JP4603285B2 - 上塗り塗料付着性を向上させる方法および上塗り塗装仕様向けに適したウレタン系シーリング材組成物 - Google Patents

上塗り塗料付着性を向上させる方法および上塗り塗装仕様向けに適したウレタン系シーリング材組成物 Download PDF

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本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーよりなる硬化性組成物の上塗り塗料付着性を向上させる方法とその上塗り塗料付着性が向上された上塗り塗装仕様向けに適した硬化性組成物に関するものである。
従来から、建築物用、土木用、自動車用などの防水シーリング材、接着剤、塗料などの硬化性組成物として、硬化性樹脂成分としてポリウレタン樹脂を使用したウレタン系硬化性組成物が作業性や硬化後の接着性などに優れている点から広く使用されている。このウレタン系硬化性組成物を建築分野や土木分野などに用いる場合、例えば、建築物の外壁面や外壁目地に接着剤、塗料あるいは防水シーリング材として、あるいは土木構築物の防水塗料や板間目地の防水シーリング材として用いる場合に、塗布や充填施工し硬化させた後、物件により外観を美麗にしたり特定のイメージを与えたりするなどの意匠性を付与する目的で、あるいは耐久性を高める目的で、さらに塗料を上塗り塗装する仕様を採用する場合が数多くあり、その場合、硬化物表面に対する上塗り塗料の塗膜付着性(塗膜密着性)が良好で、経年により塗膜が剥離しないことが必要となる。
そして、前記ウレタン系硬化性組成物には硬化性樹脂成分としてイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを使用するものがあり、このものは、このイソシアネート基が大気中の水分(湿気)と反応し架橋硬化するため、一液型湿気硬化性組成物として使用でき、2液型のように主剤と硬化剤の混合の手間がなく、また混合不良や計量間違いによる硬化不良もないため、熟練工でなくても安全に使用でき、かつ作業性に優れているところから好適に使用され、使用量も年々増加している。
上述のように塗料を上塗り塗装する仕様を採用する場合、このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物を、前述のような対象物に塗布や充填施工した後、短いときで3〜7日間程度、長いときで2週間〜1箇月程度の硬化養生期間をとった後、硬化物表面に各種の上塗り塗料を塗布するのであるが、硬化物表面に対する塗料硬化後の塗膜の付着性があまり良くなく、特に近年の環境保護の高まりの中で使用量が増加している水系塗料の付着性が悪いという問題があり、上塗り塗膜の付着性の向上が強く求められている。
さらに、建築物外壁や土木構築物は、長年にわたり雨水等の水に曝されることが頻繁にあるため、上塗りした塗膜が水に曝されたときも剥離しないこと、すなわち塗膜の耐水付着性が良好であることが必要となる。
さて、特定のジイソシアネートモノマーから誘導されるイソシアネート末端プレポリマーと、酸素と反応しうる不飽和化合物を含むポリイソシアネート組成物が提案されている。この組成物は、耐候性に優れるとともに、とりわけ耐汚染性に優れたものであるが、上塗り塗料を硬化後の表面に塗布した場合に上塗り塗料の付着性をどのようにすれば改善できるのかについては何ら開示するところがない。(たとえば、特許文献1参照)
また、ウレタンプレポリマーに光硬化性物質と空気中の酸素と反応し得る不飽和化合物からなる硬化性組成物が提案されている。この組成物は、耐候劣化による割れを改良するとともに耐汚染性あるいは埃等の付着による硬化物表面の汚れを改良するが示されているが、上塗り塗料の付着性をどのように改良できるのかについて何ら記述されていない。(たとえば、特許文献2参照)
このように、硬化性組成物の硬化後の表面に対する上塗り塗料の付着性を向上させる優れた方法は未だにないのが実情であり、このような付着性を改善することが求められていた。
特開平07−166147号公報 特開平05−163477号公報
本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物の硬化養生期間が短期、長期にかかわらず、硬化後の硬化物表面に上塗りした塗料の塗膜付着性、さらには上塗り塗膜の耐水付着性を向上させる方法、ならびに上塗り塗料の付着性を向上させた上塗り塗装仕様向けに適したウレタン系シーリング材組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記従来の問題に鑑み鋭意検討した結果、驚くべきことにイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに酸素硬化性不飽和化合物を配合すると、上塗り塗料の塗膜の付着性、さらには塗膜の耐水付着性が著しく向上することを見出し、本願発明にいたったものである。すなわち、本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに酸素硬化性不飽和化合物を添加することにより上塗り塗料の付着性を向上する方法とこの上塗り塗料の塗膜付着性を向上させた上塗り塗装仕様向けに適したウレタン系シーリング材組成物に関するものである。
よりくわしくは、本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーよりなる硬化性組成物に酸素硬化性不飽和化合物を添加することにより上塗り塗料の付着性を向上する方法であり、ここで、酸素硬化性不飽和化合物としては分子中に酸素硬化性の不飽和基と極性基を含有する化合物が挙げられ、さらに乾性油及びその変性物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が挙げられる。また、この上塗り塗料の付着性が向上されたものにさらに添加剤、たとえば希釈用樹脂を添加してもよいものである。また、本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと酸素硬化性不飽和化合物とを含有することを特徴とする上塗り塗装仕様向けに適したウレタン系シーリング材組成物に関するものである。
このような構成をとることにより、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーよりなる硬化性組成物が、充填や塗布時の作業性、硬化後の引張り応力や伸びなどのゴム弾性物性、接着性、耐熱性、耐水性などが良好なことはもちろん、特に、硬化物の表面に上塗り塗料を塗布した場合に、塗料塗膜と硬化物表面との付着性が改善されるばかりでなく、塗膜の耐水付着性が大きく改善されるという優れた効果を奏するものである。
以下に、本願発明で使用する成分について説明する。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基が大気中の水分(湿気)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するもので、本願発明における硬化性組成物に硬化成分として含有させるものであり、有機イソシアネートと活性水素含有化合物とを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰条件で反応させて得られるものである。
