本発明のビル外壁目地用シーリング材を充填、施工することにより、汚染のない耐候性に優れた、きれいなビル外壁の充填目地を長年にわたり維持することが可能となる。
また、建築物の屋上やベランダ床などに塗膜防水材を施工して面防水をする工法があるが、この場合も、硬化後の塗膜防水材に塵埃の接触する機会や太陽光などに暴露される機会が多くなる。このような屋上やベランダ床などに、本発明のポリウレタン塗膜防水材を塗布、施工することにより、汚染のない耐候性に優れた、きれいな面防水された屋上やベランダ床を長年にわたり維持することが可能となる。
なお、前記各種用途のシーリング材や塗膜防水材は、通常、サイディング、石板、コンクリート等からなる下地との接着性を高めるため、被接着面となる下地にプライマーを塗布した上に充填や塗布をするのが好ましい。
また、本発明の湿気硬化性組成物は、シーリング材やウレタン塗膜防水材として適用するために、下地の変位に追従させるため、硬化後の物性の設計を伸びが300%以上、好ましくは500%以上、そして50%引っ張り応力が50N/cm2以下、好ましくは30N/cm2以下の、伸びの大きな柔らかなゴム弾性物性としても、優れた汚染防止性能と耐候性を発揮するものである。
ここにおいて、湿気硬化性組成物の例として1液型湿気硬化性組成物及び1液型湿気硬化性シーリング材を示したが、これらに限定されるものではない。
攪拌機、温度計、窒素導入管及び加温・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、エクセノール−3021、数平均分子量3,300)666gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学ポリウレタン社製、Ttiol−MN−4000、数平均分子量4,000)195gを仕込み、攪拌しながら4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、分子量250)138gと、オクチル酸錫(日東化成社製、ネオスタンU−28)0.1gを加えたのち、加温して70〜80℃で2時間攪拌して、イソシアネート基含有量が理論値(2.31質量%)以下となった時点で反応を終了し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を製造した。
このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.16質量%、粘度34,000mPa・s/25℃、常温で透明の粘稠な液体であった。
合成例1と同様の反応容器に、窒素ガスを流しながら、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)(コルコート社製、エチルシリケート40、分子量(平均値)745.2)を74.5gと、エチレングリコールモノメチルエーテル(分子量76.1)を38.1gと、反応触媒としてターシャリーブチルチタネートを0.01g仕込み、撹拌しながら加熱して副生エタノールを系外に留去しながらアルコール置換反応を続けた。副生エタノールの留出開始温度は100℃であり、2時間後160℃でエタノールの留去が停止したときを反応終了とし、冷却してテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル40モル%置換反応物OES−1を合成した。このときの副生エタノールの留出量は23.1gであった。得られた反応物OES−1は、半透明の液体であった。
合成例2において、エチレングリコールモノメチルエーテル(分子量76.1)を76.1g使用した以外は同様にして、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル80モル%置換反応物OES−2を合成した。このときの反応時間は3時間であり、副生したエタノールの量は46gであった。得られた置換反応物OES−2は、半透明な液体であった。
合成例2において、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体、分子量745.2)を149g使用し、エチレングリコールモノメチルエーテルを使用しないで、代わりにポリエチレングリコール(日本油脂社製、PEG#300、数平均分子量300)を30g使用した以外は同様にして、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとの反応物OES−3を合成した。このときの反応時間は0.5時間であり、副生したエタノールの量は9gであった。得られた反応物OES−3は、半透明な粘稠液体であった。
合成例4において、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとの反応物を合成したのち、さらにエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量76.1)を76g仕込み、再度2時間加熱し、脱エタノール反応を続けた以外は同様にして、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとエチレングリコールモノメチルエーテルとの反応物OES−4を合成した。このときの合計反応時間は2.5時間であり、副生したエタノールの量は合計55gであった。得られた反応物OES−4は、半透明な粘稠液体であった。
合成例2と同様の反応容器に、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均約10量体)(コルコート社製、エチルシリケート48、分子量1400)を140gと、エチレングリコールモノメチルエーテル(分子量76.1)を76gと、反応触媒としてターシャリーブチルチタネートを0.01g仕込み、撹拌しながら加熱して副生エタノールを系外に留去しながらアルコール置換反応を続けた。副生エタノールの留出開始温度は100℃であり、3時間後160℃でエタノールの留去が停止したときを反応終了とし、冷却してテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均約10量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル45モル%置換反応物OES−5を合成した。このときの副生エタノールの留出量は46gであった。得られた反応物OES−5は、半透明の液体であった。
ステンレス製円筒容器に、ジイソノニルフタレート(DINP)70gと、予め100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.1質量%以下にしたサーマルブラック30gを仕込み、ディゾルバー式高速攪拌機を用いて攪拌し、均一に分散して黒色トナーを調製した。
調製例1と同様の容器に、ジイソノニルフタレート(DINP)70gと、予め100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.1質量%以下にした黄色酸化鉄30gを仕込み、ディゾルバー式高速攪拌機を用いて攪拌し、均一に分散して黄色トナーを調製した。
調製例1と同様の容器に、ジイソノニルフタレート(DINP)70gと、予め100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.1質量%以下にした赤色酸化鉄30gを仕込み、ディゾルバー式高速攪拌機を用いて攪拌し、均一に分散して赤色トナーを調製した。
攪拌機、加熱、冷却装置及び窒素導入管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を100g仕込み、攪拌しながら合成例2で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル40モル%置換反応物OES−1を0.5g仕込み、混合溶解した。次いで、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、1液型湿気硬化性組成物S−1を調製した。
得られた1液型湿気硬化性組成物S−1は、常温で透明の粘稠液体であった。
実施例1において、40モル%置換反応物OES−1をそれぞれ1.0g、3.0g使用した以外は同様にして、常温で透明の粘稠液体の1液型湿気硬化性組成物S−2、S−3をそれぞれ調製した。
実施例1において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりに合成例3で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル80モル%置換反応物OES−2を1.0g使用した以外は同様にして、1液型湿気硬化性組成物S−4を調製した。
得られた1液型湿気硬化性組成物S−4は、常温で透明の粘稠液体であった。
実施例1において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりに合成例4で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとの反応物OES−3をそれぞれ1.0g、3.0g使用した以外は同様にして、常温で透明の粘稠液体の1液型湿気硬化性組成物S−5、S−6をそれぞれ調製した。
実施例1において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりに合成例5で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとエチレングリコールモノメチルエーテルとの反応物OES−4をそれぞれ0.5g、1.0g、3.0g使用した以外は同様にして、常温で透明の粘稠液体の1液型湿気硬化性組成物S−7、S−8、S−9をそれぞれ調製した。
実施例1において、合成例2で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル40モル%置換反応物OES−1と、合成例4で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとの反応物OES−3の両方を使用した以外は同様にして、常温で透明の粘稠液体の1液型湿気硬化性組成物S−10、S−11、S−12をそれぞれ調製した。このときのOES−1とOES−3の仕込み量は、それぞれ0.3gと0.2gの組み合わせ、0.5gと0.5gの組み合わせ、1.5gと1.5gの組み合わせとした。
実施例1において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1を使用しない以外は同様にして、常温で透明の粘稠液体の1液型湿気硬化性組成物(比較S−1)を調製した。
実施例1において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりにテトラメトキシシラン(多摩化学工業社製、正珪酸メチルモノマー)を1.0g使用した以外は同様にして、常温で透明の粘稠液体の1液型湿気硬化性組成物(比較S−2)を調製した。
実施例1において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりにテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(平均4量体)(コルコート社製、メチルシリケート51)を1.0g使用した以外は同様にして、常温で透明の粘稠液体の1液型湿気硬化性組成物(比較S−3)を調製した。