有機イソシアネートとしては、有機ポリイソシアネートと、場合により有機モノイソシアネートとが挙げられ、有機ポリイソシアネートとしては、具体的には例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフエニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフエニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフエニルメタンジイソシアネート等のジフエニルメタンジイソシアネート(MDI)類、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート(TDI)類、ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、およびこれらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)などが挙げられ、これらは単独または2種以上を組合わせて用いることができる。また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、場合によりn−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−へキサデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネート等の有機モノイソシアネートを使用することもできる。これらのうち、硬化後の引張り接着性や耐水性などが優れている点で、有機ポリイソシアネートが好ましく、さらに芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートが好ましく、よりさらにMDI類が好ましく、特に4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
前記活性水素含有化合物としては、高分子ポリオールや高分子ポリアミンの他、場合により使用する鎖延長剤としての、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、或いはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として用いる高分子や低分子のモノオールなどが挙げられる。
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール、またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
高分子ポリオールの数平均分子量は、500以上、さらに1,000〜100,000、よりさらに1、000〜30,000、特に1,000〜20,000が好ましい。数平均分子量が500未満では、得られる硬化性組成物の硬化後の伸びなどのゴム弾性物性が悪化し、100,000を超えると、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ、作業性が悪くなるため好ましくない。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、または酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また、例えば、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合あるいは共重合」を(共)重合という。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムあるいはブロック共重合系ポリオール、さらに、前述のポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオールも挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールの1分子当たり平均アルコール性水酸基の数は2個以上、さらに2〜4個、特に2〜3個が好ましい。
さらに、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、その製造時に、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなどのセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体など、なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体を触媒として使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、さらに0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られるイソシアネネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度を低下でき、かつ得られる硬化組成物の硬化後のゴム弾性物性が良好となる点で好ましい。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを場合により使用することもできる。
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールあるいはポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るものが最も好ましい。
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体類と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下に共重合したものなどが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。
鎖延長剤としては、前記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子のポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類の他、前述のポリオキシアルキレンポリオールで、数平均分子量が500未満の低分子量のもの、またはこれらの2種以上の混合物が例示される。
前記の活性水素含有化合物として挙げた化合物は1種または2種以上を組み合わせて使用することができるが、これらのうち、得られる硬化性組成物のゴム弾性物性や接着性が良好な点で、高分子ポリオールが好ましく、さらにポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレン系ポリオールが最も好ましい。
本願発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでも合成できるが、プレポリマーの分子中にイソシアネート基を残す必要がある。有機イソシアネートのイソシアネート基と高分子ポリオール、場合により更に鎖延長剤等の活性水素含有化合物の活性水素(基)とのイソシアネート基/活性水素(基)の当量比は、1.1〜5.0/1.0が好ましく、更に1.3〜2.0/1.0が好ましい。このようにして得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.1〜15.0質量%が好ましく、特に0.3〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは0.4〜5.0質量%である。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下する。また、プレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、イソシアネート基が水分と反応して生成する炭酸ガスによる発泡を防止することが困難になるため好ましくない。
本願発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成には、後述の硬化促進触媒としてあげた化合物と同様の、公知の触媒をウレタン化触媒として用いることができる。これらのうち金属有機酸塩や有機金属と有機酸との塩が好ましく、特にジブチル錫ジラウレートが好ましい。また、さらに公知の有機溶媒を用いることができる。
つぎに、酸素硬化性不飽和化合物について説明する。
酸素硬化性不飽和化合物は、空気中などの酸素により反応して硬化する不飽和基を分子内に有する化合物であり、硬化性組成物に配合することにより、硬化性組成物の硬化後の表面に上塗り塗料を塗布したとき、塗料の付着性を著しく向上させる効果を発揮するものである。これは、酸素硬化性不飽和化合物が硬化物の表面に移行し、薄い硬化皮膜を形成し、この皮膜と、上塗りした塗料の塗膜とが強く接着するためと推察される。
酸素硬化性不飽和化合物としては、具体的には、乾性油、乾性油の各種変性物、ジエン系化合物の(共)重合体のマレイン酸変性物、ボイル油変性物などの分子内に酸素硬化性の不飽和基とエステル基等の極性基とを含有する化合物、ジエン系化合物の(共)重合体などの分子内に酸素硬化性の不飽和基は有するが極性基は有しない化合物などが挙げられる。
乾性油(広義に半乾性油も含む。)としては、桐油、大豆油、アマニ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、ヒマシ油などが挙げられ、乾性油の変性物としては、前記乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂、乾性油により変性された(メタ)アクリル系(共)重合体、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
ジエン系化合物の(共)重合体としては、1,2−ブタジエン、1,4−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、クロロプレン等のC〜Cジエン系化合物の重合体やこれら2種以上の共重合体、あるいはこれらとスチレン、アクリロニトリル等の他の単量体との共重合体(SBR、NBRなど)などが挙げられ、ジエン系化合物の(共)重合体の変性物としては、前記ジエン系化合物の(共)重合体のマレイン化物、ボイル化物、エポキシ化物などが挙げられ、これらのうち常温で液状の(共)重合体が好ましい。
これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、硬化性組成物に配合したとき、上塗り塗料の付着性を向上させる効果が大きな点で、分子内に酸素硬化性の不飽和基とエステル基等の極性基とを含有する化合物が好ましく、さらに乾性油および乾性油の変性物の群より選ばれる1種または2種以上が好ましく、よりさらに乾性油が好ましく、桐油が最も好ましい。
酸素硬化性不飽和化合物には、酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用することができる。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属と有機酸との塩や、アミン化合物などが挙げられる。
酸素硬化性不飽和化合物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して0.01〜50重量部、さらに0.1〜20重量部、特に1〜20重量部使用するのが好ましい。0.01重量部未満では上塗り塗料の付着性の改善が充分でなく、50重量部を超えると硬化物の引張り特性などが損なわれる傾向がある。
つぎに、本願発明の付着性の向上方法において、硬化性組成物にさらに用いられる添加剤について説明する。
本願発明における添加剤としては、希釈用樹脂、耐候安定剤、揺変性付与剤、充填剤、接着性付与剤、保存安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などが挙げられる。
本願発明における希釈用樹脂は、硬化性組成物を希釈して粘度を下げ、作業性を向上させるとともに、硬化後のモジュラス、伸び等のゴム弾性物性を調節するために使用するものであり、数平均分子量が500以上で、分子内に極性基を有する、あるいは有しない低粘度の樹脂化合物を好適に挙げることができる。極性基としてはエステル基、エーテル基(オキシアルキレン基)、ウレタン基などが挙げられ、これらの基の種類と個数は、それぞれ分子中に単独で有していてもよいし、複数有していてもよい。さらには、希釈用樹脂は分子中に水酸基又はイソシアネート基を実質的に有しない化合物であることが好ましい。
希釈用樹脂としては、具体的に例えば、極性基を有する樹脂としては、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂、ポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテル化誘導体やアルキルエステル化誘導体、糖類系多価アルコールのポリエーテル化樹脂、液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂等のポリオキシアルキレン系樹脂、低粘度のアクリル酸やメタクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂などが挙げられる。以下、本願発明において、「アクリル酸やメタクリル酸」を「(メタ)アクリル酸」と称す。極性基を有しない樹脂としては、ポリブタジエンやポリイソプレン等のポリオレフィン樹脂、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のポリアルキレン樹脂などの炭化水素系樹脂が挙げられる。
これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、粘度が低く、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと相溶性が良好で、得られる硬化性組成物の作業性が良好な点で、糖類系多価アルコールのポリエーテル化樹脂、液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂、低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂が好ましく、特に液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂、低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂が好ましい。