攪拌機、加熱、冷却装置及び窒素導入管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を100g仕込み、攪拌しながら予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム50gと、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華CCR)70gと、酸化チタン10gと、ジイソノニルフタレート(DINP)50gを順次仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、予めヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX1010、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])20gと、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、TINUVIN765、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物)の20gを、それぞれ80gのジメチルカーボネートに溶解して調製したヒンダードフェノール系酸化防止剤の20質量%溶液を2.0gと、ヒンダードアミン系光安定剤の20質量%溶液を1.0gと、p−トルエンスルホニルイソシアネート1.0gと、合成例2で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル40モル%置換反応物OES−1を0.5gと、硬化促進触媒としてジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)(日東化成社製、ネオスタンU−220)0.02gとを仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、1液型湿気硬化性シーリング材S−13を調製した。
得られた1液型湿気硬化性シーリング材S−13は、室温で白色の流動しないペースト状液体であった。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1をそれぞれ1.0g、6.0g使用した以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性シーリング材S−14、S−15をそれぞれ調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりに合成例6で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均約10量体)のエチレングリコールモノメチルエーテル45モル%置換反応物OES−5をそれぞれ1.0g、6.0g使用した以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材S−16、S−17を調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりに合成例4で得たテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとの反応物OES−3をそれぞれ1.0g、6.0g使用した以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材S−18、S−19を調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりに、合成例5で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとエチレングリコールモノメチルエーテルとの反応物OES−4を1.0g使用した以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材S−20を調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1を0.5g仕込んだ後、更に合成例4で得たテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)とポリエチレングリコールとの反応物OES−3を0.5g添加した以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材S−21を調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1と、硬化促進触媒のジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)を使用しない以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材(比較S−4)を調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1を使用しない以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材(比較S−5)を調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりにテトラメトキシシラン(多摩化学工業社製、正珪酸メチルモノマー)を1.0g使用した以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材(比較S−6)を調製した。
実施例13において、合成例2で得た40モル%置換反応物OES−1の代わりにテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(平均4量体)(コルコート社製、メチルシリケート51)を1.0g使用した以外は同様にして、常温で白色の流動しないペースト状液体の1液型湿気硬化性のシーリング材(比較S−7)を調製した。
実施例13と同様の混練容器に、窒素ガスを流しながら、実施例13で得た1液型湿気硬化性シーリング材S−13を300g仕込み、攪拌しながら、調製例1で得た黒色トナーを1.2gと、調製例2で得た黄色トナー7.4gと、調製例3で得た赤色トナー2.0gを順次仕込み、内容物が、均一になるまで混合した。次いで50〜100hPaで減圧脱泡し、紙製のカートリッジ状容器に充填、密封して、実施例1で得た1液型湿気硬化性シーリング材S−1を使用しないで、代わりに実施例2で得た1液型湿気硬化性シーリング材S−2を300g使用した以外は同様にして、レンジブラウン色に着色したサイディング用の1液型湿気硬化性シーリング材S−22を調製した。