前記希釈用樹脂の数平均分子量は、500以上、さらに1,000〜100,000、よりさらに2,000〜50,000、特に2,000〜20,000が好ましく、2,000〜10,000が最も好ましい。数平均分子量が500未満では、硬化物表面に移行(ブリード)し易くなり、上塗りした塗膜の付着性を低下させ、さらには塗膜表面に移行し、塗膜表面を粘着させ、塵埃等の付着による汚染を発生させるため好ましくない。数平均分子量が100,000を超えると、希釈用樹脂の粘度が高くなり、得られる硬化性組成物の作業性を悪化させるため好ましくない。
前記糖類系多価アルコールのポリエーテル化(ポリオキシアルキレン化)樹脂としては、スクロース(ショ糖)、グルコース、マンニトール、ソルビトール等の糖類系多価アルコールの水酸基に対して、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加(共)重合し、更にアルキルエーテル化或いはアルキルエステル化して末端をアルキル基で封鎖した、分子中に実質的に水酸基を有しない樹脂などが挙げられ、ショ糖系多価アルコールのポリエーテル化樹脂の一般市販品として、三洋化成工業社製のSPX−80などが挙げられる。
前記液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂としては、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネートとを反応させて得られる、分子中にポリオキシアルキレン基とウレタン基を含有し、実質的に水酸基又はイソシアネート基を有しない高分子量の樹脂が好適である。きらに液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の分子最分布(Mw/Mn)を1.6以下、特に好ましくは1.0〜1.3と狭いものにすることにより、波状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が高分子量であっても粘度を低く抑えることができ、得られる硬化性組成物の作業性を良好なものとすることができる。
具体的には、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネート(好ましくは、ポリオキシアルキレン系モノオールと有機イソシアネート、または、ポリオキシアルキレン系ポリオールと有機モノイソシアネート)とを、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.9〜1.1/1.0となる範囲で、最も好ましくは1/1で反応させて好適に製造することができる。当量比が0.9/1.0を下回ると水酸基の含有最が多くなるため、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応し増粘し作業性を悪化させ、また1.1/1.0を上回るとイソシアネート基の含有量が多くなり、硬化物のゴム弾性物性に対する影響が無視できなくなる点で好ましくない。
なお、前記の「分子中に実質的に水酸基またはイソシアネート基を含有しない」とは、糖類系多価アルコールのポリエーテル化樹脂や液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂を合成する際、原料のモル比により、分子中に水酸基或いはイソシアネート基が少量残存する場合があるが、本発明の日的を達成する上で、水酸基又はイソシアネート基を含有しないとみなしても不都合を生じないことを意味する。
前記ポリオキシアルキレン系アルコールとしては、具体的には、ポリオキシアルキレン系モノオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、これらの混合物が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系モノオールとしては、開始剤に環状エーテル化合物を開環付加(共)重合させたものが挙げられる。ポリオキシアルキレン系モノオールの数平均分子量は500〜50,000、さらには1,000〜30,000、特に1,000〜10,000であることが好ましい。数平均分子量が500未満では得られる液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂がブリードし易くなるため、50,000を超えると液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が高くなり、硬化性組成物の作業性が悪化するため好ましくない。
この開始剤としては、具体的に例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール等の低分子アルキルモノアルコール類、フエノール、クレゾール等のフェノール類、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール等の、炭素数5以下の低分子アルキルモノアルコール類が好ましい。
環状エーテル化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちプロピレンオキシドが好ましい。
さらに、ポリオキシアルキレン系モノオールは、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用されるポリオキシアルキレン系ポリオールの製造時に使用する触媒として挙げたものと同様の触媒を使用して製造される、総不飽和度が0.1meq/g以下、さらに0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られる液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度を低下でき、得られる硬化性組成物の作業性が良好となる点で好ましい。
なお、前記ポリオキシアルキレン系モノオールの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質最%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るものが最も好ましい。
前記ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成の際に使用されるものと同様の化合物が挙げられる。
これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち得られる液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度を低下でき、得られる硬化性組成物の作業性が良好となる点で、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましく、特にポリオキシプロピレン系モノオールが好ましい。
前記有機イソシアネートとしては、具体的には、有機モノイソシアネート、有機ポリイソシアネート、これらの混合物が挙げられ、さらには、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用されるものと同様の化合物が挙げられる。
これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち比較的安価で得られる液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度を低下でき、得られる硬化性組成物の作業性が良好となる点で、有機ポリイソシアネートが好ましく、さらに脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、さらに芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、よりさらにキシリレンジイソシアネート類が好ましく、m−キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の合成の際にも、後述の効果促進触媒と同様の化合物を反応触媒として用いることができる。さらに公知の有機溶媒を用いることもできる。
前記低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂としては、具体的に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体と、必要に応じてこれ以外のエチレン性不飽和化合物とを、重合開始剤の存在下または不存在下に、そして有機溶剤の存在下または不存在下において、50〜350℃で、バッチ式または連続重合等の公知のラジカル重合反応により得られる(共)重合体樹脂、好ましくは100〜300℃の高温連続重合反応して得られる、分子量分布が狭く低粘度の(共)重合体樹脂で、実質的に水酸基またはイソシアネート基を有しないものが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量が500〜50,000、さらに800〜10,000、特に800〜5,000、Tgが0℃以下、さらに−100〜−20℃、25℃における粘度が50,000mPa・s以下、さらに100〜10,000mPa・s、特に200〜5,000mPa・sのものが好ましい。数平均分子量が500未満であると硬化物の表面にブリードし易くなり、上塗り塗料の付着性を悪化させるため好ましくなく、また、数平均分子星が50,000を、Tgが0℃を、粘度が50,000mPa・sをそれぞれ超えると硬化性組成物の作業性を悪化させるため好ましくない。
(メタ)、アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を単独で重合したものであってもよく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の2種以上を共重合したものであってもよく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とこれ以外のエチレン性不飽和化合物とを共重合したものであってもよい。これらのうち、得られる樹脂が低粘度であるため(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体樹脂が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化パラクミルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー卜等のポリ(メタ)アクリル酸エステル系単量体などが挙げられ、これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち低粘度の希釈用樹脂が得られる点で分子量500未満、さらに分子量300未満の低分子量のモノ(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが更に好ましい。
前記必要に応じて使用することができる、(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、クロルスチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−ピロリドンなどが挙げられ、これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち前記と同様の点でスチレンが好ましい。
希釈用樹脂は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して、1〜200重量部、特に10〜100重量部配合するのが好ましい。1重量部未満では、硬化組成物に対する粘度低減効果がなくなり、200重量部を超えると、硬化物の耐熱性や耐水性等の耐久性が低下するため好ましくない。
耐候安定剤としては、硬化物の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけでなく耐熱性を更に向上させるために使用されるものである。耐候安定剤としては具体的には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
酸化防止剤としてはヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられ、ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、旭電化工業社製の商品名アデカスタブシリーズのLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87等の分子量1,000未満の低分子量のヒンダードアミン系酸化防止剤、同じくアデカスタブシリーズのLA−63P、LA−68D、あるいはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名CHIMASSORBシリーズの119FL、2020FDL、944FD、944LD等の分子量1,000以上の高分子量のヒンダードアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリト−ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のべンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらの耐候安定剤は単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
耐候安定剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0.01〜30重量部、特に0.1〜10重量部配合するのが好ましい。