実施例22において、実施例13で得た1液型湿気硬化性シーリング材S−13の代わりに、実施例16、18、20、21でそれぞれ得た1液型湿気硬化性シーリング材S−16、S−18、S−20、S−21をそれぞれ300g使用した以外は同様にして、レンジブラウン色に着色したサイディング用の1液型湿気硬化性シーリング材S−23、S−24、S−25、S−26をそれぞれ調製した。
比較例22において、実施例13で得た1液型湿気硬化性シーリング材S−13の代わりに、比較例4、5、6でそれぞれ得た1液型湿気硬化性シーリング材(比較S−4)、(比較S−5)、(比較S−6)をそれぞれ300g使用した以外は同様にして、レンジブラウン色に着色したサイディング用の1液型湿気硬化性シーリング材(比較S−8)、(比較S−9)、(比較S−10)をそれぞれ調製した。
実施例1〜12と比較例1〜3で得た1液型湿気硬化性組成物を用い、下記の硬化途中、硬化後及び屋外におけるそれぞれの汚染性A試験を行った結果を原料組成とともに表1〜3に示し、実施例13〜21と比較例4〜7で得た1液型湿気硬化性シーリング材を用い、下記の硬化途中、硬化後及び屋外における汚染性A試験、引張接着性試験ならびに耐候性試験を行った結果を原料組成とともに表4及び5に示し、そして実施例22〜26と比較例8〜10で得た1液型湿気硬化性シーリング材を用い、下記のサイディング目地を使用した屋外暴露の汚染性B試験を行った結果を原料組成とともに表6に示す。
1.汚染性A試験
(a)硬化途中(室内養生14時間後)の汚染性
厚さ5mmのスレート板の表面に、厚さ5mm×幅20mmの短冊状に切り出したスレート板を四角枠状に配置して、接着剤を用いて接着し、深さ5mm×幅20mm×長さ150mmの目地を作製し、この目地に1液型湿気硬化性組成物又は1液型湿気硬化性シーリング材を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らにしたものを試験体とした。
試験体を必要数作製し、直ちに23℃、50%相対湿度に調節した部屋に置いて養生した。14時間経過後、試験体の表面に黒色珪砂(粒径70〜110μm)をふりかけ、直ちに試験体を裏返し、底面を手で軽く叩いて余分の黒色珪砂を落とした。表面に付着して残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視により観察し、硬化途中の汚染性を下記の判定基準により評価した。
なお、このとき試験体の表面を指で軽く触れたところ、組成物は指に付着してこなかったが、内部は硬化していなかった。
判定基準
○:表面に黒色珪砂の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:表面に黒色珪砂が多量に付着し、黒く汚れた状態。
(b)硬化後(室内養生7日後)の汚染性
前記硬化途中の汚染性試験において、試験体を23℃、50%相対湿度の室内に置いてから、7日経過後に黒色珪砂をふりかけた以外は同様にして、硬化後の汚染性試験を行い下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:表面に黒色珪砂の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:表面に黒色珪砂が多量に付着し、黒く汚れた状態。
(c)屋外暴露1ヶ月後の汚染性
前記硬化途中の汚染性試験において作製したのと同様の試験体を必要数作製し、23℃、50%相対湿度の室内に14時間置いた後、屋外の交通量の多い交差点付近に、目地の表面が道路に面する向きに、その長さ方向を垂直にして設置し暴露した。1ヶ月経過後、試験体を取り外し、試験体表面の塵埃付着による汚染の状態を目視により観察し、屋外暴露1ヶ月後の汚染性を下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:表面に塵埃の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:表面に塵埃が多量に付着し、黒く汚れた状態。
2.引張接着性試験
JIS A 1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」の4.21引張接着性により、養生後の試験体について引張試験をし、50%引張応力(M50)(N/cm2)、最大引張応力(Tmax)(N/cm2)及び最大荷重時の伸び(Emax)(%)を求めた。
なお、試験体はモルタルを被着体とし、プライマー(オート化学工業社製、OP−2531)で処理し、シーリング材を打設、養生して作製した。
3.耐候性試験
(a)薄膜(0.2mm)の耐候性試験
厚さ5mmのスレート板の表面に、厚さ0.1mm×幅12mmのマスキングテープを2枚ずつ重ねて四角枠状に貼り、この中にシーリング材を塗布し、余分のものをヘラでかきとり表面を平らにし、厚さ0.2mm×幅30mm×長さ100mmに塗布したものを作製し、直ちに23℃、50%相対湿度に調節した部屋に7日間置き、硬化養生したものを試験体とした。
試験体をJIS K 6266(1996、確認2001)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの耐候性試験方法」の5.オープンフレームカーボンアーク灯式耐候性試験により、サンシャインウエザオメーターを用いて、SA法(ブラックパネル温度63℃、102分間の照射後、18分間の照射及び水噴霧)の条件で光照射を行った。100時間照射後、300時間照射後、500時間照射後の試験体表面の外観変化を目視により観察し、薄膜(0.2mm)時の耐候性を下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:試験体表面にクラッキング(き裂)がないか又は少ないもの。
×:試験体表面にクラッキング(き裂)が多数あるもの。
(b)厚膜(5mm)の耐候性