揺変性付与剤は、本願発明における硬化性組成物に揺変性を付与して、組成物を建築外壁などの垂直面に充填や塗布したときにタレ(スランプ)を起こさないようにするために使用するものであり、さらにこれは硬化性組成物をシーリング材として使用したときにきわめて重要な要件となるものであるが、たとえば、微粉状シリカ、有機表面処理炭酸カルシウム等の無機系揺変性付与剤、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド等の有機系揺変性付与剤などが挙げられ、これらのものの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して添加することができる。これらのうち微粉状シリカは少量の配合で揺変性を付与できるため好ましいのであるが、硬化性組成物の硬化速度を高めるため後述する硬化促進触媒を使用すると揺変性付与構造が破壊され、垂直面に充填や塗布したときにタレを起こすため使用が制限されてしまうことがあるが、これに対し有機表面処理炭酸カルシウムにはこのような欠点がなく、硬化性組成物に安定した揺変性を付与することができるため特に好ましい。
本願発明において、前記揺変性付与剤の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して1〜200重量部、さらに5〜150重量部が好ましい。1重量部を下回ると揺変性付与効果がなくなり、200重量部を超えると得られる硬化性組成物の粘度が上がり作業性が悪化するため好ましくない。
前記微紛状シリカとしては、例えば、石英、ケイ砂、珪藻土等を粉砕して微粉状にした天然シリカ、また、沈降法シリカ等の湿式法シリカ、フュームドシリカ等の乾式法シリカなどの合成シリカなどが挙げられる。また、これらシリカ粒子表面の性質としては、有機物で処理しない親水性のものと、粒子表面をジメチルジクロロシラン等の有機シラン化合物で処理した疎水性のものが挙げられる。粒子の大きさは、揺変性付与効果の大きな点で、平均(一次)粒子径が1〜1,000nm、さらに1〜100nm、特に5〜50nmのコロイダル(コロイド状)と呼ばれるものが好ましい。またBET比表面積(m/g)は、0.1以上、さらに20〜500、特に40〜500が好ましい。
これらのうち、揺変性付与効果が大きな点で、合成シリカで、親水性のコロイダルシリカが好ましい。
前記有機表面処理炭酸カルシウムとしては、例えば、沈降炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムと称される微粉状の合成炭酸カルシウム、あるいは天然の炭酸カルシウムを粉砕して微粉状にした重質炭酸カルシウムの表面を、揺変性付与能力を与える目的と二次凝集を防ぐ目的で、脂肪酸類、脂肪酸アルキルエステル類、脂肪酸金属塩類、ロジン酸等の樹脂酸の金属塩、有機ポリイソシアネートとステアリルアルコールとの反応生成物、後述のシラン系カップリング剤と同様のカップリング剤類などの有機物系の化合物で処理した炭酸カルシウムが挙げられる。ここで脂肪酸金属塩としては、好ましくはステアリン酸等の炭素数10〜25の脂肪酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムの塩である。これらの市販品としては、例えば白艶華CC、白艶華CCR、白艶華R06、VIGOT−10、VIGOT−15、STAVIGOT−15A(以上白石工業社製)、NCC#3010、NCC#1010(以上日東粉化工業社製)等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち揺変性付与効果が高い点で脂肪酸表面処理炭酸カルシウムが特に好ましい。
この有機表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01〜0.5μm、さらに0.03〜0.15μmが好ましく、BET比表面積は5〜200m/g、さらに10〜60m/gが好ましい。
平均粒径が、0.01μmを下回るか、あるいはBET比表面積が200m/gを超えると得られる硬化性組成物の粘度が上がり作業性は悪化し、平均粒径が0.5μmを上回るか、あるいはBET比表面積が5m/gを下回ると揺変性付与効果がなくなるため好ましくない。
充填剤、接着性付与剤、保存安定性改良剤(脱水剤)、着色剤は、それぞれ増量や補強、接着性向上、保存安定性(貯蔵安定性)の向上、着色などのために、本願発明における硬化性組成物に配合して使用することができる。
充填剤としては、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、無水ケイ酸、石英、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降性シリカなどの合成シリカ、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状充填剤、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン等の無機系バルーン状充填剤などの無機系充填剤、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレン等の粉末や中空体、サランマイクロバルーン等の有機系バルーン状充填剤などの有機系充填剤などの他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01〜1,000μmのものが好ましい。これらは単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
接着性付与剤としては、カップリング剤の他に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキルチタネ−ト類、有機ポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤および/またはその部分加水分解縮合物を挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤および/またはその部分加水分解物が接着性に優れているので好ましい。
このシラン系カップリング剤としては、具体的には、メチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物および/またはこれらシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物を挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を組合せて使用できる。
保存安定性改良剤としては、組成物中に存在する水分と反応するビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上を組合わせて使用できる。
充填剤、接着性付与剤、保存安定性改良剤、および着色剤の合計の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して0〜500重量部、特に5〜300重量部であることが好ましい。
本願発明の硬化性組成物において、前記各添加剤成分はそれぞれ1種類または2種以上を混合して使用することができる。
本願発明においては硬化性組成物にさらに硬化促進触媒を添加することができる。
硬化促進触媒としては、たとえば、テトラ−n−ブチルチタネート等の金属のアルコキシド、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫などの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4、0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、あるいはこれらのアミン類と有機酸との塩類などが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち硬化を促進する効果が高い点で、金属キレート化合物や有機金属と有機酸との塩が好ましく、さらにジブチル錫ジラウレートが好ましい。
本願発明において、必要に応じて、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、灯油、ミネラルスピリット、工業ガソリン等の石油留分系溶剤など従来公知の有機溶剤でイソシアネート基に反応しないものであればどのようなものでも使用することができる。
本願発明における硬化性組成物の製造方法としては、特に限定はされないが、例えば、前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、酸素硬化性不飽和化合物と、場合により、さらに添加剤とを、ステンレス製や鉄製などで湿気を遮断できる攪拌、混合装置に仕込み、常圧下、減圧下、加圧下、窒素気流下などの各種の条件下に、バッチ式あるいは連続式に攪拌、混合して製造することができる。前記攪拌、混合装置としては、例えばプラネタリーミキサー、ニーダー、アジター、ナウタミキサー、ラインミキサーなど各種挙げられる。
製造した、硬化性組成物は、湿気により増粘、硬化するものであるため、内容物の貯蔵安定性を保つため湿気を遮断できる容器に詰め、密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては湿気を遮断できる容器であれば何でもよいが、例えばドラム缶、金属製や合成樹脂製のペール缶や袋状容器、紙製や合成樹脂製のカートリッジ状容器など各種の容器が挙げられる。
さらに、本願発明における硬化性組成物の使用方法としては、具体的に例えば、防水塗料等の塗料として使用する場合は、建築物や土木構築物などの床面や外壁面等に、刷毛、ヘラ、ロールコーター、スプレーガンなどを用いて硬化性組成物を塗布し、あるいは建築シーリング材として使用する場合は、建築物の外壁目地等の各種目地に、手動、電動あるいは空気圧などで押出す方式のガンを用いて硬化性組成物を充填し、余分の硬化性組成物をヘラ等でならし表面を平らにして硬化させる。硬化後、硬化物表面に対して上塗り塗料を刷毛、ヘラ、ロールコーター、スプレーガンなどを用いて塗布、硬化させることにより、硬化物の表面に対して、上塗り塗料の付着性を著しく向上させる方法が挙げられる。
上塗り塗料としては、例えばエマルション系塗料や水性吹付け塗料等の水系塗料の他、溶剤系塗料やアルキッド系塗料など各種の常温硬化性塗料が挙げられるが、作業性が良好な点と、環境に対する負荷が少ない点で、常温硬化性塗料が好ましく、特に常温硬化性の水系塗料が好ましい。
また、本願発明における硬化性組成物は、本願発明の効果を最大限に発揮できる点で、ウレタン系シーリング材組成物として、さらにウレタン系建築用シーリング材組成物として使用するのが好ましい。
なお、本願発明において、硬化性組成物は用途に応じて一液型としても、また硬化性組成物を例えば主剤として、低分子アルコール類等の活性水素化合物を硬化剤とする二液型としても使用できるが、主剤と硬化剤を混合する手間がなく、また混合不良による硬化不良などの不具合もなく作業性にすぐれているため、一液型硬化性組成物として、特に一液型湿気硬化性組成物として使用するのが好ましい。
以下で、本願発明の実施例を示すが、この実施例に限定されるものではない。
〔合成例1〕
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながらポリオキシプロピレングリコール(旭硝子社製、エクセノール−3021、数平均分子量3,200、分子量分布(Mw/Mn)1.1〜1.2)を340g、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学社製、MN−4000、数平均分子量4,000、分子量分布(Mw/Mn)1.1〜1.2)を100gおよび溶剤としてトルエンを90g仕込み、攪拌しながら4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、分子量250)を54g仕込み、さらに反応触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05gを加え、70〜80℃で2時間攪拌しながら反応させ、滴定によるイソシアネート基含有量が理論値(1.04質量%)以下になった時点で反応を終了し、冷却してイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1を合成した。
得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1は、滴定によるイソシアネート基含有量1.00質量%、25℃における粘度32,000mPa・sの常温で粘稠な透明液体であった。
〔合成例2〕
合成例1と同様の加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素気流下で、ポリオキシプロピレンモノオール(旭硝子社製XS−M3000、数平均分子量3,243、分子量分布(Mw/Mn)1.0〜1.1)300g(OH当量:0.0925)を仕込み、攪拌しながらジブチル錫ジラウレート0.1gとm−キシリレンジイソシアネート(武田薬品社製タケネート500、分子量188)9.1g(NCO当量=0.0968)(R値(NCO当量/OH当量)=1.05)を加えたのち、加温して70〜80℃で4時間攪拌して、イソシアネート基含有量が理論値(0.06質量%)以下となった時点で反応を終了し、液状のポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1を製造した。
この液状ポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1は、滴定による実測イソシアネート基含有量0.04質量%、粘度3,300mPa・s/25℃、分子量分布(Mw/Mn)1.0〜1.1の実質的にイソシアネート基を含有しない常温で透明の液体であった。
〔実施例1〕
冷却装置および窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1を100g、実質的に水酸基を有しないショ糖のポリエーテル化樹脂(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80、数平均分子量8,000)50g、トルエン20g、予め80〜100℃の乾燥器中で1日乾燥した炭酸カルシウム50g、酸化チタン10g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM403)を0.5g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX1010、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕)を1g、および桐油2gを順次仕込み、60℃以下で、内容物が均一になるまで撹絆、混練した。次いで親水性コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、AEROSIL200)10gを仕込み、均一になるまでさらに混練した。次いで30〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、ペースト状の一液型湿気硬化性ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