前記薄膜(0.2mm)の耐候性試験において、厚さ5mm×幅12mmの発泡ポリエチレン製バックアップ材を四角枠状に貼り、シーリング材の塗布厚さを5mmにしたものを試験体とした以外は同様にして光照射を行い、1000時間照射後、1500時間照射後、2000時間照射後の試験体表面の外観変化を目視により観察し、厚膜(5mm)時の耐候性を下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:試験体表面にクラッキング(き裂)がないか又は少ないもの。
×:試験体表面にクラッキング(き裂)が多数あるもの。
4.汚染性B試験
サイディング目地を使用した屋外暴露の汚染性
厚さ5mmの合板の表面に、被着体としての表面色名レンジブラウンのサイディング(クボタ松下電工外装社製、ネオロック・セラ16、厚さ16mm)を縦300mm×横300mmの大きさに切り出したもの2枚を、12mmの間隔を開けて並べ固定し、幅12mmの目地を作製した。この目地に厚さ2mmの発泡ポリエチレン製のバックアップ材を装填し、幅12mm×深さ10mm×長さ300mmの目地とした。この目地を刷毛で清掃した後、目地の両側にマスキングテープを貼り、プライマー(オート化学工業社製、OP−2531)をシーリング材の被着面となる両側面に刷毛で塗布し30分間放置した。これを必要数作製し、レンジブラウン色に着色したサイディング用の1液型湿気硬化性シーリング材を充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにした後、マスキングテープを剥がしたものを試験体とした。
なお、この試験体の目地表面はサイディング表面色にマッチし、きれいな充填目地となっていた。
試験体を作製したら直ちに交通量の多い交差点付近に、目地の表面が道路に面する向きに、その長さ方向を垂直にして設置した。1ヶ月経過後、試験体を取り外し、表面の塵埃付着による汚染の状態を目視により観察し、サイディング目地を使用した屋外暴露の汚染性を下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:表面に塵埃の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:表面に塵埃が多量に付着し、汚れた状態。
Claims (14)
- イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、オキシエチレン基含有アルコキシ基を分子内に少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)とからなること、を特徴とする湿気硬化性組成物。
- 前記アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)が、下記一般式(1)に示すアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(a)と、水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)との反応生成物(B′)である、請求項1に記載の湿気硬化性組成物。
R2 4−nSi(OR1)n (1)
〔但し、式中、R1は炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表し、R1O基が複数のときは互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表し、R2が複数のときは互いに同じであっても異なっていてもよい。nは2〜4の整数である。〕 - 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、オキシエチレン基含有モノオールである、請求項2に記載の湿気硬化性組成物。
- 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、オキシエチレン基含有ポリオールである、請求項2に記載の湿気硬化性組成物。
- 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、オキシエチレン基含有モノオールとオキシエチレン基含有ポリオールとの組み合わせである、請求項2に記載の湿気硬化性組成物。
- 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、エチレングリコールモノメチルエーテルである、請求項2に記載の湿気硬化性組成物。
- 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、ポリエチレングリコールである、請求項2に記載の湿気硬化性組成物。
- 前記水酸基及びオキシエチレン基含有化合物(b)が、エチレングリコールモノメチルエーテルとポリエチレングリコールとの組み合わせである、請求項2に記載の湿気硬化性組成物。
- 前記一般式(1)に示すアルコキシシラン化合物が、テトラエトキシシランである、請求項2〜8のいずれか一項に記載の湿気硬化性組成物。
- 更に硬化促進触媒(C)を配合する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿気硬化性組成物。
- 更に耐候性付与剤(D)を配合する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の湿気硬化性組成物。
- 前記硬化促進触媒(C)が、金属キレート化合物である、請求項10に記載の湿気硬化性組成物。
- 更に添加剤(E)を配合する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の湿気硬化性組成物。
- イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、オキシエチレン基含有アルコキシ基を分子内に少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)とからなること、を特徴とする湿気硬化性シーリング材。
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