〔実施例2〕
実施例1と同様の混練容器に、窒素ガスを流しながら合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1を100g、実質的にイソシアネート基を含有しない液状ポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1を50g、トルエン30g、酸化チタン10g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM403)0.5g、ヒンダードフエノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製、IRGANOX1010、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕)1g、および桐油2gを順次仕込み、60℃以下で、内容物が均一になるまで攪拌、混練した。次いで予め80〜100℃の乾燥器中で1日乾燥した脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華CCR)100gとジブチル錫ジラウレート0.05gを順次仕込み、均一になるまでさらに混練した。次いで30〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、ペースト状の一液型湿気硬化性ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
〔実施例3〕
実施例2において、実質的にイソシアネート基を含有しない液状ポリオキシプロピレン系ウレタン樹脂U−1の代わりに、アクリル酸アルキルエステル系共重合体樹脂(東亜合成社製、UP1000、粘度1,000mPa・s/25℃、Tg−77℃)を50g使用する以外は同様にして、ペースト状の一液型湿気硬化性ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
〔比較例1〕
実施例1において、ショ糖のポリエーテル化樹脂の代わりにジオクチルフタレートを50g使用し、さらに桐油を使用しない以外は同様にして、ペースト状の一液型湿気硬化性ウレタン系シーリング材組成物を調製した。
これらの材料を用いた試験結果を表1に示す。
Figure 0004603285
試験方法
(1)押出し性
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.14試験用カートリッジによる押出し試験」に準拠して測定した(測定温度23℃)。押出し時間が5秒以下のものを○と評価した。
(2)スランプ
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.1スランプ試験」に準拠して、スランプ(縦)を測定した(測定温度23℃)。
(3)タックフリー
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.19タックフリー試験」に準拠して測定した。タックフリー時間が5時間以内のものを○と評価した。
(4)塗膜の付着性
約150mm×100mmの大きさで厚さ5mmのフレキシル板を使用し、その表面にシーリング材組成物を約3mmの厚さで塗布し、23℃、50%相対湿度で14日間、硬化養生したものを作製した。次いで、硬化させたシーリング材の表面に、上塗り塗料として日本ペイント社製、水性トップを刷毛により約20〜30μmの厚さで塗布し、23℃、50%相対湿度で14日間塗料を養生硬化させたものを塗料養生後の試験体とした。
また、これとは別に塗膜の耐水付着性を試験するために前記と同様の方法で塗料養生後の試験体を作製した後、さらに23℃の水中に7日間浸漬処理したものを水中浸漬処理後の試験体とした。
それぞれの試験体について、JIS K 5600−5−6(1999)「塗料一般試験方法、第5部:塗膜の機械的性質、第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し、切れ刃の間隔2mmの多重刃切込み工具を用いて試験をし、塗膜の付着性を以下の基準で評価した。
評価基準(分子の数値は塗膜が付着している格子の数である)
○ : 20〜25/25
× : 19以下/25
試験結果
上記表1に示すように、本願発明の組成物は、上塗り塗料を硬化物の表面に塗布すると、塗布付着性が非常に改善されたものとなり、さらに上塗りされた塗料の耐水性もきわめて向上されたものとなった。

Claims (5)

  1. 芳香族ジイソシアネートから誘導されるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、糖類系多価アルコールのポリエーテル化樹脂、液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂及び25℃における粘度が50,000mPa・s以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂の群から選ばれる1種以上の希釈用樹脂と、よりなる一液型湿気硬化性ウレタン系シーリング材組成物に酸素硬化性不飽和化合物を配合して上塗り塗料の塗膜付着性を向上させる方法。
  2. 前記酸素硬化性不飽和化合物が、分子中に酸素硬化性の不飽和基と極性基を含有する化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の上塗り塗料の塗膜付着性を向上させる方法。
  3. 前記酸素硬化性不飽和化合物が、乾性油及びその変性物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の上塗り塗料の塗膜付着性を向上させる方法。
  4. 前記一液型湿気硬化性ウレタン系シーリング材組成物がさらに添加剤を含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の上塗り塗料の塗膜付着性を向上させる方法。
  5. 芳香族ジイソシアネートから誘導されるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、糖類系多価アルコールのポリエーテル化樹脂、液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂及び25℃における粘度が50,000mPa・s以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂の群から選ばれる1種以上の希釈用樹脂と酸素硬化性不飽和化合物とを含有することを特徴とする、上塗り塗料の塗膜付着性を向上させた一液型湿気硬化性ウレタン系シーリング材組成物。
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